JPH0631897B2 - 放射線増感スクリ−ン - Google Patents

放射線増感スクリ−ン

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JPH0631897B2
JPH0631897B2 JP9061986A JP9061986A JPH0631897B2 JP H0631897 B2 JPH0631897 B2 JP H0631897B2 JP 9061986 A JP9061986 A JP 9061986A JP 9061986 A JP9061986 A JP 9061986A JP H0631897 B2 JPH0631897 B2 JP H0631897B2
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intensifying screen
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phosphor layer
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勝博 幸田
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は、放射線増感スクリーンに関するものであり、
さらに詳しくは本発明は、ヨウ素を含有する蛍光体を用
いた放射線増感スクリーンに関するものである。
[発明の技術的背景] 放射線増感スクリーンは、医療診断を目的とするX線撮
影等の医療用放射線撮影、物質の非破壊検査を目的とす
る工業用放射線撮影などの種々の分野における放射線撮
影において、撮影系の感度を向上させるために、放射線
写真フィルム(たとえば、X線写真フィルム)の片面あ
るいは両面に密着させるように重ね合わせて使用するも
のである。
この放射線増感スクリーンは、基本構造として、支持体
と、その片面に設けられた蛍光体層とからなるものであ
る。なお、この蛍光体層の支持体とは反対側の表面(支
持体に面していない側の表面)には一般に、プラスチッ
クフィルムなどからなる透明な保護膜が設けられてい
て、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から
保護している。
蛍光体層は、蛍光体粒子を分散状態で含有支持する結合
剤からなるものであり、この蛍光体粒子は、X線などの
放射線によって励起された時に高輝度の発光を示す性質
を有するものである。従って、被写体を通過した放射線
の量に応じて蛍光体は高輝度の発光を示し、放射線増感
スクリーンの蛍光体層の表面に接するようにして重ね合
わされて置かれた放射線写真フィルムは、この蛍光光に
よっても感光するため、比較的少ない放射線量で放射線
フィルムの充分な感光を達成することができる。そし
て、放射線フィルム上には被写体の放射線像が形成され
る。
上記のような基本構造を有する放射線増感スクリーンに
ついては、感度が高いこと、および画質(鮮鋭度、粒状
性等)の良好な画像を与えるものであることが望まれ
る。特に、被写体の被曝線量をできる限り低減させるこ
とに増減スクリーンの感度は少しでも高いことが望まれ
ている。
従来より、放射線増感スクリーンに用いられる蛍光体と
して、二価ユーロピウム賦活弗化ハロゲン化バリウム蛍
光体(BaFX:Eu2+;ただし、XはI、またはIと
Clおよび/またはBrである)、ヨウ化セシウム系蛍
光体(CsI:Na、CsI:Tl)、テルビウムおよ
び/またはツリウム賦活希土類オキシハライド蛍光体
(LnOX:Tb,Tm;ただし、LnはY、La、G
dおよび/またはLuであり、XはI、またはIとFお
よび/またはClおよび/またはBrである)などの蛍
光体成分としてヨウ素を含有するものが知られている。
しかしながら、これらのヨウ素含有蛍光体を用いた場合
には、蛍光体からヨウ素が遊離してヨウ素分子(I
を形成するために蛍光体層が徐々に黄色に着色されがち
である。蛍光体層がこのように黄変した放射線増感スク
リーンに感度が著しく低下するという問題がある。
なお、本出願人は、上記のようなスクリーンの黄変を防
止するために蛍光体層にエポキシ基を有する化合物を添
加させてなる放射線増感スクリーンについて既に特許出
願している(特願昭61−25572号)。
[発明の要旨] 本発明は、感度の向上した放射線増感スクリーンを提供
することをその目的とするものである。
上記の目的は、支持体と、この上に設けられた蛍光体を
分散状態で含有支持する結合剤からなる蛍光体層とを有
する放射線増感スクリーンにおいて、該蛍光体がヨウ素
を含有する蛍光体であり、かつ該蛍光体層が亜燐酸エス
テル、有機スズ化合物および有機酸金属塩からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴と
する本発明の放射線増感スクリーンにより達成すること
ができる。
また上記の目的は、支持体と、この上に設けられた蛍光
体を分散状態で含有支持する結合剤からなる蛍光体層と
を有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体がヨウ
素を含有する蛍光体であり、かつ該蛍光体層がエポキシ
基を有する化合物と、亜燐酸エステル、有機スズ化合物
および有機酸金属塩からなる群により選ばれる少なくと
も一種の化合物とを含むことを特徴とする本発明の放射
線増感スクリーンにより達成することができる。
なお、上記有機酸金属塩に有機スズは含まれない。
すなわち、本発明は、蛍光体成分としてヨウ素を含む蛍
光体を用いた放射線増感スクリーンの蛍光体層に亜燐酸
エステル、有機スズ化合物および有機酸金属塩からなる
群より選ばれる少なくとも一種の化合物、あるいは該化
合物とエポキシ基を有する化合物との混合物を含有させ
ることにより、増減スクリーンの感度の顕著な向上を実
現するものである。
本発明者は、ヨウ素を含有する蛍光体を放射線増感スク
リーンに用いた場合に蛍光体層が黄色に変色しやすく、
その結果、蛍光体から発せられた光、特に青色領域の光
が蛍光体層中で吸収されてしまうためにスクリーンの感
度が著しく低下することを見い出した。そして、この蛍
光体層の黄変は、スクリーンの製造過程において蛍光体
層形成のための塗布液中に蛍光体からヨウ素がI分子
となって遊離したり、あるいは塗布形成された蛍光体層
中で蛍光体から遊離したヨウ素がI分子を形成するこ
とに起因することを見い出した。
本発明の放射線増感スクリーンによれば、パネルの製造
過程において蛍光体層形成のための塗布液に亜燐酸エス
テル、有機スズ化合物および有機酸金属塩からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の化合物、あるいはこれらの
化合物とともにエポキシ基を有する化合物を添加するこ
とにより、蛍光体から遊離されるヨウ素は、該化合物に
よつて捕捉されるためにI分子を形成することがな
い。また、塗布形成された蛍光体層には上記化合物が含
まれているから、蛍光体から遊離したヨウ素はこれらの
化合物によつて捕捉されてI分子を形成することがな
い。これは、上記化合物がヨウ素に対するキレート剤と
して機能し、ヨウ素を有効に捕捉して安定状態になるた
めと推察される。例えば、有機スズ化合物にあつては、
化合物中のスズがヨウ素原子を配位子として結合して、
極めて安定状態になるためと考察される。この結果、蛍
光体層の黄変は防止され、高感度のスクリーンを得るこ
とができる。
また蛍光体層にエポキシ基を有する化合物と、亜燐酸エ
ステル、有機スズ化合物および有機酸金属塩からなる群
より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有させた増
感スクリーンは、より一層高い感度を有する。
さらに、エポキシ基を有する化合物としてエポキシ樹脂
を用いた場合には、このエポキシ樹脂は同時に結合剤と
しての機能も有するから、上記のような感度の向上に加
えて支持体と蛍光体層との密着力を高めることが可能で
ある。なお、他の結合剤を用いないで結合剤全てがエポ
キシ基を有する化合物である場合も本発明に含まれる。
[発明の構成] 上述したような好ましい特性を有する本発明の放射線増
感スクリーンは、たとえば、次に述べるような方法によ
り製造することができる。
本発明において使用する支持体は、放射線増感スクリー
ンの製造のための材料として知られている各種の材料か
ら任意に選ぶことができる。そのような材料の例として
は、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセ
テート、ポリカーボネートなどのプラスチック物質のフ
ィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金
属シート、通常の紙、バライタ紙、レジンコート紙、二
酸化チタンなどの顔料を含有するピグメント紙、ポリビ
ニルアルコールなどをサイジングした紙などを挙げるこ
とができる。ただし、放射線増感スクリーンとしての諸
特性を考慮した場合、本発明において特に好ましい支持
体の材料はプラスチックフィルムである。このプラスチ
ックフイルムにはカーボンブラックなどの光吸収性物質
が練り込まれていてもよく、あるいは二酸化チタンなど
の光反射性物質が練り込まれていてもよい。前者は高鮮
鋭度タイプの放射線増感スクリーンに適した支持体であ
り、後者は高感度タイプの放射線増感スクリーンに適し
た支持体である。
支持体の表面には、その上に設けられる蛍光体層との結
合を強化する目的でゼラチンなどの高分子物質を塗布し
て接着性付与層としたり、感度もしくは画質を高める目
的で二酸化チタン等の光反射性物質からなる光反射層、
もしくはカーボンブラック等の光吸収性物質からなる光
吸収層を設けたり、あるいは散乱放射線の除去などを目
的として鉛箔、鉛合金箔、錫箔などの金属箔を設けても
よい。さらに、特開昭58−182599号公報に記載
されているように鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の
表面(支持体の蛍光体層側の表面には接着性付与層、光
反射層、光吸収層あるいは金属箔が設けられている場合
には、その表面を意味する)には微小の凹凸が設けられ
てもよい。
次に、支持体の上には蛍光体層が形成される。
本発明の特徴的な要件である蛍光体層は、ヨウ素を含有
する蛍光体と亜燐酸エステル、有機スズ化合物および有
機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化
合物を分散状態で含有支持する結合剤からなる層、ある
いはヨウ素を含有する蛍光体と、亜燐酸エステル、有機
スズ化合物および有機酸金属塩からなる群より選ばれる
少なくとも一種の化合物と、エポキシ基を有する化合物
とを分散状態で含有支持する結合剤からなる層である。
本発明に用いられるヨウ素を含有する蛍光体は、蛍光体
の組成としてヨウ素を含むものである。すなわち、蛍光
体の母体成分、添加物成分および賦活剤成分のうちの少
なくとも一成分としてヨウ素を含むものである。
本発明の放射線増感スクリーンに用いられるヨウ素含有
蛍光体の例としては、 (1)特開昭55−12145号公報に記載されている
(Ba1-x,M2+x)FX:yA(ただし、M2+
Mg、Ca、Sr、Zn、およびCdのうちの少なくと
も一つ、XはCl、Br、およびIのうちの少なくとも
一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、H
o、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、
そしてxは、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2で
ある)の組成式で表わされる希土類元素賦活アルカリ土
類金属弗化ハロゲン化物蛍光体; また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれてい
てもよい: 特願昭54−150873号明細書に記載されているL
iX′、BeX″、MIII(ただし、X′、
X″およびXはそれぞれCl、BrおよびIのうちの
少なくとも一種であり、MIIIは三価金属である); 特開昭55−160078号公報に記載されているBe
O、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al
、Y、La、In、SiO
TiO、ZrO、GeO、、SnO、Nb
、TaおよびThOなどの金属酸化物; 特開昭56−116777号公報に記載されているZ
r、Sc; 特開昭57−23673号公報に記載されているB; 特開昭57−23675号公報に記載されているAs、
Si; 特開昭58−206678号公報に記載されているM・
L(ただし、MはLi、Na、K、Rb、およびCsか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属で
あり;LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、
Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ば
れる少なくとも一種の三価金属である); 特開昭59−27980号公報に記載されているテトラ
フルオロホウ酸化合物の焼成物; 特開昭59−47289号公報に記載されているヘキサ
フルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサ
フルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の
焼成物; 特開昭59−56479号公報に記載されているMa
X′(ただし、X′はCl、BrおよびIのうちの少な
くとも一種である); 特開昭59−56480号公報に記載されているV、C
r、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属; 特開昭59−75200号公報に記載されているM
X′、M′IIX″、MIII、A(ただし、M
はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より
選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;M′II
はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一
種の二価金属であり;MIIIはAl、Ga、In、およ
びTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金
属であり;Aは金属酸化物であり;X′、X″およびX
はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選
ばれる少なくとも一種のハロゲンであるる); 特開昭60−101173号公報に記載されているM
X′(ただし、MはRbおよびCsからなる群より選
ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′は
F、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンである); 特開昭59−145385号明細書に記載されているM
II′X′・MII′X″[ただし、MII′はBa、S
rおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種の
アルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれC
l、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一
種のハロゲンであって、かつX′≠X″である);およ
び 特願昭60−106752号明細書に記載されているL
nX″[ただし、LnはSc、Y、La、Ce、P
r、Nd、Pm,Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少な
くとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、Br
およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンである); (2)特開昭60−84381号公報に記載されている
II・aMIIX′:xEu2+(ただし、MIIはB
a、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも
一種のアルカリ土類金属であり、XおよびX′はCl、
BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種の
ハロゲンであって、かつX≠X′であり、そしてaは
0.1≦a≦10.0、xは0≦x≦0.2である)の
組成式で表わされる二価ユーロピウム賦活アルカリ土類
金属ハロゲン化物蛍光体; また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれてい
てもよい: 特開昭60−166379号公報に記載されているM
X″(ただし、MはRbおよびCsからなる群より選
ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X″は
F、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンである); 特開昭60−221483号公報に記載されているK
X″、MgX、MIIIX′(ただし、MIIIはS
c、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる
少なくとも一種の三価金属であり;X″、XおよびX
′はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲンである); 特願昭59−84356号明細書に記載されているB; 特願昭59−84356号明細書に記載されているSi
、P等の酸化物; 特願昭59−240451号明細書に記載されているL
iX″、NaX″(ただし、X″はF、Cl、Brおよ
びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン
である); 特願昭59−240452号明細書に記載されているS
iO; 特願昭59−240454号明細書に記載されているS
nX″(ただし、X″はF、Cl、BrおよびIから
なる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
る); 特願昭60−78033号明細書に記載されているCs
X″、SnX(ただし、X″およびXはそれぞれ
F、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンである);および 特願昭60−78035号明細書に記載されているCs
X″、LnU3+(ただし、X″はF、Cl、Brおよ
びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン
であり、;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLu
からなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素で
ある); (3)LnOX:A(ただし、LnはLa、Y、Gdお
よびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土
類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群
より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;AはT
bおよびTmからなる群より選ばれる少なくとも一種の
希土類元素である)の組成式で表わされるテルビウムお
よび/またはツリウム賦活希土類オキシハライド蛍光
体;および (4)アルカリ金属ヨウ化物系蛍光体[CsI:Na、
CsI:Tl、NaI、KI:Tl等]などを挙げるこ
とができる。
上記蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウ
ム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨ
ウ素を含有するアルカリ金属ヨウ化物系蛍光体、および
ヨウ素を含有するテルビウムおよび/またはツリウム賦
活希土類オキシハライド系蛍光体は高輝度の発光(瞬時
発光)を示すので特に好ましい。ただし、本発明に用い
られるヨウ素を含有する蛍光体は上述の蛍光体に限られ
るものではなく、蛍光体組成としてヨウ素を含有し、か
つ放射線を照射した場合に発光を示す蛍光体であればい
かなるものであってもよい。
本発明において、蛍光体層の黄変を防止するために蛍光
体層に含有せしめられる化合物は、亜燐酸エステル、有
機スズ化合物および有機酸金属塩からなる群より選ばれ
る少なくとも一種の化合物である。これらの化合物は蛍
光体から遊離するヨウ素を効果的に捕捉してI分子の
形成を阻止する機能を有するものである。すなわち、キ
レート剤として機能する。
本発明に用いられる代表的な亜燐酸エステル(リン系キ
レート)は下記の一般式[I]または一般式[II]で表
わされる化合物である。
(ただし、Aは酸素原子または硫黄原子であり;R
、RおよびRはそれぞれ水素原子、アルキル基
またはアリール基であり、そしてこれらは互いに同種で
あっても異種であってもよく;Xは炭素原子、酸素原
子および水素原子からなる基である) 好ましい亜燐酸エステルの例としては、 (1)トリフェニルホスファイト (2)ジフェニルデシルホスファイト (3)ジデシルフェニルホスファイト (4)トリデシルホスファイト (C1021O)P (5)トリオクチルホスファイト (C17O)P (6)トリドデシルホスファイト (C1225O)P (7)トリオクタデシルホスファイト (C1837O)P (8)トリノニルフェニルホスファイト (9)トリドデシルトリチオホスファイト (C1225S)P を挙げることができる。
上記一般式[I]または[II]で表わされる化合物は、
それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは併用してもよ
い。
本発明に用いられる有機スズ化合物は、例えば下記の一
般式[III]で表わされる化合物である。
(ただし、RおよびRはそれぞれ水素原子、アルキ
ル基またはアリール基であり、そしてこれらは互いに同
種であっても異種であってもよく;Y、Y、Y
よびYはそれぞれアルキル基、アリール基、脂肪酸、
脂肪酸誘導体、メルカプタンまたはメルカプト酸であ
り、そしてこれらは互いに同種であっても異種であって
もよく;Xは酸素原子、硫黄原子またはマレイン酸で
あり;nは0または1以上の整数である) 有機スズ化合物は、一般にスズに結合している有機配位
子の一部がハロゲンなどと置換されて比較的安定に存在
しやすい。上記一般式[III]においてはY〜Y
うち少なくとも一つの配位子がヨウ素で置換されて安定
化すると考えられる。
好ましい有機スズ化合物の例としては、ジオクチルスズ
メルカプト、モノブチルスズ−トリメチルマレエート、
モノブチルスズ−トリオクチルマレエート、ジブチルス
ズ−ジラウレート、ジブチルスズ−ラウレート−メチル
マレエート、ジブチルスズ−ジオレイルマレエート、ジ
ブチルスズ−ジメチルマレエート、ジブチルスズ−マレ
エート、ジブチルスズ−メトキシメチルマレエート、ジ
ブチルスズ−ジマレエートとジブチルスズ−ジメチルマ
レエートとの混合物、ジブチルスズ−ジオクチルマレエ
ート、ジブチルスズ−ジオクチルチオグリコレート、ジ
ブチルスズ−ジラウリルメルカプタイド、トリベンジル
スズ−オクチルマレエート、トリベンジルスズ−トリメ
チルマレエートを挙げることができる。
本発明に用いられる有機酸金属塩は、例えば下記の一般
式[IV]で表わされるものである。
(RCOO)mM [IV] (ただし、R7は、炭素数1乃至20の置換基を含むこ
ともあるアルキル基またはアリール基であり、Mは、カ
ルシウム、亜鉛、カドミウムまたはバリウムであり;m
は正の整数である) 上記一般式[IV]を有する有機酸金属塩は、有機酸の一
部がヨウ素で置換されて(RCOO)m−1M1を形
成するものと考えられる。ただし、本発明に用いられる
有機酸金属塩には有機酸スズは含まれない。
本発明に用いられる有機酸塩は、例えばオクチル酸、ラ
ウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、
ナフテン酸、2−エチルヘキシル酸、樹脂酸、合成カル
ボン酸、安息香酸、サリチル酸、有機亜燐酸などの有機
酸の金属塩である。また、この有機酸金属塩の有機酸は
フェノール、アルキルフェノールであってもよい。
このような有機酸金属塩の例としては、ステアリン酸バ
リウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、
ナフテン酸バリウム、2−エチルヘキソイン酸バリウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、
リシノール酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン
酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、2−エチルヘキソイン酸亜
鉛などのいわゆる金属石鹸を挙げることができる。
上述したように亜燐酸エステル、有機スズ化合物および
有機酸金属塩は、それぞれ単独で蛍光体層中に含有させ
てもよいし、二種以上を適宜組み合わせて蛍光体層中に
含有させてもよい。すなわちこれらのうち少なくとも一
種の化合物が蛍光体層中に含有されていればよく、この
結果、蛍光体層の黄変は防止される。
上記化合物の添加量は、蛍光体の種類及び使用量、結合
剤の種類などによっても異なるが、一般には蛍光体に対
して0.0001〜3重量%の範囲にあり、好ましくは
0.003〜0.3重量%の範囲である。
さらに、上記化合物と組み合わせて、エポキシ基を有す
る化合物が蛍光体層中に含有されていてもよい。但し、
エポキシ基を有する化合物は添加剤としてだけではな
く、結合剤自体として使用される場合もある。
エポキシ基を有する化合物は、一分子中に少なくとも一
個のエポキシ基 を有するものである。
このエポキシ基含有化合物は、モノマーであってもよい
し、あるいはポリマーであってもよい。モノマーの例と
しては1,2−エポキシプロパンおよび1,2−エポキ
シブタンを挙げることができる。また、ポリマーの例と
しては下記の一般式で表わされるビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂を挙げることができる。
エポキシ基含有化合物がポリマーである場合には、黄変
防止のための添加剤であると同時に結合剤としても機能
しうる点で好ましい。なお、結合剤全部がエポキシ基含
有化合物であってもよい。
蛍光体から遊離するヨウ素は上記亜燐酸エステル、有機
スズ化合物および有機酸金属塩のうちの少なくとも一種
の化合物(前者)のみならず、エポキシ基含有化合物に
よっても効率良く捕捉されるために、I分子を形成す
ることがなく、従って蛍光体層は黄色に変色することが
ない。これらの化合物を併用することにより、前者のみ
あるいは後者のみを用いた場合に比較して経時的な劣化
(感度の低下)をさらに効果的に防止することができ
る。
エポキシ基含有化合物の添加量は蛍光体の種類および使
用量、結合剤の種類などによっても異なるが、一般には
蛍光体に対して0.001〜10重量%の範囲にあり、
好ましくは0.03〜3重量%の範囲である。エポキシ
基含有化合物の添加量が0.001重量%よりも少ない
場合には、これによる相乗的な黄変防止効果が殆ど得ら
れなくなる。一方、10重量%よりも多い場合には結合
剤全部が該化合物であっても、黄変防止効果はあるもの
の蛍光体の発光特性、スクリーンの柔軟性、耐久性など
得られるスクリーンの諸特性に悪影響を及ぼすことにな
る。
本発明において、蛍光体層に用いられる結合剤の例とし
ては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッ
カライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物
質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、
ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン
・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリ
レート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレ
タン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルア
ルコール、線状ポリエステルなどような合成高分子物質
などにより代表される結合剤を挙げることができる。こ
のような結合剤のなかで特に好ましいものは、ニトロセ
ルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)ア
クリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの
混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アク
リレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブ
チラールとの混合物である。なおこれらの結合剤は架橋
剤によって架橋されたものであってもよい。
蛍光体層は、たとえば、次のような方法により支持体上
に形成することができる。
まず、蛍光体および結合剤、上記亜燐酸エステル、有機
スズ化合物および有機酸金属塩からなる群より選ばれる
少なくとも一種の化合物、さらに場合によってはエポキ
シ基を有する化合物を適当な溶剤に添加し、これらを充
分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子および上記化合
物が均一に分散した塗布液を調製する。
塗布液調製用の溶剤の例としては、メタノール、エタノ
ール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタ
ノールなどの低級アルコール;メチレンクロライド、エ
チレンクロライドなどの塩素原子含有炭素水素;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど
のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの
低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサ
ン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;トルエ
ン;そして、それらの混合物を挙げることができる。
塗布液における結合剤と蛍光体との混合比(ただし、結
合剤全部がエポキシ基含有化合物である場合には該化合
物と蛍光体との比率に等しい)は、目的とする放射線増
感スクリーンの特性、蛍光体の種類、エポキシ基含有化
合物の添加量(エポキシ基含有化合物を添加剤として用
いた場合)などによって異なるが、一般には結合剤と蛍
光体との混合比は、1:1乃至1:100(重量比)の
範囲から選ばれ、そして特に1:8乃至1:40(重量
比)の範囲から選ぶことが好ましい。
なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体粒子の分
散性を向上させるための分散剤、また、形成後の蛍光体
層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させ
るための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていても
よい。そのような目的に用いられる分散剤の例として
は、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面
活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例と
しては、燐酸燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの
燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシ
エチルなどのフタル酸エステル;グリコール酸エチルフ
タリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなど
のグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコ
ールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコ
ールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレング
リコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げ
ることができる。
上記のようにして調製された塗布液を、次に支持体の表
面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成す
る。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえば、ドク
ターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを
用いることにより行なうことができる。
ついで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾
燥して、支持体上への蛍光体層の形成を完了する。蛍光
体層の層厚は、目的とする放射線増感スクリーンの特
性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによ
って異なるが、通常は20μm乃至1mmとする。ただ
し、この層厚は50乃至500μmとするのが好まし
い。
なお、蛍光体層は、必ずしも上記のように支持体上に塗
布液を直接塗布して形成する必要はなく、たとえば、別
にガラス板、金属板、プラスチックシートなどのシート
上に塗布液を塗布し乾燥することにより蛍光体層を形成
した後、これを支持体上に押圧するか、あるいは接着剤
を用いるなどして支持体と蛍光体層とを接合してもよ
い。
蛍光体層の支持体に接する側とは反対側の表面には、蛍
光体層を物理的および化学的に保護する目的で透明な保
護膜が設けられてもよい。
透明保護膜は、たとえば、酢酸セルロース、ニトロセル
ロースなどのセルロース誘導体;あるいはポリメチルメ
タクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホル
マール、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニ
ル・酢酸ビニルコポリマーなどの合成高分子物質のよう
な透明な高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶
液を蛍光体層の表面に塗布する方法により形成すること
ができる。あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどから別
に形成した透明な薄膜を蛍光体層の表面に適当な接着剤
を用いて接着するなどの方法によっても形成することが
できる。このようにして形成する透明保護膜の膜厚は、
約3乃至20μmとすることが望ましい。
また、上記のようにして形成される増感スクリーンに
は、スクリーンの機械強度を高める目的からポリマー被
膜により被覆されてなる縁貼りが設けられていてもよ
い。
なお、本発明のスクリーンに上記保護膜、縁貼り、前述
した接着性賦与層あるいは光反射層などの従来増感スク
リーンに設けられる各種の層(特に、蛍光体層に隣接す
る層)が設けられている場合には、これらの層において
も本発明に係る亜燐酸エステル、有機スズ化合物および
有機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の
化合物、あるいはこれらの化合物とともにエポキシ基を
有する化合物を適量含有させておくことが好ましい。こ
うすることにより蛍光体層から浸透しがちな着色の広が
りをも効果的に防止することができる。
次に本発明の実施例および比較例を記載する。ただし、
これらの各例は本発明を制限するものではない。
[実施例1] 二価ユーロピウム賦活弗化臭化バリウム系蛍光体(Ba
FBr0.850.15:0.001Eu2+)の粒子12
0g、線状不飽和ポリエステル(バイロン#500、東洋
紡(株)製)のメチルエチルケトン溶液(固形分:10
重量%)24g、ニトロセルロースのメチルエチルケト
ン溶液(固形分:10重量%)6g、およびジフェニル
デシルホスファイト(分子量:374)のメチルエチル
ケトン溶液(固形分:50重量%)0.04gをメチル
エチルケトン18gに添加した後、プロペラミキサーを
用いて充分に攪拌混合して蛍光体粒子が均一に分散し、
結合剤と蛍光体との混合比が1:40(重量比)かつ粘
度が25〜30PS(25℃)の塗布液を調製した。
ガラス板上に水平に置いたカーボンブラック練り込みポ
リエチレンテレフタコートフィルム(支持体、厚み:2
50μm)の上に、この塗布液をドクターブレードを用
いてドクターブレードの開口部の口径を変えながら塗布
した。そして塗布液に塗膜が形成された支持体を乾燥器
内に入れ、この乾燥器の内部の温度を25℃から100
℃に徐々に上昇させて塗膜の乾燥を行なった。このよう
にして、支持体上に層厚が約150〜500μmの範囲
で変化した蛍光体層を形成した。
次に、この蛍光体層の上にポリエチレンテレフタレート
フィルム(厚み:12μm、ポリエステル系接着剤が付
与されているもの)を、接着剤層側を下に向けて置いて
接着することにより透明保護膜を形成した。
このようにして支持体、蛍光体層および透明保護膜から
構成された放射線増感スクリーンを製造した。
[比較例1] 実施例1において、塗布液にジフェニルデシルホスファ
イト溶液を添加しないでメチルエチルケトン20gを用
いること以外は実施例1の方法と同様な処理を行なうこ
とにより、支持体、蛍光体層および透明保護膜から構成
された放射線増感スクリーンを製造した。
得られた各放射線増感スクリーンに管電圧80KVpの
X線を照射して感度を測定した。その結果を第1図に示
す。
第1図は、横軸に蛍光体層の層厚をとり、縦軸に相対感
度をとったグラフである。第1図において、 曲線1:亜燐酸エステルを含む放射線増感スクリーン
(実施例1) 曲線2:亜燐酸エステルを含まない放射線増感スクリー
ン(比較例1) である。
第1図から明らかなように、蛍光体層に亜燐酸エステル
を含む本発明の放射線増感スクリーン(実施例1)は、
亜燐酸エステルを含まない従来公知の放射線増感スクリ
ーン(比較例1)と比較して、感度が顕著に向上した。
また、比較例1のスクリーンは蛍光体層の黄変が著し
く、蛍光体層を厚くしても感度はあまり変わらなかった
が、本発明のスクリーンは蛍光体層の黄変が全くなく、
蛍光体層の層厚に比例して感度が高くなった。
[実施例2] 実施例1において、蛍光体としてテルビウムおよびツリ
ウム賦活ランタンオキシブロマイド蛍光体(LaOBr
0.80.2:0.01Tb,0.005Tm)120gを用
い、有機スズ化合物としてジオクチルスズメルカプト
0.04gを用いること以外は実施例1の方法と同様な
処理を行なうことにより、支持体上に層厚が250μm
の蛍光体層を形成した。
そして、実施例1の方法と同様な処理を行なうことによ
り支持体、蛍光体層および透明保護膜から構成された放
射線増感スクリーンを製造した。
[比較例2] 実施例2において、塗布液にジオクチルスズメルカプト
を添加しないこと以外は実施例2の方法と同様な処理を
行なうことにより、支持体、蛍光体層および透明保護膜
から構成された放射線増感スクリーンを製造した。
実施例2および比較例2で得られた各放射線増感スクリ
ーンについて上記と同様にして感度を測定した。その結
果を第1表に示す。なお、感度は実施例2のスクリーン
の感度を100として表わした。
[実施例3] 実施例1において、蛍光体として二価ユーロピウム賦活
塩化臭化バリウム系蛍光体(BaClBr0.9
0.1:0.001Eu2+)120gを用い、有機酸金属塩
としてステアリン酸亜鉛0.02gおよびステアリン酸
バリウム0.02gを用いること以外は実施例1の方法
と同様な処理を行なうことにより、支持体上に層厚が2
50μmの蛍光体層を形成した。
そして、実施例1の方法と同様な処理を行なうことによ
り支持体、蛍光体層および透明保護膜から構成された放
射線増感スクリーンを製造した。
[比較例3] 実施例3において、塗布液にステアリン酸亜鉛もステア
リン酸バリウムも添加しないこと以外は実施例3の方法
と同様な処理を行なうことにより、支持体、蛍光体層お
よび透明保護膜から構成された放射線増感スクリーンを
製造した。
実施例3および比較例3で得られた各放射線増感スクリ
ーンに管電圧80KVpのX線を照射して感度を測定し
た。その結果を第2表に示す。なお、感度は実施例3の
スクリーンの感度を100として表わした。
[実施例4] 二価ユーロピウム賦活弗化臭化バリウム系蛍光体(Ba
FBr0.850.15:0.001Eu2+)の粒子12
0g、アクリル樹脂のメチルエチルケトン溶液(固形
分:10重量%)24g、ニトロセルロースのメチルエ
チルケトン溶液(固形分:10重量%)6g、ジフェニ
ルデシルホスファイト(分子量:374)のメチルケト
ン溶液(固形分:50重量%)0.04g、およびビス
フェノールA型エポキシ樹脂(平均分子量:900)のメ
チルエチルケトン溶液(固形分:50重量%)2gをメ
チルエチルケトン18gに添加した後、プロペラミキサ
ーを用いて充分に攪拌混合して蛍光体粒子が均一に分散
し、結合剤と蛍光体との混合比が1:40(重量比)、
かつ粘度が25〜30PS(25℃)の塗布液を調製し
た。
次に、ガラス板上に水平に置いたカーボンブラック練り
込みポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体、厚
み:250μm)の上に、この塗布液をドクターブレー
ドを用いて塗布した。そして塗布液に塗膜が形成された
支持体を乾燥器内に入れ、この乾燥器の内部の温度を2
5℃から100℃に徐々に上昇させて塗膜の乾燥を行な
った。このようにして、支持体上に層厚が約250μm
の蛍光体層を形成した。
次に、この蛍光体層の上にポリエチレンテレフタレート
フィルム(厚み:12μm、ポリエステル系接着剤が付
与されているもの)を、接着剤層側を下に向けて置いて
接着することにより透明保護膜を形成した。
このようにして支持体、蛍光体層および透明保護膜から
構成された放射線増感スクリーンを製造した。
[比較例4] 実施例1において、ジフェニルデシルホスファイトのメ
チルエチルケトン溶液0.04gの代りに、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂(平均分子量:900)のメチルエ
チルケトン溶液2gを用いること以外は実施例1の方法
と同様な処理を行なうことにより、支持体、蛍光体層お
よび透明保護膜から構成された放射線増感スクリーンを
製造した。
上記放射線増感スクリーン(実施例4および比較例4)
に管電圧80KVpのX線を照射して感度を測定した。
次に、上記実施例4および比較例4で得られた放射線増
感スクリーンについて劣化特性試験により評価した。
劣化特性試験はスクリーンを室温60℃、相対湿度RH
80%の雰囲気中に7日間放置することにより行なっ
た。
放置後、それぞれのスクリーンについて上記と同様にし
て感度を測定した。その結果を第3表に示す。なお、感
度は劣化特性試験を行なう前(放置前)のそれぞれのス
クリーンの感度を100として表わし、実施例1の結果
も併記した。
第3表から明らかなように、蛍光体層に亜燐酸エステル
およびエポキシ基含有化合物を含む本発明の放射線増感
スクリーン(実施例4)は、蛍光体層に亜燐酸エステル
のみを含む本発明の放射線増感スクリーン(実施例1)
およびエポキシ基含有化合物のみを含む放射線増感スク
リーン(比較例4)よりもさらに高感度を維持してい
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の亜燐酸エステルを含む放射線増感ス
クリーン(曲線1)および従来の放射線増感スクリーン
(曲線2)について、蛍光体層の層厚と相対感度との関
係を表わすグラフである。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体と、この上に設けられた蛍光体を分
    散状態で含有支持する結合剤からなる蛍光体層とを有す
    る放射線増感スクリーンにおいて、該蛍光体がヨウ素を
    含有する蛍光体であり、かつ該蛍光体層が亜燐酸エステ
    ル、有機スズ化合物および有機酸金属塩からなる群より
    選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とす
    る放射線増感スクリーン。
  2. 【請求項2】上記亜燐酸エステル、有機スズ化合物およ
    び有機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種
    の化合物が、蛍光体層中に蛍光体に対して0.0001
    〜3重量%の範囲で含まれていることを特徴とする特許
    請求の範囲第1項記載の放射線増感スクリーン。
  3. 【請求項3】上記亜燐酸エステル、有機スズ化合物およ
    び有機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種
    の化合物が、蛍光体層中に蛍光体に対して0.003〜
    0.3重量%の範囲で含まれていることを特徴とする特
    許請求の範囲第2項記載の放射線増感スクリーン。
  4. 【請求項4】上記亜燐酸エステルが下記の一般式[I]
    で表わされる化合物および/または一般式[II]で表わ
    される化合物であることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の放射線増感スクリーン。 (ただし、Aは酸素原子または硫黄原子であり;R
    、RおよびRはそれぞれ水素原子、アルキル基
    またはアリール基であり、そしてこれらは互いに同種で
    あっても異種であってもよく;Xは炭素原子、酸素原
    子および水素原子からなる基である)
  5. 【請求項5】上記有機スズ化合物が下記の一般式[II
    I]で表わされる化合物であることを特徴とする特許請
    求の範囲第1項記載の放射線増感スクリーン。 (ただし、RおよびRはそれぞれ水素原子、アルキ
    ル基またはアリール基であり、そしてこれらは互いに同
    種であっても異種であってもよく;Y、Y、Y
    よびYはそれぞれアルキル基、アリール基、脂肪酸、
    脂肪酸誘導体、メルカプタンまたはメルカプト酸であ
    り、そしてこれらは互いに同種であっても異種であって
    もよく;Xは酸素原子、硫黄原子またはマレイン酸で
    あり;nは0または1以上の整数である)
  6. 【請求項6】上記有機酸金属塩が下記の一般式[IV]で
    表わされる化合物であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の放射線増感スクリーン。 (RCOO)mM [IV] (ただし、Rは、炭素数1乃至20の置換基を含むこ
    ともあるアルキル基またはアリール基であり;Mは、カ
    ルシウム、亜鉛、カドミウムまたはバリウムであり;m
    は正の整数である)
  7. 【請求項7】上記蛍光体が、ヨウ素を含有する二価ユー
    ロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光
    体、ヨウ素を含有するアルカリ金属ヨウ化物系蛍光体、
    およびヨウ素を含有するテルビウムおよび/またはツリ
    ウム賦活希土類オキシハライド系蛍光体からなる群より
    選ばれる少なくとも一種の蛍光体であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の放射線増感スクリーン。
  8. 【請求項8】支持体と、この上に設けられた蛍光体を分
    散状態で含有支持する結合剤からなる蛍光体層とを有す
    る放射線増感スクリーンにおいて、該蛍光体がヨウ素を
    含有する蛍光体であり、かつ該蛍光体層がエポキシ基を
    有する化合物と、亜燐酸エステル、有機スズ化合物およ
    び有機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種
    の化合物とを含むことを特徴とする放射線増感スクリー
    ン。
  9. 【請求項9】上記亜燐酸エステル、有機スズ化合物およ
    び有機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種
    の化合物が、蛍光体層中に蛍光体に対して0.0001
    〜3重量%の範囲で含まれていることを特徴とする特許
    請求の範囲第8項記載の放射線増感スクリーン。
  10. 【請求項10】上記亜燐酸エステル、有機スズ化合物お
    よび有機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一
    種の化合物が、蛍光体層中に蛍光体に対して0.003
    〜0.3重量%の範囲で含まれていることを特徴とする
    特許請求の範囲第9項記載の放射線増感スクリーン。
  11. 【請求項11】上記亜燐酸エステルが、下記の一般式
    [I]で表わされる化合物および/または一般式[II]
    で表わされる化合物であることを特徴とする特許請求の
    範囲第8項記載の放射線増感スクリーン。 (ただし、Aは酸素原子または硫黄原子であり;R
    、RおよびRはそれぞれ水素原子、アルキル基
    またはアリール基であり、そしてこれらは互いに同種で
    あっても異種であってもよく;Xは炭素原子、酸素原
    子および水素原子からなる基である)
  12. 【請求項12】上記有機スズ化合物が下記の一般式[II
    I]で表わされる化合物であることを特徴とする特許請
    求の範囲第8項記載の放射線増感スクリーン。 (ただし、RおよびRはそれぞれ水素原子、アルキ
    ル基またはアリール基であり、そしてこれらは互いに同
    種であっても異種であってもよく;Y、Y、Y
    よびYはそれぞれアルキル基、アリール基、脂肪酸、
    脂肪酸誘導体、メルカプタンまたはメルカプト酸であ
    り、そしてこれらは互いに同種であっても異種であって
    もよく;Xは酸素原子、硫黄原子またはマレイン酸で
    あり;nは0または1以上の整数である)
  13. 【請求項13】上記有機酸金属塩が下記の一般式[IV]
    で表わされる化合物であることを特徴とする特許請求の
    範囲第8項記載の放射線増感スクリーン。 (RCOO)mM [IV] (ただし、Rは、炭素数1乃至20の置換基を含むこ
    ともあるアルキル基またはアリール基であり;Mは、カ
    ルシウム、亜鉛、カドミウムまたはバリウムであり;m
    は正の整数である)
  14. 【請求項14】上記エポキシ基を有する化合物が蛍光体
    層中に蛍光体に対して0.001〜10重量%の範囲で
    含まれていることを特徴とする特許請求の範囲第8項記
    載の放射線増感スクリーン。
  15. 【請求項15】上記エポキシ基を有する化合物が、蛍光
    体層中に蛍光体に対して0.03〜3重量%の範囲で含
    まれていることを特徴とする特許請求の範囲第14項記
    載の放射線増感スクリーン。
  16. 【請求項16】上記エポキシ基を有する化合物が、1,
    2−エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン及びエ
    ポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の化
    合物であることを特徴とする特許請求の範囲第8項記載
    の放射線増感スクリーン。
  17. 【請求項17】上記蛍光体が、ヨウ素を含有する二価ユ
    ーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍
    光体、ヨウ素を含有するアルカリ金属ヨウ化物系蛍光
    体、およびヨウ素を含有するテルビウムおよび/または
    ツリウム賦活希土類オキシハライド系蛍光体からなる群
    より選ばれる少なくとも一種の蛍光体であることを特徴
    とする特許請求の範囲第8項記載の放射線増感スクリー
    ン。
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