JPH0631283B2 - 生理活性物質fa−1819,その製造法およびそれを含有する治療剤 - Google Patents

生理活性物質fa−1819,その製造法およびそれを含有する治療剤

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JPH0631283B2
JPH0631283B2 JP62085275A JP8527587A JPH0631283B2 JP H0631283 B2 JPH0631283 B2 JP H0631283B2 JP 62085275 A JP62085275 A JP 62085275A JP 8527587 A JP8527587 A JP 8527587A JP H0631283 B2 JPH0631283 B2 JP H0631283B2
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衡 池田
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、生理活性物質FA−1819その製造法およ
び該物質を含有する抗肥満・糖尿病治療剤に関する。
従来の技術 肥満は、脂肪組織での脂肪が過剰蓄積する病態であり、
この状態になると糖尿病,高脂血症,循環器疾患,関節
炎などいわゆる成人病が合併して多く見られることは良
く知られていることであって、これらの脂肪の過剰の蓄
積が直接または間接の原因となつていることが明らかに
されている。したがって脂肪合成能を阻害し脂肪蓄積を
軽減することによって病態の治療および予防が可能であ
ると考えられる。
これまでにも、微生物代謝産物等において脂肪酸合成阻
害作用を有する化合物を見い出したとの報告はあるが、
それらに抗糖尿病作用を合せて見い出された例はない。
発明が解決しようとする問題点 肥満,肥満性II型糖尿病及びこれらの症状を伴う高脂血
症などを対象とした新規糖・脂質代謝異常の改善剤の開
発を目的として、脂肪酸の合成を阻害する物質を微生物
代謝産物中に求め、鋭意検索を行なった結果、ストレプ
トミセス属に属する微生物の培養物中に脂肪酸の合成を
阻害する物質を見い出し、これを単離し、FA−181
9と命名した。該FA−1819物質は、優れた脂肪酸
合成阻害作用を有することを見い出し、これに基いてさ
らに研究した結果、本発明を完成するにいたった。
問題点を解決するための手段 本発明は、次の物理化学的性質を有する生理活性物質F
A−1819およびその塩 1)外観:白色固体 2)元素分析値(%):C,62〜68,H,6.4〜8.8 3)質量分析値(m/z):670(EI−MS);7
11(FD−MS) 4)推定分子式:C38-3948-5811-13 5)比旋光度:[α]▲24 D▼−135゜±5゜(c=
0.5,メタノール) 6)紫外線吸収スペクトル(吸収極大): 7)13C−NMRスペクトル(d6−DMSO中,68
MHz)で次のシグナルが認められる(δppm): 173.3,171.2,167.6,167.2,151.2,150.0,137.5,134.9,13
3.8,132.5,128.3,127.3,121.4,121.0,95.1,82.2,77.8,7
4.1,42.2,35.5,33.8,32.9,31.3,30.9,29.8,28.8,27.3,2
3.9,22.0,21.0,17.4,14.3,13.8,13.7,12.6、 ストレプトミセス属に属し生理活性物質FA−1819
産生能を有する微生物を培地に培養し、培養物中に生理
活性物質FA−1819を生成蓄積せしめ、これを採取
することを特徴とする生理活性物質FA−1819また
はその塩の製造法、および 生理活性物質FA−1819またはその塩を含有してな
る抗肥満・糖尿病剤を提供するものである。
本発明に用いることができる微生物としては、ストレプ
トミセス属に属し生理活性物質FA−1819を生産す
る菌であればいずれでもよい。たとえば、日本国岐阜県
恵邦市,恵邦峡の土壌より分離されたストレプトミセス
・エスビーNo.1819株(Streptomyces sp.No.181
9;(以下「No.1819株〕と略称することもある)
などは具体的に使用しうる例として挙げられる。
No.1819株について、インターナショナル・ジャー
ナル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(In
ternational Journal of Systematic Bacteriology),
16(3),313−340(1960)記載の方法に準
じて検討した性状は下記のとおりである。なお、培地上
の所見は、特に記載のないかぎり、28℃において14
日間培養し、観察したものである。
(I)形態的特徴 基生菌糸はよく伸長分岐し、通常の条件下では分断しな
い。気菌糸は基生菌糸より生じ、極めて短く、よく分岐
かつ密生し、直伸又は湾曲する菌糸の巾は1〜2μmで
必ずしも一定しない。
突起状から棒状を示す分岐菌状がしばしば認められる。
輪生糸は認められない。
シュクローズ硝酸塩寒天培地,グルコーズ・アスパラギ
ン寒天培地,グリセリン・アスパラギン寒天培地,スタ
ーチ無機塩培地,イースト・麦芽寒天培地を用いて培養
した時の気菌糸の先端には、光学顕微鏡及び電子顕微鏡
を用いた観察によって、胞子または胞子状構造を認める
ことができなかった。
(II)各種培地上での生育状態 各種培地における生育の程度(G),気菌糸(AM)の
生育および色調,裏面の色調(R)および可溶性色素
(SP)の有無および色調などについて以下に列記す
る。色の記載について( )で示す標準色調記号はコンテ
ィナー・コーポレーション・オブ・アメリカ(Containe
r Corporation of America)のザ・カラー・ハーモニー
・マニュアル(The Color Harmony Manual)第4版,1
958年によった。
(a)シュクロース・硝酸寒天培地 (G) 中程度 (AM) 中程度,白色 (R) 淡黄褐色〜暗黄褐色(2ea〜3ng) (SP) なし (b)グルコーズ・アスパラギン寒天培地 (G) 中程度 (AM) 中程度,淡灰色,淡灰色〜灰色(2cb〜1d
c) (R) 暗赤褐色(4ie〜4lg) (SP) 淡赤紫色(7ec) (c)グリセリン・アスパラギン寒天培地 (G) 中程度 (AM) 中程度,淡灰色〜灰色(2cb〜1dc) (R) 暗赤褐色〜明赤褐色(4le〜4nc) (SP) 赤挑色(7ea) (d)スターチ・無機塩寒天培地 (G) 中程度 (AM) 中程度,白色〜淡褐灰色(3cb) (R) 暗赤褐色(5ne) (SP) 淡挑色 (e)チロシン寒天培地 (G) 中程度 (AM) 貧弱〜淡褐灰色(3ca (R) 暗赤褐色〜黒赤褐色(4lg〜4pn) (SP) 赤褐色(5ie) (f)栄養寒天培地 (G) 貧弱 (AM) なし (R) 淡褐灰色(2ca) (SP) なし (g)イースト・麦芽寒天培地 (G) 中程度 (AM) 中程度,淡褐灰色〜灰色(3ba〜2dc) (R) 暗褐色(4pi) (SP) 暗赤褐色(5ne) (h)オートミール寒天培地 (G) 貧弱 (AM) 貧弱〜中程度,粉状,白色 (R) 無色〜淡褐灰色(2ca) (SP) なし (III)生理的性質 (a) 生育温度範囲:13〜42℃ (b) ゼラチンの液化(グルコーズ・ペプトン・ゼラチ
ン培地:陰性 (c) 澱粉の加水分解:陽性 (d) 脱脂乳の凝固:陰性 脱脂乳のペプトン化:陽性 (e) メラニン様色素の生成 チロシン寒天培地:陽性 ペプトン・イースト鉄寒天培地:陽性 (IV)炭素源の同化性(プリードハム・ゴットリープ寒天
培地) L−アラビノーズ D−キシロース D−グルコーズ D−フラクトース シュクローズ イノシトール L−ラムノース ラフィノース D−マンニット 対照 − (注)::豊富な生育;:比較的良好な生育, −;生育せず (V)菌体分析 全菌体の加水分解中のジアミノピメリン酸はLL型であ
った。
以上の菌学的性状から本菌株がストレプトミセス(Stre
ptomyces)属に属することは明らかであり、また文献未
載の新菌株であるのでNo.1819株をストレプトミセ
ス・エスピーNo.1819(Streptomyces sp.No.181
9)と称することにした。
上記ストレプトミセス・エスピーNo.1819株は財団
法人発酵研究所に昭和62年3月30日から寄託番号I
FO−14597として寄託されており、又本微生物
は、日本国通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所
(FRI,日本国茨城県筑波郡谷田部町東1丁目1番3
号)に昭和62年4月7日から寄託番号FERM P−
9322として寄託されている。
ストレプトミセス属菌は、微生物の一般的性質として自
然的にまたは変異剤によって変異を起し得る。たとえば
X線,ガンマー線,紫外線等の放射線の照射、更には単
胞子分離、種々の薬剤による処理または薬剤を含有する
培地上での培養、その他の手段で変異させて得られる多
くの変異株、あるいは自然的に得られる突然変異株であ
っても、FA−1819を生産する性質を有するものは
すべて本発明の方法に利用し得る。
本発明方法の培養に用いられる培地は用いられる菌株が
利用し得る栄養源を含むものなら、液状でも固状でもよ
いが、大量を処理するときには液体培地を用いるのがよ
り適当である。培地には同化し得る炭素源,消化し得る
窒素源,無機物質,微量栄養素が適宜配合される。
炭素源としては、たとえばブドウ糖,乳糖,ショ糖,麦
芽糖,デキストリン,でん粉,グリセリン,マンニトー
ル・ソルビトール,油脂類(例、大豆油,オリーブ油,
ヌカ油,ゴマ油,ラード油,チキン油など)、窒素源と
しては、たとえば肉エキス,酵母エキス,乾燥酵母,大
豆粉,コース・スチープ・リカー,ペプトン,綿実粉,
廃糖密,尿素,アンモニウム塩類(例、硫酸アンモニウ
ム,塩化アンモニウム,硝酸アンモニウム,酢酸アンモ
ニウムなど)その他が用いられる。さらにナトリウム,
カリウム,カルシウム,マグネシウムなどを含む塩類,
鉄,マンガン,亜鉛,コバルト,ニツケルなどの金属塩
類,リン酸,ホウ酸などの塩類や酢酸,プロピオン酸な
どの有機酸の塩類が適宜用いられる。その他、アミノ酸
(例、グルタミン酸,アスパラギン酸,アラニン,リジ
ン,バリン,メチオニン,プロリン等),ペプチド
(例、ジペプチド,トリペプチド等),ビタミン類
(例、B1,B2,ニコチン酸,B12,C等),核酸類
(例、プリン,ピリミジンおよびその誘導体)等を含有
させてもよい。もちろん培地のpHを調節する目的で無機
または有機の酸,アルカリ類,緩衝剤等を加え、あるい
は消泡の目的で油脂類,表面活性剤等の適量を添加され
る。
培養の手段は静置培養でも、振盪培養あるいは通気撹拌
培養法等の手段を用いてもよい。大量の処理には、いわ
ゆる深部通気撹拌培養によるのが望ましいことはいうま
でもない。
培養の条件は培地の状態,組成,菌株の種類,培養の手
段によって一定しないのは当然であるが、それらは通常
約15℃〜37℃の温度で、初発pH約5〜9付近に選択
するのがよい。とりわけ、培養中期の温度は約20℃〜
37℃、また初発pHは約6〜8の条件が望ましい。培養
時期も前記の諸条件により一定しないが、該生理活性物
質濃度が最大となるまで培養するのがよい。これに要す
る時間は液体培地を用いる振盪培養または通気撹拌培養
の場合は通常約1〜10日間程度である。
生成したFA−1819は培養ろ液及び菌体中に存在す
るので、培養物を遠心分離あるいはろ過によって上澄液
と菌体とに分離し、その上澄液及び菌体から、それぞれ
精製することもできるが、培養物にメタノールなどの有
機溶媒を添加した後、培養物から、直接に精製する方が
より有利である。
本発明のFA−1819物質を培養物から採取するに
は、当該物質が酸性脂溶性であるので、このような微生
物代謝産物を採取するのに通常用いられる分離,精製の
手段が適宜利用される。例えば、溶剤による抽出法,夾
雑物との溶解度の差を利用する方法,或いはクロマトグ
ラフィーなどが単独或いは組合わせて用いられる。クロ
マトグラフィーで用いられる担体としては、慣用の無機
及び有機の担体,例えばシリカゲル,アルミナ,活性
炭,セルローズ,ハイポーラス樹脂,デキストランゲル
等が利用される。
培養物中に生産された生理活性物質FA−1819物質
を採取するには、まず遠心分離或いはろ過等で分離して
得られた培養上清を酸性として酢酸エチル,クロロホル
ム等の有機溶媒で抽出するかまたは培養物に直接有機溶
媒、例えばメタノール,アセトン等を加えて撹拌抽出
し、固形物をハイフロスーパーセル等を加えてろ過して
除いた抽出ろ液から有機溶媒を留去した後、濃縮液を酸
性として、水と混和しない有機溶媒、例えば酢酸エチ
ル,クロロホルム等を用いて当該物質を抽出することが
できる。抽出液は希炭酸水素アルカリ水溶液等の弱アル
カリ性水で水層に転溶し、さらに水層に移行した当該物
質を再び酸性で前記と同様の水と混和しない有機溶媒で
抽出することができる。この転溶操作の繰返しを経て得
られた粗物質の希炭酸水素ナトリウム水溶液を合成吸着
剤、例えばダイヤイオンHP−20(三菱化成)のカラ
ムに吸着させる。カラムを段階的に水及び10〜90%
のメタノール水で展開し、活性画分を集めて濃縮後凍結
乾燥すると、Na塩の粗粉末が得られる。
この粗粉末を含水メタノール、例えば20%メタノール
水にとかし、同じ溶媒で平衡化した分子篩、例えばセフ
ァデックスLH−20のカラムクロマトグラフィーに付
す。カラムを、同じ含水メタノールで展開し、活性画分
を集めて濃縮後凍結乾燥すると、FA−1819物質の
Na塩の精製品が白色粉末として得られる。
このNa塩を酸性として、酢酸エチルのような水と混和し
ない有機溶媒で抽出し、水洗,乾燥後、有機溶媒を留去
し、残渣を乾燥すると、FA−1819物質が遊離酸と
して得られる。
かくして得られた生理活性物質FA−1819物質の物
理化学的性質は次に示す通りである。
1)外観:白色固体 2)元素分析値(実測値):C,65.06%,H,8.19% 3)質量分析値:EI−MSでm/z670,FD−M
Sでm/z711が観測される。
4)推定分子式:C36-3948-5811-13 5)比旋光度:[α]▲24 D▼−135゜±5゜(c=
0.5,メタノール) 6)紫外線吸収スペクトル(吸収極大): 7)赤外線吸収スペクトル:遊離酸のスペクトル(KB
−錠法)を第1図に、Na塩のスペクトルを第2図に示
す。
8)1H−NMRスペクトル(100MHz):重メタノ
ール中のスペクトルを第3図に示す。
9)13C−NMRスペクトル(d6−DMSO中,68
MHz)で次のシグナルが認められる(δppm): 173.29,171.21,167.59,167.18,151.21,149.97,137.51,1
34.88,133.84,132.45,128.25,127.31,121.37,121.02,9
5.05,82.16,77.78,74.07,42.22,35.45,33.82,32.86,31.
26,30.88,29.75,28.80,27.29,23.90,21.95,21.01,17.4
2,14.28,13.82,13.67,12.57 10)溶解性: 可溶;メタノール,酢酸エチル,ジメチルスルホキシド 難溶;n−ヘキサン,クロロホルム,水 11)呈色反応: 陽性;リンモリデン酸,ヨウ素試薬 陰性;ニンヒドリン,塩化第二鉄試薬 12)酸性,中性,塩基性の別:酸性 13)高速液体クロマトグラフィー: 担体:InertsilODS(ガスクロ工業,4.6×150m
m) 溶媒系:54%メタノール0.01M リン酸緩衝液(pH7.
0) 流速:1.0ml/分 保持時間(tR):5.0分 本発明のFA−1819物質は、ジアゾメタンによるメ
チル化後の1H−NMR(100MHz,CDCl3中)
測定により、δ3.69(3H,s),δ3.72(6H,s)なるメトキシ
基に基づくピークが検出されるので、C,HおよびOか
らなる新規脂肪族トリカルボン酸と推定される。
FA−1819物質や酸性物質であるので、Na塩の他、
カリウム,リチウム,カルシウム,マグネシウム等の金
属塩,或いはトリメチルアンモニウム塩、エタノールア
ミン塩など,有機塩基との塩を形成することができる。
本発明のFA−1819は、脂肪酸合成阻害作用等を有
し、低毒性で、たとえば哺乳動物(例、マウス,ラッ
ト,ヒト)の糖・脂質代謝異常,肥満,糖尿病などの予
防・改善剤などとして有用である。
FA−1819を、たとえば肥満,肥満を伴うII型糖尿
病,高脂血症などの糖・脂質代謝異常改善剤として用い
る場合、成人についてFA−1819の約1ないし30
mg/kgを1日投与量として投与する。また、FA−18
19を投与するにあたっては、常套手段によって、たと
えば錠剤,顆粒剤,カプセル剤,液剤などの剤型として
経口的に、またはたとえば注射剤として非経口的に投与
することができる。
また、FA−1819は哺乳動物,かびおよび酵母にお
ける脂肪酸代謝を解明する上での生化学的試薬として使
用することができる。
さらに、有利な脂肪酸合成阻害作用を示す化合物ならび
にその他の生理活性物質などの合成中間体としても有用
な物質である。
なお、FA−1819の急性毒性LD50値は、マウス経
口単回投与で100mg/kg以上であり、またマウス腹腔
内単回投与で50〜100mg/kgであった。
作用および実施例 以下に実験例および実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明する。なお以下の実施例において、培地の組成
物のパーセントは重量/容量パーセントを示す。
実験例1 in vitro 脂肪酸合成阻害活性 脂肪酸合成阻害活性の測定は、ラット肝臓ホモジネート
を用いて行った。ラット肝臓ホモジネートの調製法およ
び阻害活性測定用反応液組成ならびに測定方法は、J.
Iliffeらの方法[バイオケミカル・ジャーナル(Bioche
mical Journal),91,369(1964)]及び
T.Kariyaらの方法[バイオケミカル・アンド・バイオ
フィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Bioche
m.Biophys.Res.Comm.),80,1022(197
8)]に準じて、以下に記載の方法で行なった。すなわ
ち、SD系ラット(6週令,雄)を2日間絶食後、再び
24時間餌を与えて飼育後、放血によって屠殺し、直ち
に肝臓を取り出し、肝臓湿重量1gあたり最終4mlにな
るように2mM EDTA,5mMニコチンアミド,1mM
2−メルカプトエタノールを含む0.25M蔗糖溶液を加
え、テフロン棒状ホモジナイザーでホモジナイズした。
700×g,10分間の遠心上澄液を酵素標品として、
その0.5mlを反応に用いた。
トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)45mM,HKCO3 10
mM,MgCl2 45mM,K2HPO4 5mM,コハク酸カリウ
ム15mM,NADP 1mM,ATP 2mM,グルコース
−6−リン酸5mM,補酵素A 0.4mM,ジチオスレイ
トール5mM,酵素溶液0.5mlからなる反応混合液1.85ml
を含有する10ml容コルベンに(95% O2:5%
CO2)混合ガスを吹き込んだ後密栓し、37℃,60
分間ゆるやかに振盪しつつ保持した。その後、1−14
−酢酸(0.2μ Ci)0.5mMおよびメタノールまた
は対象化合物を含有するメタノール溶液50μを添加
し、さらに37℃,60分間ゆるやかに振盪しつつ反応
を行なった。反応液1mlを採取し、KOH−エタノール
中でアルカリ加水分解し、加水分解液に塩酸を添加し、
酸性にした後、石油エーテルで抽出を行ない、さらに水
洗後石油エーテル層に抽出された放射活性を測定した。
化合物FA−1819の阻害活性は、阻害剤無添加の場
合に比較して、10μg/mlで14%、100μg/ml
で52%、1000μg/mlで98%の阻害であった。
実験例2 in vivo脂肪酸合成阻害活性 ICRマウス(雌,7週令)を8日間、高蔗糖−低脂肪
食(蔗糖75.1%,カゼイン18.0%,コットンシード・オ
イル0.5%,無機塩類およびビタミン類6.4%)で飼育し
た。その後18時間絶食して5%アラビアゴム懸濁した
FA−1819 100mg/kgを経口投与し、さらに2
時間後にU−14C−グルコースを含むグルコース液(1
65μCi/3g/kg)を経口投与し、1時間後屠殺し
て肝臓および副睾丸脂肪組織を採取した。それぞれの組
織の約1gを切り取り、5mlのエタノール−3N−KO
H溶液で加熱して加水分解後、不鹸化物を石油エーテル
で除去し、塩酸で酸性にしたのち再び石油エーテルで抽
出し、石油エーテル層の放射活性を測定した。結果は第
1表に示す通りであり、FA−1819を経口投与する
ことにより、肝臓および副睾丸脂肪組織での脂肪酸合成
活性は著しく阻害されていることが明らかとなった 実験例3 抗糖尿作用 遺伝性肥満糖尿病マウス(Yellow KK mice,雌性,10
週令)を、生理活性物質 FA−1819の0.005%お
よび0.01%含有する飼料(CE−2 日本クレア社製)
を用いて4日間飼育した。4日目のマウス血中グルコー
ス濃度およびトリグリセライド濃度を測定し、結果を第
2表に示した。
本FA−1819物質を飼料とともに4日間投与するこ
とによって、顕著な血糖値,トリグリセライド値および
体重の低下が認められることから、本物質は肥満治療薬
および肥満を伴なう糖尿病の治療薬として使用しうる。
実施例1 イースト・麦芽寒天からなる斜面培地上に予め十分に生
育したストレプトミセス・エスピーNo.1819株の一
白金耳を、グルコース2%,可溶性澱粉3%、コーンス
チープリカー1%,生大豆粉1%,ポリペプトン0.5
%,塩化ナトリウム0.3%および沈降性炭酸カルシウム
0.5%,pH7.0からなる種培養培地50mlを分注滅菌した
2容坂口フラスコに接種して、往復振盪機上で28℃
で2日間培養した。この培養液500mlを、消泡剤アク
トコール(武田薬品製)0.05%を含有する上記種培地3
0を注入し、滅菌した50容醗酵槽に移植し、28
%で2日間通気撹拌培養を行なった。得られた培養液5
を、グルコース0.5%,デキストリン5%,脱脂大豆
粉3.5%,塩化コバルト0.0002%,沈降性炭酸カルシウ
ム0.7%およびアクトコール0.05%,pH7.0から主培養培
地100を注入し、滅菌した200容醗酵槽に移植
し、温度28℃、内圧1.0kg/cm2,通気100/mi
n,撹拌150rpmの条件下で90時間培養を行なった。
実施例2 実施例1で得た培養液80を希硫酸でpH5.0に調整
し、これにメタノール120を加えて室温で30分間
撹拌した。ろ過して菌体を除去し、ろ液を20にまで
減圧濃縮した。希硫酸でpH4.0に調整し、酢酸エチル2
0で抽出した。酢酸エチル層を水洗した後減圧濃縮し
て、0.9の濃縮液を得た。濃縮液100mlを酢酸エチ
ルで500mlとし、2%NaHCO3水で抽出した(5
00ml×2)。水層を合してクエン酸でpH44に調整
し、酢酸エチル500mlで抽出し、さらに水洗した。酢
酸エチル層から再度2%NaHCO3水で抽出した(5
00ml×2)。水層を合して900mlにまで減圧濃縮し
た。このうち300mlをダイヤイオンHP−20(三菱
化成社製)のカラム(1.2)に通し、有効成分を吸着
させた。カラムを3の水で洗った後30%メタノール
水で溶出した。有効画分を合して減圧濃縮し、凍結乾燥
して1.35gの粗粉末を得た。この粉末を20%メタノー
ル水20mlに溶かし、20%メタノール水であらかじめ
よく洗ったセファデックスLH−20(ファルマシア社
製,スエーデン)カラム(1.3)に通した。20%メ
タノール水で展開し、1.1から1.4までの溶出画分を
集めて減圧濃縮,凍結乾燥してFA−1819のナトリ
ウム塩の白色粉末805mgを得た。元素分析値:C,5
4.69;H,7.45;Na,4.7%。ナトリウム塩500mgを
100mlの水に溶かし、冷却水1NHClでpH2.5に調
整した。酢酸エチル100mlで抽出し、0.05N HCl
および水で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥した。酢
酸エチルを留去し、残渣を減圧乾燥してFA−1819
の遊離酸480mgを得た。元素分析値:C,65.14,
H,8.38%。
発明の効果 本発明の生理活性物質FA−1819は優れた脂肪酸合
成阻害作用を有し、抗肥満・糖尿病剤などとして有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図および第3図はFA−1819物質のIRおよび
NMRスペクトルを、第2図はFA−1819物質Na塩
のIRスペクトルを、それぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の物理化学的性質を有する生理活性物質
    FA−1819またはその塩 1)外観:白色固体 2)元素分析値(%):C,62〜68,H,6.4〜8.8 3)質量分析値(m/z):670(EI−MS);7
    11(FD−MS) 4)推定分子式:C38-3948-5811-13 5)比旋光度:[α]▲24 D▼−135゜±5゜(c=
    0.5,メタノール) 6)紫外線吸収スペクトル(吸収極大): 7)13C−NMRスペクトル(d6−DMSO中,68
    MHz)で次のシグナルが認められる(δppm): 173.3,171.2,167.6,167.2,151.2,150.0,137.5,134.9,13
    3.8,132.5,128.3,127.3,121.4,121.0,95.1,82.2,77.8,7
    4.1,42.2,35.5,33.8,32.9,31.3,30.9,29.8,28.8,27.3,2
    3.9,22.0,21.0,17.4,14.3,13.8,13.7,12.6
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属し生理活性物質F
    A−1819産生能を有する微生物を培地に培養し、培
    養物中に生理活性物質FA−1819を生成蓄積せし
    め、これを採取することを特徴とする生理活性物質FA
    −1819またはその塩の製造法。
  3. 【請求項3】生理活性物質FA−1819またはその塩
    を含有してなる抗肥満・糖尿病剤。
JP62085275A 1987-04-07 1987-04-07 生理活性物質fa−1819,その製造法およびそれを含有する治療剤 Expired - Lifetime JPH0631283B2 (ja)

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