JPH06321771A - 経皮投与用基剤 - Google Patents

経皮投与用基剤

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JPH06321771A
JPH06321771A JP18656493A JP18656493A JPH06321771A JP H06321771 A JPH06321771 A JP H06321771A JP 18656493 A JP18656493 A JP 18656493A JP 18656493 A JP18656493 A JP 18656493A JP H06321771 A JPH06321771 A JP H06321771A
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JP
Japan
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alcohol
base
acid
fatty acid
water
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Application number
JP18656493A
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English (en)
Inventor
Yukio Kobayashi
征雄 小林
Takehiko Suzuki
健彦 鈴木
Yoshiyo Sugaya
佳代 菅谷
Mitsukuni Harada
充訓 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanabe Seiyaku Co Ltd
Original Assignee
Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Publication date
Application filed by Tanabe Seiyaku Co Ltd filed Critical Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 脂肪酸エステル、アルコール類および水から
なる経皮投与用基剤、或いはこれに医薬化合物を配合し
た経皮投与製剤。 【効果】 本発明の経皮投与用基剤は、これまで経皮投
与が比較的困難であった医薬化合物でも、高い透過率で
皮膚角質層を通過させることが出来、吸収促進剤を使用
せずとも、種々の医薬化合物を効率よく、経皮的に投与
することが出来るという、極めて優れた効果を有してい
る。また医薬化合物が経皮的に吸収されるまでのラグタ
イムが短いという優れた効果も有する。しかも、皮膚に
対する刺激性が極めて小さく、そのため、製剤化した場
合でも、安全性が極めて高いという効果も併せ有してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規経皮投与用基剤、
ならびに該基剤に医薬化合物を配合した新規経皮投与製
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】経口的に薬物を投与した場合、薬剤によ
っては、肝臓における初回通過効果により生体内利用能
が低くなる、消化管内で分解する、消化管粘膜からの吸
収が低くなる等の問題がある。また老人、寝たきりの病
人では経口的に投与しにくい場合がある。このため最近
では、投薬の簡便さ、効力の持続性、副作用発現の軽減
等、経皮的に薬物を投与することによる利点が注目され
てきている。
【0003】しかし、経皮的に薬物を投与する場合に
は、皮膚表皮の角質層が薬物吸収に対するバリア−機能
を持つため、薬物の角質層における透過速度が低いとい
う問題があり、また投与する薬物の脂溶性が高い場合
は、真皮部分も透過の障害となる。この問題を解決する
ため、エイゾン(Azone)(化学名:1−ドデシル
アザシクロヘプタン−2−オン)、メントール、アルキ
ルメチルスルホキシド、ピロリドンなどが経皮吸収促進
剤として使用されている。また、経皮投与用基剤の中に
も、例えば、アルコール類、脂肪酸、脂肪酸エステルな
ど、それ自体が基剤成分であり、かつ経皮吸収促進効果
を有するものも知られている。更に、例えば(a)ラウ
リルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコ
ール、(b)オレイン酸、ラウリン酸などの高級脂肪
酸、及び(c)エタノール、イソプロピルアルコール、
水の1種または2種以上の混合物からなる基剤に、塩酸
プロプラノロール等のβ−遮断薬を配合した経皮製剤
(特開平2−152921)のように、特定基剤と特定
医薬品を組み合わせることによって、吸収促進性を改善
した経皮投与製剤も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現実に
は上述の経皮吸収促進剤は刺激性が強いものであった
り、安全性の面で問題があるなど、実際の使用面では制
約があり、また上記のように基剤を組み合わせた場合で
も、多数の医薬化合物に対して効果を発揮するものでは
なく、特定の医薬化合物に対してのみ効果を発揮する場
合が多く、どのような医薬化合物に対しても吸収促進効
果を示すものは知られていなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、脂肪酸エステ
ル、アルコール類および水を組み合わせた基剤は、これ
まで経皮投与が比較的困難であった医薬化合物でも高い
透過率で皮膚表皮、真皮を通過させ得ること、薬物吸収
におけるラグタイムを短くすること、この効果は3成分
を組み合わせた基剤にのみ発揮されることを見出すと共
に、該基剤は、多数の医薬化合物に適用し得ることを見
出した。かかる基剤の優れた吸収促進効果のメカニズム
は明確とは言いがたいが、例えば脂肪酸エステルはその
脂溶性から主に皮膚角質層へ分配して角質層脂質と相互
作用するし、またアルコール類は親水性、親油性いずれ
の物質も溶解して薬物皮膚透過のキャリア的な役割を果
たす。特に、エタノールなどの低級一価アルコールは角
質層の流動性を上昇させたり、角質層脂質を抽出したり
する作用も有する。更に水は皮膚の水和度を高め、親水
性薬物に対しては基剤中薬物溶解度を上昇させ、親油性
薬物、脂肪酸エステルに対しては基剤からの逃避傾向を
促進させるが、これら各成分を組み合わせることによ
り、相乗的に吸収促進効果が得られたのではないかと考
えられる。
【0006】すなわち本発明は、脂肪酸エステル、アル
コール類および水からなる経皮投与用基剤、或いはこれ
に医薬化合物を配合した経皮投与製剤である。
【0007】本発明において、脂肪酸エステルとして
は、例えば(A)炭素数1〜32の脂肪酸と炭素数1〜
30の脂肪族一価アルコールとのエステル、(B)炭素
数10〜22の飽和ないし不飽和脂肪酸とモノ−もしく
は多価グリセリンとのエステルがあげられる。
【0008】(A)としては、例えば蟻酸、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カ
プリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、
ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシ
ル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、
オレイン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、トウハク酸、
リノール酸、リノレン酸、リンデル酸、アラキドン酸、
セバシン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、
ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル
酸、エライジン酸、ブラシジン酸などの脂肪酸と、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソ
ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ter
t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソア
ミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコ
ール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニ
ルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコー
ル、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリ
スチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルア
ルコール、イソセチルアルコール、ヘキサデシルアルコ
ール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコー
ル、オレイルアルコール、オクチルドデシルアルコー
ル、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セ
リルアルコール、メリシルアルコールなどの脂肪族一価
アルコールとのエステルがあげられる。
【0009】このうち好ましい脂肪酸エステルとして
は、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン
酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシ
ル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、
ヘプタデシル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカ
ン酸、アラキン酸、トウハク酸、リノール酸、リノレン
酸、リンデル酸、アラキドン酸、セバシン酸、ベヘン
酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モ
ンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、エライジン酸、ブ
ラシジン酸など炭素数6〜32、とりわけ炭素数6〜1
8の脂肪酸と、メチルアルコール、エチルアルコール、
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチル
アルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルア
ルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルア
ルコール、イソアミルアルコール、セチルアルコール、
イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチ
ルドデシルアルコールなど炭素数1〜20、とりわけ炭
素数3〜20の脂肪族一価アルコールとのエステルがあ
げられる。
【0010】具体的には、例えば、カプリン酸メチル、
カプリン酸エチル、カプリン酸イソプロピル、カプリン
酸ブチル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプ
ロン酸イソプロピル、カプロン酸ブチル、パルミチン酸
メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パ
ルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリ
ル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリス
チン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン
酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステア
リン酸ブチル、イソステアリン酸イソセチル、リノール
酸エチル、リノール酸イソプロピル、リノール酸ブチル
などの脂肪酸エステルがあげられる。
【0011】これらの内、カプリン酸イソプロピル、カ
プロン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミ
リスチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、ミリス
チン酸ブチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステア
リン酸ブチル、イソステアリン酸イソセチル、リノール
酸イソプロピル、リノール酸ブチルなどが好ましく、と
りわけカプリン酸イソプロピル、カプロン酸イソプロピ
ル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソ
セチル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピ
ル、ミリスチン酸オクチルドデシルが好ましい。
【0012】また、(B)としては、カプリン酸、ウン
デシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、
ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステ
アリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、リ
ノール酸、リノレン酸、ベヘン酸など炭素数10〜2
2、とりわけ炭素数12〜18の飽和ないし不飽和脂肪
酸とモノグリセリンまたはポリグリセリン、とりわけモ
ノないしヘキサグリセリンとのエステルがあげられる。
【0013】具体的には例えば、グリセリルモノリノレ
ート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモ
ノラウリレート、グリセリルモノミリステート、グリセ
リルモノステアレート、グリセリルモノオレート、グリ
セリルジラウリレート、グリセリルジミリステート、グ
リセリルジステアレート、グリセリルトリラウリレー
ト、グリセリルトリミリステート、グリセリルトリステ
アレート、或いはジグリセリルモノステアレート、ジグ
リセリルモノオレート、ジグリセリルモノイソステアレ
ート、ジグリセリルジオレート、ジグリセリルモノラウ
リレート、ヘキサグリセリルモノラウリレート、ヘキサ
グリセリルモノミリステート、ヘキサグリセリルモノス
テアレート、ヘキサグリセリルモノオレート、デカグリ
セリルモノミリステート、デカグリセリルモノステアレ
ート、デカグリセリルモノオレート、デカグリセリルモ
ノリノレートなどがあげられる。これらの内、グリセリ
ルモノオレート、グリセリルジオレート、グリセリルイ
ソステアレート、ヘキサグリセリルモノラウリレート、
ヘキサグリセリルモノミリステートなどが好ましく、と
りわけヘキサグリセリルモノラウリレート、グリセリル
モノオレートが好ましい。
【0014】更に、本発明の基剤を構成するもう一つの
成分であるアルコール類としては、例えば、炭素数2〜
12の一価もしくは多価アルコールがあげられる。一価
アルコールとしては、例えば脂肪族の飽和ないし不飽和
の一価アルコールがあげられ、具体的には、エチルアル
コール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec
−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n
−アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシル
アルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコー
ル、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルア
ルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール
などがあげられる。
【0015】これらの内、好ましいものとしては、例え
ば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコ
ール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコー
ル、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチ
ルアルコール等の炭素数2〜10の脂肪族アルコールが
あげられる。
【0016】更に好ましいものとしては、エチルアルコ
ール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、
ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブ
チルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ア
ミルアルコール、イソアミルアルコール等の炭素数2〜
5の脂肪族アルコールがあげられ、最も好ましいものと
しては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
ブチルアルコールがあげられる。
【0017】また多価アルコールとしては、脂肪族の飽
和ないし不飽和の多価アルコールがあげられ、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリ
コール、グリセリンα−モノクロロヒドリン、1、2−
ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、2、3−ブ
タンジオール、1、4−ブタンジオール、イソブチレン
グリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチルエ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、2、5
−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4−ペンタジオ
ール、ブタンジオール、2−ブチン−1、4−ジオール
などの脂肪族二価アルコール、或いはグリセロールなど
の脂肪族多価アルコールがあげられる。
【0018】これらの内、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブ
タンジオール、グリセリンなどが好ましく、とりわけプ
ロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、グリセ
リンなどが好ましい。
【0019】更にもう一つの基剤構成成分である水は、
通常、製剤の分野で用いられる程度の性状を有するもの
であれば、好適に使用することが出来、さらに、この水
に、医薬化合物の性状に応じて、塩類、糖、高分子物質
等やpHを調節するための酸、アルカリ物質を配合する
ことも出来る。
【0020】本発明の基剤における各構成成分の配合比
率は、適宜、対象とする医薬化合物に応じて、決定すれ
ばよく、製剤分野における当業者であれば、至適範囲を
見出すことに特に困難はない。例えば、3成分を混合し
たときに、各成分が分離を起こさず、互いに相溶し合う
組成またはそれに近い組成であることを指標として、至
適範囲を決定することが出来る。或いは、本発明を構成
する各成分の内、組み合わせる脂肪酸エステルやアルコ
ール類の炭素数によっても、また水に酸、アルカリなど
の添加物を加えた場合によっても、相溶性が変化したり
するので、相溶性を指標にしない場合でも、適宜3成分
の割合を変化させた基剤を調製し、これに対象とする医
薬化合物を配合して、常法により、皮膚透過性を検討す
れば、容易に所望の基剤組成を得ることが可能である。
【0021】好ましい配合比率の一例をあげるならば、
脂肪酸エステル、アルコール類および水の総和容量に対
して、脂肪酸エステルが約0.1−50%、アルコール
類が約10−90%、水が約1−80%である比率をあ
げることが出来る。更に好ましい配合比率の例として
は、脂肪酸エステルが約1−30%、アルコール類が約
25−80%、水が約1−50%である比率をあげられ
る。また、アルコールの炭素数により、配合比率を説明
すれば、アルコール類が炭素数4以下の一価または多価
アルコールである場合には、該アルコールを約10−9
0%とし、水と脂肪酸エステルをのこる範囲内で適宜配
合すればよいが、この場合脂肪酸エステルとして炭素数
10−32程度の脂肪酸と脂肪族一価アルコールとのエ
ステルを用いるときは、該脂肪酸エステルが常温で液体
のものであれば約0.1−50%、常温で固体のもので
あれば約0.1−30%とし、水を1−80%とするの
が適当である。
【0022】上記において、脂肪酸エステルとして 炭
素数10〜22の飽和ないし不飽和脂肪酸とモノグリセ
リンまたは多価グリセリンとのエステルを用いるとき
は、該脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HL
B:hydrophile−lipophile ba
lance)が9.0以上であれば、脂肪酸エステルが
約5−50%、水を約10−80%とするのが適当であ
り、親水性親油性バランスが9.0未満のものであれば
脂肪酸エステルを0.1−30%、水を1−40%とす
るのが適当である。
【0023】更にアルコール類が炭素数5以上の一価ま
たは多価アルコールである場合には、該アルコール類を
約10−90%とし、水と脂肪酸エステルをのこる範囲
内で適宜配合すればよいが、この場合、脂肪酸エステル
として、炭素数10〜32の脂肪酸と脂肪族一価アルコ
ールとのエステルを用いるときは、該脂肪酸エステルが
常温で液体のものであれば約0.1−30%、常温で固
体のものであれば約0.1−20%とし、水を約1−8
0%とするのが適当であり、脂肪酸エステルとして、炭
素数10〜22程度の飽和ないし不飽和脂肪酸とモノグ
リセリンまたは多価グリセリンとのエステルを用いると
きは、該脂肪酸エステルの親水性親油性バランスが9.
0以上であれば、脂肪酸エステルを約5−50%、水を
約10−80%とし、親水性親油性バランスが9.0未
満のものであれば脂肪酸エステルを約0.1−30%、
水を約1−40%とするのが適当である。
【0024】上記組合せは、いずれもそれ自体適当なも
のではあるが、どちらかといえば、アルコールとして炭
素数4以下の一価または多価アルコールを使用する系が
好ましく、これに炭素数10〜32程度の脂肪酸と脂肪
族一価アルコールとのエステルであって常温で液体の脂
肪酸エステルを含む系や炭素数10〜22の飽和ないし
不飽和脂肪酸とモノグリセリンまたは多価グリセリンと
のエステルであって親水性親油性バランスが9.0以上
の脂肪酸エステルを含む系がより好ましい。
【0025】更に、至適範囲の一例を、具体的な組合せ
をもとに示せば、ミリスチン酸イソプロピル、エチルア
ルコールおよび水を組み合わせた基剤では、総和量に対
する容量%で、ミリスチン酸イソプロピルが約1−30
%、エチルアルコールが約25−80%、水が5−60
%程度であり、また、ミリスチン酸イソプロピル、イソ
プロピルアルコールおよび水を組み合わせた基剤では、
ミリスチン酸イソプロピルが約1−50%、イソプロピ
ルアルコールが約25−75%、水が5−60%程度で
ある。更にミリスチン酸イソプロピル、tert−ブチ
ルアルコールおよび水を組み合わせた基剤では、ミリス
チン酸イソプロピルが約1−30%、tert−ブチル
アルコールが約10−70%、水が5−80%程度であ
り、ミリスチン酸イソプロピル、ブチルアルコールおよ
び水を組み合わせた基剤では、ミリスチン酸イソプロピ
ルが約1−40%、ブチルアルコールが約10−75
%、水が5−80%程度である。
【0026】上記、本発明の基剤は、それ自体、経皮投
与用基剤として適当な保湿性、皮膚展延性、薬物溶解
性、経皮投与製剤として必要な性状も有しており、乳剤
型ローション剤、パッチ剤、乳剤 液剤、噴霧剤等の製
剤には、そのまま基剤として利用出来る。また、上記以
外の経皮投与製剤、例えば、軟膏剤、クリーム剤、リニ
メント剤、プラスター剤、硬膏剤、テープ剤、パック
剤、懸濁剤などに使用する場合には、本発明の基剤に更
に必要となる第3成分を配合することも出来る。かかる
第3成分としては、例えば、クリーム剤におけるクリー
ム形成成分があり、該形成成分は、界面活性剤の存在も
しくは非存在下にラノリン、プロピレングリコール、ス
テアリルアルコール、ワセリン、シリコン油、流動パラ
フィン、グリセリルモノステアレートなどの成分を水相
中に乳化・分散せしめた所謂クリームと称されるO/W
型のものや、ワセリン、高級脂肪族アルコール、流動パ
ラフィンなどの成分に、親水基をあまり持たない非イオ
ン性界面活性剤の存在下に水を加えて乳化・分散せしめ
たW/O型のものがある。
【0027】また、懸濁剤として使用する場合には、水
にデンプン、グリセリン、高粘度カルボキシメチルセル
ロース、カルボキシビニルポリマーなどを加えてゲル状
にした懸濁化剤や、懸濁型ローション剤に使用する場合
には、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ペクチ
ン、トラガントゴムなどのゴム類、メチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース類、ベン
トナイト、ビーガムHVなどの粘土類と水を混合した添
加物を配合すればよい。また、リニメント剤に使用する
場合には、本発明の基剤に、例えば、オリーブ油、ゴマ
油、ヘントウ油、綿実油、テレピン油などの植物油類を
配合すればよく、パップ剤に使用する場合には、ポリア
クリル酸またはその塩、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドンなどの水溶性高分子もしくは、水溶性高
分子をミョウバンなどの多価金属塩によって架橋せしめ
たもの、あるいは水溶性高分子に放射線照射のような物
理的処理により架橋せしめたものを添加すればよい。
【0028】本発明の基剤にはさらにパラオキシ安息香
酸、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベ
ン、クロロブタノール、ベンジルアルコールなどの保存
剤の他、着香料なども添加することが出来る。また、目
的に応じて、pH調整剤の他、各種の乳化剤、分散剤、
湿潤剤、安定剤および防腐剤などを含有させることもで
き、pH調整剤としては製剤技術の分野で使用し得るも
のであれば、特に限定されないが例えば塩酸、硫酸、硝
酸、臭化水素酸、リン酸などの無機酸、酢酸、コハク
酸、フマル酸、リンゴ酸、シュウ酸、乳酸、グルタル
酸、サリチル酸、酒石酸などの有機酸あるいはこれらの
塩があげられる。
【0029】本発明の基剤は常法により製造することが
でき、例えば、脂肪酸エステル、アルコール類、水、更
に必要な第3成分を混合することにより、容易に製造す
ることが出来る。或いは、アルコール類に脂肪酸エステ
ルを加えて溶解し、これに水を加えて溶解、乳化または
分散させて基剤を製した後、必要な第3成分を加えて練
合、乳化または懸濁することも出来、練合、乳化等に際
しては、スクリューミキサー、ホモミキサー、ニーダ
ー、ロールミルなど、通常この技術分野で使用する混合
機器を使用することが出来る。
【0030】更に、本発明のもう一つの態様である、経
皮吸収性に優れた経皮投与製剤としては、上記本発明の
基剤に、医薬化合物を配合したものがあげられる。本発
明の経皮投与製剤における医薬化合物としては、どのよ
うな医薬化合物でも採用でき、特に限定はないが、通
常、経皮的に投与可能で、全身作用或いは局所作用が期
待される薬物が一般的である。かかる医薬化合物を、非
限定的に列挙すれば、例えば、具体的には、クレンチア
ゼム〔化学名:(+)−(2S、3S)−3−アセトキ
シ−8−クロロ−5−(2−ジメチルアミノエチル)−
2、3−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−
1、5−ベンゾチアゼピン−4−(5H)−オン〕、ジ
ルチアゼム、ニフェジピンなどのCa拮抗剤、イミダプ
リル、エナラプリル、カプトプリルなどのACE阻害
剤、フマル酸ビソプロロール、デノパミン、プロプラノ
ロール、塩酸イソプロテレノールなどのアドレナリンβ
レセプター遮断薬、クロニジンなどのアドレナリンα2
レセプターアゴニストなどの降圧剤、ニトログリセリ
ン、硝酸イソソルビット、モルシドミンなどの冠血管拡
張剤、ジゴキシンなどの強心配糖体、ニセルゴリンなど
の脳循環代謝改善剤などに代表される心臓・血管系薬
剤、ジアゼパム、イミプラミンなどの向神経薬があげら
れる。
【0031】更に、dl−塩酸メチルエフェドリンなど
の自律神経作用薬、ジフェンヒドラミンなどの鎮うん
剤、サリチル酸などの解熱・鎮痛薬、フィゾスチグミン
などのコリンエステラーゼ阻害薬に代表される脳神経系
薬剤、8−ヒドロキシ−5−〔(1R)−1−ヒドロキ
シ−2−〔N−((1R)−2−(p−メトキシフェニ
ル)−1−メチルエチル)アミノ〕エチル〕カルボスチ
リル、エピネフリンなどの気管支拡張剤に代表される呼
吸器系薬剤、マレイン酸トリメブチンなどの消化管運動
改善剤に代表される消化器系薬剤、ビタミンA、ビタミ
ンD、ビタミンE、ビタミンKなどのビタミン剤、LH
−RH、TRH、カルシトニン、ANPなどのポリペプ
チド系ホルモン、エンドルフィン、ダイノルフィンなど
の内因性オピオイドペプチド、テストステロンなどのア
ンドロゲン剤、エストラジオールなどのエストロゲン
剤、コルチコステロイドなどの副腎皮質ステロイド剤に
代表される内分泌代謝系薬剤、5−フルオロウラシル、
6−メルカプトプリンなどに代表される抗腫瘍剤、アス
ピリン、ジクロフェナック、イブプロフェン、インドメ
タシン、ケトプロフェンなどに代表される非ステロイド
系抗炎症薬なども挙げることができる。また、これら医
薬化合物は遊離の形でもあるいはその薬理的に許容しう
る塩の形でも使用できる。薬理的に許容しうる塩として
は、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸との塩、フマ
ル酸、マレイン酸、酢酸などの有機酸との塩などがあげ
られる。
【0032】本発明の経皮投与製剤においては、上記の
ように、殆ど全ての医薬化合物について、適用できる
が、とりわけ、親油性の医薬化合物に好適に適用でき、
例えば、水−オクタノールにおける分配率を指標とした
場合に、該分配率が約109 以下のもの、好ましくは約
10-7−107 、最も好ましくは約10-4−106 程度
のものが好ましい。また基剤の構成成分として多価アル
コールが含まれている場合には、薬物の分配率は約10
2 −106 程度のものが好適である。
【0033】本発明の経皮投与製剤においては、医薬化
合物の配合量は特に限定されず、使用する医薬化合物の
薬理作用に応じ、また投与対象となる患者の疾患、年
令、症状、体重ならびに投与部位を勘案して、決定すれ
ばよいが、例えば通常製剤中に0.01−20%(W/
W又はW/V)程度を配合するのが、経皮投与製剤の性
質から好ましいと言える。又、ビタミンDなどや、各種
ホルモン剤等の極少量で薬効を発現し得る医薬化合物を
配合する場合には、前記配合比率をさらに低減すること
もできる。
【0034】本発明の経皮投与用製剤、例えば医薬化合
物としてアルファカルシドール、カルシトリオールの如
き活性型ビタミンD3 等の親油性ビタミンを配合した製
剤を例にとってより具体的に示せば、好ましい基剤とし
ては、上記本発明の基剤のうち、脂肪酸エステルとして
a)炭素数1〜32の脂肪酸と炭素数1〜30の脂肪族
一価アルコールからなる脂肪酸エステル及びb)炭素数
10〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸とグリセリンと
のエステルから選ばれる脂肪酸エステル、アルコ−ル類
として炭素数5以下の一価もしくは多価アルコール及び
水とからなる基剤があげられる。
【0035】これらの内、より好ましい基剤としては、
ミリスチン酸イソプロピル、エタノール及び水からなる
基剤、カプリン酸イソプロピル、エタノール及び水から
なる基剤等があげられる。
【0036】上記の活性型ビタミンD3 製剤のうち、よ
り好ましい製剤としては、脂肪酸エステル、アルコール
類及び水の配合比率が、これらの総和容量に対して、脂
肪酸エステルが1−50%、アルコール類が10−90
%、水が5−80%である基剤に医薬化合物である活性
型ビタミンD3 を配合してなる製剤があげられる。
【0037】上記の如き本発明の経皮投与用活性型ビタ
ミンD3 製剤は、医薬化合物の経皮吸収性に優れ、生体
内半減期の短い活性型ビタミンD3 を経口投与した場合
に較べ、少量の投与で長期間安定した血漿中濃度を持続
することができるという特徴を有し、活性型ビタミンD
3 の経口投与でしばしば生じる高カルシウム血症等の副
作用を軽減できる。更に、上記の如き基剤に配合するこ
とにより、長期間安定な活性型ビタミンD3 製剤とする
ことができるという特長も併せもつ。
【0038】本発明の経皮投与製剤は、乳剤型ローショ
ン剤、パッチ剤、乳剤 液剤、噴霧剤、軟膏剤、クリー
ム剤、リニメント剤、テープ剤、パック剤、懸濁剤など
種々の剤型を採用することが出来、前記基剤の剤型に関
して記載した通り、各種任意成分を添加することによ
り、容易に所望の製剤を得ることが出来る。例えば、乳
剤型ローション剤は、医薬化合物と本発明の基剤を混合
・かく拌した後、要すれば、着色剤、香料などの添加物
を加えて混合し、ろ過することにより、製造することが
出来る。
【0039】パッチ剤は、医薬化合物と基剤を混合し、
支持体に含浸させることにより製造することができ、リ
ニメント剤は、基剤に医薬化合物を溶解・混合すること
により実施することが出来、パップ剤は、医薬化合物、
基剤及び所望の添加物を混練し、支持体に展延すること
により製造することができる。以下、実験例および実施
例により、更に詳細に本発明を説明するが、本発明は、
これにより、何ら限定されるものではない。
【0040】
【作用】
実験例1 予め前日に電気バリカンによって除毛処理しておいたウ
イスター系雄性ラット(体重250−300g)の腹部
から採取した皮膚をフランツ型拡散セル(FDC−40
0、米国、クラウングラス社製)に装着した。このセル
のジャケット部分には37°Cの恒温水を循環し、レセ
プター部分には生理食塩水を満たした。
【0041】ついで、表1記載の組成からなる経皮投与
基剤に、8−ヒドロキシ−5−〔(1R)−1−ヒドロ
キシ−2−〔N−((1R)−2−(p−メトキシフェ
ニル)−1−メチルエチル)アミノ〕エチル〕カルボス
チリル・塩酸塩を1%(W/V)溶液となるよう配合
し、その0.8mlをドナー部分に投与した。経時的に
レセプター部分の医薬化合物濃度をHPLCにより測定
し、投与から8時間後の累積透過量を求めた。結果は、
表1に示す通りである。
【0042】
【表1】
【0043】実験例2 表2記載の組成からなる経皮投与基剤に、医薬化合物と
して、クレンチアゼム・マレイン酸塩を1%(W/V)
となるよう溶解もしくは懸濁した。その1mlを用い
て、実験例1と同様に実験し、投与から8時間後の医薬
化合物の累積透過量を求めた。結果は、表2に示す通り
である。
【0044】
【表2】
【0045】実験例3 表3記載の組成からなる経皮投与基剤に、医薬化合物と
して17β−エストラジオールを0.1%(W/V)と
なるよう加えて溶解もしくは懸濁した。その1mlを用
いて、実験例1と同様に実験し、投与から8時間後の医
薬化合物の累積透過量を求めた。結果は、表3に示す通
りである。
【0046】
【表3】
【0047】実験例4 表4記載の組成からなる経皮投与基剤に、医薬化合物と
して17β−エストラジオールを0.1%(W/V)と
なるように加えて溶解し、レセプター溶液に20%(V
/V)ポリエチレングリコール400を含む生理食塩水
を用いる他は、実験例1と同様に透過実験を行い、8時
間後の累積透過量を求めた。結果は、表4に示す通りで
ある。
【0048】
【表4】
【0049】実験例5 表5記載の組成からなる経皮投与基剤に、医薬化合物と
してアンチピリンを1%(W/V)となるように加えて
溶解し、その1mlを用いて実験例1と同様に透過実験
を行った。時間(X軸)に対する累積透過量(Y軸)を
プロットし、直線部分の傾きを薬物透過速度とした場合
のX切片をラグタイムとして、その長短を比較した。結
果は、表5に示す通りである。
【0050】
【表5】
【0051】実験例6 <目的>ビタミンD欠乏ラットに、活性型ビタミンD3
をミリスチン酸イソプロピル−エタノール−水からなる
基剤中に含有せしめた本発明の経皮投与製剤を投与し、
血中カルシウム濃度および骨密度に及ぼす作用を調べ
た。
【0052】<製剤の調製方法>活性型ビタミンD3
ミリスチン酸イソプロピル−エタノール−水からなる基
剤(組成比=1:4:0.6)に0.01μg/mlと
なるよう溶解し、この1mlを含浸させたパッチ剤
(2.5平方センチメートル)を本発明の経皮投与製剤
とした。また対照の経皮投与製剤として上記基剤1ml
を含浸させたパッチ剤を製した。
【0053】<実験方法>3.5週齢のウィスター系雄
性ラットをカルシウム含量が0.44%のビタミンD欠
乏飼料(実験用飼料Diet 11、日本クレア(株)
製)で2週間飼育した後、Diet 11から更にカル
シウムを除いたカルシウムをほとんど含まないビタミン
D欠乏飼料で1週間飼育した。飼育終了後、ラットを2
群に分け、Diet 11に戻して飼育すると共に、薬
物投与群には活性型ビタミンD3 を含浸させたパッチ剤
を、またコントロール群には基剤のみを含浸させたパッ
チ剤を、それぞれ除毛したラット腹部または背部に貼付
した。パッチ剤は、両群とも毎週2回、7週間継続して
貼付した。投与1週間毎に頸静脈から採血し、血漿中の
カルシウム濃度を原子吸光法で測定した。
【0054】また、投与後7週間目に大腿骨を摘出し、
100℃で8時間減圧乾燥した後、ラット大腿骨の骨密
度を求めた。
【0055】なお、骨密度(BMD)は、骨塩量測定装
置(DCS−600、アロカ社製)を用いて単一光子吸
収法により骨塩量(BMC)と骨のX線投影面積(AR
EA)を測定し、BMC/AREAと計算して求めた。
【0056】<結果>結果は、下記表6に示す通りであ
り、活性型ビタミンD3 は経皮吸収され、腸管でのカル
シウム吸収を促進した結果、血漿中カルシウム濃度はほ
ぼ正常値にまで回復した。一方、基剤のみを貼付したコ
ントロール群では、血漿中カルシウム濃度は更に低下
し、投与後3週間から7週間は普通の固形飼料(CRF
−1、日本チャールズ・リバー(株)製)で飼育した正
常群のおよそ半分の値であった。
【0057】一方、骨密度は表7に示す通りであり、本
発明の経皮投与製剤を投与したビタミンD欠乏ラット群
の骨密度はコントロール群に較べて有意に高値を示し
た。
【0058】また、図1に示す通り、大腿骨を長軸方向
に垂直に5等分したときの各部位での骨密度も、本発明
の経皮投与製剤を投与したビタミンD欠乏ラット群は全
ての部位でコントロール群に較べ高値であった。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】実験例7 <目的>正常ラットに活性型ビタミンD3 をミリスチン
酸イソプロピル−エタノール−水からなる基剤中に含有
せしめた本発明の経皮投与製剤を投与した場合のバイオ
アベイラビリティを調べた。
【0062】<製剤の調製方法>活性型ビタミンD3
ミリスチン酸イソプロピル−エタノール−水からなる基
剤(組成比=1:4:0.6または1:9.5:9.
5)に0.1μg/mlとなるよう溶解し、この1ml
を含浸させたパッチ剤(5平方センチメートル)を本発
明の経皮投与製剤とした。また対照の経皮投与製剤とし
て、活性型ビタミンD3 を1μg/mlとなるようエタ
ノールに溶解し、この1mlを含浸させたパッチ剤を製
した。
【0063】<実験方法>各パッチ剤を前日に除毛した
ラット腹部に貼付した。貼付後、6時間、24時間、4
8時間にラット頚静脈から採血した。経皮投与後の活性
型ビタミンD3 の血漿中濃度をHPLC−RRA法によ
り測定し、そのバイオアベイラビリティを比較した。
【0064】<結果>結果は、下記表8に示す通りであ
り、本発明の経皮投与製剤を投与した群では、投与後2
4−48時間の間、400−500pg/mlの血漿中
濃度が持続したが、対照製剤では10倍の投与量(1μ
g)でも投与前と殆どかわらず、血漿中濃度の上昇が見
られなかった。
【0065】
【表8】
【0066】
【実施例】
実施例1 ミリスチン酸イソプロピル17.9%(V/V)、エチ
ルアルコール71.4%(V/V)および水10.7%
(V/V)の組成を有する基剤中に、0.1%(W/
V)濃度となるよう17β−エストラジオールを配合し
た製剤に、更に製剤1g当たりヒドロキシプロピルセル
ロース−SL(日本曹達(株)製)200mgとなるよ
う加えて溶解する。ついで、これをポリエチレンシート
上に半径1cmの円形となるよう展延し、ゲル軟膏剤を
得た。
【0067】この経皮投与製剤について、レセプター溶
液として20%(V/V)ポリエチレングリコール40
0を含む生理食塩水を用いる他は、実験例1と同様に実
施して、医薬化合物の皮膚透過性を調べたところ、24
時間後の累積透過量は、41.7(μg/cm2 )であ
った。これに対し、濃度0.1%(W/V)となるよう
17β−エストラジオールを配合したエチルアルコール
溶液に、以下同様にヒドロキシプロピルセルロース−S
Lを加えて調製した経皮投与製剤の24時間後の累積透
過量は、3.0(μg/cm2 )であった。
【0068】実施例2 ワセリン8gに界面活性剤(商品名:レオドールSP−
010;花王(株)製)0.1gを加え、70−80°
Cに加熱して溶解する。この溶液を50−60°Cまで
冷却した後、ミリスチン酸イソプロピル17.9%(V
/V)、エチルアルコール71.4%(V/V)および
水10.7%(V/V)の組成を有する基剤に、0.1
%(W/V)濃度となるよう17β−エストラジオール
を配合した混合物2gを、かく拌下に、徐々に添加す
る。ついで、この溶液をかく拌下に冷却することによ
り、軟膏を得た。
【0069】この軟膏について、実施例1と同様に実施
して、24時間後における医薬化合物の皮膚透過性を調
べたところ、12.4(μg/cm2 )であった。これ
に対し、0.1%(W/V)濃度となるよう17β−エ
ストラジオールを溶解したエチルアルコール溶液を、上
記と同様にレオドールSP−010を含むワセリンに添
加して軟膏とした製剤について、24時間後における医
薬化合物の皮膚透過性を調べたところ、6.8(μg/
cm2 )であった。
【0070】実施例3 ミリスチン酸イソプロピル17.9%(V/V)、エチ
ルアルコール71.4%(V/V)および水10.7%
(V/V)の組成を有する基剤中に、0.05%(W/
V)の活性型ビタミンD3 (カルシトリオール、和光純
薬工業(株)製)を配合した経皮投与製剤1mlを用
い、レセプター溶液として10%(V/V)ポリエチレ
ングリコール400および5%(V/V)エタノールを
含む生理食塩水を用いる他は、実験例1と同様に実施し
て、投与から8時間後の累積透過量を測定したところ、
2.1(μg/cm2 )であった。これに対し、エチル
アルコール中に0.05%(W/V)の活性型ビタミン
3 を配合した経皮投与製剤、プロピレングリコール9
7%(V/V)およびエイゾン(Azone)3%(V
/V)からなる基剤中に0.05%(W/V)の活性型
ビタミンD3 を配合した経皮投与製剤の8時間後の累積
透過量は、共に0.1(μg/cm2 )であった。
【0071】実施例4 イミダプリル0.05gを、ミリスチン酸イソプロピル
17.9%(V/V)、エチルアルコール71.4%
(V/V)および水10.7%(V/V)の組成を有す
る基剤30ml中に溶解する。ついで、この溶液0.3
mlを直径2.5cmの円形不織布(ED−4150、
日本バイリーン(株)製)に含浸させた後、直径3cm
のアルミホイルを重ね、更に粘着剤を塗布した直径4c
mのポリ塩化ビニルフィルムで覆うことにより、パッチ
剤を製した。
【0072】このパッチ剤を前日に除毛したウイスター
系雄性ラット(体重約250−300g)の腹部に貼付
し(投与量:2mg/kg)、伸縮性包帯で固定して、
経時的に頚静脈から採血し、血漿中の代謝物(化学名:
(4S)−1−メチル−3−〔(2S)−2−〔N−
((1S)−1−カルボキシ−3−フェニルプロピル)
アミノ−プロピオニル〕−2−オキソイミダゾリジン−
4−カルボン酸)の濃度をラジオイムノアッセイで測定
した。結果は、表9に示す通りである。
【0073】
【表9】
【0074】なお、イミダプリルを水に溶解して、上記
同様、パッチ剤を製造した場合の血中活性代謝物濃度
は、検出限界以下であった。
【0075】実施例5 活性型ビタミンD3 (カルシトリオール)の1mgを、
ミリスチン酸イソプロピル17.9%(V/V)、エチ
ルアルコール71.4%(V/V)および水10.7%
(V/V)の組成を有する基剤100mlに溶解する。
ついで、この溶液1mlを、実施例4と同様にしてパッ
チ剤とし、ウイスター系雄性ラットに経皮投与して、腹
部大動脈から採血し、24時間後および48時間後の血
中活性型ビタミンD3 濃度をHPLCで測定した。ま
た、対照製剤として、活性型ビタミンD3 の1mgを、
エチルアルコール100mlに溶解し、以下、上記と同
様にパッチ剤を製造し、この製剤の血中活性型ビタミン
3 濃度をHPLCで測定した。結果は、表10に示す
通りである。
【0076】
【表10】
【0077】実施例6 下記表11記載の組成からなる経皮投与基剤を含浸させ
た皮膚感作テストテープ(フィンチャンバー、大正製薬
(株)製)を、健康な被験者の上碗皮膚に貼付した。貼
付後7時間で剥離し、貼付してから24時間経過後の皮
膚を観察評価した。判定は下記判定基準に基づいて行っ
た。結果は、表11に示す通りである。
【0078】
【表11】
【0079】実施例7 ステアリルアルコール6g、ポリエチレングリコール6
000を1g、1、2、6−ヘキサントリオール1gを
とり、80−85°Cに加温、溶解し、17β−エスト
ラジオールを最終濃度が0.1%(W/W)となるよう
加えて混和した。これに、別に80°Cに加温した1、
3−ブタンジオール8.4g、水1.8g、イソステア
リン酸イソセチル1.8g、レオドールSP−010の
0.1gから成る基剤を加えて撹拌し、冷却しつつ固化
するまで混和することにより、軟膏を得た。
【0080】実施例8 上記実施例7においてイソステアリン酸イソセチル1.
8gに代えてカプロン酸イソプロピル1.8gを用いる
ことにより、軟膏を得た。
【0081】実施例9 アンチピリン1gをエタノール20g、水30gに溶解
する。この溶液にポリビニルアルコール(完全けん化型
重合度約2000)10gを加え、加熱下に撹拌、溶
解する。次に、グリセリン20g、ヘキサグリセリルモ
ノラウリレート10gを加え撹拌する。最後に水で全量
を100gとし充分攪拌する。ついでこれを凍結したの
ち融解することにより、ポリビニルアルコールゲルを得
た。
【0082】実施例10 カルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー104、和
光純薬工業(株)製)0.5g、イソプロピルアルコー
ル7.5g、水10gをビーカーにとり充分に撹拌す
る。この中に、17β−エストラジオールを、最終濃度
が0.1%(W/W)になるよう配合した後、イソプロ
ピルアルコール2.5g、ステアリン酸ブチル0.5g
からなる溶液を徐々に加える。混合液を撹拌しながら、
さらにジイソプロパノールアミン0.25gを徐々に添
加し、攪拌することにより高粘度のゲル剤を得た。
【0083】このゲル剤1gについて実施例1と同様に
実施して、8時間後における医薬化合物の皮膚透過性を
調べたところ、15.5(μg/cm2 )であった。こ
れに対し、最終濃度が0.1%(W/W)となるよう1
7β−エストラジオールを溶解したイソプロピルアルコ
ールを、上記と同様にカルボキシビニルポリマー(ハイ
ビスワコー104)を含むイソプロピルアルコールに添
加してゲルとした製剤について、8時間後における医薬
化合物の皮膚透過性を調べたところ、0.89(μg/
cm2 )であった。
【0084】
【発明の効果】本発明は、脂肪酸エステル、アルコール
類および水という3成分を組み合わせた基剤、或いは該
基剤に医薬化合物を配合した経皮投与製剤であり、この
基剤は、これまで経皮投与が比較的困難であった医薬化
合物でも、高い透過率で皮膚角質層を通過させることが
出来、吸収促進剤を使用せずとも、種々の医薬化合物を
効率よく、経皮的に投与することが出来るという、極め
て優れた効果を有している。また医薬化合物が経皮的に
吸収されるまでのラグタイムが短いという優れた効果も
有する。また、これら基剤成分は、皮膚に対する刺激性
が極めて小さく、そのため、製剤化した場合でも、安全
性が極めて高いという効果も併せ有している。
【図面の簡単な説明】
図1は、ビタミンD欠乏ラット大腿骨の各部位での骨密
度を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/10 N 7433−4C 47/14 E 7433−4C N 7433−4C

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸エステル、アルコール類および水
    からなる経皮投与用基剤。
  2. 【請求項2】 脂肪酸エステルが高級脂肪酸エステルで
    あり、アルコール類が一価もしくは多価アルコールであ
    る請求項1記載の基剤。
  3. 【請求項3】 脂肪酸エステル、アルコール類および水
    が、これら3成分の総和容量に対して、脂肪酸エステル
    が約0.1−50%、アルコール類が約10−90%、
    水が約1−80%の範囲で配合されている請求項2記載
    の基剤。
  4. 【請求項4】 脂肪酸エステルが(A)炭素数1〜32
    の脂肪酸と炭素数1〜30の脂肪族一価アルコールとの
    エステル、又は(B)炭素数10〜22の飽和もしくは
    不飽和脂肪酸とモノ−もしくは多価グリセリンとのエス
    テルであり、アルコール類が炭素数2〜12のアルコー
    ルである請求項3記載の基剤。
  5. 【請求項5】 脂肪酸エステルが炭素数6〜18の脂肪
    酸と炭素数3〜20の脂肪族一価アルコールとのエステ
    ル又は炭素数12〜18の飽和もしくは不飽和脂肪酸と
    モノないしヘキサグリセリンとのエステルであり、アル
    コール類が炭素数2〜4の一価〜三価アルコールである
    請求項4記載の基剤。
  6. 【請求項6】 脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロ
    ピル又はカプリン酸イソプロピルであり、アルコール類
    がエタノールである請求項5記載の基剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の基剤に、医薬化合物
    を配合した経皮投与製剤。
  8. 【請求項8】 医薬化合物が、親油性の医薬化合物であ
    る請求項7記載の製剤。
  9. 【請求項9】 医薬化合物が活性型ビタミンD3 である
    請求項8記載の製剤。
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