JP3407792B2 - 光電変換素子及びこの製造方法 - Google Patents
光電変換素子及びこの製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は例えば太陽電池と
して用いられる多結晶シリコン薄膜の製造方法及び光電
変換素子の製造方法及び多結晶シリコン薄膜及び光電変
換素子に関する。
して用いられる多結晶シリコン薄膜の製造方法及び光電
変換素子の製造方法及び多結晶シリコン薄膜及び光電変
換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン系薄膜太陽電池としては非晶質
シリコンを光電変換層に用いた非晶質シリコン薄膜太陽
電池が広く知られており、工業的にも時計や電卓等の比
較的小型の民生用電源として既に実用化されている。し
かしながら、化石燃料に代わる大電力用途としては現状
の非晶質シリコン薄膜太陽電池の性能及び信頼性は充分
とは言えず、より一層の性能の向上が要求されている。
その理由としては、単結晶シリコンウエハー等を使用す
る結晶シリコン系太陽電池と比較してエネルギー変換効
率が低いこと及びエネルギー変換効率が発電時間と共に
次第に低下するいわゆる光劣化現象が見られることが挙
げられる。
シリコンを光電変換層に用いた非晶質シリコン薄膜太陽
電池が広く知られており、工業的にも時計や電卓等の比
較的小型の民生用電源として既に実用化されている。し
かしながら、化石燃料に代わる大電力用途としては現状
の非晶質シリコン薄膜太陽電池の性能及び信頼性は充分
とは言えず、より一層の性能の向上が要求されている。
その理由としては、単結晶シリコンウエハー等を使用す
る結晶シリコン系太陽電池と比較してエネルギー変換効
率が低いこと及びエネルギー変換効率が発電時間と共に
次第に低下するいわゆる光劣化現象が見られることが挙
げられる。
【0003】かかるシリコン系薄膜太陽電池の性能及び
信頼性の向上を図ることを目的として、近年、光電変換
材料を非晶質シリコン薄膜から多結晶シリコン薄膜へ変
更する試みが提案されている。その理由は、多結晶シリ
コン薄膜を用いた太陽電池には前述の光劣化現象が観測
されず信頼性の高い太陽電池が得られると考えられるた
めである。また、多結晶シリコン薄膜太陽電池は非晶質
シリコン太陽電池と比較して長波長光の吸収効率が高く
なると云う性能面での特徴を有する。したがって、非晶
質シリコン薄膜太陽電池と多結晶シリコン薄膜太陽電池
を積層させた場合には、非晶質シリコン薄膜と多結晶シ
リコン薄膜の光吸収特性の違いを有効に利用することが
でき、より変換効率が高くしかも信頼性に優れたシリコ
ン系薄膜太陽電池の製造が可能となる。
信頼性の向上を図ることを目的として、近年、光電変換
材料を非晶質シリコン薄膜から多結晶シリコン薄膜へ変
更する試みが提案されている。その理由は、多結晶シリ
コン薄膜を用いた太陽電池には前述の光劣化現象が観測
されず信頼性の高い太陽電池が得られると考えられるた
めである。また、多結晶シリコン薄膜太陽電池は非晶質
シリコン太陽電池と比較して長波長光の吸収効率が高く
なると云う性能面での特徴を有する。したがって、非晶
質シリコン薄膜太陽電池と多結晶シリコン薄膜太陽電池
を積層させた場合には、非晶質シリコン薄膜と多結晶シ
リコン薄膜の光吸収特性の違いを有効に利用することが
でき、より変換効率が高くしかも信頼性に優れたシリコ
ン系薄膜太陽電池の製造が可能となる。
【0004】多結晶シリコン薄膜を実際に太陽電池の光
電変換層に応用した例としてマテリアル・リサーチ・ソ
サイアティ・シンポジウム・プローシーディング,第4
20巻3〜14頁1996年発行(On The Way Towards
High Efficiency Thin FilmSilicon Solar cells By T
he Micromorph Concept, Mateial Research SocietySym
posium Proceeding (vol.420,p.3-14(1996)))には、
非晶質シリコン太陽電池と多結晶シリコン太陽電池とを
重ねた積層型の太陽電池の試作例が報告されている。そ
の報告によれば多結晶シリコン薄膜太陽電池の変換効率
は7.7%であり,積層型太陽電池の変換効率は13.
1%であり、非晶質シリコン太陽電池と積層することに
よって変換効率が向上するという結果が確認されると共
に、多結晶シリコン薄膜太陽電池は光劣化現象が起こり
にくいことが記載されている。
電変換層に応用した例としてマテリアル・リサーチ・ソ
サイアティ・シンポジウム・プローシーディング,第4
20巻3〜14頁1996年発行(On The Way Towards
High Efficiency Thin FilmSilicon Solar cells By T
he Micromorph Concept, Mateial Research SocietySym
posium Proceeding (vol.420,p.3-14(1996)))には、
非晶質シリコン太陽電池と多結晶シリコン太陽電池とを
重ねた積層型の太陽電池の試作例が報告されている。そ
の報告によれば多結晶シリコン薄膜太陽電池の変換効率
は7.7%であり,積層型太陽電池の変換効率は13.
1%であり、非晶質シリコン太陽電池と積層することに
よって変換効率が向上するという結果が確認されると共
に、多結晶シリコン薄膜太陽電池は光劣化現象が起こり
にくいことが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の多結晶シリコン
薄膜太陽電池用材料として用いられる多結晶シリコン薄
膜を製造する技術としてはケミカル・ベーパー・デポジ
ション(CHEMICAL・VAPOR・DEPOSITION:以下CVDと言う)
法が一般的に用いられており、その中でも高周波プラズ
マCVD法が好適に使用されている。
薄膜太陽電池用材料として用いられる多結晶シリコン薄
膜を製造する技術としてはケミカル・ベーパー・デポジ
ション(CHEMICAL・VAPOR・DEPOSITION:以下CVDと言う)
法が一般的に用いられており、その中でも高周波プラズ
マCVD法が好適に使用されている。
【0006】係る多結晶シリコン薄膜の具体的な製造方
法としては、特開平5−90158号公報に、特定のガ
スから得られた荷電粒子を含んだ雰囲気下において、シ
リコン系薄膜形成材料の供給と停止とを繰り返し行うこ
とにより多結晶シリコン薄膜を製造する方法が開示され
ている。この特開平5−90158号公報の記載によれ
ば、かかる製造方法は1回の繰り返し工程で得られる膜
厚を1から100オングストロームとした場合に有効で
あるとされる。
法としては、特開平5−90158号公報に、特定のガ
スから得られた荷電粒子を含んだ雰囲気下において、シ
リコン系薄膜形成材料の供給と停止とを繰り返し行うこ
とにより多結晶シリコン薄膜を製造する方法が開示され
ている。この特開平5−90158号公報の記載によれ
ば、かかる製造方法は1回の繰り返し工程で得られる膜
厚を1から100オングストロームとした場合に有効で
あるとされる。
【0007】この特開平5−90158号公報に記載さ
れた多結晶シリコン薄膜の製造方法によれば膜厚が30
0オングストローム以下の薄いものであっても優れた結
晶性を示す多結晶シリコン薄膜が得られる。この方法に
よる場合、多結晶シリコン薄膜の堆積速度は1オングス
トローム毎秒程度であり、成膜工程と改質工程とを繰り
返し行う製造プロセスが必要となる。
れた多結晶シリコン薄膜の製造方法によれば膜厚が30
0オングストローム以下の薄いものであっても優れた結
晶性を示す多結晶シリコン薄膜が得られる。この方法に
よる場合、多結晶シリコン薄膜の堆積速度は1オングス
トローム毎秒程度であり、成膜工程と改質工程とを繰り
返し行う製造プロセスが必要となる。
【0008】一方、特公平4−137725号公報によ
れば、成膜性のシリコン原子供給ガスとしてSiF4,
Si2F6,SiCl4のうちの少なくとも1種類を、水
素原子供給ガスと共に適当な割合で混合した条件下にお
いてプラズマCVD法を行うことにより多結晶シリコン
薄膜が得られることが示されている。この開示技術によ
って製造される多結晶シリコン薄膜は結晶学的に(10
0)方向に強く配向しており、最大で5ミクロンまでの
結晶粒の成長が確認されている。この開示技術による場
合、多結晶シリコン薄膜の堆積速度は0.3オングスト
ローム毎秒程度である。
れば、成膜性のシリコン原子供給ガスとしてSiF4,
Si2F6,SiCl4のうちの少なくとも1種類を、水
素原子供給ガスと共に適当な割合で混合した条件下にお
いてプラズマCVD法を行うことにより多結晶シリコン
薄膜が得られることが示されている。この開示技術によ
って製造される多結晶シリコン薄膜は結晶学的に(10
0)方向に強く配向しており、最大で5ミクロンまでの
結晶粒の成長が確認されている。この開示技術による場
合、多結晶シリコン薄膜の堆積速度は0.3オングスト
ローム毎秒程度である。
【0009】また前述のマテリアル・リサーチ・ソサイ
アティ・シンポジウム・プローシーディング,第420
巻3〜14頁1996年発行(vol.420,p.3-14(1996))
には超短波(Very High Frequency:以下VHFと言
う)CVD法によりSiH4及びH2の混合ガスから多結
晶シリコン薄膜を堆積した例が記載されている。
アティ・シンポジウム・プローシーディング,第420
巻3〜14頁1996年発行(vol.420,p.3-14(1996))
には超短波(Very High Frequency:以下VHFと言
う)CVD法によりSiH4及びH2の混合ガスから多結
晶シリコン薄膜を堆積した例が記載されている。
【0010】しかし、以上何れの従来例についても多結
晶シリコン薄膜太陽電池の光電変換層に必要な少なくと
も約3ミクロン程度の厚い膜を得る場合においては多大
な製造時間が必要となってしまうため工業的な生産にお
いては実用的な方法ではないという問題があった。また
多結晶シリコン薄膜太陽電池の光電変換効率に関しても
より一層の改善が必要とされていた。
晶シリコン薄膜太陽電池の光電変換層に必要な少なくと
も約3ミクロン程度の厚い膜を得る場合においては多大
な製造時間が必要となってしまうため工業的な生産にお
いては実用的な方法ではないという問題があった。また
多結晶シリコン薄膜太陽電池の光電変換効率に関しても
より一層の改善が必要とされていた。
【0011】本発明は以上の従来技術における問題に鑑
み、優れた結晶性及び電気特性を有する多結晶シリコン
薄膜を高速度で製造することが可能な多結晶シリコン薄
膜の製造方法及びシリコン系薄膜太陽電池を高性能化及
び高信頼性化することができる光電変換素子の製造方法
及びこの多結晶シリコン薄膜の製造方法及び光電変換素
子の製造方法によって得られ、結晶欠陥が少なく高性能
であり信頼性の高い多結晶シリコン薄膜及び光電変換素
子を提供することを目的とする。
み、優れた結晶性及び電気特性を有する多結晶シリコン
薄膜を高速度で製造することが可能な多結晶シリコン薄
膜の製造方法及びシリコン系薄膜太陽電池を高性能化及
び高信頼性化することができる光電変換素子の製造方法
及びこの多結晶シリコン薄膜の製造方法及び光電変換素
子の製造方法によって得られ、結晶欠陥が少なく高性能
であり信頼性の高い多結晶シリコン薄膜及び光電変換素
子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の光電変換素子の製造方法は、基材上にp層
(又はn層)、i層及びn層(又はp層)がこの順で積
層されてなる光電変換素子の製造方法であって、下記
(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする。 (1) 水素化シランと周期律表第III族元素化合物
(又は周期律表第V族元素化合物)との混合ガスをプラ
ズマ化し、基材に接触させることにより基材上に周期律
表第III族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多結晶
シリコンを析出させて厚さが約10〜150オングスト
ロームのp層(又はn層)を形成する工程 (2) 少なくともハロゲン化シランを含むガスをプ
ラズマ化し、p層(又はn層)と接触させることにより
p層(又はn層)上に多結晶シリコンを析出させてi層
を形成する工程 (3) 少なくとも水素化シラン又はハロゲン化シラ
ンのいずれか一方のシラン及び周期律表第V族元素化合
物(又は周期律表第III族元素化合物)の混合ガスをプ
ラズマ化し、工程(2)で形成したi層と接触させるこ
とによりi層上に周期律表第V族元素(又は周期律表第I
II族元素)を含む多結晶シリコンを析出させてn層(又
はp層)を形成する工程。
め、本発明の光電変換素子の製造方法は、基材上にp層
(又はn層)、i層及びn層(又はp層)がこの順で積
層されてなる光電変換素子の製造方法であって、下記
(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする。 (1) 水素化シランと周期律表第III族元素化合物
(又は周期律表第V族元素化合物)との混合ガスをプラ
ズマ化し、基材に接触させることにより基材上に周期律
表第III族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多結晶
シリコンを析出させて厚さが約10〜150オングスト
ロームのp層(又はn層)を形成する工程 (2) 少なくともハロゲン化シランを含むガスをプ
ラズマ化し、p層(又はn層)と接触させることにより
p層(又はn層)上に多結晶シリコンを析出させてi層
を形成する工程 (3) 少なくとも水素化シラン又はハロゲン化シラ
ンのいずれか一方のシラン及び周期律表第V族元素化合
物(又は周期律表第III族元素化合物)の混合ガスをプ
ラズマ化し、工程(2)で形成したi層と接触させるこ
とによりi層上に周期律表第V族元素(又は周期律表第I
II族元素)を含む多結晶シリコンを析出させてn層(又
はp層)を形成する工程。
【0013】また、本発明の光電変換素子の製造方法
は、p層(又はn層)を形成する工程が、水素化シラン
と周期律表第III族元素化合物(又は周期律表第V族元素
化合物)との混合ガスをプラズマ化し、基材に接触させ
ることにより基材上に周期律表第III族元素(又は周期
律表第V族元素)を含む多結晶シリコンを析出させてp
層1(又はn層1)を形成し、次いで少なくともハロゲ
ン化シラン及び周期律表第III族元素化合物(又は周期
律表第V族元素化合物)の混合ガスをプラズマ化し、p
層1(又はn層1)と接触させることによりp層1(又
はn層1)上に周期律表第III族元素(又は周期律表第V
族元素)を含むp層2(又はn層2)を形成し、p層1
及びp層2(又はn層1又はn層2)からなる厚さが約
10〜150オングストロームのp層(又はn層)を形
成する工程である。
は、p層(又はn層)を形成する工程が、水素化シラン
と周期律表第III族元素化合物(又は周期律表第V族元素
化合物)との混合ガスをプラズマ化し、基材に接触させ
ることにより基材上に周期律表第III族元素(又は周期
律表第V族元素)を含む多結晶シリコンを析出させてp
層1(又はn層1)を形成し、次いで少なくともハロゲ
ン化シラン及び周期律表第III族元素化合物(又は周期
律表第V族元素化合物)の混合ガスをプラズマ化し、p
層1(又はn層1)と接触させることによりp層1(又
はn層1)上に周期律表第III族元素(又は周期律表第V
族元素)を含むp層2(又はn層2)を形成し、p層1
及びp層2(又はn層1又はn層2)からなる厚さが約
10〜150オングストロームのp層(又はn層)を形
成する工程である。
【0014】さらに、本発明の光電変換素子の製造方法
は、工程(1)及び工程(2),工程(3)において、
又はp層1(又はn層1)を形成する工程及びp層1
(又はn層1)以外の層を形成する工程において、それ
ぞれの工程で用いられる全シランの総供給量に対するそ
れぞれの工程で形成される多結晶シリコン量(以下「利
用率」とする。)を管理して行う。
は、工程(1)及び工程(2),工程(3)において、
又はp層1(又はn層1)を形成する工程及びp層1
(又はn層1)以外の層を形成する工程において、それ
ぞれの工程で用いられる全シランの総供給量に対するそ
れぞれの工程で形成される多結晶シリコン量(以下「利
用率」とする。)を管理して行う。
【0015】さらにまた、本発明の光電変換素子の製造
方法は、工程(1)又はp層1(又はn層1)を形成す
る工程の利用率を0.5〜10%とし、工程(2),工
程(3)又はp層1(又はn層1)以外の層を形成する
工程の利用率を10%〜80%とする。
方法は、工程(1)又はp層1(又はn層1)を形成す
る工程の利用率を0.5〜10%とし、工程(2),工
程(3)又はp層1(又はn層1)以外の層を形成する
工程の利用率を10%〜80%とする。
【0016】また、本発明の光電変換素子は、水素化シ
ランと周期律表第III族元素化合物(又は周期律表第V族
元素化合物)との混合ガスをプラズマ化し、基材に接触
させることにより基材上に周期律表第III族元素(又は
周期律表第V族元素)を含む多結晶シリコンを析出させ
て得られる厚さが約10〜150オングストロームのp
層(又はn層)と、少なくともハロゲン化シランを含む
ガスをプラズマ化し、前記p層(又はn層)と接触させ
て形成されたi層と、少なくとも水素化シラン又はハロ
ゲン化シランのいずれか一方のシラン及び周期律表第V
族元素化合物(又は周期律表第III族元素化合物)の混
合ガスをプラズマ化し、前記i層と接触させることによ
りi層上に周期律表第V族元素(又は周期律表第III族元
素)を含む多結晶シリコンを析出させて形成されたn層
(又はp層)とよりなる光電変換素子であって、波長4
00nmにおける量子効率が0.7以上であり、且つ初
期の変換効率に対する20000分光照射後の変換効率
の比が約0.95以上であることを特徴とする。
ランと周期律表第III族元素化合物(又は周期律表第V族
元素化合物)との混合ガスをプラズマ化し、基材に接触
させることにより基材上に周期律表第III族元素(又は
周期律表第V族元素)を含む多結晶シリコンを析出させ
て得られる厚さが約10〜150オングストロームのp
層(又はn層)と、少なくともハロゲン化シランを含む
ガスをプラズマ化し、前記p層(又はn層)と接触させ
て形成されたi層と、少なくとも水素化シラン又はハロ
ゲン化シランのいずれか一方のシラン及び周期律表第V
族元素化合物(又は周期律表第III族元素化合物)の混
合ガスをプラズマ化し、前記i層と接触させることによ
りi層上に周期律表第V族元素(又は周期律表第III族元
素)を含む多結晶シリコンを析出させて形成されたn層
(又はp層)とよりなる光電変換素子であって、波長4
00nmにおける量子効率が0.7以上であり、且つ初
期の変換効率に対する20000分光照射後の変換効率
の比が約0.95以上であることを特徴とする。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
A.本出願第1の発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法
本出願第1の発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法にお
ける多結晶シリコン薄膜の析出は、結晶核形成のための
第一の工程と結晶成長のための第二の工程との2段階に
より実施される。詳しくは、第一の工程において加熱し
た水素化シランガスをプラズマ化し、基材と接触させる
ことにより基材上に多結晶シリコンの結晶核、即ち基層
を形成する。その後、第二の工程において、少なくとも
ハロゲン化シランを含有するガスをプラズマ化し、基層
上に優れた結晶性及び電気特性を有する多結晶シリコン
薄膜を高速度で析出するものである。
ける多結晶シリコン薄膜の析出は、結晶核形成のための
第一の工程と結晶成長のための第二の工程との2段階に
より実施される。詳しくは、第一の工程において加熱し
た水素化シランガスをプラズマ化し、基材と接触させる
ことにより基材上に多結晶シリコンの結晶核、即ち基層
を形成する。その後、第二の工程において、少なくとも
ハロゲン化シランを含有するガスをプラズマ化し、基層
上に優れた結晶性及び電気特性を有する多結晶シリコン
薄膜を高速度で析出するものである。
【0021】(1)第一の工程において析出する基層の
厚み 第一の工程で形成される多結晶シリコン基層の厚さは、
その多結晶シリコン基層の結晶性により第二の工程で析
出する多結晶シリコン薄膜の結晶性が規定される最低厚
さ以上とすることが本発明では必須となる。これにより
第一の工程で形成された良好な結晶性を有する多結晶シ
リコン基層によって第二の工程で形成される多結晶シリ
コン薄膜の結晶性が良好に維持されることが補償され、
高速成膜が可能となると共に、光導電率等の電気特性が
良好な多結晶シリコン薄膜が形成される。基層の厚みが
第二の工程で析出する多結晶シリコン薄膜の結晶性が規
定される厚さ未満である場合には、第二の工程で基層上
に高速度で堆積する多結晶シリコン薄膜の結晶性に乱れ
が生じ、最終的に得られる多結晶シリコン薄膜の光導電
率等の電気特性が悪化する。
厚み 第一の工程で形成される多結晶シリコン基層の厚さは、
その多結晶シリコン基層の結晶性により第二の工程で析
出する多結晶シリコン薄膜の結晶性が規定される最低厚
さ以上とすることが本発明では必須となる。これにより
第一の工程で形成された良好な結晶性を有する多結晶シ
リコン基層によって第二の工程で形成される多結晶シリ
コン薄膜の結晶性が良好に維持されることが補償され、
高速成膜が可能となると共に、光導電率等の電気特性が
良好な多結晶シリコン薄膜が形成される。基層の厚みが
第二の工程で析出する多結晶シリコン薄膜の結晶性が規
定される厚さ未満である場合には、第二の工程で基層上
に高速度で堆積する多結晶シリコン薄膜の結晶性に乱れ
が生じ、最終的に得られる多結晶シリコン薄膜の光導電
率等の電気特性が悪化する。
【0022】係る観点から第一の工程において析出する
基層の厚みを更に具体的に規定すれば、基層の厚みは約
10オングストローム以上150オングストローム以下
とすることが好ましい。基層の厚みを20オングストロ
ーム以上100オングストローム以下とすることが本発
明の効果を一層発揮するためにはさらに好ましい。基層
の厚みが約10オングストローム未満であると基層上に
高速度で堆積する多結晶シリコン薄膜の結晶性に乱れが
生じ、多結晶シリコン薄膜の光導電率等の電気特性が悪
化する。基層の厚みが150オングストロームを超えた
場合においては、結晶性等の構造、或いは光導電率等の
電気特性の劣化は観測されないものの、析出のために多
大な時間を要することになり、本発明が解決しようとす
る技術課題をみたすものにはならない。
基層の厚みを更に具体的に規定すれば、基層の厚みは約
10オングストローム以上150オングストローム以下
とすることが好ましい。基層の厚みを20オングストロ
ーム以上100オングストローム以下とすることが本発
明の効果を一層発揮するためにはさらに好ましい。基層
の厚みが約10オングストローム未満であると基層上に
高速度で堆積する多結晶シリコン薄膜の結晶性に乱れが
生じ、多結晶シリコン薄膜の光導電率等の電気特性が悪
化する。基層の厚みが150オングストロームを超えた
場合においては、結晶性等の構造、或いは光導電率等の
電気特性の劣化は観測されないものの、析出のために多
大な時間を要することになり、本発明が解決しようとす
る技術課題をみたすものにはならない。
【0023】(2)第一の工程における基材表面温度
本発明の第一の工程においては、水素化シランガスをプ
ラズマ化して基材に接触させるにあたり、基材を加熱す
る様にすることにより膜形成時の表面反応が活性化され
て第一の工程により得られる基層の結晶性を良好にする
と共に成膜効率を向上させ、第二の工程で基層上に高速
度で堆積する多結晶シリコン薄膜の結晶性を良好にする
ことを補償して、最終的に得られる多結晶シリコン薄膜
の成膜効率を向上させると共に光導電率等の電気特性を
良好にすることができる。更に具体的には第一の工程に
おける基材表面温度は100℃以上350℃以下、好ま
しくは150℃以上300℃以下の温度に設定すること
が好ましい。基材表面温度が100℃より低い場合は第
一の工程により得られる基層の結晶性が悪くなり光導電
率等の電気特性が悪化する。また、基材温度が350℃
より高い場合においても第一の工程により得られる基層
の結晶性が悪くなり光導電率等の電気特性が低下する。
ラズマ化して基材に接触させるにあたり、基材を加熱す
る様にすることにより膜形成時の表面反応が活性化され
て第一の工程により得られる基層の結晶性を良好にする
と共に成膜効率を向上させ、第二の工程で基層上に高速
度で堆積する多結晶シリコン薄膜の結晶性を良好にする
ことを補償して、最終的に得られる多結晶シリコン薄膜
の成膜効率を向上させると共に光導電率等の電気特性を
良好にすることができる。更に具体的には第一の工程に
おける基材表面温度は100℃以上350℃以下、好ま
しくは150℃以上300℃以下の温度に設定すること
が好ましい。基材表面温度が100℃より低い場合は第
一の工程により得られる基層の結晶性が悪くなり光導電
率等の電気特性が悪化する。また、基材温度が350℃
より高い場合においても第一の工程により得られる基層
の結晶性が悪くなり光導電率等の電気特性が低下する。
【0024】(3)第二の工程における基層表面温度
本願第一の発明において、第二の工程においてプラズマ
化されたハロゲン化シランガスを第一の工程で形成した
多結晶シリコン基層と接触させて第一の工程で形成した
多結晶シリコン基層上に多結晶シリコンを析出させるに
あたり、第一の工程で形成した多結晶シリコン基層を加
熱する様にするのがよい。それにより第二の工程で基層
上に多結晶シリコン薄膜を高速度で堆積させることが可
能となりしかも得られる多結晶シリコン薄膜の結晶性を
良好にして、最終的に得られる多結晶シリコン薄膜の光
導電率等の電気特性を良好にすることができる。
化されたハロゲン化シランガスを第一の工程で形成した
多結晶シリコン基層と接触させて第一の工程で形成した
多結晶シリコン基層上に多結晶シリコンを析出させるに
あたり、第一の工程で形成した多結晶シリコン基層を加
熱する様にするのがよい。それにより第二の工程で基層
上に多結晶シリコン薄膜を高速度で堆積させることが可
能となりしかも得られる多結晶シリコン薄膜の結晶性を
良好にして、最終的に得られる多結晶シリコン薄膜の光
導電率等の電気特性を良好にすることができる。
【0025】係る観点から、第二の工程における基層表
面温度は200℃以上600℃以下、さらに好ましくは
250℃以上400℃以下、さらに、第一工程での基材
加熱温度との温度差が30℃以上高く、450℃以下と
なる温度範囲に設定することが重要である。第二の工程
における基層表面温度が200℃より低い場合は、結晶
性が低下すると共に光導電率等の電気特性も悪くなり、
本発明の効果を十分に発揮することができない。600
℃を超える場合においては、基層表面近傍において原料
ガスを熱分解することにより、結果として結晶性の低下
が観測される。また第二の工程における基層表面温度と
第一工程での基材加熱温度との温度差が30℃以上でな
い場合には、基層表面での反応が効率よく行われず、多
結晶シリコンを高速で析出することはできない。また、
温度差が450℃以上である場合には、結晶性に乱れが
生じるため電気的性質が低下する。
面温度は200℃以上600℃以下、さらに好ましくは
250℃以上400℃以下、さらに、第一工程での基材
加熱温度との温度差が30℃以上高く、450℃以下と
なる温度範囲に設定することが重要である。第二の工程
における基層表面温度が200℃より低い場合は、結晶
性が低下すると共に光導電率等の電気特性も悪くなり、
本発明の効果を十分に発揮することができない。600
℃を超える場合においては、基層表面近傍において原料
ガスを熱分解することにより、結果として結晶性の低下
が観測される。また第二の工程における基層表面温度と
第一工程での基材加熱温度との温度差が30℃以上でな
い場合には、基層表面での反応が効率よく行われず、多
結晶シリコンを高速で析出することはできない。また、
温度差が450℃以上である場合には、結晶性に乱れが
生じるため電気的性質が低下する。
【0026】(4)基層となる多結晶シリコン薄膜の原
料 本発明において、基層となる多結晶シリコン薄膜の原料
として使用される水素化シランは、一般式SinH
(2n+2)(但し、nは1以上の自然数である。)で示され
る化合物であって、ガス化可能なものであれば特に限定
されない。好適に使用できる水素化シランを例示すれ
ば、SiH4(モノシラン)、Si2H6(ジシラン)、
Si3H8(トリシラン)等が挙げられる。第一の工程に
おいて、かかる水素化シランはハロゲン化シラン等の他
のシラン化合物のガスと混合して使用することもできる
が、このとき水素化シランはプラズマ化される全シラン
に対して50モル%以上の割合であることが必要であ
る。水素化シラン割合が50モル%未満であると、得ら
れた薄膜の構造は多結晶ではなく、アモルファス構造と
なってしまい、第二の工程を施した後も構造は依然とし
てアモルファスとなり本発明の効果は得られない。
料 本発明において、基層となる多結晶シリコン薄膜の原料
として使用される水素化シランは、一般式SinH
(2n+2)(但し、nは1以上の自然数である。)で示され
る化合物であって、ガス化可能なものであれば特に限定
されない。好適に使用できる水素化シランを例示すれ
ば、SiH4(モノシラン)、Si2H6(ジシラン)、
Si3H8(トリシラン)等が挙げられる。第一の工程に
おいて、かかる水素化シランはハロゲン化シラン等の他
のシラン化合物のガスと混合して使用することもできる
が、このとき水素化シランはプラズマ化される全シラン
に対して50モル%以上の割合であることが必要であ
る。水素化シラン割合が50モル%未満であると、得ら
れた薄膜の構造は多結晶ではなく、アモルファス構造と
なってしまい、第二の工程を施した後も構造は依然とし
てアモルファスとなり本発明の効果は得られない。
【0027】(5)水素化シランガスを予め加熱する温
度範囲 さらに、本発明において、第一の工程において水素化シ
ランガスを予め加熱することにより熱エネルギーが水素
化シラン分子に供給され、基板への付着後により安定な
構造が構築されるようにすることができる。その場合、
水素化シランガスを予め加熱する温度範囲は400℃以
上600℃以下とするのが好適である。さらに好ましく
は450℃以上550℃以下である。水素化シランガス
を上記温度範囲に予め加熱することにより、熱エネルギ
ーが水素化シラン分子に効率よく供給され、基板への付
着後により安定な構造が構築され、結晶性の良好な多結
晶シリコン基層を形成することができるからである。な
お、第二の工程において少なくともハロゲン化シランを
含有するガスを予熱することにより成膜効率を向上して
生産性を挙げることができる。しかし、得られる多結晶
シリコン薄膜の結晶性という観点からは、少なくともハ
ロゲン化シランを含有するガスの予熱は必須ではなく、
ガスの温度は15(常温程度)〜550℃の範囲であれ
ばよい。これは、第一の工程で既に結晶性の良好な多結
晶シリコン基層が形成されており、特にガスを予熱する
必要がないためである。
度範囲 さらに、本発明において、第一の工程において水素化シ
ランガスを予め加熱することにより熱エネルギーが水素
化シラン分子に供給され、基板への付着後により安定な
構造が構築されるようにすることができる。その場合、
水素化シランガスを予め加熱する温度範囲は400℃以
上600℃以下とするのが好適である。さらに好ましく
は450℃以上550℃以下である。水素化シランガス
を上記温度範囲に予め加熱することにより、熱エネルギ
ーが水素化シラン分子に効率よく供給され、基板への付
着後により安定な構造が構築され、結晶性の良好な多結
晶シリコン基層を形成することができるからである。な
お、第二の工程において少なくともハロゲン化シランを
含有するガスを予熱することにより成膜効率を向上して
生産性を挙げることができる。しかし、得られる多結晶
シリコン薄膜の結晶性という観点からは、少なくともハ
ロゲン化シランを含有するガスの予熱は必須ではなく、
ガスの温度は15(常温程度)〜550℃の範囲であれ
ばよい。これは、第一の工程で既に結晶性の良好な多結
晶シリコン基層が形成されており、特にガスを予熱する
必要がないためである。
【0028】また、シランガスは水素、ヘリウム、アル
ゴン、キセノン等多結晶シリコン薄膜の析出に関与しな
い非堆積性のガスと混合して供給することも可能であ
る。上記希釈ガスの中でも水素を用いると本発明の効果
が著しく発揮される。具体的には、標準状態におけるモ
ノシランの流量の5倍から100倍程度の水素を供給し
た場合に良好な結晶核が形成される。この理由に関して
は詳細な研究がなされてはいるものの明確な理由につい
ては現在示されていない。
ゴン、キセノン等多結晶シリコン薄膜の析出に関与しな
い非堆積性のガスと混合して供給することも可能であ
る。上記希釈ガスの中でも水素を用いると本発明の効果
が著しく発揮される。具体的には、標準状態におけるモ
ノシランの流量の5倍から100倍程度の水素を供給し
た場合に良好な結晶核が形成される。この理由に関して
は詳細な研究がなされてはいるものの明確な理由につい
ては現在示されていない。
【0029】(6)第二の工程における多結晶シリコン
薄膜の原料 第二の工程における多結晶シリコン薄膜の原料として使
用するハロゲン化シランは、分子中に少なくとも1つの
ハロゲン原子を有するガス化可能なシラン化合物であれ
ば特に限定されない。好適なハロゲン化シランとして
は、SiHmX(4- m)(但し、mは0〜3の整数であり、
Xはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である。)で示
される化合物が挙げられる。このようなハロゲン化シラ
ンを具体的に例示すればSiF4(テトラフロロシラ
ン),SiF3H(トリフロロシラン),SiF2H
2(ジフロロシラン),SiFH3(モノフロロシラ
ン),SiCl4(テトラクロロシラン),SiCl3H
(トリクロロシラン),SiCl2H2(ジクロロシラ
ン),SiClH3(モノクロロシラン)等が挙げられ
る。
薄膜の原料 第二の工程における多結晶シリコン薄膜の原料として使
用するハロゲン化シランは、分子中に少なくとも1つの
ハロゲン原子を有するガス化可能なシラン化合物であれ
ば特に限定されない。好適なハロゲン化シランとして
は、SiHmX(4- m)(但し、mは0〜3の整数であり、
Xはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である。)で示
される化合物が挙げられる。このようなハロゲン化シラ
ンを具体的に例示すればSiF4(テトラフロロシラ
ン),SiF3H(トリフロロシラン),SiF2H
2(ジフロロシラン),SiFH3(モノフロロシラ
ン),SiCl4(テトラクロロシラン),SiCl3H
(トリクロロシラン),SiCl2H2(ジクロロシラ
ン),SiClH3(モノクロロシラン)等が挙げられ
る。
【0030】第二の工程においては、かかるハロゲン化
シランを用いることが優れた結晶性及び高い光導電率を
有した多結晶シリコン膜を高速析出するために重要であ
る。第二の工程においてはこの様なハロゲン化シランを
少なくとも含有するガスをプラズマ化して使用すればよ
く、ハロゲン化シランを前記の水素化シラン等の他のシ
ラン化合物のガスと混合して使用することもできる。こ
のとき、得られる多結晶シリコン薄膜の性質の観点から
プラズマ化される全シランに対するハロゲン化シランの
割合は50モル%以上であることが好ましい。特に、前
記の水素化シランと併用したときには優れた結晶性及び
高い光導電率を有した多結晶シリコン薄膜を更に高速度
で析出することができる。
シランを用いることが優れた結晶性及び高い光導電率を
有した多結晶シリコン膜を高速析出するために重要であ
る。第二の工程においてはこの様なハロゲン化シランを
少なくとも含有するガスをプラズマ化して使用すればよ
く、ハロゲン化シランを前記の水素化シラン等の他のシ
ラン化合物のガスと混合して使用することもできる。こ
のとき、得られる多結晶シリコン薄膜の性質の観点から
プラズマ化される全シランに対するハロゲン化シランの
割合は50モル%以上であることが好ましい。特に、前
記の水素化シランと併用したときには優れた結晶性及び
高い光導電率を有した多結晶シリコン薄膜を更に高速度
で析出することができる。
【0031】なお、第二の工程では原料としてハロゲン
化シランを使用しているので、この工程で形成される多
結晶シリコン膜にはハロゲン原子を含ませることができ
る。このことにより多結晶シリコン薄膜の光透過率を高
めることができる。例えば多結晶シリコン薄膜太陽電池
において、p層の一部をこの工程で得られるような光透
過率の高い多結晶シリコン薄膜とすることにより変換効
率が高くなることが期待される。この工程で形成される
多結晶シリコン薄膜中のハロゲン原子の量は約0.00
5〜5原子%まで制御することができるが、透過率の観
点から好適なハロゲン原子含有量は約0.01〜3原子
%、特に約0.1〜1原子%であることが好ましい。ま
た、ハロゲン原子は塩素原子であることが好ましい。
化シランを使用しているので、この工程で形成される多
結晶シリコン膜にはハロゲン原子を含ませることができ
る。このことにより多結晶シリコン薄膜の光透過率を高
めることができる。例えば多結晶シリコン薄膜太陽電池
において、p層の一部をこの工程で得られるような光透
過率の高い多結晶シリコン薄膜とすることにより変換効
率が高くなることが期待される。この工程で形成される
多結晶シリコン薄膜中のハロゲン原子の量は約0.00
5〜5原子%まで制御することができるが、透過率の観
点から好適なハロゲン原子含有量は約0.01〜3原子
%、特に約0.1〜1原子%であることが好ましい。ま
た、ハロゲン原子は塩素原子であることが好ましい。
【0032】上記シランガスは単独で供給しても水素、
ヘリウム、アルゴン、キセノン等多結晶シリコン薄膜の
析出に関与しない非堆積性のガスで希釈して供給するこ
とも可能である。これら希釈ガスの中でも水素を用いる
と本発明の効果が著しく発揮される。
ヘリウム、アルゴン、キセノン等多結晶シリコン薄膜の
析出に関与しない非堆積性のガスで希釈して供給するこ
とも可能である。これら希釈ガスの中でも水素を用いる
と本発明の効果が著しく発揮される。
【0033】(7)多結晶シリコン薄膜析出時の反応圧
力 さらに、本発明における多結晶シリコン薄膜析出時の反
応圧力としては、第一の工程において1mTorr以
上、500mTorr以下、第二の工程において5mT
orr以上、1000mTorr以下とするのが好まし
く、さらには第二工程の反応圧力は第一工程の反応圧力
より3〜800mTorr高く設定することにより好適
な結果が得られる。
力 さらに、本発明における多結晶シリコン薄膜析出時の反
応圧力としては、第一の工程において1mTorr以
上、500mTorr以下、第二の工程において5mT
orr以上、1000mTorr以下とするのが好まし
く、さらには第二工程の反応圧力は第一工程の反応圧力
より3〜800mTorr高く設定することにより好適
な結果が得られる。
【0034】第一工程での反応圧力が1mTorr未満
であると安定したプラズマが形成できないため製造面で
問題となる。一方、500mTorrを超えた場合にお
いては原料ガスの凝集が起こるためプラズマ中でパウダ
ーが発生し、膜中に点欠陥を発生させ製造歩留を低下さ
せる。
であると安定したプラズマが形成できないため製造面で
問題となる。一方、500mTorrを超えた場合にお
いては原料ガスの凝集が起こるためプラズマ中でパウダ
ーが発生し、膜中に点欠陥を発生させ製造歩留を低下さ
せる。
【0035】第二工程での反応圧力が5mTorr未満
であると多結晶シリコン薄膜の析出速度が低下するため
本発明の効果を発揮することができない。また、100
0mTorrを超えた場合においてはプラズマを安定し
て形成することが難しくなるため製造面で問題となる。
であると多結晶シリコン薄膜の析出速度が低下するため
本発明の効果を発揮することができない。また、100
0mTorrを超えた場合においてはプラズマを安定し
て形成することが難しくなるため製造面で問題となる。
【0036】第二工程の反応圧力が第一工程の反応圧力
より3mTorr以上高くない場合には多結晶シリコン
薄膜の析出速度を速くすることが難しい。また、第二工
程の反応圧力が第一工程の反応圧力より800mTor
rを超えて高い場合には、結晶性に乱れが生じる傾向が
ある。
より3mTorr以上高くない場合には多結晶シリコン
薄膜の析出速度を速くすることが難しい。また、第二工
程の反応圧力が第一工程の反応圧力より800mTor
rを超えて高い場合には、結晶性に乱れが生じる傾向が
ある。
【0037】(8)原料ガスの加熱を行なう方法
第一の工程及び必要に応じて第二の工程において原料ガ
スの加熱を行なう方法には公知の手段を特に制限なく適
用することができる。すなわちガス配管を直接ヒーター
によって加熱する方法、ガス配管を高周波誘導加熱によ
り加熱する方法、予備室を設けて予めガスをヒーター、
赤外線ランプ等により予備加熱しておく方法等が特に制
限なく好適に採用される。
スの加熱を行なう方法には公知の手段を特に制限なく適
用することができる。すなわちガス配管を直接ヒーター
によって加熱する方法、ガス配管を高周波誘導加熱によ
り加熱する方法、予備室を設けて予めガスをヒーター、
赤外線ランプ等により予備加熱しておく方法等が特に制
限なく好適に採用される。
【0038】(9)温度の測定及び調節
第一の工程において予め加熱する水素化シランガスの温
度は正確には測定困難であるため現状においてはガス配
管の温度をもってガス温度とし、かかるガス配管はガス
温度が均一になるように十分な長さに設定される。ま
た、本発明者等は水素化シランガスの加熱を反応容器内
のヒーター(例えば図1の6a)で行う場合には、得ら
れた多結晶シリコン膜の物性と上記のようにして加熱し
た水素化シランガスの加熱温度との相関関係に基づいて
前記ヒータの設定温度をもってガス温度とすることがで
きることを確認している。なお、第二の工程においてガ
スの加熱を行う場合のガス温度の調節も同様にして行う
ことができる。
度は正確には測定困難であるため現状においてはガス配
管の温度をもってガス温度とし、かかるガス配管はガス
温度が均一になるように十分な長さに設定される。ま
た、本発明者等は水素化シランガスの加熱を反応容器内
のヒーター(例えば図1の6a)で行う場合には、得ら
れた多結晶シリコン膜の物性と上記のようにして加熱し
た水素化シランガスの加熱温度との相関関係に基づいて
前記ヒータの設定温度をもってガス温度とすることがで
きることを確認している。なお、第二の工程においてガ
スの加熱を行う場合のガス温度の調節も同様にして行う
ことができる。
【0039】(10)利用率の管理
本発明においては、第一の工程及び第二の工程を、それ
ぞれの工程で用いられる全シランの総供給量に対するそ
れぞれの工程で形成される多結晶シリコン量で定義され
る「利用率」を制御して行うことにより、欠陥の極めて
少ない多結晶シリコン薄膜を効率よく製造することがで
きる。ここで、利用率は次式により計算される。
ぞれの工程で用いられる全シランの総供給量に対するそ
れぞれの工程で形成される多結晶シリコン量で定義され
る「利用率」を制御して行うことにより、欠陥の極めて
少ない多結晶シリコン薄膜を効率よく製造することがで
きる。ここで、利用率は次式により計算される。
【0040】
【数1】
【0041】上記式中、各工程で使用する全シランとは
Si原子供給源となる全てのシランを意味し、第一の工
程においては水素化シランの他これと併用することので
きるハロゲン化シラン等の他のシランを全て含めたもの
であり、第二の工程においてはハロゲン化シランの他こ
れと併用することのできる水素化シラン等の他のシラン
を全て含むものである。そして、上式において、この
「全シランの総供給量」及び「各工程で形成される多結
晶シリコン量」は、いずれもSi原子基準(Si原子
数)で表したものである。
Si原子供給源となる全てのシランを意味し、第一の工
程においては水素化シランの他これと併用することので
きるハロゲン化シラン等の他のシランを全て含めたもの
であり、第二の工程においてはハロゲン化シランの他こ
れと併用することのできる水素化シラン等の他のシラン
を全て含むものである。そして、上式において、この
「全シランの総供給量」及び「各工程で形成される多結
晶シリコン量」は、いずれもSi原子基準(Si原子
数)で表したものである。
【0042】上記利用率が低い場合には、多結晶シリコ
ン薄膜の製造効率は低下し、一方、利用率が過剰となる
場合には、膜の析出に悪影響を及ぼすような分解生成物
が発生し、これが基材若しくは基層に付着し物理的な欠
陥となり結晶性を悪化させる。好適な利用率の範囲は使
用するシランガスの組成及び利用率制御の目的によって
異なる。本発明における利用率制御の目的としては以下
〜が挙げられる。 種結晶となる多結晶シリコン基層を形成させる。 多結晶シリコン基層を成長させる。 多結晶シリコン基層上で多結晶シリコン薄膜を高速析
出させる。
ン薄膜の製造効率は低下し、一方、利用率が過剰となる
場合には、膜の析出に悪影響を及ぼすような分解生成物
が発生し、これが基材若しくは基層に付着し物理的な欠
陥となり結晶性を悪化させる。好適な利用率の範囲は使
用するシランガスの組成及び利用率制御の目的によって
異なる。本発明における利用率制御の目的としては以下
〜が挙げられる。 種結晶となる多結晶シリコン基層を形成させる。 多結晶シリコン基層を成長させる。 多結晶シリコン基層上で多結晶シリコン薄膜を高速析
出させる。
【0043】結晶性が良好な多結晶シリコン薄膜を効率
よく得るためには、第一の工程及び第二の工程における
利用率をそれぞれ約0.5〜10%及び約10〜80%
の範囲、特に好適にはそれぞれ約1〜5%及び約30〜
60%の範囲に管理するのがよい。上記利用率は各工程
で使用するシランの供給速度若しくは温度、希釈ガスを
使用する場合にはその供給速度若しくは温度、基材若し
くは多結晶シリコン基層の温度、反応器内圧力、又はプ
ラズマ発生のために加えるエネルギー量の1以上により
管理することができる。
よく得るためには、第一の工程及び第二の工程における
利用率をそれぞれ約0.5〜10%及び約10〜80%
の範囲、特に好適にはそれぞれ約1〜5%及び約30〜
60%の範囲に管理するのがよい。上記利用率は各工程
で使用するシランの供給速度若しくは温度、希釈ガスを
使用する場合にはその供給速度若しくは温度、基材若し
くは多結晶シリコン基層の温度、反応器内圧力、又はプ
ラズマ発生のために加えるエネルギー量の1以上により
管理することができる。
【0044】(11)本発明において使用される基材
本発明において使用される基材は、特に限定されるもの
ではなく太陽電池形成プロセス及び用途に応じて適宜選
択されるものである。例えば、太陽電池の光電変換層と
して使用される場合においては、基材としては、石英ガ
ラス、青板ガラス、単結晶シリコン、多結晶シリコン、
各種金属、耐熱性ポリマー、透明導電体等が使用でき
る。
ではなく太陽電池形成プロセス及び用途に応じて適宜選
択されるものである。例えば、太陽電池の光電変換層と
して使用される場合においては、基材としては、石英ガ
ラス、青板ガラス、単結晶シリコン、多結晶シリコン、
各種金属、耐熱性ポリマー、透明導電体等が使用でき
る。
【0045】(12)多結晶シリコン薄膜のその他の製
造条件 本発明において、多結晶シリコン薄膜の析出は、上記の
製造条件を満足するものであれば、その他の製造条件は
公知の方法が特に制限なく採用される。例えば、第一の
工程及び第二の工程において原料ガスをプラズマ化する
手段としては高周波、超短波、低周波、マイクロ波等の
公知の方法が特に制限なく用いられる。
造条件 本発明において、多結晶シリコン薄膜の析出は、上記の
製造条件を満足するものであれば、その他の製造条件は
公知の方法が特に制限なく採用される。例えば、第一の
工程及び第二の工程において原料ガスをプラズマ化する
手段としては高周波、超短波、低周波、マイクロ波等の
公知の方法が特に制限なく用いられる。
【0046】(13)本発明を実施するための装置
本発明を実施するための装置は特に制限されるものでは
ない。代表的な装置を例示すれば、図1に示す装置が挙
げられる。即ち、反応容器1の内部に1組の平行平板電
極2,3が配置される。高周波印加用電極2には高周波
発生装置4が接続され、高周波発生装置4から高周波印
加用電極2に高周波が印加される。また、接地電極3に
は基材5がセットされる。高周波印加用電極2及び接地
電極3中にはそれぞれヒーター6a及び6bが埋め込ま
れており、ヒータ6aによりガス温度、ヒータ6bによ
り基材温度が調節できる。
ない。代表的な装置を例示すれば、図1に示す装置が挙
げられる。即ち、反応容器1の内部に1組の平行平板電
極2,3が配置される。高周波印加用電極2には高周波
発生装置4が接続され、高周波発生装置4から高周波印
加用電極2に高周波が印加される。また、接地電極3に
は基材5がセットされる。高周波印加用電極2及び接地
電極3中にはそれぞれヒーター6a及び6bが埋め込ま
れており、ヒータ6aによりガス温度、ヒータ6bによ
り基材温度が調節できる。
【0047】また、上記反応容器1に水素、水素化シラ
ン化合物、ハロゲン化シラン化合物等のガスを供給しう
る位置にガス配管7a、7bが接続される。本発明の多
結晶シリコン薄膜の製造方法における第一の工程におい
て水素化シラン化合物の加熱を予め行う場合において
は、高周波印加用電極2中に埋め込まれたヒーター6
a、或いはガス配管7bに取り付けられたヒーター10
に通電することにより所定の温度までガスを加熱でき
る。
ン化合物、ハロゲン化シラン化合物等のガスを供給しう
る位置にガス配管7a、7bが接続される。本発明の多
結晶シリコン薄膜の製造方法における第一の工程におい
て水素化シラン化合物の加熱を予め行う場合において
は、高周波印加用電極2中に埋め込まれたヒーター6
a、或いはガス配管7bに取り付けられたヒーター10
に通電することにより所定の温度までガスを加熱でき
る。
【0048】さらに、上記反応容器1には真空ポンプ8
が取り付けられて、かかる真空ポンプ8により反応容器
1内が真空引きできる構造となっている。なお、真空ポ
ンプ8を制御可能に圧力調製器9が取り付けられ、この
圧力調製器9によって、反応容器1内を一定の圧力に保
つことができる。前記ガス配管7a、7bには流量調節
器11a、11bが取り付けられ、この流量調節器11
a、11bによってガス配管7a、7bからのガスの流
量を制御することができる。
が取り付けられて、かかる真空ポンプ8により反応容器
1内が真空引きできる構造となっている。なお、真空ポ
ンプ8を制御可能に圧力調製器9が取り付けられ、この
圧力調製器9によって、反応容器1内を一定の圧力に保
つことができる。前記ガス配管7a、7bには流量調節
器11a、11bが取り付けられ、この流量調節器11
a、11bによってガス配管7a、7bからのガスの流
量を制御することができる。
【0049】また、高周波印加用電極2と接地電極3と
の間にはシャッター12が配置される。このシャッター
12は高周波印加用電極2と接地電極3との間を開閉可
能に配置され、このシャッター12をプラズマ発生中に
閉じた場合においてはプラズマはシャッター12と高周
波印加用電極2間でのみ発生し、基材5上への多結晶シ
リコン膜の析出は起こらない。
の間にはシャッター12が配置される。このシャッター
12は高周波印加用電極2と接地電極3との間を開閉可
能に配置され、このシャッター12をプラズマ発生中に
閉じた場合においてはプラズマはシャッター12と高周
波印加用電極2間でのみ発生し、基材5上への多結晶シ
リコン膜の析出は起こらない。
【0050】次ぎに、上記多結晶シリコン薄膜作製装置
を用いた本発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法につき
説明する。先ず、第一の工程では水素及び水素化シラン
化合物が流量調節器11a、11bにより流量を制御さ
れた後、ガス配管7a、7bより反応容器1へ供給され
る。この時、水素化シラン化合物は高周波印加用電極2
中に埋め込まれたヒーター6a、或いはガス配管7bに
取り付けられたヒーター10によって予め加熱されてい
る。そこで、高周波発生装置4から高周波が高周波印加
用電極2に印加され、反応容器1内に導入されたガスは
各電極間においてプラズマ化する。プラズマ化されたガ
スはヒーター6bによって一定温度に加熱された接地電
極3上に配置された基材5と接触することによって、基
材5上に薄い多結晶シリコン薄膜が析出する。
を用いた本発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法につき
説明する。先ず、第一の工程では水素及び水素化シラン
化合物が流量調節器11a、11bにより流量を制御さ
れた後、ガス配管7a、7bより反応容器1へ供給され
る。この時、水素化シラン化合物は高周波印加用電極2
中に埋め込まれたヒーター6a、或いはガス配管7bに
取り付けられたヒーター10によって予め加熱されてい
る。そこで、高周波発生装置4から高周波が高周波印加
用電極2に印加され、反応容器1内に導入されたガスは
各電極間においてプラズマ化する。プラズマ化されたガ
スはヒーター6bによって一定温度に加熱された接地電
極3上に配置された基材5と接触することによって、基
材5上に薄い多結晶シリコン薄膜が析出する。
【0051】引き続き、第二の工程では、ガス配管7
a、7bからの水素化シラン化合物の供給が停止され、
ハロゲン化シラン化合物がガス配管7a、7bより流量
調節器11a、11bによって流量制御され反応容器1
内へ供給される。そして、第一の工程と同様に高周波発
生装置4から高周波印加用電極2に高周波が印加され、
反応容器1内へ導入されたガスは必要に応じてヒーター
6aにより加熱されて各電極間においてプラズマ化す
る。プラズマ化されたガスは接地電極3中に埋め込まれ
たヒーター6bによって一定温度に加熱されて第一の工
程において基材5上に形成された薄い多結晶シリコン基
層と接触し、その薄い多結晶シリコン基層上に更に多結
晶シリコン膜を析出する。
a、7bからの水素化シラン化合物の供給が停止され、
ハロゲン化シラン化合物がガス配管7a、7bより流量
調節器11a、11bによって流量制御され反応容器1
内へ供給される。そして、第一の工程と同様に高周波発
生装置4から高周波印加用電極2に高周波が印加され、
反応容器1内へ導入されたガスは必要に応じてヒーター
6aにより加熱されて各電極間においてプラズマ化す
る。プラズマ化されたガスは接地電極3中に埋め込まれ
たヒーター6bによって一定温度に加熱されて第一の工
程において基材5上に形成された薄い多結晶シリコン基
層と接触し、その薄い多結晶シリコン基層上に更に多結
晶シリコン膜を析出する。
【0052】B.本出願第2の発明の光電変換素子の製
造方法 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法は、本出願
第1の発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法を適用して
構成される。したがって本出願第1の発明の多結晶シリ
コン薄膜の製造方法につき適用される諸条件は、本出願
第2の発明の光電変換素子の製造方法についても同様に
適用される。以下これを具体的に説明する。
造方法 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法は、本出願
第1の発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法を適用して
構成される。したがって本出願第1の発明の多結晶シリ
コン薄膜の製造方法につき適用される諸条件は、本出願
第2の発明の光電変換素子の製造方法についても同様に
適用される。以下これを具体的に説明する。
【0053】本出願第2の発明の光電変換素子の製造方
法における多結晶シリコン薄膜の析出は、本出願第1の
発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法において多結晶シ
リコン薄膜の析出を行う場合と同様に、結晶核を形成し
てこれをp層(又はn層)とする工程(1)と結晶を成
長させてi層を得る工程(2)と、さらにi層上にn層
(又はp層)を形成する工程(3)の3段階により実施
される。詳しくは、工程(1)において加熱した水素化
シランガスをプラズマ化し、基材と接触させることによ
り基材上に多結晶シリコンの結晶核、即ち基層を形成
し、これをp層(又はn層)とする。その後、工程
(2)において、少なくともハロゲン化シランを含有す
るガスをプラズマ化し、p層上に優れた結晶性及び電気
特性を有する多結晶シリコン薄膜からなるi層を高速度
で析出し、さらにかかるi層上にn層(又はp層)を形
成する。
法における多結晶シリコン薄膜の析出は、本出願第1の
発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法において多結晶シ
リコン薄膜の析出を行う場合と同様に、結晶核を形成し
てこれをp層(又はn層)とする工程(1)と結晶を成
長させてi層を得る工程(2)と、さらにi層上にn層
(又はp層)を形成する工程(3)の3段階により実施
される。詳しくは、工程(1)において加熱した水素化
シランガスをプラズマ化し、基材と接触させることによ
り基材上に多結晶シリコンの結晶核、即ち基層を形成
し、これをp層(又はn層)とする。その後、工程
(2)において、少なくともハロゲン化シランを含有す
るガスをプラズマ化し、p層上に優れた結晶性及び電気
特性を有する多結晶シリコン薄膜からなるi層を高速度
で析出し、さらにかかるi層上にn層(又はp層)を形
成する。
【0054】(1)本出願第2の発明の光電変換素子の
製造方法の全体プロセス 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法では、その
工程(1)では水素化シランと周期律表第III族元素化
合物(又は周期律表第V族元素化合物)との混合ガスを
プラズマ化し、基材に接触させることにより基材上に周
期律表第III族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多
結晶シリコンを析出させてp層(又はn層)が形成さ
れ、また工程(2)ではハロゲン化シランを含むガスを
プラズマ化し、p層(又はn層)と接触させることによ
りp層(又はn層)上に多結晶シリコンを析出させてi
層を形成し、さらに工程(3)では、少なくとも水素化
シラン又はハロゲン化シランのいずれか一方のシラン及
び周期律表第V族元素化合物(又は周期律表第III族元素
化合物)の混合ガスをプラズマ化し、工程(2)で形成
したi層上に周期律表第V族元素(又は周期律表第III族
元素)を含む多結晶シリコンを析出させてn層(又はp
層)を形成する。それにより、i層、n層(又はp層)
をハロゲン化シランを含むガスにより高速成膜すること
ができ、成膜効率を向上させることができる。この場合
に工程(3)では必ずしもハロゲン化シランを使用する
ことが必須ではない。工程(3)で形成されるn層(又
はp層)はその厚さが小さく、ハロゲン化シランを含む
ガスによる高速成膜の要請が大きくはないからである。
製造方法の全体プロセス 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法では、その
工程(1)では水素化シランと周期律表第III族元素化
合物(又は周期律表第V族元素化合物)との混合ガスを
プラズマ化し、基材に接触させることにより基材上に周
期律表第III族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多
結晶シリコンを析出させてp層(又はn層)が形成さ
れ、また工程(2)ではハロゲン化シランを含むガスを
プラズマ化し、p層(又はn層)と接触させることによ
りp層(又はn層)上に多結晶シリコンを析出させてi
層を形成し、さらに工程(3)では、少なくとも水素化
シラン又はハロゲン化シランのいずれか一方のシラン及
び周期律表第V族元素化合物(又は周期律表第III族元素
化合物)の混合ガスをプラズマ化し、工程(2)で形成
したi層上に周期律表第V族元素(又は周期律表第III族
元素)を含む多結晶シリコンを析出させてn層(又はp
層)を形成する。それにより、i層、n層(又はp層)
をハロゲン化シランを含むガスにより高速成膜すること
ができ、成膜効率を向上させることができる。この場合
に工程(3)では必ずしもハロゲン化シランを使用する
ことが必須ではない。工程(3)で形成されるn層(又
はp層)はその厚さが小さく、ハロゲン化シランを含む
ガスによる高速成膜の要請が大きくはないからである。
【0055】以上のp層(又はn層)を形成する工程
(1)は、水素化シランと周期律表第III族元素化合物
(又は周期律表第V族元素化合物)との混合ガスをプラ
ズマ化し、基材に接触させることにより基材上に周期律
表第III族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多結晶
シリコンを析出させてp層1(又はn層1)を形成し、
次いで少なくとも水素化シラン又はハロゲン化シランの
いずれか一方のシラン及び周期律表第III族元素化合物
(又は周期律表第V族元素化合物)の混合ガスをプラズ
マ化し、p層1(又はn層1)と接触させることにより
p層1(又はn層1)上に周期律表第III族元素(又は
周期律表第V族元素)を含む多結晶シリコンを析出させ
てp層2(又はn層2)を形成し、p層1(又はn層
1)及びp層2(又はn層2)からなる厚さが約10〜
150オングストロームのp層(又はn層)を形成する
工程とし、しかる後に工程(2)を行う様にすることが
できる。
(1)は、水素化シランと周期律表第III族元素化合物
(又は周期律表第V族元素化合物)との混合ガスをプラ
ズマ化し、基材に接触させることにより基材上に周期律
表第III族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多結晶
シリコンを析出させてp層1(又はn層1)を形成し、
次いで少なくとも水素化シラン又はハロゲン化シランの
いずれか一方のシラン及び周期律表第III族元素化合物
(又は周期律表第V族元素化合物)の混合ガスをプラズ
マ化し、p層1(又はn層1)と接触させることにより
p層1(又はn層1)上に周期律表第III族元素(又は
周期律表第V族元素)を含む多結晶シリコンを析出させ
てp層2(又はn層2)を形成し、p層1(又はn層
1)及びp層2(又はn層2)からなる厚さが約10〜
150オングストロームのp層(又はn層)を形成する
工程とし、しかる後に工程(2)を行う様にすることが
できる。
【0056】その様にすることにより、工程(1)でp
層(又はn層)全体を形成する場合に比し、工程(1)
でp層1(又はn層1)を形成した後は、p層2(又は
n層2)及びi層をハロゲン化シランを含むガスにより
高速成膜することができ、成膜効率をさらに向上させる
ことができる。
層(又はn層)全体を形成する場合に比し、工程(1)
でp層1(又はn層1)を形成した後は、p層2(又は
n層2)及びi層をハロゲン化シランを含むガスにより
高速成膜することができ、成膜効率をさらに向上させる
ことができる。
【0057】(2)工程(1)において形成するp層
(又はn層)の厚み 工程(1)で形成されるp層(又はn層)の厚さは、そ
のp層(又はn層)の結晶性により工程(2)で析出す
る多結晶シリコン薄膜の結晶性が規定される最低厚さ以
上とすることが本出願第2の発明の光電変換素子の製造
方法では必須となる。これにより工程(1)で形成され
た良好な結晶性を有する多結晶シリコン薄膜から成るp
層(又はn層)によって工程(2)で形成されるi層す
なわち多結晶シリコン薄膜の結晶性が良好に維持される
ことが補償され、高速成膜が可能となると共に、光導電
率等の電気特性が良好な光電変換素子が形成される。p
層(又はn層)の厚みが工程(2)で析出するi層すな
わち多結晶シリコン薄膜の結晶性が規定される厚さ未満
である場合には、工程(2)でp層(又はn層)上に高
速度で堆積するi層すなわち多結晶シリコン薄膜の結晶
性に乱れが生じ、最終的に得られる光電変換素子の光導
電率等の電気特性が悪化する。
(又はn層)の厚み 工程(1)で形成されるp層(又はn層)の厚さは、そ
のp層(又はn層)の結晶性により工程(2)で析出す
る多結晶シリコン薄膜の結晶性が規定される最低厚さ以
上とすることが本出願第2の発明の光電変換素子の製造
方法では必須となる。これにより工程(1)で形成され
た良好な結晶性を有する多結晶シリコン薄膜から成るp
層(又はn層)によって工程(2)で形成されるi層す
なわち多結晶シリコン薄膜の結晶性が良好に維持される
ことが補償され、高速成膜が可能となると共に、光導電
率等の電気特性が良好な光電変換素子が形成される。p
層(又はn層)の厚みが工程(2)で析出するi層すな
わち多結晶シリコン薄膜の結晶性が規定される厚さ未満
である場合には、工程(2)でp層(又はn層)上に高
速度で堆積するi層すなわち多結晶シリコン薄膜の結晶
性に乱れが生じ、最終的に得られる光電変換素子の光導
電率等の電気特性が悪化する。
【0058】係る観点から工程(1)において析出する
p層(又はn層)の厚みを更に具体的に規定すれば、p
層(又はn層)の厚みは約10オングストローム以上1
50オングストローム以下とすることが好ましい。p層
(又はn層)の厚みを20オングストローム以上100
オングストローム以下とすることが本発明の効果を一層
発揮するためにはさらに好ましい。p層(又はn層)の
厚みが約10オングストローム未満であるとp層(又は
n層)上に高速度で堆積するi層すなわち多結晶シリコ
ン薄膜の結晶性に乱れが生じ、最終的に得られる光電変
換素子の光導電率等の電気特性が悪化する。p層(又は
n層)の厚みが150オングストロームを超えた場合に
おいては、結晶性等の構造、或いは光導電率等の電気特
性の劣化は観測されないものの、析出のために多大な時
間を要することになり、本発明が解決しようとする技術
課題をみたすものにはならない。
p層(又はn層)の厚みを更に具体的に規定すれば、p
層(又はn層)の厚みは約10オングストローム以上1
50オングストローム以下とすることが好ましい。p層
(又はn層)の厚みを20オングストローム以上100
オングストローム以下とすることが本発明の効果を一層
発揮するためにはさらに好ましい。p層(又はn層)の
厚みが約10オングストローム未満であるとp層(又は
n層)上に高速度で堆積するi層すなわち多結晶シリコ
ン薄膜の結晶性に乱れが生じ、最終的に得られる光電変
換素子の光導電率等の電気特性が悪化する。p層(又は
n層)の厚みが150オングストロームを超えた場合に
おいては、結晶性等の構造、或いは光導電率等の電気特
性の劣化は観測されないものの、析出のために多大な時
間を要することになり、本発明が解決しようとする技術
課題をみたすものにはならない。
【0059】(3)工程(1)における基材表面温度
本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法の工程
(1)においては、水素化シランガスをプラズマ化して
基材に接触させるにあたり、基材を加熱する様にするこ
とにより膜形成時の表面反応が活性化されて工程(1)
により得られるp層(又はn層)の結晶性を良好にする
と共に成膜効率を向上させ、工程(2)でp層(又はn
層)上に高速度で堆積するi層すなわち多結晶シリコン
薄膜の結晶性を良好にすることを補償して、最終的に得
られる光電変換素子の製造効率を向上させると共に光導
電率等の電気特性を良好にすることができる。更に具体
的には工程(1)における基材表面温度は100℃以上
350℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下の
温度に設定することが好ましい。基材表面温度が100
℃より低い場合は工程(1)により得られるp層(又は
n層)の結晶性が悪くなり光導電率等の電気特性が悪化
する。また、基材温度が350℃より高い場合において
も工程(1)により得られるp層(又はn層)の結晶性
が悪くなり光導電率等の電気特性が低下する。
(1)においては、水素化シランガスをプラズマ化して
基材に接触させるにあたり、基材を加熱する様にするこ
とにより膜形成時の表面反応が活性化されて工程(1)
により得られるp層(又はn層)の結晶性を良好にする
と共に成膜効率を向上させ、工程(2)でp層(又はn
層)上に高速度で堆積するi層すなわち多結晶シリコン
薄膜の結晶性を良好にすることを補償して、最終的に得
られる光電変換素子の製造効率を向上させると共に光導
電率等の電気特性を良好にすることができる。更に具体
的には工程(1)における基材表面温度は100℃以上
350℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下の
温度に設定することが好ましい。基材表面温度が100
℃より低い場合は工程(1)により得られるp層(又は
n層)の結晶性が悪くなり光導電率等の電気特性が悪化
する。また、基材温度が350℃より高い場合において
も工程(1)により得られるp層(又はn層)の結晶性
が悪くなり光導電率等の電気特性が低下する。
【0060】(4)工程(2)におけるp層(又はn
層)表面温度 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法において、
工程(2)においてプラズマ化されたハロゲン化シラン
ガスを工程(1)で形成したp層(又はn層)と接触さ
せて工程(1)で形成したp層(又はn層)上に多結晶
シリコンを析出させるにあたり、工程(1)で形成した
p層(又はn層)を加熱する様にするのがよい。それに
より工程(2)でp層(又はn層)上にi層すなわち多
結晶シリコン薄膜を高速度で堆積させることが可能とな
りしかも得られるi層すなわち多結晶シリコン薄膜の結
晶性を良好にして、最終的に得られる光電変換素子の光
導電率等の電気特性を良好にすることができる。
層)表面温度 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法において、
工程(2)においてプラズマ化されたハロゲン化シラン
ガスを工程(1)で形成したp層(又はn層)と接触さ
せて工程(1)で形成したp層(又はn層)上に多結晶
シリコンを析出させるにあたり、工程(1)で形成した
p層(又はn層)を加熱する様にするのがよい。それに
より工程(2)でp層(又はn層)上にi層すなわち多
結晶シリコン薄膜を高速度で堆積させることが可能とな
りしかも得られるi層すなわち多結晶シリコン薄膜の結
晶性を良好にして、最終的に得られる光電変換素子の光
導電率等の電気特性を良好にすることができる。
【0061】係る観点から、工程(2)におけるp層
(又はn層)表面温度は200℃以上600℃以下、さ
らに好ましくは250℃以上400℃以下、さらに、工
程(1)での基材加熱温度との温度差が30℃以上高
く、450℃以下となる温度範囲に設定することが重要
である。工程(2)におけるp層(又はn層)表面温度
が200℃より低い場合は、結晶性が低下すると共に光
導電率等の電気特性も悪くなり、本発明の効果を十分に
発揮することができない。600℃を超える場合におい
ては、p層(又はn層)表面近傍において原料ガスを熱
分解することにより、結果として結晶性の低下が観測さ
れる。また工程(2)におけるp層(又はn層)表面温
度と工程(1)での基材加熱温度との温度差が30℃以
上でない場合には、p層(又はn層)表面での反応が効
率よく行われず、多結晶シリコンを高速で析出すること
はできない。また、温度差が450℃以上である場合に
は、結晶性に乱れが生じるため電気的性質が低下する。
(又はn層)表面温度は200℃以上600℃以下、さ
らに好ましくは250℃以上400℃以下、さらに、工
程(1)での基材加熱温度との温度差が30℃以上高
く、450℃以下となる温度範囲に設定することが重要
である。工程(2)におけるp層(又はn層)表面温度
が200℃より低い場合は、結晶性が低下すると共に光
導電率等の電気特性も悪くなり、本発明の効果を十分に
発揮することができない。600℃を超える場合におい
ては、p層(又はn層)表面近傍において原料ガスを熱
分解することにより、結果として結晶性の低下が観測さ
れる。また工程(2)におけるp層(又はn層)表面温
度と工程(1)での基材加熱温度との温度差が30℃以
上でない場合には、p層(又はn層)表面での反応が効
率よく行われず、多結晶シリコンを高速で析出すること
はできない。また、温度差が450℃以上である場合に
は、結晶性に乱れが生じるため電気的性質が低下する。
【0062】(5)p層(又はn層)となる多結晶シリ
コン薄膜の原料 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法において、
p層(又はn層)となる多結晶シリコン薄膜の原料とし
て使用される水素化シランは、一般式SinH
( 2n+2)(但し、nは1以上の自然数である。)で示され
る化合物であって、ガス化可能なものであれば特に限定
されない。好適に使用できる水素化シランを例示すれ
ば、SiH4(モノシラン)、Si2H6(ジシラン)、
Si3H8(トリシラン)等が挙げられる。工程(1)に
おいて、かかる水素化シランはハロゲン化シラン等の他
のシラン化合物のガスと混合して使用することもできる
が、このとき水素化シランはプラズマ化される全シラン
に対して50モル%以上の割合であることが必要であ
る。水素化シラン割合が50モル%未満であると、得ら
れた薄膜の構造は多結晶ではなく、アモルファス構造と
なってしまい、工程(2)を施した後も構造は依然とし
てアモルファスとなり本発明の効果は得られない。
コン薄膜の原料 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法において、
p層(又はn層)となる多結晶シリコン薄膜の原料とし
て使用される水素化シランは、一般式SinH
( 2n+2)(但し、nは1以上の自然数である。)で示され
る化合物であって、ガス化可能なものであれば特に限定
されない。好適に使用できる水素化シランを例示すれ
ば、SiH4(モノシラン)、Si2H6(ジシラン)、
Si3H8(トリシラン)等が挙げられる。工程(1)に
おいて、かかる水素化シランはハロゲン化シラン等の他
のシラン化合物のガスと混合して使用することもできる
が、このとき水素化シランはプラズマ化される全シラン
に対して50モル%以上の割合であることが必要であ
る。水素化シラン割合が50モル%未満であると、得ら
れた薄膜の構造は多結晶ではなく、アモルファス構造と
なってしまい、工程(2)を施した後も構造は依然とし
てアモルファスとなり本発明の効果は得られない。
【0063】また、周期律表第III族元素化合物又は周
期律表第V族元素化合物としては、B2H6,BF3,PH
3,AsH3,AsF5,PF5,PF3,BCl3等が挙げ
られる。
期律表第V族元素化合物としては、B2H6,BF3,PH
3,AsH3,AsF5,PF5,PF3,BCl3等が挙げ
られる。
【0064】(6)水素化シランガスを予め加熱する温
度範囲 さらに、本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法に
おいて、工程(1)において水素化シランガスを予め加
熱することにより熱エネルギーが水素化シラン分子に供
給され、基板への付着後により安定な構造が構築される
ようにすることができる。その場合、水素化シランガス
を予め加熱する温度範囲は400℃以上600℃以下と
するのが好適である。さらに好ましくは450℃以上5
50℃以下である。水素化シランガスを上記温度範囲に
予め加熱することにより、熱エネルギーが水素化シラン
分子に効率よく供給され、基板への付着後により安定な
構造が構築され、結晶性の良好なp層(又はn層)を形
成することができるからである。なお、工程(2)にお
いて少なくともハロゲン化シランを含有するガスを予熱
することにより成膜効率を向上して生産性を挙げること
ができる。しかし、得られるi層すなわち多結晶シリコ
ン薄膜の結晶性という観点からは、少なくともハロゲン
化シランを含有するガスの予熱は必須ではなく、ガスの
温度は15(常温程度)〜550℃の範囲であればよ
い。これは、工程(1)で既に結晶性の良好なp層(又
はn層)が形成されており、特にガスを予熱する必要が
ないためである。
度範囲 さらに、本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法に
おいて、工程(1)において水素化シランガスを予め加
熱することにより熱エネルギーが水素化シラン分子に供
給され、基板への付着後により安定な構造が構築される
ようにすることができる。その場合、水素化シランガス
を予め加熱する温度範囲は400℃以上600℃以下と
するのが好適である。さらに好ましくは450℃以上5
50℃以下である。水素化シランガスを上記温度範囲に
予め加熱することにより、熱エネルギーが水素化シラン
分子に効率よく供給され、基板への付着後により安定な
構造が構築され、結晶性の良好なp層(又はn層)を形
成することができるからである。なお、工程(2)にお
いて少なくともハロゲン化シランを含有するガスを予熱
することにより成膜効率を向上して生産性を挙げること
ができる。しかし、得られるi層すなわち多結晶シリコ
ン薄膜の結晶性という観点からは、少なくともハロゲン
化シランを含有するガスの予熱は必須ではなく、ガスの
温度は15(常温程度)〜550℃の範囲であればよ
い。これは、工程(1)で既に結晶性の良好なp層(又
はn層)が形成されており、特にガスを予熱する必要が
ないためである。
【0065】また、シランガスは水素、ヘリウム、アル
ゴン、キセノン等多結晶シリコン薄膜の析出に関与しな
い非堆積性のガスと混合して供給することも可能であ
る。上記希釈ガスの中でも水素を用いると本発明の効果
が著しく発揮される。具体的には、標準状態におけるモ
ノシランの流量の5倍から100倍程度の水素を供給し
た場合に良好な結晶核が形成される。この理由に関して
は詳細な研究がなされてはいるものの明確な理由につい
ては現在示されていない。
ゴン、キセノン等多結晶シリコン薄膜の析出に関与しな
い非堆積性のガスと混合して供給することも可能であ
る。上記希釈ガスの中でも水素を用いると本発明の効果
が著しく発揮される。具体的には、標準状態におけるモ
ノシランの流量の5倍から100倍程度の水素を供給し
た場合に良好な結晶核が形成される。この理由に関して
は詳細な研究がなされてはいるものの明確な理由につい
ては現在示されていない。
【0066】(7)工程(2)におけるi層すなわち多
結晶シリコン薄膜の原料 工程(2)におけるi層すなわち多結晶シリコン薄膜の
原料として使用するハロゲン化シランは、分子中に少な
くとも1つのハロゲン原子を有するガス化可能なシラン
化合物であれば特に限定されない。好適なハロゲン化シ
ランとしては、SiHmX(4-m)(但し、mは0〜3の整
数であり、Xはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられる。このようなハロ
ゲン化シランを具体的に例示すればSiF4(テトラフ
ロロシラン),SiF3H(トリフロロシラン),Si
F2H2(ジフロロシラン),SiFH3(モノフロロシ
ラン),SiCl4(テトラクロロシラン),SiCl3
H(トリクロロシラン),SiCl2H2(ジクロロシラ
ン),SiClH3(モノクロロシラン)等が挙げられ
る。
結晶シリコン薄膜の原料 工程(2)におけるi層すなわち多結晶シリコン薄膜の
原料として使用するハロゲン化シランは、分子中に少な
くとも1つのハロゲン原子を有するガス化可能なシラン
化合物であれば特に限定されない。好適なハロゲン化シ
ランとしては、SiHmX(4-m)(但し、mは0〜3の整
数であり、Xはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられる。このようなハロ
ゲン化シランを具体的に例示すればSiF4(テトラフ
ロロシラン),SiF3H(トリフロロシラン),Si
F2H2(ジフロロシラン),SiFH3(モノフロロシ
ラン),SiCl4(テトラクロロシラン),SiCl3
H(トリクロロシラン),SiCl2H2(ジクロロシラ
ン),SiClH3(モノクロロシラン)等が挙げられ
る。
【0067】工程(2)においては、かかるハロゲン化
シランを用いることが優れた結晶性及び高い光導電率を
有した多結晶シリコン膜を高速析出するために重要であ
る。工程(2)においてはこの様なハロゲン化シランを
少なくとも含有するガスをプラズマ化して使用すればよ
く、ハロゲン化シランを前記の水素化シラン等の他のシ
ラン化合物のガスと混合して使用することもできる。こ
のとき、得られるi層すなわち多結晶シリコン薄膜の性
質の観点からプラズマ化される全シランに対するハロゲ
ン化シランの割合は50モル%以上であることが好まし
い。特に、前記の水素化シランと併用したときには優れ
た結晶性及び高い光導電率を有したi層すなわち多結晶
シリコン薄膜を更に高速度で析出することができる。
シランを用いることが優れた結晶性及び高い光導電率を
有した多結晶シリコン膜を高速析出するために重要であ
る。工程(2)においてはこの様なハロゲン化シランを
少なくとも含有するガスをプラズマ化して使用すればよ
く、ハロゲン化シランを前記の水素化シラン等の他のシ
ラン化合物のガスと混合して使用することもできる。こ
のとき、得られるi層すなわち多結晶シリコン薄膜の性
質の観点からプラズマ化される全シランに対するハロゲ
ン化シランの割合は50モル%以上であることが好まし
い。特に、前記の水素化シランと併用したときには優れ
た結晶性及び高い光導電率を有したi層すなわち多結晶
シリコン薄膜を更に高速度で析出することができる。
【0068】なお、工程(2)では原料としてハロゲン
化シランを使用しているので、この工程で形成される多
結晶シリコン膜にはハロゲン原子を含ませることがで
き、これによりi層すなわち多結晶シリコン薄膜の光透
過率を高めることができる。また、p層(又はn層)の
一部をこの工程で得られるような光透過率の高い多結晶
シリコン薄膜とすることによりさらに変換効率を高くす
ることが期待される。この工程で形成される多結晶シリ
コン薄膜中のハロゲン原子の量は約0.005〜5原子
%として制御することができるが、透過率の観点から好
適なハロゲン原子含有量は約0.01〜3原子%、特に
約0.1〜1原子%であることが好ましい。また、ハロ
ゲン原子は塩素原子であることが好ましい。
化シランを使用しているので、この工程で形成される多
結晶シリコン膜にはハロゲン原子を含ませることがで
き、これによりi層すなわち多結晶シリコン薄膜の光透
過率を高めることができる。また、p層(又はn層)の
一部をこの工程で得られるような光透過率の高い多結晶
シリコン薄膜とすることによりさらに変換効率を高くす
ることが期待される。この工程で形成される多結晶シリ
コン薄膜中のハロゲン原子の量は約0.005〜5原子
%として制御することができるが、透過率の観点から好
適なハロゲン原子含有量は約0.01〜3原子%、特に
約0.1〜1原子%であることが好ましい。また、ハロ
ゲン原子は塩素原子であることが好ましい。
【0068】上記シランガスは単独で供給しても水素、
ヘリウム、アルゴン、キセノン等多結晶シリコン薄膜の
析出に関与しない非堆積性のガスで希釈して供給するこ
とも可能である。これら希釈ガスの中でも水素を用いる
と本発明の効果が著しく発揮される。
ヘリウム、アルゴン、キセノン等多結晶シリコン薄膜の
析出に関与しない非堆積性のガスで希釈して供給するこ
とも可能である。これら希釈ガスの中でも水素を用いる
と本発明の効果が著しく発揮される。
【0069】(8)多結晶シリコン薄膜析出時の反応圧
力 さらに、本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法に
おける多結晶シリコン薄膜析出時の反応圧力としては、
工程(1)において1mTorr以上、500mTor
r以下、工程(2)において5mTorr以上、100
0mTorr以下とするのが好ましく、さらには工程
(2)の反応圧力は工程(1)の反応圧力より3〜80
0mTorr高く設定することにより好適な結果が得ら
れる。
力 さらに、本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法に
おける多結晶シリコン薄膜析出時の反応圧力としては、
工程(1)において1mTorr以上、500mTor
r以下、工程(2)において5mTorr以上、100
0mTorr以下とするのが好ましく、さらには工程
(2)の反応圧力は工程(1)の反応圧力より3〜80
0mTorr高く設定することにより好適な結果が得ら
れる。
【0070】工程(1)での反応圧力が1mTorr未
満であると安定したプラズマが形成できないため製造面
で問題となる。一方、500mTorrを超えた場合に
おいては原料ガスの凝集が起こるためプラズマ中でパウ
ダーが発生し、膜中に点欠陥を発生させ製造歩留を低下
させる。
満であると安定したプラズマが形成できないため製造面
で問題となる。一方、500mTorrを超えた場合に
おいては原料ガスの凝集が起こるためプラズマ中でパウ
ダーが発生し、膜中に点欠陥を発生させ製造歩留を低下
させる。
【0071】工程(2)での反応圧力が5mTorr未
満であるとi層すなわち多結晶シリコン薄膜の析出速度
が低下するため本発明の効果を発揮することができな
い。また、1000mTorrを超えた場合においては
プラズマを安定して形成することが難しくなるため製造
面で問題となる。
満であるとi層すなわち多結晶シリコン薄膜の析出速度
が低下するため本発明の効果を発揮することができな
い。また、1000mTorrを超えた場合においては
プラズマを安定して形成することが難しくなるため製造
面で問題となる。
【0072】工程(2)の反応圧力が工程(1)の反応
圧力より3mTorr以上高くない場合にはi層すなわ
ち多結晶シリコン薄膜の析出速度を速くすることが難し
い。また、工程(2)の反応圧力が工程(1)の反応圧
力より800mTorrを超えて高い場合には、結晶性
に乱れが生じる傾向がある。
圧力より3mTorr以上高くない場合にはi層すなわ
ち多結晶シリコン薄膜の析出速度を速くすることが難し
い。また、工程(2)の反応圧力が工程(1)の反応圧
力より800mTorrを超えて高い場合には、結晶性
に乱れが生じる傾向がある。
【0073】(9)原料ガスの加熱を行なう方法
工程(1)及び必要に応じて工程(2)において原料ガ
スの加熱を行なう方法には公知の手段を特に制限なく適
用することができる。すなわちガス配管を直接ヒーター
によって加熱する方法、ガス配管を高周波誘導加熱によ
り加熱する方法、予備室を設けて予めガスをヒーター、
赤外線ランプ等により予備加熱しておく方法等が特に制
限なく好適に採用される。
スの加熱を行なう方法には公知の手段を特に制限なく適
用することができる。すなわちガス配管を直接ヒーター
によって加熱する方法、ガス配管を高周波誘導加熱によ
り加熱する方法、予備室を設けて予めガスをヒーター、
赤外線ランプ等により予備加熱しておく方法等が特に制
限なく好適に採用される。
【0075】(10)温度の測定及び調節
工程(1)において予め加熱する水素化シランガスの温
度は正確には測定困難であるため現状においてはガス配
管の温度をもってガス温度とし、かかるガス配管はガス
温度が均一になるように十分な長さに設定される。ま
た、本発明者等は水素化シランガスの加熱を反応容器内
のヒーター(例えば図1の6a)で行う場合には、得ら
れた多結晶シリコン膜の物性と上記のようにして加熱し
た水素化シランガスの加熱温度との相関関係に基づいて
前記ヒータの設定温度をもってガス温度とすることがで
きることを確認している。なお、工程(2)においてガ
スの加熱を行う場合のガス温度の調節も同様にして行う
ことができる。
度は正確には測定困難であるため現状においてはガス配
管の温度をもってガス温度とし、かかるガス配管はガス
温度が均一になるように十分な長さに設定される。ま
た、本発明者等は水素化シランガスの加熱を反応容器内
のヒーター(例えば図1の6a)で行う場合には、得ら
れた多結晶シリコン膜の物性と上記のようにして加熱し
た水素化シランガスの加熱温度との相関関係に基づいて
前記ヒータの設定温度をもってガス温度とすることがで
きることを確認している。なお、工程(2)においてガ
スの加熱を行う場合のガス温度の調節も同様にして行う
ことができる。
【0076】(11)利用率の管理
本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法において
は、工程(1)及び工程(2)を、それぞれの工程で用
いられる全シランの総供給量に対するそれぞれの工程で
形成される多結晶シリコン量で定義される「利用率」を
制御して行うことにより、欠陥の極めて少ない多結晶シ
リコン薄膜からなる光電変換素子を効率よく製造するこ
とができる。ここで、利用率は次式により計算される。
は、工程(1)及び工程(2)を、それぞれの工程で用
いられる全シランの総供給量に対するそれぞれの工程で
形成される多結晶シリコン量で定義される「利用率」を
制御して行うことにより、欠陥の極めて少ない多結晶シ
リコン薄膜からなる光電変換素子を効率よく製造するこ
とができる。ここで、利用率は次式により計算される。
【0077】
【数2】
【0078】上記式中、各工程で使用する全シランとは
Si原子供給源となる全てのシランを意味し、工程
(1)においては水素化シランの他これと併用すること
のできるハロゲン化シラン等の他のシランを全て含めた
ものであり、工程(2)においてはハロゲン化シランの
他これと併用することのできる水素化シラン等の他のシ
ランを全て含むものである。そして、上式において、こ
の「全シランの総供給量」及び「各工程で形成される多
結晶シリコン量」は、いずれもSi原子基準(Si原子
数)で表したものである。
Si原子供給源となる全てのシランを意味し、工程
(1)においては水素化シランの他これと併用すること
のできるハロゲン化シラン等の他のシランを全て含めた
ものであり、工程(2)においてはハロゲン化シランの
他これと併用することのできる水素化シラン等の他のシ
ランを全て含むものである。そして、上式において、こ
の「全シランの総供給量」及び「各工程で形成される多
結晶シリコン量」は、いずれもSi原子基準(Si原子
数)で表したものである。
【0079】上記利用率が低い場合には、多結晶シリコ
ン薄膜の製造効率は低下し、一方、利用率が過剰となる
場合には、膜の析出に悪影響を及ぼすような分解生成物
が発生し、これが基材若しくはp層(又はn層)に付着
し物理的な欠陥となり結晶性を悪化させる。好適な利用
率の範囲は使用するシランガスの組成及び利用率制御の
目的によって異なる。本出願第2の発明の光電変換素子
の製造方法における利用率制御の目的としては以下〜
が挙げられる。 種結晶となる多結晶シリコン薄膜からなるp層(又は
n層)を形成させる。 多結晶シリコン薄膜からなるp層(又はn層)を成長
させる。 p層(又はn層)上でi層すなわち多結晶シリコン薄
膜を高速析出させる。
ン薄膜の製造効率は低下し、一方、利用率が過剰となる
場合には、膜の析出に悪影響を及ぼすような分解生成物
が発生し、これが基材若しくはp層(又はn層)に付着
し物理的な欠陥となり結晶性を悪化させる。好適な利用
率の範囲は使用するシランガスの組成及び利用率制御の
目的によって異なる。本出願第2の発明の光電変換素子
の製造方法における利用率制御の目的としては以下〜
が挙げられる。 種結晶となる多結晶シリコン薄膜からなるp層(又は
n層)を形成させる。 多結晶シリコン薄膜からなるp層(又はn層)を成長
させる。 p層(又はn層)上でi層すなわち多結晶シリコン薄
膜を高速析出させる。
【0080】結晶性が良好な多結晶シリコン薄膜を効率
よく得るためには、工程(1)及び工程(2)における
利用率をそれぞれ約0.5〜10%及び約10〜80%
の範囲、特に好適にはそれぞれ約1〜5%及び約30〜
60%の範囲に管理するのがよい。上記利用率は各工程
で使用するシランの供給速度若しくは温度、希釈ガスを
使用する場合にはその供給速度若しくは温度、基材若し
くはp層(又はn層)の温度、反応器内圧力、又はプラ
ズマ発生のために加えるエネルギー量の1以上により管
理することができる。
よく得るためには、工程(1)及び工程(2)における
利用率をそれぞれ約0.5〜10%及び約10〜80%
の範囲、特に好適にはそれぞれ約1〜5%及び約30〜
60%の範囲に管理するのがよい。上記利用率は各工程
で使用するシランの供給速度若しくは温度、希釈ガスを
使用する場合にはその供給速度若しくは温度、基材若し
くはp層(又はn層)の温度、反応器内圧力、又はプラ
ズマ発生のために加えるエネルギー量の1以上により管
理することができる。
【0081】(10)本出願第2の発明の光電変換素子
の製造方法において使用される基材 本発明において使用される基材は、特に限定されるもの
ではなく太陽電池形成プロセス及び用途に応じて適宜選
択されるものである。例えば、太陽電池の光電変換層と
して使用される場合においては、基材としては、石英ガ
ラス、青板ガラス、単結晶シリコン、多結晶シリコン、
各種金属、耐熱性ポリマー、透明導電体等が使用でき
る。
の製造方法において使用される基材 本発明において使用される基材は、特に限定されるもの
ではなく太陽電池形成プロセス及び用途に応じて適宜選
択されるものである。例えば、太陽電池の光電変換層と
して使用される場合においては、基材としては、石英ガ
ラス、青板ガラス、単結晶シリコン、多結晶シリコン、
各種金属、耐熱性ポリマー、透明導電体等が使用でき
る。
【0082】(11)本出願第2の発明の光電変換素子
の製造方法におけるその他の製造条件 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法において、
多結晶シリコン薄膜の析出は、上記の製造条件を満足す
るものであれば、その他の製造条件は公知の方法が特に
制限なく採用される。例えば、工程(1)及び工程
(2)において原料ガスをプラズマ化する手段としては
高周波、超短波、低周波、マイクロ波等の公知の方法が
特に制限なく用いられる。
の製造方法におけるその他の製造条件 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法において、
多結晶シリコン薄膜の析出は、上記の製造条件を満足す
るものであれば、その他の製造条件は公知の方法が特に
制限なく採用される。例えば、工程(1)及び工程
(2)において原料ガスをプラズマ化する手段としては
高周波、超短波、低周波、マイクロ波等の公知の方法が
特に制限なく用いられる。
【0083】(12)光電変換素子の製造過程における
p層(又はn層)に対する熱処理 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法では、p層
(又はn層)を形成した後、p層(又はn層)に対しp
層(又はn層)の形成温度以上の温度で熱処理を施し、
しかる後に工程(2)を行う様にすることができる。こ
れにより、工程(1)で形成されたp層(又はn層)の
耐熱性及び耐プラズマ性を向上させた上でp層(又はn
層)上に工程(2)でi層を形成することができ、工程
(2)でi層を高温成膜する際にp層(又はn層)中の
不純物がi層内に拡散してp/i界面に不活性層が生成
し、これにより初期変換効率が低下することを防ぐこと
ができる。また得られるi層は光照射を受けても安定し
たキャリヤ輸送能を示し、劣化が抑制される。以上の熱
処理温度は200℃〜600℃とするのがよい。熱処理
温度が200℃より低い場合は、p層(又はn層)の耐
熱性及び耐プラズマ性を十分に向上させることはでき
ず、一方600℃を超える場合においては、必要以上の
加熱によりp層(又はn層)の結晶性に乱れが生じ好ま
しくない。
p層(又はn層)に対する熱処理 本出願第2の発明の光電変換素子の製造方法では、p層
(又はn層)を形成した後、p層(又はn層)に対しp
層(又はn層)の形成温度以上の温度で熱処理を施し、
しかる後に工程(2)を行う様にすることができる。こ
れにより、工程(1)で形成されたp層(又はn層)の
耐熱性及び耐プラズマ性を向上させた上でp層(又はn
層)上に工程(2)でi層を形成することができ、工程
(2)でi層を高温成膜する際にp層(又はn層)中の
不純物がi層内に拡散してp/i界面に不活性層が生成
し、これにより初期変換効率が低下することを防ぐこと
ができる。また得られるi層は光照射を受けても安定し
たキャリヤ輸送能を示し、劣化が抑制される。以上の熱
処理温度は200℃〜600℃とするのがよい。熱処理
温度が200℃より低い場合は、p層(又はn層)の耐
熱性及び耐プラズマ性を十分に向上させることはでき
ず、一方600℃を超える場合においては、必要以上の
加熱によりp層(又はn層)の結晶性に乱れが生じ好ま
しくない。
【0084】C.本出願第3の発明の多結晶シリコン薄
膜 本出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、本出願第1
の発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法を適用して製造
されて、結晶体積分率が約85%以上で且つ暗導電率が
約1×10-3以上であるという特性を有するに至ること
をその特徴とし、したがって本出願第1の発明の多結晶
シリコン薄膜の製造方法につき適用される諸条件は、本
出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜を製造する場合の
条件として同様に適用される。以下これを具体的に説明
する。
膜 本出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、本出願第1
の発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法を適用して製造
されて、結晶体積分率が約85%以上で且つ暗導電率が
約1×10-3以上であるという特性を有するに至ること
をその特徴とし、したがって本出願第1の発明の多結晶
シリコン薄膜の製造方法につき適用される諸条件は、本
出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜を製造する場合の
条件として同様に適用される。以下これを具体的に説明
する。
【0085】すなわち本出願第3の発明の多結晶シリコ
ン薄膜は、本出願第1の発明の第一の工程を実施して得
られる多結晶シリコン基層と第二の工程を実施して得ら
れる多結晶シリコン薄膜主層とよりなる。すなわち本出
願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、水素化シランガ
スをプラズマ化し、基材と接触させることにより基材上
に形成された多結晶シリコン基層と、その多結晶シリコ
ン基層上に、少なくともハロゲン化シランを含有するガ
スをプラズマ化して析出させた多結晶シリコン薄膜主層
とよりなる多結晶シリコン薄膜であって、結晶体積分率
が約85%以上で且つ暗導電率が約1×10-3以上であ
る多結晶シリコン薄膜である。
ン薄膜は、本出願第1の発明の第一の工程を実施して得
られる多結晶シリコン基層と第二の工程を実施して得ら
れる多結晶シリコン薄膜主層とよりなる。すなわち本出
願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、水素化シランガ
スをプラズマ化し、基材と接触させることにより基材上
に形成された多結晶シリコン基層と、その多結晶シリコ
ン基層上に、少なくともハロゲン化シランを含有するガ
スをプラズマ化して析出させた多結晶シリコン薄膜主層
とよりなる多結晶シリコン薄膜であって、結晶体積分率
が約85%以上で且つ暗導電率が約1×10-3以上であ
る多結晶シリコン薄膜である。
【0086】(1)本出願第3の発明の多結晶シリコン
薄膜の結晶体積分率 本出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、結晶体積分
率が約85%以上であるものとして特徴づけられる。こ
こで結晶体積分率が約85%以上でない場合には、結晶
性が十分ではない結果として、結晶欠陥密度が増加する
ことにより、光導電率が低下して変換効率が下がる。
薄膜の結晶体積分率 本出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、結晶体積分
率が約85%以上であるものとして特徴づけられる。こ
こで結晶体積分率が約85%以上でない場合には、結晶
性が十分ではない結果として、結晶欠陥密度が増加する
ことにより、光導電率が低下して変換効率が下がる。
【0087】(2)本出願第3の発明の多結晶シリコン
薄膜の暗導電率 本出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、暗導電率が
約1×10-3以上であるものとして特徴づけられる。こ
こで暗導電率が約1×10-3以上でない場合には、導電
率が十分ではない結果として変換効率が低下する。
薄膜の暗導電率 本出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、暗導電率が
約1×10-3以上であるものとして特徴づけられる。こ
こで暗導電率が約1×10-3以上でない場合には、導電
率が十分ではない結果として変換効率が低下する。
【0088】以上の本出願第3の発明の多結晶シリコン
薄膜の有する特性は、本出願第3の発明の多結晶シリコ
ン薄膜が本出願第1の発明として特定される製造方法に
より製造される結果、その製造過程でプラズマ中に発生
するパウダーやフレーク等のダストを起因とする結晶欠
陥を著しく少なくすることができることにより達成され
る。しかも本出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、
かかる極めて優れた結晶性及び電気特性を示すものであ
りながら、単に実験室的に作製されるものではなく、現
実の工業的生産過程において極めて効率よく生産され得
るものである。したがって、その点で本出願第3の発明
の多結晶シリコン薄膜の有する特性は、特に生産効率等
を考慮することなく単に実験室的に作製される多結晶シ
リコン薄膜の有する特性とは異なる技術的意義を有する
ものとして、単に実験室的に作製される多結晶シリコン
薄膜の有する特性とは区別して認識されなければならな
い。
薄膜の有する特性は、本出願第3の発明の多結晶シリコ
ン薄膜が本出願第1の発明として特定される製造方法に
より製造される結果、その製造過程でプラズマ中に発生
するパウダーやフレーク等のダストを起因とする結晶欠
陥を著しく少なくすることができることにより達成され
る。しかも本出願第3の発明の多結晶シリコン薄膜は、
かかる極めて優れた結晶性及び電気特性を示すものであ
りながら、単に実験室的に作製されるものではなく、現
実の工業的生産過程において極めて効率よく生産され得
るものである。したがって、その点で本出願第3の発明
の多結晶シリコン薄膜の有する特性は、特に生産効率等
を考慮することなく単に実験室的に作製される多結晶シ
リコン薄膜の有する特性とは異なる技術的意義を有する
ものとして、単に実験室的に作製される多結晶シリコン
薄膜の有する特性とは区別して認識されなければならな
い。
【0089】D.本出願第4の発明の光電変換素子
本出願第4の発明の光電変換素子は、本出願第2の発明
の光電変換素子の製造方法を適用して製造されて、波長
400nmにおける量子効率が0.7以上であり、且つ
初期の変換効率に対する20000分光照射後の変換効
率の比が約0.95以上であるという特性を有するに至
ることをその特徴とし、したがって本出願第2の発明の
光電変換素子の製造方法につき適用される諸条件は、本
出願第4の発明の光電変換素子を製造する場合の条件と
して同様に適用される。以下これを具体的に説明する。
の光電変換素子の製造方法を適用して製造されて、波長
400nmにおける量子効率が0.7以上であり、且つ
初期の変換効率に対する20000分光照射後の変換効
率の比が約0.95以上であるという特性を有するに至
ることをその特徴とし、したがって本出願第2の発明の
光電変換素子の製造方法につき適用される諸条件は、本
出願第4の発明の光電変換素子を製造する場合の条件と
して同様に適用される。以下これを具体的に説明する。
【0090】すなわち本出願第4の発明の光電変換素子
は、本出願第2の発明の工程(1)を実施して得られる
p層(又はn層)と、工程(2)を実施して得られるi
層と、工程(3)を実施して得られるn層(又はp層)
とよりなる。すなわち本出願第4の発明の光電変換素子
は、水素化シランと周期律表第III族元素化合物(又は
周期律表第V族元素化合物)との混合ガスをプラズマ化
し、基材に接触させることにより基材上に周期律表第II
I族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多結晶シリコ
ンを析出させて得られる厚さが約10〜150オングス
トロームのp層(又はn層)と、少なくともハロゲン化
シランを含むガスをプラズマ化し、前記p層(又はn
層)と接触させて形成されたi層と、少なくとも水素化
シラン又はハロゲン化シランのいずれか一方のシラン及
び周期律表第V族元素化合物(又は周期律表第III族元素
化合物)の混合ガスをプラズマ化し、前記i層と接触さ
せることによりi層上に周期律表第V族元素(又は周期
律表第III族元素)を含む多結晶シリコンを析出させて
形成されたn層(又はp層)とよりなる光電変換素子で
あって、波長400nmにおける量子効率が0.7以上
であり、且つ初期の変換効率に対する20000分光照
射後の変換効率の比が約0.95以上であることを特徴
とする光電変換素子である。
は、本出願第2の発明の工程(1)を実施して得られる
p層(又はn層)と、工程(2)を実施して得られるi
層と、工程(3)を実施して得られるn層(又はp層)
とよりなる。すなわち本出願第4の発明の光電変換素子
は、水素化シランと周期律表第III族元素化合物(又は
周期律表第V族元素化合物)との混合ガスをプラズマ化
し、基材に接触させることにより基材上に周期律表第II
I族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多結晶シリコ
ンを析出させて得られる厚さが約10〜150オングス
トロームのp層(又はn層)と、少なくともハロゲン化
シランを含むガスをプラズマ化し、前記p層(又はn
層)と接触させて形成されたi層と、少なくとも水素化
シラン又はハロゲン化シランのいずれか一方のシラン及
び周期律表第V族元素化合物(又は周期律表第III族元素
化合物)の混合ガスをプラズマ化し、前記i層と接触さ
せることによりi層上に周期律表第V族元素(又は周期
律表第III族元素)を含む多結晶シリコンを析出させて
形成されたn層(又はp層)とよりなる光電変換素子で
あって、波長400nmにおける量子効率が0.7以上
であり、且つ初期の変換効率に対する20000分光照
射後の変換効率の比が約0.95以上であることを特徴
とする光電変換素子である。
【0091】係る本出願第4の発明の光電変換素子は、
製造過程でプラズマ中に発生するパウダーやフレーク等
のダストを起因とする結晶欠陥が著しく少なく、極めて
優れた結晶性及び電気特性を備え、高性能で信頼性の高
いシリコン系薄膜太陽電池として適用することができ
る。
製造過程でプラズマ中に発生するパウダーやフレーク等
のダストを起因とする結晶欠陥が著しく少なく、極めて
優れた結晶性及び電気特性を備え、高性能で信頼性の高
いシリコン系薄膜太陽電池として適用することができ
る。
【0092】(1) 本出願第4の発明の光電変換素子
の量子効率 本出願第4の発明の光電変換素子は、波長400nmに
おける量子効率が0.7以上であるものとして特徴づけ
られる。ここで波長400nmにおける量子効率が0.
7以上でない場合には、光吸収特性が十分ではなく、従
来技術により得られる太陽電池と同程度の光吸収特性に
過ぎず、特に有用性が大きいものとは認められない。
の量子効率 本出願第4の発明の光電変換素子は、波長400nmに
おける量子効率が0.7以上であるものとして特徴づけ
られる。ここで波長400nmにおける量子効率が0.
7以上でない場合には、光吸収特性が十分ではなく、従
来技術により得られる太陽電池と同程度の光吸収特性に
過ぎず、特に有用性が大きいものとは認められない。
【0093】(2) 本出願第4の発明の光電変換素子
の初期の変換効率に対する一定時間光照射後の変換効率
の比 本出願第4の発明の光電変換素子は、初期の変換効率に
対する20000分光照射後の変換効率の比が約0.9
5以上であるものとして特徴づけられる。ここで初期の
変換効率に対する20000分光照射後の変換効率の比
が約0.95以上でない場合には、光劣化特性が十分で
はなく、かかる光劣化特性は従来技術により得られる光
電変換素子の光劣化特性と同等性能であり、例えば太陽
電池として適用する場合の耐久性が不十分となる。
の初期の変換効率に対する一定時間光照射後の変換効率
の比 本出願第4の発明の光電変換素子は、初期の変換効率に
対する20000分光照射後の変換効率の比が約0.9
5以上であるものとして特徴づけられる。ここで初期の
変換効率に対する20000分光照射後の変換効率の比
が約0.95以上でない場合には、光劣化特性が十分で
はなく、かかる光劣化特性は従来技術により得られる光
電変換素子の光劣化特性と同等性能であり、例えば太陽
電池として適用する場合の耐久性が不十分となる。
【0094】以上の本出願第4の発明の光電変換素子の
有する特性は、本出願第4の発明の光電変換素子が本出
願第2の発明として特定される製造方法により製造され
る結果、その製造過程でプラズマ中に発生するパウダー
やフレーク等のダストを起因とする結晶欠陥を著しく少
なくすることができることにより達成される。しかも本
出願第4の発明の光電変換素子は、かかる極めて優れた
結晶性及び電気特性を示すものでありながら、単に実験
室的に作製されるものではなく、現実の工業的生産過程
において極めて効率よく生産され得るものである。した
がって、その点で本出願第4の発明の光電変換素子の有
する特性は、特に生産効率等を考慮することなく単に実
験室的に作製される多結晶シリコン薄膜の有する特性と
は異なる技術的意義を有するものとして、単に実験室的
に作製される光電変換素子の有する特性とは区別して認
識されなければならない。
有する特性は、本出願第4の発明の光電変換素子が本出
願第2の発明として特定される製造方法により製造され
る結果、その製造過程でプラズマ中に発生するパウダー
やフレーク等のダストを起因とする結晶欠陥を著しく少
なくすることができることにより達成される。しかも本
出願第4の発明の光電変換素子は、かかる極めて優れた
結晶性及び電気特性を示すものでありながら、単に実験
室的に作製されるものではなく、現実の工業的生産過程
において極めて効率よく生産され得るものである。した
がって、その点で本出願第4の発明の光電変換素子の有
する特性は、特に生産効率等を考慮することなく単に実
験室的に作製される多結晶シリコン薄膜の有する特性と
は異なる技術的意義を有するものとして、単に実験室的
に作製される光電変換素子の有する特性とは区別して認
識されなければならない。
【0095】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するために以下に
本発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法及び光電変換素
子の製造方法の実施例を示す。なお以下の各実施例は図
1にその概略を示した多結晶シリコン薄膜作製装置を用
いて行った。また、以下の実施例及び比較例において、
本発明によって得られた多結晶シリコン薄膜の導電率評
価、結晶性評価、耐光劣化試験、量子効率評価及び塩素
含有量評価は、以下の(1)〜(5)に示す方法によっ
て行った。
本発明の多結晶シリコン薄膜の製造方法及び光電変換素
子の製造方法の実施例を示す。なお以下の各実施例は図
1にその概略を示した多結晶シリコン薄膜作製装置を用
いて行った。また、以下の実施例及び比較例において、
本発明によって得られた多結晶シリコン薄膜の導電率評
価、結晶性評価、耐光劣化試験、量子効率評価及び塩素
含有量評価は、以下の(1)〜(5)に示す方法によっ
て行った。
【0096】(1)導電率
図2に示すように、石英基材5上に析出した多結晶シリ
コン膜13上にオーミック接触となるようなギャップタ
イプの金属電極14を付着させ、電極14間に電圧を印
加した状態において流れる電流を測定し導電率を求め
た。光を照射しない暗い状態の導電率を暗導電率、光を
照射した状態の導電率を光導電率とした。光の強度は1
00mW/cm2とした。
コン膜13上にオーミック接触となるようなギャップタ
イプの金属電極14を付着させ、電極14間に電圧を印
加した状態において流れる電流を測定し導電率を求め
た。光を照射しない暗い状態の導電率を暗導電率、光を
照射した状態の導電率を光導電率とした。光の強度は1
00mW/cm2とした。
【0097】(2)結晶性
紫外から可視域の波長を用いた分光エリプソメーターに
より、疑似誘電率の波長依存性を測定し、得られた波形
をブラックマンの有効媒質近似理論に基づき解析するこ
とによって多結晶シリコン膜の結晶体積分率を見積もっ
た。
より、疑似誘電率の波長依存性を測定し、得られた波形
をブラックマンの有効媒質近似理論に基づき解析するこ
とによって多結晶シリコン膜の結晶体積分率を見積もっ
た。
【0098】(3)耐光劣化試験
2000nm以上の赤外光をフィルターによって遮断し
た500mW/cm2の強度のキセノンランプ光を試料
に照射し、光導電率の光照射時間依存性を調べた。この
時、光照射時間は20000分一定とした。光照射中の
試料の温度上昇を防止するために、試料ホルダーを水冷
し、試料表面温度は常に40℃とした。初期の変換効率
に対する20000分光照射後の変換効率の比を光導電
率の耐光劣化度として評価した。また、太陽電池の耐光
劣化試験を行う場合においては、透明電極付きガラス基
材の透明電極上にpin(nip)型多結晶シリコン膜
を析出させ、さらにその上部に銀電極を真空蒸着により
付着させて、変換効率の耐光劣化度を調べた。なお、変
換効率の耐光劣化度は光導電率の場合と同様に初期の変
換効率に対する20000分光照射後の変換効率の比で
ある。
た500mW/cm2の強度のキセノンランプ光を試料
に照射し、光導電率の光照射時間依存性を調べた。この
時、光照射時間は20000分一定とした。光照射中の
試料の温度上昇を防止するために、試料ホルダーを水冷
し、試料表面温度は常に40℃とした。初期の変換効率
に対する20000分光照射後の変換効率の比を光導電
率の耐光劣化度として評価した。また、太陽電池の耐光
劣化試験を行う場合においては、透明電極付きガラス基
材の透明電極上にpin(nip)型多結晶シリコン膜
を析出させ、さらにその上部に銀電極を真空蒸着により
付着させて、変換効率の耐光劣化度を調べた。なお、変
換効率の耐光劣化度は光導電率の場合と同様に初期の変
換効率に対する20000分光照射後の変換効率の比で
ある。
【0099】(4)太陽電池の量子効率の測定
400〜800nmの波長範囲で太陽電池の電流電圧特
性を測定することにより、波長400nmにおける量子
効率を求めた。
性を測定することにより、波長400nmにおける量子
効率を求めた。
【0100】(5)多結晶シリコン薄膜中のハロゲン原
子含有量 多結晶シリコン薄膜中のハロゲン原子含有量の測定は2
次イオン検出質量分析装置を使用して、石英基材上に析
出させた試料に対して、析出膜の表面側から主層部に関
して行った。
子含有量 多結晶シリコン薄膜中のハロゲン原子含有量の測定は2
次イオン検出質量分析装置を使用して、石英基材上に析
出させた試料に対して、析出膜の表面側から主層部に関
して行った。
【0101】実施例1
第一工程における多結晶シリコン薄膜析出用のガスとし
てモノシランガス3sccm、水素ガス50sccmを
反応容器1内に導入した。尚、モノシランガスは予め4
50℃になるように予備加熱を施した。そして、圧力調
製器9により反応容器1内の圧力を100mTorrに
設定した後、ガス等によるプラズマを発生させた。プラ
ズマ発生用の電源として高周波電源を使用し、出力を2
0Wに調節した。プラズマが安定するまでの約10秒の
間シャッター12を閉じ、10秒後にシャッター12を
開け、加熱基材5とプラズマとを接触させることにより
基材5上に多結晶シリコン薄膜基層を析出させた。その
際基材温度は150℃とし、析出時間は200秒とし
た。基材には石英ガラスを使用した。ここで、上述の条
件で析出時間を200秒に設定することにより約100
オングストロームの厚みの多結晶シリコン薄膜が得られ
る析出時間と薄膜厚さとの対応関係は予め確認した上
で、上述の薄膜の析出を行った。
てモノシランガス3sccm、水素ガス50sccmを
反応容器1内に導入した。尚、モノシランガスは予め4
50℃になるように予備加熱を施した。そして、圧力調
製器9により反応容器1内の圧力を100mTorrに
設定した後、ガス等によるプラズマを発生させた。プラ
ズマ発生用の電源として高周波電源を使用し、出力を2
0Wに調節した。プラズマが安定するまでの約10秒の
間シャッター12を閉じ、10秒後にシャッター12を
開け、加熱基材5とプラズマとを接触させることにより
基材5上に多結晶シリコン薄膜基層を析出させた。その
際基材温度は150℃とし、析出時間は200秒とし
た。基材には石英ガラスを使用した。ここで、上述の条
件で析出時間を200秒に設定することにより約100
オングストロームの厚みの多結晶シリコン薄膜が得られ
る析出時間と薄膜厚さとの対応関係は予め確認した上
で、上述の薄膜の析出を行った。
【0102】第一工程における多結晶シリコン薄膜基層
の析出はシャッター12を閉じ基材5上への多結晶シリ
コン膜の析出を停止させることにより終了させ、基材5
及び基材5上に形成された基層の温度を250℃まで上
昇させると共に、ジクロロシランガスを10sccmの
流量で反応容器1内へ供給した。モノシランガスはバイ
パスラインを使用し、予備加熱無しで第一工程と同様の
流量を反応容器1内へ導入した。圧力調製器9により反
応容器1内の圧力を200mTorrに設定した後、ガ
スによるプラズマを発生させた。プラズマ発生用の電源
としては第一工程と同様、高周波電源を使用し、出力を
100Wに調節した。プラズマが安定するまでの約10
秒の間シャッター12を閉じ、10秒後にシャッター1
2を開け、第一工程により得られた加熱基材上の多結晶
シリコン膜基層とプラズマとを接触させることにより基
層上に多結晶シリコン薄膜を析出する第二工程を実施し
た。析出時間は1000秒とした。第一工程と同様に1
000秒の析出で約3.5ミクロンの厚みの多結晶シリ
コン薄膜が得られることは予め確認している。
の析出はシャッター12を閉じ基材5上への多結晶シリ
コン膜の析出を停止させることにより終了させ、基材5
及び基材5上に形成された基層の温度を250℃まで上
昇させると共に、ジクロロシランガスを10sccmの
流量で反応容器1内へ供給した。モノシランガスはバイ
パスラインを使用し、予備加熱無しで第一工程と同様の
流量を反応容器1内へ導入した。圧力調製器9により反
応容器1内の圧力を200mTorrに設定した後、ガ
スによるプラズマを発生させた。プラズマ発生用の電源
としては第一工程と同様、高周波電源を使用し、出力を
100Wに調節した。プラズマが安定するまでの約10
秒の間シャッター12を閉じ、10秒後にシャッター1
2を開け、第一工程により得られた加熱基材上の多結晶
シリコン膜基層とプラズマとを接触させることにより基
層上に多結晶シリコン薄膜を析出する第二工程を実施し
た。析出時間は1000秒とした。第一工程と同様に1
000秒の析出で約3.5ミクロンの厚みの多結晶シリ
コン薄膜が得られることは予め確認している。
【0103】得られた多結晶シリコン薄膜の特性は、結
晶体積分率85%、暗導電率1×10-3S/cm以上であ
った。光劣化試験の結果、変換効率の耐光劣化度は0.
95であり光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測され
なかった。また塩素含有量は0.5原子%であった。
晶体積分率85%、暗導電率1×10-3S/cm以上であ
った。光劣化試験の結果、変換効率の耐光劣化度は0.
95であり光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測され
なかった。また塩素含有量は0.5原子%であった。
【0104】実施例2
実施例1において、第一工程におけるモノシランガス加
熱温度のみを550℃に変更しその他の条件は固定して
多結晶シリコン薄膜の析出を行った。得られた多結晶シ
リコン薄膜の評価を実施例1と同様に行った。その結
果、結晶体積分率93%、暗導電率5×10-3S/cm以
上であった。実施例1と同様光劣化試験を実施した結
果、変換効率の耐光劣化度は0.96であり、光照射に
伴う変換効率の低下は殆ど観測されなかった。また塩素
含有量は0.3原子%であった。
熱温度のみを550℃に変更しその他の条件は固定して
多結晶シリコン薄膜の析出を行った。得られた多結晶シ
リコン薄膜の評価を実施例1と同様に行った。その結
果、結晶体積分率93%、暗導電率5×10-3S/cm以
上であった。実施例1と同様光劣化試験を実施した結
果、変換効率の耐光劣化度は0.96であり、光照射に
伴う変換効率の低下は殆ど観測されなかった。また塩素
含有量は0.3原子%であった。
【0105】実施例3
実施例1において、第一工程における基材温度を250
℃、第二の工程における基材温度を300℃に変更し、
その他の条件は固定して多結晶シリコン薄膜の析出を行
った。得られた多結晶シリコン薄膜の評価を実施例1と
同様に行った。その結果、結晶体積分率90%、暗導電
率5×10-3S/cm以上であった。実施例1と同様光劣
化試験を実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.9
6であり、光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測され
なかった。また塩素含有量は0.3原子%であった。
℃、第二の工程における基材温度を300℃に変更し、
その他の条件は固定して多結晶シリコン薄膜の析出を行
った。得られた多結晶シリコン薄膜の評価を実施例1と
同様に行った。その結果、結晶体積分率90%、暗導電
率5×10-3S/cm以上であった。実施例1と同様光劣
化試験を実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.9
6であり、光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測され
なかった。また塩素含有量は0.3原子%であった。
【0106】実施例4
実施例1において、第一工程における基材温度を250
℃、第二の工程における基材温度を500℃に変更し、
その他の条件は固定して多結晶シリコン薄膜の析出を行
った。得られた多結晶シリコン薄膜の評価を実施例1と
同様に行った。その結果、結晶体積分率93%、暗導電
率5×10-3S/cm以上であった。実施例1と同様光劣
化試験を実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.9
7であり、光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測され
なかった。また塩素含有量は0.6原子%であった。
℃、第二の工程における基材温度を500℃に変更し、
その他の条件は固定して多結晶シリコン薄膜の析出を行
った。得られた多結晶シリコン薄膜の評価を実施例1と
同様に行った。その結果、結晶体積分率93%、暗導電
率5×10-3S/cm以上であった。実施例1と同様光劣
化試験を実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.9
7であり、光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測され
なかった。また塩素含有量は0.6原子%であった。
【0107】実施例5
実施例1の第一工程において供給する水素ガスにジボラ
ンガス(B2H6)を0.3sccmの流量を混入させ、
その他の条件は固定して第一工程を実施し、P型多結晶
シリコン薄膜を形成した。この時、基材としては透明電
極付き石英ガラスを使用した。その後、実施例1と同様
に第二工程を実施して不純物が含まれない多結晶シリコ
ン薄膜を3.5ミクロン析出した。第二工程終了後、シ
ャッター12を閉じ、基材上への多結晶シリコン膜の析
出を停止させ、供給中の水素ガスにホスフィンガス(P
H3)を0.3sccmの流量で混入させ、その他の条
件は第二工程と同様にして100オングストローム厚の
N型多結晶シリコン薄膜を析出した。
ンガス(B2H6)を0.3sccmの流量を混入させ、
その他の条件は固定して第一工程を実施し、P型多結晶
シリコン薄膜を形成した。この時、基材としては透明電
極付き石英ガラスを使用した。その後、実施例1と同様
に第二工程を実施して不純物が含まれない多結晶シリコ
ン薄膜を3.5ミクロン析出した。第二工程終了後、シ
ャッター12を閉じ、基材上への多結晶シリコン膜の析
出を停止させ、供給中の水素ガスにホスフィンガス(P
H3)を0.3sccmの流量で混入させ、その他の条
件は第二工程と同様にして100オングストローム厚の
N型多結晶シリコン薄膜を析出した。
【0108】すべての工程が終了し、基材温度が50℃
程度まで低下した後、多結晶シリコン薄膜が析出された
基材を反応容器1から取出し、最上部のN型多結晶シリ
コン膜上に銀電極を真空蒸着法により付着させPIN型
多結晶シリコン薄膜太陽電池を形成した。得られた太陽
電池の光電変換効率を測定したところ約8%の変換効率
が得られた。実施例1と同様光劣化試験を太陽電池に対
して実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.96で
あり、光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測されなか
った。また波長400nmにおける量子効率は0.77
であった。
程度まで低下した後、多結晶シリコン薄膜が析出された
基材を反応容器1から取出し、最上部のN型多結晶シリ
コン膜上に銀電極を真空蒸着法により付着させPIN型
多結晶シリコン薄膜太陽電池を形成した。得られた太陽
電池の光電変換効率を測定したところ約8%の変換効率
が得られた。実施例1と同様光劣化試験を太陽電池に対
して実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.96で
あり、光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測されなか
った。また波長400nmにおける量子効率は0.77
であった。
【0109】実施例6
他は実施例5と同様にし、第二工程を実施する前に第一
工程を実施して得られたP型多結晶シリコン薄膜に25
0℃1時間の熱処理を施した得られた太陽電池の光電変
換効率を測定したところ約9%の変換効率が得られた。
実施例1と同様光劣化試験を太陽電池に対して実施した
結果、変換効率の耐光劣化度は0.98であり、光照射
に伴う変換効率の低下は殆ど観測されなかった。また波
長400nmにおける量子効率は0.80であった。
工程を実施して得られたP型多結晶シリコン薄膜に25
0℃1時間の熱処理を施した得られた太陽電池の光電変
換効率を測定したところ約9%の変換効率が得られた。
実施例1と同様光劣化試験を太陽電池に対して実施した
結果、変換効率の耐光劣化度は0.98であり、光照射
に伴う変換効率の低下は殆ど観測されなかった。また波
長400nmにおける量子効率は0.80であった。
【0110】実施例7
実施例1の第一工程において供給する水素ガスにホスフ
ィンガス(PH3)を0.3sccmの流量を混入さ
せ、その他の条件は固定して第一工程を実施し、厚さ5
0オングストロームのN型多結晶シリコン薄膜を形成し
た。この時、基材としては透明電極付き石英ガラスを使
用した。その後、実施例1と同様に第二工程を実施して
不純物が含まれない多結晶シリコン薄膜を3.5ミクロ
ン析出した。その際第二工程では前記N型多結晶シリコ
ン薄膜上に100オングストロームまで上記ドーパント
を混入させて多結晶シリコン薄膜を析出した。したがっ
てN型多結晶シリコン薄膜の厚さは計150オングスト
ロームとなっている。第二工程終了後、シャッター12
を閉じ、基材上への多結晶シリコン膜の析出を停止さ
せ、供給中の水素ガスにジボランガス(B2H6)を0.
3sccmの流量で混入させ、その他の条件は第二工程
と同様にして100オングストローム厚のP型多結晶シ
リコン薄膜を析出した。すべての工程が終了し、基材温
度が50℃程度まで低下した後、多結晶シリコン薄膜が
析出された基材を反応容器1から取出し、最上部のP型
多結晶シリコン膜上に銀電極を真空蒸着法により付着さ
せNIP型多結晶シリコン薄膜太陽電池を形成した。得
られた太陽電池の光電変換効率を測定したところ約8%
の変換効率が得られた。
ィンガス(PH3)を0.3sccmの流量を混入さ
せ、その他の条件は固定して第一工程を実施し、厚さ5
0オングストロームのN型多結晶シリコン薄膜を形成し
た。この時、基材としては透明電極付き石英ガラスを使
用した。その後、実施例1と同様に第二工程を実施して
不純物が含まれない多結晶シリコン薄膜を3.5ミクロ
ン析出した。その際第二工程では前記N型多結晶シリコ
ン薄膜上に100オングストロームまで上記ドーパント
を混入させて多結晶シリコン薄膜を析出した。したがっ
てN型多結晶シリコン薄膜の厚さは計150オングスト
ロームとなっている。第二工程終了後、シャッター12
を閉じ、基材上への多結晶シリコン膜の析出を停止さ
せ、供給中の水素ガスにジボランガス(B2H6)を0.
3sccmの流量で混入させ、その他の条件は第二工程
と同様にして100オングストローム厚のP型多結晶シ
リコン薄膜を析出した。すべての工程が終了し、基材温
度が50℃程度まで低下した後、多結晶シリコン薄膜が
析出された基材を反応容器1から取出し、最上部のP型
多結晶シリコン膜上に銀電極を真空蒸着法により付着さ
せNIP型多結晶シリコン薄膜太陽電池を形成した。得
られた太陽電池の光電変換効率を測定したところ約8%
の変換効率が得られた。
【0111】実施例1と同様光劣化試験を太陽電池に対
して実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.97で
あり、光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測されなか
った。また波長400nmにおける量子効率は0.75
であった。また本実施例の太陽電池におけるp層の塩素
含有量の測定を、別に本実施例におけるp層の成膜条件
と同一の成膜条件でp層を石英基材上に析出させた試料
を用いて行った。測定は、この試料の析出膜の表面側か
ら主層部に関して2次イオン検出質量分析装置を使用し
て行った。その結果、塩素含有量は0.3原子%であっ
た。
して実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.97で
あり、光照射に伴う変換効率の低下は殆ど観測されなか
った。また波長400nmにおける量子効率は0.75
であった。また本実施例の太陽電池におけるp層の塩素
含有量の測定を、別に本実施例におけるp層の成膜条件
と同一の成膜条件でp層を石英基材上に析出させた試料
を用いて行った。測定は、この試料の析出膜の表面側か
ら主層部に関して2次イオン検出質量分析装置を使用し
て行った。その結果、塩素含有量は0.3原子%であっ
た。
【0112】比較例1
実施例1において、第一工程におけるモノシランガスの
加熱を行わずに、その他の条件は固定して多結晶シリコ
ン薄膜の析出を行った。得られた多結晶シリコン薄膜の
評価を実施例1と同様に行ったところ、結晶体積分率8
0%、暗導電率5×10-4S/cm程度であり、従来技術
で得られる多結晶シリコン薄膜とほぼ同等の品質を示し
た。さらに、目視により膜の表面の表面状態を観察した
ところ、白く濁っておりピンホールが観測された。また
実施例1と同様光劣化試験を実施した結果、変換効率の
耐光劣化度は0.94であり、光照射に伴う変換効率の
低下が各実施例のものに比し、大きいことが観測され
た。
加熱を行わずに、その他の条件は固定して多結晶シリコ
ン薄膜の析出を行った。得られた多結晶シリコン薄膜の
評価を実施例1と同様に行ったところ、結晶体積分率8
0%、暗導電率5×10-4S/cm程度であり、従来技術
で得られる多結晶シリコン薄膜とほぼ同等の品質を示し
た。さらに、目視により膜の表面の表面状態を観察した
ところ、白く濁っておりピンホールが観測された。また
実施例1と同様光劣化試験を実施した結果、変換効率の
耐光劣化度は0.94であり、光照射に伴う変換効率の
低下が各実施例のものに比し、大きいことが観測され
た。
【0113】比較例2
実施例1において、第一工程におけるモノシランガスの
加熱温度を650℃とし、その他の条件は固定して多結
晶シリコン薄膜の析出を行った。得られた多結晶シリコ
ン薄膜の評価を実施例1と同様に行ったところ、結晶体
積分率80%、暗導電率5×10-4S/cm程度であり、
従来技術で得られる多結晶シリコン薄膜とほぼ同等の品
質を示した。さらに、目視により膜の表面の表面状態を
観察したところ、白く濁っておりピンホールが観測され
た。また実施例1と同様光劣化試験を実施した結果、変
換効率の耐光劣化度は0.92であり、光照射に伴う変
換効率の低下が各実施例のものに比し、大きいことが観
測された。
加熱温度を650℃とし、その他の条件は固定して多結
晶シリコン薄膜の析出を行った。得られた多結晶シリコ
ン薄膜の評価を実施例1と同様に行ったところ、結晶体
積分率80%、暗導電率5×10-4S/cm程度であり、
従来技術で得られる多結晶シリコン薄膜とほぼ同等の品
質を示した。さらに、目視により膜の表面の表面状態を
観察したところ、白く濁っておりピンホールが観測され
た。また実施例1と同様光劣化試験を実施した結果、変
換効率の耐光劣化度は0.92であり、光照射に伴う変
換効率の低下が各実施例のものに比し、大きいことが観
測された。
【0114】比較例3
実施例1において、第一工程における析出時間を10秒
とし、その他の条件は固定して多結晶シリコン薄膜の析
出を行った。10秒の析出で約5オングストロームの厚
みの多結晶シリコン薄膜が得られることは予め確認して
いる。得られた多結晶シリコン薄膜の評価を実施例1と
同様に行ったところ、結晶体積分率75%、暗導電率5
×10-4S/cm程度であり、従来技術で得られる多結晶
シリコン薄膜とほぼ同等の品質を示した。さらに、目視
により膜の表面の表面状態を観察したところ、白く濁っ
ておりピンホールが観測された。また実施例1と同様光
劣化試験を実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.
91であり、光照射に伴う変換効率の低下が各実施例の
ものに比し、大きいことが観測された。
とし、その他の条件は固定して多結晶シリコン薄膜の析
出を行った。10秒の析出で約5オングストロームの厚
みの多結晶シリコン薄膜が得られることは予め確認して
いる。得られた多結晶シリコン薄膜の評価を実施例1と
同様に行ったところ、結晶体積分率75%、暗導電率5
×10-4S/cm程度であり、従来技術で得られる多結晶
シリコン薄膜とほぼ同等の品質を示した。さらに、目視
により膜の表面の表面状態を観察したところ、白く濁っ
ておりピンホールが観測された。また実施例1と同様光
劣化試験を実施した結果、変換効率の耐光劣化度は0.
91であり、光照射に伴う変換効率の低下が各実施例の
ものに比し、大きいことが観測された。
【0115】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明の光電変換素子及びこの製造方法によれば速い膜形成
速度において、結晶性及び電気特性の優れた高品質光電
変換素子を製造することが可能になり、光電変換素子を
用いた太陽電池を工業的に生産することを可能にしてそ
の工業化に大きく寄与する技術となる。本発明の光電変
換素子及びこの製造方法は製造時間の短縮だけでなく、
製造時にプラズマ中でパウダー等の欠陥発生源を副生成
物として発生することがないので製造装置のメンテナン
スが簡素化されるとともに歩留まり良く多結晶シリコン
薄膜の析出が可能となる特徴もあり工業的価値は極めて
大きい。
明の光電変換素子及びこの製造方法によれば速い膜形成
速度において、結晶性及び電気特性の優れた高品質光電
変換素子を製造することが可能になり、光電変換素子を
用いた太陽電池を工業的に生産することを可能にしてそ
の工業化に大きく寄与する技術となる。本発明の光電変
換素子及びこの製造方法は製造時間の短縮だけでなく、
製造時にプラズマ中でパウダー等の欠陥発生源を副生成
物として発生することがないので製造装置のメンテナン
スが簡素化されるとともに歩留まり良く多結晶シリコン
薄膜の析出が可能となる特徴もあり工業的価値は極めて
大きい。
【図1】 本発明の実施に使用する装置の代表的な態様
を示す概念図
を示す概念図
【図2】 分光特性測定用及び耐光劣化試験用素子の概
念図
念図
1 反応容器
2 高周波印加用電極
3 接地電極
4 高周波発生装置
5 基材
6 ヒータ−
7 ガス供給口
8 真空ポンプ
9 圧力調製器
10 ガス管加熱ヒーター
12 シャッター
13 本発明により得られた多結晶シリコン薄膜
14 金属電極
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平4−84417(JP,A)
特開 平7−263734(JP,A)
特開 平9−191119(JP,A)
特開 平7−297138(JP,A)
特開 昭61−219181(JP,A)
特開 平3−219622(JP,A)
特開 昭62−35680(JP,A)
特開 平7−263732(JP,A)
特開 平6−181327(JP,A)
特開 平4−266067(JP,A)
特開 平2−49474(JP,A)
特開 平4−137725(JP,A)
特開 平4−35021(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01L 31/04 - 31/078
H01L 21/205
Claims (5)
- 【請求項1】 基材上にp層(又はn層)、i層及びn
層(又はp層)がこの順で積層されてなる光電変換素子
の製造方法であって、下記(1)〜(3)の工程を含む
ことを特徴とする光電変換素子の製造方法。 (1) 水素化シランと周期律表第III族元素化合物
(又は周期律表第V族元素化合物)との混合ガスをプラ
ズマ化し、基材に接触させることにより基材上に周期律
表第III族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多結晶
シリコンを析出させて厚さが約10〜150オングスト
ロームのp層(又はn層)を形成する工程 (2) 少なくともハロゲン化シランを含むガスをプ
ラズマ化し、p層(又はn層)と接触させることにより
p層(又はn層)上に多結晶シリコンを析出させてi層
を形成する工程 (3) 少なくとも水素化シラン又はハロゲン化シラ
ンのいずれか一方のシラン及び周期律表第V族元素化合
物(又は周期律表第III族元素化合物)の混合ガスをプ
ラズマ化し、工程(2)で形成したi層と接触させるこ
とによりi層上に周期律表第V族元素(又は周期律表第I
II族元素)を含む多結晶シリコンを析出させてn層(又
はp層)を形成する工程。 - 【請求項2】 p層(又はn層)を形成する工程が、水
素化シランと周期律表第III族元素化合物(又は周期律
表第V族元素化合物)との混合ガスをプラズマ化し、基
材に接触させることにより基材上に周期律表第III族元
素(又は周期律表第V族元素)を含む多結晶シリコンを
析出させてp層1(又はn層1)を形成し、次いで少な
くともハロゲン化シラン及び周期律表第III族元素化合
物(又は周期律表第V族元素化合物)の混合ガスをプラ
ズマ化し、p層1(又はn層1)と接触させることによ
りp層1(又はn層1)上に周期律表第III族元素(又
は周期律表第V族元素)を含むp層2(又はn層2)を
形成し、p層1及びp層2(又はn層1又はn層2)か
らなる厚さが約10〜150オングストロームのp層
(又はn層)を形成する工程である請求項1記載の光電
変換素子の製造方法。 - 【請求項3】 工程(1)及び工程(2),工程(3)
において、又はp層1(又はn層1)を形成する工程及
びp層1(又はn層1)以外の層を形成する工程におい
て、それぞれの工程で用いられる全シランの総供給量に
対するそれぞれの工程で形成される多結晶シリコン量
(以下「利用率」とする。)を管理して行う請求項1又
は請求項2記載の光電変換素子の製造方法。 - 【請求項4】 工程(1)又はp層1(又はn層1)を
形成する工程の利用率を0.5〜10%とし、工程
(2),工程(3)又はp層1(又はn層1)以外の層
を形成する工程の利用率を10%〜80%とする請求項
3記載の光電変換素子の製造方法。 - 【請求項5】 水素化シランと周期律表第III族元素化
合物(又は周期律表第V族元素化合物)との混合ガスを
プラズマ化し、基材に接触させることにより基材上に周
期律表第III族元素(又は周期律表第V族元素)を含む多
結晶シリコンを析出させて得られる厚さが約10〜15
0オングストロームのp層(又はn層)と、少なくとも
ハロゲン化シランを含むガスをプラズマ化し、前記p層
(又はn層)と接触させて形成されたi層と、少なくと
も水素化シラン又はハロゲン化シランのいずれか一方の
シラン及び周期律表第V族元素化合物(又は周期律表第I
II族元素化合物)の混合ガスをプラズマ化し、前記i層
と接触させることによりi層上に周期律表第V族元素
(又は周期律表第III族元素)を含む多結晶シリコンを
析出させて形成されたn層(又はp層)とよりなる光電
変換素子であって、波長400nmにおける量子効率が
0.7以上であり、且つ初期の変換効率に対する200
00分光照射後の変換効率の比が約0.95以上である
ことを特徴とする光電変換素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24503597A JP3407792B2 (ja) | 1997-09-10 | 1997-09-10 | 光電変換素子及びこの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24503597A JP3407792B2 (ja) | 1997-09-10 | 1997-09-10 | 光電変換素子及びこの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1187751A JPH1187751A (ja) | 1999-03-30 |
JP3407792B2 true JP3407792B2 (ja) | 2003-05-19 |
Family
ID=17127622
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24503597A Expired - Fee Related JP3407792B2 (ja) | 1997-09-10 | 1997-09-10 | 光電変換素子及びこの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3407792B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3911971B2 (ja) | 1999-09-08 | 2007-05-09 | 松下電器産業株式会社 | シリコン薄膜、薄膜トランジスタおよびシリコン薄膜の製造方法 |
JP2004071970A (ja) * | 2002-08-08 | 2004-03-04 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 太陽電池用シリコン基板の製造方法およびその製造システム |
EP1717341B1 (en) * | 2004-02-16 | 2015-04-15 | Kaneka Corporation | Process for producing transparent conductive film and process for producing tandem thin-film photoelectric converter |
KR101075261B1 (ko) * | 2009-04-21 | 2011-10-20 | 주식회사 엔씰텍 | 다결정 실리콘 박막의 제조방법 |
-
1997
- 1997-09-10 JP JP24503597A patent/JP3407792B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1187751A (ja) | 1999-03-30 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |