JPH0632036Y2 - サイホン式コーヒー抽出器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、熱源により加熱される貯留容器と、この貯留
容器上にその内部と通水管及び膜状のフィルタを介して
連通するように配置された抽出容器とを備えてなるサイ
ホン式コーヒー抽出器に関する。

（従来の技術） この種のサイホン式コーヒー抽出器においては、一般的
に抽出容器側に複数の貫通孔が形成された支持板を配置
すると共に、この支持板に膜状のフィルタ例えば布製の
フィルタを装着する構成とされる。そして、コーヒー液
を抽出する場合には、貯留容器に水を、また、抽出容器
にコーヒー粉を夫々所定量ずつ収納した状態で貯留容器
を加熱するものである。すると、斯様な加熱に伴う水の
沸騰に応じた貯留容器内の圧力上昇によって、通水管を
上昇した湯が支持板の貫通孔及びフィルタを通って抽出
容器内に流入するようになり、以てコーヒー液の抽出が
行なわれる。そして、この後に貯留容器の加熱を停止す
ると、貯留容器内の圧力低下に応じて前記コーヒー液が
貯留容器内に戻されるようになる。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来構成では、湯が抽出容器内へ流
れ込んだときに、抽出容器内のコーヒー粉が均一に湿潤
されず、よってコーヒー液の抽出が良好に行なわれない
という欠点があった。従って、実際には、コーヒー粉を
充分に湿潤させるべく、湯が抽出容器内に供給された状
態でこれをスプーン或は攪拌棒等によって攪拌するとい
う手操作が必要であり、面倒なものであった。

そこで、本考案の目的は、抽出容器内を手操作により攪
拌する必要なくして、コーヒー粉を充分に湿潤させ得、
併せてそのものにおいて、コーヒー粉が貯留容器内に流
入することも防止できるサイホン式コーヒー抽出器を提
供するにある。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 本考案は、熱源により加熱される貯留容器と、この貯留
容器上にその内部と通水管及び膜状のフィルタを介して
連通するように配置された抽出容器とを備えてなるサイ
ホン式コーヒー抽出器において、前記抽出容器側に前記
フィルタの下方に位置して配置され、円形板部と、この
円形板部の中心部に開口し且つ下方に向けて突設された
円筒部と、前記円形板部の外周部に上下方向に延びるよ
うに形成されたリング部と、このリング部の下端部に多
数間欠的に形成された前記フィルタに対して露出する切
欠部とから構成された湯拡散板を設けると共に、この湯
拡散板と前記抽出容器内面との間に配置されるように前
記湯拡散板の円筒部に装着され、前記抽出容器内面に当
接される断面鰭状の環状可動部を有するパッキングとを
設け、そして、前記パッキングによって前記貯留容器か
ら前記湯拡散板の切欠部を通って前記抽出容器へ流れる
湯を通過させ且つ前記抽出容器から前記切欠部を通って
前記貯留容器へ流れるコーヒー抽出液の通過を阻止する
ように構成したところに特徴を有する。

（作用） サイホン作用により上昇する湯が貯留容器から通水管を
介して抽出容器へ流れ込むとき、湯は、パッキングの環
状可動部を変形させて該環状可動部と抽出容器内面との
間を通り、続いて、湯拡散板の外周部の多数の切欠部を
通り、そして、抽出容器の内面に沿って上昇する。しか
もこの場合、切欠部がフィルタに対して露出しているか
ら、上記湯は抽出容器の内面に沿って勢い良く上昇しな
がら抽出容器内に流入するようになるため、抽出容器内
に流入した湯に大きな乱流が生じる。これにより、上記
湯と抽出容器内のコーヒー粉とが充分に混合されるか
ら、コーヒー粉が上記のように流入した湯によって均一
に湿潤される。従って、コーヒー液の抽出が良好に行な
われ、抽出容器内を攪拌する手操作も不要になる。そし
て、コーヒー抽出液が抽出容器から貯留容器へ流れる場
合には、パッキングの環状可動部が抽出容器内面に当接
しているため、抽出容器から切欠部を通って貯留容器へ
流れるコーヒー抽出液の通過が阻止される。このため、
切欠部がフィルタに対して露出していても、コーヒー粉
が貯留容器内に流入することはない。

（実施例） 以下、本考案の一実施例につき図面を参照して説明す
る。

まず第２図において、１はベースで、これの上面左側部
には、熱源たる例えば渦巻き状に巻回された加熱ヒータ
２が配設されている。ベース１の右側部には、上下に夫
々モータ３及びファン装置４が配設されたモータケース
５が設けられている。６はモータケース５上に着脱可能
に装着された粉砕ケースであり、これの内底部にはコー
ヒー豆を粉砕するためのカッタ７が配設されている。そ
して、この粉砕ケース６がモータケース５に装着された
状態では、上記カッタ７と前記モータ３の回転軸とがカ
ップリング８を介して連結されるようになっている。９
は粉砕ケース６の周壁面部の一部に設けられた粉砕フィ
ルタ、１０は粉砕フィルタ９を介して粉砕ケース６内と
連通するコーヒー粉ガイドである。尚、１１はモータケ
ース５内部にモータ３とファン装置４との間に位置して
設けられた作動用タイマである。

一方、１２は容器支えで、これは、ベース１の左側部に
出し入れ可能に設けられた脚部１３及びこれに立設され
た支柱１４、並びにこの支柱１４の先端部に取付けられ
た保持具１５から構成されている。１６は加熱ヒータ２
により加熱される貯留容器で、これは、丸底フラスコ状
をなす耐熱ガラス容器からなり、その上端の口部が上記
保持具１５に保持されている。これに対して、１７は同
じく耐熱ガラス容器からなる抽出容器で、これは、第１
図に示すように、その底部に後述するフィルタ部１８が
設けられていると共に、そこから下方に向けて通水管１
９が延設されている。そして、抽出容器１７の首部であ
る通水管１９との連接部分にはパッキング２０が設けら
れており、通水管１９を貯留容器１６内に挿入しつつこ
のパッキング２０を貯留容器１６の口部に圧入すること
により、抽出容器１７を貯留容器１６上に設け、同時に
その貯留容器１６を介して抽出容器１７を前記保持具１
５に保持させている。尚、２１は抽出容器１７及び粉砕
ケース６を覆うように設けられた上部蓋、２２は蓋スイ
ッチである。また、２３は抽出容器１７の外壁部に当接
するように設けられた温度検出部で、これは抽出容器１
７内への湯の上昇を検出してその検出出力を前記作動用
タイマ１１へ与えるようになっている。

さて、前記フィルタ部１８について第１図，第３図及び
第４図に従って詳述する。まず第１図において、２４は
膜状たる例えば布製のフィルタ２５を取付けるフィルタ
取付板で、これは第３図に示すように略円形板状をなし
ており、その円形板部２４ａの円周端部に下方に延びる
リング部２４ｂが一体に形成されていると共に、円形板
部２４ａに多数の貫通孔２４ｃが形成されている。２６
は抽出容器１７内にフィルタ２５の下方に位置して配置
された湯拡散板で、これは、第４図に示すように、円形
板部２６ａ及びこの円形板部２６ａの中心部に開口し且
つ下方に向けて突設された円筒部２６ｂにより構成され
ている。ここで、円形板部２６ａの円周端部には上下方
向に延びるリング部２６ｃが形成され、このリング部２
６ｃの下端部に湯通過部たる例えば切欠部２６ｄが多数
間欠的に形成されている。そして、湯拡散板２６の上部
にフィルタ取付板２４を嵌合するとき、フィルタ取付板
２４のリング部２４ｂと湯拡散板２６のリング部２６ｃ
との間にフィルタ２５の端縁部を挟持している。２７は
フィルタ取付板２４の下面中央部に取付けられたコイル
ばねで、これの下端部に取付けられた係止部材２８を前
記通水管１９の下端部に係止させることにより、フィル
タ取付板２４が前記抽出容器１７に固定されるようにな
っている。この場合、湯拡散板２６のリング部２６ｃの
下端部は抽出容器１７の内面部と当接すると共に、切欠
部２６ｄはフィルタ２５に対して露出するようになって
いる。２９は湯拡散板２６の円筒部２６ｂに装着された
パッキングで、これは、閉塞状態においてその断面鰭状
をなす環状可動部２９ａを抽出容器１７の内面部に当接
させており、湯拡散板２６と抽出容器１７の内面部との
間に配置されている。このパッキング２９は、貯留容器
１６から前記切欠部２６ｄを通って抽出容器１７へ流れ
る湯（第１図中矢印Ａ方向に流れる）を通過させ、且つ
抽出容器１７から切欠部２６ｄを通って貯留容器１６へ
流れるコーヒー抽出液（第１図中反矢印Ａ方向に流れ
る）の通過を阻止するように設定されている。

次に、上記構成の作用について述べる。まず、所定量の
コーヒー豆を粉砕ケース６内に収納すると共に、所定量
の水を貯留容器１６内に収納する。この状態で、タイマ
１１によってモータ３を所定時間通電することにより、
カッタ７を回転させてコーヒー豆を粉砕する。粉砕され
たコーヒー粉は、粉砕フィルタ９を通過すると共にコー
ヒー粉ガイド１０により案内されて抽出容器１７内に収
納される。この後、加熱ヒータ２に通電して貯留容器１
６内の水を加熱する。斯様な加熱によって、貯留容器１
６内の水が沸騰すると、この湯が貯留容器１６内の圧力
上昇によって通水管１９内を通って上昇する。このと
き、上記湯の一部が湯拡散板２６の円筒部２６ｂを通り
更にフィルタ取付板２４の貫通孔２４ｃ及びフィルタ２
５を通って抽出容器１７内に流入する。一方、通水管１
９内を通って上昇する湯の大部分は、第１図中矢印Ａ方
向に沿って上昇し、パッキング２９の環状可動部２９ａ
を変形移動させてパッキング２９を通過した後、湯拡散
板２６の切欠部２６ｄを通って、抽出容器１７の内面部
に沿って上昇しながらその抽出容器１７内に流入する。
この場合、上記切欠部２６ｄがフィルタ２５に対して露
出しているから、その切欠部２６ｄを通った湯は抽出容
器１７内に勢い良く流入するようになり、その抽出容器
１７内に流入した湯に大きな乱流が生じる。この結果、
抽出容器１７内で湯がコーヒー粉と充分に混じり合うこ
とから、コーヒー粉が均一に湿潤され、以てコーヒー液
の抽出が良好に行なわれる。従って、従来とは異なり抽
出容器１７内を手操作により攪拌する必要がなくなる。
この後、貯留容器１６内の湯のほとんどが抽出容器１７
内に上昇したときに、温度検出部２３から湯の上昇を検
出した検出出力が作動用タイマ１１へ与えられて、加熱
ヒータ２が断電されると共に、ファン装置４が通電され
る。これによって、冷却空気がモータケース５の下部左
側（第２図参照）に形成された送風口５ａを介して貯留
容器１６に送風されて貯留容器１６が冷却されることに
より、貯留容器１６内が負圧になり、以て抽出容器１７
内のコーヒー抽出液がフィルタ部１８及び通水管１９を
介して貯留容器１６内に吸引されて貯留される。この場
合、コーヒー抽出液は、フィルタ２５，フィルタ取付板
２４の貫通孔２４ｃ及び湯拡散板２６の円筒部２６ｂを
通り、通水管１９を介して貯留容器１６内に流入するも
のであり、湯拡散板２６の切欠部２６ｄを通るコーヒー
抽出液はパッキング２９によって通水管１９側へ通過す
ることが阻止されるから、コーヒー粉はフィルタ２５に
より捕捉され貯留容器１６内に流入することはない。

尚、上記実施例では、熱源として加熱ヒータ２を用いた
が、これに限られるものではなく、熱源として例えばア
ルコールランプを用いても良く、一般的なサイホン式の
コーヒー抽出器に広く適用できる。

その他、本考案は上記し且つ図面に示した実施例に限ら
れるものではなく、湯通過部として湯拡散板２６に切欠
部を形成したが、これに代えて貫通孔を形成しても良い
等、要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できるこ
とは勿論である。

［考案の効果］ 本考案は以上の説明から明らかなように、抽出容器側に
フィルタの下方に位置して配置され、円形板部と、この
円形板部の中心部に開口し且つ下方に向けて突設された
円筒部と、円形板部の外周部に上下方向に延びるように
形成されたリング部と、このリング部の下端部に多数間
欠的に形成され前記フィルタに対して露出する切欠部と
から構成された湯拡散板を備え、そして、この湯拡散板
と抽出容器内面との間に配置されるように湯拡散板の円
筒部に装着され、抽出容器内面に当接される断面鰭状の
環状可動部を有するパッキングを備える構成としたの
で、貯留容器内の湯が抽出容器内に流入するときに、そ
の湯が前記湯通過部を通って勢い良く抽出容器内に流入
し乱流となって湯及び抽出容器内のコーヒー粉が充分に
混合されるようになり、従って抽出容器内を手操作によ
り攪拌する必要なくして、コーヒー粉を充分に湿潤させ
得、併せてそのものにおいて、コーヒー粉が貯留容器内
に流入することも防止できるという優れた効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は抽出容
器側の縦断面図、第２図は全体の縦断面図、第３図はフ
ィルタ取付板の斜視図、第４図は湯拡散板の斜視図であ
る。 図面中、２は加熱ヒータ（熱源）、１６は貯留容器、１
７は抽出容器、１９は通水管、２４はフィルタ取付板、
２５はフィルタ、２６は湯拡散板、２６ａは円形板部、
２６ｂは円筒部、２６ｃはリング部、２６ｄは切欠部
（湯通過部）、２９はパッキング、２９ａは環状可動部
を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】熱源により加熱される貯留容器と、この貯
   留容器上にその内部と通水管及び膜状のフィルタを介し
   て連通するように配置された抽出容器とを備えてなるサ
   イホン式コーヒー抽出器において、 前記抽出容器側に前記フィルタの下方に位置して配置さ
   れ、円形板部と、この円形板部の中心部に開口し且つ下
   方に向けて突設された円筒部と、前記円形板部の外周部
   に上下方向に延びるように形成されたリング部と、この
   リング部の下端部に多数間欠的に形成され前記フィルタ
   に対して露出する切欠部とから構成された湯拡散板と、 この湯拡散板と前記抽出容器内面との間に配置されるよ
   うに前記湯拡散板の円筒部に装着され、前記抽出容器内
   面に当接される断面鰭状の環状可動部を有するパッキン
   グとを設け、 前記パッキングによって前記貯留容器から前記湯拡散板
   の切欠部を通って前記抽出容器へ流れる湯を通過させ且
   つ前記抽出容器から前記切欠部を通って前記貯留容器へ
   流れるコーヒー抽出液の通過を阻止するように構成した
   ことを特徴とするサイホン式コーヒー抽出器。