JPH06323899A - 低速回転機械の異常診断方法 - Google Patents

低速回転機械の異常診断方法

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JPH06323899A
JPH06323899A JP11314793A JP11314793A JPH06323899A JP H06323899 A JPH06323899 A JP H06323899A JP 11314793 A JP11314793 A JP 11314793A JP 11314793 A JP11314793 A JP 11314793A JP H06323899 A JPH06323899 A JP H06323899A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アコースティックエミッションセンサ等の高価
なセンサを使用することなく、低速回転機械の1箇所の
振動検出値に基づいて高精度の異常診断を行う。 【構成】低速回転機械の例えば回転部に接触する何れか
一方の軸受の振動を振動加速度センサ1で検出し、その
検出信号Vを増幅器2で増幅した後バンドパスフィルタ
3で異常状態を的確に表す固有帯域成分を抽出し、この
固有帯域成分信号Fを第1の波高率回路4に供給して波
高率信号W1を得、この波高率信号W1を第2の波高率
回路5に供給して波高率の波高率信号W2を得、この波
高率の波高率信号W2を演算処理装置6に供給して、閾
値THと比較することにより、波高率の波高率信号W2
が閾値THを所定回数越えたときに異常と判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低速回転駆動される低
速回転機械の軸受部等の損傷等による異常を診断する低
速回転機械の異常診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の低速回転機械の異常診断方法とし
ては、例えば本出願人等が先に提案した特開平3−24
5054号公報(以下、第1従来例と称す)、特開平3
−221818号公報(以下、第2従来例と称す)、特
公昭61−57491号公報(以下、第3従来例と称
す)、特公昭61−54167号公報(以下、第4従来
例と称す)の他、特開昭51−117089号公報(以
下、第5従来例と称す)に記載されているものがある。
【0003】第1従来例は、揺動軸受が発生するアコー
スティックエミッションをAE信号として検出し、この
AE信号と基準値とを比較してAE信号が基準値を越え
ている持続時間を算出し、この持続時間が基準値を越え
たときに揺動軸受に損傷,破壊等の異常が発生したと診
断するようにして、揺動軸受の診断を外乱の影響を受け
ることなく正確に診断するようにしている。
【0004】第2従来例は、ころがり軸受で支えられた
回転機の軸受部の振動を加速度振動センサで検出し、そ
の振動検出信号を複数のバンドパスフィルタに個別に通
過させ、これらフィルタ出力を包絡線回路で包絡線処理
すると共に、加速度振動センサの検出信号を二回積分し
て振動変位に変換し、この振動変位と包絡線回路の出力
とを比較しその相関関係から異常の有無を診断すること
により、異常の原因・種別を正しく診断するようにして
いる。
【0005】第3従来例は、ころがり軸受の振動を加速
度検出器で検出し、その検出信号をフィルタに供給し
て、診断に必要な周波数帯のみを抽出し、抽出した信号
成分を包絡線検波回路に供給して包絡線波形に変換し、
この包絡線波形の自乗平均平方根値(実効値)を算出す
ると共に、包絡線波形の尖頭値を求め、実効値と尖頭値
とに基づいてQ値を算出し、このQ値を異常診断の尺度
とすることにより、種々の異常による波形の違いによっ
て異なる判定レベルを用いることなく高精度の異常診断
を行うようにしている。
【0006】第4従来例は、回転機器の振動を振動検出
手段で電気信号として検出し、この検出信号を帯域フィ
ルタに供給して回転機器の基準振動に対応して設定した
通過帯域の信号成分のみを抽出し、抽出した信号成分を
ディジタル値に変換した後、ディジタル演算式周波数ス
ペクトル分析計算器で周波数スペクトルを演算し、この
周波数スペクトルと予め記憶させた回転機器の正常状態
での周波数スペクトルとの差を算出し、このスペクトル
差の振幅を限界値と比較し、限界値以上の振幅を大小順
位判別手段で上位n組を大きい順に出力し、有意な差ス
ペクトルが発生した場合にのみ前記n組の振幅に対応し
た周波数数毎に次回以降の周波数スペクトル分析結果を
読込んでこれらの相加平均を算出し、各周波数毎に第1
回目の判定で得られる初回振幅値と相加平均に基づいて
算出される平均振幅値とを比較して平均振幅値が初回振
幅値以上である場合に該当する周波数について異常有と
診断することにより、外乱を防止しながら異常を生じて
いる周波数を確実且つ正確に検出して異常の有無のみな
らず異常の原因をも把握できるようにしている。
【0007】第5従来例は、軸受ハウジングの振動をア
ナログ電気信号として検出し、このアナログ電気信号を
その自乗平均開平値について正規課し、正規課した自乗
信号を自乗し、かつこの自乗、正規化された自乗信号を
時間について積分して原アナログ信号の尖度値に比例す
る尖度係数を算出し、この尖度係数に基づいて軸受の初
期損傷を検出するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1従来例にあっては、揺動軸受が発生するアコースティ
ックエミッションをAEセンサで検出するようにしてい
るが、AEセンサ自体が高価であり、例えば連続鋳造機
のローラエプロンのように、センサの取付箇所が多い場
合に費用が嵩むという未解決の課題がある。
【0009】また、第2従来例〜第5従来例は、回転機
器の振動を加速度振動センサ等で検出し、その振動検出
信号に基づいて異常診断を行うようにしているので、診
断装置全体のコストは安価であるが、前述した連続鋳造
機のローラエプロンのように、加振力の弱い低速回転軸
受では、振動検出信号が微弱であるため、ノイズと異常
に基づく信号成分との判別が困難であり、正確な異常診
断を行うことが難しいという未解決の課題ある。
【0010】上記振動検出法での未解決の課題を解決す
るために、ロールの固定側及び自由側で個別に振動を検
出し、両振動検出信号を夫々フィルタ処理した後ピーク
ホールド回路でピークホールドし、両ピークホールド値
から振動ピーク値の差を求めることにより、固定側及び
自由側の何れかにおける異常の発生の有無を診断するよ
うにした異常診断方法が提案されている。
【0011】しかしながら、この異常診断方法によって
も、連続鋳造機のローラエプロンのように非常に低い回
転数の回転機械では、信号の振幅が小さいと共に、ノイ
ズによる信号成分が損傷による信号成分より振幅が大き
くなり、異常検出を高精度で行うことができない共に、
ロールの固定側及び自由側の2箇所に振動センサを取付
けて、両者の信号を比較演算するので、設置する振動セ
ンサ数が増加し、構成が複雑となるうえ保守点検にも手
間がかかるという未解決の課題がある。
【0012】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、AEセンサのよう
に高価なセンサを使用することなく、低速回転機械の1
箇所の振動検出信号に基づいて低速回転機械の異常診断
を正確に行うことができる低速回転機械の異常診断方法
を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る低速回転機械の異常診断方法は、診断
対象となる低速回転機械の振動を検出して、その異常を
診断する低速回転機械の異常診断方法において、前記低
速回転機械の振動を電気的な振動検出信号に変換し、該
振動検出信号をバンドパスフィルタ処理して診断対象の
異常状態を表す固有帯域成分を抽出し、抽出した固有帯
域成分の波高率を算出し、算出した波高率のさらに波高
率を算出し、算出した波高率の波高率を予め設定した閾
値と比較して当該閾値を越えるピークを生じたときに異
常であると診断するようにしたことを特徴としている。
ここで、低速回転機械の振動は、回転部材に接触してい
る例えば軸受部の振動を検出することが好ましい。
【0014】
【作用】本発明においては、低速回転機械の振動を例え
ば回転部分に接触する軸受部で検出し、その振動検出信
号をバンドパスフィルタ処理することにより、異常時
(軸受損傷時)の周波数領域のスペクトラムのパワーが
増加する異常状態を表す固有帯域成分を抽出し、この固
有帯域成分の波高率を算出し、さらにその波高率を算出
することにより、ノイズによるピーク値はそれほどバラ
ツキがなく、損傷による突発波形の現れる周期はノイズ
によるものより長いことに着目して、ノイズを平坦化し
てレベルを低下させ、損傷による信号成分のピーク値を
際立たせ、このピーク値と予め設定した閾値とを比較す
ることにより、低速回転機械の異常診断を正確に行う。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は、本発明方法を適用し得る異常診断装置を
示すブロック図である。図中、1は振動加速度センサで
あって、低速回転機械としての連続鋳造機におけるロー
ラエプロンの各ローラを回転自在に支持する一対のころ
がり軸受の何れか一方に取付けられており、ころがり軸
受の振動加速度に応じた振幅の電気信号を振動検出信号
Vとして出力する。なお、各ローラの回転数は例えば0.
5 〜1.0rpm程度である。
【0016】振動加速度センサ1から出力される振動検
出信号Vは、増幅器2で増幅された後バンドパスフィル
タ3に入力される。このバンドパスフィルタ3は、その
通過周波数帯域が診断対象となるころがり軸受の固有振
動数(例えば1.5KHz程度)の2,3倍である例えば3KH
z 〜8KHz に選定されている。ここで、通過周波数帯域
をころがり軸受の固有振動数の2〜3倍に選定する所以
は、ころがり軸受の固有振動数は、正常時及び異常時に
かかわらず高いが、その2,3倍の振動数と軸受箱の固
有振動数域は損傷がある場合に高くなり、損傷による信
号成分をノイズから際立たせることができるからであ
る。すなわち、軸受に損傷がある場合には、軸受のガタ
によるたたきによって軸受箱の固有振動数の振動が増加
し、その共振によって軸受の固有振動数の2,3倍の振
動が増加することになり、この周波数領域のノイズは略
同じスペクトラムで分布しており、この周波数領域でピ
ンポイント的にバンドパスフィルタ処理することによ
り、損傷による信号成分をノイズから際立たせることが
できる。
【0017】このバンドパスフィルタ3から出力される
フィルタ出力Fは、第1の波高率回路4に供給される。
この第1の波高率回路4は、フィルタ出力Fの1周期を
所定時間間隔でサンプリングした瞬時値を夫々自乗した
値の平均値を求め、その平均値の平方根を求めることに
より実効値を算出すると共に、各瞬時値の最大値を求
め、この最大値を実効値で除算することにより波高率を
算出する。
【0018】そして、第1の波高率回路4から出力され
る波高率信号W1が波高率回路4と同様の構成を有する
第2の波高率回路5に入力されて、波高率の波高率が算
出され、この第2の波高率回路5から出力される波高率
の波高率信号W2が演算処理装置6に入力され、この演
算処理装置6には、ロールの回転数を検出する回転計7
からの回転検出信号も入力されている。
【0019】演算処理装置6は、例えばマイクロコンピ
ュータで構成され、回転計7からの回転検出信号に基づ
いてロールが低速回転中であるか否かを判定し、低速回
転中であるときに、波高率回路5から出力される波高率
の波高率信号W2を順次読込み、この波高率の波高率信
号W2のピーク値が予め設定した閾値THを越えている
か否かを判定し、波高率の波高率信号W2のピーク値が
閾値THを越えているときに、軸受等に損傷が発生した
異常状態であると判断して、警報信号を出力すると共
に、波高率の波高率信号波形と閾値とを表す表示データ
をCRTディスプレイ等の表示装置8に出力して表示す
る。
【0020】次に、上記診断装置を使用した本発明方法
を説明する。今、連続鋳造機のローラエプロンにおける
各ローラが正常で低速回転しているものとすると、この
状態では、振動加速度センサ1から出力される振動検出
信号Vは図2(a)に示すように、比較的小さい振幅の
振動波形にノイズの影響による比較的振幅の大きい振動
波形が混在した波形となっており、これを増幅器2で増
幅してバンドパスフィルタ3で想定損傷状態を顕著に表
す3KHz 〜8KHz の周波数成分を抽出し、このフィルタ
出力Fを第1の波高率回路4に供給して波高率を算出す
ると、図2(b)に示すような波高率波形の波高率信号
W1が得られる。このように、波高率を算出することに
より、突発的なピークを顕在化してS/N比を改善する
ことができるが、図2(b)に示すように、ノイズがピ
ーク的に現れる場合には、単に波高率を算出したとして
も、この波高率はピーク値を実効値で除算して算出され
るので、ノイズ成分がそのまま含まれることになり、こ
の波高率と予め設定した閾値とを比較しても、ノイズに
よる信号成分と損傷による信号成分とを正確に分離する
ことができない。しかしながら、本発明では、波高率を
算出したときに、図2(b)に示すように、ノイズによ
るピーク値はそれほどバラツキがなく、損傷による突発
波形の現れる周期はノイズより長いことを知見し、この
知見に基づいて第1の波高率回路4から出力される波高
率信号W1を第2の波高率回路5に供給して波高率の波
高率を算出すると、図2(c)に示すような波高率の波
高率波形の波高率信号W2が得られる。この波高率の波
高率信号W2は、周期が短いノイズによる信号成分は平
坦化されてレベルが低下し、周期が長い損傷による信号
成分を際立たせることができ、この波高率の波高率信号
W2を演算処理装置6に供給して図2(c)に示す予め
設定した閾値THと比較することにより、ノイズによる
信号成分の誤検出を確実に防止することができる。
【0021】一方、連続鋳造機のローラエプロンにおけ
る各ローラを回転自在に支持する軸受に損傷が発生した
場合には、振動加速度センサ1から出力される振動検出
信号Vは図3(a)に示すように、正常時の場合の図2
(a)に比較して振幅の大きい振動波形の混在率が高く
なるが、振幅のピーク値については余り変化がない。こ
の振動検出信号Vをを増幅器2で増幅してバンドパスフ
ィルタ3で想定損傷状態を顕著に表す3KHz 〜8KHz の
周波数成分を抽出し、このフィルタ出力Fを第1の波高
率回路4に供給して波高率を算出すると、図3(b)に
示すような波高率波形の波高率信号W1が得られる。こ
の図3(b)でも、大きな値のピーク値が林立してお
り、ノイズによる信号成分と損傷による信号成分とを区
別することは困難であるが、第1の波高率信号W1を第
2の波高率回路5に供給して波高率の波高率信号W2を
求めると、図3(c)に示すように、周期が短いノイズ
による信号成分は平坦化されてレベルが下がり、周期が
長い損傷による信号成分を際立たせることができ、この
波高率の波高率信号W2を演算処理装置6に供給して図
2(c)に示す予め設定した閾値THと比較することに
より、損傷による信号成分を正確に検出することがで
き、閾値THを越えた回数を計測して、計数値が所定値
を越えたときに警報を出力すると共に、図3(c)の波
形を表示装置8に表示する。
【0022】なお、上記実施例においては、バンドパス
フィルタ3、第1の波高率回路4及び第2の波高率回路
5を設け、第2の波高率回路5から出力される波高率の
波高率信号W2を演算処理装置6に供給する場合につい
て説明したが、これに限定されるものではなく、増幅器
2の出力をA/D変換して直接演算処理装置に供給し、
この演算処理装置でバンドパスフィルタ処理、波高率演
算を行うようにしてもよい。
【0023】また、上記実施例においては、本発明を連
続鋳造機のローラエプロンに適用した場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、他の低速回転
駆動される低速回転機械についても本発明を適用し得る
ものである。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る低速
回転機械の異常診断方法によれば、低速回転機械の振動
を電気的な振動検出信号に変換し、この振動検出信号を
バンドパスフィルタ処理によって異常状態を表す固有の
振動帯域成分を抽出し、抽出した信号成分の波高率の波
高率を算出して、これと予め設定した閾値とを比較して
異常の有無を診断するようにしたので、バンドパスフィ
ルタ処理によって、異常状態を効果的に表す信号成分を
抽出し、この信号成分の波高率の波高率を算出すること
により、ノイズによる信号成分を平坦化してレベルを低
下させ、損傷による信号成分を際立たせることにより、
低速回転機械の異常診断を振動信号に基づいて高精度で
行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る異常診断装置を示すブロッ
ク図である。
【図2】正常状態の各部の信号波形図であって、(a)
は振動検出信号波形、(b)は波高率信号波形、(c)
は波高率の波高率信号波形を夫々示す。
【図3】異常状態の各部の信号波形図であって、(a)
は振動検出信号波形、(b)は波高率信号波形、(c)
は波高率の波高率信号波形を夫々示す。
【符号の説明】
1 振動加速度センサ 2 増幅器 3 バンドパスフィルタ 4 第1の波高率回路 5 第2の波高率回路 6 演算処理装置 7 回転計 8 表示装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 診断対象となる低速回転機械の振動を検
    出して、その異常を診断する低速回転機械の異常診断方
    法において、前記低速回転機械の振動を電気的な振動検
    出信号に変換し、該振動検出信号をバンドパスフィルタ
    処理して診断対象の異常状態を表す固有帯域成分を抽出
    し、抽出した固有帯域成分の波高率を算出し、算出した
    波高率のさらに波高率を算出し、算出した波高率の波高
    率を予め設定した閾値と比較して当該閾値を越えるピー
    クを生じたときに異常であると診断するようにしたこと
    を特徴とする低速回転機械の異常診断方法。
  2. 【請求項2】 低速回転機械の振動検出を回転部分に接
    触している部材から検出するようにしたことを特徴とす
    る請求項1記載の低速回転機械の異常診断方法。
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