JPH09275222A - 非晶質半導体素子 - Google Patents

非晶質半導体素子

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JPH09275222A
JPH09275222A JP8083765A JP8376596A JPH09275222A JP H09275222 A JPH09275222 A JP H09275222A JP 8083765 A JP8083765 A JP 8083765A JP 8376596 A JP8376596 A JP 8376596A JP H09275222 A JPH09275222 A JP H09275222A
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amorphous silicon
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gas
plasma
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JP8083765A
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Masanobu Azuma
正信 東
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い光導電率を示し、光電変換に利用できる光
の波長域を広げた、光安定性の高い非晶質半導体素子を
得る。 【解決手段】光学ギャップの異なる非晶質シリコン膜を
2層以上積層する際において、基層、及び基層の上部に
積層されるi型非晶質シリコン層中の塩素含有量、且つ
空隙率を所定の範囲となるよう適宜制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は太陽電池、電子写真
感光体、イメージセンサーに代表される光電変換素子に
利用される非晶質シリコンを用いた非晶質半導体素子に
関し、より詳しくは、高い光導電率を示し、光電変換に
利用できる光の波長域が広く、しかも、光に対する安定
性が優れた信頼性の高い非晶質半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】非晶質シリコン膜は、モノシラン(Si
4)ガスを高周波グロー放電分解することにより一般
的に得られ、燐に代表される周期律表VA族に属する元
素、または、ほう素に代表される周期律表IIIA族に属
する元素を微量添加することにより、その導電型はn
型、あるいはp型に変化する。また、上記元素を添加し
ない場合においては真性半導体(i型)的性質を示す。
これらのi型、p型、n型非晶質シリコン膜を光が入射
する面に対してpinあるいはnipのように積層する
ことによって、非晶質シリコン太陽電池の基本的な構造
が得られることは広く知られている。本基本構造の中で
も特にi層は太陽電池内へ入射した光のエネルギーを電
気エネルギーへ変換する役割を担う重要な役割を果た
し、該i層の高品質化が、非晶質シリコン太陽電池がさ
らに高い変換効率を達成するための要因の一つとして挙
げられている。しかしながら、非晶質シリコン太陽電池
は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池等
の結晶系太陽電池と比較すると変換効率が低いのが現状
であり、またさらに、経時的な光照射に対して変換効率
が減少する光劣化という現象が見られることにより、長
期的な信頼性が低いという問題がある。そして、このよ
うな非晶質シリコン太陽電池がかかえる問題点を本質的
に解決するためには、前記i層の一層の高品質化、且
つ、膜構造の改善が強く要求されてはいるものの、依然
として、研究の域から脱し得ないのが現状である。
【0003】上記、非晶質シリコン太陽電池の問題点を
解決するために、現在までに多大な研究開発が実施され
ている。例えば、変換効率を高めることに関しては、特
公平4-1511号公報に次のような技術が開示されて
いる。即ち、pin接合型太陽電池において、p層もし
くはn層に炭素原子を導入して非晶質シリコンカーバイ
トとすることにより、p層もしくはn層での光吸収を低
減させ、光を有効にi層へ到達させることにより変換効
率を高め得ることが開示されている。また、変換効率を
さらに一層向上させるために該技術を応用した例とし
て、炭素原子をシリコンの主骨格中に導入して、光学ギ
ャップを広げたi型非晶質シリコン膜と炭素の導入を行
わないi型非晶質シリコン膜とを積層させることによ
り、単層時に有効に利用できる光の波長域より、さらに
利用できる光の波長域を拡張しようとする試み、即ち、
分光感度特性を向上させる試みが多く行われている。
【0004】また、非晶質シリコン太陽電池の光安定性
を改善する技術としては、特開平5-326992号公
報及び特開平4-318980号公報にはそれぞれ次の
ような技術が開示されている。即ち、特開平5-326
992号公報にはnip型、あるいは、pin型光起電
力素子を、多重結合よりなる非単結晶シリコン系半導体
素子とすることにより、光に対する安定性を改善したこ
とが記載されている。該技術によれば、pin構造を二
組結合させた非単結晶シリコン系半導体素子を形成する
際に、両者の間に光学ギャップが連続的又は段階的に減
少したバッファー層を挿入することを重要としている。
該バッファー層の役割については具体的に記載されては
いないが、該層の挿入により結果として光安定性が向上
するものであることが示されている。光学ギャップを連
続的又は段階的に減少させる方法としては炭素原子をシ
リコンの主骨格中に、濃度勾配をつけ、混入させること
により行う方法が記載されている。
【0005】さらに、特開平4-318980号公報に
は非晶質半導体膜中に半径0.5nm以上、体積比で0.
08%以上の慣性半径を有するマイクロボイドを含有さ
せることにより、膜構造を柔軟化することが光安定性の
向上に有効であることが示されている。
【0006】しかしながら、このような従来技術におい
て、前記の炭素を導入する方法では炭素のような多価の
異種原子がシリコンの主骨格に混入するため、未結合手
(ダングリングボンド)等の欠陥の発生がさけられず、
特に、i層に炭素原子を導入した場合には、炭素原子の
導入により光の透過率が向上するというメリットより
も、該欠陥の発生によ光導電率が低下してしまうデメリ
ットの方が大きくなるため、充分な変換効率の向上は望
めない。また、シリコン主骨格中への炭素の導入は膜中
に欠陥を発生させる原因となるだけでなく、隣接層と界
面を形成する場合においても、界面欠陥の発生の原因と
もなり、変換効率の高い品質の良好な半導体素子の製造
においては問題となる。
【0007】さらに、特開平5-326992号公報開
示の技術に関しては多重結合の光起電力素子を形成しな
ければならず、この技術を応用して半導体装置を製造す
るためには非常に複雑な工程を要するという問題があ
る。
【0008】さらにまた、特開平4-318980号公
報に開示された技術によれば、確かに光安定性の改善が
認められるものの、該技術は分光感度特性の改良とは関
連性がなく、また該技術には次のような問題点も指摘さ
れる。即ち、該技術の非晶質半導体素子は、SiH4
スをキセノンガスのような不活性ガスで希釈し、高い高
周波電力で製造するため、実用的な製造条件下ではプラ
ズマ中でパウダーが発生しやすくなる問題が指摘され
る。該パウダーは、製造装置の汚染を早めるだけでな
く、形成中の膜へ飛来することにより膜質を悪化させる
原因となる。
【0009】従って、以上のような従来技術は、太陽電
池などの光電変換素子の変換効率、及び、光安定性のい
ずれかを個別に改善するための技術であり、両者を同時
に改善する技術としては充分ではなく、また、工業的観
点からも必ずしも満足される技術であるとはいえなかっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】太陽電池に代表される
光電変換素子の分野においては変換効率および信頼性の
いずれもの向上も可能ならしめる技術が望まれいた。従
って本発明は、高い光導電率を示し、且つ光安定性、及
び、分光感度特性がともに優れた、シリコンのみにより
その主骨格が形成された非晶質半導体素子を得ることを
課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記技術課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、i型非晶
質シリコン層を形成する際にSiHxCl4-x(X=0,
1,2,3)で与えられる塩素含有シランガスを原料と
して用いると、膜中にダングリングボンド等の欠陥を発
生させることなく、また、プラズマ中でのパウダーの発
生をともなわないで高速で非晶質シリコンの形成が可能
であることを見いだした。また、上記方法では、形成条
件を変えることにより、高速形成にもかかわらず容易に
非晶質シリコン膜中の空隙率や膜に含まれる塩素含有量
を制御することができ、その結果、光学ギャップをある
範囲において制御できるだけでなく、該膜は光に対して
安定であることを見出した。さらに、光学ギャップが異
なる非晶質シリコン膜を積層することによって、光電変
換に利用できる光の波長域を広げることができ、高い光
導電率を保持したまま、分光感度特性が向上するという
知見を得た。そしてさらに、上記積層体においては、光
の入射する側の最外層に周期律表第IIIA族の元素が少
量含まれていてもi型非晶質シリコン層と同様の効果が
得られることを見出し、本発明を完成し、ここに提案す
るに至った。
【0012】即ち本発明は、塩素含有量0.1原子%〜
5原子%、光学ギャップ1.9eV〜2.5eV、且つ
空隙率5.0体積%〜15体積%の非晶質シリコンから
なる基層に、該基層より光学ギャップが小さく、塩素含
有量0.005原子%〜0.1原子%、光学ギャップ
1.6eV〜1.9eV、且つ空隙率0.01体積%〜
5.0体積%のi型非晶質シリコンからなる層が少なく
とも1層以上積層されてなることを特徴とする非晶質半
導体素子である。
【0013】本発明においては、上記の構成により、例
えば太陽電池の構成要素として使用したときに、高い変
換効率、且つ、高い光安定性を発揮できるような高い光
導電率、優れた分光感度、及び、光に対する高い安定性
を示す非晶質半導体素子となる。
【0014】この様な優れた効果が得られる理由につい
ては現在明らかではないが、本発明者等は次のように推
定している。即ち、光学ギャップが1.6〜2.5e
Vの範囲で制御可能となった理由は、膜中に残存してい
る塩素量及び膜中に導入された空隙の量の両者により誘
起された結果であり、積層膜で高い光導電率が得られ
るのは、各単層や積層界面における欠陥の減少による結
果であり、光安定性が向上するのは、塩素の導入によ
り誘起されたと思われる適度な空隙の存在により、各単
層中の内部応力が緩和された結果であり、そして、分
光感度特性が向上するのは、異なる光学ギャップを有す
る膜を積層することにより、光電変換に利用できる光の
波長域が広がった結果であると推定している。
【0015】
【発明実施の形態】本発明の非晶質半導体素子は光学ギ
ャップの異なる非晶質シリコン層が複数積層されてな
る。各層の光学ギャップが異なることは分光感度特性を
高めるために必須である。非晶質シリコン層で吸収可能
な光の波長域は光学ギャップの大きさで決定される。従
って、光学ギャップの異なる非晶質シリコン膜を積層す
ることにより光エネルギーを電気エネルギーへ変換する
ために利用可能な光の波長域を広げることが可能とな
る。
【0016】本発明において、光が入射する側に用いら
れる非晶質シリコン層を基層と定義する。本発明におい
て、この基層の光学ギャップは1.9〜2.5eVであ
ることが必要である。即ち、基層の光学ギャップを1.
9〜2.5eVとすることにより約600nm以下の可
視光線中の比較的短波長の光を有効に吸収することが可
能となる。光学ギャップを2.5eV以上とした場合に
おいては、作製上の問題により非晶質シリコン膜中の欠
陥が増加するするため、光導電率が急激に低下する。ま
た、p層と接合した場合において、充分な内部電界を得
ることができない。光学ギャップが1.9eV未満のと
きには、分光感度特性が悪くなる。基層の光学ギャップ
は、上記範囲以内で目的とする素子の構造に応じて適宜
決定される。
【0017】一般に、pin構造の非晶質半導体素子に
おいて光エネルギーを電気エネルギーに変換する役割を
果たすのはi型層であるといわれている。しかしなが
ら、本発明においては、上記基層において、ほう素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)等の周期律表第IIIA族の元素が少量
含まれていてもi型非晶質シリコンからなる基層を用い
た場合と同様の効果が得られる。なお、ここでいう少量
とは、周期律表第IIIA族の元素が導入された基層につ
いて室温から120℃の範囲で暗導電率を測定して作成
したアレニウスプロットから求めた活性化エネルギーが
0.65〜1.2eVとなる程度の量である。
【0018】また、前記基層の上部に積層されるi型非
晶質シリコン層の光学ギャップは、基層の光学ギャップ
より小さく、且つ1.6〜1.9eVとする必要があ
る。即ち、基層では吸収されず、該層に入射した約60
0nm以上の波長の光を効率よく吸収するために光学ギ
ャップを1.6〜1.9eVとする必要がある。光学ギ
ャップを1.6eV以下とした場合においては、前記同
様、作製上の問題により、非晶質シリコン膜中の欠陥が
増加することにより、光導電率が急激に低下する。ま
た、該層は光電変換に利用する光の波長域を広げるため
に1層以上複数の層により構成することができる。この
場合、波長が長い光ほど侵入長が深くなるため、光を有
効に利用するためには、基層より順次光学ギャップが減
少するような素子構成とするのが好ましい。各層の膜厚
及び光学ギャップの差は、作製する非晶質半導体素子の
性能が最も良好となるよう、素子の構造を考慮して適宜
決定することができる。
【0019】さらに、本発明においては前記基層及び該
基層に積層されるi型非晶質シリコン層中の塩素含有量
と空隙率は、特定の値である必要がある。即ち、基層に
おける塩素含有量は0.1〜5.0原子%であり、空隙
率は5.0〜15体積%である必要がある。本発明にお
いて光学ギャップは塩素含有量と空隙率によって決定さ
れるため、基層の光学ギャップを前記範囲とするために
は、塩素含有量及び空隙率は、それぞれこの範囲でなけ
ればならない。
【0020】また、本発明において基層に積層されるi
型非晶質シリコン層の塩素含有量及び空隙率は、上と同
じ理由によりそれぞれ0.005原子%〜0.1原子%
及び0.01〜5.0体積%でなければならない。
【0021】本発明における基層をはじめとする各層中
の塩素含有量及び空隙率は非晶質半導体素子の光安定性
を改善する上で重要な因子であると考えられるが、各層
における空隙率が上記の範囲内であれば高い光安定性が
実現される。
【0022】また、非晶質シリコン膜中に残存している
塩素は、シリコンの欠陥を終端する働きをし、従来技術
で示した炭素原子のようにシリコンの主骨格を形成する
構成要素とはならないため、形成中に新たな欠陥を発生
させることはなく、界面欠陥の発生も著しく低減させる
ことから、本発明に悪影響は及ぼさない。
【0023】本発明においては、基層と前記のi型非晶
質シリコン層とが積層されていればよく、積層の方法は
特に制限されない。しかしながら、積層は、途中、大気
と接することなく、同一真空容器内で基層および各i型
非晶質シリコン層を連続して形成して行うことが好まし
い。
【0024】本発明において基層及び各i型非晶質シリ
コン層中に塩素を含有させ且つ空隙を形成するための製
造方法は、特に制限されないが、一般には高周波プラズ
マ分解ケミカルベーパーデポジション法(以下、プラズ
マCVD法という)において、一般式SiHxCl
4-x(X=0、1、2、3)で与えられる塩素含有ガスを用
い、非晶質シリコン膜を析出する方法が好適に採用さ
れ、好ましくは、電子サイクロトロン共鳴CVD(EC
R:ELECTRON、CYCLOTRON、RESO
NANCE)法を用いる方法が好適である。
【0025】以下に電子サイクロトロンCVD法によっ
て本発明の非晶質半導体素子を製造する代表的な例につ
いて具体的に説明する。尚、本発明は以下に説明する方
法及び装置構成に制限されるものではない。代表的な製
造装置を例示すれば、図1に示す装置が挙げられる。即
ち、プラズマ生成室2と製膜室1からなり、プラズマ生
成室2には、マイクロ波発生装置4と電磁石5とがそれ
ぞれ作用するように配置されるとともに、両者の作用を
受ける位置にプラズマ生成ガス供給口6が接続される。
また、製膜室には、ヒーター10を内蔵した支持台9が
設けられその上に基材3がセットされる。
【0026】上記プラズマ生成室2と製膜室1とは連通
していて、該製膜室1のかかる連通部と支持台9との間
に原料ガスを供給しうるような位置に原料ガス供給口7
が接続される。
【0027】また、装置内は、真空ポンプ11により一
定の圧力に調節される。尚、12は、圧力調節のための
バルブであり、8は、ガスの流量をそれぞれ調節する流
量調節器である。
【0028】上記装置において、プラズマ生成ガスは、
プラズマ生成ガス供給口6より、流量調節器8により流
量制御された後、プラズマ生成室2に供給され、そこで
マイクロ波発生装置4からのマイクロ波と電磁石5の磁
場により、電子サイクロトロン共鳴によって励起され、
プラズマ化される。上記プラズマ化されたガスは、連通
部より製膜室1に供給され、原料ガス供給口7より流量
調節器8により流量を制御された原料ガスと混合された
後、ヒーター10によって一定温度に加熱された基材3
に接触することにより該基材表面にi型非晶質シリコン
膜が形成される。
【0029】本発明において電子サイクロトロン共鳴に
よりプラズマ化されるプラズマ生成ガスとしては少なく
とも水素を含有するガスであれば特に制限されない。プ
ラズマ生成ガス中に含まれる水素が10容量%以上、好
ましくは60〜100容量%含有するものが好ましい。
特に水素ガスのみからなる場合が、ピンホール等の物理
的欠陥の発生が極めて少なく好適である。プラズマ生成
ガスに水素以外のガスが存在する態様においては、該ガ
スとしては、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン等
のシリコン膜の生成において不活性なガスが特に制限な
く使用される。また、上記プラズマ生成ガス中には、本
発明の効果を著しく阻害しない範囲、一般に50容量%
以下の範囲でプラズマ生成ガスに原料である塩素含有シ
ランガスを混合して供給することも可能である。
【0030】本発明において、プラズマ生成ガスを電子
サイクロトロン共鳴により励起してプラズマ化する方法
は限定されるものではなく、公知の方法が特に制限なく
採用される。即ち、磁場と電磁波の相互作用によって、
電磁波の共鳴吸収を起こし、サイクロトロン運動を起こ
す現象を利用する方法がすべて実施できる。例えば、プ
ラズマ生成ガスに電磁波及び磁場を同時に作用させる態
様が一般的である。
【0031】上記電磁波としては、マイクロ波、超短波
(VHF)等の電磁波が使用され、特にマイクロ波を使
用した場合、安定的にプラズマを形成することが可能で
ある。また、磁場は投入電力により磁場の強度が調節で
きる電磁石を使用することが好ましい。上記電磁波の供
給電力は一般に20W〜2kWであり、好ましくは、1
00〜600Wである。また、磁場は発散磁場、ミラー
磁場等特に制限されないが、875ガウス以上の強度で
非晶質シリコン膜の析出空間内に形成するように制御す
ることが好ましい。
【0032】本発明の非晶質半導体素子を製造するに当
たって、原料ガスに、一般式SiHxCl4-x(x=1,
2,3)で表される塩素含有シランガスを使用すること
が重要である。即ち、該ガスの使用により膜中に適度な
塩素及び空隙が導入されることにより、分光感度特性、
且つ耐光劣化特性が向上する。原料ガスとして塩素化さ
れていないシラン化合物を使用する方法は公知である
が、かかるガスを使用した場合、本発明の目的である分
光感度特性、光安定性がともに優れた非晶質半導体素子
の形成は困難である。
【0033】上記塩素含有シランガスを具体的に例示す
れば、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、ジクロ
ロシラン等が挙げられる。特に、ジクロロシランは1気
圧下での沸点が8.3℃であり、取り扱いが容易である
ため好ましく用いられる。
【0034】上記塩素含有シランガスは、単独で存在す
ることが一般的であるが、本発明の効果を著しく阻害し
ない範囲で、他の塩素含有シランガス、或は水素や不活
性ガスで希釈して供給することも可能である。
【0035】本発明において、プラズマ化された水素含
有ガスと塩素含有シランガスとの混合比は、該水素含有
ガス中の水素と塩素含有シランガス中の塩素との原子比
(H/Cl)が0.1〜50、好ましくは、5〜10と
なるように設定することが好ましい。
【0036】本発明において、非晶質シリコン膜の析出
は、上記ガスを基材に接触させることにより行われる。
かかる基材は、特に制限されるものではなく、素子形成
時のプロセス及び用途に応じて適宜選択される。例え
ば、形成される非晶質シリコン膜を光電変換素子におけ
る光電変換層として使用する場合、基材としては石英ガ
ラス、ソーダライムガラス、単結晶シリコン、多結晶シ
リコン、金属、セラミックス、耐熱性ポリマー、透明導
電体等が使用できる。
【0037】上記、基材の温度としては、150〜50
0℃、好ましくは200〜350℃の温度に調節するこ
とが好適である。温度の調節には公知の方法が制限なく
採用され、一般には基材支持台に装着したヒーターによ
って行う方法、赤外線ランプによって行う方法、高周波
誘導加熱によって行う方法が好適に採用される。
【0038】プラズマ生成ガス及び、原料ガスの流量は
製造装置の大きさにより変わるため、一概に示すことは
できない。上記の条件を満足するものであれば、ガスの
流量は制限されることはない。しかしながら、非晶質シ
リコン膜形成時の圧力は0.1から10mTorrの範
囲が好ましく、さらには、0.5〜5mTorrの範囲
がより好ましい。上記の非晶質シリコン膜形成時のガス
圧力は、従来技術の圧力と比較して低いので、プラズマ
中でのパウダーの発生が著しく抑制されるため、高速形
成を行うことが可能となるだけでなく、生産性にも優れ
る等の製造上の利点を有している。
【0039】本発明において、光学ギャップの制御は、
マイクロ波発生装置の出力、基材温度又は基材の位置な
ど適宜変更することにより行うことができる。特に、マ
イクロ波発生装置の出力、且つ、基材の位置は瞬時に設
定の変更が可能なため、これらの変更によりプラズマの
状態を乱さず、また、プラズマを停止することなく連続
的な膜の形成が可能となる。
【0040】基層及びその上に積層されるi型非晶質シ
リコン層の厚みは非晶質半導体素子の構造により適宜決
定されるため特に制限されることはないが、分光感度特
性と変換効率とのバランスの観点から、基層は30〜2
000オングストローム、基層の上に積層されるi型非
晶質シリコン層の厚みは1000〜8000オングスト
ロームとすることが好ましい。
【0041】本発明においては、基層に周期律表第III
A族の元素が含まれていても良いことは既に述べたとお
りであるが、基層へのこれら元素の導入は次のようにし
て行うことができる。即ち、周期律表第IIIA族の元素
を含むガス、具体的にはジボラン(B26)、三フッ化
ホウ素(BF3)、トリメチルホウ素(B(CH33
等のガスを前記原料ガスに混入させて、基層となる非晶
質シリコン膜の形成を行うことにより導入することがで
きる。周期律表第IIIA族の元素を含むガスの原料ガス
への混合割合は特に限定されないが、一般的には、原料
ガスに対して0.1ppm〜1000ppmの濃度とな
る範囲である。この範囲であれば基層中の周期律表第II
IA族の元素量は基層の活性化エネルギーで表して0.
65〜1.2eVの範囲となり、これら元素を導入しな
いときと同様の効果が得られる。尚、基層に周期律表第
IIIA族の元素しても、本発明の効果が変わりなく発揮
される理由については、今のところ不明である。
【0042】さらに、基層の光学ギャップを光が入射す
る側から連続的もしくは段階的に減少させることによっ
ても本発明の効果を変わりなく発揮させることができ
る。この様な非晶質シリコン膜は、マイクロ波発生装置
の出力、又は、基材の位置を連続的、或いは段階的に変
化させることにより形成することができ、連続的に変化
させる場合においては該形成条件をコンピューター等を
用いて自動制御する方法が好ましく用いられる。
【0043】一般的に、半導体素子として使用される非
晶質シリコン膜中には水素、酸素、窒素、炭素、等が含
まれていることが広く知られている。水素以外の酸素、
窒素、炭素については、これまで、これら元素が非晶質
半導体素子の電気的特性、および、光学的特性に与える
影響について、多大な研究が試みられてきた。しかしな
がら、これら元素が非晶質半導体素子の特性に与える影
響を明らかにするには至っていないものの、経験的に
は、いずれの原子もシリコン主骨格中に1X1020/c
3以下で存在すれば、非晶質半導体の電気的特性及び
光学的特性に及ぼす効果は少ないと報告されている。本
発明者等も、酸素、窒素、炭素が非晶質半導体素子に及
ぼす効果について十分に説明しえないが、これら元素濃
度が、上記範囲内であれば、本発明の効果に与える影響
は著しく小さいことを確認している。一方、水素は膜中
の欠陥を終端し、電子や正孔の寿命を伸ばし、光導電率
を向上させる重要な因子であるとされ、一般的な非晶質
シリコン膜中には5.0原子%〜25原子%程度含まれ
る。本発明において得られる非晶質半導体素子に含まれ
る水素もこの範囲内にあり、膜中含有水素が本発明の効
果に与える影響は著しく小さいことを確認している。
【0044】
【効果】本発明によって得られた非晶質半導体素子は高
い光導電率を有し、光電変換に利用できる光の波長域の
拡張、即ち、分光感度特性を大幅に向上することが可能
であるため、p層及びn層と組み合わせて太陽電池など
の素子を形成するにあたり、変換効率の向上に極めて有
効である。さらに、光に対する安定性に関して著しい改
善が認められることより、該非晶質半導体素子を光電変
換層として使用した場合に、変換効率の向上、および長
期間安定して使用することが可能となる。
【0045】また、本非晶質半導体の製造法に関しても
プラズマ中でのパウダーの発生を抑制し、高速で非晶質
シリコン膜の形成が行える等の工業的特徴を有してい
る。
【0046】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するにあたり実
施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。本発明に必要な諸特性は下記の方法により
求めた。
【0047】(1)塩素含有量 二次イオン検出質量分析装置(SECONDARY I
ON MASSPECTOROSPOPY)により塩素
濃度の定量を行ない、シリコン原子に対する塩素原子の
濃度を塩素含有量として表示した。
【0048】積層膜を構成する各単層膜について塩素含
有量の定量を行った。
【0049】(2)膜中空隙率 紫外から可視域の波長を用いた分光エリプソメーターに
より疑似誘電率の波長依存性を測定し、得られた波形を
ブラッグマンの有効媒質近似理論に基づき解析すること
によって膜中における空隙の体積分率を求め空隙率とし
た。
【0050】積層膜を構成する各単層膜について空隙率
の定量を行った。
【0051】(3)光学ギャップ 分光光度計を使用し、可視域(400〜800nm)で
求めた透過率からTaucの法則により、光学的な禁制
帯幅を見積り光学ギャップとした。
【0052】積層膜を構成する各単層膜について光学ギ
ャップの定量を行った。
【0053】(4)膜厚 触針式表面粗さ計を使用し、試料の厚みを直接測定し膜
厚とした。
【0054】積層膜、及び積層膜を構成する各単層膜の
両者について膜厚の測定を行った。
【0055】(5)分光感度特性 石英基材上に析出した非晶質シリコン膜に、モノクロメ
ーターによって制御された光を400〜700nmまで
照射し、光導電率の波長依存性を調べた。この時、得ら
れた光導電率の最大値を1として規格化した。
【0056】積層膜、及び積層膜を構成する各単層膜の
両者について分光感度特性の測定を行った。
【0057】(6)耐光劣化試験 2000nm以上の赤外光をフィルターによって遮断し
たキセノンランプ光(500mWcm-2)を試料に照射
し、光導電率の光照射時間依存性を調べた。この時、光
照射時間は20000分一定とした。光照射中の試料の
表面温度の上昇を防ぐために、試料ホルダーを水冷し、
表面温度は常に40℃とした。
【0058】導電率の測定は、図2に示すように、石英
基材3上にi型非晶質シリコン層14を析出させ、さら
に該i型非晶質シリコン層上に基層13を析出させて得
た非晶質半導体素子の基層13上に、真空蒸着により電
極間隔0.02cm、電極長3.8cmの一対のアルミニ
ウム電極15を形成し、該電極間に100Vの直流電圧
を印加し、電極間に流れる電流を測定することにより行
なった。光を照射しているときの導電率を光導電率、暗
い状態での導電率を暗導電率とした。
【0059】積層膜を使用し光劣化試験を行った。
【0060】実施例1 プラズマ形成ガスとして高純度水素を50sccm(ノ
ルマルcc/min)の流量でプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は150W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、原料ガスであるジクロロシラン(以下、Si
2Cl2)を5sccmの流量で製成膜室へ導入し、ガ
スプラズマと加熱基材とを接触させることにより、第二
i型非晶質シリコン膜を膜厚が6000オングストロー
ムとなるように膜析出時間を適宜調節して析出した。基
材温度は250℃、反応圧力は3mTorrに設定し
た。その後、プラズマを停止せず、マイクロ波投入電力
を300Wに設定し、その他の膜形成条件は一定とし
て、膜厚が1000オングストロームとなるように基層
となるi型非晶質シリコン膜の析出を行なった。基材に
は石英ガラスを使用した。なお、参照用試料を得るため
に基材を2枚使用し、同一条件下で2つの試料を得た。
触針法によって一方の石英基材上の膜厚を測定した結
果、6800オングストロームを得た。本実験の結果を
さらに明確にするために、本実験とは独立に上記の各非
晶質シリコン膜の形成条件において、それぞれ別々に膜
の析出を行なった。その結果、マイクロ波投入電力15
0Wで析出した第二i型非晶質シリコン層となる膜にお
いては塩素含有量0.05原子%、光学ギャップ1.75
eV、膜中空隙率0.1体積%であり、さらに、マイク
ロ波投入電力300Wで得られた基層となるi型非晶質
シリコン膜においては塩素含有量0.2原子%、光学ギ
ャップ1.9eV、膜中空隙率5.5体積%であった。
【0061】本実施例で作製された非晶質半導体素子に
100mWcm-2の強度の白色光を照射したときの光導
電率および光導電率の波長依存性を表1に示す。また、
それぞれの単層膜で測定した光導電率、塩素含有量、光
学ギャップ、空隙率および光導電率の波長依存性を表2
に記す。表3には、本実施例により得られた非晶質半導
体素子の耐光劣化特性の測定結果を示す。図3に各波長
における規格化した光導電率を示す。本実施例で作製し
た非晶質半導体素子の分光感度特性は600nm以上の
波長域において比較例1と比較して優れている。
【0062】実施例2 実施例1と同量の高純度水素をプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は100W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、実施例1と同量のSiH2Cl2を製膜室へ導
入し、ガスプラズマと加熱基材とを接触させることによ
り、第二i型非晶質シリコン膜を膜厚が6000オング
ストロームとなるように膜形成時間を適宜調節して析出
した。基材温度は250℃、反応圧力は3mTorrに
設定した。その後、プラズマを停止せず、マイクロ波投
入電力を400Wに設定し、その他の膜析出条件は一定
として、膜厚が500オングストロームとなるように基
層となるi型非晶質シリコン膜の析出を行なった。基材
には石英ガラスを使用した。なお、参照用試料を得るた
めに基材を2枚使用し、同一条件下で2つの試料を得
た。触針法によって一方の石英基材上の膜厚を測定した
結果、6400オングストロームを得た。
【0063】実施例1と同様、本実施例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、塩素含有量、光学ギャップ、空隙率および光導電率
の波長依存性を表2に記す。表3には、本実施例により
得られた非晶質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を
示す。
【0064】実施例3 実施例1と同量の高純度水素をプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は100W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、実施例1と同量のSiH2Cl2を製膜室へ導
入し、ガスプラズマと加熱基材とを接触させることによ
り、第二i型非晶質シリコン膜を膜厚が6000オング
ストロームとなるように膜形成時間を適宜調節して析出
した。基材温度は250℃、反応圧力は3mTorrに
設定した。その後、プラズマを停止せず、マイクロ波投
入電力を400Wに設定し、ジボラン(以下、B26
を原料ガスに対して50ppmの濃度で原料ガスと共に
製膜室内へ供給することにより、膜厚が500オングス
トロームとなるように基層となるp型非晶質シリコン膜
の析出を行なった。基材には石英ガラスを使用した。な
お、参照用試料を得るために基材を2枚使用し、同一条
件下で2つの試料を得た。触針法によって一方の石英基
材上の膜厚を測定した結果、6500オングストローム
を得た。
【0065】実施例1と同様、本実施例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、塩素含有量、光学ギャップ、空隙率および光導電率
の波長依存性を表2に記す。表3には、本実施例により
得られた非晶質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を
示す。なお、本実施例の基層について室温から120℃
の範囲で暗導電率を測定しアレニウスプロットを作成し
て活性化エネルギーを求めたところ、0.9eVであっ
た。
【0066】実施例4 実施例1と同量の高純度水素をプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は100W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、実施例1と同量のSiH2Cl2を製膜室へ導
入し、ガスプラズマと加熱基材とを接触させることによ
り、第三i型非晶質シリコン膜を膜厚が3000オング
ストロームとなるように膜形成時間を適宜調節して析出
した。基材温度は250℃、反応圧力は3mTorrに
設定した。その後、プラズマを停止せず、マイクロ波投
入電力を150Wに設定し、その他の膜形成条件は一定
として、膜厚が3000オングストロームとなるように
第二i型非晶質シリコン膜の析出を行なった。さらに、
プラズマを停止せず、マイクロ波投入電力を400Wに
設定し、その他の膜形成条件は一定として、膜厚が50
0オングストロームとなるように基層となるi型非晶質
シリコン膜の析出を行なった。基材には石英ガラスを使
用した。なお、参照用試料を得るために基材を2枚使用
し、同一条件下で2つの試料を得た。触針法によって一
方の石英基材上の膜厚を測定した結果、6400オング
ストロームを得た。
【0067】実施例1と同様、本実施例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、塩素含有量、光学ギャップ、空隙率および光導電率
の波長依存性を表2に記す。表3には、本実施例により
得られた非晶質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を
示す。
【0068】実施例5 実施例1と同量の高純度水素をプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は100W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、実施例1と同量のSiH2Cl2を成膜室へ導
入し、ガスプラズマと加熱基材とを接触させることによ
り、第三i型非晶質シリコン膜を膜厚が3000オング
ストロームとなるように膜形成時間を適宜調節して析出
した。基材温度は250℃、反応圧力は3mTorrに
設定した。その後、プラズマを停止せず、マイクロ波投
入電力を150Wに設定し、その他の膜形成条件は一定
として、膜厚が3000オングストロームとなるように
第二i型非晶質シリコン膜の析出を行なった。さらに、
プラズマを停止せず、マイクロ波投入電力を400Wに
設定し、B26を原料ガスに対して50ppmの濃度で
原料ガスと共に製膜室内へ供給することにより、膜厚が
500オングストロームとなるように基層となるp型非
晶質シリコン膜の析出を行なった。基材には石英ガラス
を使用した。なお、参照用試料を得るために基材を2枚
使用し、同一条件下で2つの試料を得た。触針法によっ
て一方の石英基材上の膜厚を測定した結果、6500オ
ングストロームを得た。
【0069】実施例1と同様、本実施例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、塩素含有量、光学ギャップ、空隙率および光導電率
の波長依存性を表2に記す。表3には、本実施例により
得られた非晶質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を
示す。なお、本実施例の基層の活性化エネルギーは0.
9eVであった。
【0070】実施例6 実施例1と同量の高純度水素をプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は100W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、実施例1と同量のSiH2Cl2を製膜室へ導
入し、ガスプラズマと加熱基材とを接触させることによ
り、第二i型非晶質シリコン膜を膜厚が6000オング
ストロームとなるように膜形成時間を適宜調節して析出
した。温度は250℃、反応圧力は3mTorrに設定
した。その後、プラズマを停止せず、マイクロ波投入電
力を300Wに設定し、膜厚が500オングストローム
となるように基層となるi型非晶質シリコン膜の析出を
行なった。ただし、マイクロ波投入電力は製膜時間が終
了するまでの間、300Wから400Wまで自動制御装
置により連続的に変化させた。基材には石英ガラスを使
用した。なお、参照用試料を得るために基材を2枚使用
し、同一条件下で2つの試料を得た。触針法によって一
方の石英基材上の膜厚を測定した結果、6700オング
ストロームを得た。
【0071】実施例1と同様、本実施例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、塩素含有量、光学ギャップ、空隙率および光導電率
の波長依存性を表2に記す。表3には、本実施例により
得られた非晶質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を
示す。
【0072】比較例1 実施例1と同量の高純度水素をプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は400W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、実施例1と同量のSiH2Cl2を製膜室へ導
入し、ガスプラズマと加熱基材とを接触させることによ
り、第二i型非晶質シリコン膜を膜厚が6000オング
ストロームとなるように膜形成時間を適宜調節して析出
した。基材温度は250℃、反応圧力は3mTorrに
設定した。析出終了後、ガスを流した状態でプラズマを
停止して、基材温度を140℃まで低下させた。基材温
度を確認した後、マイクロ波投入電力400Wのまま、
プラズマを再び発生させ、膜厚が1000オングストロ
ームとなるように基層となるi型非晶質シリコン膜の析
出を行なった。基材には石英ガラスを使用した。なお、
参照用試料を得るために基材を2枚使用し、同一条件下
で2つの試料を得た。触針法によって一方の石英基材上
の膜厚を測定した結果、6700オングストロームを得
た。
【0073】本実験の結果をさらに明確にするために、
本実験とは独立に上記の各非晶質シリコン膜の形成条件
において、それぞれ別々に膜の析出を行なった。その結
果、基材温度250℃で析出した第二i型非晶質シリコ
ン層となる膜においては塩素含有量0.3原子%、光学
ギャップ2.0eV、膜中空隙率5体積%であり、さら
に、基材温度150℃で得られた基層となるi型非晶質
シリコン膜においては塩素含有量1.0原子%、光学ギ
ャップ2.3eV、膜中空隙率8体積%であった。
【0074】実施例1と同様、本比較例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、塩素含有量、光学ギャップ、空隙率および光導電率
の波長依存性を表2に記す。表3には、本比較例により
得られた非晶質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を
示す。
【0075】本比較例で得られた第2層の光学ギャップ
は1.9eVより大きく、本発明に於いて第2層が満た
さなければならない光学ギャップの範囲である1.6〜
1.9eVの範囲外である。そして、このときの分校感
度特性は、図3(表1のデータをグラフ化したものであ
る。)に示すように、実施例1と比較して長波長域での
分光感度特性が悪くなっている。
【0076】比較例2 実施例1と同量の高純度水素をプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は100W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、実施例1と同量のSiH2Cl2を製膜室へ導
入し、ガスプラズマと加熱基材とを接触させることによ
り、第二i型非晶質シリコン膜を膜厚が6000オング
ストロームとなるように膜形成時間を適宜調節して析出
した。基材温度は250℃、反応圧力は3mTorrに
設定した。その後、プラズマを停止せず、マイクロ波投
入電力を250Wに設定し、その他の膜形成条件は一定
として、膜厚が1000オングストロームとなるように
基層となるi型非晶質シリコン膜の析出を行なった。基
材には石英ガラスを使用した。なお、参照用試料を得る
ために基材を2枚使用し、同一条件下で2つの試料を得
た。触針法によって一方の石英基材上の膜厚を測定した
結果、6900オングストロームを得た。
【0077】実施例1と同様、本比較例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、塩素含有量、光学ギャップ、空隙率および光導電率
の波長依存性を表2に記す。表3には、本比較例により
得られた非晶質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を
示す。本比較例で得られた基層、及び第2層の光学ギャ
ップはそれぞれ1.8eV、及び1.7eVであり、本
発明の範囲からはずれている。そして、表1に示される
ように、本比較例では、短波長域での分光感度特性が悪
くなっている。
【0078】比較例3 実施例1と同量の高純度水素をプラズマ生成室に供給
し、ECRプラズマを形成した。この時、マイクロ波投
入電力は300W、磁場は875ガウスに設定した。こ
の状態で、原料ガスであるモノシラン(以下、Si
4)を20sccmの流量で製膜室へ導入し、ガスプ
ラズマと加熱基材とを接触させることにより、第二i型
非晶質シリコン膜を膜厚が6000オングストロームと
なるように膜形成時間を適宜調節して析出した。基材温
度は250℃、反応圧力は3mTorrに設定した。そ
の後、プラズマを停止せず、メタンガス(以下、C
4)を15sccmの流量でSiH4に混合して水素プ
ラズマ中に導入することにより、膜厚が1000オング
ストロームとなるように基層となるi型非晶質シリコン
カーバイト膜の析出を行なった。但し、その他の膜形成
条件はすべて一定とした。基材には石英ガラスを使用し
た。なお、参照用試料を得るために基材を2枚使用し、
同一条件下で2つの試料を得た。触針法によって一方の
石英基材上の膜厚を測定した結果、6700オングスト
ロームを得た。
【0079】本実験の結果をさらに明確にするために、
本実験とは独立に上記の第二i型非晶質シリコン層及び
基層となるi型非晶質シリコンカーバイト膜の形成条件
において、それぞれ別々に膜の析出を行なった。その結
果、第二i型非晶質シリコン層となる膜の光学ギャップ
は1.70eV、膜中空隙率は0.04体積%であった。
さらに、基層となるi型非晶質シリコンカーバイト膜の
光学ギャップは2.1eV、膜中空隙率は3体積%であ
り、いずれの膜中にも塩素は検出されなかった。
【0080】実施例1と同様、本比較例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、光学ギャップ、空隙率および光導電率の波長依存性
を表2に記す。表3には、本比較例により得られた非晶
質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を示す。
【0081】本比較例で得られた基層中の空隙率は、
3.0%であり本発明の基層が満たさなければならない
空隙率の範囲からはずれている。また、各層中に塩素は
含まれない。表3に示されるように、本比較例の非晶質
半導体素子の光安定性が悪くなっている。
【0082】比較例4 SiH4を流量5sccmで製膜室へ導入した状態にお
いて、高周波投入電力10Wで高周波ガスプラズマを形
成し、ガスプラズマと加熱基材を接触させることによ
り、膜厚が6000オングストロームとなるように膜形
成時間を適宜調節して第二i型非晶質シリコン膜を析出
した。基材温度は250℃、反応圧力は20mTorr
に設定した。第二層i型非晶質シリコン膜の析出終了
後、プラズマを停止して製膜室内を真空排気した。その
後、高純度水素、SiH4、及びCH4をそれぞれ200
sccm、2sccm、及び2sccmの流量で製膜室
へ導入し、高周波投入電力10Wで高周波ガスプラズマ
を形成し、ガスプラズマと上記の加熱基材とを接触させ
ることにより、第二i型非晶質シリコン膜上に基層とな
るi型非晶質シリコンカーバイト膜を析出した。この
時、基層となるi型非晶質シリコンカーバイト膜の膜厚
が1000オングストロームとなるようにした。基材温
度は250℃、反応圧力は500mTorrに設定し
た。基材には石英ガラスを使用した。なお、参照用試料
を得るために基材を2枚使用し、同一条件下で2つの試
料を得た。触針法によって一方の石英基材上の膜厚を測
定した結果、6800オングストロームを得た。
【0083】本実験の結果をさらに明確にするために、
本実験とは独立に上記の第二i型非晶質シリコン層及び
基層となるi型非晶質シリコンカーバイト膜の形成条件
において、それぞれ別々に膜の析出を行なった。その結
果、第二i型非晶質シリコン層となる膜の光学ギャップ
は1.70eV、膜中空隙率は0.01体積%であった。
また、基層となる非晶質シリコンカーバイト膜の光学ギ
ャップは2.0eV、膜中空隙率は2体積%であり、い
ずれの膜中にも塩素は検出されなかった。
【0084】実施例1と同様、本比較例で作製された非
晶質半導体素子に100mWcm-2の強度の白色光を照
射したときの光導電率および光導電率の波長依存性を表
1に示す。また、それぞれの単層膜で測定した光導電
率、光学ギャップ、空隙率および光導電率の波長依存性
を表2に記す。表3には、本実施例により得られた非晶
質半導体素子の耐光劣化特性の測定結果を示す。
【0085】本比較例で得られた基層中の空隙率は2.
0%であり、本発明の基層の空隙率の範囲からはずれて
いる。また、基層を含めて、各層中に塩素は含まれな
い。そして、表3に示されるように、本比較例の非晶質
半導体素子の光安定性が悪くなっている。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非晶質半導体素子を製造するための
装置の概念図である。
【図2】 分光特性測定用及び耐光劣化試験用素子の概
念図である。
【図3】 各波長における規格化した光導電率を示した
グラフである。
【符号の説明】
1・・・・製膜室 2・・・・プラズマ生成室 3・・・・基材 4・・・・マイクロ波発生装置 5・・・・電磁石 6・・・・プラズマ生成ガス供給口 7・・・・原料ガス供給口 8・・・・流量調節器 9・・・・支持台 10・・・ヒーター 11・・・真空ポンプ 12・・・圧力調節バルブ 13・・・基層 14・・・i型非晶質シリコン層 15・・・アルミニウム電極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素含有量0.1原子%〜5.0原子
    %、光学ギャップ1.9eV〜2.5eV、且つ空隙率
    5.0体積%〜15体積%の非晶質シリコンからなる基
    層に、該基層より光学ギャップが小さく、塩素含有量
    0.005原子%〜0.1原子%、光学ギャップ1.6
    eV〜1.9eV、且つ空隙率0.01体積%〜5.0
    体積%のi型非晶質シリコンからなる層が少なくとも1
    層以上積層されてなることを特徴とする非晶質半導体素
    子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009267261A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Ebatekku:Kk 薄膜製造装置、薄膜製造方法、薄膜太陽電池製造装置及び薄膜太陽電池製造方法
JP2010103506A (ja) * 2008-09-26 2010-05-06 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 光電変換装置および光電変換装置の作製方法

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