JPH06308300A - シングルイオン注入装置及び方法 - Google Patents

シングルイオン注入装置及び方法

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JPH06308300A JP5123621A JP12362193A JPH06308300A JP H06308300 A JPH06308300 A JP H06308300A JP 5123621 A JP5123621 A JP 5123621A JP 12362193 A JP12362193 A JP 12362193A JP H06308300 A JPH06308300 A JP H06308300A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 FIBもしくはMIBを用いてシングルイオ
ンをチョッパにより抽出した低エネルギー(10keV
〜100keV)もしくは高エネルギー(1MeV〜4
MeV)シングルイオン注入装置及びシングルイオン注
入方法を提供することにある。 【構成】 集束イオンビーム装置(FIB)に対してシ
ングルイオン照射用イオン源(16)、ビームチョップ
用静電偏向板(20)、シングルイオン抽出用アパーチ
ャ(21)を主要な構成要素として具備する低エネルギ
ーシングルイオン注入装置、もしくは、イオンマイクロ
プローブに対してドーパントイオン注入および高LET
イオン照射を可能にするCsスパッタイオン源(33)
を具備する高エネルギーシングルイオン注入装置として
の構成を有する。イオン注入法としては上記両装置によ
り抽出されたシングルイオンを試料の所定の部位にそれ
ぞれ50nmφ,1.5 μmφの照準精度でシングルイオ
ン注入を行なう工程を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は集束イオンビーム(FI
B)もしくはイオンマイクロプローブによるマイクロイ
オンビーム(MIB)を利用したイオン注入装置に関
し、特に狙った部位に所定の照準精度でイオン1個もし
くは制御された所定数イオンを精度良く注入するシング
ルイオンもしくは制御された所定数イオン注入が可能な
シングルイオン注入装置及び方法に関する。
【0002】マイクロイオンビーム(MIB)と集束イ
オンビーム(FIB)はどちらもイオンビームを集束し
たものであるが、若干の表現の違いであり、2つの違い
は次表の通りである。
【0003】
【表1】
【0004】本発明は集束イオンビーム(FIB)もし
くはマイクロイオンビーム(MIB)を用いて、シング
ルイオンをビームチップの技術により抽出するシングル
イオン注入装置及び方法に関する。
【0005】集束イオンビームは低エネルギーイオン注
入に対応し、マイクロイオンビームは高エネルギーイオ
ン注入に対応する。
【0006】
【従来の技術】0.1 μm以下の寸法をもつ次世代の絶縁
ゲート電界効果トランジスタ(MOSFET)や、微細
化のさらに延長線上に位置する量子化機能素子などの極
微構造デバイスにおいては、不純物濃度、キャリア密
度、表面及び界面準位などが、数えられる程度に減少す
るので、それらのゆらぎは電気的特性における甚大なゆ
らぎとなって現れてくる。従って、極微構造を実現する
ためには、加工技術におけるきわめて高精度の制御性が
要求されるが、加工による損傷の発生や隠れた不純物の
効果など、制御性を著しく損なう要因が数多く潜在す
る。極微構造デバイスは、これらの要因を文字通り、一
つずつつぶして行くことによって初めて実現するので、
極微構造の加工プロセスの素過程や極微構造の物性制御
に関する根本的な解明が課題となっている。
【0007】極微構造の物性制御に関する従来技術を以
下に説明する。
【0008】表面制御 1959年にSchlier らによって、超高真空中で清浄化され
たSi(111)−7×7表面超構造がLEED(低速
電子線回折)により初めて観察された[R.E.Schlier an
d H.E.Farnsworth, J. Chem.phys.,30(1959)917 ]。以
来、その構造の原子配列を解明しようとする研究が盛ん
に行われ、これまでに多数のモデルが提唱されている。
なかでも、1985年に高柳らによって提唱されたDASモ
デル(二重体−吸着原子−積層欠陥を要素とするモデ
ル)[K.Takayanagi, Y.Tanishiro,S.Takahashi and M.
Takahashi, Surface Sci.,164(1985)367]が現在では最
も広く受け入れられている。1982年に発明されたSTM
(走査型トンネル顕微鏡)により、7×7単位胞に含ま
れる12個の吸着原子の存在が明らかになったことが、
このモデルが広く支持されることとなった最も大きな要
因である。
【0009】ここで特筆すべき点は、これら様々なモデ
ルが全てシリコン原子のみで構成されているという点で
ある。つまり不純物の存在は一切考慮に入れられていな
い。しかし、Si(111)−7×7を得るのに用いら
れてきたSi基板は元来酸素を1018原子/cm3 以上
固溶しており、また1×10-10 Torr程度の超高真空に
おいても500℃以下ではSi表面を酸素フリーに保つ
ことができないことが熱力学的に結論できることから、
1100Kで観察されるSi(111)−1×1→7×
7構造相転移は酸素の吸着によって誘起されるとの仮説
が1990年に本願発明者によって提唱された[I.Ohdomar
i, Surface Sci.,227(1990)L125]。さらに、構造相転
移の動的メカニズムを初めて示したのも本願発明者であ
る[I.Ohdomari, Surface Sci.,271(1992)170 ]。この
ように、本願発明者は清浄表面を議論する上で重要な問
題提起を行っており、とりわけSi(111)1×1−
7×7構造相転移が酸素原子によって誘起されるという
原子スケールの動的なモデルを提案したのは、本願発明
者が最初である。本願発明者の仮説は、最近理論計算
[W.S.Verwoerd and K.Osuch, Surface Sci.,256(1991)
L593]及び、超高感度な電子線励起脱離分析[K.Ueda,
A.Takano and R.Shimizu, Extended Abstracts(The 53r
d Autumn Meeting, The Japan Society of Applied Phy
sics), Vo1.2,(1992)457]によって一部支持され初めて
いる。
【0010】この仮説を実験的に証明するには、雰囲気
からの酸素の流入を極限まで減少させるために極高真空
中(<1×10-12Torr )での表面の動的観察の必要が
あったが、本願発明者は、内部表面に処理を施したステ
ンレス製の真空槽[K.Tsukui, R.Hasunuma, K.Endo, T.
Osaka and I.Ohdomari, J. Vac. Sci. Technol., tobep
ublished.]と4.2 K級ベーカブルタイプクライオポン
プの組み合わせによってこれを実現し[K.Tsukui, K.En
do, R.Hasunuma, T.Osaka and I.Ohdomari, J.Vac. Sc
i. Technol.,to be published. ]、1000Kに加熱
したSi単結晶表面を4×10-12Torr 以下の真空度に
おいて、反射高速電子線回折法によって観察することに
世界で初めて成功している。この表面分析装置内では、
雰囲気分子による汚染を10-10Torr の時に比べ1/1
00以下に抑えることが可能であり、吸着分子の影響を
極限にまで下げた環境が準備されたことになる。
【0011】表面への原子・分子の吸着過程の研究は、
これまで主として表面物理としての興味から、現象の観
察に終始していたが、最近では、その知見をもとに表面
制御を積極的に行おうという提案がされ始めている。原
子レベルでの表面制御に関しては、現在のところSTM
による原子操作の実験例[D.M.Eigler and E.K.Schweiz
er, Nature344,524(1990) , C.F.Quate, in: Highlight
s and Prospects in Condensed Matter Physics, Ed.
L.Esaki(Plenum, New York, 1992),and references the
rein ]が幾つか報告されてはいるが、実用には向かな
い物質系であり、STMを用いた原子操作の可能性のデ
モンストレーションとしての域を出ない。また、シング
ルイオンの照射により固体表面における核生成制御を試
みた例はない。
【0012】本発明者は、量子化学的計算手法の一つで
ある分子軌道法を物理表面に適用して、表面構造及び表
面反応についての理論的な解析[M.Tsuda, T.Hoshino,
S.Oikawa and I.Ohdomari,Phys. Rev. B44,11241(1991)
, T Hoshino, S.Oikawa,M.Tsuda and I.Ohdomari,Phy
s. Rev. B44,11248(1991) ]も行っている。これまでに
Si(001)の表面再配列構造を決定し、STM像を
分子軌道から再現することに成功している。また、単結
晶シリコン表面の初期酸化過程を、化学反応の素過程と
いう観点から詳しく調べ、さらには、シリコン表面にア
ルカリ金属が吸着した系について、その吸着過程及び安
定構造を求めている。
【0013】界面制御 金属/半導体界面は、過去数十年にわたり研究されてき
た固体物理における中心的なテーマのひとつである。し
かし、その構造と性質には未だ不明な点が多く、ショッ
トキー障壁(Schottky Barrier:SB) の形成機構を例をと
っても多数のモデルが提案されており、今のところ定説
は無い状況である。とりわけ、デバイスから信号を取り
出すオーミックコンタクトについては、デバイスシミュ
レーションに用いる実験式すら得られていない。その理
由は、界面がバルクの中に埋もれた領域であり、その特
性を直接測定することが非常に困難なためである。これ
に加えて、従来界面の評価に用いられてきた分析手段で
は、界面の形成に伴う化学反応、欠陥形成、相互拡散等
による不均一な界面に対して、平均化された情報しか得
られないことによる。つまり、金属/半導体界面の特性
を完全に理解するためには、直接的に、しかも高い空間
分解能をもって界面の評価が可能な分析手段の存在が不
可欠であった。
【0014】1988年にJPLのKaiserとBellが開発した
弾道電子放射顕微鏡(Ballistic-Electron-Emission Mic
roscope : BEEM) は、走査型トンネル顕微鏡(Scanning
Tunneling Microscope : STM) を改造し、界面の評価に
応用したものである[W.J.Kaiserand L.D.Bell, Phys.
Rev. Lett.,60,1406(1988)]。金属薄膜/半導体系界面
において、STMのチップ−金属間のトンネル電流を構
成する電子の中で金属表面に達した電子の一部が、金属
膜中をBallisticに伝導し金属/半導体界面に
達することを利用したもので、電圧−電流特性から2n
m以内の領域のショットキー障壁(SBH)を測定する
ことが可能である。すなわち、金属/半導体界面の物理
現象を解明するための強力な評価手段となり得るが、国
内においてBEEMの研究はほとんど行われていない。
本発明者は、STMにハードウェア的な変更を加え、国
内で初めてBEEMを製作し、BEEMによるPt/n
−Si(100)界面のショットキー障壁高さ(SB
H)の測定、SBHのミクロスコピックな空間分布に関
する検討を開始している。本発明のシングルイオン注入
装置及びシングルイオン注入方法では、BEEMの持つ
高い空間分解能を最大限に生かし、シングルイオン注入
による界面操作の効果をBEEMにより観察すること
で、界面反応の原子的素過程を明らかにすることができ
る。
【0015】SiO2 /Si系界面は、MOSFETの
最も重要な構成要素として、従来から極めて活発に研究
が行われている。最近では、次世代MOSFET用極薄
ゲート酸化膜形成に関して、酸化前のSiの表面状態、
自然酸化膜の形成過程[M.Morita, T.Ohmi,E.Hasegawa,
M.Kawakami and M.Ohwada, J. Appl. Phys.,68(1990)1
272 , T.Yasaka, K.Kanda, K.Sawara, S.Miyazaki and
M.Hirose, Jpn. J. Appl. Phys.,30(1991)3567]、極薄
酸化膜形成プロセスなどに関する研究が、X線光電子分
光法、赤外吸収法、熱脱離分光法などを用いて盛んに行
われている。MOSFETの極微化にともない離散量と
なる界面準位による電気的特性のゆらぎについては、そ
の可能性が指摘されているほか、従来、いわゆる電信雑
音と呼ばれてきたトラップによる電子の捕獲、放出を実
測した例[M.Schulz and A.Karmann, Physica Scripta,
T35,(1991)273 ]がある。界面準位を意図的に導入し
て、極微構造におけるゆらぎの顕在化を実証した例はな
い。
【0016】本発明者は、SiO2 /Si系界面に関し
ては従来、超高分解能電子顕微鏡、及び界面構造モデル
による歪エネルギー計算を用いて、主として界面の原子
配列に関する知見の集積に努力してきたが[H.Akatsu a
nd I,Ohdomari, J. Non-Crist. Solid.,89(1987)239 ,
H.Akatsu and I.Ohdomari, J. Appl. Phys.,62(1987)37
51]、界面の原子的尺度での凹凸と界面準位密度との間
には必ずしも強い相関は無いことを見出したことによ
り、現在は、界面準位密度が、界面における水素など制
御の対象外だった要因によってより強く支配されている
のではないか、との疑いを抱くに至っている[H.Fukud
a, M.Yasuda, T.Iwabuchi, S.Kaneko,T.Ueno and I.Ohd
omari, J. Appl. Phys.,72(1992)1906 ]。本発明のシ
ングルイオン注入装置及びシングルイオン注入方法にお
いてシングルイオン注入により、既知の密度の界面準位
を導入し、その後の水素雰囲気熱処理などによる挙動を
明らかにすることができる。
【0017】不純物制御 不純物制御については、薄膜結晶成長時にシート状の不
純物層を形成(デルタドーピング)し、電気的ならびに
光学的性質改善に成功した例が多数報告されている(例
えば、Schubert[E.F Schubert, J. Vac. Sci.
Technol.,A8(1990)2980])が、これは本質的には成長
方向の不純物分布の制御であり、微小構造体中の不純物
原子数の制御を試みた例はない。
【0018】画面方向のサイズが十分小さく(〜100
nmのオーダ)、進行方向は散乱の起こらない程度の長
さを持つ一次元細線構造での電気伝導は、Landau
er[R.Landauer, IBM J. Res. & Dev. 1,(1957)22
3],Buttiker[M.Buttiker,Phys. Rev. Let
t.,57(1986)1761]をはじめとして、数多くの理論的研
究がなされている。最近では、量子運動方程式を使って
この様な系の不純物による化学ポテンシャル及び静電ポ
テンシャルの変化をシミュレーションするという興味深
い研究もMcLennanらによって行われた[M.J.McLennan,
Y.Lee and S.Datta,Phys. Rev.B43(1991)13846]。
【0019】実際に量子細線を形成し、量子サイズ効果
を確認した研究例は数多くある。国内でみると、FIB
により誘起される欠陥を利用して二次元ガス中に細線を
作った生駒ら[T.Hiramoto, K.Hirakawa, Y.Iye and T.
Ikoma, Appl.Phys. Lett.,51(1987)1620]や、FIBに
よるドーピング効果を利用し細線を形成した平山ら[Y.
Hirayama, T.Saku and Y.Hirokoshi, Phys. Rev.B39(19
89)5535 ]などが、コンダクタンスの量子化などの現象
を観測している。量子化ドーピングは、本発明のシング
ルイオン注入装置及びシングルイオン注入方法を実現す
ることによって本願発明者が今回初めて提案した概念で
ある。
【0020】デバイス制御 半導体材料及びデバイスへの粒子線(イオン)照射効果
に関する研究は、20年ほど前から主として米国で続けら
れてきたが、これらは宇宙空間や原子力施設等、特殊な
条件下でのデバイスの使用を目的としたものである。し
かし、1979年にMay らによって、デバイスのパッケージ
材に含まれる極微量の放射性元素から放出されるα粒子
により、通常環境下で使用されるデバイスにおいてもソ
フトエラー(1個の高エネルギーイオン入射によって発
生するデバイスの誤動作)が発生することが報告された
[T.C.May and M.H.Woods, IEEE Trans. Electron Devi
ces ED-26(1979)2]。また、デバイス寸法を縮小するほ
ど、この問題がより深刻化することが判明し、その後各
半導体メーカーにおいて、ソフトエラー対策に関する研
究が盛んに行われるようになった。
【0021】従来、デバイスに対するイオン照射効果の
評価は、放射性同位元素または加速器より射出されるイ
オンをデバイス全体にランダムに照射し誤動作の頻度を
統計的に処理することにより行われてきた[N.Shiono,
Y.Sakagawa, M.Sekiguchi, K.Sato,I.Sugai, T.Hattori
and Y.Hirao, IEEE Trans. Nucl. Sci.NS-33(1986)163
2 ]。しかしこの方法は、イオンが試料上に入射した位
置の特定が不可能であるという本質的な欠点があった。
【0022】微細化された集積回路へのイオン照射効果
を直接的に評価するためには、μmオーダの分解能でデ
バイスにイオン照射を行う技術が必要である。1992年、
Horn,Doyleらによって、μmオーダに集束した高エネル
ギーイオンビームを利用したデバイスへのイオン照射効
果の評価法が報告された[K.M.Horn, B.L.Doyle andF.
W.Sexton, IEEE Trans.Nucl. Sci. NS-39(1992)7]。こ
の方法では、イオン照射位置を特定することには成功し
たが、ビームを集束したことによる高密度のイオン照射
が、半導体材料の照射損傷、デバイスの恒久的劣化を引
き起こしてしまうという点で過渡応答の評価にはほど遠
いものであった。
【0023】本発明者らはシングルイオンマイクロプロ
ーブを用いて、現在VLSIへのシングルイオン照射効
果の照射部位依存性の評価を行った[K.Noritake, T.Ma
tsukawa, M.Koh, K.Hara, M,Goto and I.Ohdomari, Jp
n. J. Appl .Phys.31(1992)L771]。これは、市販の
VLSIにイオンを1個ずつ位置を変えて照射し、その
効果を評価した世界で最初の試みである。図3に示すよ
うに2μm角の部位毎のソフトエラーの起こり方を測定
することに成功している[K.Noritake, T.Matsukawa,
M.Koh, K.Hara, M.Goto and I.Ohdomari, Jpn. J. App
l. Phys.31(1992)L771]。
【0024】以上現在までに、デバイスへシングルイオ
ンを照射して誤動作を誘起する新しい評価法の開発に成
功するに至っているが、本発明の目的であるデバイスの
過渡応答現象の直接的理解、及びその耐性強化の為の指
針獲得、を達成するためには、Heだけでなく様々なL
ET(イオンが単位飛程において失うエネルギー)のイ
オンを照射してその効果を調べる必要がある。すでに開
発を行ったシングルイオンマイクロプローブに新たなイ
オン源を増設することにより、この目的は達成可能であ
る。
【0025】0.1 μm以下に縮小される次世代の極微構
造デバイスについて過渡現象に関する基礎的な知見を得
るためには、10nmオーダの照準精度を持ったシステ
ムの導入が不可欠である。この目的のために、すでに開
発されたイオンマイクロプローブ(IMP)の代わりに
50nm以下のプローブ径を持ったFIB装置を利用
し、これにシングルイオンマイクロプローブ開発で得た
シングルイオン抽出及び照準技術を導入すれば、極めて
高精度のシングルイオン注入装置を実現することができ
る。
【0026】点欠陥の挙動の解明に関する従来技術を以
下に説明する。
【0027】半導体とりわけSi中の結晶欠陥に関する
研究については、電子スピン共鳴や電気的測定を中心と
する研究が、1960年代末に発明されたイオン注入法が半
導体製造技術として定着した1980年代まで極めて活発に
行われていたが、欠陥は規模が小さくなるほど不安定で
あるため、格子間原子、単空格子点、あるいは複空格子
点などの点欠陥の挙動を実験的に明らかにする研究は、
今だに未解決のまま残されている。一方、計算物理の立
場では、規模が小さいほど扱い易いため、1984年にはCa
r らによりSi中の格子間原子のBourgoin機構
に関する理論的計算の結果が発表され[R.Car, P.J.Kel
ly. A.Oshiyama and S.T.Pantelides,Phys. Rev. Let
t.,52(1984)1814 ]、以後最近のSi中のドーパントの
拡散に及ぼす圧力の効果[O.Sugimoto and A.Oshiyama,
Materials Science Forum, 83-87(1992)469]に至るま
で多くの結果が発表されている。
【0028】本件出願人は既にイオンマイクロプローブ
を利用したイオン照射装置を開発し、特に狙った部位に
イオン1個もしくは制御された所定数イオンを精度良く
照射するシングルイオンもしくは制御された所定数イオ
ン照射が可能なイオン照射装置及び方法を特願平4−8
4904号に開示している。その概要を以下に述べる。
図4は上記先行技術によるイオン照射装置の原理構成図
である。
【0029】先行技術では、イオンマイクロプローブ
と、前記イオンマイクロプローブより発生されたマイク
ロイオンビーム40と、前記マイクロイオンビーム40
を偏向する偏向板(41)と、前記偏向板(41)によ
り前記マイクロイオンビーム40を偏向する電界制御
(ビームチョッパ)回路(42)と、前記偏向されたマ
イクロイオンビームから所定数のイオンを抽出するため
のマイクロスリット(43)と、前記イオンを照射する
試料(44)を装着する試料保持機構と、前記試料(4
4)表面をリアルタイムに観察するSEM機構を含み前
記試料(44)表面に照射されたイオンによって発生さ
れる2次電子を検出する検出系とからなる前記イオン照
射装置において、前記マイクロイオンビーム40の偏向
方向が前記マイクロスリット(43)に対して瞬間的に
反転されチョップされることにより前記マイクロスリッ
ト(43)から所定数のイオンを抽出することを特徴と
するイオン照射装置としての構成、或いは、上記装置に
おいて、1個〜任意数の制御されたイオンを抽出して前
記試料(44)表面に照射する方法としての構成を有す
る。
【0030】上記装置の動作方法としては、(1)マイ
クロイオンビーム40を一方向に偏向させ、マイクロス
リット43でビームを遮っておく工程と、(2)マイク
ロイオンビーム40の偏向方向を瞬間的に反転させる工
程と、(3)ターゲットチェンバー45内の試料44よ
り放出される二次電子46を二次電子増倍管47で検出
し、シングルイオンが抽出照射されたことを確認する工
程から成り立っている。
【0031】先行技術の発明によるイオン照射装置及び
方法の特徴は制御性良く1個〜任意数のイオンを抽出す
るというイオン生成技術にある。従来公知のビームマイ
クロ化技術及び照準技術と組み合わせることによって初
めて実現されるものであるが、重要な構成要素は、単一
イオンを抽出するためのマイクロイオンビームの偏向の
チョッピングとスリット幅とマイクロイオンビーム電流
及びビーム径にある。本願発明者は上記構成要素を適切
に選ぶための実験を繰り返すことによって制御性良く単
一イオンを抽出する条件を見出した。単一イオンを制御
性良く抽出する方法が見出されたことと同時に、任意数
のイオンを制御性良く抽出することも可能となった。
【0032】従来単一イオンもしくは任意数のイオンを
制御性良く抽出するという装置及び方法は提案されてい
なかったが、発明者らはこの方法を実験的に見出し、確
認した。この単一イオンもしくは任意数イオンの制御性
の良い生成技術は従来公知の技術ではなく、また従来技
術を組み合わせることによっても容易には得ることので
きない技術である。
【0033】装置構成全体としては従来公知のビームマ
イクロ化技術によるイオンマイクロプローブ及び狙った
部位にイオン流を照射する照準技術と組み合わせること
によって、単一イオンもしくは任意数のイオンを制御性
良く抽出し、かつ狙った部位に上記単一イオンもしくは
任意数のイオンを精度良く照射するイオン照射装置及び
方法が確立されたものである。
【0034】先行技術によるイオン照射装置及び方法に
よれば、1個の集積回路の各部位に任意のエネルギーで
イオンを1個だけを照射することができるため、その時
の現象(CMOSのラッチアップ、DRAMのソフトエ
ラーなど)を人為的に起こし、その部位の放射線耐性を
評価するのに適用することができる。
【0035】また、狙った場所に精度良くイオン1個を
照射できるため半導体デバイスの放射線耐性を各部位ご
とに測定でき、誤動作を起こし易い場所を特定すること
ができる。
【0036】大規模集積回路や細胞など、微細な構造を
もつ標的の、任意の場所に、単一の高エネルギーイオン
を照射することができる。また、宇宙空間や地上など、
実際の使用環境の中で、自然現象として散発的に発生す
る高エネルギーイオンによる集積回路の誤動作を、人為
的に起こさせることが可能になった。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】本件出願人は上記シン
グルイオン照射装置及び方法によって得られた技術を更
に発展させて、シングルイオン注入装置及び方法を開発
した。
【0038】従って、本発明の目的の1つは、スポット
径50nm程度以下、加速エネルギー10〜100ke
Vの集束イオンビーム(FIB)を利用した低エネルギ
ーシングルイオン注入装置及び方法を提供することにあ
る。
【0039】本発明の別の目的の1つは、既に開発され
たシングルイオンマイクロプローブをドーパントイオン
注入及び高LETイオン照射に利用するために、Csス
パッタイオン源を増設した、高エネルギーシングルイオ
ン注入装置及び方法を提供することにある。
【0040】本願明細書において使用する“単一(シン
グル)イオン”という用語は以下に定義されるものであ
る。即ち、本発明で単一イオンとは、従来公知の集束イ
オンビーム(FIB)もしくはイオンマイクロプローブ
を使用して生成されたマイクロイオンビーム(MIB)
において、単一イオン生成用スリット直前まではイオン
流(ion stream)であり、上記スリットを通過後所定の時
間間隔内では単一イオンとなるものをいう。また本願明
細書中で使用する技術用語を以下に定義する。
【0041】シングルイオン注入法(Single Ion Implan
tation ; SII)とはドーパント原子をイオン化し、1個
ずつ固体に打ち込むことをいう。加速エネルギーは、イ
オンマイクロプローブを用いる場合1〜4.5 MeV、集
束イオンビームシステムを用いる場合は10〜100k
eVである。
【0042】イオンマイクロプローブ(Ion Micro Prob
e ; IMP )とは静電型加速器から出射されるイオンビー
ムを1μmφ程度にコリメートして、ラザフォード後方
散乱法(RBS)、粒子線励起X線分光(PIXE)、
などを行う装置をいう。
【0043】集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam
System ; FIB)とはサブミクロン以下の寸法に集束され
たイオンビームを用いて、イオン注入、極微パターン形
成、局部的な化学反応誘起、などを行う装置をいう。
【0044】量子ドーピング(Quantum Doping) とは極
微構造に、ドーパント原子を1個ずつ数えながら添加す
る意味に用いているが本願発明において初めて明確化さ
れた技術である。
【0045】トリミングとは一般的な意味は刈り込みで
あるが、ここでは、FIBにより10nmオーダの寸法
のパターンを形成する意味に用いている。
【0046】STM(Scanning Tunneling Microscope
)とは走査型トンネル顕微鏡である。
【0047】BEEM(Ballistic-Electron-Emission
Microscope)とは弾道電子放射顕微鏡であり、STMを
改良して、pAオーダの電流計測を可能にし、ショット
キー障壁の2次元分布測定、などに用いる。
【0048】ミキシングとは固体に入射されたイオン
は、飛程付近で固体を構成する原子を多数変位させるの
で、これを利用して積層界面を構成する2層を混合する
ことをいう。イオンの数が少なければミキシングされた
領域は局在する。
【0049】陽電子消滅とは電子の反粒子である陽電子
が電子と衝突して対消滅を起こし、γ線を放出する現象
をいう。結晶の空格子点に捕獲された電子と選択的に衝
突するので、空格子点の検出に利用される。
【0050】従来のイオン注入法においても、固体の同
じ場所に同時に2個以上のイオンが入射することは確率
的にありえないが、イオン銃を振り回すことによって1
箇所に1個ずつのイオンを周期的に入射させることにG
SIのFischer が成功している[B.E.Fischer, Nucl. I
nstr. & Merth., B54(1991)401]。本願発明者は、1986
年より高エネルギーイオンビームをコリメートし、微小
部の分析に応用する研究に着手し、3MeVHeイオン
ビームを1.7 ×1.9 μm2 に集束することに成功してい
る(イオンマイクロプローブ技術)。また、イオン照射
を行う前に目標部位に照射損傷を全く与えない照準方法
を開発した[I.Ohdomari, M.Sugimori,M.Koh, K.Norita
ke, M.Ishikawa, H.Shimizu, R.Tanaka, T.Kamiya and
N.Utsunomiya, Nucl. Instr. & Meth. B54(1991)71
]。その後、図4の原理を用いてイオンビームから1
個のイオンを抽出、照射する技術を開発し、実際に1個
のイオンの抽出が可能であることを確認している。この
技術をイオンマイクロプローブ技術、照準技術と統合す
ることにより、μmオーダの微小部位にHeイオンを文
字通り1個ずつ照射することに成功している。現在、シ
ングルイオン照射が行えるのは、世界で本願発明者のグ
ループのみであり、FIBの導入及びイオン源の改良に
よってシングルイオン注入を行うことが本発明の特徴で
ある。
【0051】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明においては以下の構成を採用している。即ち、
【0052】本発明は、第1の超高真空槽(1)と、
【0053】前記第1の超高真空槽(1)に接続された
試料準備室としての第2の超高真空槽(2)と、
【0054】前記第1の超高真空槽(1)に接続された
シングルイオン注入用集束イオンビーム装置(3)とか
ら構成された低エネルギーイオン注入装置において、
【0055】前記シングルイオン注入用集束イオンビー
ム装置はビームチョップによりシングルイオンを抽出す
ることを特徴とする低エネルギーシングルイオン注入装
置としての構成を有する。
【0056】或いはまた、集束イオンビーム(FIB)
装置の標準的な構成要素に対して、シングルイオン注入
用の構成要素を加えた低エネルギーシングルのイオン注
入装置において、
【0057】標準的な構成要素としては、試料トリミン
グ用液体金属イオン源6と、加速器7と、コンデンサレ
ンズ8と、質量分析器9と、静電型対物レンズ10と、
アパーチャ11と、走査偏向用電極12と、試料13
と、試料ステージ14と及び二次電子検出器15とを含
み、
【0058】シングルイオン注入用の構成要素として
は、シングルイオン照射用液体金属イオン源16と、加
速器17と、コンデンサレンズ18と、静電型円筒プリ
ズム19と、ビームチョップ用静電偏向板20と、シン
グルイオン抽出用アパーチャ21と、抽出されたシング
ルイオンを検出するための2次電子検出器15と、及び
シングルイオン入射によって発生した一光子検出用スト
リークカメラ22とを具備することを特徴とする低エネ
ルギーシングルイオン注入装置としての構成を有する。
【0059】或いはまた、RFイオン源23と、インジ
ェクタ24と、加速器25と、分析電磁石26と、マイ
クロイオンビームライン27に対しては精密四重極磁気
レンズ29とSEM付ターゲットチェンバー30と、組
成分析用ビームライン28に対してはRBS用チェンバ
ー31とPIXE用チェンバー32とを具備するイオン
マイクロプローブを利用する高エネルギーシングルイオ
ン注入装置において、
【0060】更にCsスパッタイオン源33及び分析電
磁石34を具備することによって、ドーパントイオン注
入及び高LETイオン照射を行なうことを特徴とする高
エネルギーシングルイオン注入装置としての構成を有す
る。
【0061】或いはまた、水素,He,酸素,Si及び
半導体のドーパントとなる各種イオンを1個ずつ取り出
すシングルイオン抽出工程と、
【0062】試料の極微小領域を的にして絞り、前記抽
出されたシングルイオンが注入されるべき領域に照準す
る照準工程と、
【0063】前記1個ずつ抽出されたシングルイオンを
前記照準された試料の極微小領域に所定の高エネルギー
もしくは低エネルギーの加速エネルギーにて打ち込むシ
ングルイオン注入工程とを含む高エネルギーもしくは低
エネルギーシングルイオン注入方法としての構成を有す
る。
【0064】
【作用】本発明のシングルイオン注入装置及びシングル
イオン注入方法においては、極微構造の物性制御の手段
として、水素、He、酸素、Si及び半導体のドーパン
トとなる各種イオンを1個ずつ取り出し(シングルイオ
ン抽出)、試料の極微小領域を的(ターゲット)にして
照準し、シングルイオン注入を行なう。シングルイオン
注入装置としては、静電加速器を改良してマイクロイオ
ンビーム(MIB)をビームチョップしてシングルイオ
ンに抽出する高エネルギーシングルイオン注入装置(1
〜4.5 MeV)と、集束イオンビーム(FIB)を改良
してシングルイオン注入を可能とした低エネルギーシン
グルイオン注入装置(10〜100keV)を利用す
る。照準の精度としては、前者は1.5 μmφ、後者は2
0nmφである。
【0065】
【実施例】本発明のシングルイオン注入装置及びその方
法は以下の3つの要素技術、即ち、(1)イオンビーム
集束技術、(2)照導技術及び(3)シングルイオン抽
出技術を組み合わせることによって実現されている。
【0066】(1)イオンビーム集束技術 低エネルギーシングルイオン注入装置としては、スポッ
ト径50nm程度以下、加速エネルギー10〜100k
eVの集束イオンビーム装置(FIB)を導入する。た
だし、Si,Ga,B,P,As,Sb等様々なイオン
種を用いるため、E×B質量分析器9が必須であり、さ
らにシングルイオン照射用のイオン源には中性粒子によ
る試料損傷を避けるために、イオン軌道を静電型円筒プ
リズム19によって偏向するレイアウトを採用する。こ
れによって試料トリミング用液体金属イオン源6との共
存が可能となり、試料の加工及びシングルイオン注入の
両作業を容易に行うことが可能となる。高エネルギーシ
ングルイオン注入装置では、すでに開発されたシングル
イオンマイクロプローブを、ドーパントイオン注入及び
高LETイオン照射に利用するために、Csスパッタイ
オン源33を増設した。
【0067】(2)照準技術 シングルイオンの入射位置を特定するためには、試料表
面の高分解能観察が必要である。低エネルギーシングル
イオン注入装置ではSEMを用いず、イオンビーム走査
によって得られる2次電子像を利用する。照準は、先行
技術(特願平4−84904号)において開示された高
エネルギー(1〜4.5 MeV)のシングルイオン照射装
置ですでに明示された方法、すなわち試料上の標準点と
入射位置の相対座標測定及び高精度ゴニオメータによる
位置決め、を低エネルギーシングルイオン注入装置及び
その方法においても応用する。また、高い照準精度を得
るためには振動対策が必要であり、特に10nmオーダ
の照射精度を目指す低エネルギーシングルイオン注入装
置においては、装置全体を防振台上に乗せている。
【0068】(3)シングルイオン抽出技術 すでに高エネルギーのシングルイオン照射装置(特願平
4−84904号)において開示された、ビームチョッ
プによるシングルイオン抽出法を、低エネルギーシング
ルイオン注入装置及び方法においても採用する。この
際、集束イオンビーム装置(FIB)に組み込まれてい
るビームブランキング用の偏向板をビームチョップ用静
電偏向板20として利用して、ビームチョップを行う。
【0069】図1は本発明の第1の実施例としての低エ
ネルギーシングルイオン注入装置の原理的構成図であ
り、図2はその具体的構成図である。図1において、1
は第1の超高真空槽、2は試料準備室としての第2の超
高真空槽、3はシングルイオン注入用集束イオンビーム
装置、4は走査型トンネル顕微鏡である。
【0070】第1、第2の極高真空または超高真空槽
1,2は、ともに同じ性能のものを使用するが、第2の
超高真空槽2には比較的ガス放出の多いシングルイオン
注入用集束イオンビーム装置(FIB)3、走査型トン
ネル顕微鏡(STM)4が付加されているため、Si基
板表面の清浄化、清浄表面の評価には、専ら第1の超高
真空槽1を使用し、その他、走査型トンネル顕微鏡(S
TM)による表面観察、量子細線構造のトリミング、シ
ングルイオン注入には、第2の超高真空槽2を使用す
る。
【0071】図2は図1のシングルイオン注入用集束イ
オンビーム装置(FIB)よりシングルイオン48を抽
出する部分の構成を具体的に示しており、集束イオンビ
ーム装置(FIB)の標準的な構成要素に対して、シン
グルイオン注入用の構成要素を新たに加えた構成となっ
ている。以下具体的に説明する。標準的な構成要素とし
ては、試料トリミング用液体金属イオン源6と、加速器
7と、コンデンサレンズ8と、質量分析器9と、静電型
対物レンズ10と、アパーチャ11と、走査偏向用電極
12と、試料13と、試料ステージ14と及び二次電子
検出器15が含まれている。これらの標準的な構成要素
に対して、新たに本発明においてはシングルイオン注入
のための構成として、シングルイオン照射用液体金属イ
オン源16と加速器17と、コンデンサレンズ18と、
静電型円筒プリズム19と、ビームチョップ用静電偏向
板20と、シングルイオン抽出用アパーチャ21と、抽
出されたシングルイオン48と、及び一光子検出用スト
リークカメラ22を具備している。
【0072】試料トリミング時、及び2次電子像取得時
には、標準的構成の集束イオンビーム装置(FIB)を
使用する。即ち、試料トリミング用液体金属イオン源6
で発生したイオンビームは、加速器7を通して所望のエ
ネルギーまで加速され、コンデンサレンズ8によって集
束を受ける。その後、質量分析器9により所望の質量
数、価数のイオンが選択され、最終的に試料に照射され
試料表面の原子をスパッタする。
【0073】シングルイオン注入時には、標準的構成に
加え、新たに付加されたシングルイオン照射用液体金属
イオン源16を使用する。シングルイオン照射用液体金
属イオン源16、加速器17、コンデンサレンズ18
は、試料トリミング時と同様にイオンビームを加速、集
束させる働きがあるが、その後イオンビームは静電型円
筒プリズム19によってその軌道が偏向される。この静
電型円筒プリズム19の作用によって、質量分析器8で
は除去することができず、レンズの集束作用も受けない
電気的中性粒子が、シングルイオン注入時に試料に到達
するのを防ぐことができる。このようにして、電気的中
性粒子を取り除かれたイオンビームから、質量分析器9
によって所望の質量数、価数のイオンビームを選択して
取り出す。さらにこのイオンビームより、ビームチョッ
プ用静電偏向板20、シングルイオン抽出用アパーチャ
21によってシングルイオン48を抽出し、試料の希望
する部位に照射する。
【0074】抽出されたシングルイオン48の試料への
入射は、2次電子検出器15によって検出され、またシ
ングルイオン入射に伴う発光現象を一光子検出用ストリ
ークカメラ22によって検出する。
【0075】図3は本発明の第2の実施例としての高エ
ネルギー(1〜4MeV)シングルイオン注入装置の模
式的ブロック構成図である。図3においては従来技術に
おいて説明した装置、即ち、イオンマイクロプローブよ
り得られたマイクロイオンビーム(MIB)をビームチ
ョップすることによりシングルイオンを抽出する点に特
徴を有するシングルイオン照射装置を利用している。即
ち、図3に図示した模式的ブロック構成図においては従
来技術におけるシングルイオン照射装置の構成要素に対
して、新たにドーパントイオン注入及び高LET(イオ
ンが単位飛程において失うエネルギー)イオン照射に利
用するためにCsスパッタイオン源33を具備してい
る。図3において、従来のイオンマイクロプローブを利
用した(MIB)シングルイオン照射装置はRFイオン
源23と、インジェクタ24と、加速器25と分析電磁
石26とマイクロイオンビームライン27に対しては精
密四重極磁気レンズ29とSEM付ターゲットチェンバ
ー30、組成分析用ビームライン28に対してはRBS
用チェンバー31とPIXE用チェンバー32とを具備
している。本発明の高エネルギーシングルイオン注入装
置においては上記従来構成に対して、更にCsスパッタ
イオン源33及び分析電磁石34を具備することによっ
て、ドーパントイオン注入及び高LETイオン照射を実
現している。Heだけでなく様々なLET(イオンが単
位飛程において失うエネルギー)のシングルイオン注入
を行なうために、従来のシングルイオンマイクロプロー
ブに新たなイオン源を増設することにより、この目的は
達成される。
【0076】RFイオン源23は、主にH,Heガスを
イオン化するために設計されており、低LETのシング
ルイオン照射時、及びRBS,PIXEの分析時に使用
される。一方、Csスパッタイオン源33は、固体をイ
オン化することができ、RFイオン源23では得られな
いドーパントイオン、高LETイオンを発生させること
ができる。従って、シングルイオン注入、高LETイオ
ン照射時においては、Csスパッタイオン源33を使用
する。分析電磁石34は、これら2つのイオン源のうち
の1つを選択する働きの他に、イオン源より引き出され
たビームから所望のイオン種のみ選び出すのに使用され
る。分析電磁石34を出たイオンビームは、インジェク
タ24中の静電レンズにより集束され、加速器25に注
入される。加速器25によって加速されたイオンは様々
な価数に応じたエネルギーを持っており、再び分析電磁
石26により、所望の価数、エネルギーを選択する。こ
の分析電磁石26はまた、組成分析用ビームライン28
とマイクロイオンビームライン27を切り換える働きも
有する。組成分析用ビームライン28は、H,Heイオ
ンを用いたRBS,PIXE分析に使用される。マイク
ロイオンビームライン27は、シングルイオン抽出のた
めの機能を持ち、シングルイオン(ドーパント)注入、
シングルイオン照射時に使用される。マイクロイオンビ
ームライン27において抽出されたシングルイオンは、
精密四重極磁気レンズ29によって、SEM付ターゲッ
トチェンバー30内の試料上の一点に、ミクロンオーダ
の精度で照射される。このSEM付ターゲットチェンバ
ー30に取り付けられているSEMを使用し、イオン照
射位置を高精度に決定することができる。
【0077】0.1 μm以下に縮小される極微構造デバイ
スについて過渡現象に関する基礎的データを得るために
は10nmオーダの照準精度を持った装置の導入が不可
欠であるが、この目的のためには、上述の如く50nm
以下のプローブ径を持ったFIB装置を利用し、これに
シングルイオンマイクロプローブで得たシングルイオン
抽出及び高精度ゴニオメータ等による照準技術を導入す
ることによって極めて高精度の低エネルギーシングルイ
オン注入装置を実現することができた。
【0078】従来のイオン注入法または熱拡散法によっ
て不純物をドープする場合、不純物は半導体中にランダ
ムに分布するので、その存在確率はポアソン分布を用い
て示すことができる。微小体積を考え、その中の平均の
不純物数をλ個とすると、n個の不純物が存在する確率
【0079】
【数1】
【0080】となる。また、この時のゆらぎδは
【0081】
【数2】
【0082】と定義され、微小体積中に存在し得る不純
物原子数の平均値の二乗根に反比例する。従って、不純
物濃度の低下、あるいは系の体積の縮小化に伴い、その
系にふくまれる不純物の平均値は小さくなり、ゆらぎは
その二乗根に反比例しながら増加することになる。本発
明のシングルイオン注入法の場合、微小構造体には常に
一定数の不純物原子がドープされるので、本質的にゆら
ぎは生じない。面積50nm×50nm、長さ100n
mの極微抵抗体にドーピングを行う場合のドーパント数
のゆらぎを、従来法とシングルイオン注入法による場合
を比較して下の表2にまとめた。
【0083】
【表2】 (注)平均2.5個の場合、シングルイオン注入法では
2個あるいは3個を打つことになり、平均からの偏差は
0.5個となる。
【0084】本発明のシングルイオン注入装置及びその
方法を用いて極微構造の物性制御を行なう具体的方法を
以下に述べる。
【0085】(1)表面構造 表面における酸素の蓄積量を人為的に制御するため
に、10-12 Torrの極高真空中での表面評価を行う。本
発明者の現有している極高真空槽には、反射高速電子線
回析法のための電子銃が装備されており、表面を動的に
観察することが可能となってる。この方法によって、真
空雰囲気から吸着する酸素の量を減少させることができ
る。
【0086】 Si(111)表面の1×1→7×7
構造相転移温度が実験条件の改善と共に、次第に低下し
てきた事実をふまえて、この構造相転移を極高真空中に
おいて再評価し、低温相である7×7構造の核生成と酸
素の関係を把握することができる。
【0087】 超高真空中で清浄化過程を得たSi基
板に、低エネルギーシングルイオン注入装置を用いて酸
素イオンを照射し、7×7超構造を誘起する。その際、
酸素イオンの入射エネルギー、数、基板温度、基板表面
の形状(ステップ密度、欠陥の有無等)などを常に観察
し、表面構造相転移との相関を高温用STM及びRHE
EDを用いて調べた。
【0088】 低エネルギーシングルイオン注入シス
テムを用いて、阻止電場によりイオンを物質表面に軟着
陸させ、金属核の形成を試みた。イオンをどれだけ低速
にできるかが重要なファクタである。
【0089】 形成された核を、同チャンバー内に取
り付けられたSTMを用いて観測する。主として、イオ
ンの吸着サイト、核の原子配列について情報を得ること
ができる。
【0090】 理論的なアプローチとして、核形成の
メカニズムを分子軌道法により解析した。すなわち、核
形成のためにどの程度の活性化エネルギーが必要か、ま
た表面を破壊せずに核が作成可能か、他の2次的な化合
物が生成しないか、実際にできた構造が熱的に安定構造
となるかなどを判断した。
【0091】 STMで観測される像は、表面の局所
的な電子状態を反映しているだけなので、実際の原子の
存在を直接的には観測できない。そこで、分子軌道から
STM像の理論的な解釈を行うことが望ましい。
【0092】(2)界面制御 本発明のシングルイオン注入装置及びその方法を用
いて、金属/半導体界面に、任意の個数のイオンを高い
位置精度を持って入射させ、BEEMによる電流−電圧
特性の測定ならびにショットキー障壁特性の評価を行っ
た。イオンの入射が原子変位あるいはミキシングによっ
て界面の原子配列を変化させると仮定すると、イオンの
飛程に沿って、イオンの個数に比例する再結合中心ある
いは低障壁層が出現する。
【0093】 H2 等の各種雰囲気での熱処理による
変化を同様の方法によって評価し、界面特性を支配する
要因を定量的に知ることができる。
【0094】 微細MOSFET構造のゲート酸化膜
/Si界面にシングルイオン注入を行い、MOSFET
特性に及ぼすイオン照射の効果を定量的に明らかにする
ことができる。
【0095】 の試料にH2 等の各種雰囲気で熱処
理を施し、MOSFET特性に及ぼす熱処理の効果か
ら、界面準位の挙動に関するデータを得ることができ
る。
【0096】(3)不純物制御 SIMOX−Si基板(高濃度酸素イオン注入及び
熱処理により埋込みSiO2 を形成し、表面に数nm〜
数100nmの薄い単結晶Si層を残す基板)をFIB
によってトリミングし、極微抵抗体構造を形成する。抵
抗体の寸法は、スケーリングによって比抵抗以外は一定
となるように各種準備し、比抵抗をシングルイオン注入
によって制御する。
【0097】 従来のイオン注入法によってドーピン
グを行った同種の抵抗体構造を準備し、両構造の抵抗値
及び雑音電圧の計測を行って、本発明のシングルイオン
注入の手法による場合、抵抗値のゆらぎ及び雑音が著し
く低減される。
【0098】(4)デバイス制御 通常の環境で使用されているレベルのデバイスに対
し、高エネルギーシングルイオン注入装置を用いて、様
々な位置へのイオン照射効果を評価した。これにより、
デバイス中でイオン入射による過渡現象が発生し易い領
域を特定することができる。
【0099】 より高いLETのイオンを用いて同様
の評価を行い、ソフトエラー等の過渡現象を比較的観測
しにくい部位においても、照射効果を評価した。
【0100】 、の結果を、デバイス構造と併せ
て考察することにより、過渡現象に対する耐性強化のた
めの指針を得ることができる。
【0101】 低エネルギーシステムを利用して、0.
1 μm以下の極微構造デバイスの照射効果を評価する。
なと、このターゲットとなるデバイスは、同じFIB装
置でドーパントを打ち込むことにより製作した。デバイ
スの製作とイオン照射効果評価を同一のFIB装置を利
用して行うことにより、シングルイオン照射位置を正確
に決定することができる。
【0102】本発明は、全体として、電子工学、材料化
学、固体物理、量子化学、放射線物理及びデバイス物理
に及んでおり、新しい学際的学術分野の発展に大きく貢
献できる発明である。
【0103】本発明によって、核形成制御が実現される
ため、電子のトンネル効果を利用したシングルエレクト
ロントランジスタ(SET)を構成する際に、トンネル
接合を通り抜けた単電子が捕獲される絶縁体中の数10
nm径の浮遊ゲートを作成するための第一段階の工程が
完成する。
【0104】シングルイオンの入射により生じる界面反
応の原始的素過程が解明されるため、極微界面制御を行
う上での重要な知識が得られる。
【0105】量子化ドーピングは、従来連続量と考えら
れていた不純物濃度が極微構造においては離散量になる
という指摘を、シングルイオン注入という手法により初
めて実証するものであり、デバイス物理におけるスケー
リングの限界の議論に実証的な裏付けを与えるものであ
る。
【0106】1個のシングルイオンによるデバイス動作
の過渡応答は、従来ランダム照射後の統計的処理という
手法に頼らざるを得なかったデバイスの動作テストを、
デバイスの個々の部位毎に、任意のバイアス条件下で行
えるという点で画期的である。
【0107】
【発明の効果】本発明のシングルイオン注入装置及び方
法によれば、低エネルギー(10keV〜100ke
V)のシングルイオンを抽出し、かつ20nmφの照準
精度でシングルイオン注入することができ、或いはまた
高エネルギー(1〜4MeV)のシングルイオンを抽出
し、1.5 μmφの照準精度でシングルイオン注入するこ
とができる。
【0108】本発明のシングルイオン注入装置及び方法
によれば、極微細構造の物性制御として表面制御、界面
制御、不純物制御、デバイス制御を行なうことができ
る。更にまた、陽電子消滅法或いは一光子検出と組み合
わせることによって、シングルイオン注入照射損傷に伴
なう点欠陥の挙動を解明することができるのはもちろん
である。
【0109】本発明では、極微構造の物性制御の手段と
して、イオンを1個ずつ抽出して、試料の極微小部に注
入するシングルイオン注入法(Single Ion Implantatio
n, SII)を実現した。本発明によれば、極微構造デバイ
スの構成要素である表面、界面、及び数10〜数100
nmの寸法の極微構造体ならびにこれらを集積した構造
のデバイスに対するシングルイオン注入を行なうことが
できる。加える操作とその効果の因果関係の理解が必要
であるが、1個のイオンの注入は、最も単純な究極の操
作であり、他の凡ゆる物性制御手段に比べて、最も容易
である。
【0110】(1)表面制御 本発明のシングルイオン注入装置及び方法によれば極高
真空中(10-12Torr)でSi(111)面に酸素イオン
を照射することにより7×7超構造の形成を制御するこ
とができる。
【0111】第二に、核形成制御、即ち固体表面上の任
意の場所へ、特定の原子からなる成長核を自由に形成す
ることができる。固体表面に人工的に核を植え付けるこ
とができると、その物質を選択化学堆積法等の方法を用
いて島成長させることにより、極めて微細な物資領域を
2次元もしくは3次元的に形成することが出来る。核形
成制御は、主としてFIBを改良してシングルイオンを
抽出した低エネルギーシングルイオン注入装置におい
て、さらに阻止電場を印加してイオンを固体表面に軟着
陸させることにより行うことができる。
【0112】(2)界面制御 本発明のシングルイオン注入装置によれば金属/半導体
及びSiO2 /Siの2種類の界面について、シングル
イオン注入を行い、界面準位の発生及び局所ミキシング
制御することができる。金属半導体界面においては、再
結合電流や低障壁相の出現などショットキー障壁特性に
不均一を生じることになるので、これらを、高い空間分
解能(2nm)を持つ界面分析装置である弾道電子放射
顕微鏡(Ballistic-Electron-Emission Microscope : B
EEM)を利用する。SiO2 /Si界面については、界面
準位発生の効果が支配的であり、極微MOSFET構造
における電気的特性のゆらぎを制御することができる。
【0113】(3)不純物制御 従来の拡散あるいはイオン注入法による不純物ドーピン
グでは、ドーパントの個数及び位置は本質的にランダム
に分布し、これが極微構造デバイスの特性のゆらぎをも
たらす最大の原因であるので、本発明によるシングルイ
オン注入装置及びその方法によれば極微の抵抗体構造に
量子化ドーピング、すなわち、ドーパントイオンを所定
の数だけイオン注入し、不純物原子数のゆらぎに起因す
る特性のゆらぎを完全に解消することができる。
【0114】(4)デバイス制御 ソフトエラーに代表されるデバイスの過渡応答現象は、
デバイスを縮小化するほど顕著になり、デバイス縮小化
を行う上で大きな妨げとなる。本発明によるシングルイ
オン注入装置及びその方法では、デバイスの任意の微小
部位にイオンを1個ずつ照射し、過渡応答のイオン種、
イオンの個数、エネルギー依存性等を精度良く測定する
ことができる。
【0115】シングルイオン注入によって固体中に発生
する照射損傷は、シングルイオン注入というよく定義さ
れた操作が誘起する効果を妨げる要因となるので、点欠
陥の挙動を陽電子消滅法によって直接的に、また照射中
の再結合過程を一光子検出によって間接的に、それぞれ
計測してもよい。極微構造試料作成に用いるFIBも高
度の照射損傷をもたらすので、加工手段としての適性を
評価するという観点から、同上の手段により点欠陥の挙
動を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての低エネルギーシ
ングルイオン注入装置の原理的構成図
【図2】本発明の第1の実施例としての低エネルギーシ
ングルイオン注入装置の具体的構成図
【図3】本発明の第2の実施例としての高エネルギーシ
ングルイオン注入装置のブロック図
【図4】先行技術によるイオン照射装置の原理構成図
【符号の説明】
1 超高真空槽 2 超高真空槽(試料準備室) 3 シングルイオン注入用集束イオンビーム装置(FI
B) 4 走査型トンネル顕微鏡(STM) 5 ストリークカメラ(一光子検出用) 6 試料トリミング用液体金属イオン源 7 加速器 8 コンデンサレンズ 9 質量分析器 10 静電型対物レンズ 11 アパーチャ 12 走査偏向用電極 13 試料 14 試料ステージ 15 二次電子検出器 16 シングルイオン照射用液体金属イオン源 17 加速器 18 コンデンサレンズ 19 静電型円筒プリズム 20 ビームチョップ用静電偏向板 21 シングルイオン抽出用アパーチャ 22 一光子検出用ストリークカメラ 23 RFイオン源 24 インジェクタ 25 加速器 26 分析電磁石 27 マイクロイオンビームライン 28 組成分析用ビームライン 29 精密四重極磁気レンズ 30 SEM付ターゲットチェンバー 31 RBS用チェンバー 32 PIXE用チェンバー 33 Csスパッタイオン源 34 分析電磁石 40 マイクロイオンビーム 41 偏向板 42 ビームチョッパ回路 43 マイクロスリット 44 試料 45 ターゲットチェンバー 46 二次電子 47 二次電子倍増管 48 抽出されたシングルイオン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の超高真空槽と、 前記第1の超高真空槽に接続された試料準備室としての
    第2の超高真空槽と、 前記第1の超高真空槽に接続された集束イオンビーム装
    置とから構成された低エネルギーイオン注入装置におい
    て、 前記集束イオンビーム装置はビームチョップによりシン
    グルイオンを抽出することを特徴とする低エネルギーシ
    ングルイオン注入装置。
  2. 【請求項2】 集束イオンビーム(FIB)装置の標準
    的な構成要素に対して、シングルイオン注入用の構成要
    素を加えた低エネルギーシングルイオン注入装置におい
    て、 標準的な構成要素としては、試料トリミング用液体金属
    イオン源と、加速器と、コンデンサレンズと、質量分析
    器と、静電型対物レンズと、アパーチャと、走査偏向用
    電極と、試料と、試料ステージと及び二次電子検出器と
    を含み、 シングルイオン注入用の構成要素としては、シングルイ
    オン照射用液体金属イオン源と、加速器と、コンデンサ
    レンズと、静電型円筒プリズムと、ビームチョップ用静
    電偏向板と、シングルイオン抽出用アパーチャと、抽出
    されたシングルイオンを検出するための2次電子検出器
    と、及びシングルイオン入射によって発生した一光子検
    出用ストリークカメラと、を具備することを特徴とする
    低エネルギーシングルイオン注入装置。
  3. 【請求項3】 RFイオン源と、インジェクタと、加速
    器と、分析電磁石と、マイクロイオンビームラインに対
    しては精密四重極磁気レンズとSEM付ターゲットチエ
    ンバーと、組成分析用ビームラインに対してはRBS用
    チェンバーとPIXE用チェンバーとを具備するイオン
    マイクロプローブを利用する高エネルギーシングルイオ
    ン注入装置において、 更にCsスパッタイオン源及び分析電磁石を具備するこ
    とによって、ドーパントイオン注入及び高LETイオン
    照射を行なうことを特徴とする高エネルギーシングルイ
    オン注入装置。
  4. 【請求項4】 水素,He,酸素,Si及び半導体のド
    ーパントとなる各種イオンを1個ずつ取り出すシングル
    イオン抽出工程と、 試料の極微小領域を的にして絞り、前記抽出されたシン
    グルイオンが注入されるべき領域に照準する照準工程
    と、 前記1個ずつ抽出されたシングルイオンを前記照準され
    た試料の極微小領域に所定の高エネルギーもしくは低エ
    ネルギーの加速エネルギーで打ち込むシングルイオン注
    入工程とを含む高エネルギーもしくは低エネルギーシン
    グルイオン注入方法。
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