JPH06317792A - カラー液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】カラーフィルタを用いずに透過光を着色して光
の透過率を高くし、表示の明るさを十分高くする。 【構成】透明電極３３，３４を形成した一対の透明基板
３１，３２間に強誘電性液晶３８を封入した強誘電性液
晶セル３０をはさんで一対の偏光板４１，４２を配置
し、かつ、前記一対の偏光板４１，４２のうち上偏光板
４１の透過軸を液晶セル３０の強誘電性液晶３８が第１
と第２の安定状態のうちいずれか一方の安定状態に配向
したときの液晶分子配向方向とほぼ平行にし、下偏光板
４２の透過軸を前記上偏光板４１の透過軸に対してほぼ
平行にするかあるいはほぼ直交させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はカラー液晶表示装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置として、着色した表示が得
られるカラー液晶表示装置がある。図４は従来のカラー
液晶表示装置の断面図であり、この液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを備えた液晶セル１０と、この液晶セル１
０をはさんで配置された一対の偏光板２１，２２とから
なっている。

【０００３】上記液晶セル１０は、透明電極１３，１４
を形成しその上に配向膜１５，１６を形成した上下一対
の透明基板１１，１２を枠状のシール材１８を介して接
合し、この両基板１１，１２間の前記シール材１８で囲
まれた領域に液晶１９を封入したもので、この液晶セル
１０の一方の基板、例えば図において下基板１２には、
透過光を着色するためのカラーフィルタ１７が設けられ
ている。

【０００４】なお、上記カラーフィルタ１７は基板１２
上に形成されており、この基板１２側の透明電極１４は
前記カラーフィルタ１７を覆う保護膜（図示せず）の上
に形成されている。また、上記液晶セル１０としては、
一般に、液晶分子を両基板１１，１２間においてほぼ９
０°のツイスト角でツイスト配向させたＴＮ（ツイステ
ッド・ネマティック）型のものが用いられている。

【０００５】また、上記一対の偏光板２１，２２は、そ
の透過軸を互いにほぼ平行にして配置されており、これ
ら偏光板２１，２２の透過軸は、液晶セル１０の一方の
基板側の液晶分子配向方向とほぼ平行な方向にある。

【０００６】なお、液晶表示装置には、透過型のもの
と、裏面に反射板を配置した反射型のものとがあるが、
カラーフィルタを備えたカラー液晶表示装置は一般に、
図４に示したような透過型のものとされている。

【０００７】上記カラー液晶表示装置は、その裏面側に
光源（図示せず）を配置し、液晶セル１０の両基板１
１，１２の電極１３，１４間に電圧を印加して表示駆動
されるもので、光源からの光は、入射側（図４では下
側）の偏光板２２により直線偏光されて液晶セル１０に
入射する。

【０００８】そして、液晶セル１０に入射した直線偏光
は、カラーフィルタ１７と液晶層とを通って液晶セル１
０を出射するが、その場合、カラーフィルタ１７の色に
対応する波長帯域以外の波長光がカラーフィルタ１７で
吸収されるため、液晶セル１０を出射する光がカラーフ
ィルタ１７の色に着色された光となる。

【０００９】また、液晶セル１０の電極１３，１４間に
電圧を印加していない状態、つまり液晶分子がツイスト
配向している状態では、液晶セル１０を通る光が液晶１
９による偏光作用を受け、液晶層を通過し終ったときに
液晶セル１０に入射した直線偏光とほぼ直交する方向の
直線偏光になるため、このときは液晶セル１０を出射し
た直線偏光が出射側（図４では上側）の偏光板２１で吸
収され、表示が暗（黒）状態になる。

【００１０】一方、液晶セル１０の電極１３，１４間に
電圧を印加すると、液晶分子が基板１１，１２面に対し
てほぼ垂直に立上り配向し、液晶１９による偏光作用は
ほとんどなくなるため、液晶セル１０に入射した直線偏
光がそのまま液晶セル１０を出射する。そして、このと
きは、液晶セル１０を出射した直線偏光が出射側偏光板
２１を透過し、表示が、カラーフィルタ１７により着色
された色の明表示になる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のカラー液晶表示装置は、カラーフィルタ１７を用い
て透過光を着色するものであるため、光の透過率が低
く、したがって表示が暗いという問題をもっている。

【００１２】これは、カラーフィルタ１７での光の吸収
によるものであり、カラーフィルタ１７は、その色に対
応する波長帯域の光もかなり高い吸収率で吸収するた
め、カラーフィルタ１７を通った着色光が、カラーフィ
ルタ１７に入射する前の前記波長帯域の光に比べて大幅
に光量を減じた光になり、表示が暗くなってしまう。

【００１３】なお、図４に示したカラー液晶表示装置は
透過型のものであるが、このカラー液晶表示装置の裏面
に反射板を配置して反射型装置とすると、装置の表面側
から入射し、裏面の反射板で反射されて表面側に出射す
る光がカラーフィルタ１７を２度通って二重に光量を減
じるため、表示がかなり暗くなって、表示装置としては
ほとんど使用できなくなる。

【００１４】本発明は、カラーフィルタを用いずに透過
光を着色して光の透過率を高くし、表示の明るさを十分
高くすることができるカラー液晶表示装置を提供するこ
とを目的としたものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明のカラー液晶表示
装置は、透明電極を形成した一対の透明基板間に強誘電
性液晶を封入した強誘電性液晶セルをはさんで一対の偏
光板を配置してなり、かつ、前記一対の偏光板のうち一
方の偏光板の透過軸を、前記液晶セルの強誘電性液晶が
第１と第２の安定状態のうちいずれか一方の安定状態に
配向したときの液晶分子配向方向とほぼ平行にし、他方
の偏光板の透過軸を、前記一方の偏光板の透過軸に対し
てほぼ平行にするかあるいはほぼ直交させたことを特徴
とするものである。

【００１６】本発明において、上記強誘電性液晶の第１
の安定状態における液晶分子配向方向と第２の安定状態
における液晶分子配向方向とのなす角度はほぼ４５°で
あるのが望ましい。

【００１７】

【作用】このカラー液晶表示装置は、強誘電性液晶セル
の偏光作用によって透過光を着色するものであり、この
強誘電性液晶セルは、強誘電性液晶分子の配向状態に２
つの安定状態（双安定性）があり、印加電圧の極性に応
じて液晶分子の配向状態が第１の安定状態と第２の安定
状態とに変化する。

【００１８】また、このカラー液晶表示装置において
は、上記強誘電性液晶セルをはさんで配置した一対の偏
光板のうち一方の偏光板の透過軸を、前記液晶セルの強
誘電性液晶が第１と第２の安定状態のうちいずれか一方
の安定状態に配向したときの液晶分子配向方向とほぼ平
行にしているため、液晶セルに一方の極性の電圧を印加
すると、液晶分子が前記一方の偏光板の透過軸とほぼ平
行な方向に配向し、逆極性の電圧を印加すると、液晶分
子が前記一方の偏光板の透過軸に対して斜め方向に配向
する。

【００１９】そして、上記液晶セルに一方の極性の電圧
を印加して液晶分子を上記一方の偏光板の透過軸とほぼ
平行な方向に配向させると、このときは、外部から前記
一方の偏光板を通って液晶セルに入射した直線偏光がそ
の偏光状態のまま液晶セルを透過する。このため、この
ときに液晶セルを通って他方の偏光板に入射する光は、
外部から前記一方の偏光板を通って入射した光と同じ直
線偏光であり、他方の偏光板に入射する光がこのような
直線偏光であると、この他方の偏光板の透過軸が前記一
方の偏光板の透過軸とほぼ平行である場合は、他方の偏
光板に入射する光の全ての波長光がこの偏光板を透過し
て表示が無着色表示となり、また他方の偏光板の透過軸
が前記一方の偏光板の透過軸とほぼ直交している場合
は、前記他方の偏光板に入射する光の全ての波長光がこ
の偏光板で吸収されて表示が黒表示となる。

【００２０】また、上記液晶セルに逆極性の電圧を印加
して液晶分子を前記一方の偏光板の透過軸に対して斜め
方向に配向させると、このときは、一方の偏光板を通っ
て液晶セルに入射した直線偏光が液晶セルを通る過程で
液晶による偏光作用を受けて楕円偏光となる。このた
め、このときに液晶セルを通って他方の偏光板に入射す
る光は、液晶による偏光作用を受けた非直線偏光であ
り、他方の偏光板に入射する光が非直線偏光であると、
その光のうち前記他方の偏光板を透過する偏光成分の波
長光だけがこの偏光板を透過するため、このときは透過
光が着色されて、表示が着色表示になる。

【００２１】すなわち、このカラー液晶表示装置は、従
来の液晶表示装置のようにカラーフィルタを用いずに透
過光を着色するものであり、したがって、着色光の光量
は表示装置に入射する光のうちの前記着色光となる波長
帯域の光の量とほとんど変わらないから、光の透過率を
高くして、表示の明るさを十分高くすることができる。

【００２２】

【実施例】以下、本発明の第１の実施例を図１および図
２を参照して説明する。図１はカラー液晶表示装置の断
面図である。このカラー液晶表示装置は、１つの強誘電
性液晶セル３０と、この液晶セル３０をはさんで配置し
た一対の偏光板４１，４２とからなっており、この一対
の偏光板４１，４２のうち、上偏光板４１は液晶セル３
０の上面に接着され、下偏光板４２は液晶セル３０の下
面に接着されている。なお、この実施例の液晶表示装置
は反射型のものであり、その裏面（下偏光板４２の下
面）には反射板４３が配置されている。

【００２３】上記強誘電性液晶セル３０は、透明電極３
３，３４を形成しその上に配向膜３５，３６を形成した
上下一対の透明基板３１，３２を枠状のシール材３７を
介して接合し、この両基板３１，３２間の前記シール材
３７で囲まれた領域に、スメクティック層構造をなす強
誘電性液晶３８を封入したもので、両基板３１，３２上
の配向膜３５，３６には、前記スメクティック層構造の
法線の方向を規制するための配向処理が施されている。

【００２４】上記強誘電性液晶３８は、その分子の配向
状態に２つの安定状態（双安定性）があり、印加電圧の
極性に応じて液晶分子の配向状態が第１の安定状態と第
２の安定状態とに変化する。

【００２５】すなわち、液晶セル３０の両基板３１，３
２の電極３３，３４間に一方の極性でかつ絶対値が液晶
３８のしきい値電圧以上の電圧を印加すると、液晶分子
が上記配向膜３５，３６で規制されるスメクティック層
構造の法線方向に対して一方向にほぼ一様に傾いた第１
の安定状態に配向し、電圧の印加を絶った後もその配向
状態を保持する。また、前記電極３３，３４間に逆極性
でかつ絶対値が液晶３８のしきい値電圧以上の電圧を印
加すると、液晶分子が前記スメクティック層構造の法線
方向に対して逆方向にほぼ一様に傾いた第２の安定状態
に配向し、電圧の印加を絶った後もその配向状態を保持
する。

【００２６】そして、この液晶セル３０は、その強誘電
性液晶３８が第１と第２の安定状態のうちいずれか一方
の安定状態に配向したときの液晶分子配向方向が上偏光
板４１の透過軸と平行になるようにして配置されてお
り、また下偏光板４２はその透過軸を前記上偏光板４１
の透過軸とほぼ平行にして配置されている。

【００２７】図２は、上記液晶セル３０の２つの液晶分
子配向方向と一対の偏光板４１，４２の透過軸とを示す
平面図である。図２において、３０ａ，３０ｂは液晶セ
ル３０の液晶分子配向方向であり、３０ａは上記第１の
安定状態における液晶分子配向方向、３０ｂは上記第２
の安定状態における液晶分子配向方向である。

【００２８】この２つの液晶分子配向方向３０ａ，３０
ｂのなす角度は、上記スメクティック層構造の法線方向
に対する、第１の液晶分子配向方向３０ａの傾き角と第
２の液晶分子配向方向３０ｂの傾き角との和であり、こ
の２つの傾き角をそれぞれθとすると、これら配向方向
３０ａ，３０ｂのなす角度は２θである。そして、この
実施例では、この角度２θが４５°となるように、強誘
電性液晶３８の材料を選んでいる。

【００２９】また、図２において、４１ａは上偏光板４
１の透過軸、４２ａは下偏光板４２の透過軸であり、こ
の実施例では、上偏光板４１の透過軸４１ａを液晶表示
装置の横軸に合わせ、上記液晶セル３０の強誘電性液晶
３８が第１の安定状態に配向したときの液晶分子配向方
向３０ａを前記上偏光板４１の透過軸４１ａとほぼ平行
にするとともに、下偏光板４２の透過軸４２ａを前記上
偏光板４１の透過軸４１ａとほぼ平行にしている。

【００３０】なお、この実施例では、上述したように、
液晶セル３０の２つの液晶分子配向方向３０ａ，３０ｂ
のなす角度２θを４５°としているため、液晶セル３０
の強誘電性液晶３８が第２の安定状態に配向したとき
は、その液晶分子配向方向３０ｂと上偏光板４１の透過
軸４１ａとが４５°のずれ角で斜めに交差する。

【００３１】このカラー液晶表示装置は、その表面側か
ら入射する光（自然光または照明光源からの光）を裏面
側の反射板４１で反射させて表示する反射型のものであ
り、表面側からの入射光は、上偏光板４１と強誘電性液
晶セル３０と下偏光板４２とを通って反射板４３で反射
され、再び前記下偏光板４２と液晶セル３０と上偏光板
４１とを通って出射する。また、このカラー液晶表示装
置は、液晶セル３０の両基板３１，３２の電極３３，３
４間に電圧を印加して表示駆動される。

【００３２】このカラー液晶表示装置は、上記強誘電性
液晶セル３０の偏光作用によって透過光を着色するもの
であり、この強誘電性液晶セル３０は、強誘電性液晶分
子３８の配向状態に２つの安定状態（双安定性）があ
り、印加電圧の極性に応じて液晶分子の配向状態が第１
の安定状態と第２の安定状態とに変化する。

【００３３】また、このカラー液晶表示装置において
は、その上偏光板４１の透過軸４１ａを、上記液晶セル
３０の強誘電性液晶３８が第１の安定状態に配向したと
きの液晶分子配向方向３０ａとほぼ平行にしているた
め、液晶セル３０に一方の極性の電圧を印加すると、液
晶分子が前記上偏光板４１の透過軸４１ａとほぼ平行な
方向に配向し、逆極性の電圧を印加すると、液晶分子が
前記上偏光板４１の透過軸４１ａに対して斜め方向に配
向する。

【００３４】そして、上記液晶セル３０に一方の極性の
電圧を印加して液晶分子を第１の安定状態、つまり上偏
光板４１の透過軸４１ａとほぼ平行な方向３０ａに配向
させると、このときは、外部から上偏光板４１を通って
液晶セル３０に入射した直線偏光がその偏光状態のまま
液晶セル３０を透過する。このため、このときに液晶セ
ル３０を通って下偏光板４２に入射する光は、外部から
前記上偏光板４１を通って入射した光と同じ直線偏光で
ある。

【００３５】また、この実施例では下偏光板４２の透過
軸４２ａを上偏光板４１の透過軸４１ａとほぼ平行にし
ているため、下偏光板４２に入射する光が上記のような
直線偏光であると、その全ての波長光が下偏光板４２を
透過する。

【００３６】しがたって、このときに下偏光板４２を透
過した光は無着色光であり、この下偏光板４２を通った
光（無着色光）が反射板４３で反射されて上述した光経
路と逆の経路で表示装置の上面側に出射するため、表示
が無着色表示となる。

【００３７】一方、上記液晶セル３０に逆極性の電圧を
印加して液晶分子を第２の安定状態、つまり上偏光板４
１の透過軸４１ａに対して４５°の角度で斜めに交差す
る方向３０ｂに配向させると、このときは、前記上偏光
板４１を通って液晶セル３０に入射した直線偏光が液晶
セル３０を通る過程で液晶３８による偏光作用を受けて
楕円偏光となる。

【００３８】このため、このときに液晶セル３０を通っ
て下偏光板４２に入射する光は、液晶３８による偏光作
用を受けた非直線偏光であり、下偏光板４２に入射する
光が非直線偏光であると、その光のうち前記下偏光板４
２を透過する偏光成分の波長光だけがこの下偏光板４２
を透過して着色光となり、この着色光が反射板４３で反
射されて上述した光経路と逆の経路で表示装置の上面側
に出射して、表示が着色表示となる。

【００３９】なお、この場合、反射板４３で反射される
光は、上述した液晶セル３０の偏光作用により非直線偏
光となった光のうちの下偏光板４２を透過した偏光成分
の波長光だけであり、この光のほとんどは液晶セル３０
による偏光作用を受けることなく液晶セル３０を透過す
るが、その波長域の域端の極く僅かな波長成分の光は液
晶セル３０を通る過程で偏光されて上偏光板４１で吸収
されるため、上偏光板４１を透過して出射する着色光
は、反射板４３で反射された着色光より色純度が良くな
った光となる。

【００４０】このように、上記カラー液晶表示装置は、
従来の液晶表示装置のようにカラーフィルタを用いずに
透過光を着色するものであり、したがって着色光の光量
は、表示装置に入射する光のうちの前記着色光となる波
長帯域の光の量とほとんど変わらないから、光の透過率
を高くして、表示の明るさを十分高くすることができ
る。

【００４１】すなわち、従来のカラー液晶表示装置で
は、表示装置に入射する光のうちの着色光となる波長帯
域の光量に比べて、カラーフィルタを通った着色光の光
量がかなり減少するが、上記カラー液晶表示装置では、
このような光量の減少はほとんど生じない。このため、
上記カラー液晶表示装置は、反射型のものであるが、そ
の表示の明るさは十分である。

【００４２】上記カラー液晶表示装置における表示の明
るさについて説明すると、液晶セル３０に一方の極性の
電圧を印加して液晶３８を第１の安定状態に配向させた
とき、つまり液晶分子が偏光板４１，４２の透過軸４１
ａ，４２ａと平行な方向３０ａに配向したときに表示装
置を出射する無着色光の強度Ｉは、次の (1)式で表わさ
れる。

【００４３】Ｉ＝１／２ …… (1) この光強度Ｉは、表示装置に入射する全ての波長光（可
視光）の強度の１／２であり、この光強度Ｉは可視光帯
域の全波長光において均等であるため、上記無着色光
は、高輝度の白色光である。

【００４４】また、液晶セル３０に逆極性の電圧を印加
して液晶３８を第２の安定状態に配向させたとき、つま
り液晶分子が偏光板４１，４２の透過軸４１ａ，４２ａ
に対して斜めに交差する方向３０ｂに配向したときに表
示装置を出射する着色光の強度Ｉは、このときの液晶分
子配向方向３０ａと偏光板４１，２１の透過軸４１ａ，
４２ａとのずれ角を４５°（π／４）とすると、次の
(2)式で表わされる。

【００４５】

【数１】

【００４６】この (2)式で求められる光強度Ｉの値は、
表示装置に入射する全ての波長光（可視光）の強度より
も偏光板４１，４２で吸収された光量分だけ低いが、上
記カラー液晶表示装置では、偏光板４１，４２を透過す
る偏光成分の波長光のほとんどがこれら偏光板４１，４
２で吸収されることなく出射するため、出射光の輝度は
十分高く、したがって、カラーフィルタを用いている従
来のカラー液晶表示装置に比べて、格段に明るい着色表
示が得られる。

【００４７】次に、上記カラー液晶表示装置の表示色に
ついて説明すると、このカラー液晶表示装置の表示色
は、液晶セル３０に一方の極性の電圧を印加して液晶３
８を第１の安定状態に配向させたとき、つまり出射光が
無着色光になるときは“白”であり、液晶セル３０に逆
極性の電圧を印加して液晶３８を第２の安定状態に配向
させたとき、つまり出射光が着色光になるときの表示
は、液晶セル３０の液晶３８の屈折率異方性Δｎと液晶
層厚ｄとの積Δｎ・ｄと、液晶３８を第２の安定状態に
配向させたときの液晶分子配向方向３０ｂと偏光板４
１，４２の透過軸４１ａ，４２ａとのずれ角によって決
まる。

【００４８】次の［表１］は、液晶セル３０の第１の安
定状態における液晶分子配向方向３０ａと上偏光板４１
の透過軸４１ａとのずれ角を０°（平行）、第２の安定
状態における液晶分子配向方向３０ｂと上偏光板４１の
透過軸４１ａとのずれ角を４５０°とするとともに、下
偏光板４２の透過軸４２ａを上偏光板４１の透過軸４１
ａと平行にし、液晶セル３０のΔｎ・ｄの値を変えたカ
ラー液晶表示装置の表示色を示している。なお、この
［表１］において、−Ｅ，＋Ｅは液晶セル３０への印加
電圧であり、ここでは、負の電圧−Ｅを印加したときの
液晶分子配向状態を第１の安定状態とし、正の電圧＋Ｅ
を印加したときの液晶分子配向状態を第２の安定状態と
している。

【００４９】

【表１】

【００５０】この［表１］のように、上記カラー液晶表
示装置の表示色は、液晶セル３０に負の電圧−Ｅを印加
して液晶３８を第１の安定状態に配向させたときは液晶
セル３０のΔｎ・ｄの値にかかわらず常に“白”であ
り、液晶セル３０に正の電圧＋Ｅを印加して液晶３８を
第２の安定状態に配向させたときは、液晶セル３０のΔ
ｎ・ｄの値がΔｎ・ｄ＝４５０ｎｍおよびΔｎ・ｄ＝９
００ｎｍの場合で“青”、Δｎ・ｄ＝１１００ｎｍの場
合で“緑”、Δｎ・ｄ＝１２４０ｎｍの場合で“赤”と
なる。

【００５１】なお、上記第１の実施例では、一対の偏光
板４１，４２をその透過軸４１ａ，４２ａを互いにほぼ
平行にして配置したが、この両偏光板４１，４２は、そ
の透過軸４１ａ，４２ａを互いにほぼ直交させて配置し
てもよい。

【００５２】図３は本発明の第２の実施例による、液晶
セル３０の２つの液晶分子配向方向と一対の偏光板４
１，４２の透過軸とを示す平面図であり、この実施例で
は、下偏光板４２の透過軸４２ａを、上偏光板４１の透
過軸４１ａに対してほぼ直交させ、その他は上記第１の
実施例を同じにしている。

【００５３】この第２の実施例のカラー液晶表示装置
も、強誘電性液晶セル３０の偏光作用によって透過光を
着色するものであり、この実施例では、下偏光板４２の
透過軸４２ａを上偏光板４１の透過軸４１ａとほぼ直交
させているため、液晶セル３０に一方の極性の電圧を印
加して液晶分子を第１の安定状態に配向させたときに、
液晶セル３０を透過して下偏光板４２に入射する直線偏
光の全ての波長光が下偏光板４２で吸収されて表示が黒
表示となり、液晶セル３０に逆極性の電圧を印加して液
晶分子を第２の安定状態に配向させたときに、液晶セル
３０を通った非直線偏光のうち、下偏光板４２を透過す
る偏光成分の波長光だけがこの下偏光板４２を透過し
て、表示が着色表示になる。

【００５４】すなわち、この実施例のカラー液晶表示装
置も、従来の液晶表示装置のようにカラーフィルタを用
いずに透過光を着色するものであり、したがって着色光
の光量は、表示装置に入射する光のうちの前記着色光と
なる波長帯域の光の量とほとんど変わらないから、光の
透過率を高くして、表示の明るさを十分高くすることが
できる。

【００５５】このカラー液晶表示装置における表示の明
るさについて説明すると、この実施例では、一対の偏光
板４１，４２の透過軸４１ａ，４２ａを互いにほぼ直交
させているため、液晶セル３０に一方の極性の電圧を印
加して液晶３８を第１の安定状態に配向させたとき、つ
まり液晶分子が上偏光板４１の透過軸４１ａと平行な方
向３０ａに配向したときの光強度Ｉは、次の (3)式で表
わされる。

【００５６】Ｉ＝０ …… (3) すなわち、このときの表示は明るさが０の黒表示であ
り、光強度Ｉ（Ｉ＝０）は可視光帯域の全波長光におい
て均等であるため、この黒表示は、他の色を帯びない純
色である。

【００５７】また、上記液晶セル３０に逆極性の電圧を
印加して液晶３８を第２の安定状態に配向させたとき、
つまり液晶分子が、上偏光板４１の透過軸４１ａに対し
て斜めに交差する方向３０ｂに配向したときに表示装置
を出射する着色光の強度Ｉは、次の (4)式で表わされ
る。

【００５８】

【数２】

【００５９】この (4)式で求められる光強度Ｉの値は、
表示装置に入射する全ての波長光（可視光）の強度より
も偏光板４１，４２で吸収された光量分だけ低いが、上
記カラー液晶表示装置では、偏光板４１，４２を透過す
る偏光成分の波長光のほとんどがこれら偏光板４１，４
２で吸収されることなく出射するため、出射光の輝度は
十分高く、したがって、カラーフィルタを用いている従
来のカラー液晶表示装置に比べて、格段に明るい着色表
示が得られる。

【００６０】次に、上記第２の実施例によるカラー液晶
表示装置の表示色について説明すると、次の［表２］
は、液晶セル３０の第１の安定状態における液晶分子配
向方向３０ａと上偏光板４１の透過軸４１ａとのずれ角
を０°（平行）、第２の安定状態における液晶分子配向
方向３０ｂと上偏光板４１の透過軸４１ａとのずれ角を
４５０°とするとともに、下偏光板４２の透過軸４２ａ
を上偏光板４１の透過軸４１ａに対して直交させ、液晶
セル３０のΔｎ・ｄの値を変えたカラー液晶表示装置の
表示色を示している。

【００６１】

【表２】

【００６２】この［表２］のように、上記カラー液晶表
示装置の表示色は、液晶セル３０に負の電圧−Ｅを印加
して液晶３８を第１の安定状態に配向させたときは液晶
セル３０のΔｎ・ｄの値にかかわらず常に“黒”であ
り、液晶セル３０に正の電圧＋Ｅを印加して液晶３８を
第２の安定状態に配向させたときは、液晶セル３０のΔ
ｎ・ｄの値がΔｎ・ｄ＝４５０ｎｍの場合で“青”、Δ
ｎ・ｄ＝９００ｎｍの場合で“緑”、Δｎ・ｄ＝１１０
０ｎｍの場合で“赤”、Δｎ・ｄ＝１２４０ｎｍの場合
で“青”となる。

【００６３】なお、上記第１および第２の実施例では、
液晶セル３０の第２の安定状態における液晶分子配向方
向３０ｂと上偏光板４１の透過軸４１ａとのずれ角を４
５°としたが、このずれ角は、４５°に限らず任意に選
ぶことができる。ただし、上述した着色効果を十分に得
るには、前記ずれ角をほぼ４５°（例えば４５±５°）
とするのが望ましい。

【００６４】また、上記各実施例では、液晶セル３０の
第１の安定状態における液晶分子配向方向３０ａを上偏
光板４１の透過軸４１ａとほぼ平行にしたが、液晶セル
３０は、第２の安定状態における液晶分子配向方向３０
ｂを上偏光板４１の透過軸４１ａとほぼ平行にして配置
してもよい。さらに、本発明は、反射型に限らず、透過
型のカラー液晶表示装置にも適用することができる。

【００６５】

【発明の効果】本発明のカラー液晶表示装置は、透明電
極を形成した一対の透明基板間に強誘電性液晶を封入し
た強誘電性液晶セルをはさんで一対の偏光板を配置して
なり、かつ、前記一対の偏光板のうち一方の偏光板の透
過軸を、前記液晶セルの強誘電性液晶が第１と第２の安
定状態のうちいずれか一方の安定状態に配向したときの
液晶分子配向方向とほぼ平行にし、他方の偏光板の透過
軸を、前記一方の偏光板の透過軸に対してほぼ平行にす
るかあるいはほぼ直交させたものであるから、カラーフ
ィルタを用いずに透過光を着色して光の透過率を高く
し、表示の明るさを十分高くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例によるカラー液晶表示装
置の断面図。

【図２】本発明の第１の実施例による強誘電性液晶セル
の２つの液晶分子配向方向と一対の偏光板の透過軸とを
示す平面図。

【図３】本発明の第２の実施例による強誘電性液晶セル
の２つの液晶分子配向方向と一対の偏光板の透過軸とを
示す平面図。

【図４】従来のカラー液晶表示装置の断面図。

【符号の説明】

３０…強誘電性液晶セル ３０ａ…第１の安定状態における液晶分子配向方向 ３０ｂ…第２の安定状態における液晶分子配向方向 ３１，３２…透明基板 ３３，３４…透明電極 ３５，３６…配向膜 ３８…強誘電性液晶 ４１…上偏光板 ４１ａ…透過軸 ４２…下偏光板 ４２ａ…透過軸 ４３…反射板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透明電極を形成した一対の透明基板間に強
   誘電性液晶を封入した強誘電性液晶セルをはさんで一対
   の偏光板を配置してなり、かつ、前記一対の偏光板のう
   ち一方の偏光板の透過軸を、前記液晶セルの強誘電性液
   晶が第１と第２の安定状態のうちいずれか一方の安定状
   態に配向したときの液晶分子配向方向とほぼ平行にし、
   他方の偏光板の透過軸を、前記一方の偏光板の透過軸に
   対してほぼ平行にするかあるいはほぼ直交させたことを
   特徴とするカラー液晶表示装置。
2. 【請求項２】強誘電性液晶の第１の安定状態における液
   晶分子配向方向と第２の安定状態における液晶分子配向
   方向とのなす角度はほぼ４５°であることを特徴とする
   請求項１に記載のカラー液晶表示装置。