JPH06306658A

JPH06306658A - 脱脂洗浄方法および装置

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Publication number: JPH06306658A
Application number: JP9586093A
Authority: JP
Inventors: Kazuyoshi Yamaguchi; 和嘉山口
Original assignee: KOYO RINDOBAAGU KK
Current assignee: KOYO RINDOBAAGU KK
Priority date: 1993-04-22
Filing date: 1993-04-22
Publication date: 1994-11-01
Anticipated expiration: 2017-04-08
Also published as: JP3273339B2

Abstract

(57)【要約】【目的】無公害でかつ脱脂洗浄力に優れた脱脂洗浄方
法およびこの方法を実施するための装置を提供する。【構成】搬送装置4 により洗浄室1 内に被処理物W を
搬入し、真空排気装置4により洗浄室1 内を減圧した
後、洗浄液導入装置5 により洗浄室1 内に洗浄液を導入
し、被処理物W を洗浄液中に浸漬して脱脂洗浄する。洗
浄液として第３石油類を使用する。洗浄は本洗浄と後洗
浄の２回に分けて行い、本洗浄で使用した洗浄液を一旦
洗浄槽6 より抜いてから、清浄な洗浄液で後洗浄を行
う。洗浄中はエレベーター11を上下させて洗浄を促進さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、脱脂洗浄方法および
装置に関し、さらに詳しくは、金属製の部品や工具等の
熱処理工程において、油焼入時に付着した焼入油等の油
脂を脱脂洗浄する方法および装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種脱脂洗浄方法として、１−
１−１トリクロルエタン等の塩素系有機溶剤の蒸気中に
被処理物をさらすことにより、付着油脂を被処理物表面
から蒸発させるトリエタン蒸気洗浄方法が知られている
が、このトリエタン蒸気洗浄方法には、作業環境を汚染
したり、オゾン層を破壊したりするという問題がある。

【０００３】そこで、トリエタン蒸気洗浄方法に代わる
無公害な脱脂洗浄方法として、アルカリ溶液や石油系溶
剤を洗浄液とし、洗浄液を被処理物に噴射するか、また
は洗浄液中に被処理物を浸漬するかして脱脂洗浄する脱
脂洗浄方法が使用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の脱
脂洗浄方法により洗浄される被処理物は、多段に積み重
ねられた状態で処理されるのが一般的である。また、被
処理物が有底筒状である場合には、焼入油等が底に残ら
ないように、底を上にして処理される（図２参照）。

【０００５】底を上にして多段に積み重ねられた状態に
ある有底筒状被処理物を洗浄するにあたり、上記の洗浄
液を被処理物に噴射する洗浄方法では、上段や下段にあ
る被処理物が邪魔になって中段にある被処理物（特にそ
の内側）は死角となるためうまく洗浄できないという問
題がある。また、上記の洗浄液中に被処理物を浸漬する
洗浄方法では、噴射に比べると有利ではあるが、なお、
被処理物の内側に気泡が溜まることにより洗浄液が入り
込めなくなり、脱脂洗浄が不十分となるという問題があ
る。脱脂洗浄が不十分であると、例えば油焼入後の焼戻
し工程において火災が発生する等の危険が生じる。

【０００６】この発明の目的は、無公害でかつ脱脂洗浄
力に優れた脱脂洗浄方法およびこの方法を実施するため
の装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明による脱脂洗浄
方法は、洗浄室内に被処理物を搬入し、洗浄室内を減圧
した後、洗浄室内に洗浄液を導入し、被処理物を洗浄液
中に浸漬して脱脂洗浄することを特徴とするものであ
る。

【０００８】洗浄液は第３石油類であることが好まし
い。

【０００９】この発明による脱脂洗浄装置は、洗浄室
と、被処理物を洗浄室内に搬入する搬送装置と、洗浄室
内を減圧する真空排気装置と、洗浄室内に洗浄液を導入
する洗浄液導入装置とを備えているものである。

【００１０】

【作用】この発明による脱脂洗浄方法は、洗浄室内に被
処理物を搬入し、洗浄室内を減圧した後、洗浄室内に洗
浄液を導入し、被処理物を洗浄液中に浸漬して洗浄する
ものであるから、大気圧下においては気泡が溜まって液
が入り込みにくい箇所があっても、被処理物を洗浄液中
に浸漬したさい、洗浄液はそこに浸入していく。したが
って、多段に積み重ねられた状態にある有底筒状被処理
物を洗浄する場合であっても、被処理物内側の油脂分を
ほぼ完全に除去することができる。

【００１１】

【実施例】以下、この発明の実施例を、図面を参照して
説明する。以下の説明において、前後は、図１を基準と
し、図１の右を前、左を後というものとする。

【００１２】図１はこの発明による脱脂洗浄装置を示す
もので、脱脂洗浄装置は、被処理物(W) を第３石油類の
溶剤よりなる洗浄液によって洗浄する洗浄室(1) と、洗
浄室(1) の後方に隣接して設けられた乾燥室(2) と、被
処理物(W) を洗浄室(1) に搬出入しかつ洗浄後の被処理
物(W) を乾燥室(2) に搬出入する搬送ローラ（搬送装
置）(3) と、洗浄室(1) 内および乾燥室(2) 内を減圧す
る真空排気装置(4) と、洗浄室(1) 内に洗浄液を導入す
る洗浄液導入装置(5) とを備えている。

【００１３】洗浄室(1) は、下半部が洗浄槽(6) となさ
れ、上半部の前壁には前扉(7) が設けられ、洗浄室(1)
上半部と乾燥室(2) との間には、中間扉(9) が設けられ
ている。

【００１４】洗浄室(1) には、被処理物(W) を載せてシ
リンダ(14)により昇降させられるエレベーター(11)と、
洗浄室(1) 内上部に配置されて洗浄後の被処理物(W) に
液切り用窒素ガスを吹き付ける窒素吹き付けノズル(12)
と、洗浄液撹拌機(13)とが設けられている。

【００１５】乾燥室(2) には、乾燥用窒素ガスを導入す
る窒素ガス導入管(15)と、窒素ガス排出管(16)と、乾燥
室(2) 内の温度分布をよくするための撹拌ファン(17)と
が設けられている。

【００１６】真空排気装置(4) は、真空ポンプ(18)と、
真空ポンプ(18)と洗浄室(1) とを接続する洗浄室真空用
排気管(19)と、真空ポンプ(18)と乾燥室(2) とを接続す
る乾燥室真空用排気管(20)と、洗浄室真空用排気管(19)
の途中に設けられた洗浄室真空用切換弁(21)と、乾燥室
真空用排気管(20)の途中に設けられた乾燥室真空用切換
弁(22)とを備えている。

【００１７】洗浄液導入装置(5) は、洗浄液タンク(23)
と、洗浄液タンク(23)と洗浄槽(6)とを接続する洗浄液
導入パイプ(24)および洗浄液排出パイプ(25)と、洗浄液
ポンプ(26)とを備えている。洗浄液タンク(23)は、前と
後の中央で仕切られており、本洗浄用の洗浄液を溜める
後部の本洗浄液タンク(27)と、後洗浄用の洗浄液を溜め
る前部の後洗浄液タンク(28)とよりなる。本洗浄用の洗
浄液と後洗浄用の洗浄液とは同じもので、例えば引火点
８６℃のイソパラフィンを主成分とする溶剤が使われ
る。本洗浄液タンク(27)および後洗浄液タンク(28)に
は、それぞれ加熱ヒータ(29)および撹拌機(30)が設けら
れており、洗浄液は引火点より１０℃低い温度（６０〜
７５℃）に加熱される。本洗浄液タンク(27)の洗浄液
は、溶剤再生装置（図示略）により清浄にされた後、後
洗浄液タンク(28)に戻される。本洗浄液タンク(27)の液
量が減ると、洗浄液供給管(31)より新液が後洗浄液タン
ク(28)に補給される。後洗浄液タンク(28)からオーバー
フローした液は本洗浄液タンク(27)に流れる。

【００１８】次に、上記装置を使用して油脂が付着した
被処理物(W) に脱脂洗浄処理を施す方法を説明する。

【００１９】まず、前扉(7) を開いて洗浄室(1) 内に被
処理物(W) を入れ、エレベーター(11)上に搬送ローラ
(3) によって搬送する。ついで、前扉(7) を閉じ、洗浄
室真空用切換弁(21)を開いて洗浄室(1) 内を真空排気す
る。真空排気完了後、洗浄液を本洗浄液タンク(27)から
洗浄槽(6) に移す。ついで、エレベーター(11)を下降さ
せ、被処理物(W) を洗浄槽(6) の洗浄液中に浸漬して本
洗浄を行う。この間、エレベーター(11)を洗浄液中で上
下させて被処理物(W) を洗浄液中で動かし、かつ撹拌機
(13)により洗浄液を撹拌することにより、洗浄を促進さ
せる。所定時間洗浄後、洗浄液を洗浄槽(6) から本洗浄
液タンク(27)に返す。ついで、洗浄液を後洗浄液タンク
(28)から洗浄槽(6) に移して、所定時間上記の本洗浄と
同様にして後洗浄を行う。後洗浄終了後、エレベーター
(11)を上昇させ、窒素吹き付けノズル(12)から窒素ガス
を吹き付けて液切りを行う。洗浄液は洗浄槽(6) から後
洗浄液タンク(28)に返す。ついで、中間扉(9) を開い
て、被処理物(W) を乾燥室(2)に搬入する。中間扉(9)
を閉めた後、乾燥室真空弁(22)を開いて乾燥室(2) 内を
真空排気する。真空排気完了後、乾燥室(2) 内に加熱さ
れた窒素ガスを導入し、被処理物(W) を乾燥させる。窒
素ガス排出管(16)より排出された窒素ガスは、窒素ガス
中に含まれた洗浄液が除去された後、再び加熱されて窒
素ガス導入管(15)より乾燥室(2) 内に導入される。乾燥
終了後、中間扉(9) および前扉(7) を開けて洗浄の終わ
った被処理物(W) を搬送ローラ(3) によって搬出する。

【００２０】上記において、本洗浄工程において被処理
物(W) に付着した汚れを洗浄液によって溶解し、汚れを
洗浄液中に分散させ、ついで後洗浄工程において汚れた
洗浄液を後洗浄液中に希釈することにより、ほとんど汚
れていない洗浄液だけが付着した被処理物を乾燥工程に
持ち込むことができる。

【００２１】また、窒素ガスの吹き付け条件は、供給圧
力が２ｋｇ／ｃｍ²、流量が８〜１０ｍ³／分とし、被
処理物に窒素ガスを横から当てる。これにより、洗浄液
を３０〜５０％落とすことができ、乾燥時間を減らすこ
とができる。窒素ガスの吹き付け条件は、上記に限らず
適宜変更できる。

【００２２】次に、この発明の脱脂洗浄方法のさらに具
体的な実施例について説明する。

【００２３】有底筒状の被処理物(W) を底を上にして２
４０個ほぼ正方形状に並べたものを６段積み重ねて図２
に概略的に示すような荷姿とし、これをホット焼入油に
浸漬して油を付着させた。そして、洗浄液の液温１３
℃、洗浄時の浸漬時間１０分、後洗浄時の浸漬時間３
分、乾燥時間２５分の条件で脱脂洗浄処理を施した。洗
浄液としては、出光ダフニークリーナーＨを使用した。
真空排気時の真空度は２〜３Ｔｏｒｒとした。処理後、
被処理物(W) を四塩化炭素１０ｃｃに漬けて油分を抽出
し、四塩化炭素中の油分濃度を赤外線式油分濃度計で測
定した。

【００２４】比較のために、真空排気を省略した場合
（比較例１）と、上記被処理物(W) を従来のアルカリ温
水洗浄方法により脱脂洗浄処理を施した場合（比較例
２）とについて同様の測定を行った。

【００２５】これらの結果を図３に示す。

【００２６】図３から明らかなように、本発明の実施例
は、真空排気をすることによって、真空排気が無い比較
例１に対して、約１／３の残留油量となり、従来のアル
カリ温水洗浄方法の比較例２に比べて、大幅に洗浄力が
増すことが分かる。

【００２７】なお、洗浄液の使用中の温度は常温〜７５
℃が適当であり、乾燥時の温度は１５０℃以下が適当で
ある。

【００２８】

【発明の効果】この発明の方法および装置によれば、大
気圧下においては気泡が溜まって液が入り込みにくい箇
所があっても、被処理物を洗浄液中に浸漬したさい、洗
浄液はそこに浸入していき、多段に積み重ねられた状態
にある有底筒状被処理物を洗浄する場合であっても、被
処理物内側の油脂分をほぼ完全に除去することができ
る。しかも、作業環境を汚染したり、オゾン層を破壊し
たりすることがなく、無公害でかつ脱脂洗浄力に優れた
脱脂洗浄方法が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による脱脂洗浄装置を概略的に示す側
面図である。

【図２】この発明による脱脂洗浄方法の効果を測定する
のに用いられた被洗浄物の荷姿を示す概略側面図であ
る。

【図３】この発明による脱脂洗浄方法の効果を示すグラ
フである。

【符号の説明】

(1) 洗浄室 (3) 搬送ローラ（搬送装置） (4) 真空排気装置 (5) 洗浄液導入装置 (W) 被処理物

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】洗浄室内に被処理物を搬入し、洗浄室内
を減圧した後、洗浄室内に洗浄液を導入し、被処理物を
洗浄液中に浸漬して脱脂洗浄することを特徴とする脱脂
洗浄方法。
【請求項２】洗浄液が第３石油類である請求項１の脱
脂洗浄方法。
【請求項３】洗浄室と、被処理物を洗浄室内に搬入す
る搬送装置と、洗浄室内を減圧するための真空排気装置
と、洗浄室内に洗浄液を導入する洗浄液導入装置とを備
えている脱脂洗浄装置。