JPH06321635A - 炭素繊維強化炭素複合材料およびその製造方法 - Google Patents
炭素繊維強化炭素複合材料およびその製造方法Info
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- JPH06321635A JPH06321635A JP5117390A JP11739093A JPH06321635A JP H06321635 A JPH06321635 A JP H06321635A JP 5117390 A JP5117390 A JP 5117390A JP 11739093 A JP11739093 A JP 11739093A JP H06321635 A JPH06321635 A JP H06321635A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 製造時の低コストを図ると共に、異方性を極
力低減することのできるC/Cコンポジット、およびそ
の様なC/Cコンポジットを製造する為の方法を提供す
る。 【構成】 アクリル系耐炎繊維を主体とする不織布を複
数積層すると共に、ニードルパンチによる針打ちによっ
て、前記繊維を積層方向に配向させる様に形成したプリ
フォーム体に、炭素マトリックス成形材を含浸した後、
加熱・加圧成形および炭化焼成を施すことによって製造
される炭素繊維強化炭素複合材料であって、単位面積当
たりの積層方向に配向する繊維数と積層方向と直向する
方向に配向する繊維数との比(積層方向に配向する繊維
数/積層方向と直交する方向に配向する繊維数)が2/
3以上である。
力低減することのできるC/Cコンポジット、およびそ
の様なC/Cコンポジットを製造する為の方法を提供す
る。 【構成】 アクリル系耐炎繊維を主体とする不織布を複
数積層すると共に、ニードルパンチによる針打ちによっ
て、前記繊維を積層方向に配向させる様に形成したプリ
フォーム体に、炭素マトリックス成形材を含浸した後、
加熱・加圧成形および炭化焼成を施すことによって製造
される炭素繊維強化炭素複合材料であって、単位面積当
たりの積層方向に配向する繊維数と積層方向と直向する
方向に配向する繊維数との比(積層方向に配向する繊維
数/積層方向と直交する方向に配向する繊維数)が2/
3以上である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽量且つ高強度でしか
も耐熱性や耐食性にも優れ、航空・宇宙、生体・医学、
電気・磁気、光学、化学等の広い分野での応用が期待さ
れる炭素繊維強化炭素材料(以下、「C/Cコンポジッ
ト」と呼ぶことがある)およびその製造方法に関するも
のであり、殊に異方性を少なくして特性改善を図ったC
/Cコンポジットおよび製造方法に関するものである。
も耐熱性や耐食性にも優れ、航空・宇宙、生体・医学、
電気・磁気、光学、化学等の広い分野での応用が期待さ
れる炭素繊維強化炭素材料(以下、「C/Cコンポジッ
ト」と呼ぶことがある)およびその製造方法に関するも
のであり、殊に異方性を少なくして特性改善を図ったC
/Cコンポジットおよび製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素をマトリックス材とし炭素繊維を補
強材として使用したC/Cコンポジットは、軽量で機械
的強度、耐熱性、耐食性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、熱・
電気伝導性に優れ、ロケットのノズルやノーズコーン、
航空機のブレーキディスク等の航空・宇宙機用材料を始
め、高温炉や原子炉用材料として使用されつつあり、ま
た生体・医学、電気・磁気、光学、化学等への広い分野
での応用が期待されている。
強材として使用したC/Cコンポジットは、軽量で機械
的強度、耐熱性、耐食性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、熱・
電気伝導性に優れ、ロケットのノズルやノーズコーン、
航空機のブレーキディスク等の航空・宇宙機用材料を始
め、高温炉や原子炉用材料として使用されつつあり、ま
た生体・医学、電気・磁気、光学、化学等への広い分野
での応用が期待されている。
【0003】上記の様なC/Cコンポジットを製造する
には、炭素繊維の織布や不織布を積層してプリフォーム
体とし、これにフラン樹脂やフェノール樹脂で代表され
る熱硬化性樹脂やピッチで代表される熱可塑性樹脂等を
マトリックス形成材として塗布若しくは含浸した後、加
熱・加圧成形と非酸化性雰囲気での炭化焼成を行ない、
必要に応じて樹脂やピッチの含浸焼成の繰返し、若しく
は化学蒸着法によって炭素繊維成形体中にマトリックス
炭素を析出させたりして緻密化を図り、更に場合によっ
てはその後高温によって熱処理するのが一般的である。
には、炭素繊維の織布や不織布を積層してプリフォーム
体とし、これにフラン樹脂やフェノール樹脂で代表され
る熱硬化性樹脂やピッチで代表される熱可塑性樹脂等を
マトリックス形成材として塗布若しくは含浸した後、加
熱・加圧成形と非酸化性雰囲気での炭化焼成を行ない、
必要に応じて樹脂やピッチの含浸焼成の繰返し、若しく
は化学蒸着法によって炭素繊維成形体中にマトリックス
炭素を析出させたりして緻密化を図り、更に場合によっ
てはその後高温によって熱処理するのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の様な方法によっ
て製造されたC/Cコンポジットでは、炭素繊維のほと
んどが積層方向と直交する方向に並んでいるので、強度
や熱的特性等の特性面において、積層方向と、該積層方
向と直交する方向において大きな差を有し、この差の原
因となる組織の異方性が用途によって大きな問題となっ
ている。この様な異方性を解消する為の手段として、三
次元立体織物(3−D織物)を使用した方法や、短繊維
を混ぜ込んだ方法等も提案されているが、前者の方法で
は高性能が発揮されるとはいうものの非常に高価である
という欠点を有し、一方後者の方法では異方性解消とい
う観点から十分な性能が発揮されているとは言えなかっ
た。本発明は上記の様な状況に鑑みてなされたものであ
って、その目的は、製造時の低コストを図ると共に、異
方性を極力低減することのできるC/Cコンポジットお
よびその様なC/Cコンポジットを製造する為の方法を
提供することにある。
て製造されたC/Cコンポジットでは、炭素繊維のほと
んどが積層方向と直交する方向に並んでいるので、強度
や熱的特性等の特性面において、積層方向と、該積層方
向と直交する方向において大きな差を有し、この差の原
因となる組織の異方性が用途によって大きな問題となっ
ている。この様な異方性を解消する為の手段として、三
次元立体織物(3−D織物)を使用した方法や、短繊維
を混ぜ込んだ方法等も提案されているが、前者の方法で
は高性能が発揮されるとはいうものの非常に高価である
という欠点を有し、一方後者の方法では異方性解消とい
う観点から十分な性能が発揮されているとは言えなかっ
た。本発明は上記の様な状況に鑑みてなされたものであ
って、その目的は、製造時の低コストを図ると共に、異
方性を極力低減することのできるC/Cコンポジットお
よびその様なC/Cコンポジットを製造する為の方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明とは、アクリル系耐炎繊維を主体とする不織布を複
数積層すると共に、ニードルパンチによる針打ちによっ
て、前記繊維の一部を積層方向に配向させる様に形成し
たプリフォーム体に、炭素マトリックス成形材を含浸し
た後、加熱・加圧成形および炭化焼成を施すことによっ
て製造される炭素繊維強化炭素複合材料であって、単位
面積当たりの積層方向に配向する繊維数と積層方向と直
交する方向に配向する繊維数との比(積層方向に配向す
る繊維数/積層方向と直交する方向に配向する繊維数)
を2/3以上としたものである点に要旨を有するC/C
コンポジットである。
発明とは、アクリル系耐炎繊維を主体とする不織布を複
数積層すると共に、ニードルパンチによる針打ちによっ
て、前記繊維の一部を積層方向に配向させる様に形成し
たプリフォーム体に、炭素マトリックス成形材を含浸し
た後、加熱・加圧成形および炭化焼成を施すことによっ
て製造される炭素繊維強化炭素複合材料であって、単位
面積当たりの積層方向に配向する繊維数と積層方向と直
交する方向に配向する繊維数との比(積層方向に配向す
る繊維数/積層方向と直交する方向に配向する繊維数)
を2/3以上としたものである点に要旨を有するC/C
コンポジットである。
【0006】また上記の様なC/Cコンポジットを製造
するに当たっては、ニードルパンチによる針打ちによっ
て針密度を600〜1500本/cm2 とすると共に、密
度を0.20g/cm3 以上とした積層不織布をプリフォ
ーム体として用いれば良い。
するに当たっては、ニードルパンチによる針打ちによっ
て針密度を600〜1500本/cm2 とすると共に、密
度を0.20g/cm3 以上とした積層不織布をプリフォ
ーム体として用いれば良い。
【0007】
【作用】本発明者らは、かねてよりC/Cコンポジット
の特性改善を図るという観点から研究を進めてきた。そ
して研究の一環として、炭素繊維からなる不織布を用い
たC/Cコンポジットの製造方法についても提案してい
る(特開昭63−60155号)。またこの技術におい
て、ニードルパンチによって、不織布の積層方向に配向
する繊維を形成し得ることを示唆している。
の特性改善を図るという観点から研究を進めてきた。そ
して研究の一環として、炭素繊維からなる不織布を用い
たC/Cコンポジットの製造方法についても提案してい
る(特開昭63−60155号)。またこの技術におい
て、ニードルパンチによって、不織布の積層方向に配向
する繊維を形成し得ることを示唆している。
【0008】本発明者らは上記の技術を基本とし、C/
Cコンポジットの異方性を改善する為の手段について様
々な角度から検討を重ねた。その結果、炭素繊維の前駆
体となるアクリル系耐炎繊維を主体とする不織布を複数
積層すると共に、ニードルパンチの針打ちによって、前
記繊維の一部を積層方向に配向させる様に形成したフリ
フォーム体を用い、常法に従って製造されるC/Cコン
ポジットにおいて、単位面積当たりの積層方向に配向す
る繊維数と、積層方向に直交する方向に配向する繊維数
との比(積層方向に配向する繊維数/積層方向と直交す
る方向に配向する繊維数)を2/3以上となる様にすれ
ば、C/Cコンポジットの異方性の低減が図れ、特性が
著しく改善されることを見出し、本発明を完成した。
Cコンポジットの異方性を改善する為の手段について様
々な角度から検討を重ねた。その結果、炭素繊維の前駆
体となるアクリル系耐炎繊維を主体とする不織布を複数
積層すると共に、ニードルパンチの針打ちによって、前
記繊維の一部を積層方向に配向させる様に形成したフリ
フォーム体を用い、常法に従って製造されるC/Cコン
ポジットにおいて、単位面積当たりの積層方向に配向す
る繊維数と、積層方向に直交する方向に配向する繊維数
との比(積層方向に配向する繊維数/積層方向と直交す
る方向に配向する繊維数)を2/3以上となる様にすれ
ば、C/Cコンポジットの異方性の低減が図れ、特性が
著しく改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0009】本発明は上述の如く構成されるが、要する
に、不織布を用いた従来のC/Cコンポジットにおける
炭素繊維のほとんどが積層方向と直交する方向に配向し
ていたのであるが、積層方向に配向する繊維数を増加さ
せて上記繊維比が一定の値以上となる様にすれば、これ
によって異方性が低減されたのである。尚本発明に前記
上記比を2/3以上とする為には、不織布のカードおよ
び針打ち工程を通じて上記の比が2/3となる様にすれ
ば良い。
に、不織布を用いた従来のC/Cコンポジットにおける
炭素繊維のほとんどが積層方向と直交する方向に配向し
ていたのであるが、積層方向に配向する繊維数を増加さ
せて上記繊維比が一定の値以上となる様にすれば、これ
によって異方性が低減されたのである。尚本発明に前記
上記比を2/3以上とする為には、不織布のカードおよ
び針打ち工程を通じて上記の比が2/3となる様にすれ
ば良い。
【0010】上記比が2/3未満では、C/Cコンポジ
ットにおける強度および熱的特性の異方性が大きくな
る。一方、上記比の上限については特に限定されるもの
ではないが、あまり大きな値となると繊維切れが多くな
って不織布自体の強度が低くなり、C/Cコンポジット
を製造する際に支障を起たすばかりか、炭素繊維による
本来の補強効果が得られず、C/Cコンポジット自体の
強度も低下する。
ットにおける強度および熱的特性の異方性が大きくな
る。一方、上記比の上限については特に限定されるもの
ではないが、あまり大きな値となると繊維切れが多くな
って不織布自体の強度が低くなり、C/Cコンポジット
を製造する際に支障を起たすばかりか、炭素繊維による
本来の補強効果が得られず、C/Cコンポジット自体の
強度も低下する。
【0011】本発明で用いる不織布は、ニードルパンチ
等の工程を考慮してアクリル系耐炎繊維を主体とするも
のであるが、このアクリル系耐炎繊維は、ポリアクリル
繊維を通常の方法で酸化した耐炎繊維(不融化PAN繊
維とも呼ぶ)であり、PAN系炭素繊維製造の中間工程
で抜き取るか、或は専用の工程によって製造されたもの
を使用する。尚本発明で用いる不織布における上記アク
リル系耐炎繊維以外の炭素繊維若しくは炭素繊維前駆体
の使用については、繊維の折れ易さによって差が見ら
れ、例えばPAN系炭素繊維では30%以下、ピッチ系
炭素繊維及び不融化繊維では20%以下の添加は可能で
あるものの、ニードルパンチ時に繊維が折れて不織布か
ら脱落し易く、添加の効果は期待できない。また脱落量
を計算に入れて多量に添加しても、脱落が激しくなるだ
けであり、不織布自体が得られないこともある。一方、
不織布自体の造り易さと強度向上を図るという観点か
ら、例えばポリアミド、ポリエステルおよび耐炎処理が
施されていないポリアクリル等の様に柔軟性と強度を兼
ね備えた合成繊維はC/Cコンポジットの性能を低下さ
せない程度であれば少量添加しても良い。
等の工程を考慮してアクリル系耐炎繊維を主体とするも
のであるが、このアクリル系耐炎繊維は、ポリアクリル
繊維を通常の方法で酸化した耐炎繊維(不融化PAN繊
維とも呼ぶ)であり、PAN系炭素繊維製造の中間工程
で抜き取るか、或は専用の工程によって製造されたもの
を使用する。尚本発明で用いる不織布における上記アク
リル系耐炎繊維以外の炭素繊維若しくは炭素繊維前駆体
の使用については、繊維の折れ易さによって差が見ら
れ、例えばPAN系炭素繊維では30%以下、ピッチ系
炭素繊維及び不融化繊維では20%以下の添加は可能で
あるものの、ニードルパンチ時に繊維が折れて不織布か
ら脱落し易く、添加の効果は期待できない。また脱落量
を計算に入れて多量に添加しても、脱落が激しくなるだ
けであり、不織布自体が得られないこともある。一方、
不織布自体の造り易さと強度向上を図るという観点か
ら、例えばポリアミド、ポリエステルおよび耐炎処理が
施されていないポリアクリル等の様に柔軟性と強度を兼
ね備えた合成繊維はC/Cコンポジットの性能を低下さ
せない程度であれば少量添加しても良い。
【0012】本発明で用いる不織布において、ニードル
パンチの針密度は、積層方向に延びる繊維数および不織
布強度と相関関係があり、針密度を増やしていくとまず
強度の最大値が現われ、次に積層方向に配向する繊維数
の最大値が現われ、これを超えると繊維切れが多くなっ
て不織布としての機能を発揮しなくなる。一方、不織布
の密度は、一針当たりの積層方向への繊維の並びが多い
程高密度となり、より高密度の不織布を得るには、繊維
長さ、クリンプ形状、カードでの解離状態、針の太さ・
形状、針の打ち等を適切に制御する必要がある。
パンチの針密度は、積層方向に延びる繊維数および不織
布強度と相関関係があり、針密度を増やしていくとまず
強度の最大値が現われ、次に積層方向に配向する繊維数
の最大値が現われ、これを超えると繊維切れが多くなっ
て不織布としての機能を発揮しなくなる。一方、不織布
の密度は、一針当たりの積層方向への繊維の並びが多い
程高密度となり、より高密度の不織布を得るには、繊維
長さ、クリンプ形状、カードでの解離状態、針の太さ・
形状、針の打ち等を適切に制御する必要がある。
【0013】本発明でプリフォーム体の素材として用い
る積層不織布は、ニードルパンチの針密度が600〜1
500本/cm2 で、且つ密度が0.20g/cm3 以
上となる様にすれば、前記比を2/3以上とすることが
できる。上記針密度が1500本/cm2 を超えると、
不織布の繊維切れが多くなり、C/Cコンポジットの強
度の低下を招くので、繊維による補強効果が得られな
い。また針密度が600本/cm2 未満では、不織布自
体の強度は高くなるものの、積層方向に延びる繊維数が
少なく、C/Cコンポジットの異方性改善が図れなくな
る。一方、積層不織布の密度が0.2g/cm2 未満で
は、不織布は作成し易いものの、後工程の加熱・加圧成
形において、繊維比率を上げるので、加圧効率が悪くな
り、高圧での加圧を行なったとしても、加圧成形時の繊
維切れが激しくなって繊維による補強効果が得られず、
C/Cコンポジットの強度低下を招く。
る積層不織布は、ニードルパンチの針密度が600〜1
500本/cm2 で、且つ密度が0.20g/cm3 以
上となる様にすれば、前記比を2/3以上とすることが
できる。上記針密度が1500本/cm2 を超えると、
不織布の繊維切れが多くなり、C/Cコンポジットの強
度の低下を招くので、繊維による補強効果が得られな
い。また針密度が600本/cm2 未満では、不織布自
体の強度は高くなるものの、積層方向に延びる繊維数が
少なく、C/Cコンポジットの異方性改善が図れなくな
る。一方、積層不織布の密度が0.2g/cm2 未満で
は、不織布は作成し易いものの、後工程の加熱・加圧成
形において、繊維比率を上げるので、加圧効率が悪くな
り、高圧での加圧を行なったとしても、加圧成形時の繊
維切れが激しくなって繊維による補強効果が得られず、
C/Cコンポジットの強度低下を招く。
【0014】上記アクリル系耐炎繊維によって、高強度
で密度が0.2g/cm2 の不織布を得るには、クリン
プ加工していない糸と、クリンプ加工している糸を混合
するのが適切である。このときの混合率は、クリンプ加
工をしていない糸が60%以上となる様にするのが良
い。またカード工程において、解繊率をできるだけ低く
押さえることによって不織布密度を高めることができ
る。更に、針打ち工程では、1回当たりの針密度を上
げ、針打ち回数が3〜5回程度で前記の様な針密度の範
囲内とするのが良い。
で密度が0.2g/cm2 の不織布を得るには、クリン
プ加工していない糸と、クリンプ加工している糸を混合
するのが適切である。このときの混合率は、クリンプ加
工をしていない糸が60%以上となる様にするのが良
い。またカード工程において、解繊率をできるだけ低く
押さえることによって不織布密度を高めることができ
る。更に、針打ち工程では、1回当たりの針密度を上
げ、針打ち回数が3〜5回程度で前記の様な針密度の範
囲内とするのが良い。
【0015】本発明のC/Cコンポジットにおいて、マ
トリックス炭素を形成する為の炭素マトリックス形成材
は、フラン樹脂,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,ポリ
イミド樹脂等の熱硬化樹脂の液体、若しくは固体を適当
な溶媒に解かしたもの、或は樹脂液に硬化剤を適量添加
したもの等を用いることができる。
トリックス炭素を形成する為の炭素マトリックス形成材
は、フラン樹脂,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,ポリ
イミド樹脂等の熱硬化樹脂の液体、若しくは固体を適当
な溶媒に解かしたもの、或は樹脂液に硬化剤を適量添加
したもの等を用いることができる。
【0016】プリフォーム体への炭素マトリックス形成
材の含浸に当たっては、樹脂の種類によって温度等の条
件は異なってくるが、ある程度の粘性のある樹脂液を使
用するのが一般的であるので、プリフォーム体を減圧
後、樹脂液を注入し、必要に応じて加圧等の処理を行な
う。
材の含浸に当たっては、樹脂の種類によって温度等の条
件は異なってくるが、ある程度の粘性のある樹脂液を使
用するのが一般的であるので、プリフォーム体を減圧
後、樹脂液を注入し、必要に応じて加圧等の処理を行な
う。
【0017】成形は通常の加圧成形法に従って行なえば
良く、適当な温度に加熱してマトリックス形成材を硬化
させる。加圧成形の際の圧力は、10kg/cm2 〜1
ton/cm2 程度にして所定の形状に仕上げれば良
い。尚加圧時においては、積層方向と、該積層方向と直
交する方向の繊維比が大きく変化しないように注意する
必要があり、こうした観点からして加圧手段は等方的に
加圧できるWIP法(温間等方加圧法)やCIP法によ
るのが適切である。
良く、適当な温度に加熱してマトリックス形成材を硬化
させる。加圧成形の際の圧力は、10kg/cm2 〜1
ton/cm2 程度にして所定の形状に仕上げれば良
い。尚加圧時においては、積層方向と、該積層方向と直
交する方向の繊維比が大きく変化しないように注意する
必要があり、こうした観点からして加圧手段は等方的に
加圧できるWIP法(温間等方加圧法)やCIP法によ
るのが適切である。
【0018】上記の様にして成形された成形体は、不活
性ガス若しくは無酸素雰囲気で炭化焼成され、また必要
に応じて黒鉛化処理されてC/Cコンポジットとされ
る。但し、この様にして得られたC/Cコンポジット
は、気孔率が依然として高い場合もあるので、更にCV
D法による高密度処理を施したり、炭化可能な樹脂やピ
ッチを再度含浸してのち炭化処理することによる高密度
処理を行なうこともある。
性ガス若しくは無酸素雰囲気で炭化焼成され、また必要
に応じて黒鉛化処理されてC/Cコンポジットとされ
る。但し、この様にして得られたC/Cコンポジット
は、気孔率が依然として高い場合もあるので、更にCV
D法による高密度処理を施したり、炭化可能な樹脂やピ
ッチを再度含浸してのち炭化処理することによる高密度
処理を行なうこともある。
【0019】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0020】
実施例1 アクリル系耐炎繊維のノークリンプ50mmカット系(グ
ラフィル01;コートルズ社製):90%と、クリンプ
75mmカット系(パイロメックス;東邦レーヨン社
製):10%とを混綿し、トウを残しながらカード機に
かけ、目付量:1000g/m2 のウェブを得た。この
ウェブを重ねて36番手のパンチ針にて5回の針打ちを
行ない、針密度:1200本/cm2 、密度:0.22
g/cm3(目付量:8kg/m2 )のプリフォーム体を
作製した。
ラフィル01;コートルズ社製):90%と、クリンプ
75mmカット系(パイロメックス;東邦レーヨン社
製):10%とを混綿し、トウを残しながらカード機に
かけ、目付量:1000g/m2 のウェブを得た。この
ウェブを重ねて36番手のパンチ針にて5回の針打ちを
行ない、針密度:1200本/cm2 、密度:0.22
g/cm3(目付量:8kg/m2 )のプリフォーム体を
作製した。
【0021】得られたプリフォーム体を容器に入れて減
圧した後、液状のフェノール樹脂(BRL−112A;
昭和高分子社製)を含浸し、次いで、WIP装置を使用
し、160℃,500kg/cm2 の圧力で等方加圧成
形を行なった後、炭化炉にて500℃まで5℃/hrお
よび500〜1000℃を30℃/hrの条件で炭化
し、密度:1.43g/cm3 のC/Cコンポジットを
得た。
圧した後、液状のフェノール樹脂(BRL−112A;
昭和高分子社製)を含浸し、次いで、WIP装置を使用
し、160℃,500kg/cm2 の圧力で等方加圧成
形を行なった後、炭化炉にて500℃まで5℃/hrお
よび500〜1000℃を30℃/hrの条件で炭化
し、密度:1.43g/cm3 のC/Cコンポジットを
得た。
【0022】上記C/Cコンポジットを、積層方向およ
び該積層方向と直交する方向に夫々沿った面を研磨した
後、偏光顕微鏡によって繊維数を数えたところ、積層方
向に配向する繊維数は6500本/mm2 であり、積層
方向と直交する方向に配向する繊維数は8600本/m
m2 であり、両者の比は76/100であった。
び該積層方向と直交する方向に夫々沿った面を研磨した
後、偏光顕微鏡によって繊維数を数えたところ、積層方
向に配向する繊維数は6500本/mm2 であり、積層
方向と直交する方向に配向する繊維数は8600本/m
m2 であり、両者の比は76/100であった。
【0023】実施例2 実施例1と同様にして得られたウェブを重ねて32番手
のパンチ針にて4回の針打ちを行ない、針密度:720
本、密度:0.23g/cm2 (目付量:6kg/m
2 )のプリフォーム体を作製した。得られたプリフォー
ム体を用いて、実施例1と同様にして含浸、成形および
炭化処理を行なった後、ピッチを再度含浸して炭化し、
密度:1.58g/cm2のC/Cコンポジットを得
た。上記C/Cコンポジットにおける繊維比を、実施例
1と同様にして数えたところ、69/100(6200
本/9000本)であった。
のパンチ針にて4回の針打ちを行ない、針密度:720
本、密度:0.23g/cm2 (目付量:6kg/m
2 )のプリフォーム体を作製した。得られたプリフォー
ム体を用いて、実施例1と同様にして含浸、成形および
炭化処理を行なった後、ピッチを再度含浸して炭化し、
密度:1.58g/cm2のC/Cコンポジットを得
た。上記C/Cコンポジットにおける繊維比を、実施例
1と同様にして数えたところ、69/100(6200
本/9000本)であった。
【0024】比較例1 実施例1と同様にして得られたウェブを重ねて36番手
のパンチ針にて3回の針打ちを行ない、針密度:500
本/cm2 、密度:0.20g/cm2 (目付量:6k
g/m2 )のプリフォーム体を作製した。得られたプリ
フォーム体を用いて、実施例1と同様にして含浸、成形
および炭化処理を行ない、密度:1.40g/cm3 の
C/Cコンポジットを得た。上記C/Cコンポジットに
おける繊維比を実施例1と同様にして数えたところ、5
4/100(5000本/9200本)であり、本発明
で規定する値(2/3)未満であった。
のパンチ針にて3回の針打ちを行ない、針密度:500
本/cm2 、密度:0.20g/cm2 (目付量:6k
g/m2 )のプリフォーム体を作製した。得られたプリ
フォーム体を用いて、実施例1と同様にして含浸、成形
および炭化処理を行ない、密度:1.40g/cm3 の
C/Cコンポジットを得た。上記C/Cコンポジットに
おける繊維比を実施例1と同様にして数えたところ、5
4/100(5000本/9200本)であり、本発明
で規定する値(2/3)未満であった。
【0025】比較例2 アクリル系耐炎繊維のクリンプ50mmカット系(グラ
フィル01;コートルズ社製)を用い、目付量:800
g/m2 のウェブを得た。このウェブを重ねて32番手
のパンチ針にて5回の針打ちを行ない、針密度:120
0本/cm2 、密度:0.17g/cm3 (目付量:6
kg/m2 )のプリフォーム体を作製した。
フィル01;コートルズ社製)を用い、目付量:800
g/m2 のウェブを得た。このウェブを重ねて32番手
のパンチ針にて5回の針打ちを行ない、針密度:120
0本/cm2 、密度:0.17g/cm3 (目付量:6
kg/m2 )のプリフォーム体を作製した。
【0026】得られたプリフォーム体を用いて、実施例
2と同様の工程によって、密度:1.56g/cm3 の
C/Cコンポジットを得た。上記C/Cコンポジットに
おける繊維比を、実施例1と同様にして数えたところ、
65/100(4000本/6200本)であり、本発
明で規定する値(2/3)未満であった。
2と同様の工程によって、密度:1.56g/cm3 の
C/Cコンポジットを得た。上記C/Cコンポジットに
おける繊維比を、実施例1と同様にして数えたところ、
65/100(4000本/6200本)であり、本発
明で規定する値(2/3)未満であった。
【0027】比較例3 実施例1と同様にして得られたウェブを重ねて32番手
のパンチ針にて8回の針打ちを行ない、針密度:200
0本/cm2 のプリフォーム体を作製したが、該プリフ
ォーム体は繊維切れが激しく、密度も不均一となって、
含浸、成形が行なえなかった。
のパンチ針にて8回の針打ちを行ない、針密度:200
0本/cm2 のプリフォーム体を作製したが、該プリフ
ォーム体は繊維切れが激しく、密度も不均一となって、
含浸、成形が行なえなかった。
【0028】実施例1,2および比較例1,2によって
得られたC/Cコンポジットの性能を表1に一括して示
す。この結果から明らかな様に、本発明で規定する要件
を満足する実施例1,2のC/Cコンポジットは、異方
性も少なく且つ強度も優れていることがわかる。これに
対し、C/Cコンポジットは、異方性が大きくなったり
(比較例1)、強度的に低くて複合材としての特性が得
られていなかったりしている(比較例2)。
得られたC/Cコンポジットの性能を表1に一括して示
す。この結果から明らかな様に、本発明で規定する要件
を満足する実施例1,2のC/Cコンポジットは、異方
性も少なく且つ強度も優れていることがわかる。これに
対し、C/Cコンポジットは、異方性が大きくなったり
(比較例1)、強度的に低くて複合材としての特性が得
られていなかったりしている(比較例2)。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、積
層方向に配向する繊維数と、積層方向と直交する方向に
配向する繊維数との比を適切な値に規定することによっ
て、C/Cコンポジットの製造時の低コスト化を図ると
共に、異方性を極力低減することができた。
層方向に配向する繊維数と、積層方向と直交する方向に
配向する繊維数との比を適切な値に規定することによっ
て、C/Cコンポジットの製造時の低コスト化を図ると
共に、異方性を極力低減することができた。
Claims (2)
- 【請求項1】 アクリル系耐炎繊維を主体とする不織布
を複数積層すると共に、ニードルパンチによる針打ちに
よって、前記繊維の一部を積層方向に配向させる様に形
成したプリフォーム体に、炭素マトリックス成形材を含
浸した後、加熱・加圧成形および炭化焼成を施すことに
よって製造される炭素繊維強化炭素複合材料であって、
単位面積当たりの積層方向に配向する繊維数と積層方向
と直交する方向に配向する繊維数との比(積層方向に配
向する繊維数/積層方向と直交する方向に配向する繊維
数)を2/3以上としたものであることを特徴とする炭
素繊維強化炭素複合材料。 - 【請求項2】 請求項1に記載の炭素繊維強化炭素複合
材料を製造するに当たり、ニードルパンチによる針打ち
によって針密度を600〜1500本/cm2とすると共
に、密度を0.20g/cm3 以上とした積層不織布をプ
リフォーム体として用いる炭素繊維強化炭素複合材料の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5117390A JPH06321635A (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 炭素繊維強化炭素複合材料およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5117390A JPH06321635A (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 炭素繊維強化炭素複合材料およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06321635A true JPH06321635A (ja) | 1994-11-22 |
Family
ID=14710472
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5117390A Withdrawn JPH06321635A (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 炭素繊維強化炭素複合材料およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06321635A (ja) |
-
1993
- 1993-05-19 JP JP5117390A patent/JPH06321635A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000801 |