JP5067979B2 - 軸受の診断装置 - Google Patents
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また、回転検出器で軸受の回転速度を検出することで、取得した振動波形データに対する軸受の回転周波数の変動による振動周波数変動の影響を打ち消して、異常の検出精度を高めているが、振動センサ以外に別途回転検出器が必要であるため、システムの構成が複雑で高価になる。
また、増幅度切替回路を設けることで回転速度に応じて振動波形の振幅を増幅させて異常の検出制度を高めているが、回転速度が極端に遅いと異常によって発生する振動エネルギーが微弱となり、ノイズ成分との分別が困難になるため、異常の誤検出を引き起こす要因となりかねない。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る軸受の診断装置の構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態1に係る軸受の診断装置は、図1に示すように、診断対象の軸受を含む回転設備1で軸受が回転する時に発生する振動加速度を計測する振動センサ2、振動センサ2で計測した振動加速度を増幅する増幅部3、回転設備1の診断対象である軸受の回転速度を検出する回転検出器4、回転検出器4が出力する回転パルスをサンプリングクロックとして取り込んで、増幅部3から出力されるアナログ信号である振動信号をデジタル信号である振動信号に変換するA/D変換部5、および、A/D変換部5から出力されるデジタル信号の振動信号に対してウェーブレット変換を実施して複数の周波数帯域の時間軸波形を抽出し、各周波数の信号波形の実部と虚部の二乗平均処理を実施した複数の周波数帯域の時間軸波形を得るウェーブレット変換処理部6を備える。
振動センサ2は、軸受を含む回転設備1の軸受上部にマグネットアタッチメントまたは両面テープなどにより固定される。振動センサ2は、回転設備1の回転部が軸受に対して通常の回転速度で回転中に、軸受の損傷等により発生するとともに軸受の寸法諸元と回転数に起因する周期で発生する振動を記録可能な時間に亘って計測する。
例えば、回転設備1の軸受の通常回転数が8回/秒とし、軸受等の損傷により発生する周期的な振動が回転数の2倍にあたる1秒間に16回の周期で発生する場合には、回転速度が一定だとすると2秒間で32回発生する周期振動を計測することができる。
例えば、軸受の通常時の回転数が8回/秒、100パルス/回転の条件で2秒間計測した場合、1600個のデジタルのデータを取得できたことになる。
また、この条件で2秒間計測して1200個のデジタルのデータを取得できれば、2秒間に軸受が12回転となり、軸受の回転数は6回/秒と通常回転速度8回/秒に比べて遅くなっている。この場合、計測データは1.5秒間のデータ(2秒×1200/1600)として補正して取り扱う。
異常特徴周波数抽出部7では、事前に軸受等の異常発生時に特徴が生じる周波数帯域を把握しておき、その周波数帯域の時間軸波形を抽出する。異常の特徴が複数の周波数帯域に現れる場合には、複数の周波数帯域の時間軸波形を抽出する。
軸受の異常の特徴となる衝撃の振動が周波数300Hzに現れる場合には、周波数300Hzの時間軸波形を抽出する。
比較演算部10は、周波数分析部8から入力された周波数スペクトルの振幅値と、判定基準格納部9から入力された判定基準値を比較し、周波数スペクトルの振幅値が判定基準値より大きな値の場合は軸受等に異常が発生している可能性があり、振幅値が判定基準値より小さな値の場合には軸受が健全と判断する。判定結果表示部11では、比較演算部10で判断された結果を表示する。
図3は、この発明の実施の形態2に係る軸受の診断装置の構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態2に係る軸受の診断装置は、この発明の実施の形態1に係る軸受の診断装置に速度補正処理部12を追加したこととA/D変換部5をA/D変換部5Bに変更したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
実施の形態1に係るA/D変換部5は、回転検出器4で検出した軸受の速度に関係するパルス信号を外部サンプリングクロックとして取り込み、A/D変換時にこの外部サンプリングクロックでサンプリングすることにより回転数の変動を補正しているが、実施の形態2に係るA/D変換部5Bは、一定のサンプリングクロックでアナログの振動信号をサンプリングしてデジタルの振動信号に変換している。
速度補正処理部12は、回転検出器4で検出した軸受の速度に関係するパルス信号を取り込み、取得した振動波形データに含まれる時間軸方向の速度の影響を補正する。
図4は、この発明の実施の形態3に係る軸受の診断装置の構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態3に係る軸受の診断装置は、この発明の実施の形態2に係る軸受の診断装置の回転検出器4を省略したことと回転情報抽出部13を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
この発明の実施の形態2に係る速度補正処理部12は、回転検出器4により検出した軸受の回転速度に関する情報に基づき、一定の回転速度の信号波形として取り扱えるにように取得した振動データを補正しているが、この発明の実施の形態3に係る速度補正処理部12は、回転情報抽出部13が計測した振動波形から抽出した回転速度情報に基づき、一定の回転速度の信号波形として取り扱えるにように取得した振動データを補正している。従って、回転検出器4が不要となり、装置のコストを軽減することができる。
また、振動センサ2は常設された計測環境でなく、各現場に持ち運んで計測を実施する場合に、回転検出器4の設置作業にかかる負担を軽減することができる。
ウェーブレット変換処理部6で取得した時間軸波形から、事前に軸受の回転速度に同期した周波数成分が含まれる周波数帯域を把握しておき、図6に示すように回転周期毎に振幅が大きくなる周波数の時間軸波形を取得する。この時間軸波形から、回転周期毎の波形の振幅ピーク間の間隔を得ることで、軸受の1回転毎の周期を把握することが可能となる。
図7は、この発明の実施の形態4に係る軸受の診断装置の構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態4に係る軸受の診断装置は、この発明の実施の形態3に係る軸受の診断装置に積分処理部14、第2A/D変換部15、第2ウェーブレット変換処理部16を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
第2A/D変換部15は、振動速度信号を一定のサンプリングクロックでデジタルの振動速度信号に変換する。
第2ウェーブレット変換処理部16は、デジタルの振動速度信号をウェーブレット変換し、回転数に同期する周期性を含む周波数帯域の時間軸波形を抽出する。
回転情報抽出部13は、軸受の回転に同期する周期性を含む周波数帯域の時間軸波形から軸受の回転情報を抽出する。
なお実施の形態3に対して実施の形態4では積分処理部14を追加することになるが、市販の増幅器には積分処理機能を備えたものがあり、計測時の機器構成に変更が生じないので、本装置を持ち運んでの計測作業でも負担を大きくすること無く、回転速度の検出精度を高めることができる。
Claims (5)
- 回転設備に含まれる軸受部の異常を検出する軸受の診断装置において、
上記回転設備の軸受部から発生する振動の加速度を検出して加速度に比例する振幅の振動信号を出力するセンサと、
上記センサからの振動信号を増幅する増幅部と、
増幅された振動信号を所定の一定の周期でサンプリングしてのデジタルの振動信号に変換するA/D変換部と、
デジタルの振動信号をウェーブレット変換して複数の周波数帯域の時間軸波形を抽出するウェーブレット変換処理部と、
上記抽出された時間軸波形のうちから異常の特徴を含む周波数帯域の時間軸波形を抽出する異常特徴周波数抽出部と、
上記抽出された時間軸波形のうちから上記軸受部の回転数に関わる周波数帯域の時間軸波形を抽出するとともに該時間軸波形から回転数情報を求める回転情報抽出部と、
上記異常特徴周波数抽出部で抽出した時間軸波形を上記回転数情報抽出部で求めた回転数情報を用いて速度補正を行う速度補正処理部と、
上記速度補正処理部で速度補正処理を行った異常の特徴を含む時間軸波形に対してFFT解析を実施して得られる周波数スペクトルから軸受の構造と回転数に起因する周波数の振幅値を算出する周波数分析部と、
軸受の構造と回転数に起因する周波数毎の判定基準値を格納する判定基準格納部と、
上記周波数分析部で算出した周波数の振幅値と上記判定基準格納部から出力した判定基準値とを比較する比較演算部と、
上記比較演算部での比較結果に基づく判定結果を表示する判定結果表示部と、
を備えていることを特徴とする軸受の診断装置。 - 回転設備に含まれる軸受部の異常を検出する軸受の診断装置において、
上記回転設備の軸受部から発生する振動の加速度を検出して加速度に比例する振幅の振動加速度信号を出力するセンサと、
上記センサからの振動加速度信号を増幅する増幅部と、
上記増幅部からの振動加速度信号を積分処理して振動速度信号を生成する積分処理部と、
増幅された振動加速度信号を所定の一定の周期でサンプリングしてデジタルの振動加速度信号に変換するA/D変換部と、
上記振動速度信号を所定の一定の周期でサンプリングしてデジタルの振動速度信号に変換する第2A/D変換部と、
上記デジタルの振動加速度信号をウェーブレット変換して複数の周波数帯域の時間軸波形を抽出するウェーブレット変換処理部と、
上記デジタルの振動速度信号をウェーブレット変換して複数の周波数帯域の時間軸波形を抽出する第2ウェーブレット変換処理部と、
上記ウェーブレット変換処理部で抽出された時間軸波形のうちから異常の特徴を含む周波数帯域の時間軸波形を抽出する異常特徴周波数抽出部と、
上記第2ウェーブレット変換処理部で抽出された時間軸波形のうちから上記軸受部の回転数に関わる周波数帯域の時間軸波形を抽出するとともに該時間軸波形から回転数情報を求める回転情報抽出部と、
上記異常特徴周波数抽出部で抽出した時間軸波形を上記回転数情報抽出部で求めた回転数情報を用いて速度補正を行う速度補正処理部と、
上記速度補正処理部で速度補正処理を行った異常の特徴を含む時間軸波形に対してFFT解析を実施して得られる周波数スペクトルから軸受の構造と回転数に起因する周波数の振幅値を算出する周波数分析部と、
軸受の構造と回転数に起因する周波数毎の判定基準値を格納する判定基準格納部と、
上記周波数分析部で算出した周波数の振幅値と上記判定基準格納部から出力した判定基準値とを比較する比較演算部と、
上記比較演算部での比較結果に基づく判定結果を表示する判定結果表示部と、
を備えていることを特徴とする軸受の診断装置。 - 軸受の回転速度の変化に応じて時間軸側に及ぼす影響の補正を行った振動波形に対して、回転速度の変化に応じて振幅の大きさを補正する振幅補正処理部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の軸受の診断装置。
- 軸受の回転速度に対して下限速度の設定手段を設けて、軸受の回転速度が遅すぎて下限速度以外に下がった場合は、取得した振動データを破棄して判定処理を実行せず、再度振動計測から実行することを特徴とする請求項1または2に記載の軸受の診断装置。
- 判定結果表示部は、軸受の異常判定結果の表示とあわせて、振動計測時の軸受の最高および最低の回転速度を表示する手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の軸受の診断装置。
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