JPH07174717A - 元素分析方法及び元素分析装置 - Google Patents

元素分析方法及び元素分析装置

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JPH07174717A
JPH07174717A JP5318185A JP31818593A JPH07174717A JP H07174717 A JPH07174717 A JP H07174717A JP 5318185 A JP5318185 A JP 5318185A JP 31818593 A JP31818593 A JP 31818593A JP H07174717 A JPH07174717 A JP H07174717A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分析試料の物質最表面層の非破壊元素分析を
可能にする。 【構成】 粒子ビームを分析試料11に照射し、この分
析試料11から放出される特性X線を利用して、その分
析試料11の元素分析を行う元素分析方法において、粒
子ビームとして陽電子ビーム発生装置20によって発生
された陽電子ビームを使用し、この陽電子ビームをレン
ズ12及び走査コイル13を介して分析試料11に照射
し、分析試料11に入射した陽電子を分析試料11中の
原子の電子と対消滅させることによりこの分析試料11
中の当該原子を励起状態にして前記特性X線を発生させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒子ビームを分析試料
に照射し、この分析試料から放出される特性X線を利用
して、その分析試料の元素分析を行う元素分析方法に関
する。又、本発明は、この元素分析方法を達成する元素
分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の元素分析装置には、図2
に示すような電子線マイクロアナライザ(EPMA:E
lectron Probe Micro Analy
zer)が広く用いられてきた。この電子線マイクロア
ナライザは、粒子ビームとして電子ビームを使用し、こ
の電子ビームを分析試料に照射し、分析試料に入射した
電子により分析試料中の原子の電子をたたき出させるこ
とによりこの分析試料中の当該原子を励起状態にして分
析試料から特性X線を放出させ、この分析試料から放出
される特性X線を検出して、その分析試料の元素を特定
するものである。
【0003】詳しくは、この電子線マイクロアナライザ
は、電子ビームを発生する電子ビーム発生装置10を有
する。レンズ12及び走査コイル13からなる照射機構
は、この電子ビームを分析試料11に照射させ、この分
析試料11に入射した電子を分析試料11中の原子の電
子をたたき出させることによりこの分析試料中の当該原
子を励起状態にして分析試料11から特性X線を放出さ
せる。X線検出器14は、特性X線を検出する。このX
線検出器14の検出結果が、分析試料11の元素分析に
使用される。なお、分析試料11は試料微動装置15上
に載せられ、試料微動装置15により真空室16内にお
ける分析試料11の位置を微調整される。真空室16は
真空ポンプ17により所定の真空度に保たれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の電子線
マイクロアナライザ(EPMA)では、その原理により
X線発生領域(すなわち元素分析領域)が深さ数[μ
m]程度までとかなり深いために、物質最表面層の元素
分析は不可能である(図3参照)。
【0005】具体的に説明すると、加速電圧:V0 [k
V]の電子ビームを平均原子量:A、平均原子番号:
Z、平均密度:ρ[g/cm3 ]の物質に入射したとき
のX線発生領域(すなわち元素分析領域)は、臨界励起
電圧:Vk [kV](ただしV0 >Vk 、V0 がVk
り小さいときには特性X線は発生しない)とすると、深
さ0.033(V0 1.7 −Vk 1.7 )A/ρZ[μm]
(通常数[μm])までの広い範囲となる。この式によ
ると、例えば10[kV]の電子ビームをシリコンに打
ち込んだときのX線発生領域(すなわち元素分析領域)
は、深さ1.3[μm]程度までとなる。
【0006】このように、入射粒子として電子を利用し
た電子線マイクロアナライザ(EPMA)においては、
特性X線を発生させるために、励起電圧:Vk [kV]
(通常数[kV])以上の高いエネルギーをもった電子
を打ち込まなければならず、深さ数[μm]程度までと
いった深い領域の元素分析しかできないという問題点が
あった。
【0007】また、電子線マイクロアナライザ(EPM
A)よりも浅い領域の元素分析法としてオージェ電子分
光法(AES:Auger Electron Spe
ctroscopy)があるが、この手法をもってして
も、元素分析領域は深さ数[nm]程度までであり、や
はり物質最表面層の元素分析は不可能であった(図3参
照)。
【0008】更に、物質最表面層元素分析の従来法とし
て、二次イオン質量分析法(SIMS:Seconda
ry Ion Mass Spectroscpoy)
があるが、この手法は原理的に破壊分析であり、試料を
非破壊で元素分析することができないという問題点があ
った(図3参照)。
【0009】本発明の課題は、それ故、分析試料の物質
最表面層の非破壊元素分析が可能な元素分析方法を提供
することにある。
【0010】本発明の別の課題は、分析試料の物質最表
面層の非破壊元素分析が可能な元素分析装置を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、粒子ビ
ームを分析試料に照射し、この分析試料から放出される
特性X線を利用して、その分析試料の元素分析を行う元
素分析方法において、前記粒子ビームとして陽電子ビー
ムを使用し、この陽電子ビームを前記分析試料に照射
し、前記分析試料に入射した陽電子を該分析試料中の原
子の電子と対消滅させることによりこの分析試料中の当
該原子を励起状態にして前記特性X線を発生させること
を特徴とする元素分析方法が得られる。
【0012】更に本発明によれば、陽電子ビームを発生
する陽電子ビーム発生装置と、前記陽電子ビームを分析
試料に照射させ、この分析試料に入射した陽電子を該分
析試料中の原子の電子と対消滅させることによりこの分
析試料中の当該原子を励起状態にして該分析試料から特
性X線を放出させる照射手段と、前記特性X線を検出す
るX線検出器とを、備え、このX線検出器の検出結果
が、前記分析試料の元素分析に使用されることを特徴と
する元素分析装置が得られる。
【0013】
【作用】このように本発明では、粒子ビームとして陽電
子ビームを使用し、この陽電子ビームを分析試料に照射
し、分析試料に入射した陽電子を分析試料中の原子の電
子と対消滅させることによりこの分析試料中の当該原子
を励起状態にして特性X線を発生させることによって、
電子線マイクロアナライザ(EPMA)やオージェ電子
分光法(AES)や二次イオン質量分析法(SIMS)
などでは不可能であった物質最表面層の非破壊元素分析
が可能となった。
【0014】「特性X線」とは、物質に通常電子ビーム
などを当て、原子の内殻電子をたたき出し、原子を励起
状態に変え、その状態から元の基定状態に戻る際に放出
される、各元素に固有な線スペクトル状X線をいう。
「陽電子による特性X線発生」では、物質に電子ビーム
ではなく、陽電子ビームを当て、「原子の内殻電子をた
たき出」す代わりに、「原子の内殻電子を入射陽電子と
対消滅させる」ことにより、原子を励起状態に変え、特
性X線を発生させる。この手法により、物質最表面層の
非破壊元素分析やバックグラウンドノイズの小さな元素
分析、電子ビームでは不可能であった物質の元素分析な
どが可能になる。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。
【0016】図1を参照すると、本発明の一実施例によ
る元素分析方法を達成する元素分析装置は、図2と同様
の参照符号で示される同様の部分を含む。本元素分析装
置は、粒子ビームとして陽電子ビームを発生する陽電子
ビーム発生装置20を有するものであり、以下、陽電子
線マイクロアナライザ(PPMA:PositronP
robe Micro Analyzer)と呼ぶ。こ
の陽電子線マイクロアナライザ(PPMA)において
は、レンズ12及び走査コイル13からなる照射機構
は、この陽電子ビームを分析試料11に照射させ、この
分析試料11に入射した陽電子を分析試料11中の原子
の電子と対消滅させることによりこの分析試料11中の
当該原子を励起状態にして分析試料11から特性X線を
放出させる。X線検出器14は、当該特性X線を検出す
る。このX線検出器14の検出結果が、分析試料11の
元素分析に使用される。
【0017】陽電子ビーム発生装置20は、陽電子ビー
ムの分析試料11への入射エネルギーが1V〜100k
Vの範囲にある陽電子ビームを発生する。
【0018】電子検出器21は、分析試料11への陽電
子ビーム入射により分析試料11から放出される2次電
子又は反射電子を検出し、分析試料11の表面の顕微鏡
像を得る。
【0019】分析試料11に入射した陽電子が分析試料
11中の電子と対消滅するときに発生する消滅γ線を検
出するγ線検出器(図示せず)を設けて、X線検出と同
時計数をとるようにしても良い。
【0020】分析試料11への陽電子ビーム入射により
分析試料11で散乱される陽電子を検出する陽電子検出
器(図示せず)を設けて、陽電子像を得るようにしても
良い。
【0021】更に、図2に示した電子ビーム発生装置1
0を併用するようにしても良い。この場合、この電子ビ
ーム発生装置10が陽電子ビーム発生装置20の代りに
起動された時には、レンズ12及び走査コイル13から
なる照射機構は、電子ビームを分析試料11に照射さ
せ、分析試料11に入射した電子により分析試料11中
の原子の電子をたたき出させることによりこの分析試料
11中の当該原子を励起状態にして分析試料11から特
性X線を放出させる。又、X線検出器14は、当該特性
X線を検出して、このX線検出器14の検出結果が、分
析試料11の元素分析に使用される。
【0022】次にこの陽電子線マイクロアナライザ(P
PMA)の各部について説明する。
【0023】陽電子ビームは、サイクロトロンや電子線
形加速器などの加速器やβ+ 崩壊性同位元素などを利用
して得られるものを使用する。陽電子は所定のエネルギ
ーに加速された後、レンズ(収束レンズや対物レンズ)
12で絞られ、分析試料11上に照射される。分析試料
11上に結像される陽電子ビームを真円にするために非
点収差補正コイル(図示せず)を用いることもある。
【0024】走査コイル(陽電子ビーム偏向コイル)1
3は、入射陽電子ビームを分析試料11面上で任意に走
査するためのコイルで、このコイル13と同期してブラ
ウン管(図示せず)を走査することによって、あらゆる
信号の変化をブラウン管上に表示することができる。
【0025】試料微動装置15は、分析試料11のX、
Y(水平方向)、Z(上下方向)移動、回転、傾斜など
を行うものである。
【0026】X線検出器14は通常波長分散型X線分光
器(WDS)を使用するが、エネルギー分散型X線分光
器(EDS)を併設することもある。前者の特長は、そ
の優れた波長分解能にあり、後者の特長は多元素同時分
析が可能であることである。
【0027】電子検出器21は、例えばシンチレータと
光電子増倍管よりなっており、2次電子や反射電子を検
出する。また、半導体検出器によって反射電子を検出す
ることもできる。
【0028】真空ポンプ17は、ロータリポンプやディ
フェージョンポンプ、ターボ分子ポンプ、イオンポンプ
などを使用する。
【0029】観察光学系(図示せず)は、試料微動装置
15と併用して、分析試料11の分析位置を探索確認し
たり、分析位置をX線分光器の焦点を合わせたりするの
に利用する。
【0030】また、必要に応じて、上述の陽電子検出器
(図示せず)を用いて陽電子の検出・分析などを行った
り、上述のγ線検出器(図示せず)を用いて消滅γ線の
検出・分析などを行うことも有効である。
【0031】さらに、陽電子ビームの誘導に、陽電子ビ
ーム誘導用コイル(図示せず)による磁場を利用するこ
ともある。
【0032】ここで、入射粒子として電子ではなく陽電
子を利用すると、どのようなメリットがあるかを電子線
マイクロアナライザ(EPMA)と比較して説明する。
【0033】前記のように、電子を利用した電子線マイ
クロアナライザ(EPMA)の場合には、特性X線を発
生させるために、励起電圧:Vk [kV](通常数[k
V])以上の高いエネルギーをもった電子を打ち込まな
ければならず、深さ数[μm]程度までといった深い領
域の元素分析しかできなかった。このため、電子を利用
した電子線マイクロアナライザ(EPMA)では、物質
最表面層の元素分析が不可能であった。
【0034】これに対して、入射粒子として陽電子を使
用する陽電子線マイクロアナライザ(PPMA)では、
陽電子が分析試料中の電子と対消滅するときのエネルギ
ー収支により、励起電圧:Vk は0となる。すなわち、
どんな低エネルギーの陽電子でもX線を発生せることが
でき、そのような低エネルギー(数〜数十[V])の陽
電子を利用することにより、物質最表面層の元素分析が
非破壊で可能となる(図3参照)。
【0035】具体的に説明すると、加速電圧:V0 [k
V]の陽電子ビームを平均原子量:A、平均原子番号:
Z、平均密度:ρ[g/cm3 ]の物質に入射したとき
のX線発生領域(すなわち元素分析領域)は、深さ0.
033V0 1.7 A/ρZ[μm](サブ[オングストロ
ーム]〜数[μm])までとなり、電子ビームを使用す
るときに存在した「加速電圧:V0 の下限値(すなわ
ち、励起電圧:Vk )」がなくなる(0になる)。した
がって、十分低エネルギー(数〜数+[V])の陽電子
でもX線を発生させることが可能であり、そのような十
分低エネルギー(数〜数十[V])の陽電子を試料に入
射すれば、物質最表面層の元素分析が非破壊で可能とな
る。また、陽電子のエネルギーを次第に上げていくこと
により、物質最表面層から物質表面近傍、さらにより深
い領域へと深さ方向非破壊元素分析が可能になる。
【0036】以上のように、電子線マイクロアナライザ
(EPMA)では深さ数[μm]程度までの深い領域の
元素分析しかできないのに対して、陽電子線マイクロア
ナライザ(PPMA)を使用すれば、物質最表面層から
物質表面近傍、さらにより深い領域へと、物質最表面層
〜深さ数[μm]程度までの深さ方向非破壊元素分析が
可能になる。特に、電子線マイクロアナライザ(EPM
A)では不可能であった物質最表面層の元素分析が陽電
子線マイクロアナライザ(PPMA)では非破壊で可能
となることが、最大の特長である。
【0037】また、十分低エネルギー(数〜数十
[V])の陽電子を入射した場合、そのとき発生するバ
ックグランドノイズはかなり小さくなるため、精度(S
/N)の良いデータが得られることも、陽電子線マイク
ロアナライザ(PPMA)の特長としてあげることがで
きる。
【0038】さらに、入射した陽電子が分析試料中の電
子と対消滅するときに放出する消滅γ線を検出し、X線
検出と同時計数をとるようにして、より一層のバックグ
ラウンドノイズ除去による精度(S/N)の向上を図っ
てもよい。
【0039】このように、陽電子を利用すると、電子を
利用したときと比べて、精度(S/N)の良い分析が可
能になる。これはすなわち、陽電子を利用すると、電子
を利用したときに比べて、少ない電荷量での分析が可能
になること、つまり、試料に与える照射効果が小さくて
すむことを意味している。したがって、電子線マイクロ
アナライザ(EPMA)では不可能であった、帯電に敏
感な絶縁物質試料表面の分析や緩く表面に結合した吸着
原子の分析が、陽電子線マイクロアナライザ(PPM
A)では可能になることも、大きな特長である。
【0040】次にこの陽電子線マイクロアナライザ(P
PMA)の作用を説明する。
【0041】1)サイクロトロンや電子線形加速器など
の加速器やβ+ 崩壊性同位元素などを利用して得られる
陽電子ビームを所定のエネルギーまで加速し、レンズ1
2で収束し、分析試料11に入射する。このとき、陽電
子ビームのエネルギーは1[V]〜100[kV]まで
可変であり、それに応じて元素分析領域も物質最表面層
〜数[μm]程度まで可変となる。特に、陽電子ビーム
のエネルギーが十分低い(数〜数十[V])ときには、
物質最表面層の非破壊元素分析が可能となる。また、陽
電子ビームの誘導に、上述の陽電子誘導用コイル(図示
せず)による磁場を利用することもある。
【0042】2)走査コイル13を用いて、入射陽電子
ビームを分析試料11表面上で走査する。このとき発生
する電子を電子検出器21で検出し、顕微鏡像を得るこ
とにより分析試料11表面の形態観察を行うことができ
る。
【0043】3)試料微動装置15により、上記顕微鏡
像及び上述の観察光学系(図示せず)を利用して、分析
位置の調整・確認を行う。
【0044】4)試料11から放出される特性X線をX
線検出器14で検出し、元素分析を行う。また、上述の
陽電子検出器(図示せず)や上述のγ線検出器(図示せ
ず)などを併用して、より詳細な分析を行うこともあ
る。
【0045】本発明の主要原理である「陽電子による特
性X線発生」は、物質から特性X線を放出させ利用する
他の事例にも広く適用できる。すなわち、(1)「陽電
子による特性X線発生」を利用した「分析陽電子顕微
鏡」、(2)「陽電子による特性X線発生」を利用した
「軟X線出現電圧スペクトル法」、(3)「陽電子によ
る特性X線発生」を利用した「X線発生装置」、(4)
「陽電子による特性X線発生」を利用した「X線回折装
置」、(5)「陽電子による特性X線発生」を利用した
「蛍光X線分析装置」などの新装置を、本発明の主要原
理を応用して考案することができる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、粒
子ビームとして陽電子ビームを使用し、この陽電子ビー
ムを分析試料に照射し、分析試料に入射した陽電子を分
析試料中の原子の電子と対消滅させることによりこの分
析試料中の当該原子を励起状態にして特性X線を発生さ
せることによって、電子線マイクロアナライザ(EPM
A)やオージェ電子分光法(AES)や二次イオン質量
分析法(SIMS)などでは不可能であった物質最表面
層の非破壊元素分析が可能となった。また、入射する陽
電子ビームのエネルギーを変化させることにより、物質
最表面層から物質表面近傍、さらにより深い領域へと、
物質最表面層〜深さ数[μm]程度までの深さ方向非破
壊元素分析が可能になる。更に、入射する陽電子ビーム
のビーム径を十分に絞れば、深さ方向に面方向を加えた
3次元非破壊元素分析も可能である。
【0047】また、本発明では、十分低エネルギー(数
〜数十[V])の陽電子を利用できるので、発生するバ
ックグラウンドノイズを小さくすることができ、精度
(S/N)の良いデータを得ることができる。更に入射
陽電子が分析試料中の電子と対消滅するときに放出する
消滅γ線を検出し、X線検出と同時計数をとれば、更に
高精度の分析が可能になる。
【0048】また、上述のように、本発明では、電子線
マイクロアナライザ(EPMA)より高精度の分析が可
能になるので、電子線マイクロアナライザ(EPMA)
よりも少ない電荷量での分析が可能になり、分析試料に
与える照射効果を小さくすることができる。これによ
り、電子線マイクロアナライザ(EPMA)では不可能
であった、帯電に敏感な絶縁物質試料表面の分析や緩く
表面に結合した吸着原子の分析が、本発明では可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による元素分析方法を達成す
る元素分析装置の概略図である。
【図2】従来の元素分析方法を達成する元素分析装置の
概略図である。
【図3】従来及び本発明の元素分析方法を説明するため
の図である。
【符号の説明】
10 電子ビーム発生装置 11 分析試料 13 走査コイル 14 X線検出器 15 試料微動装置 16 真空室 17 真空ポンプ 20 陽電子ビーム発生装置 21 電子検出器

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子ビームを分析試料に照射し、この分
    析試料から放出される特性X線を利用して、その分析試
    料の元素分析を行う元素分析方法において、前記粒子ビ
    ームとして陽電子ビームを使用し、この陽電子ビームを
    前記分析試料に照射し、前記分析試料に入射した陽電子
    を該分析試料中の原子の電子と対消滅させることにより
    この分析試料中の当該原子を励起状態にして前記特性X
    線を発生させることを特徴とする元素分析方法。
  2. 【請求項2】 陽電子ビームを発生する陽電子ビーム発
    生装置と、前記陽電子ビームを分析試料に照射させ、こ
    の分析試料に入射した陽電子を該分析試料中の原子の電
    子と対消滅させることによりこの分析試料中の当該原子
    を励起状態にして該分析試料から特性X線を放出させる
    照射手段と、前記特性X線を検出するX線検出器とを、
    備え、このX線検出器の検出結果が、前記分析試料の元
    素分析に使用されることを特徴とする元素分析装置。
  3. 【請求項3】 前記陽電子ビーム発生装置は、前記陽電
    子ビームの前記分析試料への入射エネルギーが1V〜1
    00kVの範囲にある前記陽電子ビームを発生すること
    を特徴とする請求項2に記載の元素分析装置。
  4. 【請求項4】 前記分析試料に入射した前記陽電子が前
    記分析試料中の電子と対消滅するときに発生する消滅γ
    線を検出するγ線検出器を更に有することを特徴とする
    請求項2又は3に記載の元素分析装置。
  5. 【請求項5】 前記分析試料への陽電子ビーム入射によ
    り前記分析試料から放出される2次電子又は反射電子を
    検出する電子検出器を更に有することを特徴とする請求
    項2、3、及び4のいずれかに記載の元素分析装置。
  6. 【請求項6】 前記分析試料への陽電子ビーム入射によ
    り前記分析試料で散乱される陽電子を検出する陽電子検
    出器を更に有することを特徴とする請求項2、3、4、
    及び5のいずれかに記載の元素分析装置。
  7. 【請求項7】 電子ビームを発生する電子ビーム発生装
    置を更に有し、この電子ビーム発生装置が前記陽電子ビ
    ーム発生装置の代りに起動された時には、前記照射手段
    は、前記電子ビームを前記分析試料に照射させ、前記分
    析試料に入射した電子により該分析試料中の原子の電子
    をたたき出させることによりこの分析試料中の当該原子
    を励起状態にして該分析試料から特性X線を放出させる
    ものであり、前記X線検出器は、当該特性X線を検出す
    るものであり、このX線検出器の検出結果が、前記分析
    試料の元素分析に使用されることを特徴とする請求項2
    に記載の元素分析装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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