JP3633035B2 - 空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、室内に空気を導く空気通路内に、冷凍サイクルの圧縮機回転数によって熱交換能力が可変する第1および第2の熱交換器を備え、この圧縮機回転数を調節することによって、室内への吹出風温度を制御する空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような空調装置の従来技術として、例えば特開平6−278451号公報に開示された発明がある。この発明によると、室内の設定温度、室温、外気温、日射量に基づいて算出された目標吹出温度が、第1の所定温度(例えば20℃)を下回るときは冷房モード、第2の所定温度(例えば30℃)を上回るときは暖房モード、第1の所定温度と第2の所定温度との間にあるときは送風モードで制御するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこの従来技術は、上記第1および第2の所定温度という固定された値を設定し、この固定された値と上記目標吹出温度との大小関係に基づいて上記冷房モード、送風モード、暖房モードの切換制御を行っている。この場合、以下のような問題が発生する。
【0004】
例えば、現在の内外気切換モードが内気循環モードで、室内温度も目標吹出温度と同じ25(℃)であるとする。この場合、第1の所定温度を20(℃)、第2の所定温度を30(℃)とすると、送風モードで制御される。このとき、空調ダクト内の熱交換器吸込側空気温度は、室内温度と同じ25(℃)となる。
ここで外気温度が35(℃)の場合、内外気切換モードを内気循環モードから外気導入モードに切り換えると、空調ダクト内の熱交換器吸込側における空気温度は、外気温度と同じ35(℃)となる。従って、室内へ吹き出される吹出風温度を目標吹出温度と同じにするためには、上記熱交換器にてこの吸込空気(外気)を冷却しなければならないので、現在送風モードで制御されているところを冷房モードに切り換えなければならない。
【0005】
しかし上記目標吹出温度は、内気循環モードから外気導入モードに切り換わって上記吸込温度が急に変化しても、これに応じて急に変化するものではない。従って、しばらくは送風モードのままで制御されることになり、その結果、室内へ温風が吹き出されてしまうといった問題が発生する。
本発明は上記問題に鑑み、熱交換器の吸込側空気温度が変化しても、冷房モード、送風モード、暖房モードの切換を精度良く行うことのできる空調装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、送風手段(3)で発生した空気流を室内に導く空気通路(2)内に、この空気通路(2)内の空気との間で熱交換する第1の熱交換器(14)および第2の熱交換器(61)が配設され、前記第1の熱交換器(14)にて前記空気通路内空気を冷却させるか、前記第2の熱交換器(61)にて前記空気通路内空気を加熱させるかを切り換える切換手段(27、28、64)を備え、前記第1の熱交換器(14)における空気冷却能力、および前記第2の熱交換器(61)における空気加熱能力が、冷凍サイクル(4)の圧縮機(10)の回転数によって調節されるように構成された空調装置において、前記空気通路(2)の空気上流側部位に形成された、室内空気を吸入する内気吸入口(7)および室外空気を吸入する外気吸入口(8)と、これらの吸入口(7、8)を選択的に開閉する吸入口開閉手段(9)と、前記両熱交換器(14、61)の吸込側における空気温度(Tin)を検出する吸込温度検出手段(42、43、ステップ120、140)と、温度設定手段で設定された室内の設定温度(Tset )、および室内温度検出手段(42)で検出された室内温度(Tr )に基づいて、室内へ吹き出す目標吹出温度(TAO)を算出する目標吹出温度算出手段(ステップ130)と、前記算出された目標吹出温度と前記検出された吸込温度との偏差(TAO−Tin)が、第1の低温側所定温度(C1 )以下か否かを判定する第1の判定手段(ステップ190)と、前記偏差が、前記第1の低温側所定温度よりも高温である第1の高温側所定温度(H1 )以上か否かを判定する第2の判定手段(ステップ210)と、前記第1の判定手段(ステップ190)によって、前記偏差が前記第1の低温側所定温度以下であると判定されたとき、前記圧縮機(10)を駆動するとともに、前記第1の熱交換器(14)にて前記空気通路内空気を冷却させるように前記切換手段(27、28、64)を制御する冷房モード制御手段(ステップ200)と、前記第2の判定手段(ステップ210)によって、前記偏差が前記第1の高温側所定温度以上であると判定されたとき、前記圧縮機(10)を駆動するとともに、前記第2の熱交換器(61)にて前記空気通路内空気を加熱させるように前記切換手段(27、28、64)を制御する暖房モード制御手段(ステップ220)と、前記第1の判定手段(ステップ190)によって、前記偏差が前記第1の低温側所定温度以上と判定され、かつ前記第2の判定手段(ステップ210)によって、前記偏差が前記第1の高温側所定温度以下と判定されたとき、前記圧縮機(10)を停止する送風モード制御手段(ステップ230)と、前記偏差が、前記第1の低温側所定温度よりも低温の第2の低温側所定温度(C 2 )と、前記第1の高温側所定温度よりも高温の第2の高温側所定温度(H 2 )との間にあるか否かを判定する第3の判定手段(ステップ160)と、この第3の判定手段(ステップ160)によって、前記偏差が前記第2の低温側所定温度と前記第2の高温側所定温度との間にあると判定されたとき、前記内気吸入口(7)を閉じて前記外気吸入口(8)を開くように前記吸入口開閉手段(9)を制御する吸入口制御手段(ステップ170)とを備えた空調装置を特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明では、請求項1記載の空調装置において、
前記第1の熱交換器(14)は、前記冷凍サイクル(4)の蒸発器(14)であることを特徴とする。
また請求項3記載の発明では、請求項1または2記載の空調装置において、
前記第2の熱交換器(61)は、前記冷凍サイクル(4)の凝縮器(62)の凝縮熱によって前記空気通路内空気を加熱する熱交換器(61)であることを特徴とする。
【0008】
また請求項4記載の発明では、請求項1ないし3いずれか1つ記載の空調装置において、
前記第2の熱交換器(61)は、前記凝縮器(62)の凝縮熱によって加熱された温水が内部を流れる熱交換器(61)であることを特徴とする。
また請求項5記載の発明では、請求項1ないし4いずれか1つ記載の空調装置において、
前記空気通路(2)の空気上流側部位に形成された、室内空気を吸入する内気吸入口(7)および室外空気を吸入する外気吸入口(8)と、
これらの吸入口(7、8)を選択的に開閉する吸入口開閉手段(9)と、
前記偏差が、前記第1の低温側所定温度よりも低温の第2の低温側所定温度(C2 )と、前記第1の高温側所定温度よりも高温の第2の高温側所定温度(H2 )との間にあるか否かを判定する第3の判定手段(ステップ160)と、
この第3の判定手段(ステップ160)によって、前記偏差が前記第2の低温側所定温度と前記第2の高温側所定温度との間にあると判定されたとき、前記内気吸入口(7)を閉じて前記外気吸入口(8)を開くように前記吸入口開閉手段(9)を制御する吸入口制御手段(ステップ170)と
を備えることを特徴とする。
【0009】
なお、上記括弧内の符号は、後述する実施例の具体的手段との対応を示すものである。
【0010】
【発明の作用効果】
請求項1ないし記載の発明によれば、設定温度と室内温度とに基づいて算出される目標吹出温度と、第1および第2の熱交換器の吸込側における吸込温度との偏差が第1の低温側所定温度以下のときは、圧縮機が駆動して第1の熱交換器が空気通路内の空気を冷却する冷房モードとなり、上記偏差が第1の高温側所定温度以上のときは、圧縮機が駆動して第2の熱交換器が空気通路内空気を加熱する暖房モードとなり、上記偏差が前記両所定温度の間にあるときは、圧縮機が停止する送風モードとなる。
【0011】
このように、目標吹出温度と吸込温度との偏差に基づいて冷房モード、送風モード、暖房モードの切換を行うと、吸込温度が何らかの原因で変化したときには、上記偏差自体も変化する。従って本発明では、吸込温度が変化したときには、これに応じて上記各モードの切換を行うことができる。
【0012】
【実施例】
次に、本発明を車両(具体的には電気自動車)に用いられる空調装置に適用した一実施例について図1〜4を用いて説明する。まず図1を用いて本実施例の全体構成について説明する。
空調装置1は、車室内に送風空気を導く空調ダクト2と、この空調ダクト2内に空気流を発生して車室内に圧送する送風手段3と、アキュムレータ式冷凍サイクル4と、温水回路5と、エアコン制御装置6とを備える。
【0013】
上記空調ダクト2の空気上流側には、車室内空気を吸入する内気吸入口7、外気を吸入する外気吸入口8、およびこれらを選択的に開閉する内外気切換ドア9が設けられている。そしてこの内外気切換ドア9は、図示しない駆動手段(本実施例ではサーボモータ)によって駆動され、この駆動手段には、この駆動手段の位置を検出するポテンショメータが接続されている。
【0014】
また、この内外気切換ドア9の下流側部位に上記送風手段3が配設されており、空調ダクト2内のうち、この送風手段3の下流側部位に、上記冷凍サイクル4の一部をなす室内熱交換器14が配設されている。また空調ダクト2内のうち、上記室内熱交換器14の下流側部位には、上記温水回路5の一部をなすヒータコア61が配設されている。またこのヒータコア61には、送風手段3から圧送される空気のうち、このヒータコア61を通過する空気量を調節するエアミックスドア64が設けられている。なお、このエアミックスドア64は、後述する冷房モード時にはヒータコア61を全閉し、後述する暖房モード時にはヒータコア61を全開する。
【0015】
また空調ダクト2の空気下流側端部には、車両の窓ガラスに向かって空調空気を吹き出すデフロスタ吹出口2aと、乗員の上半身に向かって空調空気を吹き出すフェイス吹出口2bと、乗員の足元に向かって空調空気を吹き出すフット吹出口2cとが形成されている。これらの吹出口2a〜2cは、図示しない吹出口切換ドアによって選択的に開閉される。
【0016】
ところで上記冷凍サイクル4は、圧縮機10、室外熱交換器11、冷房用減圧手段12、暖房用減圧手段13、上記室内熱交換器14、アキュムレータ16、および冷媒−温水熱交換器62がそれぞれ冷媒配管31によって接続された周知のものである。このうち圧縮機10は、冷媒を吸入、圧縮、吐出するもので、この圧縮機10を回転駆動する電動モータ32(図2参照)が内蔵されている。
【0017】
この電動モータ32は、車両走行用バッテリー33(図2参照)からの電力を受けて駆動されるもので、インバータ19によって可変制御される周波数に応じて回転速度が決定される。従って、圧縮機10の冷媒吐出容量は電動モータ32の回転速度に応じて変化する。
室外熱交換器11は、空調ダクト2の外部(車室外)に配設され、室外ファン20からの送風を受けて外気と冷媒とを熱交換させる熱交換器である。この室外熱交換器11は、後述する冷房モード時には凝縮器として機能し、後述する暖房モード時には蒸発器として機能する。
【0018】
冷房用減圧手段12は、後述する冷房モード時に室外熱交換器11からの高温高圧冷媒を減圧膨張させるもので、具体的にはキャピラリーチューブで構成されている。
暖房用減圧手段13は、後述する暖房モード時に冷媒−温水熱交換器62からの高温高圧冷媒を減圧膨張させるもので、具体的にはキャピラリーチューブで構成されている。
【0019】
室内熱交換器14は、空調ダクト2の内部に配設され、送風手段3からの送風されてきた空気と冷媒とを熱交換させる熱交換器である。この室内熱交換器14は、後述する冷房モード時には蒸発器として機能し、後述する暖房モード時には冷媒は流れない。
アキュムレータ16は、冷凍サイクル4内の過剰冷媒を一時蓄えるとともに、圧縮機10が液冷媒を吸入しないように気冷媒のみを送り出すものである。
【0020】
冷媒−温水熱交換器62は、空調ダクト2の外部(車室外)に配設され、圧縮機10からの高温高圧冷媒と温水回路5中の温水とを熱交換させる熱交換器である。この冷媒−温水熱交換器62は、後述する冷房モード時、暖房モード時ともに凝縮器として機能する。
また上記冷凍サイクル4には、室外熱交換器11からの冷媒を、冷房用減圧手段12をバイパスしてアキュムレータ16に導くバイパス通路25と、冷媒−温水熱交換器62からの冷媒を、暖房用減圧手段13をバイパスして室外熱交換器11に導くバイパス通路26が設けられ、それぞれのバイパス通路25、26の途中には電磁弁28、27が設けられている。
【0021】
また温水回路5は、上記ヒータコア61、冷媒−温水熱交換器62の他に、燃焼式ヒータ66がそれぞれ温水配管63によって接続されたものである。このうち上記冷媒−温水熱交換器62は、冷凍サイクル4の凝縮器における凝縮熱と、温水配管63内を流れる温水とを熱交換させて、温水を加熱する熱交換器である。
【0022】
また燃焼式ヒータ66は、燃料タンク67内の燃料を燃焼することによって温水を加熱するものである。そして、この燃焼式ヒータ66による温水加熱量と上記冷媒−温水熱交換器62による温水加熱量は、温水弁68、69によって調節される。
次に制御装置6について図2を用いて説明する。
【0023】
制御装置6は、図示しないインターフェイス、CPU、ROM、RAM等を備える周知のマイクロコンピュータを内蔵するものであり、車室内前方に設けられたエアコン操作パネル41の各設定器からの信号、車室内前方のダッシュボード内に設けられた、車室内温度を検出する内気温センサ42からの信号、およびフロントグリルの後方に設けられた、外気温を検出する外気温センサ43からの信号が入力される。
【0024】
また制御装置6には、車室内に照射される日射量を検出する日射センサ44からの信号、室内熱交換器14における空気冷却度合い(具体的には室内熱交換器14を通過した直後の空調ダクト2内の空気温度)を検出するセンサ45(以下、蒸発器後センサという)からの信号、ヒータコア61付近の温水配管63上に設けられた水温センサ45からの信号、および上記内外気切換ドア9の位置を検出するポテンショメータからの信号が入力される。
【0025】
そして制御装置6は、これらの信号が入力されたら、後述する所定の制御処理を行い、その結果に基づいて、インバータ19、送風手段3、電磁弁27、28、温水弁68、69、およびその他のアクチュエータを制御する。
次に、上記冷房モード時および暖房モード時の冷媒の流れを説明する。
(冷房モード時)
このときには電磁弁27が開いて電磁弁28が閉じる。その結果、圧縮機10が吐出した高温高圧冷媒は、冷媒−温水熱交換器62→電磁弁27→室外熱交換器11→冷房用減圧手段12→室内熱交換器14→アキュムレータ16→圧縮機10の順で流れる。これによって室内熱交換器14が蒸発器として機能し、空調ダクト2内の空気はこの室内熱交換器14によって冷却される。
【0026】
(暖房モード時)
このときには電磁弁27が閉じて電磁弁28が開く。その結果、圧縮機10が吐出した高温高圧冷媒は、冷媒−温水熱交換器62→暖房用減圧手段13→室外熱交換器11→電磁弁28→アキュムレータ16→圧縮機10の順で流れる。このとき、冷媒−温水熱交換器62の凝縮熱によって加熱された温水がヒータコア61内を流れ、空調ダクト2内の空気はこのヒータコア61によって加熱される。
【0027】
次に、上記エアコン制御装置6のマイクロコンピュータにおける制御処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップ100にて空調装置の自動制御処理を開始すると、ステップ110にて初期化処理を行う。そして次にステップ120にて、エアコン操作パネル41の温度設定器で設定された設定温度Tset と、上記各センサ42〜46の値(車室内温度Tr 、外気温度Tam、日射量Ts 、蒸発器後温度Te 、水温Tw )と、上記ポテンショメータの値を読み込む。
【0028】
そして次のステップ130にて、上記ステップ120で読み込んだ各値を、ROMに記憶された下記数式1に代入することによって、車室内へ吹き出す空気の目標吹出温度(以下、TAOという)を算出する。
【0029】
【数1】
TAO=A×Tset +B×Tr +C×Tam+D×Ts +E
ここでA、B、C、D、およびEはそれぞれ定数である。
次にステップ140にて、上記ステップ120で読み込んだ各値を、ROMに記憶された下記数式2に代入することによって、室内熱交換器14の吸込側における空調ダクト2内の空気温度Tinを算出する。
【0030】
【数2】
Tin=α×Tam+(1−α)×Tr
ここでαは、上記ポテンショメータによって検出された内外気切換ドア9の開度であり、0≦α≦1である。そして、内気循環モードのときにα=0、外気導入モードのときにα=1である。従って、内気循環モードのときにはTin=Tr 、外気導入モードのときにはTin=Tamとなる。
【0031】
そして次にステップ150にて、上記目標吹出温度TAOと吸込温度Tinとの偏差(TAO−Tin)を算出する。
そして次のステップ160〜180にて、この偏差TAO−Tinに応じて内外気切換モードを制御する。具体的にはまずステップ160にて、上記偏差TAO−Tinが第2の低温側所定温度C2 (本実施例では−10.5℃)と第2の高温側所定温度H2 (本実施例では10.5℃)との間にあるか否かを判定する。
【0032】
ここでこれらの所定温度間にあると判定されたときは、外気導入モードとなるように内外気切換ドア9の駆動手段を制御する。反対に、これらの所定温度間にないと判定されたときは、任意の内外気切換モード(例えば目標吹出温度TAOを得るのに必要なモード)となるように制御する。
そして次のステップ190〜230にて、上記偏差TAO−Tinに応じて、冷房モード、送風モード、暖房モードのいずれで制御するのかを決定する。具体的には、まずステップ190にて、上記偏差TAO−Tinが第1の低温側所定温度C1 (C2 <C1 <0、本実施例では−2℃)以下か否かを判定する。ここでこの所定温度C1 以下であると判定されたときは、ステップ200に進んで冷房モードとなるように制御する。
【0033】
このステップ200では、インバータ19、エアミックスドア64、電磁弁27、28、および送風手段3を以下のように制御する。つまり、まずTAOと蒸発器後センサ45の検出値Te との偏差(TAO−Te )、およびTe の変化率に基づいて、Te =TAOとなるようにインバータ19を制御して、圧縮機10の回転数を制御する。
【0034】
そして、ヒータコア61を全閉する位置にエアミックスドア64を制御し、電磁弁27を開けて電磁弁28を閉じ、目標吹出温度TAOを得るのに必要な風量となるように送風手段3を制御する。
また、上記ステップ190でNOと判定されたときは、次のステップ210にて、上記偏差TAO−Tinが第1の高温側所定温度H1 (0<H1 <H2 、本実施例では2℃)以上か否かを判定する。ここでこの所定温度H1 以上であると判定されたときは、ステップ220に進んで暖房モードとなるように制御する。
【0035】
このステップ220では、インバータ19、エアミックスドア64、電磁弁27、28、および送風手段3を以下のように制御する。つまり、まず水温センサ46の検出値Tw の値に基づいて、TAO=TWOとなるようにインバータ19を制御して、圧縮機10の回転数を制御する。なお、このTWOとは水温Tw の目標値のことで、下記数式3のように表される。
【0036】
【数3】
TWO=(TAO−Tin)/φ+Tin
なお、φはヒータコア61の温度効率である。
そして、ヒータコア61を全開する位置にエアミックスドア64を制御し、電磁弁27を閉じて電磁弁28を開け、目標吹出温度TAOを得るのに必要な風量となるように送風手段3を制御する。
【0037】
また、上記ステップ210でNOと判定されたときは、次のステップ230に進んで送風モードとなるように制御する。このステップ230では、インバータ19への通電を停止して圧縮機10の運転を停止し、ヒータコア61を全閉する位置にエアミックスドア64を制御し、目標吹出温度TAOを得るのに必要な風量となるように送風手段3を制御する。
【0038】
なお、上記各ステップはそれぞれの機能を実現する手段を構成する。
以上説明した本実施例の制御によると、図4に示すように、▲1▼TAO−Tin≦C1 で冷房モード、▲2▼C1 ≦TAO−Tin≦H1 で送風モード、▲3▼TAO−Tin≧H1 で暖房モードとなるように制御される。また内外気切換モードは、▲4▼C2 ≦TAO−Tin≦H2 で外気導入モード、▲5▼TAO−Tin≦C2 またはTAO−Tin≧H2 で任意の内外気切換モードとなる。
【0039】
ここで、TAO−Tin=C1 のときには冷房モードまたは送風モードのいずれかを、またTAO−Tin=H1 のときには暖房モードまたは送風モードのいずれかを選択すれば良い。また、TAO−Tin=C2 またはTAO−Tin=H2 のときには、外気導入モードにするかまたは任意の内外気切換モードにするかを選択すれば良い。
【0040】
以上説明したように本実施例では、目標吹出温度TAOと吸込温度Tinとの偏差(TAO−Tin)に基づいて、冷房モード、送風モード、暖房モードの切換を行うようにしたので、以下のような効果を奏する。
例えば、現在内気循環モードで制御され、室内温度が目標吹出温度TAOと同じ25(℃)であるとする。この場合、Tin=25℃となるので、TAO−Tin=0(℃)となり、送風モードで制御される。
【0041】
ここで外気温度が35(℃)の場合、内気循環モードから外気導入モードに切り換えると、Tinは外気温度と同じ35(℃)となる。従って、TAO−Tin=−10(℃)となり、送風モードから冷房モードに切り換わる。これによって、車室内へは室内熱交換器14にて冷却された風が吹き出され、車室内温度は目標吹出温度に制御される。
【0042】
このように本実施例では、内外気切換モードが切り換わって、吸込温度Tinが変化したときでも、上記偏差TAO−Tin自体も変化するので、この吸込温度Tinの変化に応じて上記各モードの切換を行うことができる。
また本実施例では、上記ステップ160でYESと判定されたときにステップ170にて強制的に外気導入モードとしている。以下、ステップ170にて外気導入モードとすることの効果を、ステップ170にて内気循環モードとする場合と比較しながら説明する。
【0043】
例えば、ステップ170にて仮に内気循環モードとした場合を考える。この場合、実際に室内熱交換器14の吸込側に導かれるのは車室内空気であり、また上記数式2から算出される吸込温度Tinも、内気温センサ42の検出値Tr として算出される。
ところがこの内気温センサ42は、上記したように車室内前方のダッシュボード内に設けられているため、そのときの条件によっては、実際の車室内温度とは若干ずれた温度を検出する場合がある。従ってこのような場合には、実際に室内熱交換器14の吸込側に導かれる空気の温度と、上記数式2から算出される吸込温度Tinとの間に若干のずれが生じてしまい、以降のステップ190、210での判定を正確に行えなくなる。
【0044】
それに対して外気温センサ43は、フロントグリルの後方という、外気温を正確に検出できる位置に設けられている。従って本実施例では、ステップ170にて強制的に外気導入モードとすることによって、上記数式2に基づいて算出される吸込温度Tinを極力実際の吸込温度となるようにし、これによって以降のステップ190、210の判定を正確に行えるようにしている。
【0045】
また本実施例では、上記ステップ160にて、上記偏差TAO−Tinが、C1 とH1 との間にあるか否かを判定するのではなく、C1 よりも低温のC2 とH1 よりも高温のH2 との間にあるか否かを判定することによって、上記偏差TAO−TinがC1 またはH1 のときには必ず外気導入モードとなるので、冷房モードから送風モードへの切換(およびその逆)、および暖房モードから送風モードへの切換(およびその逆)を正確に行うことができる。
【0046】
また本実施例では、吸込温度Tinを既存の内気温センサ42、外気温センサ43にて算出するようにしたので、この吸込温度Tinを検出するセンサを設ける場合に比べて部品点数を削減することができる。
(変形例)
図5に示すように、各モードの切換温度となるC1 、C2 、H1 、H2 にヒステリシスを持たせても良い。但しこの場合、あくまでも冷房モードと暖房モードとの間に送風モードを設けることが前提であるので、C1 の高温側の幅t1 およびH1 の低温側の幅t2 はそれぞれ、(H1 −C1 )/2未満とする。なお本実施例では、各ヒステリシスはC1 、H1 を中心に±1(℃)、C2 、H2 を中心に±0.5(℃)である。
【0047】
また、上記実施例では吸込温度Tinを他の温度センサ(内気温センサ42、外気温センサ43)の値から算出したが、この吸込温度Tinを吸込温度センサで直接検出するようにしても良い。つまり請求項1記載の発明でいう吸込温度検出手段を、上記吸込温度センサおよびステップ120で構成しても良い。この場合、実際に吸込温度Tinを検出できるので、上記ステップ160、170の処理を行わなくても良い。
【0048】
また、上記実施例ではステップ170にて完全な外気導入モード(α=1)としたが、若干は内気が混ざるモード(例えばα=0.9)となるようにしても効果はある。要するにステップ170では、αが1に近い内外気モードにする程、ステップ190、210における判定をより正確に行うことができるということである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の全体構成図である。
【図2】上記実施例の制御系のブロック図である。
【図3】上記実施例の制御フローチャートである。
【図4】上記実施例のTAOとTinとの偏差に対する各モードの状態を示す図である。
【図5】他の実施例のTAOとTinとの偏差に対する各モードの状態を示す図である。
【符号の説明】
1…空調装置、2…空調ダクト(空気通路)、3…送風手段、
4…冷凍サイクル、5…温水回路、6…制御装置、7…内気吸入口、
8…外気吸入口、9…内外気切換ドア(吸入口開閉手段)、10…圧縮機、
14…室内熱交換器(第1の熱交換器、蒸発器)、27…電磁弁(切換手段)、
28…電磁弁(切換手段)、
42…内気温センサ(吸込温度検出手段、室内温度検出手段)、
43…外気温センサ(吸込温度検出手段)、
61…ヒータコア(第2の熱交換器)、64…エアミックスドア(切換手段)。

Claims (4)

  1. 送風手段で発生した空気流を室内に導く空気通路内に、この空気通路内の空気との間で熱交換する第1の熱交換器および第2の熱交換器が配設され、
    前記第1の熱交換器にて前記空気通路内空気を冷却させるか、前記第2の熱交換器にて前記空気通路内空気を加熱させるかを切り換える切換手段を備え、
    前記第1の熱交換器における空気冷却能力、および前記第2の熱交換器における空気加熱能力が、冷凍サイクルの圧縮機の回転数によって調節されるように構成された空調装置において、
    前記空気通路の空気上流側部位に形成された、室内空気を吸入する内気吸入口および室外空気を吸入する外気吸入口と、
    これらの吸入口を選択的に開閉する吸入口開閉手段と、
    前記両熱交換器の吸込側における空気温度を検出する吸込温度検出手段と、
    温度設定手段で設定された室内の設定温度、および室内温度検出手段で検出された室内温度に基づいて、室内へ吹き出す目標吹出温度を算出する目標吹出温度算出手段と、
    前記算出された目標吹出温度と前記検出された吸込温度との偏差が、第1の低温側所定温度以下か否かを判定する第1の判定手段と、
    前記偏差が、前記第1の低温側所定温度よりも高温である第1の高温側所定温度以上か否かを判定する第2の判定手段と、
    前記第1の判定手段によって、前記偏差が前記第1の低温側所定温度以下であると判定されたとき、前記圧縮機を駆動するとともに、前記第1の熱交換器にて前記空気通路内空気を冷却させるように前記切換手段を制御する冷房モード制御手段と、
    前記第2の判定手段によって、前記偏差が前記第1の高温側所定温度以上であると判定されたとき、前記圧縮機を駆動するとともに、前記第2の熱交換器にて前記空気通路内空気を加熱させるように前記切換手段を制御する暖房モード制御手段と、
    前記第1の判定手段によって、前記偏差が前記第1の低温側所定温度以上と判定され、かつ前記第2の判定手段によって、前記偏差が前記第1の高温側所定温度以下と判定されたとき、前記圧縮機を停止する送風モード制御手段と
    前記偏差が、前記第1の低温側所定温度よりも低温の第2の低温側所定温度と、前記第1の高温側所定温度よりも高温の第2の高温側所定温度との間にあるか否かを判定する第3の判定手段と、
    この第3の判定手段によって、前記偏差が前記第2の低温側所定温度と前記第2の高温側所定温度との間にあると判定されたとき、前記内気吸入口を閉じて前記外気吸入口を開くように前記吸入口開閉手段を制御する吸入口制御手段とを備えたことを特徴とする空調装置。
  2. 前記第1の熱交換器は、前記冷凍サイクルの蒸発器であることを特徴とする請求項1記載の空調装置。
  3. 前記第2の熱交換器は、前記冷凍サイクルの凝縮器の凝縮熱によって前記空気通路内空気を加熱する熱交換器であることを特徴とする請求項1または2記載の空調装置。
  4. 前記第2の熱交換器は、前記凝縮器の凝縮熱によって加熱された温水が内部を流れる熱交換器であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載の空調装置。
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