以下図面を参照して、本発明に係る液晶表示装置100について説明する。
図1に、各実施例に共通する液晶表示装置100の概略ブロック構成図を示す。
液晶表示装置100は、液晶パネル20、制御部21、駆動電圧波形制御回路22、液晶パネル20中に配置される各走査電極13aに電圧波形を印加するための走査駆動電圧波形発生回路23、液晶パネル20中に配置される各信号電極13bに電圧波形を印加するための信号駆動電圧波形発生回路24、太陽電池や2次電池等から構成される電源部25、表示データ記憶部27、RAM30、ROM31、時計回路50等を有するように構成した。
また、液晶表示装置100は、液晶パネル20の背面側に配置した補助光源60、補助光源60のON/OFFを制御するための補助光源制御回路61、ユーザが補助光源60のON/OFFを設定するための補助光源スイッチ62を有するように構成した。なお、図1には明記していないが、液晶表示装置100の各構成要素は電源部25から電力供給を受けることできるように構成した。
制御部21は、RAM30又はROM31に予め記憶されたプログラムに従い、時計回路50から受信した時刻情報等を用いて表示データを作成し、表示データ記憶部27に記憶し、時刻情報と対応した表示データが液晶パネル20に表示されるように、駆動電圧波形制御回路22に制御信号を出力するように構成した。
また、制御部21は、液晶表示装置100の周囲が暗い場合等に、ユーザが補助光源スイッチ62をONすると、補助光源制御回路61を制御し、補助光源60をONするように制御を行うように構成した。
さらに、制御部21は、後述するように、補助光源スイッチ62がONされたことを検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、強誘電性液晶10の極性反転を行い、補助光源60のON/OFFに拘らず、液晶パネル20の表示が反転しないように制御を行うように構成した。
第1の実施例について説明する。
図2に、第1の実施例に係る液晶パネル20の断面図と補助光源60とを示す。
第1の実施例に係る液晶パネル20は、第1の透明ガラス基板11a、第2の透明ガラス基板11b、第1の透明ガラス基板11a上に設けられた走査電極13a、第2の透明ガラス基板11b上に設けられた信号電極13b、走査電極13a上に塗布され且つラビング処理された高分子配向膜14a、信号電極13b上に塗布され且つラビング処理された高分子配向膜14b、シール部材12、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に挟持されシール部材12によって封入された強誘電性液晶10、第1の透明ガラス基板11aの外側に設けられた反射型偏光板16、及び第2の透明ガラス基板11bの外側に設けられた偏光板15等から構成した。
強誘電性液晶10としては、クラリアント社製の「Felix 501」を用い、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間にほぼ1.7μmの厚さで挟持した。
反射型偏光板16は、ポリエステル樹脂等の多層フィルムから構成され、それぞれ直交する透過軸と反射軸を有し、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する機能を有する。
また、図2中、矢印Aは、外部から液晶パネル20へ入射する外光を示し、矢印Bは補助光源60から液晶パネルへ入射する光を示している。
液晶パネル20の反射型偏光板16の下部には、低消費電力と薄さを考慮して、有機ELセルを発光素子として用いたバックライトを補助光源60として配置した。なお、他の発光素子を用いた補助光源を用いることもできる。
図2では、便宜上5本の走査電極13aを示したが、本実施形態では、透明導電膜パターンにより構成した40本の走査電極13aを液晶パネル20の全体に渡って配置した。また。図2には明記していないが、透明導電膜パターンにより構成した50本の信号電極13bを、走査電極13aと直行するように液晶パネル20の全体に渡って配置した。したがって、走査電極13aと信号電極13bが交差する各ポイントが、液晶パネル20の各画素(2000画素)となる。
図3に、第1の実施例に係る液晶パネル20における偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
図3に示すように、偏光板15の透過軸(a1)と反射型偏光板16の透過軸(b1)が平行になるように配置した。また、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸(b1)と一致させるように配置した。さらに、第1の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を、図3に示すように、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向からコーン角度θ1だけ傾いた位置、即ち液晶コーンに沿った他の位置とした。
なお、第1の実施例における強誘電性液晶10では、コーン角度を(θ1)ほぼ45°となるように設定した。これは、強誘電性液晶が複屈折性を利用した場合に、強誘電性液晶に入射する光量(Iin)と出射する光量(Iout)との関係が一般に以下の式(1)で表され、コーン角度(θ1)が45°の時に、出射光量(Iout)が最大となるからである。
Iout=Iin・sin22θ・sin2(R/λ)π (1)
ここで、Rはリタデーションを示し、λは強誘電性液晶への入射光の波長を示している。
なお、コーン角度(θ1)を45°としても、リタデーションによる減衰されるため、複屈折性を利用した場合には、IoutはIinとは等しくならない。
図4に、第1の実施例に係る液晶パネル20における強誘電性液晶10への印加電圧と光透過率との関係を示す。
図4(a)は補助光源60がOFFしている状態を示し、図4(b)は補助光源60がONしている状態を示している。また、それぞれのグラフの横軸は液晶パネル20の走査電極13aを基準として、走査電極13aと信号電極13bとの間に印加される印加電圧(V)(即ち、強誘電性液晶10に印加される印加電圧)を示し、縦軸は液晶パネル20の光透過率を示している。
図4(a)を用いて補助光源60をOFFした状態について説明する。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸(b1)の何れとも一致しなくなり、透過軸(a1)に対してθ1の角度(ほぼ45°)を持って傾く。液晶パネル20に入射する偏光板15の透過軸(a1)と平行な振動面を有する外光Aは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、反射型偏光板16の透過軸(b1)とほぼ垂直な振動面を有するようになり、反射型偏光板16によって反射される(反射状態)。したがって、補助光源60をOFFした場合、第1の強誘電状態では、液晶パネル20に入射した光が、反射型偏光板16で反射され、再び強誘電性液晶10に入射し、再度強誘電性液晶10の複屈折性により光の振動方向が回転され、偏光板15の透過軸(a1)と平行な振動面を有するようになるため、光が偏光板15を透過して白表示となる。この時の光透過率を、図4(a)において、Th1−OFFとする。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸(b1)と平行となるため、液晶パネル20に入射する透過軸(a1)と平行な振動面を有する外光Aは、液晶パネル20を透過して(透過状態)、補助光源60の表面から反射される。補助光源60の表面は通常暗色であるので、補助光源60をOFFした場合、第2の強誘電状態では、液晶パネル20に入射した光が、補助光源60の表面で反射されて、液晶パネル20上では黒表示となる。この時の光透過率を、図4(a)において、Tl1−OFFとする。
このように、補助光源60をOFFした場合、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は白表示を維持する。また、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は黒表示を維持する。
図4(b)を用いて補助光源60をONした状態について説明する。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸(b1)の何れとも一致しなくなる。補助光源60から液晶パネル20に入射する反射型偏光板16の透過軸(b1)と平行な振動面を有する光Bは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、偏光板15の透過軸(a1)とほぼ垂直な振動面を有するようになり、偏光板15によって吸収される。したがって、補助光源60をONした場合、第1の強誘電状態では、補助光源60からの光は、偏光板15で吸収されて、液晶パネル20上では黒表示となる。この時の光透過率を、図4(b)において、Tl1−ONとする。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸bと平行となるため、補助光源60から液晶パネル20に入射する透過軸(b1)と平行な振動面を有する光Bは、液晶パネル20を透過する(透過状態)。したがって、補助光源60をONした場合、第2の強誘電状態では、補助光源60から液晶パネル20に入射する光が、液晶パネル20上で観測されて、液晶パネル20上では白表示となる。この時の光透過率を、図4(b)において、Th1−ONとする。
このように、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は黒表示を維持する。同様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、白表示を維持する。
図4(a)及び(b)から理解されるように、第1の実施例に係る液晶パネル20では、補助光源60をONとOFFを切換えると、強誘電性液晶10が同じ強誘電状態であっても、黒/白表示が反転されてしまう。例えば、補助光源60をOFFした状態で、第1の強誘電状態に維持されることによって白表示を行っている液晶パネル20のある部分は(図4(a)の第1の強誘電状態)、補助光源60をONした状態では黒表示となってしまう(図4(b)の第1の強誘電状態)。そこで、本実施例では、補助光源60のONとOFFとの切換えに応じて、強誘電性液晶10を極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)させるように制御して、液晶パネル20の黒/白表示が変化しないように制御を行う。
ところで、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示(図4(a)のTh1−OFF)は、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示(図4(b)のTh1−ON)よりも、若干光透過率が低い(即ち、白表示が若干グレーよりとなる)。これは、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しており、若干反射型偏光板16の透過軸(b1)とほぼ垂直な振動面を有するように補正されない入射光が発生し、反射型偏光板16によって反射されなくなり、光透過率が低下するためである。
また、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示(図4(b)のTl1−ON)は、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示(図4(a)のTl1−OFF)よりも、若干光透過率が高い(即ち、黒表示が若干グレーよりとなる)。これは、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しており、若干偏光板15の透過軸(a1)とほぼ垂直な振動面を有するよう補正されない入射光が発生し、液晶パネル20側に漏れ出てしまい、光透過率が増加するためである。
したがって、第1の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をOFFした状態で、黒表示(図4(a)のTl1−OFF)を非常にきれいに表示することができるので(光透過率がほぼゼロに近い黒表示を行うことができるので)、補助光源60を通常利用せずに、外部光を利用して表示を行うことが多い反射重視の腕時計等の表示部に利用するのに適している。腕時計等で補助光源60を通常利用しないのは、電力の消費をさけるためである。
図5に、第1の実施例に係る液晶パネル20を腕時計に利用した例を示す。
図5(a)は、時計1において、補助光源60を利用せずに、液晶パネル20が、外部光を利用して表示を行っている例を示している。外部が暗くなった場合、ユーザが時計1に配置されている補助光源スイッチ62をONすると、図5(a)において液晶パネル20の裏側に配置されている補助光源60がONする。
前述したように、単に補助光源60をONさせると、黒/白表示が反転してしまい、図5(b)に示すように表示されてしまう。そこで、時計1では、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)を行い、液晶パネル20の表示を図5(a)に示すように制御した。
なお、前述したように、補助光源60をONした状態における黒表示(図4(b)のTl1−ON)は、若干、補助光源60をOFFした状態での黒表示(図4(a)のTl1−OFF)より光透過率が増加してしまうが、補助光源60を利用している状態が通常は時計の周囲が暗い場合が多いので大きな問題とはならない。
図6に、液晶パネル20を駆動するための駆動電圧波形の一例を示す。
図6(a)は、1本の走査電極13aに印加される走査電圧波形の一例を示し、図6(b)は1本の信号電極13bに印加される信号電圧波形の一例を示し、図6(c)は(a)及び(b)の合成電圧波形を示している。
図6には2フレーム分の駆動電圧波形が示されており、図中「ON」は図4(a)で図示した補助光源「OFF」時における白表示、「OFF」は同様に図4(a)における黒表示を示している。ここでは、1回の表示データに基づく表示を実行するために1つの走査期間を利用している。1フレームはリセット期間(Rs)及び走査期間から成り、1走査期間は選択期間(Se)及び非選択期間(NSe)から成る。
リセット期間(Rs)において、強誘電性液晶10は、直前の表示状態に拘らず、前半は白表示(透過状態)となる第1の強誘電状態に、後半は黒表示(非透過状態)となる第2の強誘電状態に、強制的にリセットされる。リセット期間(Rs)において、走査電圧波形(a)は前半では+20Vが、後半では−20Vが印加されている。また、信号電圧波形(b)は所定間隔で+5Vと−5Vの電圧が繰り返し印加されることとした。この結果、強誘電性液晶10の画素には、合成電圧波形(c)に応じた電圧、即ちリセット期間(Rs)の前半に正の閾値V2(図4(a)参照)以上の電圧が印加されて第1の強誘電状態に、後半に負の閾値V4(図4(a)参照)以下の電圧が印加されて第2の強誘電状態にリセットされる。リセット期間を設けることによって、強誘電性液晶を用いた液晶パネルにおいて、良好な表示を持続することが可能となる。
補助光源60をOFFした状態で、図6に示すような駆動電圧が印加された場合、第1フレームでは、第1の強誘電状態にセットされて白表示を行い、第2フレームでは、第2の強誘電状態にセットされて黒表示を行う場合が示されることとなる。
第2の実施例について説明する。
第2の実施例に係る液晶パネル20の断面図及び補助光源60は、偏光板15及び反射型偏光板16の配置以外は、図2に示した構成と同様であるので、説明を省略する。
第2の実施例においても、強誘電性液晶10としては、AZマテリアルズ社製の「Felix 501」を用い、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間にほぼ1.7μmの厚さで挟持した。
図7に、第2の実施例に係る液晶パネル20における偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
図7に示すように、偏光板15の透過軸(a2)と反射型偏光板16の透過軸(b2)が平行になるように配置した。また、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸(b2)と一致させるように配置した。さらに、第1の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を、図7に示すように、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向からコーン角度θ2だけ傾いた位置、即ち液晶コーンに沿った他の位置とした。
なお、第2の実施例における強誘電性液晶10では、コーン角度(θ2)が45°以外となるように設計した。前述した式(1)に示されるように、コーン角度(θ2)が45°でないため、コーン角度(θ2)による減衰及びリタデーションによる減衰が相乗されて、複屈折性を利用した場合には、IoutはIinとは等しくならない。
図8に、第2の実施例に係る液晶パネル20における強誘電性液晶10への印加電圧と光透過率との関係を示す。
図8(a)は補助光源60がOFFしている状態を示し、図8(b)は補助光源60がONしている状態を示している。また、それぞれのグラフの横軸は液晶パネル20の走査電極13aを基準として、走査電極13aと信号電極13bとの間に印加される印加電圧(V)(即ち、強誘電性液晶10に印加される印加電圧)を示し、縦軸は液晶パネル20の光透過率を示している。
図8(a)を用いて補助光源60をOFFした状態について説明する。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸(b2)の何れとも一致しなくなり、透過軸(a2)に対してθ2の角度(45°以外)を持って傾く。液晶パネル20に入射する偏光板15の透過軸(a2)と平行な振動面を有する外光Aは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、反射型偏光板16の透過軸(b2)と垂直な方向を有する振動面を有するようになり、反射型偏光板16によって反射される(反射状態)。したがって、補助光源60をOFFした場合、第1の強誘電状態では、液晶パネル20に入射した光が、反射型偏光板16で反射されて、液晶パネル20上では白表示となる。この時の光透過率を、図8(a)において、Th2−OFFとする。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸(b2)と平行となるため、液晶パネル20に入射する透過軸(a2)と平行な振動面を有する外光Aは、液晶パネル20を透過して(透過状態)、補助光源60の表面から反射される。補助光源60の表面は通常暗色であるので、補助光源60をOFFした場合、第2の強誘電状態では、液晶パネル20に入射した光が、補助光源60の表面で反射されて、液晶パネル20上では黒表示となる。この時の光透過率を、図8(a)において、Tl2−OFFとする。
このように、補助光源60をOFFした場合、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は白表示を維持する。また、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は黒表示を維持する。
図8(b)を用いて補助光源60をONした状態について説明する。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸(b2)の何れとも一致しなくなる。補助光源60から液晶パネル20に入射する反射型偏光板16の透過軸(b2)と平行な振動面を有する光Bは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、偏光板15の透過軸(a2)と垂直な方向の振動面を有するようになり、偏光板15によって吸収される。したがって、補助光源60をONした場合、第1の強誘電状態では、補助光源60からの光は、偏光板15で吸収されて、液晶パネル20上では黒表示となる。この時の光透過率を、図8(b)において、Tl2−ONとする。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸bと平行となるため、補助光源60から液晶パネル20に入射する透過軸(b2)と平行な振動面を有する光Bは、液晶パネル20を透過する(透過状態)。したがって、補助光源60をONした場合、第2の強誘電状態では、補助光源60から液晶パネル20に入射する光が、液晶パネル20上で観測されて、液晶パネル20上では白表示となる。この時の光透過率を、図8(b)において、Th2−ONとする。
このように、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は黒表示を維持する。同様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、白表示を維持する。
図8(a)及び(b)から理解されるように、第2の実施例に係る液晶パネル20では、補助光源60をONとOFFを切換えると、強誘電性液晶10が同じ強誘電状態であっても、黒/白表示が反転されてしまう。そこで、本実施例では、補助光源60のONとOFFとの切換えに応じて、強誘電性液晶10を極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)させるように制御して、液晶パネル20の黒/白表示が変化しないように制御を行う。
ところで、第2の実施例において補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示(図8(a)のTh2−OFF)は、第1の実施例において補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示(図4(a)のTh1−OFF)よりも、さらに光透過率が低い(即ち、白表示がさらにグレーよりとなる)。これは、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているためである。前述したように、第2の実施例では、コーン角度を45°以外に設計していることから、反射型偏光板16の透過軸(b2)とほぼ垂直な振動面を有するように補正されない入射光がより発生して、反射型偏光板16によって反射されなくなり、より光透過率が低下するためである。
また、第2の実施例における補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示(図8(b)のTl2−ON)は、第1の実施例における補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示(図4(b)のTl1−ON)よりも、さらに光透過率が高い(即ち、黒表示がさらにグレーよりとなる)。これは、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているためである。前述したように、第2の実施例では、コーン角度を45°に設定していないことから、偏光板15の透過軸(a2)とほぼ垂直な振動面を有するよう補正されない入射光がより発生し、液晶パネル20側に漏れ出てしまい、より光透過率が増加するためである。
しかしながら、第2の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をOFFした状態で、黒表示(図8(a)のTl1−OFF)を非常にきれいに表示することができるので(光透過率がほぼゼロに近い黒表示を行うことができるので)、補助光源60を通常利用せずに、外部光を利用して表示を行うことが多い反射重視の時計等に利用するのに適している。
したがって、第2の実施例に係る液晶パネル20は、図5に示す時計1に実施例1と同様に用いることができる。第2の実施例においても、第1の実施例と同様に、単に補助光源60をONさせると、黒/白表示が反転してしまい、図5(b)に示すように表示されてしまうので、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転を行い、液晶パネル20の表示を図5(a)に示すように制御した。
なお、前述したように、補助光源60をONした状態における黒表示(図8(b)のTl2−ON)は、補助光源60をOFFした状態での黒表示(図8(a)のTh2−OFF)より、かなり光透過率が増加してしまうが、補助光源60を利用している状態が通常は時計の周囲が暗い場合が多いので大きな問題とはならない。
また、第2の実施例に係る液晶パネル20を駆動するための駆動電圧波形も、図6に示す第1の実施例に関して示すものと同様であるので、説明を省略する。
第3の実施例について説明する。
第3の実施例に係る液晶パネル20の断面図及び補助光源60は、偏光板15及び反射型偏光板16の配置以外は、図2に示した構成と同様であるので、説明を省略する。
第3の実施例においても、強誘電性液晶10としては、AZマテリアルズ社製の「Felix 501」を用い、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間にほぼ1.7μmの厚さで挟持した。
図9に、第3の実施例に係る液晶パネル20における偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
図9に示すように、偏光板15の透過軸(a3)と反射型偏光板16の透過軸(b3)が垂直になるように配置した。また、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a3)と一致させるように配置した。さらに、第1の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を、図9に示すように、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向からコーン角度θ3だけ傾いた位置、即ち液晶コーンに沿った他の位置とした。
なお、第3の実施例における強誘電性液晶10では、コーン角度をθ3=ほぼ45°となるように設定した。式(1)を用いて前述したように、コーン角度(θ3)が45°の時に、出射光量(Iout)が最大となるが、リタデーションによる減衰のため、複屈折性を利用した場合には、IoutはIinとは等しくならない。
図10に、第3の実施例に係る液晶パネル20における強誘電性液晶10に印加する電圧の各極性と光透過率との関係を示す。
図10(a)は補助光源60がOFFしている状態を示し、図10(b)は補助光源60がONしている状態を示している。また、それぞれのグラフの横軸は液晶パネル20の走査電極13aを基準として、走査電極13aと信号電極13bとの間に印加される印加電圧(V)(即ち、強誘電性液晶10に印加される印加電圧)を示し、縦軸は液晶パネル20の光透過率を示している。
図10(a)を用いて補助光源60をOFFした状態について説明する。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a3)及び反射型偏光板16の透過軸(b3)の何れとも一致しなくなり、透過軸(a3)に対してθ3(ほぼ45°)の角度を持って傾く。液晶パネル20に入射する偏光板15の透過軸(a1)と平行な振動面を有する外光Aは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、反射型偏光板16の透過軸(b3)とほぼ平行な振動面を有するようになり、液晶パネル20を透過して(透過状態)、補助光源60の表面から反射される。補助光源60の表面は通常暗色であるので、補助光源60をOFFした場合、第1の強誘電状態では、液晶パネル20に入射した光が、補助光源60の表面で反射されて、液晶パネル20上では黒表示となる。この時の光透過率を、図10(a)において、Tl3−OFFとする。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a3)と平行となるため、液晶パネル20に入射する透過軸(a1)と平行な振動面を有する外光Aは、反射型偏光板16の透過軸(b3)とほぼ垂直な振動面を有するため、反射型偏光板16によって反射される(反射状態)。したがって、補助光源60をOFFした場合、第2の強誘電状態では、液晶パネル20に入射した光が、反射型偏光板16で反射されて、液晶パネル20上では白表示となる。この時の光透過率を、図10(a)において、Th3−OFFとする。
このように、補助光源60をOFFした場合、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は黒表示を維持する。また、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は白表示を維持する。
図10(b)を用いて補助光源60をONした状態について説明する。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a3)及び反射型偏光板16の透過軸(b3)の何れとも一致しなくなる。補助光源60から液晶パネル20に入射する反射型偏光板16の透過軸(b3)と平行な振動面を有する光Bは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、偏光板15の透過軸(a3)とほぼ平行な振動面を有するようになり、偏光板15を透過して(透過状態)、液晶パネル20上で観測される。したがって、補助光源60をONした場合、第1の強誘電状態では、補助光源60からの光は、液晶パネル20上では白表示となる。この時の光透過率を、図10(b)において、Th3−ONとする。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a3)と平行となる。補助光源60から液晶パネル20に入射する透過軸(b3)と平行な振動面を有する光Bは、透過軸(a3)と垂直な振動面を有するため、偏光板15によって吸収され(反射状態)、液晶パネル20の表面で観測されない。したがって、補助光源60をONした場合、第2の強誘電状態では、液晶パネル20上では黒表示となる。この時の光透過率を、図10(b)において、Tl3−ONとする。
このように、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は白表示を維持する。同様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、黒表示を維持する。
図10(a)及び(b)から理解されるように、第3の実施例に係る液晶パネル20では、補助光源60をONとOFFを切換えると、強誘電性液晶10が同じ強誘電状態であっても、黒/白表示が反転されてしまう。そこで、本実施例では、補助光源60のONとOFFとの切換えに応じて、強誘電性液晶10を極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)させるように制御して、液晶パネル20の黒/白表示が変化しないように制御を行う。
ところで、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示(Tl3−OFF)は、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示(Tl3−ON)よりも、若干光透過率が高い(即ち、黒表示が若干グレーよりとなる)。これは、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しており、若干反射型偏光板16の透過軸(b3)とほぼ平行な振動面を有するよう補正されない外向光Aが発生し、反射型偏光板16で反射されて液晶パネル20側に漏れ出てしまい、光透過率が増加するためである。
また、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示(Th3−ON)は、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示(Th3−OFF)よりも、若干光透過率が低い(即ち、白表示が若干グレーよりとなる)。これは、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しており、若干偏光板15の透過軸(a3)とほぼ平行な振動面を有するように補正されない光Bが発生し、偏光板15に吸収されてしまい、光透過率が低下するためである。
したがって、第3の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をONした状態で、黒表示を非常にきれいに表示することができるので(光透過率がほぼゼロに近い黒表示を行うことができるので)、補助光源60を常時利用する場合が多い透過重視の携帯電話用の表示等に利用するのに適している。
図11に、第3の実施例に係る液晶パネル20を携帯電話に利用した例を示す
図11(a)は、携帯電話2において、補助光源60を利用して、液晶パネル20が、表示を行っている例を示している。なお、省電力のために一定期間、携帯電話が操作されない場合等には補助光源60がOFFされるが、ユーザが携帯電話2に配置されている補助光源スイッチ62をONすると、図11(a)において液晶パネル20の裏側に配置されている補助光源60がONする。
前述したように、単に補助光源60をONさせると、黒/白表示が反転してしまい、図11(b)に示すように表示されてしまう。そこで、携帯電話2では、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転を行い、液晶パネル20の表示を図11(a)に示すように制御する。
なお、前述したように、補助光源60をOFFした状態における黒表示(図11(a)の第1の強誘電状態)は、若干、補助光源60をONした状態での黒表示(図11(b)の第2の強誘電状態)より光透過率が増加してしまうが、補助光源60がOFFされている状態は、通常携帯電話を利用していない状態であるため、大きな問題とはならない。
また、第3の実施例に係る液晶パネル20を駆動するための駆動電圧波形も、図6に示す第1の実施例に関して示すものと同様であるので、説明を省略する。
ところで、複屈折性を利用した表示の場合、液晶パネル20の基板間の微細なギャップの影響を受けやすく、表示ムラが多く現れてしまう。例えば、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態にした場合の液晶パネル20における黒表示(Tl3−OFF)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているので、図11(b)に示す液晶パネル20のように、表示の背景を黒とすると、ムラが顕著になり表示の質が悪くなる。これに対して、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第2の強誘電状態にした場合の液晶パネル20における白表示(Th3−OFF)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しておらず、複屈折性を利用した場合と比較して表示ムラが少ない。
即ち、偏光板15の透過軸(a3)と反射型偏光板16の透過軸(b3)を垂直になるように配置し、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a3)と平行に配置し、且つ背景を白で表示し文字を黒で表示するように設定すると(図11(a)に示す液晶パネル20参照)、ムラの無い良好な表示を行うことが可能となる。したがって、第3の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源をOFFした状態で、ムラの無い良好な白表示を行うことができるので、補助光源60を常時利用しない場合の多い反射表示を重視するような表示にも適している。
第4の実施例について説明する。
第4の実施例に係る液晶パネル20の断面図及び補助光源60は、偏光板15及び反射型偏光板16の配置以外は、図2に示した構成と同様であるので、説明を省略する。
第4の実施例においても、強誘電性液晶10としては、AZマテリアルズ社製の「Felix 501」を用い、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間にほぼ1.7μmの厚さで挟持した。
図12に、第4の実施例に係る液晶パネル20における偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
図12に示すように、偏光板15の透過軸(a4)と反射型偏光板16の透過軸(b4)が垂直になるように配置した。また、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a4)と一致させるように配置した。さらに、第1の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を、図12に示すように、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向からコーン角度θ4だけ傾いた位置、即ち液晶コーンに沿った他の位置とした。
なお、第4の実施例における強誘電性液晶10では、コーン角度(θ4)が45°とならない場合を例としている。前述した式(1)に示されるように、コーン角度(θ4)が45°でないため、コーン角度(θ4)による減衰及びリタデーションによる減衰が相乗されて、複屈折性を利用した場合には、IoutはIinとは等しくならない。
図13に、第4の実施例に係る液晶パネル20における強誘電性液晶10の各極性と光透過率との関係を示す。
図13(a)は補助光源60がOFFしている状態を示し、図13(b)は補助光源60がONしている状態を示している。また、それぞれのグラフの横軸は液晶パネル20の走査電極13aを基準として、走査電極13aと信号電極13bとの間に印加される印加電圧(V)(即ち、強誘電性液晶10に印加される印加電圧)を示し、縦軸は液晶パネル20の光透過率を示している。
図13(a)を用いて補助光源60をOFFした状態について説明する。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a4)及び反射型偏光板16の透過軸(b4)の何れとも一致しなくなり、透過軸(a4)に対してθ4の角度を持って傾く。液晶パネル20に入射する偏光板15の透過軸(a4)と平行な振動面を有する外光Aは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、反射型偏光板16の透過軸(b4)と平行な方向を有する振動面を有するようになり、液晶パネル20を透過して(透過状態)、補助光源60の表面から反射される。補助光源60の表面は通常暗色であるので、補助光源60をOFFした場合、第1の強誘電状態では、液晶パネル20上で黒表示となる。この時の光透過率を、図13(a)において、Tl4−OFFとする。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a4)と平行となるため、液晶パネル20に入射する透過軸(a2)と平行な振動面を有する外光Aは、反射型偏光板16の透過軸(b4)と垂直な振動面を有し、反射型偏光板16によって反射される(反射状態)。したがって、補助光源60をOFFした場合、第2の強誘電状態では、液晶パネル20に入射した外光Aが、反射型偏光板16で反射されて、液晶パネル20上では白表示となる。この時の光透過率を、図13(a)において、Th4−OFFとする。
このように、補助光源60をOFFした場合、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は黒表示を維持する。また、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は白表示を維持する。
図13(b)を用いて補助光源60をONした状態について説明する。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a4)及び反射型偏光板16の透過軸(b4)の何れとも一致しなくなる。補助光源60から液晶パネル20に入射する反射型偏光板16の透過軸(b4)と平行な振動面を有する光Bは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、偏光板15の透過軸(a4)と平行な方向の振動面を有するようになり、液晶パネル20を透過する(透過状態)。したがって、補助光源60をONした場合、第1の強誘電状態では、補助光源60から液晶パネル20に入射する光Bが、液晶パネル20上で観測されて、液晶パネル20上では白表示となる。この時の光透過率を、図13(b)において、Th4−ONとする。
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a4)と平行となるため、補助光源60から液晶パネル20に入射する透過軸(b4)と平行な振動面を有する光Bは、偏光板15の透過軸(a4)と垂直な振動面を有し、偏光板15によって吸収される。したがって、補助光源60をONした場合、第2の強誘電状態では、補助光源60からの光は、偏光板15で吸収されて、液晶パネル20上では黒表示となる。この時の光透過率を、図13(b)において、Tl4−ONとする。
このように、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は白表示を維持する。同様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、黒表示を維持する。
図13(a)及び(b)から理解されるように、第4の実施例に係る液晶パネル20では、補助光源60をONとOFFを切換えると、強誘電性液晶10が同じ強誘電状態であっても、黒/白表示が反転されてしまう。そこで、本実施例では、補助光源60のONとOFFとの切換えに応じて、強誘電性液晶10を極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)させるように制御して、液晶パネル20の黒/白表示が変化しないように制御を行う。
ところで、第4の実施例において補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示(図13(a)のTl4−OFF)は、第3の実施例において補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示(図10(a)のTl3−OFF)よりも、さらに光透過率が高い(即ち、黒表示がさらにグレーよりとなる)。これは、第4の実施例において補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における黒表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているためである。前述したように、第4の実施例では、コーン角度を45°に設定していないことから、反射型偏光板16の透過軸(b4)とほぼ平行な振動面を有するように補正されない外光Aがより発生して、反射型偏光板16によって反射されてしまい、より光透過率が増加するためである。
また、第4の実施例における補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示(図13(b)のTh4−ON)は、第3の実施例における補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示(図10(b)のTh3−ON)よりも、さらに光透過率が低い(即ち、白表示がさらにグレーよりとなる)。これは、第4の実施例における補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態に反転させた場合の液晶パネル20における白表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているためである。前述したように、第4の実施例では、コーン角度を45°に設定していないことから、偏光板15の透過軸(a4)とほぼ平行な振動面を有するよう補正されない光Bがより発生し、偏光板15によって吸収されてしまい、より光透過率が減少するためである。
しかしながら、第4の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をONした状態で、黒表示(図13(b)のTl4−ON)を非常にきれいに表示することができるので(光透過率がほぼゼロに近い黒表示を行うことができるので)、補助光源60を常時利用する場合が多い透過重視の携帯電話用の表示等に利用するのに適している。
したがって、第4の実施例に係る液晶パネル20は、図11(a)に示す携帯電話2に実施例3と同様に用いることができる。第4の実施例においても、第3の実施例と同様に、単に補助光源60をONさせると、黒/白表示が反転してしまい、図11(b)に示すように表示されてしまうので、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転を行い、液晶パネル20の表示を図11(a)に示すように制御した。
なお、前述したように、補助光源60をOFFした状態における黒表示(図13(a)のTl4−OFF)は、補助光源60をONした状態での黒表示(図13(b)のTl4−ON)より、さらに光透過率が増加してしまうが、補助光源60がOFFされている状態は、通常携帯電話を利用していない状態であるため、大きな問題とはならない。
また、第4の実施例に係る液晶パネル20を駆動するための駆動電圧波形も、図6に示す第1の実施例に関して示すものと同様であるので、説明を省略する。
ところで、複屈折性を利用した表示の場合、液晶パネル20の基板間の微細なギャップの影響を受けやすく、表示ムラが多く現れてしまう。例えば、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の強誘電状態にした場合の液晶パネル20における黒表示(Tl4−OFF)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているので、図11(b)に示す液晶パネル20のように、表示の背景を黒とすると、ムラが顕著になり表示の質が悪くなる。これに対して、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第2の強誘電状態にした場合の液晶パネル20における白表示(Th4−OFF)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しておらず、複屈折性を利用した場合と比較して表示ムラが少ない。
即ち、偏光板15の透過軸(a4)と反射型偏光板16の透過軸(b4)を垂直になるように配置し、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a4)と平行に配置し、且つ背景を白で表示し文字を黒で表示するように設定すると(図11(a)に示す液晶パネル20参照)、ムラの無い良好な表示を行うことが可能となる。したがって、第4の実施例に係る液晶パネル20は、第3の実施例と同様に、補助光源をOFFした状態で、ムラの無い良好な白表示を行うことができるので、補助光源60を常時利用しない場合の多い反射表示を重視するような表示にも適している。
上記の実施例において、液晶パネル20を透過状態とした場合、補助光源60の表面の暗色が液晶パネル20上で観測される。そこで、反射型偏光板16と補助光源60との間に、光吸収層を設けることが可能である。光吸収層を設けれ、液晶パネル20上で観測される補助光源60の表面の色をより黒く表示することが可能となる。
さらに、補助光源60をONして、液晶パネル20を透過状態とした場合に、補助光源60からの光Bを減衰させない為に、光吸収層の表面に多数の微細な開口部を設けることが好ましい。光吸収層の表面に表面に多数の微細な開口部を設ければ、開口部を通して補助光源60からの光Bが透過するので、液晶パネル20上で観測される光量に大きな影響を与えることはない。なお、光吸収層における微小な開口部による開口率は、30%〜70%の範囲内から好ましい値を選択することができる。また微細な開口部は微小な丸孔状であっても良いし、格子状に形成されても良い、また開口部は規則的に形成される必要はなく、ランダムに形成されていても良い。
また、本実施例において、補助光源60の発光側表面に、可視光領域の一部を反射する反射層を設けることもできる。反射層は、可視光領域の一部の波長を反射し、特定の色を反射光として反射する層であっても良いし、可視光領域の全域にわたって、光量の一部を反射し、他を透過するような半透過反射膜であっても良い。例えば、青色光を反射する反射層を設ければ、液晶パネル20を透過状態とした場合、液晶パネル20上で観測される補助光源60からの反射光を青色とすることができる。即ち、液晶パネル20を透過状態とした場合の表示色を変化させることが可能である。
上記の実施例において、強誘電性液晶10の極性反転は、制御部21が、駆動電圧波形制御回路22、走査駆動電圧波形発生回路23及び信号駆動電圧波形発生回路24を用い、表示データ記憶部27に通常表示用の表示デーとはネガポジ反転されたネガポジ反転表示データを予め記憶し、記憶されているネガポジ反転表示データを用いて前記走査電極又は前記信号電極に印加される駆動波形の極性をそれ以前の駆動波形と反転するように制御した。しかしながら、強誘電性液晶10の極性反転は、表示データを利用する他に、電源部25から液晶パネル20に供給される電圧の極性を反転させるようにして、行うことも可能である。その場合、制御部21は、極性を反転させるための任意の電子回路を用いることができる。
なお、上記の実施例における反射型偏光板16の透過軸b1、b2、b3及びb4が請求項における第1の透過軸に対応し、偏光板15の透過軸a1、a2、a3及びa4が請求項における第2の透過軸に対応している。