JPH06316029A - 防汚処理基材及びその製造方法 - Google Patents

防汚処理基材及びその製造方法

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JPH06316029A
JPH06316029A JP5090296A JP9029693A JPH06316029A JP H06316029 A JPH06316029 A JP H06316029A JP 5090296 A JP5090296 A JP 5090296A JP 9029693 A JP9029693 A JP 9029693A JP H06316029 A JPH06316029 A JP H06316029A
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Kazufumi Ogawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気絶縁性基材の帯電による塵埃の吸着汚れ
や油脂分の付着による汚れを併せて防止した基材及びそ
の製造方法を提供する。 【構成】 あらかじめ、絶縁性の基材1表面に、金属蒸
着、金属メッキ、または導電性塗料を塗布して導電性被
膜2を形成した後、クロロシリル基とフッ化炭素基を有
する直鎖状のクロロシラン系吸着剤を含む溶液または雰
囲気に接触させて前記基材表面と脱塩化水素反応させ、
さらに非水系有機溶媒を用いて前記基材上に残った前記
基材と未反応の前記クロロシラン系吸着剤を洗浄除去し
て、最後に残ったクロロシリル基を水と反応させること
でフッ化炭素系の化学吸着膜3を形成して、電気絶縁性
基材の帯電による汚れや油脂分の付着による汚れを併せ
て防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電化製品や自動車、産
業機器、あるいは光学機器(たとえば鏡や眼鏡レンズ、
光ディスク等)に用いる電気絶縁性基材の帯電に起因し
た粉塵の吸着による汚れや油脂分の付着による汚れを併
せて防止する方法に関するものである。さらに詳しく
は、絶縁性の基材表面に、導電性被膜を介してフッ化炭
素系の防汚性被膜を形成することにより基材の表面に帯
電による汚れや油脂分の付着による汚れを併せて防止す
る機能を付与する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、化学吸着法を用いて単分子膜が
形成できることはすでによく知られている。このような
化学吸着単分子膜の製造原理は、基材表面の水酸基とク
ロロシラン系吸着剤のクロロシリル基との脱塩酸反応を
用いて、単分子膜を形成することにある。さらに、フッ
化炭素系の化学吸着膜を形成すれば、防汚性を向上でき
ることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フッ化炭素系の化学吸着膜は、電気絶縁性が極めて高い
ため、油脂分の付着による汚れは防止できるが、基材表
面の帯電による粉塵の吸着により発生する汚れが大きく
なるという問題があった。
【0004】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、電気絶縁性基材の帯電による汚れや油脂分の付着に
よる汚れを併せて防止した基材及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の防汚処理基材は、絶縁性の基材表面に、導
電性被膜層が存在し、その表面に共有結合されたフッ化
炭素系の防汚性被膜が形成されているという構成を備え
たものである。
【0006】前記構成においては、導電性被膜が金属蒸
着膜、金属メッキ膜、または導電性塗料の塗膜であるこ
とが好ましい。また前記構成においては、導電性被膜お
よび防汚性被膜が透明であることが好ましい。
【0007】また前記構成においては、導電性被膜の電
気抵抗が1010〜102 オーム/□であることが好まし
い。次に本発明の防汚処理基材の第1番目の製造方法
は、絶縁性の基材表面に、金属蒸着、金属メッキ、また
は導電性塗料を塗布して導電性被膜を形成し、次にクロ
ロシリル基とフッ化炭素基を有するクロロシラン系吸着
剤を含む溶液またはガスに接触させて前記導電性被膜表
面とクロロシラン系吸着剤とを共有結合させ、次いで非
水系有機溶媒を用いて未反応の前記クロロシラン系吸着
剤を洗浄除去し、次に残ったクロロシリル基を水と反応
させて単分子膜状の化学吸着膜を形成するという構成を
備えたものである。
【0008】次に本発明の防汚処理基材の第2番目の製
造方法は、絶縁性の基材表面に、金属蒸着、金属メッ
キ、または導電性塗料を塗布して導電性被膜を形成し、
次にクロロシリル基とフッ化炭素基を有する直鎖状のク
ロロシラン系吸着剤を含む溶液または雰囲気に接触さ
せ、前記導電性被膜表面とクロロシラン系吸着剤とを共
有結合させ、次に溶媒を蒸発させた後水と反応させて、
ポリマー状の化学吸着膜を形成するという構成を備えた
ものである。
【0009】前記構成においては、クロロシラン系吸着
剤が、CF3 −(CF2 n −(R)m −SiXp Cl
3-p (ただし、nは0または整数、Rはアルキル基、ビ
ニル基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む
置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキ
シル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基
の置換基、pは0、1または2)を用いることが好まし
い。
【0010】前記構成においては、基材が、セラミック
ス、ガラス、プラスチックから選ばれることが好まし
い。
【0011】
【作用】前記した本発明の構成によれば、絶縁性の基材
表面に、導電性被膜層が存在し、その表面に共有結合さ
れたフッ化炭素系の防汚性被膜が形成されていることに
より、電気絶縁性基材の帯電による汚れや油脂分の付着
による汚れを併せて防止した基材を実現できる。
【0012】なおここで、導電性被膜が透明でしかも極
めて薄ければ基材そのものの色調を損なわないので好都
合である。さらに、最表面の防汚性化学吸着膜が単分子
膜であれば基材そのものの光沢をも損なわないので好都
合である。また、導電性被膜の電気抵抗は低い程帯電を
防止できる効果が大きいが、1010〜102 オーム/□
であれば透明性や光沢を劣化させることがなく十分機能
を発揮できる。
【0013】また、クロロシラン系吸着剤として、CF
3 −(CF2 n −(R)m −SiXp Cl3-p (nは
0または整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル
基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又
は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素
アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは
0、1または2)を用いると耐電圧特性が数ボルトの撥
水撥油性の被膜が得られるので、たとえこの被膜が帯電
しても静電気は下地の導電性被膜を通して放電されてし
まいセラミックス、ガラス、プラスチックなどの電気絶
縁性基材の帯電による汚れや油脂分の付着による汚れを
併せて防止する上で好都合である。なお、内部の導電性
薄膜に対して表層膜の付着が悪いときには、さらに内層
膜表面をクロロシリル基を含む物質、例えばSiC
4 、SiHCl3 、SiH2 Cl2 、またはCl−
(SiCl2 O)n −SiCl3 (但しnは整数)等で
親水性のシロキサン被膜を形成した後、フッ化炭素系の
化学吸着膜を形成するときわめて高密度のフッ化炭素系
の化学吸着膜を形成できる。
【0014】前記本発明の方法によれば、表面の防汚性
被膜が電気絶縁性であっても、静電気による帯電を防止
し、電気絶縁性基材の帯電による汚れや油脂分の付着に
よる汚れを併せて防止した耐久性の高い防汚処理基材を
提供できる。
【0015】
【実施例】本発明を適用できる基材としては、電化製品
や自動車、産業機器、あるいは光学機器(たとえば鏡や
眼鏡レンズ、光ディスク等)などに用いる電気絶縁性基
材なら殆ど全てが挙げられる。
【0016】次に、導電性被膜としては銅、銀、金、ニ
ッケル、クロムなどの蒸着膜、透明性の酸化錫や酸化イ
ンジュウムあるいはITOの蒸着膜、あるいは、銅、
銀、金、ニッケル、酸化錫、酸化インジュウム、あるい
はITOを分散した導電性塗料が挙げられる。導電性被
膜の好ましい膜厚は0.1〜10μmの範囲である。
【0017】また、表層の撥水撥油被膜は、クロロシリ
ル基を有するフッ化炭素系吸着剤を含むガス雰囲気(濃
度は、用いるクロロシリル基を含む物質或は溶媒の種類
によって異なるが、1重量〜100重量パーセント程度
を使用できる。)またはフッ化炭素系吸着剤を含む非水
系の溶液にあらかじめ導電性の被膜を形成した基材を3
0分間程度接触させると、導電性被膜の表面には通常親
水性のOH基が多数存在するので、表面で脱塩酸反応が
生じ、クロロシリル基を有するフッ化炭素系吸着剤が吸
着固定される。次に非水系溶媒で良く洗浄した後、さら
に水と反応させると余分なクロロシリル基を有する炭化
水素系吸着剤やフロロカーボン系吸着剤が除去されて単
分子膜(外層膜)が形成できる。なお、フッ化炭素系吸
着剤の吸着固定後非水系の溶媒で洗浄する工程を省け
ば、きわめて薄いポリマー膜が形成される。この反応も
前記同様脱塩化水素反応によって進行する。なお、内部
の導電性薄膜に対して表層膜の付着が悪いときには、さ
らに内層膜表面をクロロシリル基を含む物質、例えばS
iCl4 、SiHCl3 、SiH2 Cl2 、またはCl
−(SiCl2 O)n −SiCl3 (但しnは整数)等
で親水性のシロキサン被膜を形成した後、フッ化炭素系
の化学吸着膜を形成するときわめて高密度のフッ化炭素
系の化学吸着膜を形成できる。
【0018】表層膜を形成する吸着剤としては、例えば
フロロカーボン基とクロロシリル基とを含む化合物が挙
げられ、具体的材料としては、CF3 −(CF2 n
(R)m −SiXp Cl3-p (但しnは0または整数、
好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、ビニル
基、エチニル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換
基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル
基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置
換基、pは0、1または2)を用いることが可能であ
る。このフッ素とクロロシリル基とを含む化合物を用い
ると、撥水性、撥油性等が付与されるため好ましい。
【0019】表層膜を形成するための他の化学吸着剤と
しては、たとえば次のような炭化水素系化学吸着剤も使
用できる。CF3 COO(CH2 w SiXp Cl3-p
(但し、Xはアルキル基またはアルコキシ基、wは好ま
しい範囲して1〜25、pは0、1、または2を示
す。)CF3 (CF2 q (CH2 2 Si(CH3
2 (CH2 rSiXpCl3-p(但し、Xはアルキル基
またはアルコキシ基、qおよびrは、好ましい範囲して
1〜25、pは0、1、または2を示す。)以下、実施
例として模式図である図1および2を用いて順に説明す
る。なお以下の実施例においては、とくに記載していな
い限り%は重量%を意味する。
【0020】実施例1 基材として、透明なアクリル板1を用いた(図1
(a))。このアクリル板1表面に、ITO(インジウ
ム−スズ酸化物合金)を導電性が100〜1000オー
ム/□ なる膜厚で蒸着し導電性被膜2を形成した。I
TOの他に銅、銀、金、ニッケル、クロムなどの蒸着
膜、透明性の酸化錫や酸化インジュウム膜が使用可能で
あるが、銅、銀、金、ニッケル、クロムなどは膜厚が厚
いと透明性が悪化する。
【0021】そこでさらに、非水系ガスでパージした容
器内で撥水撥油性の表層膜を形成する。たとえば、化学
吸着剤としてフロロカーボン基とクロロシリル基とを含
むCF3 (CF2 7 (CH2 2 SiCl3 を選択
し、この化学吸着剤を窒素ガス雰囲気中で気化させる
(これをフロロカーボン吸着雰囲気と呼ぶ)。次に、こ
の吸着雰囲気中に導電性被膜が形成された基材を30分
間入れて放置し、その後非水系の溶媒で洗浄して、さら
に水で洗浄反応させると、基材と反応していないCF3
(CF2 7 (CH2 2 SiCl3 分子は除去され、
さらに吸着された試薬は水と反応して図1(b)に示し
たように、基材表面で下記式(化1)で示す脱塩化水素
反応が進行し、フッ素を含む単分子膜3が、内層の導電
性被膜と化学結合(共有結合)した状態で形成できた。
【0022】
【化1】
【0023】このフッ化炭素系の吸着単分子膜の電気物
性は、電気絶縁性が高く、電導度は8×10-12 A/V
・cm、耐電圧特性は7×106 V/cmであったが、
膜厚がきわめて薄いので、このときの耐電圧は約3ボル
ト程度であった。
【0024】本実施例では単分子膜が下地のITOとの
2層構造となっており、相対湿度10%程度の乾燥雰囲
気中で静電気を誘起し、帯電させても下地を通して放電
されてしまい、粉塵を吸着するような高電圧には帯電し
なかった。また、このフッ化炭素系の単分子吸着膜は、
ITO層が破壊されない限り剥離することはなかった。
さらにまた、ヘキサデカン(油)に対する濡れ角度は7
0〜75度であった。
【0025】なお、このとき非水系の溶媒で洗浄する工
程を省略すると、約2nmの膜厚のフロロカーボン系ポ
リマー膜を導電性被膜表面に形成できた。この場合も、
単分子膜に比べ透明性はやや劣ったが、相対湿度10%
程度の乾燥雰囲気中で静電気が誘起されても、粉塵を吸
着するような帯電は全く生じなかった。また、このフッ
化炭素系のポリマー膜も、ITO層が破壊されない限り
剥離することはなかった。さらに、ヘキサデカン(油)
に対する濡れ角度は68〜72度であった。
【0026】また、上記実施例では表層膜を形成するフ
ロロカーボン系吸着剤としてCF3(CF2 7 (CH
2 2 SiCl3 を用いたが、アルキル鎖部分にビニル
基やエチニル基を付加したり組み込んでおけば、単分子
膜形成後5メガラド程度の電子線照射で架橋できるの
で、さらに硬度を向上させることも可能である。なお図
1(b)は図1(a)のA部を分子レベルまで拡大した
模式断面図である。
【0027】実施例2 図2(a)に示したように、基材にガラス製のバックミ
ラー11を用いた。この表面にアンチモンをドープした
酸化錫微粉末を分散したポリエステル系の導電性塗料を
約1ミクロンの膜厚で塗布し、透明性の導電被膜12を
形成した。このときの、シート抵抗は106 オーム/□
であった。
【0028】ここで、導電性塗料を用いて形成した被膜
は水酸基を含む割合が少ないので、さらにクロロシリル
基を含む物質としてオクタクロロシロキサン(下記式
(化2))を内層膜形成用吸着剤として用いた。
【0029】
【化2】
【0030】この(化2)に示す内層膜形成用吸着剤
を、非水系溶媒のフレオン113溶媒に30vol.%溶解
した溶液を作り、吸着室内に入れ気化させた(これをク
ロロシラン吸着雰囲気と呼ぶ、他に、SiCl4 、Si
HCl3 、SiH2 Cl2 、またはCl−(SiCl2
O)n −SiCl3 (但しnは整数)等が使用可能であ
った)その後ミラー11を入れて30分間程度放置する
と、バックミラー11のガラス表面の透明性導電膜12
表面には親水性のOH基が多少とも存在するので表面で
脱塩酸反応が生じた。さらに未反応のクロロシリル基を
含む物質(化2)をフレオン113で洗浄し水と反応さ
せると、図2(b)に示すように、バックミラー11の
ガラス表面に下記(化3)及び/または(化4)等のシ
ロキサン単分子膜14が得られた。
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】なお、このときフレオン溶媒で洗浄する工
程を省略すると、単分子膜の表面に残ったクロロシラン
が反応して、ポリシロキサン膜を形成できた。得られた
シロキサン単分子膜13またはポリシロキサン膜は、導
電性の被膜表面と−SiO−の化学結合を介して完全に
結合されているので剥がれることが無い。また、得られ
たシロキサン単分子膜13は、表面に−SiOH結合を
数多く持つ。当初の水酸基の約7倍程度の数が生成され
る。
【0034】次に、CF3 (CF2 7 (CH2 2
iCl3 を2重量%程度の濃度で溶解した非水系溶媒
(アフルード:旭化成製)からなる溶液中に、シロキサ
ン単分子膜13またはポリシロキサン膜の形成されたバ
ックミラー11を1時間程度浸漬した。その結果、シロ
キサン単分子膜13あるいはポリシロキサン膜は表面に
多数の水酸基を含んでいるので、図2(c)に示したよ
うにフッ素を含む化学吸着単分子膜14が、下層のシロ
キサン単分子膜14と化学結合した状態で鏡表面全面に
亘り約1.5nmの膜厚で形成できた。
【0035】なお、このとき非水系の溶媒で洗浄する工
程を省略すると、約3nm膜厚のフロロカーボン系ポリ
マー膜を形成できた。この単分子膜やポリマー膜は剥離
試験を行なっても全く剥離することがなかった。また、
本実施例のバックミラーを用いて実使用を試みたが、表
面の弗素の溌水性の効果で水滴の付着は殆どなく、誤っ
てバックミラー面を毛髪で触った場合を想定し整髪油を
付着させたが、やはり表面に化学吸着した単分子膜中の
弗素の溌油性の効果で油は弾かれ曇ることはなかった。
【0036】また、このフッ化炭素系の単分子吸着膜は
耐電圧が約3ボルトであり、導電性薄膜と2層構造とす
ることにより、相対湿度15%程度の乾燥雰囲気中で静
電気が誘起されても、粉塵を吸着するような帯電は全く
生じなかった。さらにまた、ポリマー膜を形成した場合
も、単分子膜に比べ透明性はやや劣ったが、相対湿度1
0%程度の乾燥雰囲気中で静電気が誘起されても、粉塵
を吸着するような帯電は全く生じなかった。さらにま
た、ヘキサデカン(油)に対する濡れ角度も70〜75
度であった。なお図2(b)(c)は図2(a)のB部
を分子レベルまで拡大した模式断面図である。
【0037】比較例1 アクリル樹脂の表面を酸素プラズマで酸化し、ITOの
蒸着を省き他は実施例1と同様の実験を行なった。この
フッ化炭素系の単分子吸着膜は、表面の弗素の溌水性の
効果で水滴の付着は殆どなく、やはり表面に化学吸着し
た単分子膜中の弗素の溌油性の効果で整髪油も弾かれ曇
ることはなかった。ちなみに、ヘキサデカン(油)に対
する濡れ角度も70〜75度であった。しかしながら、
実施例1と同様に耐電圧は約3ボルトのはずであるが、
相対湿度10%程度の乾燥雰囲気中で帯電させると、白
墨や炭素粉塵を吸着して汚れてしまった。さらに相対湿
度50%程度の乾燥雰囲気中で同様の実験を行なった
が、やはり白墨や炭素粉塵を吸着して汚れてしまった。
また、ポリマー膜を形成した場合も、同様であった。さ
らにまた、硬度Hの鉛筆でも容易に引っかき傷が発生し
た。
【0038】比較例2 実施例2のミラーの表面に直接ポリテトラフルオロエチ
レンの懸濁液をスプレーコートし、120℃で1時間加
熱乾燥した。このフッ化炭素系の被膜も、表面の弗素の
溌水性の効果で水滴の付着は殆どなく、やはり表面に化
学吸着した単分子膜中の弗素の溌油性の効果で整髪油も
弾かれ曇ることはなかった。ちなみに、ヘキサデカン
(油)に対する濡れ角度も70〜75度であった。しか
しながら、実施例1および2に比べ透明性および耐久性
が劣った。また、相対湿度10%程度の乾燥雰囲気中で
帯電させると、白墨や炭素粉塵を吸着して汚れてしまっ
た。さらに相対湿度50%程度の乾燥雰囲気中で同様の
実験を行なったが、やはり白墨や炭素粉塵を吸着して汚
れてしまった。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、プラス
チック、セラミックス、ガラス、その他各種絶縁性材料
表面の静電気の帯電による粉塵の吸着を防止し、帯電に
よる汚れや油脂分の付着による汚れを併せて防止した耐
久性の高い基材を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるアクリル板の防
汚処理工程を示したもので、(b)は基材表面の円A部
を分子レベルまで拡大した模式断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例におけるミラーガラスの
防汚処理工程を示したものである。(b)および(c)
は導電性被膜およびシロキサン被膜を介してフッ化炭素
系の単分子膜を形成する工程を説明するために、基材表
面の円B部を分子レベルまで拡大した模式断面図であ
る。
【符号の説明】
1,11 基材 2,12 導電性被膜 3、14 フッ素を含む単分子膜 13 シロキサン単分子膜
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるアクリル板の防
汚処理工程を示したもので、(a)はアクリル板の表面
に導電性被膜を形成した断面図、(b)は基材表面の円
A部を分子レベルまで拡大した模式断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例におけるミラーガラスの
防汚処理工程を示したものである。(a)はミラーガラ
スの表面に導電性被膜を形成した断面図、(b)および
(c)は導電性被膜およびシロキサン被膜を介してフッ
化炭素系の単分子膜を形成する工程を説明するために、
基材表面の円B部を分子レベルまで拡大した模式断面図
である。
【符号の説明】 1,11 基材 2,12 導電性被膜 3,14 フッ素を含む単分子膜 13 シロキサン単分子膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 14/58 B 8520−4K

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性の基材表面に、導電性被膜層が存
    在し、その表面に共有結合されたフッ化炭素系の防汚性
    被膜が形成されている防汚処理基材。
  2. 【請求項2】 導電性被膜が金属蒸着膜、金属メッキ
    膜、または導電性塗料の塗膜である請求項1に記載の防
    汚処理基材。
  3. 【請求項3】 導電性被膜および防汚性被膜が透明であ
    る請求項1または2に記載の防汚処理基材。
  4. 【請求項4】 導電性被膜の電気抵抗が1010〜102
    オーム/□である請求項1、2または3に記載の防汚処
    理基材。
  5. 【請求項5】 絶縁性の基材表面に、金属蒸着、金属メ
    ッキ、または導電性塗料を塗布して導電性被膜を形成
    し、次にクロロシリル基とフッ化炭素基を有するクロロ
    シラン系吸着剤を含む溶液またはガスに接触させて前記
    導電性被膜表面とクロロシラン系吸着剤とを共有結合さ
    せ、次いで非水系有機溶媒を用いて未反応の前記クロロ
    シラン系吸着剤を洗浄除去し、次に残ったクロロシリル
    基を水と反応させて単分子膜状の化学吸着膜を形成する
    防汚処理基材の製造方法。
  6. 【請求項6】 絶縁性の基材表面に、金属蒸着、金属メ
    ッキ、または導電性塗料を塗布して導電性被膜を形成
    し、次にクロロシリル基とフッ化炭素基を有する直鎖状
    のクロロシラン系吸着剤を含む溶液または雰囲気に接触
    させ、前記導電性被膜表面とクロロシラン系吸着剤とを
    共有結合させ、次に溶媒を蒸発させた後水と反応させ
    て、ポリマー状の化学吸着膜を形成する防汚処理基材の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 クロロシラン系吸着剤が、CF3 −(C
    2 n −(R)m −SiXp Cl3-p (ただし、nは
    0または整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル
    基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又
    は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素
    アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは
    0、1または2)を用いる請求項5または6に記載の防
    汚処理基材の製造方法。
  8. 【請求項8】 基材が、セラミックス、ガラス、プラス
    チックから選ばれる請求項5、6または7に記載の防汚
    処理基材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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