JPH0632285Y2 - 加工バリの除去装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、鋼板のような長尺の鉄骨構造材料に孔明け、
切断等の機械加工をする際に発生するバリを除去する装
置に関する。

（従来技術） 従来、上記のようなワークのバリを機械的に除去する場
合には、ショットブラスト装置を使用することが多い。
すなわちワークを長手方向に沿って水平移動させつつ、
これの上方位置あるいは下方位置に配設したショット投
射機からショットをワークへ投射して表面のバリを除去
している（例えば、特公昭５８−３４２６２号公報）。

（考案が解決しようとする問題点） しかし上記方式では、ワークに投射されたショットは十
分な運動エネルギーを残した状態で周囲へ乱反射するか
ら、作業危険を防止するため内面に耐摩耗板をはりめぐ
らした強固なキャビネットで研掃ステーションを包囲す
る必要がある。

また該キャビネット内は多量の微粉塵で満たされるが、
これらの微粉塵は装置やワークに付着して作動トラブル
や不良製品を発生させる元になるため、大型の集塵機を
併設してキャビネット内を換気する必要がある。また同
じショットをくり返し使用するため、スクリューコンベ
ヤ、バケットエレベータ等から成るショット循環装置あ
るいはショットとバリとを分離する装置を設ける必要が
ある。更に製品の上面に多量のショット粒が堆積するた
め、これを取り除く装置も必要になる。

これらのことから装置が極めて大規模なものになり、広
い設置スペースを取らなければならない、製作コストが
嵩む等の不都合が生じていた。

本考案は、上記のような事情に鑑みてなされたものであ
り、ワークの表面の加工バリを小規模な装置で除去する
ことにより、設置スペースの縮少、製作コストの低減を
計ることを目的としている。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記の目的を達成するため、複数のワークの
表面の加工バリを砥石車（サンダー）で自動的に、かつ
能率よく研削除去することを要旨としている。すなわち
本考案に係る加工バリの除去装置は、第１に、ワーク搬
送用ローラコンベヤと、該ローラコンベヤの上方に昇降
自在に配設された昇降プレートと、該昇降プレートの下
面側に前記ローラコンベヤに対応して取り付けられた押
えローラと、前記昇降プレート上にワーク搬送路に直交
して往復滑動自在に載置されたスライド板と、該スライ
ド板上に高さ位置調節可能に配置されたリンクプレート
と、該リンクプレート上に固定載置されてモータにより
駆動される研削ヘッド部とから成ることを特徴としてい
る。本考案装置は、第２に、前記研削ヘッド部が、前記
リンクプレート上に下向きに固定載置されたモータと、
内筒部に上下二段の段付部を形成し基端部が前記モータ
の回転軸に挿嵌固定されていると共に下部が前記スライ
ド板の貫通孔及び前記昇降プレートにワークの搬送路に
直交して貫通穿設された長孔を遊嵌貫通するカラーと、
該カラー内筒部の下段段付部に挿嵌固定されたスライド
筒と、該スライド筒にスプライン嵌合して軸線方向に摺
動自在にされ上端が該スライド筒の上端に係止可能にさ
れていると共に下端が該スライド筒から突出しているス
ライド軸と、前記カラー内筒部の上段段付部に挿嵌され
たコイルスプリングと、前記スライド軸の下端に工具ホ
ルダを介して取り付けられた砥石とからなり、該砥石の
下面が前記押えローラの下降限における下面レベルより
も所定寸法突出している特徴としている。

（構成） 以下本考案の構成を実施例に基づいて詳細に説明する。

第１図は、本考案の一実施装置の正面図、第２図は、第
１図のＡ〜Ａ線における矢視図、第３図は第１図のＢ〜
Ｂ線における矢視図、第４図は本考案装置における研削
ヘッド部の要部縦断図、第５図は第４図のＣ〜Ｃ線にお
ける断面図である。

図において４本の支柱（１）を備えた架台（２）上に
は、搬入側ローラ（３）、研削部ローラ（４）及び搬出
側ローラ（５）から成るワーク搬送用ローラコンベヤ
（６）が定盤（７）を介して敷設されており、該各ロー
ラ（３）（４）（５）は図示しない駆動機構により同期
回転してワーク（Ｗ）を第２図または第３図の矢印
（Ｄ）方向へ搬送するように設計されている。前記研削
部ローラ（４）の上方には、平面が矩形の昇降プレート
（８）が、その長手方向をワーク（Ｗ）の搬送方向に直
交させて配設されている。該昇降プレート（８）は前記
定盤（７）上に２対のリンク（９）（９）により昇降可
能に支持されており、また該昇降プレート（８）の一端
下面は、前記架台（２）の下部に上向きに配設されたエ
アーシリンダ（１０）のピストンロッド（１１）先端部
と連結部材（１２）（１３）を介して連結していて、該
ピストンロッド（１１）の伸長作動により、該シリンダ
は第１図に２点鎖線で示す位置まで上昇するようにされ
ている。なお、（１４）（１４）はストッパであり、該
昇降プレート（８）の下降限を調節出来るように成して
ある。該昇降プレート（８）の下面側には複数個の押え
ローラ（１５）が支持ブラケット（１６）を介して回転
自在に配設されている。該押えローラ（１５）は前記研
削部ローラ（４）が対向配設されており、前記昇降プレ
ート（８）が降下した時、該押えローラ（１５）と前記
研削部ローラ（４）とによりローラコンベヤ（６）上の
搬送されるワーク（Ｗ）を挟持するように設計されてい
る。該昇降プレート（８）の上面には、後述する加工バ
リ研削装置（１７）における研削ヘッド部（１８）のカ
ラー（１９）の外径よりも大きい幅寸法を有する長孔
（２１）がワーク（Ｗ）の搬送方向に直交して貫通穿設
されており、また一対のレール（２２）（２２）が該長
孔（２１）を間に挟みかつ該長孔（２１）に沿って取り
付けられている。（１７）は前記昇降プレート（８）上
に、ワーク（Ｗ）の搬送方向に直交して揺動自在に載置
された加工バリ研削装置である。

該加工バリ研削装置（１７）において、（２３）はスラ
イド板であり、その上面中央部には、後述する研削ヘッ
ド部（１８）のカラー（１９）が遊嵌可能な貫通孔（図
示せず）が穿設されており、またその下面には前記昇降
プレート（８）のレール（２２）（２２）に摺動自在に
嵌合騎乗する２対のガイド部材（２４）（２４）が取り
付けられている。該スライド板（２３）は図示しない油
圧シリンダのピストンロッドと連結されており、該ピス
トンロッドが連続的に伸縮作動することにより、前記ガ
イド部材（２４）（２４）がレール（２２）（２２）に
案内されて、前記昇降プレート（８）上でワーク（Ｗ）
の搬送方向に直交して往復滑動するように設計されてい
る。

（２５）は前記スライド板（２３）上に２対のリンク
（２６）（２６）により昇降可能に支持されたリンクプ
レートでありその上面中央部には、後述する研削ヘッド
部（１８）のカラー（１９）が遊嵌可能な貫通孔（２
７）が穿設されている。なお、該リンクプレート（２
５）と前記スライド板（２３）との間隔はボルト（２
８）及びナット（２９）により調節可能にされている。

（１８）は前記リンクプレート（２５）上に載置固定さ
れた研削ヘッド部である。該研削ヘッド部（１８）にお
いて、（３０）は前記リンクプレート（２５）上に下向
きに取り付けられたモータであり、該モータ（３０）の
回転軸（３１）には円筒状の回転軸（３１）の基端部が
嵌合され、留めネジ（３２）により該回転軸（３１）と
一体回転可能にされている。なお、該カラー（１９）の
先端部は前記昇降プレート（８）の長孔（２１）を貫通
して下方に突出しており、前記スライド板（２３）が前
記レール（２２）（２２）上を往復滑動する時、該カラ
ー（１９）は該長孔（２１）に沿って揺動するように設
計されている。

該カラー（１９）の内筒には上下二段の段付部が形成さ
れており、下段の段付部には、内周部の断面形状が多角
形を成すスライド筒（３３）が挿嵌され、図示しないキ
ー部材により該カラー（１９）と一体回転可能にされて
いる。

（３４）は外周部の断面形状が前記スライド筒（３３）
の内周部に対応する多角形に形成されたスライド軸であ
り、該スライド軸（３４）は前記スライド筒（３３）に
軸線方向に摺動自在に嵌合しており、該スライド筒（３
３）が回転する時、同期回転するようにされている（第
５図参照）。該スライド軸（３４）の上端にはフランジ
（３５）が固着されており、該フランジ（３５）は前記
スライド筒（３３）の上端面に係止可能にされている。
前記カラー（１９）における内筒の上段段付部にはコイ
ルスプリング（３６）が挿嵌されており、前記フランジ
（３５）は該コイルスプリング（３６）により、常時は
前記スライド筒（３３）上端面に押し付けられている。
なお（３７）はリング状の蓋部材であり、前記スライド
筒（３３）がカラー（１９）から脱落するのを防止して
いる。前記スライド軸（３４）の下端は前記カラー（１
９）及びスライド筒（３３）から突出しており、該下端
部には工具ホルダ（３８）が取り付けられている。更に
該工具ホルダ（３８）の下面には円盤状の砥石（３９）
が固着されている。なお、工具ホルダ（３８）の下部周
面及び砥石（３９）の周面は連続する逆円錐状のなだら
かな傾斜面に形成されている。また砥石（３９）の下面
は、前記押えローラ（１５）がその下降限位置にセット
された時、該ローラ（１５）の下面より１〜３mm突出す
るよう、前記ボルト（２８）及びナット（２９）により
レベル調整されている。

（作用） 上記のように構成された装置において、エアーシリンダ
（１０）のピストンロッド（１１）を伸長作動して昇降
プレート（８）を上昇させ、以て押えローラ（１５）と
研削部ローラ（４）との間隔を空けた状態で、表面の長
手方向に複数のバリ付き貫通孔を穿設した長尺かつ細幅
の鋼板から成るワーク（Ｗ）をローラコンベヤ（６）上
に複数個、その長手側を搬送軌道の進行方向に向け、か
つ平列に載置して第２図及び第３図の矢印（Ｄ）方向へ
搬送する。該ワーク（Ｗ）の先端が前記押えローラ（１
５）の下方位置付近まで進んだ時、図示しないセンサが
作動し、これに基づき前記エアーシリンダ（１０）のピ
ストンロッド（１１）が縮引作動して前記昇降プレート
（８）が下降し、押えローラ（１５）がワーク（Ｗ）が
前記研削部ローラ（４）との間で挾持する。次に加工バ
リ研削装置（１７）のモータ（３０）が駆動して砥石
（３９）が水平回転すると共に、図示しない油圧シリン
ダのピストンロッドが連続的に伸縮作動して該砥石（３
９）がワーク（Ｗ）の搬送方向に直交して揺動する。前
記ワーク（Ｗ）が更に前進して工具ホルダ（３８）の下
側部に当接すると、砥石（３９）がコイルスプリング
（３６）の押圧力に抗して押えローラ（１５）の下面レ
ベルまで押し上げられ、その分、砥石（３９）にワーク
（Ｗ）表面に対する押圧力が付加され、該押圧力により
ワーク（Ｗ）表面の加工バリが該ワーク（Ｗ）の長手方
向及び幅方向の二方向に渡って連続的に研削除去される
ものである。なお、研削作業により砥石（３９）は徐々
に摩耗するが、その場合はボルト（２８）を締め、砥石
（３９）の下面が常に押えローラ（１５）の下面から突
出するように調節する。

（考案の効果） 上記の説明から明らかなように、本考案は自動研削砥石
によりワーク表面の加工バリを研削除去するものであ
る。すなわち本考案は、ショットブラスト装置の如くシ
ョットを投射してワーク表面のバリを除去する方式では
ないから、投射ショットの乱反射に相当する作業危険は
発生しない。したがって装置全体をキャビネットで包囲
することは必ずしも必要ではなく、また集塵装置も不要
である。もっとも、よりよい作業環境とするため、フー
ド状の遮蔽物を使用することが望ましいが、その場合も
ショットブラスト装置のキャビネットのような強固な構
造物にする必要は全くない。そしてこれに付設する集塵
装置も、研削作業により発生する微粉塵の量がショット
ブラスト方式に比べて格段に少ないため、ごく小型のも
ので済む。また本考案では、ショットブラスト装置にお
けるショット循環装置、あるいはショットとバリとを分
離する装置は不要であり、更にワークの上面に多量の投
射ショット粒が堆積することがないから、これを取り除
く装置も不要である。ちなみに本考案装置では、ワーク
上面のバリは砥石の回転遠心力により、切削されると同
時に周囲へ吹き飛ばされ、ワーク上面には残らないので
ある。これらのことから、本考案では装置の規模が大幅
に縮小され、かつ簡素化され、その結果、設置スペー
ス、製作コスト等の大幅な縮減が可能になる。

本考案は、また、加工バリの研削装置をワークの搬送方
向に直交して揺動させるようにしたため、長尺かつ細幅
のワークを複数個、同時に処理できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施装置の正面図、第２図は第１図
のＡ〜Ａ線における矢視図、第３図は第１図のＢ〜Ｂ線
における矢視図、第４図は本考案装置における研削ヘッ
ド部の要部縦断図、第５図は第４図のＣ〜Ｃ線における
断面図である。 （６）：ローラコンベヤ、（８）：昇降プレート （１５）：押えローラ （１７）：加工バリ研削装置 （１８）：研削ヘッド部、（１９）：カラー （２１）：長孔、（２３）：スライド板 （２５）：リンクプレート、（３０）：モータ （３１）：回転軸、（３３）：スライド筒 （３４）：スライド軸 （３６）：コイルスプリング （３８）：工具ホルダ （３９）：砥石

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ワーク搬送用ローラコンベヤ（６）と、該
   ローラコンベヤ（６）の上方に昇降自在に配設された昇
   降プレート（８）と、該昇降プレート（８）の下面側に
   前記ローラコンベヤ（６）に対応して取り付けられた押
   えローラ（１５）と、前記昇降プレート（８）上にワー
   ク搬送路に直交して往復滑動自在に載置されたスライド
   板（２３）と、該スライド板（２３）上に高さ位置調節
   可能に配置されたリンクプレート（２５）と、該リンク
   プレート（２５）上に固定載置されてモータ（３０）に
   より駆動される研削ヘッド部（１８）とから成る加工バ
   リの除去装置。
2. 【請求項２】前記研削ヘッド部（１８）が、前記リンク
   プレート（２５）上に下向きに固定載置されたモータ
   （３０）と、内筒部に上下二段の段付部を形成し基端部
   が前記モータ（３０）の回転軸（３１）に挿嵌固定され
   ていると共に下部が前記スライド板（２３）の貫通孔及
   び前記昇降プレート（８）にワークの搬送路に直交して
   貫通穿設された長孔（２１）を遊嵌貫通するカラー（１
   ９）と、該カラー（１９）内筒部の下段段付部に挿嵌固
   定されたスライド筒（３３）と、該スライド筒（３３）
   にスプライン嵌合して軸線方向に摺動自在にされ上端が
   該スライド筒（３３）の上端に係止可能にされていると
   共に下端が該スライド筒（３３）から突出しているスラ
   イド軸（３４）と、前記カラー（１９）内筒部の上段段
   付部に挿嵌されたコイルスプリング（３６）と、前記ス
   ライド軸（３４）の下端に工具ホルダ（３８）を介して
   取り付けられた砥石（３９）とから成り、該砥石（３
   ９）の下面が前記押えローラ（１５）の下降限における
   下面レベルよりも所定寸法突出している請求項１記載の
   加工バリの除去装置。