JPH06320937A - 車両用暖房装置 - Google Patents

車両用暖房装置

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JPH06320937A
JPH06320937A JP11078593A JP11078593A JPH06320937A JP H06320937 A JPH06320937 A JP H06320937A JP 11078593 A JP11078593 A JP 11078593A JP 11078593 A JP11078593 A JP 11078593A JP H06320937 A JPH06320937 A JP H06320937A
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JP
Japan
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cooling water
water
temperature
mode
hot water
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Application number
JP11078593A
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English (en)
Inventor
Koichi Saka
鉱一 坂
Yoshimitsu Inoue
美光 井上
Yukio Kamimura
上村  幸男
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 所定の吹出温度を安定的に供給することので
きる車両用暖房装置の提供。 【構成】 温水回路5に設けられた回路制御弁30は、
回路制御弁30の上流に設けられた水温センサ31の検
出値に基づいて冷却水の流れ方向を切り換えるととも
に、ヒータコア28の暖房性能に影響を及ぼす要因(風
量変化、温水変化、吸込み温度変化)に基づいて弁開度
補正量が制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保温容器内に保温され
た高温の冷却水を利用して即効暖房を行うことのできる
車両用暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、水冷式エンジンの冷却水を熱
源として車室内の暖房を行う車両用暖房装置がある。こ
の様に冷却水を暖房用の熱源とする場合には、エンジン
始動直後で冷却水の温度が低い時には十分な暖房効果が
得られない。そこで、温水回路に高温の冷却水を保温す
るための保温容器を設け、エンジン始動直後で冷却水の
温度が低い時には、保温容器に保温されている高温の冷
却水をヒータコアに供給して即効暖房を行う即効暖房装
置が知られている(特開平2−120119号、特開平
2−120120号、特開平4−59163号各公報参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の即効
暖房装置では、ヒータコアを流れる冷却水流量がエンジ
ン回転数の変動によって変化したり、ヒータコアを通過
する風量、冷却水温、外気温等の要因が変化すると、所
定の吹出温度が得られなかったり、吹出温度が変動した
りして却って乗員が不快感を感じる不具合があった。本
発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的
は、所定の吹出温度を安定的に供給することのできる車
両用暖房装置の提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、水冷式エンジンの冷却水と車室内へ送風
される空気との熱交換を行う温水式熱交換器と、内部に
貯留された冷却水を保温する保温容器と、前記エンジン
より流出した冷却水を前記保温容器内に導き、その保温
容器内の冷却水を前記温水式熱交換器に導く第1冷却水
経路、前記エンジンより流出した冷却水を前記保温容器
を迂回して前記温水式熱交換器に導く第2冷却水経路を
構成する温水回路と、この温水回路に設けられて、前記
エンジンより流出した冷却水の流れ方向を切り替える流
通方向切替手段と、前記温水回路に設けられて、前記温
水式熱交換器に供給される冷却水の流量を調節可能な流
量調節手段と、前記エンジンより流出した冷却水の温度
を検出する水温検出手段と、前記温水式熱交換器の暖房
性能に影響を及ぼす要因に応じて、前記温水式熱交換器
を流れる冷却水流量を増減する冷却水補正量を算出する
冷却水補正量算出手段と、前記水温検出手段の検出値に
基づいて前記流通方向切替手段を制御するとともに、前
記冷却水補正量算出手段によって算出された冷却水補正
量に基づいて前記流量調節手段を制御する制御手段とを
備えた技術的手段を採用する。
【0005】
【作用】上記構成より成る本発明の車両用暖房装置は、
流通方向切替手段により、エンジンより流出した冷却水
の流れ方向を切り替えることができる。例えば、水温検
出手段で検出される冷却水の温度が低く、温水式熱交換
器で所望の暖房性能が得られない場合には、第1冷却水
経路を選択して、保温容器内の高温の冷却水を温水式熱
交換器に導くことができる。また、水温検出手段で検出
される冷却水の温度が高く、温水式熱交換器で所望の暖
房性能が得られる場合には、第1冷却水経路と第2冷却
水経路の両方の経路を選択することで、温水式熱交換器
での暖房運転を行いながら、保温容器にも高温の冷却水
を導いて蓄熱することができる。
【0006】流通方向切替手段によって選択された冷却
水経路を通って温水式熱交換器に供給される冷却水流量
は、流量調節手段によって調節される。この流量調節手
段は、温水式熱交換器の暖房性能に影響を及ぼす要因に
応じて算出された冷却水補正量に基づいて制御される。
なお、温水式熱交換器の暖房性能に影響を及ぼす要因と
しては、送風機の送風量、車速、内外気の導入割合、吹
出口モード、エンジン回転数、冷却水温、外気温等が挙
げられる。例えば、温水式熱交換器を通過する風量が大
きくなると温水式熱交換器の吹出温度が低くなることか
ら、送風機の送風レベルが大きくなるに連れて、冷却水
補正量が大きくなるように流量調節手段が制御される。
また、車速が大きくなると、走行風の導入量が増加する
ことから、車速が大きくなるに連れて冷却水補正量が大
きくなるように流量調節手段が制御される。この送風
量、車速以外の要因においても、同様に冷却水補正量が
算出されて、その冷却水補正量が得られるように流量調
節手段が制御される。
【0007】
【実施例】次に、本発明の車両用暖房装置が適用された
車両用空気調和装置の一実施例を図1および図2を基に
説明する。図1は暖房手段を構成する温水回路図、図2
は車両用空気調和装置の全体模式図である。本実施例の
車両用空気調和装置1(以下空調装置1と略す)は、図
2に示すように、車室内へ送風空気を導くダクト2、こ
のダクト2の上流端に配されて、ダクト2を介して車室
内へ空気を送る送風機3、冷房手段を構成する冷凍サイ
クル4、暖房手段を構成する温水回路5、およびエアコ
ン制御装置6を備える。送風機3は、ブロワケース3
a、遠心式ファン3b、ブロワモータ3cより成り、こ
のブロワモータ3cへの印加電圧(以下ブロワ電圧と言
う)に応じてブロワモータ3cの回転速度が決定され
る。ブロワ電圧は、モータ駆動回路7(図5参照)を介
してエアコン制御装置6からの制御信号に基づいて制御
される。ブロワケース3aには、車室内空気(内気)を
導入する内気導入口8と車室外空気(外気)を導入する
外気導入口9が形成されるとともに、内気導入口8より
導入される空気量と外気導入口9より導入される空気量
との導入割合いを調節する内外気切替ダンパ10が設け
られている。
【0008】ダクト2の下流端は、デフロスタダクト2
a、フェイスダクト2b、フットダクト2cに分岐され
て、各ダクト2a〜2cの先端が車室内に開口するデフ
ロスタ吹出口11、フェイス吹出口12、フット吹出口
13とされている。デフロスタダクト2aとフェイスダ
クト2bの上流側開口部には、吹出口モードに応じてデ
フロスタダクト2aとフェイスダクト2bとを選択的に
開閉する吹出口切替ダンパ14が設けられ、フットダク
ト2cの上流側開口部には、吹出口モードに応じてフッ
トダクト2cを開閉する吹出口切替ダンパ15が設けら
れている。
【0009】冷凍サイクル4は、電磁クラッチ16を介
して車両の走行用エンジン17によって駆動される冷媒
圧縮機18と、この冷媒圧縮機18で圧縮された高温高
圧の冷媒をクーリングファン19の送風を受けて凝縮液
化する冷媒凝縮器20と、この冷媒凝縮器20より導か
れた冷媒を一時蓄えて液冷媒のみを流すレシーバ21
と、このレシーバ21より導かれた液冷媒を減圧膨脹す
る減圧装置22と、ダクト2内に配されて、減圧装置2
2で減圧された低温低圧の冷媒を送風機3の送風を受け
て蒸発させる冷媒蒸発器23の各機能部品より構成さ
れ、それぞれ冷媒配管24によって環状に接続されてい
る。なお、電磁クラッチ16は、クラッチ駆動回路25
(図5参照)を介して、エアコン制御装置6より出力さ
れる制御信号(オンオフ信号)に基づいてオンオフ制御
される。
【0010】温水回路5は、図1に示すように、温水配
管26によってエンジン17の冷却水回路27に接続さ
れ、ヒータコア28、保温容器29、回路制御弁30、
および水温センサ31、32を備える。冷却水回路27
は、エンジン17のウォータジャケット(図示しない)
とラジエータ33とを環状に接続する環状水路27a
と、ラジエータ33を迂回するバイパス水路27bより
成る。冷却水回路27には、エンジン17によって駆動
されるウォータポンプ34が配されており、このウォー
タポンプ34の作動によって冷却水回路27を冷却水が
流れる。また、環状水路27aとバイパス水路27bと
の接続部には、ラジエータ33への冷却水流量を制御す
るサーモスタット35が配されている。このサーモスタ
ット35は、環状水路27a側の開度とバイパス水路2
7b側の開度とを相対的に可変するもので、環状水路2
7a側の開度が大きくなる(つまりバイパス水路27b
側の開度が小さくなる)につれて、ラジエータ33への
冷却水流量が増加する。サーモスタット35の開度(環
状水路27a側の開度)は、エンジン出口水温がTLo
(例えば約80℃)以下の時に全閉(従って環状水路2
7a側の開度が全開)となり、以後、冷却水の温度上昇
に応じて開度が大きくなり、エンジン出口水温がTHi
(例えば約90℃)以上の時に全開となる。
【0011】ヒータコア28は、図2に示すように、ダ
クト2内で冷媒蒸発器23の下流(風下)に配置され、
エンジン冷却水を熱源として、ヒータコア28を通過す
る空気を加熱する。このヒータコア28は、ダクト2内
で、ダクト2内を流れる空気がヒータコア28を迂回し
て流れる迂回路36を形成するように配されており、そ
の迂回路36を通過する空気量とヒータコア28を通過
する空気量との割合いがダクト2内に設けられたエアミ
ックスダンパ37によって調節される。
【0012】保温容器29は、内部に貯留した冷却水を
長時間保温することができるもので、例えば、外気温0
℃の時に、水温85℃の冷却水を12時間経過後に水温
78℃まで保温することのできる保温性能を有する。こ
の保温容器29には、冷却水を保温容器29内に流入さ
せるための流入パイプ38と、保温容器29内の冷却水
を流出させるための流出パイプ39とが接続されてい
る。流入パイプ38は、その上流端が温水回路5に介在
された回路制御弁30の流出ポート40d(図3参照)
に接続され、下流端が保温容器29内の底部寄りに開口
する。流出パイプ39は、その上流端が保温容器29内
の上部寄りに開口し、下流端が回路制御弁30の流入ポ
ート40c(図3参照)に接続されている。
【0013】回路制御弁30は、図1に示すように、温
水回路5のヒータコア28より上流位置に配されて、暖
房運転時に設定された各モード(パージモード、即効ヒ
ータモード、蓄熱モード)および暖房停止モードに応じ
て、温水回路5を流れる冷却水の流れ方向を切り替える
とともに、ヒータコア28へ供給される冷却水の流量
(以下冷却水量と言う)を調節するものである。なお、
パージモードは、エンジン17の始動時等で冷却水の温
度が設定温度(例えば40℃)より低く(当然ヒータコ
ア28より上流の温水回路5内の冷却水の温度も低
い)、且つ空調装置1が作動してからの経過時間が所定
時間(例えば20秒)内の時に、保温容器29内に貯留
されている高温の冷却水を素早くヒータコア28へ供給
するモードである。
【0014】即効ヒータモードは、冷却水の温度が設定
温度より低く、且つ暖房信号が入力されてからの経過時
間が所定時間を超えた時に、回路制御弁30によってヒ
ータコア28へ供給される冷却水量を調節して、ヒータ
コア28の吹出温度が所定温度(例えば、40℃:暖房
による快適感が得られる温度)となるように制御するモ
ードである。蓄熱モードは、冷却水の温度が設定温度以
上の時に、冷却水回路27から導かれた冷却水を直接ヒ
ータコア28へ供給しながら、保温容器29にも供給し
て蓄熱するモードである。暖房停止モードは、冷暖房モ
ードが最大冷房(Max Cool)の時を示すモードである。
【0015】ここで、回路制御弁30の構造を図3およ
び図4を基に説明する。この回路制御弁30は、ケース
40とロータ41より成る。ケース40は、ロータ41
を収容するためのロータ室(図示しない)が形成された
円筒形状を呈する。ケース40には、図3に示すよう
に、温水回路5のエンジン17側に接続される第1パイ
プ40aとヒータコア28側に接続される第2パイプ4
0b、および流出パイプ39が接続される流入ポート4
0cが設けられ、それぞれ同一の内径でロータ室に開口
されている。第1パイプ40aと第2パイプ40bは、
ロータ室を挟んでケース40の径方向に対向して設けら
れ、流入ポート40cは、第1パイプ40aと第2パイ
プ40bの周方向の中間位置(第1パイプ40aおよび
第2パイプ40bに対して90度を成す)に設けられて
いる。第1パイプ40aには、上記の流入パイプ38が
接続される流出ポート40dが分岐して設けられてい
る。
【0016】ロータ41は、その中央部にシャフト41
aを備え、このシャフト41aを介してケース40に回
動自在に支持されている。ロータ41には、図4に示す
ように、ロータ41の側面に3か所の開口部41b、4
1c、41dを有するT字形の水路41eと、この水路
41eに連通する偏平な微少流量制御穴41fとが設け
られている。水路41eは、上記の第1パイプ40a、
第2パイプ40b、流入ポート40cと同一の内径寸法
を有し、ロータ41の回転位置に応じて、上記の第1パ
イプ40a、第2パイプ40b、流入ポート40cを選
択的に連通する。微少流量制御穴41fは、半径方向に
延びる水路41eに連なって形成され、ロータ41の中
央部から外側に向かって面積が次第に大きくなる扇形を
呈する。このロータ41は、シャフト41aに連結され
たリンク機構42を介してサーボモータ43に連結さ
れ、サーボモータ43の回転角度に応じてロータ41の
回転位置が決定する。サーボモータ43は、エアコン制
御装置6より出力される制御信号に基づいてロータ41
を駆動する。
【0017】水温センサ31は、流出ポート40dの接
続部より上流の第1パイプ40aに設けられて、エンジ
ン17より流出して第1パイプ40aを流れる冷却水の
温度を検出する。また、水温センサ32は、ヒータコア
28出口の温水配管26に設けられ、ヒータコア28よ
り流出した冷却水の温度を検出する。
【0018】エアコン制御装置6は、図5に示すよう
に、マイクロコンピュータ6aを内蔵し、エアコン操作
パネル44より出力される操作信号および各センサ(後
述する)からの検出信号に基づいて、各ダンパ(内外気
切替ダンパ10、吹出口切替ダンパ14、15、エアミ
ックスダンパ37)を駆動するそれぞれのサーボモータ
45、46、47、ブロワモータ3cを駆動するモータ
駆動回路7、電磁クラッチ16を駆動するクラッチ駆動
回路25、およびロータ41を駆動するサーボモータ4
3へ制御信号を出力する。エアコン操作パネル44は、
車室内のインストルメントパネル(図示しない)に配さ
れて、乗員の希望する室内温度を設定する温度設定スイ
ッチ48、車室内を温度設定スイッチ48で設定された
温度に保つように各空調機器の自動制御をエアコン制御
装置6に指令するオートスイッチ49、および各空調モ
ード(吸込口モード、吹出口モード、送風機3の送風レ
ベル等)を設定するためのマニュアルスイッチ50が設
けられている。上記の各センサは、車室内温度Trを検
出する内気センサ51、車室外温度Tamを検出する外気
センサ52、日射量Tsを検出する日射センサ53、前
記の水温センサ31、32、車速Vを検出する車速セン
サ54、およびエンジン回転数Neを検出するエンジン
回転数センサ55である。
【0019】エアコン制御装置6によって制御されるロ
ータ41の回転位置は、パージモード時、即効ヒータモ
ード時、蓄熱モード時、および暖房停止モード時に応じ
てそれぞれ以下のように決定される。なお、パージモー
ド時のロータ41の回転位置を弁開度Vp=0°とし
て、図1に示すロータ41の時計回りを+方向、反時計
回りを−方向として表す。パージモード時には、水路4
1eの開口部41bが流入ポート40cと一致し、水路
41eの開口部41cが第2パイプ40bと一致するよ
うにロータ41の回転位置が制御される(弁開度Vp=
0°:図1に示す状態)。この結果、水路41eを介し
て流入ポート40cと第2パイプ40bが連通すること
により、温水回路5を流れる冷却水は、エンジン17→
流入パイプ38→保温容器29→流出パイプ39→ロー
タ41の開口部41bから開口部41cに至る水路41
e→ヒータコア28→ウォータポンプ34→エンジン1
7を循環する経路(第1冷却水経路)を流れる。
【0020】即効ヒータモード時には、パージモード時
のロータ41の回転位置から、図1の反時計回りに5°
〜10°の範囲でロータ41の回転位置が制御される
(弁開度Vs=−5°〜−10°:図6に示す状態)。
この結果、温水回路5を流れる冷却水の経路はパージモ
ード時と同じであるが、ロータ41の回転位置に応じて
第2パイプ40bに対する微少流量制御穴41fの開口
割合が変化することにより、ヒータコア28へ供給され
る冷却水量(例えば、0.5リットル/min 程度)が調
節される。なお、この即効ヒータモードでは、ヒータコ
ア28へ供給される冷却水量によってヒータコア28の
吹出温度が所定温度となるように、弁開度が予め決定さ
れている。
【0021】蓄熱モード時には、パージモード時のロー
タ41の回転位置から、図1の反時計回りに90°回転
した位置、つまり水路41eの開口部41b、41c、
41dが、それぞれ第1パイプ40a、流入ポート40
c、第2パイプ40bと一致するようにロータ41の回
転位置が制御される(弁開度Vt=−90°:図7に示
す状態)。この結果、第1パイプ40a、流入ポート4
0c、第2パイプ40bがそれぞれ水路41eを介して
連通することにより、温水回路5を流れる冷却水は、エ
ンジン17→流入パイプ38→保温容器29→流出パイ
プ39→ロータ41の開口部41cから開口部dに至る
水路41e→ヒータコア28→ウォータポンプ34→エ
ンジン17を循環する経路(第1冷却水経路)と、エン
ジン17→ロータ41の開口部41bから開口部41d
に至る水路41e→ヒータコア28→ウォータポンプ3
4→エンジン17を循環する経路(第2冷却水経路)を
流れる。
【0022】暖房停止モード時には、パージモード時の
ロータ41の回転位置から、図1の反時計回りに45°
回転した位置、つまり水路41eの開口部41b、41
c、41dが、第1パイプ40a、第2パイプ40b、
流入ポート40cのいずれとも一致しないようにロータ
41の回転位置が制御される(弁開度−45°:図8に
示す状態)。この結果、第1パイプ40a、第2パイプ
40b、流入ポート40cは、ロータ41内の水路41
eによってそれぞれ連通することなく、温水回路5が回
路制御弁30で遮断されることになるため、ウォータポ
ンプ34が作動しても、温水回路5を冷却水が循環する
ことはない。
【0023】次に、本実施例の具体的作動を説明する。
図9はエアコン制御装置6の処理手順を示すフローチャ
ートである。まず、温度設定スイッチ48の設定温度信
号Tset および各センサ(31、32、51〜55)の
検出信号(水温Tw1 、水温Tw2 、内気温Tr、外気
温am、日射量Ts、車速V、エンジン回転数Ne)を読
み込む(ステップ100)。つぎに、車室内への目標吹
出温度TAOを次式に基づいて算出する(ステップ11
0)。
【数1】TAO=Kset ・Tset −Kr・Tr−Kam・
Tam−Ks・Ts+C なお、Kset :温度設定ゲイン、Kr:内気温度ゲイ
ン、Kam:外気温度ゲイン、Ks:日射ゲイン、C:補
正定数である。
【0024】続いて、先に算出された目標吹出温度TA
Oを基に、図10に示す内外気特性、吹出口特性、ブロ
ワ特性より、それぞれ吸込口モード、吹出口モード、お
よび送風モードを決定する(ステップ120)。続い
て、回路制御弁30の弁開度を、図11に示す弁開度制
御フローチャートに基づいて判定する(ステップ13
0)。なお、弁開度制御フローチャートの説明は後述す
る。続いて、空調装置1の制御モードがオートモードか
否かを判定する(ステップ140)。この判定結果がY
ES(オートモード)の時は、先のステップ120で選
択された各モードとなり、判定結果がNO(マニュアル
モード)の時は、乗員によって決定されたマニュアルモ
ード(ステップ150)となる。
【0025】続いて、回路制御弁30の弁開度の補正量
を、図12に示す弁開度補正量制御フローチャートに基
づいて判定する(ステップ160)。なお、弁開度補正
量制御フローチャートの説明は後述する。続いて、先の
ステップ120で判定された各モード(オートモード
時)、あるいは乗員により選択された各モード(マニュ
アルモード時)に従って、各モードを制御する(ステッ
プ170)。そして、ステップ130およびステップ1
60で決定された回路制御弁30のロータ41の弁開度
を制御する(ステップ180)。
【0026】次に、回路制御弁30の弁開度制御(ステ
ップ130)について、図11に示す弁開度制御フロー
チャートを基に説明する。まず、ステップ110で算出
された目標吹出温度TAOを所定の吹出温度TAO´と
比較することにより、冷暖房モードが最大冷房(Max Co
ol)であるか否かを判定する(ステップ200)。ここ
では、目標吹出温度TAOが所定の吹出温度TAO´よ
り小さい時(ステップ200の判定結果がNOの時)に
最大冷房であることを示す。なお、最大冷房とは、車室
内へ供給される風がヒータコア28で熱交換を必要とし
ない場合である。従って、ステップ200で冷暖房モー
ドが最大冷房と判定された時は、回路制御弁30のロー
タ41の回転位置を弁開度−45°に制御して、暖房停
止モードに設定する(ステップ210)。これにより、
ヒータコア28の上流で温水回路5が遮断されるため、
ヒータコア28への冷却水の供給は行われない。
【0027】ステップ200で目標吹出温度TAOが所
定の吹出温度TAO´以上の時(判定結果がYESの
時)は、水温センサ31の検出値Tw1 が設定温度Tw
´(例えば40℃)より小さいか否かを判定する(ステ
ップ220)。ここで、水温センサ31の検出値Tw1
が設定温度Tw´より低い時は、現状の冷却水温では所
望の暖房効果を得ることができないことから、パージモ
ードか即効ヒータモードが設定されることになる。
【0028】そこで、ステップ220の判定結果がYE
Sの場合(Tw1 <Tw´)は、パージモードと即効ヒ
ータモードの判定基準として、空調装置1が作動してか
らの経過時間tが所定時間t1 (例えば20秒)以上か
否かを判定する(ステップ230)。この判定結果がN
Oの場合(t<t1 )は、吹出風が直接乗員に当たらな
いようにするために、送風機3を停止するか吹出口モー
ドをデフロスタモードとする。そこで、その判定基準と
して、外気センサ52で検出された外気温度Tamが所定
外気温度Tam1 (例えば0℃)以下か否かを判定し(ス
テップ240)、その判定結果がYESの場合(Tam≦
Tam1 )は送風機3の作動を停止し(ステップ25
0)、判定結果がNOの場合(Tam≧Tam1 )は吹出口
モードをデフロスタモードとする(ステップ260)。
そして、回路制御弁30のロータ41の回転位置を弁開
度Vp=0°に制御して、パージモードに設定する(ス
テップ270)。この結果、保温容器29内の高温の冷
却水が素早くヒータコア28に供給されて、即効暖房の
準備が行われる。
【0029】上記ステップ230の判定結果がYESの
場合(t≧t1 )は、日射センサ53で検出された日射
量Tsが所定日射量Ts´以下か否かを判定する(ステ
ップ280)ことで吹出口モードを決定する。判定結果
がYESの場合(Ts≦Ts´)はフェイスモードを選
択し(ステップ290)、判定結果がNOの場合(Ts
>Ts´)はフットモードを選択する(ステップ30
0)。そして、回路制御弁30のロータ41の回転位置
を弁開度Vs=−5°に制御して、即効ヒータモードに
設定する(ステップ310)。このように、空調装置1
が作動してからの経過時間tが所定時間t1 以上であれ
ば、ヒータコア28内はすでに保温容器29から供給さ
れた高温の冷却水で満たされていると判断して、即効ヒ
ータモードを実行するものである。
【0030】上記のステップ220の判定結果がNOの
場合(Tw1 ≧Tw´)は、フットモードを選択し(ス
テップ320)、回路制御弁30のロータ41の回転位
置を弁開度Vt=−90°に制御して、蓄熱モードに設
定する(ステップ330)。このように、水温センサ3
1の検出値Tw1 が設定温度Tw´以上であれば、現状
の冷却水温で所望の暖房効果を得ることが可能であるこ
とから、即効暖房を行う必要はなく、通常の暖房運転を
行いながら、保温容器29にも高温の冷却水を導いて蓄
熱を行う。
【0031】次に、回路制御弁30の弁開度補正量制御
(ステップ160)について、図12に示す弁開度補正
量制御フローチャート(本発明の冷却水補正量算出手
段)を基に説明する。この回路制御弁30の弁開度補正
量制御は、ヒータコア28の暖房性能に影響を及ぼす要
因に応じて、ヒータコア28を流れる冷却水流量を増減
するものであり、本実施例では、風量変化に対する補
正、温水変化に対する補正、吸込み温度変化に対する補
正を行う。まず、風量変化に対する補正について説明す
る。本願発明者の実験によると、図13に示すように、
ヒータコアを通過する風量が大きくなると吹出温度が低
くなることが明らかとなった。従って、常に一定の吹出
温度を得るためには、ヒータコア28の通過風量に応じ
て冷却水流量を変化させる必要がある。ヒータコア28
の通過風量が変化する要因としては、送風機3の送風
量、車速、内外気の導入割合、吹出口モードがある。
【0032】そこで、ヒータコア28を通過する風量が
大きくなるにつれて、ヒータコア28に供給される冷却
水流量を増加するように回路制御弁30の弁開度を補正
する。具体的には、図14に示すように、送風機3のブ
ロワ電圧が高くなるにしたがって弁開度補正量VB を大
きくする(ステップ400)。なお、弁開度補正量を大
きくすることは、ステップ130で決定されたロータ4
1の弁開度に対して、回路制御弁30を通過する冷却水
流量が多くなるようにロータ41の弁開度を制御するこ
とであり、弁開度補正量を小さくすることは、ステップ
130で決定されたロータ41の弁開度に対して、回路
制御弁30を通過する冷却水流量が少なくなるようにロ
ータ41の弁開度を制御することである。
【0033】同様に、図15に示すように車速が大きく
なるにしたがって弁開度補正量VVを大きくし(ステッ
プ410)、図16に示すように吸込口モードが内気モ
ード側になるにしたがって(内気導入割合が多くなる)
弁開度補正量VI を大きくし(ステップ420)、図1
7に示すように吹出口モードがフェイスモードからバイ
レベルモード、フットモードへと変化するにしたがって
弁開度補正量VF を小さくする(ステップ430)。な
お、車速変化に対する補正は、走行風が導入される外気
モード時のみで、内気モード時は弁開度補正量VV =0
となる。また、吹出口モードに対する補正は、フェイス
モードからバイレベルモード、フットモードへと変化す
るにしたがって通風抵抗が順次大きくなることから、ヒ
ータコア28を通過する風量が低下するため、それに伴
って弁開度補正量VF を小さくするものである。
【0034】次に、温水変化に対する補正について説明
する。前述の図13でも明らかな様に、ヒータコア28
の通過風量が一定でも、温水回路5を循環する冷却水流
量が変化すると吹出温度が変化する。従って、冷却水流
量が変化する要因となるエンジン回転数の変化に対して
ロータ41の弁開度を補正する必要がある。そこで、図
18に示すように、エンジン回転数Neが高くなるにし
たがって弁開度補正量VE を小さくする(ステップ44
0)。また、ヒータコア28内の冷却水温が低いと吹出
温度も低くなるため、図19に示すように、水温センサ
32の検出水温がTw2 が低くなる程、弁開度補正量V
t を大きくする(ステップ450)。
【0035】次に、吸込み温度変化に対する補正につい
て説明する。ヒータコア28を通過する空気温度が低く
なると吹出温度も低くなる。従って、吸込み温度に応じ
てロータ41の弁開度を補正する必要がある。そこで、
図20に示すように、ダクト2内に導入される外気温度
が低くなる程、弁開度補正量VA を大きくする(ステッ
プ460)。なお、吸込み温度変化に対する補正は、外
気が導入される外気モード時のみで、内気モード時は弁
開度補正量VA =0となる。
【0036】以上のステップ400〜460により、各
弁開度補正量が決定され、それらの総和により全補正量
VH が決定される(ステップ470)。なお、各ステッ
プ毎の弁開度補正量は、予めエアコン制御装置6のマイ
クロコンピュータ6aに記憶されており、図14〜図2
0に示した弁開度補正特性に基づいて決定される。この
ように、ヒータコア28の暖房性能に影響を及ぼす要因
に応じてロータ41の弁開度を補正することにより、所
定の吹出温度を安定的に得ることができる。
【0037】〔変形例〕本実施例では、ロータ41が回
転する回転可動式の回路制御弁30を示したが、これに
限定されることはなく、流量調整が可能な制御弁であれ
ば良く、例えば、弁体がスライドすることで流量調整を
行うスライド式の制御弁でも良い。また、1つの回路制
御弁30が冷却水の流れ方向を切り替える機能と冷却水
の流量を調節する機能を有する場合を示したが、冷却水
の流れ方向を切り替えるための弁と、流量調節を行うた
めの弁とを別々に設けても良い。回路制御弁30の弁開
度補正量制御については、本実施例で説明した場合に限
定されるものではなく、図12に示した各補正を単独あ
るいは複数の組み合わせで行っても良い。本実施例で
は、目標吹出温度TAOに基づいてロータ41の弁開度
を判定する例を示したが、例えば暖房を行うためのヒー
タスイッチを設けて、このヒータスイッチがオンされた
か否かによって判定しても良い。
【0038】乗員のマニュアル操作によりデフロスタモ
ードが選択された場合に、水温センサ31の検出値Tw
1 が設定温度Tw´より小さい時には、回路制御弁30
をパージモードに固定し、水温センサ31の検出値Tw
1 が設定温度Tw´以上の時には、回路制御弁30を蓄
熱モードに固定し、送風機3を強制的にHiレベルある
いは送風レベルを一律に上げる様に制御しても良い。本
実施例では、図12に示す弁開度補正量制御において、
弁開度補正量を各信号に対して連続的に可変としたが、
段階的に可変しても良い。
【0039】
【発明の効果】本発明の車両用暖房装置は、ヒータコア
の暖房性能に影響を及ぼす要因に応じてロータの弁開度
を補正して、ヒータコアへ供給される冷却水流量を制御
することにより、所定の吹出温度を安定的に得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る温水回路図である。
【図2】車両用空気調和装置の全体模式図である。
【図3】回路制御弁の断面図である。
【図4】回路制御弁のロータ斜視図である。
【図5】本実施例の制御に係るブロック図である。
【図6】本実施例の作動説明図である(即効ヒータモー
ド)。
【図7】本実施例の作動説明図である(蓄熱モード)。
【図8】本実施例の作動説明図である(暖房停止モー
ド)。
【図9】エアコン制御装置の処理手順を示すフローチャ
ートである。
【図10】内外気モード、吹出口モード、送風レベルを
決定する特性図である。
【図11】回路制御弁の弁開度制御に係るエアコン制御
装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】回路制御弁の弁開度補正量制御に係るエアコ
ン制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】ヒータコアの通過風量と吹出温度との関係を
示すグラフである。
【図14】ブロワ補正に係る弁開度補正特性図である。
【図15】車速補正に係る弁開度補正特性図である。
【図16】内外気補正に係る弁開度補正特性図である。
【図17】吹出口補正に係る弁開度補正特性図である。
【図18】エンジン回転数補正に係る弁開度補正特性図
である。
【図19】水温補正に係る弁開度補正特性図である。
【図20】外気温補正に係る弁開度補正特性図である。
【符号の説明】
1 車両用空気調和装置(車両用暖房装置) 5 温水回路 6 エアコン制御装置(制御手段、冷却水補正量算出手
段) 17 走行用エンジン(水冷式エンジン) 28 ヒータコア(温水式熱交換器) 29 保温容器 30 回路制御弁(流通方向切替手段、流量調節手段) 31 水温センサ(水温検出手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)水冷式エンジンの冷却水と車室内へ送
    風される空気との熱交換を行う温水式熱交換器と、 b)内部に貯留された冷却水を保温する保温容器と、 c)前記エンジンより流出した冷却水を前記保温容器内
    に導き、その保温容器内の冷却水を前記温水式熱交換器
    に導く第1冷却水経路、前記エンジンより流出した冷却
    水を前記保温容器を迂回して前記温水式熱交換器に導く
    第2冷却水経路を構成する温水回路と、 d)この温水回路に設けられて、前記エンジンより流出
    した冷却水の流れ方向を切り替える流通方向切替手段
    と、 e)前記温水回路に設けられて、前記温水式熱交換器に
    供給される冷却水の流量を調節可能な流量調節手段と、 f)前記エンジンより流出した冷却水の温度を検出する
    水温検出手段と、 g)前記温水式熱交換器の暖房性能に影響を及ぼす要因
    に応じて、前記温水式熱交換器を流れる冷却水流量を増
    減する冷却水補正量を算出する冷却水補正量算出手段
    と、 h)前記水温検出手段の検出値に基づいて前記流通方向
    切替手段を制御するとともに、前記冷却水補正量算出手
    段によって算出された冷却水補正量に基づいて前記流量
    調節手段を制御する制御手段とを備えた車両用暖房装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1134640A (ja) * 1997-07-24 1999-02-09 Denso Corp 車両用空調装置
US6454180B2 (en) 2000-03-02 2002-09-24 Denso Corporation Vehicle air conditioner with heating capacity control of cooling water circuit
JP2010012923A (ja) * 2008-07-03 2010-01-21 Sanden Corp 車両用暖房装置

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