JPH06320733A - インクジェット記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置

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JPH06320733A
JPH06320733A JP11453993A JP11453993A JPH06320733A JP H06320733 A JPH06320733 A JP H06320733A JP 11453993 A JP11453993 A JP 11453993A JP 11453993 A JP11453993 A JP 11453993A JP H06320733 A JPH06320733 A JP H06320733A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク吐出口形成端面の材料の改質により、
密着性良好な、インク吐出方向の偏向及びインク不吐出
等の発生しない、安定したインク吐出を長期間に亘って
得ることを可能とする、インクジェット記録ヘッドの製
造方法、該方法により得られる記録ヘッド並びに該ヘッ
ド及び載置部材を具備するインクジェット記録装置を提
供する。 【構成】 インクジェット記録ヘッドのインク吐出口形
成端面に、撥水性を賦与するフッ素化合物イオン等を、
吐出口の法線に対し傾斜した方向からイオンを注入し
て、該端面の表面改質を行うことにより、目的とするイ
ンクジェット記録ヘッド製造方法、該方法により製造さ
れる記録ヘッド、並びに該ヘッド及び載置部材を具備す
るインクジェット記録装置が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般にインクと呼ばれ
る記録液を吐出口(オリフィス)から小滴として吐出、
飛翔させ、この小滴を被記録面へ付着させて記録を行う
インクジェット記録ヘッド、特に吐出口形成端面に改良
を加えたインクジェット記録ヘッド、その製造方法、及
び同ヘッドを用いた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータの普及に伴いその各
種応用機器の開発が盛んに行われている。特に複写機、
ファクシミリ、ワードプロセッサ、その他のいわゆるパ
ーソナルコンピュータ等のオフィースオートメーション
用の事務機器の開発及び普及には著しいものがある。こ
れらの事務機器においては、処理されたデータ或いは文
章等の出力用機器としてのいわゆるプリンタは必須の装
置である。
【0003】従来、このようなプリンタとしては、ワイ
ヤードットプリンタ等のインパクト方式のプリンタや、
静電複写方式を用いたレーザービームプリンタ、熱転写
プリンタ等のノンインパクト方式のプリンタが用いられ
ているが、インクジェット記録方式によるプリンタも近
年その優れた特徴が注目されて、各種の方式の開発が進
められている。
【0004】プリンタによる印字や画像が、美麗で精細
であることが望ましいのは言う迄もないことであり、上
記の各種プリンタ関連技術が目標とする点もここにあ
る。そのためインクジェット記録ヘッドの一形態とし
て、インク吐出ノズルを小さく形成し、インクを高速度
且つ高密度に吐出させるようにしたものがある。又、他
の形態のインクジェット記録ヘッドとしては、インク吐
出ノズルを小さく且つ密接して配置することが考えら
れ、その実現のために、いわゆるマイクロリソグラフィ
の技術を用いた微細加工方式によって多数の吐出口を密
接して製作する方法が知られている。
【0005】図7はこのような方法により製造された従
来のインクジェット記録ヘッドの構成例を示すものであ
る。同図において、1は例えばシリコンウエハー等で形
成された第1の基板、2は第1の基板1の表面に、例え
ばSiO2 等により形成された表面層である。3はリソ
グラフィ等の手法で形成されたノズル壁、4は例えばガ
ラス板で形成した第2の基板、5は第2の基板4をノズ
ル壁3の上部に接着するための接着層、6はノズルのイ
ンク吐出口である。このような記録ヘッドは、例えばノ
ズル壁3を高さ25μm、幅20μmの寸法とし、吐出
口6がノズル壁3と同じ寸法となるように極めて精細に
加工されている。
【0006】図8(A)及び(B)は図7に示すインク
ジェット記録ヘッドのノズル方向に沿った側断面を示す
もので、インク7が吐出されてインク滴8を形成する状
態の二例を示している。図8(A)は吐出口形成端面9
がインクに濡れておらず、インク滴が端面9に対して垂
直方向(図中矢印X方向)に吐出される状態を、又図8
(B)はノズル端面9の一部が吐出前にインクに濡れて
いるために偏曲した方向(図中矢印Y方向)にインク滴
が吐出されようとしている状態を示す。
【0007】吐出口形成端面9が濡れるのは、インク吐
出時にインクが濡れ広がる場合の他に、キャリッジにイ
ンクジェット記録ヘッドを搭載して記録を行う構成の装
置では、ヘッドが印字を行いながら機械的に移動する
際、又キャリッジが記録媒体の端部に達して復帰動作を
行う際等に起こる機械的振動によって、ノズル内のイン
ク7がノズル先端の端部9へ溢れ出てそこを濡らす場合
がある。漏れ出て端面9を濡らしたインクが吐出口内に
再び戻ってくる場合や、吐出口周辺を均一に濡らした場
合には、インク滴8の吐出方向は図8(A)に示すよう
に端面9に対して垂直となり、吐出状態即ち記録状態は
安定する。
【0008】然しながら、従来のインクジェット記録ヘ
ッドでは、第2の基板4と接着層5との濡れ性の相違に
より、ノズル形成端面9が不均一に濡れたり、或いは、
一旦濡れた後に端面9に不均一なインクの残留状態を生
ずると、図8(B)に示すような不安定な吐出状態が起
こることになる。即ち、吐出端面の濡れと端面の表面状
態とは強い相関があり、吐出口形成端面の表面状態が適
切でない場合には不安定な吐出状態をもたらすことにな
り、従って良好な記録状態を維持出来ずに記録品位が低
下することにもなる。
【0009】このことは、図7に示したインクジェット
記録ヘッドのみならず上記第1の形態のインクジェット
記録ヘッドにおいても無論生じ得る問題点であるが、図
7に示すインクジェット記録ヘッドのようにインク吐出
口が密接して設けられている場合には、濡れは互いに隣
接した吐出口周辺で起こるので、濡れ部分が隣接する吐
出口同士で連結してしまいその影響はますます大きくな
る。その結果、記録された文字が歪んだり画像に乱れが
生ずる等、記録品位や画質に一層著しい悪影響を与える
ことになるので、これらの悪影響を生じないように吐出
口端面が一層厳格に管理される必要がある。
【0010】この方法として、吐出口端面に撥水性の表
面処理を施し、インクを弾いて濡れないようにすること
が考えられる。従来より、インク吐出口を有する面(吐
出口形成端面)に撥水性の材料を設ける提案が多数なさ
れている。例えば、撥水性のあるフッ素樹脂等を塗布し
たり、蒸着法或いはスパッタリング法等により撥水性の
ある有機高分子等をコーティングする方法等がある。然
しながら、前記方法で形成した皮膜は吐出口の端面に対
する密着性が不充分であり、このため皮膜が吐出口端面
から剥離することがあるという耐久性の問題点があっ
た。
【0011】更に、最近のインクジェット記録として用
紙選択性の良いことが要求される。即ち、何んな紙でも
印字が出来ることである。ところが、ある紙では、紙カ
ス、紙粉が発生し易く、それがインクジェット記録ヘッ
ドの吐出口面に付着して印字を悪くする。従って、紙カ
ス、紙粉を取り除く必要がある。そのため、ブレードを
吐出口形成端面に定期的に当接させ、紙カス、紙粉を除
去することが提案されている。然しながら、上記のよう
な従来の撥水材料を設ける方法は、密着性が不充分であ
り、撥水材の耐摩耗性が低いために、ブレード材料に制
約があった。従って、設計の自由度アップ、低価格化の
ため、ブレード材料の制約を無くすることが必要であっ
た。そのため、耐摩耗性に優れた撥水性を吐出口面に賦
与することが必要であった。
【0012】又、上記の紙カス、紙粉等は吐出口端面が
絶縁性であると、更に付着し易かった。即ち、吐出口端
面が絶縁性のため帯電し易く、それによって紙カス、紙
粉が引き寄せられるものと推定される。従って、吐出口
端面を導電性にする必要があった。
【0013】ところで、従来のインクジェット記録ヘッ
ドの回復系は、吐出口端面に非接触型のタイプが多い
が、特に吐出口端面に撥水性を付与したタイプのインク
ジェット記録ヘッドでは殆ど非接触型である。即ち、前
記のような従来の撥水材料を配設する方法は密着性が不
充分であり、撥水材の耐摩耗性が低いので非接触型にせ
ざるを得ないからであり、接触型の回復系は吐出口端面
の撥水性を損なうからである。然しながら、回復系は接
触型のものがより確実である。従って、耐摩耗性に優れ
た撥水性を吐出口端面に賦与することによって初めて接
触型の回復系の採用が可能となる。このように、確実な
回復系を保持するためには、耐摩耗性に優れた撥水性を
吐出口端面に賦与することが必要であった。
【0014】従来より、インク吐出口の端面被覆によっ
て表面形状を整える試み、即ち、端面に被覆層を設ける
ことにより均一表面化を行い、又記録液滴の吐出の安定
化を図る試みは為されている。然しながら、吐出口を形
成した後における被覆ないし表面処理は、吐出口内部に
及ぶこと無しに行うことは技術的困難が伴い、吐出口内
部に被覆材料が侵入することによって、むしろ記録液の
吐出口への供給を妨げて、不安定な吐出状態に陥ってし
まうことがあった。この現象は 従来殆ど無視出来るも
のであったが、近年印字品位向上のため、高密度化が進
み、液滴が小さくなるとその影響が無視出来ないものと
なった。又、このような悪影響が懸念されるが故に、被
覆ないし表面処理に用い得る材料には制約があり、表面
処理の効果の持続性を低下させる結果を生じることもあ
った。フォトリソグラフィ手法によるパターニングや、
マスク等で吐出口内部への入り込みを防ぎ、吐出口端面
部のみを表面処理しようとしても、マスク合わせが煩雑
だったり、パターニング材や、マスクの浮きにより吐出
口内部へ被処理材が侵入する等の問題があった。
【0015】又、特開昭63−122559号で、吐出
口の法線に対し、傾斜した方向から物質を飛翔させて端
面に被着させる方法が提案されているが、実施例中で述
べられている電子ビーム蒸着やスパッタリング法は直進
性が不充分なため、吐出口内部への被着防止が不完全で
あった。又、そもそもデポジッション法は物質の蒸発や
イオンによってターゲット物質を叩き出し、その叩き出
された物質が被加工物に衝突する方法であるため、物質
の被加工物に対する衝突エネルギーも限界があり、吐出
口端面に被着した膜の密着強度も完全なものではなかっ
た。
【0016】それに比較してイオン注入法は、高エネル
ギーのイオンそのものを被加工物に衝突させて、物理的
に埋め込む方法であり、打ち込みエネルギー及び直線性
共に蒸着法やスパッタリング法より格段に優れた方法で
あるため、吐出口内部への被着の全く無い、吐出口端部
の撥水効果の持続性が高い表面処理を行うことが出来
る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に鑑み成されたものであって、使用の際には常時所定
の方向に実質的に均一な液体量を以て吐出を行うことが
出来、高速記録に充分対応出来て、ノズルが高密度化し
て液滴が小さくなっても対応出来、而も耐久性のあるイ
ンクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。
【0018】又、用紙選択性の無い安定した吐出が出来
るインクジェット記録ヘッドを提供することをも目的と
する。そのため、本発明では、吐出口形成端面に撥水
性、導電性を賦与するために、又硬度アップのためイン
クジェット記録ヘッドの吐出口形成端面をイオン注入法
により表面改質を行う際に、吐出口の法線に対し、傾斜
した方向からイオン注入を行う。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下に示
す本発明によって達成される。即ち本発明は、インク流
路を有し、該流路の一端を吐出口としてインク小滴を吐
出、飛翔させ、該小滴を被記録面へ付着させて記録を行
うインクジェット記録装置用記録ヘッドの製造方法にお
いて、前記吐出口の形成端面にイオン注入法によりイオ
ンを注入する際に、該吐出口の法線に対し傾斜した方向
からイオンを注入して該吐出口形成端面を表面改質する
インクジェット記録ヘッドの製造方法、並びに該方法に
よって製造されるインクジェット記録ヘッドである。
【0020】又本発明は、インク吐出エネルギー発生素
子を具備するインクジェット記録装置用記録ヘッドにお
いて、該エネルギー発生素子が、電気エネルギーを与え
ることにより発熱しインクに状態変化を生ぜしめて吐出
を行わせる電気熱変換体であるインクジェット記録ヘッ
ド、及び前記インク吐出口が、記録媒体の記録領域の全
幅に亘って複数の吐出口を具備するフルラインタイプの
インクジェット記録ヘッド、並びに記録ヘッド及び該ヘ
ッドを載置するための部材を少なくとも具備するインク
ジェット記録装置において、該ヘッドが、記録媒体の被
記録面に対向してインクを吐出するインク吐出口を有す
るインクジェット記録装置である。
【0021】本発明においては、表面改質によってイン
ク吐出口の形成端面に撥水性を賦与することにより、下
記のような改良点がもたらされる。 (1)撥水材のノズル内への入り込みを防ぐことにより、
インク吐出状態が安定化する。 (2)印字の耐久性が良くなる。 (3)紙カス、紙粉を除去するブレードに対し耐久性が高
まる。 (4)接触型の回復系が可能となる。 (5)表面改質により硬度も高くなり、上記効果が更に向
上する。 (6)吐出口面に導電性を賦与することにより紙カス、紙
粉の吐出口形成端面への付着が防止される。
【0022】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、イ
オン注入法について概要を説明する。イオン注入法は、
10〜数100KeVに加速されたイオンを固体表面に
照射し、固体表面の物性を制御する技術である。イオン
注入法の適用例としては、半導体素子の不純物ドーピン
グによる拡散層の形成やキャリヤ濃度の調整等に実用化
されている。又、金属表面の改質(例えば、ドリルの刃
等の硬度の上昇や摩耗性の向上)を狙って、検討が進め
られている。
【0023】イオン注入装置の代表的な構造例を図6に
示す。イオンは、イオン源11で作製され引き出される
(例えば、ガスを10-3Torr程度導入しDCやRF
放電によって生じるプラズマ中より引き出す)。引き出
されたイオンビームは、原子イオンや分子イオン、残留
ガスからのイオン等種々の成分を含有するため、質量分
析器12によって必要イオン種のみを取り出す。
【0024】質量分析器12は必ずしも必要なものでは
なく、金属表面の表面改質装置の場合は殆ど設置されて
いないが、半導体素子用装置の場合には全て取り付けら
れている。質量分析器12により選択された必要なイオ
ン種は、次いでビームスリット13、加速器14、レン
ズ15、中性ビームトラップ20、ゲート16を通過
後、Yスキャナ17、Xスキャナ18によってイオンビ
ームはX軸,Y軸にスキャニングされウエハ等の基板1
9に均一に走査される。装置によっては、試料台を回転
させて均一注入を行う場合もある。
【0025】又、上記のようなイオン注入装置を用いて
イオン注入法により吐出口形成端面を改質するインクジ
ェット記録ヘッドの一例を図1に示す。図中、1は第1
の基板、2は表面層、3は吐出ノズル壁、4は第2の基
板、5は接着層、6は吐出口である。本発明においては
吐出口形成端面9をイオン注入装置によってイオン注入
して端面9を改質するものである。
【0026】先ず、吐出口形成端面の撥水性付与につい
て説明する。イオン源としては、CF4 ,C26 ,C
HF3 等少なくともCとFを含有する常圧、又は減圧下
でガス状であるもの全て、及びF2 +CH4 等Fを含有
するガスとCを含有するガスとの組み合わせがある。更
に、イオン注入する材料がCを含有するときはFを含有
するガスのみでも良い。
【0027】イオン種としては、CF3 +,C26 +,C
23 +イオン等上記イオン源から発生するCとFを含有
するイオン種の全て、及びF+ イオンとC+ イオンの組
み合わせが好ましい。更にイオン注入する材料がCを含
有するときはF+ イオンのみでも良い。
【0028】イオン注入量はドーズ量1×1014〜1×
1018cm-2が好ましく、1×10 15〜1×1017cm
-2が特に好ましい。ドーズ量が1×1014cm-2よりも
少ない場合には撥水効果が不充分の場合があり、又ドー
ズ量が1×1018cm-2を越える場合は温度上昇のため
不都合の場合がある。
【0029】又、注入の際のイオン加速エネルギーとし
ては5〜100KeV、特に10〜60KeVが好まし
い。100KeVを越える場合は基板の温度上昇を生
じ、又イオンが内部深くに注入されるので好ましくない
場合がある。又、5KeV未満の場合にはイオン加速の
安定性が悪い。
【0030】イオン注入の際、撥水作用を高めるために
熱処理を施しても良い。尚、イオン注入により撥水性を
付与出来る材料は、インクジェット記録ヘッドを構成す
るあらゆる材料、例えば半導体(Si等)、ガラス、セ
ラミックス、半導体の酸化物、有機高分子や有機樹脂等
の有機化合物、又は、無機化合物である。又、イオン注
入法は撥水性を保持したまま、他の特性(硬度アップ及
び帯電防止等の)をイオン種を変えることによって賦与
することが出来る。
【0031】硬度アップには、イオン源として、N2
ス、SiF4 ,SiCl4 等Siを含有する常圧、又は
減圧下でガス状であるもの全て、及びBCl3 +NH3
等窒化物を作る元素を含有するガスと窒素ガス等が好ま
しい。イオン種としてはN+ イオン、Si+ イオン、S
iCl3 +イオン等Siを含有するイオン全て、B+ イオ
ン、N+ イオンの組み合わせ等窒化物を作る元素を含有
するイオンと窒素イオンの組み合わせ等が好ましい。注
入条件は、前記撥水性付与の場合と同様である。又、吐
出口形成端面に導電性を賦与するためのイオン源として
は、(C25 3 Al、WF6 等金属化合物で常圧、
又は減圧下でガス状であるもの全てが使用出来るが、イ
オン種としてはAl+ ,W+ 等の金属を含有するイオン
が使用出来る。注入条件としては前記撥水性付与の場合
と同様である。
【0032】図10(A)、(B)及び(C)は本発明
の方法を適用したインクジェット記録ヘッドの三例を示
す模式的断面図である。図10において、3はノズル管
若しくはノズル壁、2はノズル管若しくはノズル壁3の
表面に以下の工程により処理された表面層、26は吐出
口6に連通する液流路である。本例においては、表面層
2の形成をイオン注入法により行うものとし、その際注
入されるイオンの入射方向N2を吐出口6の法線N1に
対して傾斜するようにする。このN1とN2との為す角
度θは厳密に限定する必要はないが、概ね45°<θ<
90°の範囲である。
【0033】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド及び記録
装置において、優れた効果をもたらすものである。その
代表的な構成原理については例えば、米国特許第472
3129号、及び同第4740796号に開示されてお
り、本発明はこれらの基本的な原理を用いて行うものが
好ましい。この記録方式はいわゆるオンデマンド型、コ
ンティニュアス型の何れにも適用可能である。この記録
方式を簡単に説明する。液体(インク)が保持されてい
るシートや流路に対応して配置されている電気熱変換体
に、記録情報に対応して液体(インク)に核沸騰現象を
越え、膜沸騰現象を生じるような急速な温度上昇を与え
るための少なくとも一つの駆動信号を印加することによ
って、熱エネルギーを発生させて、記録ヘッドの熱作用
面に膜沸騰を発現させる。このように液体(インク)か
ら電気熱変換体に賦与する駆動信号に一対一で対応した
気泡を形成出来るため、特にオンデマンド型の記録法に
は有効である。この気泡の成長、収縮により吐出孔を介
して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの小
滴を形成する。
【0034】この駆動信号をパルス形状とすると、即時
適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優
れた液体(インク)の吐出が達成出来、より好ましい。
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第446
3359号、及び同第4345262号に示されている
ようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇
率に関し、米国特許第4313124号に示される条件
を採用すると、更に優れた記録を行うことが出来る。
【0035】記録ヘッドの構成としては、上記の各号明
細書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変
換体を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流
路)の他に、米国特許第4558333号、及び同第4
459600号に示されているように、熱作用部が屈曲
する領域に配置された構成のものも本発明に含まれる。
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリッ
トを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開示する特開昭
59−123670号や熱エネルギーの圧力波を吸収す
る開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59
−138461号に基づいた構成としても本発明は有効
である。
【0036】更に、本発明が有効に利用される記録ヘッ
ドとしては、記録装置が記録出来る記録媒体の最大幅に
対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがある。
このフルラインヘッドは、上記の各号明細書に開示され
ているような記録ヘッドを複数組み合わせることによっ
てフルライン構成にしたものや、一体的に形成された一
個のフルライン記録ヘッドであっても良い。加えて、装
置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続
や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在の
チップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一
体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用
いた場合にも本発明は有効である。
【0037】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることが出来るの
で好ましいものである。これらを具体的に列挙すれば、
記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニン
グ手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体或いはこれ
とは異なる加熱素子、或いはこれらの組み合わせによる
予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モード
を行う手段を付加することも安定した記録を行うために
有効である。
【0038】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個を組み合わせて
構成したものかの何れでも良いが、異なる色の複色カラ
ー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備え
た装置にも本発明は極めて有効である。
【0039】以上説明した本発明の各例においては、液
体インクを用いる場合であるが、本発明では室温で固体
状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイン
クであっても用いることが出来る。上記のインクジェッ
ト装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内
で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にある
ように温度制御するものが一般的であるから、使用記録
信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0040】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。何れにして
も熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインク
が液化してインク液滴として吐出するものや記録媒体に
到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱
エネルギーの付与によって初めて液化する性質を持つイ
ンクの使用も本発明には適用可能である。このようなイ
ンクは、特開昭54−56847号或いは同60−71
260号に示されるような、多孔質シートの凹部又は貫
通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱
変換体に対して対向するような形態としても良い。
【0041】本発明において、上記した各インクに対し
て最も有効なものは、上記の膜沸騰方式を実行するもの
である。図9は本発明により得られた記録ヘッドをイン
クジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装着し
たインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示す外
観斜視図である。
【0042】図9において、120はプラテン124上
に送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出
を行うノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリ
ッジ(IJC)である。116はIJC120を保持す
るキャリッジHCであり、駆動モータ117の駆動力を
伝達する駆動ベルト118の一部と連結し、互いに平行
に配設された2本のガイドシャフト119A及び119
Bと摺動可能とすることにより、IJC120の記録紙
の全幅にわたる往復移動が可能となる。126はヘッド
回復装置であり、IJC120の移動経路の一端、例え
ばホームポジションと対向する位置に配設される。伝動
機構123を介したモータ122の駆動力によって、ヘ
ッド回復装置126を動作せしめ、IJC120のキャ
ッピングを行う。このヘッド回復装置126のキャップ
部126AによるIJC120へのキャッピングに関連
させて、ヘッド回復装置126内に設けた適宜の吸引手
段によるインク吸引若しくはIJC120へのインク供
給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク圧送を行
い、インクを吐出口より強制的に排出させることにより
ノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復処理を行
う。又、記録終了時等にキャッピングを施すことにより
IJCが保護される。130はヘッド回復装置126の
側面に配設され、シリコンゴムで形成されるワイピング
部材としてのブレードである。ブレード130はブレー
ド保持部材130Aにカンチレバー形態で保持され、ヘ
ッド回復装置126と同様、モータ122及び伝動機構
123によって動作し、IJC120の吐出面との係合
が可能となる。これにより、IJC120の記録動作に
おける適切なタイミングで、或いはヘッド回復装置12
6を用いた吐出回復処理後に、ブレード130をIJC
120の移動経路中に突出させ、IJC120の移動動
作に伴ってIJC120の吐出面における結露、濡れ或
いは塵埃等を拭き取るものである。
【0043】
【実施例】以下、図面に基き実施例により本発明を詳細
に説明するが、本発明がこれらのみに制約、限定される
ものではない。
【0044】実施例1−1 図2の特開昭55−128470号に開示されるような
発熱素子を設けたヘッド、但し吐出口寸法20×20μ
mに対して、その吐出口形成端面9にイオンとしてC2
4 +イオンを加速エネルギー20KeV、ドーズ量1×
1016cm-2の条件で、吐出口形成端面の法線N1 に対
して、イオンの入射方向N2 を傾斜して注入した(図1
0参照)。N1 とN2 との為す角度θは、厳密に限定す
る必要はないが、概ね45°<θ<90°の範囲が好適
であり、今回はθ=70°で行った。
【0045】第1の基板としてシリコンウェハー1上に
SiO2 を下部層として成膜し、その上に発熱素子(吐
出圧発生素子)を形成した。そして、その上に感光性ア
クリル樹脂をフォトリソ技術によってノズル壁3を形成
した。ガラス製の第2の基板4に接着層5としてアクリ
ル樹脂を塗布しノズル壁3上に貼り合せ接着した。最後
に第1の基板1、ノズル壁3、及び第2の基板4を同時
に切断し、吐出口6を形成した。尚、吐出口面に、シリ
コン、SiO2 、アクリル樹脂、ガラスの4種類の材料
が存在し、これらの材料で構成された吐出口形成端面9
を上記条件で改質した。
【0046】実施例1−2 実施例1−1と同様に、ヘッドの吐出口形成端面にイオ
ンとしてC+ イオンを加速エネルギー20KeV、ドー
ズ量1×1016cm-2の条件で吐出口形成端面の法線N
1 に対して、イオンの入射方向N2 を傾斜して注入し
た。N1 とN2 との為す角度θは、厳密に限定する必要
はないが、概ね45°<θ<90°の範囲が好適であ
り、今回はθ=70°で行った。次にイオンとしてF+
イオンを加速エネルギー20KeV、ドーズ量2×10
16cm-2の条件で同様に注入した。
【0047】実施例1−3 実施例1−1と同様に、ヘッドの吐出口形成端面にイオ
ンとしてC24 +イオンを加速エネルギー20KeV、
ドーズ量1×1016cm-2の条件で吐出口形成端面の法
線N1 に対して、イオンの入射方向N2 を傾斜して注入
した。N1 とN2 との為す角度θは、厳密に限定する必
要はないが、概ね45°<θ<90°の範囲が好適であ
り、今回は、θ=70°で行った。次いで、イオンとし
てN+ イオンを加速エネルギー20KeV、ドーズ量2
×1016cm-2の条件で同様に注入した。
【0048】実施例1−4 実施例1−1と同様に、ヘッドの吐出口形成端面にイオ
ンとしてC24 +イオンを加速エネルギー20KeV、
ドーズ量1×1016cm-2の条件で吐出口形成端面の法
線N1 に対してイオンの入射方向N2 を傾斜して注入し
た。N1 とN2との為す角度θは厳密に限定する必要は
ないが、概ね45°<θ<90°の範囲が好適であり、
今回はθ=70°で行った。次にイオンとしてAl+
オンを加速エネルギー20KeV、ドーズ量1×1015
cm-2の条件で同様に注入した。
【0049】実施例1−5 実施例1−1と同様に、ヘッドの吐出口形成端面にイオ
ンとしてC24 +イオンを加速エネルギー20KeV、
ドーズ量1×1016cm-2の条件で吐出口形成端面の法
線N1 に対してイオンの入射方向N2 を傾斜して注入し
た。N1 とN2との為す角度θは厳密に限定する必要は
ないが、概ね45°<θ<90°の範囲が好適であり、
今回はθ=70°で行った。次いでイオンとしてN+
オンを加速エネルギー20KeV、ドーズ量1×1016
cm-2の条件で同様に注入した。更にイオンとしてAl
+ イオンを加速エネルギー20KeV、ドーズ量1×1
15cm-2の条件で同様に注入した。
【0050】実施例1−1乃至1−5は、エッジシュタ
ー型のインクジェット記録ヘッドについての本発明の実
施例であるが、サイドシュター型インクジェット記録ヘ
ッドについても適用することが出来る。以下その実施例
について説明する。
【0051】先ず図4に示すように、ポリサルフォン製
のオリフィスプレート10にレーザーで吐出口6を穴明
けしたものに、次に示す条件でオリフィスプレート表面
にイオン注入して、その表面(吐出口形成端面9’)を
改質する(図5参照)。次いで、ノズル壁等が形成され
たインクジェット記録ヘッド基板に前記オリフィスプレ
ートを接着しインクジェット記録ヘッドを作製した(図
3参照)。
【0052】実施例2−1 オリフィスプレート表面へのイオン注入を実施例1−1
と同一条件で行った。
【0053】実施例2−2 オリフィスプレート表面へのイオン注入を実施例1−2
と同一条件で行った。
【0054】実施例2−3 オリフィスプレート表面へのイオン注入を実施例1−3
と同一条件で行った。
【0055】実施例2−4 オリフィスプレート表面へのイオン注入を実施例1−4
と同一条件で行った。
【0056】実施例2−5 オリフィスプレート表面へのイオン注入を実施例1−5
と同一条件で行った。
【0057】以上のように作製した各ヘッドに対して、
下記の条件 (信号パルス条件) 印加パルス幅 10μsec パルス周波数 3kHz 印加エネルギー 0.02mJ/パルス(発熱素子一
個あたり) (インク組成) 水 70% ジエチレングリコール 26% ダイレクトブラック 4% でインク吐出試験を行ったが、109 パルス以上に亘り
安定した吐出及び着弾点精度の高い優れた記録を行うこ
とが出来た。
【0058】本実施例の方法により処理された吐出口形
成端面を有するインクジェット記録ヘッドは、インク吐
出口形成端面がインクにより不均一に濡れることがな
く、インク滴の吐出方向が安定して、従って優れた印字
品質、画質を得ることが可能となった。
【0059】又、本実施例のインクジェット記録ヘッド
をプリンターに搭載して印字試験を行なった結果、紙カ
ス、紙粉の除去のためのブレードの撥水面の強度が向上
し、耐摩耗性が向上したことによって、種々の材料を用
いたインク吐出口でも、吐出や印字に不都合な問題はな
かった。従って、設計の自由度が向上し、コストダウン
にもなった。又、接触型の回復系の試験でも撥水性の低
下がなく、回復系が吐出口面に接触するタイプを採用出
来ることが判る。従って確実に回復出来る回復系の採用
が可能となる。
【0060】又、実施例1−3乃至1−5及び2−3乃
至2−5については、吐出口形成端面の撥水性に加え他
の特性も付与したものであるが、以下更に説明を加え
る。実施例1−3及び2−3のヘッドにおいては、撥水
性の付与をC24 +イオンで行い、更にN+ イオンを注
入することによって、樹脂等で形成される吐出口形成端
面のノズル壁や接着層、又、オリフィスプレート等の機
械的強度が向上する。従って実施例1−1、1−2、2
−1及び2−2以上の効果があった。
【0061】実施例1−4及び2−4のヘッドにおいて
は、撥水性の付与をC24 +イオンで行い、更にAl+
イオンを注入することにより吐出口面に導電性を付与し
てある。これにより、吐出口面の静電気による帯電が起
こらず、紙カス、紙粉が付着し難くなった。これによ
り、紙カス、紙粉による印字不良が改善された。実施例
1−5及び2−5のヘッドにおいては、実施例1−3及
び1−4、並びに2−3及び2−4の組み合わせの相乗
効果により更に効果が上がった。
【0062】このヘッドを用いて下記の条件 (信号パルス条件) 印字パルス :10μsec パルス周波数 :3kHz 印字エネルギー :0.02mJ/パルス(発熱素子1
個当たり) でインク吐出試験を行った結果、109 回以上に亘り安
定した吐出及び着弾点精度の高い優れた記録を行うこと
が出来た。
【0063】比較例1 吐出口形成端面に対して垂直方向からイオン注入した場
合を以下に示す。
【0064】
【表1】 実施例A:1−1〜1−5、並びに2−1〜2−5。
【0065】評価 ○:印字良好 ×:印字不良(ヨレが目立つ)。
【0066】比較例2 実施例1−1で作成したヘッドにフッ素樹脂“DEFENSA
7710”(DIK製)をゴム状弾性体による転写法によっ
て吐出口面に形成した。
【0067】次に上記のようにして製造した各ヘッドに
ついて、以下の評価を行った。 (1)ブレードワイピングテスト 試験方法:ウレタンブレードを使用し、ブレードを吐出
口面に複数回ワイピングしてその後印字させ評価した。
結果を表2に示す。
【0068】
【表2】 実施例A:実施例1−1、1−2、1−4、2−1、2
−2、及び2−4 実施例B:実施例1−3、1−5、2−3、及び2−5 レベル1:ワイピング回数 2000回 レベル2: 同上 10000回 レベル3: 同上 30000回 評価 ○:印字良好 ×:印字不良(ヨレが目立つ)。
【0069】(2)回復系テスト 試験方法:スポンジ(商品名ベルクリン)を押し当てて
擦り、回復を複数回行なって回復後に印字して評価し
た。結果を表3に示す。
【0070】
【表3】 実施例A:実施例1−1、1−2、1−4、2−1、2
−2、及び2−4 実施例B:実施例1−3、1−5、2−3、及び2−5 レベル1:回復回数 100回 レベル2: 同上 500回 レベル3: 同上 1000回 評価 ○:印字良好 ×:印字不良(ヨレが目立つ)。
【0071】(3)導電率の測定 イオン注入をして表面改質した部分の導電率を測定し
た。結果を表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】
【発明の効果】上記のように、本発明はインクジェット
記録ヘッドにおいて吐出口形成端面にイオン注入法によ
りイオンを注入して表面を改質する際に、吐出口の法線
に対して傾斜した方向からイオンを注入する方法であ
り、このようなイオン注入法によれば、吐出口形成端面
の材料の改質であるために、密着性が極めて良好であ
る。又、注入するイオン種を選択することにより、撥水
性のみならず硬度アップ、導電性付与等も容易に出来
る。又、インクの吐出口内部をマスキングしたり、表面
処理後に入念な洗浄を施す等煩雑な工程を要することな
く、吐出口内部の入り込みの無い、吐出口表面のみの改
質が可能になる。これにより、高密度小液滴ヘッドにお
いても、印字品位を向上させることが出来る。
【0074】又、表面の改質は何れの材料に対しても広
く適用可能なので、吐出口形成端面を異種の材料を組合
せて形成したものでも何れの材料をも効果的に改質する
ことが出来る。更に、上記方法で製造したヘッドは、使
用の際には常時所定の方向に実質的に均一な流体量を保
持し安定した吐出が得られるので、高速記録に充分適用
することが出来、而も耐久性のあるインクジェット記録
ヘッドを提供することが出来る。
【0075】又、用紙選択性のない安定して吐出が可能
なインクジェット記録ヘッドを提供することが出来る。
具体的には、表面改質による撥水性を吐出口形成端面に
賦与することにより下記の諸点で改良が得られる。 (1)印字の耐久性。 (2)紙カス、紙粉を除去するブレードに対する耐久性。 (3)接触型の回復系の可能性。 (4)改質表面の硬度アップ。 (5)吐出口面の帯電防止(紙カス、紙粉等の吐出口形成
端面への付着防止)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のヘッドを示す概略斜視図。
【図2】本発明の一実施例のヘッドの製造工程説明図。
【図3】本発明の他の実施例のヘッドを示す概略斜視
図。
【図4】本発明の他の実施例のヘッドの製造工程説明
図。
【図5】本発明の他の実施例のヘッドの製造工程説明
図。
【図6】本発明の実施に使用するイオン注入装置の一例
を示す概念図。
【図7】従来のヘッドの一例を示す概略斜視図。
【図8】インク滴の吐出状態を示す説明図。
【図9】本発明の記録装置の一例を示す概略斜視図。
【図10】本発明の方法を適用したインクジェット記録
ヘッドの模式断面図。
【符号の説明】
1 第1の基板 2 表面層 3 吐出ノズル壁 4 第2の基板 5 接着層 6 吐出口 7 インク 8 インク滴 9 吐出口形成端面 10 オリフィスプレート 11 イオン源 12 質量分析器 13 ビームスリット 14 加速器 15 レンズ 16 ゲート 17 Yスキャナ 18 Xスキャナ 19 ウエハ(基板) 20 中性ビームトラップ 26 液流路 40 ヘッド 116 キャリッジ 117 駆動モータ 118 駆動ベルト 119A ガイドシャフト 119B 同上 120 インクジェットヘッドカートリッジ 122 クリーニング用モータ 123 伝動機構 124 プラテン 126 ヘッド回復装置 126A キャップ部 130 ブレード 130A ブレード保持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41J 3/04 103 H

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク流路を有し、該流路の一端を吐出
    口としてインク小滴を吐出飛翔させ、該小滴を被記録面
    へ付着させて記録を行うインクジェット記録装置用記録
    ヘッドの製造方法において、前記吐出口の形成端面にイ
    オン注入法によりイオンを注入する際に、該吐出口の法
    線に対し傾斜した方向からイオンを注入して該吐出口形
    成端面を表面改質することを特徴とする、インクジェッ
    ト記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記イオン注入法のイオン種が、C
    3 +、C26 +及びC23 +イオンの、CとFを含有す
    るイオン種の全て、又はF+ イオンとC+ イオンの組み
    合わせたものであることを特徴とする、請求項1記載の
    インクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記イオン種のイオン源が、CF4 、C
    26 及びCHF3の、少なくもCとFを含有する常
    圧、又は減圧下でガス状のもの、又はF2 +CH4 の、
    Fを含有するガスとCを含有するガスとの組み合わせた
    ものであることを特徴とする、請求項2記載のインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記イオン注入法のイオン注入量が、ド
    ーズ量1×1014〜1×1018cm-2であることを特徴
    とする、請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記イオン注入法のイオン注入の際のイ
    オン加速エネルギーが、5〜100KeVであることを
    特徴とする、請求項1記載のインクジェット記録ヘッド
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 インク流路を有し、該流路の一端を吐出
    口としてインク小滴を吐出飛翔させ、該小滴を被記録面
    へ付着させて記録を行うインクジェット記録装置用記録
    ヘッドにおいて、前記吐出口の形成端面にイオン注入法
    によりイオンを注入する際に、該吐出口の法線に対し傾
    斜した方向からイオンを注入して該吐出口形成端面を表
    面改質させてなることを特徴とする、インクジェット記
    録ヘッド。
  7. 【請求項7】 インク吐出エネルギー発生素子を具備す
    るインクジェット記録装置用記録ヘッドにおいて、該エ
    ネルギー発生素子が、電気エネルギーを与えることによ
    り発熱しインクに状態変化を生ぜしめて吐出を行わせる
    電気熱変換体であることを特徴とする、請求項6記載の
    インクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記インク吐出口が、記録媒体の記録領
    域の全幅に亘って複数の吐出口を具備するフルラインタ
    イプのものであることを特徴とする、請求項6記載のイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 記録ヘッド及び該ヘッドを載置するため
    の部材を少なくとも具備するインクジェット記録装置に
    おいて、該ヘッドが、記録媒体の被記録面に対向してイ
    ンクを吐出するインク吐出口有する請求項6記載の記録
    ヘッドであることを特徴とする、インクジェット記録装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011020964A1 (fr) * 2009-08-19 2011-02-24 Aircelle Procede d'implantation ionique pour la realisation d'une surface anti-glace
JP2016097582A (ja) * 2014-11-21 2016-05-30 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット記録装置
JP2016097581A (ja) * 2014-11-21 2016-05-30 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット記録装置

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WO2011020964A1 (fr) * 2009-08-19 2011-02-24 Aircelle Procede d'implantation ionique pour la realisation d'une surface anti-glace
FR2949236A1 (fr) * 2009-08-19 2011-02-25 Aircelle Sa Procede d'implantation ionique pour la realisation d'une surface hydrophobe
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