JPH0775156B2 - イオン照射装置及び方法 - Google Patents

イオン照射装置及び方法

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JPH0775156B2
JPH0775156B2 JP4084904A JP8490492A JPH0775156B2 JP H0775156 B2 JPH0775156 B2 JP H0775156B2 JP 4084904 A JP4084904 A JP 4084904A JP 8490492 A JP8490492 A JP 8490492A JP H0775156 B2 JPH0775156 B2 JP H0775156B2
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ions
micro
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irradiation
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純一 村山
明植 黄
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貴 松川
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▲巌▼ 大泊
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    • H01J37/26Electron or ion microscopes; Electron or ion diffraction tubes
    • H01J37/28Electron or ion microscopes; Electron or ion diffraction tubes with scanning beams
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイオンマイクロプローブ
を利用したイオン照射装置に関し、特に狙った部位にイ
オン1個もしくは制御された所定数イオンを精度良く照
射するシングルイオンもしくは制御された所定数イオン
照射が可能なイオン照射装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】情報処理技術の進歩により、高機能な通
信衛星が要求されるようになり高集積化された半導体デ
バイスが搭載されるようになってきた。宇宙空間には放
射線が数多く飛来しており、搭載されている半導体デバ
イスは放射線にさらされていることになる。宇宙空間の
放射線による劣化や一時的に誤動作をする現象(シング
ルイベント効果など)が大きな問題になってきている。
放射線による劣化や一時的な誤動作は、宇宙空間のみな
らず、放射性同位元素の崩壊により地球上でも起こり得
るものであり、DRAM (Dynamic Random Access Memo
ry) など高集積化された半導体デバイスの開発において
最も重要な問題として対策がなされている。
【0003】人工衛星に搭載される集積回路は、故障時
の交換が不可能であるため、打ち上げ前に厳しい耐久性
試験を行う。高エネルギーイオンに対する耐久性を調べ
る従来の照射試験では、多数の集積回路の広い範囲に、
無差別にイオンを照射し、誤動作の起こる確率を統計的
に処理することによって、照射に対する耐久性を調べて
いた。このため、誤動作を起こし易い場所(部位)の特
定が不可能であり、耐久性の高い集積回路を開発する決
め手に欠けていた。
【0004】単一イオンの入射によって生起する現象
は、シングルイベントと呼ばれている。シングルイベン
トはデバイスの誤動作を引き起こすため、デバイス微細
化の障害となり、そのメカニズムを解明し防止策を立て
ることが重要である。シングルイベントによるデバイス
の誤動作には、ソフトエラーとラッチアップが知られて
いる。
【0005】(i)ソフトエラー DRAMはコンデンサに電荷を蓄えることにより情報の
記憶を行う。DRAMのパッケージには、微量の放射性
物質が含まれているが、この放射性物質から放出される
α粒子(He2+)が1個でもDRAM内に入射すると、
蓄積電荷量即ち記憶内容が変化する。変化した情報は再
書き込みによって元に戻すことができる。DRAMその
ものが破壊されるわけではないので、この現象はソフト
エラーと呼ばれている。ソフトエラーの存在はDRAM
微細化の障害となる。
【0006】(ii)ラッチアップ CMOSデバイスは省電力デバイスとして広く普及して
いる。CMOSデバイスの内部には多くの寄生素子が存
在するので、条件次第では予期しない動作をする。特に
生じ易いのは、ある条件を引金に大電流が発生し、デバ
イスを破壊してしまう現象である。この現象はラッチア
ップと呼ばれている。CMOSデバイスにα粒子が入射
すると、電子と正孔が多量に生じ、これが引金となって
ラッチアップが生じる。ラッチアップの存在はCMOS
デバイス微細化の障害になっている。
【0007】マイクロイオンビーム(MIB)と集束イ
オンビーム(FIB)はどちらもイオンビームを集束し
たものであるが、若干の表現の違いがあり、2つの違い
表1の通りである。
【0008】
【表1】
【0009】図14は従来公知のイオンマイクロプロー
ブの構成図である。図15は従来のイオンマイクロプロ
ーブのブロック構成図である。図14及び図15におい
て、1はYステアラ,2はフィードバックスリット,3
はディフレクタ,4はビュワ,5はシフタ,6はプロフ
ァイルモニタ,7はプレスリット,8はマイクロスリッ
ト,9はターボポンプ,10はスクレイパスリット,1
1はファラデーカップ,12は四重極磁気レンズ,13
はスキャナ,14はSEM鏡塔,15はターゲットチェ
ンバである。
【0010】図14に示したイオンマイクロプローブの
構成及びビームマイクロ化技術については、“イオンマ
イクロプローブの開発”,早稲田大学理工学研究所報告
第124輯(1989)pp.20 〜33及び“MeVイオンマイ
クロビーム用2連4重極電磁石のフイールドマツピン
グ”同,pp.34 〜38に詳細に開示されている通りであ
る。ビームマイクロ化技術は高エネルギーイオンビーム
を平行性を保ったまま集束する技術である。集束したイ
オンビームの最小ビーム径として、現在X方向1.9μ
m、y方向1.7μmを得ている。
【0011】このビームマイクロ化技術は本発明のイオ
ン照射システムの照射精度に関係し、本発明が取扱う単
一(シングル)イオンはビームと同じ軌道を通るので、
精度よく照射するためには、ビームをできるだけ小さく
することが要求される。
【0012】イオンビームは光と同じようにスリットで
平行にして、レンズで絞るようにする。対物スリットは
イオンビームを点光源と見なせるようにできるだけ開口
部を小さくする。(対物スリットは1μmの精度で開閉
できる。)
【0013】高エネルギー荷電粒子ビームの直径を数μ
mにまで絞ったマイクロイオンビームは、元素分析等の
手段として、世界で既に二十数箇所で用いられている。
これらのほとんどは、分析感度をあげるため、イオン電
流の増加に力が注がれてきている。しかし、イオンが極
小領域に集中的に照射されるため、分析中の試料の破壊
が深刻な問題となりつつある。
【0014】従来公知のイオンマイクロプローブでは、
こうした試料の分析時の破壊を最小限に抑えるため、検
出器として、分解能を下げずに検出効率の高いものを作
製使用している。また、装置には走査型電子顕微鏡(S
EM)を取り付け、マイクロイオンビームと電子線の両
方の照射ができる構成を採用している。
【0015】上記イオンマイクロプローブは、高エネル
ギー荷電粒子の、試料に対する照射効果を調べることを
主目的として開発された。イオンを狙った位置に当てる
ように制御する技術は、ドイツのGSIにおいても開発
中であるが、入射イオン数の制御までは行われていな
い。この他、少数のイオンによる照射効果を調べるため
に、241 Amなどのような放射性同位元素を用いた実験
が行われているが、この場合には、イオンの入射位置を
確定することはできず、更に、任意のエネルギーのイオ
ンを得ることもできない。
【0016】図16乃至図18は上述の収集されたマイ
クロイオンビーム試料表面上の狙った位置に照準するた
めの技術を説明する図である。
【0017】まず走査形電子顕微鏡(SEM)により基
準位置と照射希望位置との位置関係を求めておく(図1
6)。次にイオンビームが基準位置に当たるように試料
台を動かす(図17)。最後に電子顕微鏡で求めた位置
関係だけ試料台を動かすことによりイオンビームを希望
の位置に照射する(図18)。
【0018】基準点には超微細加工を施したシリコンテ
ストパターンを用いる。このシリコンテストパターンの
SEM像を図19に示す。
【0019】このパターンは、ライン(0.5μm〜
5.5μm)及びスペースから構成されており、ビーム
の入射位置及びビーム径の両方が測定できるように設計
されている。即ち、イオンビームを走査して図19中の
コンピュータ出力を得る時、となりあう二本の線が分
離、識別できるならばイオンビームは、少なくとも二本
の線の幅まで絞られていることになる。
【0020】このようにシリコンテストパターンにはイ
オンビーム径の目安と、照準技術のための基準位置とし
ての二つの機能を有する。イオンビームを直接試料に当
て位置を確認することはそのイオンビームにより試料が
損傷を受けてしまうため不都合であり、上述のような照
準方法の採用が必要となる。
【0021】以下本発明によるイオン照射装置及び方法
に関連する先行技術について列記して説明する。
【0022】イオンマイクロプローブのためのビーム径
及び入射位置検出については、既に杉森らによる論文,
“イオンマイクロプローブのためのビーム径および入射
位置検出システム”,1989年度秋季応物学会予稿集,29
a-H-2, P.494に開示されている通りである。
【0023】システムの構成は、ビーム径及びビーム位
置の検出を簡便化するシステムとしてSEM付きターゲ
ットチェンバーを作製し、マイクロイオンビーム照射に
よる2次電子像とSEM像を同一チェンバー内で観察で
きるようにした。このシステムでは、Si表面の超微細
レリーフを用い、マイクロイオンビームを走査させた時
の2次電子像とSEM像の比較を行って、ビーム径及び
ビーム照射位置を検出する。試料は試料ホルダーを回転
させることによって、SEM観察の際は電子線に対して
90°となるように設定し、またイオンを照射する際
は、イオンビームに対して90°となるように設定す
る。即ち、回転角は可変となっている。これによって、
1μmのパターンを分解視できた。
【0024】ビームサイズの計測結果については、神谷
らの論文,“MeVイオンマイクロビーム形成装置のビ
ームサイズ計測”,1991年度春季応物学会予稿集, 29p-
ZD-11, P.547に開示されている通りである。即ち、神谷
らは1.7MVタンデム加速器に取り付けられたマイク
ロビーム装置の性能を評価するために、3MeVのHe
+ ビームを用いてビームサイズ計測を行なっている。実
験において、半導体加工技術を用いて製作されたSiの
超微細レリーフにマイクロビームをスキャンし、発生す
る2次電子を検出する方法がサイズの計測に有効である
ことが明らかになり、予備的な計測の結果、1.7×
1.9μm2 のビームスポットが得られている。
【0025】マイクロイオンビームの照準技術について
は、黄らによる論文,“マイクロイオンビームの照準技
術”,1991年度春季応物学会予稿集, 29p-ZD-12, P.547
に開示されている通りである。即ち、実験方法として
は、SEM付きターゲットチェンバを用い、イオンビー
ム及び電子線をそれぞれシリコン超微細レリーフに照射
し、2次電子像を得て、照射位置を確認する。照射位置
制御は(a) 基準点、試料の位置把握、(b) 試料台移動、
照射として行う。
【0026】結果として、 (1) エッヂ効果によりHe+ ビーム(3MeV)が1.
7×1.9μm2 に絞り込めることが確認されている。 (2) イオンビームによる2次電子像のSEM画面上での
リアルタイム観察及びコンピュータによる画像処理を可
能としている。 (3) 超微細レリーフ(間隔:5μm)を分解視でき、こ
の微細レリーフを基準位置にして、高速かつ簡便な照射
位置制御を行う技術を確立している。
【0027】シングルイオン照射システムの概念につい
ては既に村山らによる論文,“シングルイオン照射シス
テムの開発”1990年秋季応物学会予稿集, 27p-Y-1 にお
いて開示されている。即ち、装置構成は、シングルイオ
ン照射システムは、イオンマイクロプローブ及びビーム
チョッパで構成される。ビームチョッパは、スリット、
偏向板及び電界制御回路から成り、マイクロイオンビー
ムからシングルイオンを抽出するために使用される。
【0028】動作概要として、シングルイオン照射シス
テムは、次のプロセスにしたがって動作する。
【0029】(1) マイクロイオンビームのアラインおよ
び、照射位置の決定を行う。 (2) 偏向板にバイアス電圧を加えてビームを偏向し、ビ
ームがスリットを通過しないようにする。 (3) ある時刻から逆バイアスを加え、ビームを逆向きに
偏向する。逆向きに偏向されたビームもスリットを通過
しないようにする。(この瞬間にシングルイオンが抽出
される。) (4) ターゲットからの2次電子を検出し、照射量を特定
する。
【0030】しかしながら、村山らによる論文において
は、単一イオンの抽出はまだ確認されず、かつ具体的な
イオン照射装置の全体構成及び単一イオンもしくは所定
数のイオンの具体的抽出方法については開示されていな
かった。また単一イオンもしくは任意数のイオンを制御
性良く抽出するための具体的条件についても開示されて
いなかった。
【0031】更にまた、ビームチョップによる単一イオ
ン抽出は実験的には確認されていなかった。しかし、今
発明者らは、単一イオン抽出を確認するに到った。
即ち、単一イオン及び所定数の任意数イオンを制御性良
く抽出することに初めて実験的に成功した。本発明は、
そのためのイオン照射装置の構成とイオン照射方法を開
示するものである。
【0032】単一イオン抽出の実験結果については、
発明者らによる論文,“ビームチョップによる単一イオ
ン抽出精度の評価”1991年秋季応物学会予稿集,12p-ZB
-5において発表されている(1991年10月9日〜12日)。
同時に発明者らによって“CMOSデバイスの放射線
耐性マッピング”同上12p-ZB-6においてCMOSICへ
の照射が行なわれている。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】明細書において使用
する“単一イオン”という用語は以下に定義されるもの
である。即ち、本発明で単一イオンとは、従来公知のイ
オンマイクロプローブを使用して生成されたマイクロイ
オンビームにおいて、単一イオン生成用スリット直前ま
ではイオン流(ion stream)であり、上記スリットを通
過後所定の時間間隔内では単一イオンとなるものをい
う。
【0034】発明は従来公知のイオンマイクロプロー
ブに対して、単一イオン生成システム及び、単一イオン
照準システムを組み合わせることによって構成される。
従来公知のイオンマイクロプローブにより生成されたマ
イクロイオンビーム流をターゲット上の所定部位に光学
顕微鏡の精度で照準する技術は提案されていたが、前記
マイクロイオンビーム流ではなく、単一イオンもしくは
制御された所定数のイオンをμmオーダの特定の部位に
精度良く照射する単一イオン照射システムについては
来行なわれていなかった点である。そこで、
【0035】この技術の要素は、I .高エネルギーイオ
ンビームを平行に細く絞ること(イオンマイクロプロー
ブ技術)、II. イオンビームを標的の狙った場合に当て
ること(照準技術)、III .イオンを1個ずつ当てるこ
と(単一イオン照射技術)である。
【0036】本発明の目的の1つは、放射線耐性強化の
指針を得るためのイオン照射装置及び方法を提供するこ
とにある。
【0037】更に具体的に本発明の目的の1つは、制御
性良く1個〜任意数のイオンを抽出し狙った部位に精度
良く照射することができるイオン照射装置及び方法を提
供することにある。
【0038】更に本発明の目的の1つは、所定数のイオ
ンを制御性良く抽出することのできるイオン照射装置及
び方法を提供することにある。
【0039】更に本発明の目的の1つは、抽出イオンが
単一イオンであることを特徴とするイオン照射装置及び
方法を提供することにある。
【0040】更に本発明の目的の1つは、マイクロイオ
ンビームを偏向するチョップ回数と、スリット幅と、ビ
ーム電流とビーム径とを所定の値に設定することによっ
てスリットから1個〜任意数のイオンを抽出できるイオ
ン照射装置及び方法を提供することにある。
【0041】更に本発明の目的の1つは、偏向板に対す
る電界制御回路(ビームチョッパ回路)に特徴を有する
イオン照射装置及び方法を提供することにある。
【0042】更に本発明の目的の1つは、試料保持機構
にゴニオメータを含むことを特徴とするイオン照射装置
及び方法を提供することにある。
【0043】更に本発明の目的の1つは、イオンの種類
としてはH+ ,He+ ,He2+に限らずイオンソースに
入れるガス源を選択することにより、例えばAr,Ne
等の希ガス或いは他のイオンを任意に選択して使用する
ことを特徴とするイオン照射装置及び方法を提供するこ
とにある。
【0044】更に本発明の目的の1つは、2次電子検出
系に試料表面をリアルタイムに観察するSEM機構を含
むことを特徴とするイオン照射装置及び方法を提供する
ことにある。
【0045】更に本発明の目的の1つは、単一イオンも
しくは制御された任意数のイオンを照射する試料もしく
はこの試料を装着する試料保持機構には基準点が含まれ
ることを特徴とするイオン照射装置及び方法を提供する
ことにある。
【0046】更に本発明の目的の1つは、前記基準点と
してビームの入射位置,ビーム径を測定するための超微
細加工を施したシリコンテストパターンを用いることを
特徴とするイオン照射装置及び方法を提供することにあ
る。
【0047】更に本発明の目的の1つは、マイクロイオ
ンビームの偏向の方法に特徴を有するイオン照射方法を
提供することにある。
【0048】更に本発明の目的の1つは、単一イオンが
検出されない場合にはマイクロイオンビームの偏向の方
法を繰り返すことを特徴とするイオン照射方法を提供す
ることにある。
【0049】
【課題を解決するための手段】本発明によるイオン照射
装置及び方法の特徴は制御性良く1個〜任意数のイオン
を抽出するというイオン生成技術にある。従来公知のビ
ームマイクロ化技術及び照準技術と組み合わせることに
よって初めて実現されるものであるが、重要な構成要素
は、単一イオンを抽出するためのマイクロイオンビーム
の偏向のチョッピングとスリット幅とマイクロイオンビ
ーム電流及びビーム径にある。発明者は上記構成要素
を適切に選ぶための実験を繰り返すことによって制御性
良く単一イオンを抽出する条件を見出した。単一イオン
を制御性良く抽出する方法が見出されたことと同時に、
任意数のイオンを制御性良く抽出することも可能となっ
た。
【0050】従来単一イオンもしくは任意数のイオンを
制御性良く抽出するという装置及び方法は提案されてい
なかったが、発明者はこの方法を実験的に見出し、確
認した。この単一イオンもしくは任意数イオンの制御性
の良い生成技術は従来公知の技術ではなく、また従来技
術を組み合わせることによっても容易には得ることので
きない技術である。
【0051】そこで本発明者は単一イオンの生成を実現
するための装置構成及び方法を提案するものである。装
置構成全体としては従来公知のビームマイクロ化技術に
よるイオンマイクロプローブ及び狙った部位にイオン流
を照射する照準技術と組み合わせることによって、単一
イオンもしくは任意数のイオンを制御性良く抽出し、か
つ狙った部位に上記単一イオンもしくは任意数のイオン
を精度良く照射するイオン照射装置及び方法が確立され
たものである。
【0052】従って、本発明の構成は下記に示す通りで
ある。即ち、本発明は、イオンマイクロプローブ(図1
4,図15)と、前記イオンマイクロプローブ(図1
4,図15)より発生されたマイクロイオンビームと、
前記マイクロイオンビームを偏向する偏向板(3)と、
前記偏向板(3)により前記マイクロイオンビームを偏
向する電界制御回路(ビームチョッパ回路)(16)
と、前記偏向されたマイクロイオンビームから所定数の
イオンを抽出するためのマイクロスリット(8)と、前
記イオンを照射する試料(28)を装着する試料保持機
構と、前記試料表面をリアルタイムに観察するSEM機
構(21)を含み前記試料(28)表面に照射されたイ
オンによって発生される2次電子を検出する検出系(図
7)とからなる前記イオン照射装置(図1,図2)にお
いて、前記マイクロイオンビームの偏向方向が前記マイ
クロスリット(8)に対して瞬間的に反転されチョップ
されることにより前記マイクロスリット(8)から所定
数のイオンを抽出することを特徴とするイオン照射装置
(図1,図2)としての構成を有する。
【0053】或いはまた、本発明は前記抽出イオンが単
一イオンであることを特徴とするイオン照射装置(図
1,図2)としての構成を有する。
【0054】或いはまた、本発明は前記マイクロイオン
ビームを偏向するチョップ回数と、前記スリットのスリ
ット幅と、前記マイクロイオンビームのビーム電流と、
及びビーム径とを所定の値に設定する(図10の例参
照)ことによって、前記スリットから1個〜任意数のイ
オンを抽出することを特徴とするイオン照射装置(図
1,図2)としての構成を有するものである。
【0055】或いはまた、本発明は前記偏向板(3)に
対する電界制御回路(16)は、方形波発振回路(1
7)と、カウンタ回路(18)と、高電圧アンプ(1
9)とから構成されることを特徴とするイオン照射装置
(図1,図2,図3〜図7)としての構成を有するもの
である。
【0056】或いはまた、本発明は前記試料(28)保
持機構はSEM用試料ホルダーを含むことを特徴とする
イオン照射装置としての構成を有するものである。
【0057】或いはまた、本発明は前記試料(28)保
持機構は位置決め精度1μm以内,軸数6軸(x,y,
z,θx ,θy ,θz )を有するゴニオメータを含むこ
とを特徴とするイオン照射装置としての構成を有するも
のである。
【0058】或いはまた、本発明は前記2次電子を検出
する検出系(図7)はSEM機構(21)と、前記SE
M機構(21)に接続されたローパスフィルタ(22)
と、前記ローパスフィルタ(22)に接続されたアンプ
(23)と、前記アンプ(23)に接続されたA/Dコ
ンバータ(24)と、前記A/Dコンバータ(24)に
接続されたコンピュータシステム(25)と、更に前記
コンピュータシステム(25)に接続されたD/Aコン
バータ(26)と前記D/Aコンバータ(26)に接続
されたスキャナ電源(27)とを含み、前記スキャナ電
源(27)はイオンビームの偏向板に接続されてビーム
走査装置(31)を構成し、前記SEM機構(21)
は、前記偏向されたイオンビームから抽出された単一イ
オンによって前記試料(28)面から発生された2次電
子を受容するフォトマル(PMT)(20)と、前記フ
ォトマル(20)に接続されたプリアンプ(29)と前
記ローパスフィルタ(22)の出力に接続されたSEM
モニター(30)と前記D/Aコンバータ(26)の出
力により得られる画面走査信号とを含み、前記試料(2
8)表面の2次電子像を前記イオンビームの偏向に同期
してリアルタイムに検出する2次電子検出系(図7)で
あることを特徴とするイオン照射装置(図1,図2)と
しての構成を有するものである。
【0059】或いはまた、本発明は前記単一イオンを照
射する試料(28)もしくは試料(28)を装着する試
料保持機構には前記SEM機構(21)により基準位置
と照射希望位置との位置関係を求めるための基準点が含
まれることを特徴とするイオン照射装置(図1,図2)
としての構成を有するものである。
【0060】或いはまた、本発明は前記基準点にはマイ
クロイオンビームの入射位置及びビーム径を測定するた
めの超微細加工を施したシリコンテストパターン(図1
9)を用いることを特徴とするイオン照射装置(図1,
図2)としての構成を有するものである。
【0061】本発明はまた、イオンマイクロプローブ
(図14,図15)と、前記イオンマイクロプローブ
(図14,図15)より発生されたマイクロイオンビー
ムと、前記マイクロイオンビームを偏向する偏向板
(3)と、前記偏向板(3)により前記マイクロイオン
ビームを偏向する電界制御回路(ビームチョッパ回路)
(16)と、前記偏向されたマイクロイオンビームから
所定数のイオンを抽出するためのマイクロスリット
(8)と、前記イオンを照射する試料(28)を装着す
る試料保持機構と、前記試料(28)表面をリアルタイ
ムに観察するSEM機構(21)を含み前記試料(2
8)表面に照射されたイオンによって発生される2次電
子を検出する検出系(図7)とからなるイオン照射装置
(図1,図2)において、所定数のイオンを抽出して前
記試料(28)表面に照射する方法であって、前記マイ
クロイオンビームの位置合わせ整合(アライン)と照射
位置の決定を行う第1の工程(図16〜図18)と、前
記偏向板(3)に対して前記電界制御回路(16)を用
いてバイアス電圧を加えて、ビームを偏向し、ビームが
マイクロスリット(8)を通過しないようにする第2の
工程と、ある時刻から逆バイアス電圧を加えてビームを
逆向きに偏向し、逆向きに偏向されたビームは前記マイ
クロスリット(8)を通過しないようにする第3の工程
と、前記試料(28)表面に照射されたイオンによって
発生される2次電子を検出し、照射量を特定する第4の
工程とからなるイオン照射方法としての構成を有するも
のである。
【0062】或いはまた、本発明はイオンがマイクロス
リット(8)を通過する確率が極めて小さく、1回のマ
イクロイオンビームの偏向の反転で1個もイオンが照射
されない場合は、前記第1乃至第4の工程を繰り返すこ
とを特徴とするイオン照射方法としての構成を有するも
のである。
【0063】或いはまた、本発明は前記マイクロイオン
ビームを偏向するチョップ回数と、前記スリット幅と、
前記マイクロイオンビームのビーム電流と、及びビーム
径とを所定の値に設定することによって、前記スリット
から1個〜任意数のイオンを抽出することを特徴とする
イオン照射方法(図10のデータ参照)としての構成を
有する。
【0064】或いはまた、本発明は前記マイクロイオン
ビームの位置合わせ整合(アライン)と照射位置の決定
を行う第1の工程(図16〜図18)は、前記SEM
(21)により基準位置と照射希望位置との位置関係を
求めておく第1のステップと、前記マイクロイオンビー
ムが基準位置に照射されるように前記試料(28)保持
機構を動かす第2のステップと、前記SEM(21)で
求めた位置関係だけ前記試料(28)保持機構を動かす
ことにより前記マイクロイオンビームを希望の位置に照
射する第3のステップとを含むことを特徴とするイオン
照射方法としての構成を有するものである。尚、上記基
準位置は試料内のTEG(test element group)内に設
けると有効である。
【0065】或いはまた、本発明は前記基準位置にはマ
イクロイオンビームの入射位置及びビーム径を測定する
ための超微細加工を施したシリコンテストパターンを用
いることを特徴とするイオン照射方法としての構成を有
するものである。
【0066】
【作用】シングルイオン照射システムは以下の三つの技
術から構成されている。 I ) ビームマイクロ化技術 II) 照射技術 III )シングルイオン生成技術
【0067】ビームマイクロ化技術及び照準技術は早稲
田大学大泊研究室と日本原子力研究所高崎研究所との共
同研究により得た従来公知の技術であり、シングルイオ
ン生成技術は早稲田大学大泊研究室が独自に開発した技
術であって、発明において初めてその具体的構成を開
示しようとするものである。
【0068】以下、本発明による単一イオンもしくは所
定数のイオンを抽出するシングルイオン生成技術の動作
原理について説明する。
【0069】この技術は多くのイオンからなるイオンビ
ームから、単一イオンを生成する技術である。シングル
イオン抽出の原理を図1に示す。
【0070】イオン抽出装置は、ビーム偏向用の電極板
とスリットで構成されており、次のようなプロセスで単
一イオンを抽出する。
【0071】I ) 偏向板にバイアスをかけて、ビーム
を偏向させ、スリットにより遮る。 II) 偏向板にかかっているバイアスの極性を瞬間的に
切り替え、ビームを逆向きに偏向させる。スリット中心
の開口部を通過する瞬間にごく少数のイオンがスリット
を通り抜ける。 III )ターゲットから出てくる2次電子の数を測定し、
照射イオン数を評価する。 IV) イオンがスリットを通り抜ける確率が極めて小さ
く、1回のビームの偏向の反転(チョップ)で1個もイ
オンが照射されない場合は、I 〜III を繰り返す。
【0072】このようにしてシングルイオンを抽出する
ことが出来る。抽出されたイオンはイオンビームの場合
と同じ軌道を進む。このためイオンを照準から約1μm
以内の位置に照射することができる。一般に、試料にイ
オンを照射すると2次電子が放出されるが、シングルイ
オン入射の検出は、この2次電子を検出することにより
行う。
【0073】
【実施例】半導体微細加工技術ならびに電気通信技術の
進歩にともない、半導体デバイスの微細化及び高機能化
が進んでいる。半導体デバイスの構造解析などには、イ
オンを微小領域に照射するためのシステムが必要とな
り、通信衛星に搭載される半導体デバイスの放射線耐性
評価には、イオンを1個だけ照射する装置及び方法が必
要となる。本発明においては、半導体デバイスの放射線
耐性ならびに放射線照射効果を開発するにあたり、狙っ
た部位にイオン1個を精度良く照射するシングルイオン
照射装置及び方法を開示する。
【0074】本発明によるイオン照射装置はさきに早稲
田大学と日本原子力研究所高崎研究所の共同研究により
製作されたイオンマイクロプローブ(図14,図15)
を基礎とし開発されたものである。マイクロライン構成
図は図14,図15に示す構成と同様であるがディフレ
クタ3,マイクロスリット8,SEM鏡塔14,ターゲ
ットチェンバ15において、単一イオン抽出のための独
自の構成を採用している。以下図1乃至図13により本
発明の構成と効果が明らかとなるであろう。
【0075】本発明は狙った部位にイオン1個を精度良
く照射することができ、以下の三つの技術から構成され
る。 1)ビームマイクロ化技術 2)照準技術 3)シングルイオン生成技術
【0076】ビームマイクロ化技術とは、高エネルギー
イオンビームを四重極磁気レンズにより絞り込む技術で
ある。この技術によりイオンビームを精度良く照射でき
る。以下に本発明による照射装置におけるイオンマイク
ロプローブの性能を示す。
【0077】 イオンの種類 : H+ 、He+ 、He2+ 最大エネルギー : 3.4MeV(H+ 、He+ )、5.1MeV(He2+ ) 最小ビーム径 : 1.9×1.7μm程度 尚、本発明においては、イオンの種類としてはH+ ,H
+ ,He2+に限らず、イオンソースに入れるガス源を
選択することにより、例えば、Ar,Ne等の希ガス或
いは他のイオンを任意に選択して使用することも可能で
ある。
【0078】〔シングルイオン照射装置の原理〕 図1に本発明によるシングルイオン照射装置の原理構成
図を示す。図2は本発明によるイオン照射装置のブロッ
ク構成図を示す。従来のイオンマイクロプローブのブロ
ック構成図(図15)と比較し、この装置は、偏向板
3,マイクロスリット8,そしてビームチョッパ回路1
6,SEM鏡塔14,ターゲットチェンバ15に特徴的
な構成要件を有している。図1の原理構成図は図2にお
いて従来構成と異なる構成部分を特徴的に示している。
以下図1,図2を参照して、その動作の手順を説明す
る。
【0079】(1) 偏向板3にバイアスをかけて、ビーム
を偏向させておく。この時、ビームはマイクロスリット
8により遮られている。 (2) 偏向板3にかかっているバイアスの極性を瞬間的に
切り替える。ビームは逆向きに偏向され、再びマイクロ
スリット8により遮られるが、スリット中心の開口部を
通過する瞬間にごく小量のイオンがマイクロスリット8
を通り抜ける。 (3) ターゲットから出てくる2次電子の数を測定するこ
とにより、照射イオン数を評価する。 (4) イオンがマイクロスリットを通り抜ける確率が極め
て小さく、1回のビームの偏向の反転(チョップ)で1
個もイオンが照射されない場合は、(1) 〜(3)を繰り返
す。
【0080】本システムにおいて、偏向板3,マイクロ
スリット8,2次電子増倍管20については、マイクロ
イオンビームライン既存の偏向板3,マイクロスリット
8,2次電子増倍管をそのまま利用することができる。
一例として偏向板3の長さは8cmで、間隔は6mmで
ある。マイクロスリット8は、差動マイクロメーターの
スピンドルに直接スリットを取り付けたもので、1μm
の分解能をもつ。またマイクロスリット8におけるイオ
ンの散乱現象を極力避けるため、形状は図1に示すよう
に円形となっている。
【0081】イオンビームの偏向方向を瞬間的に反転さ
せる方法(チョップ)で単一イオンを抽出、照射する技
術において、最も重要な構成要素はビームチョッパ回路
16にある。単一イオン照射を実現するためには、通常
用いられている入力と出力の線形性のみを考えた電界制
御回路では応答が遅すぎる。このため、本発明のイオン
照射装置においては独自に電界制御回路16の設計製作
を行い、適切な条件の設定により確実にイオンを1個ず
つ照射できるようになった。
【0082】〔ビームチョッパ回路構成〕 図3にビームチョッパ回路16の全体構成を示す。方形
波発振回路17は、インバータと抵抗及びコンデンサに
よって構成され、発振周波数は抵抗及びコンデンサの値
から決定される。
【0083】方形波発振回路17の出力は、カウンタ回
路18に入力される。このカウンタ回路18は、あらか
じめ設定された数だけ入力方形波をカウントし、カウン
ト中は "1" を出力する。カウンタの出力と、発振器の
出力のANDをとることにより、カウンタに設定された
数だけパルスを出力することができる。
【0084】パルスの出力は、フリップフロップに入力
される。入力パルスが "1" → "0" → "1" と1周期
分変化したとき、フリップフロップの出力は "0" → "
1"または "1" → "0" と、1回だけ反転する。これ
により、入力パルスの1周期をチョップ1回に対応づけ
ることができる。またフリップフロップには、正相、逆
相(Q、Qバー)の2つの出力があり、これをそのまま
増幅することにより、差動出力で2倍の振幅を得ること
ができる。
【0085】正相、逆相の2つの出力は、そのまま高圧
アンプに入力される。高圧アンプ19はMOSFET1
段のスイッチング回路で構成されている。正相、逆相そ
れぞれのアンプは独立して0〜700V出力することが
でき、差動出力をとることにより、−700V〜700
Vを出力することができる。
【0086】以上が、回路全体の動作原理である。これ
からはさらに、ビームチョッパ回路16をクロック発生
回路17、1/2分周回路18、高圧アンプ19の3つ
の部分に分け、それぞれの具体的な回路構成、作動方法
について説明する。
【0087】〔クロック発生回路〕 クロック発生回路18の回路図を図4に示す。クロック
発生回路18は、方形波発振回路とカウンタ回路で構成
されている。方形波発振回路は、インバータ、抵抗、キ
ャパシタで構成され、10kHzで発振するように調整
される。
【0088】カウンタ回路は、10進カウンタIC、デ
コーダIC、7セグメント数字表示LED、デジタルス
イッチで構成され、本回路ではこれらを6桁分つなげて
使用している。
【0089】チョップ回数の設定は、SW0〜SW5の
デジタルスイッチで行う。SW0〜SW5のデジタルス
イッチは、それぞれ100 〜105 の桁に対応してお
り、設定した10進数に相当する2進数を、4つのスイ
ッチで表現する。
【0090】SW7は、クロックの連続出力を行うか、
設定した数だけクロックを出力するかを選択する。クロ
ックの連続出力を行う際にはSW7をoffに、設定し
た数だけクロックを出力する際にはSW7をonに設定
する。またSW7をonにした状態でSW6を押す(o
nにする)と、SW6を離した(offにした)瞬間か
ら、あらかじめ設定した数だけクロックの出力を行う。
【0091】〔1/2分周回路〕 1/2分周回路18の回路図を図5に示す。この1/2
分周回路18は、フリップフロップを使用して入力クロ
ックを1/2に分周し、入力クロックの1周期分をチョ
ップ1回に対応づけている。また、正相、逆相の出力
を、LEDでモニターできるようになっている。
【0092】SW1は、手動でフリップフロップにクロ
ックを入力するためのもので、1回ずつのチョップなら
ば、クロック発生回路17を接続することなく行える。
【0093】SW2は、手動でチョップを行うか、外部
クロックを利用してチョップを行うかを選択するための
もので、手動でチョップを行う際にはSW2をonに、
クロック発生回路17を接続してチョップを行う際には
SW2をoffに設定する。
【0094】〔高圧アンプ〕 高圧アンプ19の回路図を図6に示す。この高圧アンプ
回路19では、正相、逆相の各入力によって、MOSF
ETで高電圧をスイッチングしている。MOSFETに
は、バイポーラトランジスタのように少数キャリアの蓄
積によるスイッチングの遅延はないが、ドレインとゲー
トの間に寄生容量を持っている。MOSFETのスイッ
チング時間は、この寄生容量と負荷抵抗の積による時定
数で決まってくるので、負荷抵抗の値はできるだけ小さ
くする必要がある。本回路では負荷抵抗の値をできるだ
け小さくし、なおかつ負荷抵抗における発熱の問題を解
決するために、5本の抵抗を並列に接続するという手法
をとっている。これによって、それぞれの抵抗で消費さ
れる電力が分配され、放熱の効率も向上している。
【0095】高圧アンプ19の性能を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】図7は本発明によるイオン照射装置のSE
M機構を含む2次電子検出系のブロック図である。2次
電子を検出する検出系はSEM機構21と、前記SEM
機構21に接続されたローパスフィルタ22と、前記ロ
ーパスフィルタ22に接続されたアンプと、前記アンプ
23に接続されたA/Dコンバータ24と、前記A/D
コンバータ24に接続されたコンピュータシステム25
と、更に前記コンピュータシステム25に接続されたD
/Aコンバータ26と前記D/Aコンバータ26に接続
されたスキャナ電源27とを含み、前記スキャナ電源2
7はイオンビームの偏向板に接続されてビーム走査装置
を構成し、前記SEM機構21は、前記偏向されたイオ
ンビームから抽出された単一イオンによって前記試料2
8面から発生された2次電子を受容するフォトマル20
(PMT)と、前記フォトマル20に接続されたプリア
ンプ29と前記ローパスフィルタ22の出力に接続され
たSEMモニター30と前記D/Aコンバータ26の出
力により得られる画面走査信号とを含み、前記試料(2
8)表面の2次電子像を前記イオンビームの偏向に同期
してリアルタイムに検出する2次電子検出系である。
【0098】図8はイオンビーム及び電子線の照射と2
次電子の放出を説明する図である。試料28にイオンビ
ームもしくは電子線を照射することによって2次電子を
放出する。また、2次電子の放出量は表面の形状によっ
て変化する。試料28は試料ホルダーを回転させること
によって、SEM観察の際は、SEM機構21から発生
される電子線に対して90°となるように設定し、また
イオンを照射する際は、イオンビームに対して90°と
なるように設定する。即ち、試料ホルダーの回転角は可
変となっている。このようにして、前記イオンビーム及
び前記電子線により試料(28)表面から実質的に垂直
方向に発生される2次電子を前記検出系により検出する
ことができる。
【0099】本発明はまた、イオンマイクロプローブ
(図14)と、前記イオンマイクロプローブ(図14)
より発生されたマイクロイオンビームと、前記マイクロ
イオンビームを偏向する偏向板3と、前記偏向板3によ
り前記マイクロイオンビームを偏向する電界制御回路1
6と、前記偏向されたマイクロイオンビームから所定数
のイオンを抽出するためのマイクロスリット8と、前記
イオンを照射する試料28を装着する試料保持機構と、
前記試料(28)表面をリアルタイムに観察するSEM
機構21を含み前記試料(28)表面に照射されたイオ
ンによって発生される2次電子を検出する検出系とから
なるイオン照射装置(図1,図2)において、所定数の
イオンを抽出して前記試料(28)表面に照射する方法
であって、前記マイクロイオンビームの位置合わせ整合
(アライン)と照射位置の決定を行う第1の工程(図1
6〜図18)と、前記偏向板3に対して前記電界制御回
路16を用いてバイアス電圧を加えて、ビームを偏向
し、ビームがマイクロスリット8を通過しないようにす
る第2の工程と、ある時刻から逆バイアス電圧を加えて
ビームを逆向きに偏向し、逆向きに偏向されたビームは
前記マイクロスリット8を通過しないようにする第3の
工程と、前記試料(28)表面に照射されたイオンによ
って発生される2次電子を検出し、照射量を特定する第
4の工程とからなるイオン照射方法である。
【0100】或いはまた、本発明はイオンがマイクロス
リット8を通過する確率が極めて小さく、1回のマイク
ロイオンビームの偏向の反転で1個もイオンが照射され
ない場合は、前記第1乃至第4の工程を繰り返す。
【0101】或いはまた、本発明は前記マイクロビーム
を偏向するチョップ回数と、前記マイクロスリットのス
リット幅と、前記マイクロビームのビーム電流と、及び
ビーム径とを所定の値に設定することによって、前記マ
イクロスリット8から1個〜任意数のイオンを抽出する
ことができる(図9,図10のデータ参照)。
【0102】或いはまた、本発明は前記マイクロイオン
ビームの位置合わせ整合(アライン)と照射位置の決定
を行う第1の工程(図16〜図18)は、前記SEM2
1により基準位置と照射希望位置との位置関係を求めて
おく第1のステップと、前記マイクロイオンビームが基
準位置に照射されるように前記試料(28)保持機構を
動かす第2のステップと、前記SEMで求めた位置関係
だけ前記試料(28)保持機構を動かすことにより前記
マイクロイオンビームを希望の位置に照射する第3のス
テップとを含むこともできる。
【0103】ビームチョップによる単一イオン抽出精度
の評価結果を以下に示す。
【0104】試料28から放出される2次電子、及び入
射イオンをSSDをターゲットとして直接検出すること
により、1個のイオンを抽出、照射できることを確認し
ている。しかし、実際には複数のイオンが抽出、照射さ
れることもある。2個以上のイオンが照射される確率と
スリット幅、ビーム電流等の関係については調べられて
いなかった。
【0105】抽出されたイオンをSSDに照射した際
に、同時に照射されたイオン数に比例した出力電圧が現
れることを利用して、Multi Channel Analyzer(MC
A)でイオンが抽出された際の抽出イオン数の分布を調
べた。またこの方法で、スリット幅、ビーム電流を変化
させて、抽出イオン数の確率分布との相関を調べた。
【0106】図9に示すように、抽出イオン数の確率分
布を得ることができた。スリットを比較的大きく開いた
状態では、2個以上抽出される確率が高いが、スリット
を1×1μmに設定すると、2個以上抽出される確率は
ほとんど無くなることがわかる。
【0107】イオンが1個だけ抽出される確率を、直接
的かつ定量的に評価することができた。本発明におい
て、イオンを確実に1個ずつ照射する手法が確立され、
ソフトエラー等の解決に必要な技術が完成したことにな
る。
【0108】シングルイオン生成技術とはイオンビーム
からイオンを1個だけ抽出する技術であるが、これは、
図1に示すように、イオンビームをチョップすることに
よって、イオンを1個〜任意個抽出し、試料に照射する
ものである。図10にチョップ回数とイオン抽出回数の
関係を示すが、適切なスリット、ビーム電流の条件にお
いて平均抽出イオン数は1を下回り、これより1個のイ
オンを抽出、照射できることが可能となる。また、スリ
ット幅を狭くし、イオン抽出確率を少なくすることによ
って、抽出されたイオンはほぼ確実に1個となる(図1
0)。
【0109】本発明によるイオン照射装置及び方法を用
いてCMOSデバイスの放射線耐性マッピングを調べた
結果を以下に示す。
【0110】発明者らは、半導体デバイスの放射線耐
性強化の指針を得るため、シングルイオン照射システム
の開発を行い、一個のイオンを狙った部位に高精度で照
射できること、ならびにCMOSデバイスの部位毎の放
射線耐性評価が可能であることを確認した。そこで、実
際にシングルイオン照射システムを用いてCMOSデバ
イス中でシングルイオンによって誘起される基板電流の
マッピングを行った。
【0111】シングルイベント効果評価実験として市販
CMOSデバイス(4049)上に100μm間隔で単
一イオンを照射した。これは、CMOSデバイスのラッ
チアップが、イオン入射によってウェル(Well)−
基板間に瞬間的に流れる電流によって引き起こされるこ
とから、それぞれの部位にイオンを照射した際にウェル
(Well)に収集される電荷量を測定することによ
り、部位毎のラッチアップ耐性を評価したものである。
照射イオンは例えばHe+ 3MeV、He2+4.5Me
V等を使用する。
【0112】CMOSデバイスの電源に動作時の電圧を
印加し、同時に電源の電流をモニタしながら二次元的に
シングルイオンを照射する。イオンにより生成され、再
結合せずに電源により収集された電荷(正孔−電子対)
量をマッピングする。
【0113】エネルギー3.0MeVのHe+ を照射し
た時の収集電荷量を図11に示す。収集電荷量が多い部
位ほど放射線耐性が低く、ラッチアップを起こす可能性
が高いと考えられる。この図に示すように、チップ中心
部から左側にかけて収集電荷量が多い領域が存在し、こ
の部分にウェル(Well)が形成されていると考えら
れる。
【0114】シングルイオン照射システムにより、半導
体デバイスの放射線耐性を評価した。結果として、CM
OSの放射線耐性を示す収集電荷量をマッピングするこ
とが出来た。
【0115】以上の問題点の解決により、単一イオンを
超LSI上の微小部位に照射する技術が一通り完成した
ことになる。
【0116】尚、試料保持機構は、SEM用試料ホルダ
ーを転用することができる。この試料ホルダーはOリン
グシールのため位置決め精度が低い。そのため、以下の
性能を持った、高精度照射位置決定のためのゴニオメー
タを使用することもできる。
【0117】 位置決め精度 : 1〔μm〕以内 軸数 : 6軸(x,y,z,θx ,θy ,θz
【0118】ターゲットにイオンが照射されたかどうか
は、ターゲットより放出される2次電子を2次電子増倍
管で検出することにより判断している。ところが、2次
電子増倍管にはバックグラウンドノイズがあり、イオン
抽出の有無の判断を誤る可能性がある。更に2次電子増
倍管では、複数のイオンが同時に照射された場合、照射
されたイオン数の定量的な評価を行うことができず、単
一イオン抽出を確認することの決め手に欠けるという問
題もある。前者の問題に対しては、2次電子増倍管の出
力とビームの反転信号の時間的同期を調べることによ
り、確実にイオン抽出の有無を判断することができた。
また後者の問題については、半導体放射線検出器(SS
D)をターゲットとすることで抽出イオン数の定量的な
評価を行い、確実に1個のイオンが照射される条件を求
めた。
【0119】シングルイオン照射システムの信頼性評価
を行なうために、SSDそのものをターゲットとしてシ
ングルイオンの入射を直接的に検証した結果について
は、既に松川らによる論文,“シングルイオン照射シス
テムの信頼性評価(I)”,1991年度春季応物学会予稿
集, 29p-ZD-9, P.5 に開示されている通りである。
明者らは、本発明においてシングルイオンの生成が可能
なイオン照射装置及び方法を開示した。上記松川らによ
る論文はSSDをターゲットとしており、本発明の如く
半導体デバイス等をターゲットとするものとは明らかに
異なる。あくまでシングルイオン検証のための実験結果
を得るための手法であり、図1,図2,図7の構成と明
確に異なる。シングルイオンの検出は、任意のターゲッ
トに対して有効な、2次電子の検出により行っている
が、この検出法は、間接的な方法であり、イオンの入射
を直接的に検出する方法ではない。そこで、シングルイ
オン照射システムの信頼性を向上させるために、SSD
を使用して、シングルイオンの入射を直接的に検証する
実験を行った。
【0120】即ち、SSDそのものをターゲットにし、
ビームチョップによって得られたシングルイオンを照射
する。SSDにはプリアンプを接続し、その出力波形を
ストレージオシロスコープで観測する。
【0121】SSDを使用することで、入射イオン数を
直接的に測定することができ、狭いスリット幅では、シ
ングルイオンを確実に得られることが明らかになった。
また、スリット幅を広くすると、同時に複数のイオンを
得ることもできた。
【0122】SSD(Au−Si)をターゲットにした
ときのSSDプリアンプの出力波形を図12及び図13
に示す。図12はスリット幅10μm×10μmの時の
出力で、図12において波形が不連続に立ち上がってい
るところがシングルイオン入射の瞬間である。このスリ
ットの条件においては、いくらサンプリングを繰り返し
ても同じ波高値で同じ波形が現れることから、抽出され
るイオンのそれぞれが単一のイオンであることがわか
る。繰り返しチョップを行うことによって散発的にイオ
ンがSSDに入射し、これによる2つの出力パルスがた
またまオシロスコープの1画面上に記録されている。こ
の2つのパルスの時間的な間隔は1.1msとなってい
るが、何回かサンプリングを行った際、複数のパルスが
現れたときのその時間的な間隔は常に0.1msの整数
倍になっている。10kHzでチョップを行った時のチ
ョップの時間間隔が0.1msであることから、イオン
の抽出がチョップの周波数と完全に同期していることが
わかる。つまり、この時照射されているイオンは、全て
ビームチョップによって抽出されたイオンである。
【0123】スリット幅を2000μm×200μmと
大きく開いて、1回のチョップで複数のイオンが抽出さ
れるようにしたときのSSDプリアンプの出力波形が図
13である。図12と同様に、それぞれのパルスの間隔
は0.1msの整数倍となっていて、チョップと同期し
ていることがわかる。またそれぞれの波形の不連続部分
での電圧の変化量に注目すると、1つだけ他の2倍変化
している部分がある。つまり、この瞬間に2つのイオン
がSSDに入射していることになる。ただし、この時の
スリット幅は通常のシングルイオン抽出の条件に比べて
極めて大きく取っており、スリット幅をそれほど大きく
しない限り1回のチョップで2個のイオンが抽出される
ことは、まず無いと考えられる。
【0124】
【発明の効果】半導体デバイスの放射線耐性試験法が開
示された。イオン散乱分光装置からのイオンビームをマ
イクロ化する技術、マイクロビームを所定の標的に当て
る照準技術及び単一のイオンを抽出する技術の開発によ
って、単一イオンを半導体デバイスの任意の部位に照射
し人為的に誤動作を誘起することが可能になった。
【0125】本発明によるイオン照射装置及び方法によ
れば、1個の集積回路の各部位に任意のエネルギーでイ
オンを1個だけを照射することができるため、その時の
現象(CMOSのラッチアップ、DRAMのソフトエラ
ーなど)を人為的に起こし、その部位の放射線耐性を評
価するのに適用することができる。
【0126】また、本発明によるイオン照射装置及び方
法によれば、狙った場所に精度良くイオン1個を照射で
きるため半導体デバイスの放射線耐性を各部位ごとに測
定でき、誤動作を起こし易い場所を特定することができ
る。
【0127】大規模集積回路や細胞など、微細な構造を
もつ標的の、任意の場所に、単一の高エネルギーイオン
を照射することができる。本発明によって、宇宙空間や
地上など、実際の使用環境の中で、自然現象として散発
的に発生する高エネルギーイオンによる集積回路の誤動
作を、人為的に起こさせることが可能になった。
【0128】本発明によれば、1個の集積回路の特定の
部位にイオンを1個だけ当てて、部位毎の誤動作の起り
方の違いを調べることができるので、耐久性を強化する
ための、飛躍的に確度の高い情報が得られることにな
る。
【0129】放射線照射効果の利用として最も期待され
るものの一つとして癌の放射線治療がある。特に癌細胞
のように増殖の盛んな細胞は放射線による影響が大きい
といわれている。わが国においても、癌の放射線治療の
研究は進められているが、細胞一つ一つに対してのイオ
ン照射による影響を調べることによってより良い治療法
を開発できるだろう。この影響を調べる装置としても本
装置は有用のものとなろう。また、生体系での放射線照
射の利用には表3のような応用が考えられる。
【0130】
【表3】
【0131】同技術を、生きている細胞に適用すれば、
細胞内の小器官への照射が可能になるので、たとえば、
高エネルギーイオンによる細胞の化のメカニズムを探
る手がかりとして利用することも期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオン照射装置の原理構成図
【図2】本発明によるイオン照射装置のブロック構成図
【図3】ビームチョッパ回路構成図
【図4】クロック発生回路の回路図
【図5】1/2分周回路の回路図
【図6】高圧アンプの回路図
【図7】本発明によるイオン照射装置のSEM機構を含
む2次電子検出系
【図8】イオンビーム及び電子線の照射と2次電子の放
出を説明する図(試料にイオンビームもしくは電子線を
照射することによって2次電子を放出する。また、2次
電子の放出量は表面の形状によって変化する。)
【図9】抽出イオン数の確率分布
【図10】イオン抽出確率
【図11】CMOSインバータ(4049)への単一イ
オン照射による収集電荷量(照射イオンHe+ ,3〔M
eV〕)
【図12】連続的にチョップを行ったときのSSD出力
波形(スリット幅10μm×10μm)
【図13】1個以上のイオンが抽出されているときのS
SDの出力波形(スリット幅2000μm×200μ
m)
【図14】従来のイオンマイクロプローブの構成図
【図15】従来のイオンマイクロプローブのブロック構
成図
【図16】マイクロイオンビームの位置合わせの原理説
明図(電子顕微鏡により、基準位置と照射希望位置との
位置関係を求めておく。)
【図17】マイクロイオンビームの位置合わせの原理説
明図(イオンビームが基準位置に当たるように試料台を
動かす。)
【図18】マイクロイオンビームの位置合わせの原理説
明図(電子顕微鏡で求めた距離だけ試料台を動かす。す
るとイオンビームが希望の位置に照射される。)
【図19】シリコンテストパターンのSEM像
【符号の説明】
1 Yステアラ 2 フィードバックスリット 3 ディフレクタ(偏向板) 4 ビュワ 5 シフタ 6 プロファイルモニタ 7 プレスリット 8 マイクロスリット 9 ターボポンプ 10 スクレイパスリット 11 ファラデーカップ 12 四重極磁気レンズ 13 スキャナ偏向板 14 SEM鏡搭 15 ターゲットチェンバ 16 ビームチョッパ回路(電界制御回路) 17 方形波発振回路(クロック発生回路) 18 カウンタ回路(1/2分周回路) 19 高圧アンプ 20 2次電子増倍管(フォトマル) 21 SEM(機構) 22 ローパスフィルタ(LPF) 23 アンプ 24 A/Dコンバータ 25 コンピュータシステム 26 D/Aコンバータ 27 スキャナ電源 28 試料 29 プリアンプ 30 SEMモニター 31 ビーム走査装置
フロントページの続き (72)発明者 則武 克誌 東京都小金井市貫井北町2丁目11番8号 (72)発明者 松川 貴 東京都杉並区和泉4丁目44番13号 (72)発明者 清水 博明 東京都中野区野方5丁目10番地1号 野方 ハウスB棟205号室 (56)参考文献 特開 平2−121247(JP,A) 特開 昭61−248346(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオンマイクロプローブと、 前記イオンマイクロプローブより発生されたマイクロイ
    オンビームを偏向する偏向板と、 前記偏向板に接続され、前記偏向板に印加される電界を
    制御して前記マイクロイオンビームを偏向する電界制御
    回路と、 前記偏向されたマイクロイオンビームから単一もしくは
    所定数のイオンを抽出するマイクロスリットと、 前記抽出された単一もしくは所定数のイオンを照射する
    試料を装着する試料保持機構と、 前記試料表面をリアルタイムに観察するSEM機構と、 前記試料表面に照射された単一もしくは所定数のイオン
    によって発生される2次電子を検出する2次電子検出系
    と、 からなるイオン照射装置において、 前記マイクロイオンビームの偏向方向が前記マイクロ
    リットに対して瞬間的に反転され単一回もしくは複数回
    チョップされることにより前記マイクロスリットから
    一もしくは所定数のイオンを抽出することを特徴とする
    イオン照射装置。
  2. 【請求項2】 イオンマイクロプローブと、 前記イオンマイクロプローブより発生されたマイクロイ
    オンビームを偏向する偏向板と、 前記偏向板に接続され、前記偏向板に印加される電界を
    制御して前記マイクロイオンビームを偏向する電界制御
    回路と、 前記偏向されたマイクロイオンビームから単一もしくは
    所定数のイオンを抽出するマイクロスリットと、 前記抽出された単一もしくは所定数のイオンを照射する
    試料を装着する試料保持機構と、 前記試料表面をリアルタイムに観察するSEM機構と、 前記試料表面に照射された単一もしくは所定数のイオン
    によって発生される2 次電子を検出する2次電子検出系
    と、 前記マイクロイオンビームの偏向方向が前記マイクロス
    リットに対して瞬間的に反転され単一回もしくは複数回
    チョップされることにより前記マイクロスリットから単
    一もしくは所定数のイオンを抽出することを特徴とする
    イオン照射装置において、 前記SEM機構を用いて、電子ビーム走査により前記試
    料表面全体の2次電子像を観察してイオン照射希望位置
    と前記試料もしくは試料保持機構上の基準位置との相対
    的な位置関係を把握する第1の工程と、 前記SEM機構を用いて、マイクロイオンビーム走査に
    より前記試料中の基準点の2次電子像を観察してマイク
    ロイオンの照射位置の決定を行なう第2の工程と、 第1の工程で求めた位置関係だけ前記試料保持機構を動
    かすことにより、マイクロイオンの照射位置をイオン照
    射希望位置に設置する第3の工程と、 前記偏向板に対して前記電界制御回路を用いてバイアス
    電圧を印加することにより、マイクロイオンビームをチ
    ョップして、イオンビームがマイクロスリットの間隙を
    通過する極く短い時間の間だけ単一イオンもしくは所定
    数のイオンを通過させる第4の工程と、 前記試料表面に照射された単一イオンもしくは所定数の
    イオンによって発生される2次電子を検出し、照射イオ
    ン数を計測する第5の工程、 とからなるイオン照射方法。
  3. 【請求項3】 イオンが前記マイクロスリットを通過す
    る確率が極めて小さく、1回のマイクロイオンビームの
    偏向の反転で1個もイオンが照射されない場合は、前記
    マイクロスリットを通過するイオン数が単一もしくは所
    定数に到達するまで前記第3の工程及び第4の工程を繰
    り返すことを特徴とする前記請求項2記載のイオン照射
    方法。
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