JPH06306583A - 蒸着用材料及びその製造方法 - Google Patents
蒸着用材料及びその製造方法Info
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- JPH06306583A JPH06306583A JP11374993A JP11374993A JPH06306583A JP H06306583 A JPH06306583 A JP H06306583A JP 11374993 A JP11374993 A JP 11374993A JP 11374993 A JP11374993 A JP 11374993A JP H06306583 A JPH06306583 A JP H06306583A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 垂直磁気記録用薄膜の製造などにおいて、安
定した条件で蒸着できるよう、取り扱い性や靱性に優れ
たCoの蒸着材料を提供する。 【構成】 30wt%以下のCrを含有するCo−Cr
基合金であって、径が1.0mm以上,10mm以下
で、径の1000倍以上の長さを有し、引張強度が50
0MPa以上、1500MPa以下、絞りが、5%以
上、伸びが、5%以上(標点間距離100mm)の機械
的特性を有する。この構成により、蒸着作業の際、取り
扱いが容易で、安定した条件にて連続供給ができる。
定した条件で蒸着できるよう、取り扱い性や靱性に優れ
たCoの蒸着材料を提供する。 【構成】 30wt%以下のCrを含有するCo−Cr
基合金であって、径が1.0mm以上,10mm以下
で、径の1000倍以上の長さを有し、引張強度が50
0MPa以上、1500MPa以下、絞りが、5%以
上、伸びが、5%以上(標点間距離100mm)の機械
的特性を有する。この構成により、蒸着作業の際、取り
扱いが容易で、安定した条件にて連続供給ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、垂直磁気記録薄膜など
を製造する工程で用いられる、Co−Cr基合金の蒸着
用材料とその製造方法に関するものである。
を製造する工程で用いられる、Co−Cr基合金の蒸着
用材料とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Co−Cr基合金は、蒸着により垂直磁
化膜を形成でき、磁気特性、即ち保磁力,残留磁束密度
が優れているため、近年特に垂直磁気記録薄膜用材料と
して用いられている。従来その蒸着方法は10-5〜10
-6Torr程度に真空引きした真空チャンバー内で行わ
れ、るつぼ内の蒸着材料を電子ビームで2000℃程度
に加熱、溶融して蒸発させ、基体表面上に蒸着させてい
た。ここで、蒸着材料は、蒸発した分補給しなければな
らないが、その補給には約10mmφ×10〜30mm
のペレット又は30〜80mmφのバー材を用いてい
た。ペレットの場合、るつぼ溶湯中に落下し、バー材の
場合、その一部を溶融し、溶湯中に落下して補給するの
が一般的である。
化膜を形成でき、磁気特性、即ち保磁力,残留磁束密度
が優れているため、近年特に垂直磁気記録薄膜用材料と
して用いられている。従来その蒸着方法は10-5〜10
-6Torr程度に真空引きした真空チャンバー内で行わ
れ、るつぼ内の蒸着材料を電子ビームで2000℃程度
に加熱、溶融して蒸発させ、基体表面上に蒸着させてい
た。ここで、蒸着材料は、蒸発した分補給しなければな
らないが、その補給には約10mmφ×10〜30mm
のペレット又は30〜80mmφのバー材を用いてい
た。ペレットの場合、るつぼ溶湯中に落下し、バー材の
場合、その一部を溶融し、溶湯中に落下して補給するの
が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の供給方
法では、いずれの場合も補給に伴い蒸着材料湯面の乱
れ、溶湯の飛散、溶湯内温度分布の不均一など、蒸着条
件が不安定となり、安定した品質の磁気記録薄膜製造に
支障を来す。
法では、いずれの場合も補給に伴い蒸着材料湯面の乱
れ、溶湯の飛散、溶湯内温度分布の不均一など、蒸着条
件が不安定となり、安定した品質の磁気記録薄膜製造に
支障を来す。
【0004】この対策として、蒸発材料を長尺の線材と
し、これをるつぼ内に連続供給して、蒸着条件を安定化
し、信頼性の高い磁気記録薄膜を製造することが考えら
れる。この場合、長時間の連続蒸着作業が可能になると
いうメリットもあるため、Coの線材化が要望されてい
た。
し、これをるつぼ内に連続供給して、蒸着条件を安定化
し、信頼性の高い磁気記録薄膜を製造することが考えら
れる。この場合、長時間の連続蒸着作業が可能になると
いうメリットもあるため、Coの線材化が要望されてい
た。
【0005】しかし、Co−Cr基合金は難加工性材料
であるため、特に冷間において線引加工などにより長尺
化することが極めて困難である。このため、前記のペレ
ットやバー材といった形状しか得られておらず、蒸着条
件の安定した磁気記録薄膜製造が困難であるといった問
題があった。本発明は、このような技術的背景のもとに
なされたもので、安定した蒸着条件が得られるよう、加
工性や靱性に優れたCo−Cr基合金の蒸着材料を提供
することを目的とする。
であるため、特に冷間において線引加工などにより長尺
化することが極めて困難である。このため、前記のペレ
ットやバー材といった形状しか得られておらず、蒸着条
件の安定した磁気記録薄膜製造が困難であるといった問
題があった。本発明は、このような技術的背景のもとに
なされたもので、安定した蒸着条件が得られるよう、加
工性や靱性に優れたCo−Cr基合金の蒸着材料を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明蒸着材料は、30wt%以下のCrを含有
するCo−Cr基合金であって、径が1.0mm以上,
10mm以下で、径の1000倍以上の長さを有し、引
張強度が500MPa以上、1500MPa以下、絞り
が、5%以上、伸びが、5%以上(標点間距離100m
m)の機械的特性を有することを特徴とする。
めに、本発明蒸着材料は、30wt%以下のCrを含有
するCo−Cr基合金であって、径が1.0mm以上,
10mm以下で、径の1000倍以上の長さを有し、引
張強度が500MPa以上、1500MPa以下、絞り
が、5%以上、伸びが、5%以上(標点間距離100m
m)の機械的特性を有することを特徴とする。
【0007】このような機械的特性の蒸着材料は、30
wt%以下のCrを含有するCo−Cr基合金に、M
n,Cr,Mg,Zr,Caから選択された元素を0.
01〜0.1wt%含有させることや、X線回析におけ
る、fcc(200)、hcp(100)及び hcp(101) のピーク高さ(c
ps) をそれぞれf1 ,h1 ,h2 とするとき、 0.1≦f1 /(f1 +h1 +h2 )≦1 の式を満たす結晶構造を室温で有するものにより得るこ
とができる。
wt%以下のCrを含有するCo−Cr基合金に、M
n,Cr,Mg,Zr,Caから選択された元素を0.
01〜0.1wt%含有させることや、X線回析におけ
る、fcc(200)、hcp(100)及び hcp(101) のピーク高さ(c
ps) をそれぞれf1 ,h1 ,h2 とするとき、 0.1≦f1 /(f1 +h1 +h2 )≦1 の式を満たす結晶構造を室温で有するものにより得るこ
とができる。
【0008】上記の蒸着材料においては、表面研削など
の機械的手段又は酸洗いなどの化学的手段により表面不
純物を除去することが好ましい。
の機械的手段又は酸洗いなどの化学的手段により表面不
純物を除去することが好ましい。
【0009】又、前記機械的特性の蒸着材料を製造する
には、hcp 構造からfcc 構造への変態温度をTtとした
場合、30wt%以下のCrを含有するCo−Cr基合
金を、Tt以上Tt+200℃以下の温度にて、1パス
での断面減少率が10%以上の加工を行うことで得られ
る。このとき、上記加工を行った後、0.1℃/s以上
の速度で冷却することが好ましい。
には、hcp 構造からfcc 構造への変態温度をTtとした
場合、30wt%以下のCrを含有するCo−Cr基合
金を、Tt以上Tt+200℃以下の温度にて、1パス
での断面減少率が10%以上の加工を行うことで得られ
る。このとき、上記加工を行った後、0.1℃/s以上
の速度で冷却することが好ましい。
【0010】以下に本発明蒸着材料の各特性を限定した
理由を説明する。先ず、Cr含有量を限定したのは、磁
気特性を考慮したことに基づく。即ち、Co合金におい
て、30wt%を越えるCrを含む合金は、磁気記録薄
膜としての特性を示す残留磁束密度が良好な値を示さな
いからである。
理由を説明する。先ず、Cr含有量を限定したのは、磁
気特性を考慮したことに基づく。即ち、Co合金におい
て、30wt%を越えるCrを含む合金は、磁気記録薄
膜としての特性を示す残留磁束密度が良好な値を示さな
いからである。
【0011】次に、線径については、操作性(扱い易
さ)や供給速度等を考慮している。即ち、10mmを越
えると、線材の取り扱いが大変な上、その巻き取りコイ
ルの径が大きくなり、供給装置自体も大きくなる。その
結果、真空チャンバー周辺機器の大型化につながり、特
に供給装置を真空チャンバー内に設ける場合、大きなス
ペースが必要となる。
さ)や供給速度等を考慮している。即ち、10mmを越
えると、線材の取り扱いが大変な上、その巻き取りコイ
ルの径が大きくなり、供給装置自体も大きくなる。その
結果、真空チャンバー周辺機器の大型化につながり、特
に供給装置を真空チャンバー内に設ける場合、大きなス
ペースが必要となる。
【0012】逆に、1.0mm未満では取り扱いは容易
なものの、曲がりが生じやすいなどの問題に加え、高速
供給が必要となる。高速供給の結果、るつぼ内の一定位
置に供給することが困難となり、湯面の乱れなどの問題
が発生し易くなる。又、このような細径では比表面積が
大きく、単位重量当たりの表面不純物の量が多くなる。
なものの、曲がりが生じやすいなどの問題に加え、高速
供給が必要となる。高速供給の結果、るつぼ内の一定位
置に供給することが困難となり、湯面の乱れなどの問題
が発生し易くなる。又、このような細径では比表面積が
大きく、単位重量当たりの表面不純物の量が多くなる。
【0013】そして、連続操業を行うためには、直径の
1000倍以上の長さが必要である。
1000倍以上の長さが必要である。
【0014】一方、機械的特性についてであるが、これ
も主に供給性,操作性を考慮したものである。引張強度
が500MPa未満では強度不足となり、逆に1500
MPaを越えると硬く、供給が困難となる。又、伸び、
絞りが5%未満の場合、加工性に劣ると共に、曲げに弱
く、折損の原因になるなどやはり供給困難となる。より
望ましくは両者とも10%以上である。
も主に供給性,操作性を考慮したものである。引張強度
が500MPa未満では強度不足となり、逆に1500
MPaを越えると硬く、供給が困難となる。又、伸び、
絞りが5%未満の場合、加工性に劣ると共に、曲げに弱
く、折損の原因になるなどやはり供給困難となる。より
望ましくは両者とも10%以上である。
【0015】更に、このような蒸着材料において、機械
的或は化学的手段によって表面不純物除去することで、
より高品質の蒸着膜を形成することができる。この場
合、必要に応じて、有機溶剤,中性洗剤による洗浄を行
えば一層効果的である。
的或は化学的手段によって表面不純物除去することで、
より高品質の蒸着膜を形成することができる。この場
合、必要に応じて、有機溶剤,中性洗剤による洗浄を行
えば一層効果的である。
【0016】又、Mn,Mg,Zr,Caは、Co−C
r基合金加工性を向上させるのに有効な元素である。こ
の添加量を0.01〜0.1wt%と極めて微量にする
ことで、Co−Cr基合金本来の磁気特性(保磁力,残
留磁束密度)を全く損なわない。この点は、特開昭59
−64734号公報記載技術におけるFeの添加量(2
〜10wt%)と比較して極めて顕著である。
r基合金加工性を向上させるのに有効な元素である。こ
の添加量を0.01〜0.1wt%と極めて微量にする
ことで、Co−Cr基合金本来の磁気特性(保磁力,残
留磁束密度)を全く損なわない。この点は、特開昭59
−64734号公報記載技術におけるFeの添加量(2
〜10wt%)と比較して極めて顕著である。
【0017】Mn,Mg,Zr,Caから選択された元
素の含有量が0.01wt%未満では十分な加工性(引
張強度500MPa以上、絞り5%、好ましくは10%
以上)が得られず、逆に0.1wt%を越えてもそれ以
上の加工性の向上は望めず、不必要に添加物を増加させ
るだけである。加工性及び純度の両面を考慮すると0.
02〜0.05wt%が望ましい。
素の含有量が0.01wt%未満では十分な加工性(引
張強度500MPa以上、絞り5%、好ましくは10%
以上)が得られず、逆に0.1wt%を越えてもそれ以
上の加工性の向上は望めず、不必要に添加物を増加させ
るだけである。加工性及び純度の両面を考慮すると0.
02〜0.05wt%が望ましい。
【0018】次に、結晶構造であるが、「課題を解決す
るための手段」で述べた結晶構造をもつことで、線材化
に必要な加工性を有しかつ連続供給に適した機械的特性
(引張強度:500MPa以上、絞り:5%以上)を得
ることができる。
るための手段」で述べた結晶構造をもつことで、線材化
に必要な加工性を有しかつ連続供給に適した機械的特性
(引張強度:500MPa以上、絞り:5%以上)を得
ることができる。
【0019】さらに、製造方法であるが、30wt%以
下のCrを含有するCo−Cr基合金を上記の所定温
度,加工度(断面減少率)にて処理することで、前記機
械的特性の蒸着材料を得ることができる。
下のCrを含有するCo−Cr基合金を上記の所定温
度,加工度(断面減少率)にて処理することで、前記機
械的特性の蒸着材料を得ることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)先ず、真空溶解炉にて20wt%Crを含
有するCoを100kg製造した。これを熱間での加工
により、径が15,12,10,8,6,4,2,1,
0.8,0.5mmで、長さは各径の1000倍以上あ
る線材を製作した。そして、実際に真空チャンバー内の
るつぼに供給してみた。その結果、15mm,12mm
のものは太すぎて取り扱いが非常に困難なため作業性が
劣り、0.5mmのものは取り扱いは容易であるが、供
給時に曲がるなどのため安定した供給ができなかった。
一方、他のものは安定した供給ができた。
有するCoを100kg製造した。これを熱間での加工
により、径が15,12,10,8,6,4,2,1,
0.8,0.5mmで、長さは各径の1000倍以上あ
る線材を製作した。そして、実際に真空チャンバー内の
るつぼに供給してみた。その結果、15mm,12mm
のものは太すぎて取り扱いが非常に困難なため作業性が
劣り、0.5mmのものは取り扱いは容易であるが、供
給時に曲がるなどのため安定した供給ができなかった。
一方、他のものは安定した供給ができた。
【0021】(実施例2)次に、実施例1と同様に、真
空溶解炉にて20wt%Crを含有するCoを100k
g製造し、これを熱間加工にて径が5mmの線材を製作
した。このとき、加工条件、熱処理条件を調整すること
により種々の機械的特性(引張強度,伸び,絞り)の線
材を得て、実施例1と同様に供給テストを行った。その
結果を図1に示す。同図に示すように、引張強度が50
0MPa未満のものは強度不足で、断線が生じた。又、
同1500MPaを越えるものは線材が硬く、取り扱い
及び供給が困難であった。又、伸び(同図A参照)と絞
り(同図B参照)は、それぞれ5%以上でないと、供給
中折損が発生するなど、安定した供給ができなかった。
空溶解炉にて20wt%Crを含有するCoを100k
g製造し、これを熱間加工にて径が5mmの線材を製作
した。このとき、加工条件、熱処理条件を調整すること
により種々の機械的特性(引張強度,伸び,絞り)の線
材を得て、実施例1と同様に供給テストを行った。その
結果を図1に示す。同図に示すように、引張強度が50
0MPa未満のものは強度不足で、断線が生じた。又、
同1500MPaを越えるものは線材が硬く、取り扱い
及び供給が困難であった。又、伸び(同図A参照)と絞
り(同図B参照)は、それぞれ5%以上でないと、供給
中折損が発生するなど、安定した供給ができなかった。
【0022】(実施例3)更に、実施例2と同様の線材
を製作し、その表面を機械的に研削して、さらに有機溶
剤で洗浄した。そして、EDSを用いて、研削前,研削
後,洗浄後の各線材表面の不純物を分析した。その結
果、研削前は表面に酸化物をはじめとする不純物が多く
分析された。又、研削後は研削時の潤滑剤などが分析さ
れた。さらに、有機溶剤による洗浄後は表面付着物は全
く分析されなかった。
を製作し、その表面を機械的に研削して、さらに有機溶
剤で洗浄した。そして、EDSを用いて、研削前,研削
後,洗浄後の各線材表面の不純物を分析した。その結
果、研削前は表面に酸化物をはじめとする不純物が多く
分析された。又、研削後は研削時の潤滑剤などが分析さ
れた。さらに、有機溶剤による洗浄後は表面付着物は全
く分析されなかった。
【0023】(実施例4)20wt%Crを含有するC
o基合金にMn,Mg,Zr又はCaが添加された材料
を用いて室温にて引張試験を行い、絞りを評価した。各
添加元素量と絞りの関係を図2に示す。図において、○
=Mn,●=Mg,△=Zr,▲=Caである。図示の
ように、いずれの元素も0.01wt%以上の添加によ
り、絞りが向上し加工性が改善できることが確認され
た。
o基合金にMn,Mg,Zr又はCaが添加された材料
を用いて室温にて引張試験を行い、絞りを評価した。各
添加元素量と絞りの関係を図2に示す。図において、○
=Mn,●=Mg,△=Zr,▲=Caである。図示の
ように、いずれの元素も0.01wt%以上の添加によ
り、絞りが向上し加工性が改善できることが確認され
た。
【0024】(実施例5)又、Crを5wt%,20w
t%,30wt%含有するCo基合金においても前記実
施例4と同様の試験を行った。その結果を図3に示す。
同図において、丸はMnを、三角はMgを、逆三角はZ
rを、四角はCaを示し、そのうち白抜きは絞り10%
以上を、黒塗りは同10%未満を示している。本例の場
合も、各元素が0.01wt%以上添加された場合に1
0%以上の絞りが得られ、良好な加工性を示している。
t%,30wt%含有するCo基合金においても前記実
施例4と同様の試験を行った。その結果を図3に示す。
同図において、丸はMnを、三角はMgを、逆三角はZ
rを、四角はCaを示し、そのうち白抜きは絞り10%
以上を、黒塗りは同10%未満を示している。本例の場
合も、各元素が0.01wt%以上添加された場合に1
0%以上の絞りが得られ、良好な加工性を示している。
【0025】(実施例6)Crを10wt%,20wt
%,30wt%含むCo基合金を、加工条件の違いによ
り、f1 /(f1 +h1 +h2 )の値を変化させ、そ
れぞれ室温での引張試験により絞りを評価した。ここ
で、f1 ,h1 ,h2 はそれぞれX線回析における、f
cc(200)、hcp(100)及び hcp(101) のピーク高さ(cps)
を示す。試験結果を図4に示す。図において、○は10
wt%Cr,△は20wt%Cr,×は30wt%Cr
を示す。図示のように、f1 /(f1 +h1 +h2 )
の値を0.1以上1.0以下に制御することにより、C
rの含有量がいずれの場合でも絞り10%以上と良好な
加工性をもつことが確認された。
%,30wt%含むCo基合金を、加工条件の違いによ
り、f1 /(f1 +h1 +h2 )の値を変化させ、そ
れぞれ室温での引張試験により絞りを評価した。ここ
で、f1 ,h1 ,h2 はそれぞれX線回析における、f
cc(200)、hcp(100)及び hcp(101) のピーク高さ(cps)
を示す。試験結果を図4に示す。図において、○は10
wt%Cr,△は20wt%Cr,×は30wt%Cr
を示す。図示のように、f1 /(f1 +h1 +h2 )
の値を0.1以上1.0以下に制御することにより、C
rの含有量がいずれの場合でも絞り10%以上と良好な
加工性をもつことが確認された。
【0026】(実施例7)次に、20wt%のCrを含
むCo基合金に0.03wt%のMnを添加した材料
を、加工条件の違いによりf1 /(f1 +h1 +h
2 )の値を変化させ、実施例6と同様に絞りを評価し
た。その結果を図5に示す。図示のように、f1/(f1
+h1 +h2 )の値を制御するだけでなく、Mnを所
定量添加することで、さらに絞りを向上できることが確
認された。
むCo基合金に0.03wt%のMnを添加した材料
を、加工条件の違いによりf1 /(f1 +h1 +h
2 )の値を変化させ、実施例6と同様に絞りを評価し
た。その結果を図5に示す。図示のように、f1/(f1
+h1 +h2 )の値を制御するだけでなく、Mnを所
定量添加することで、さらに絞りを向上できることが確
認された。
【0027】(実施例8)Crを10wt%,20wt
%,30wt%含むCo基合金に条件(加工温度,断面
減少率)の異なる加工を施し、1℃/sの速度で冷却し
た後、室温にて引張試験を行って絞りを評価した。ここ
で、Co−10wt%Cr合金,Co−20wt%Cr
合金,Co−30wt%Cr合金の変態温度はそれぞれ
約700℃,850℃,900℃である。各試験結果を
図6〜8に示す。各図において、○は絞り10%以上、
△は同10%未満、×は加工できなかったことを示す。
図示のように、変態温度をTtとすると、Tt以上Tt
+200℃以下の温度で、10%以上の断面減少率の加
工を施した場合に絞りの向上が認められた。
%,30wt%含むCo基合金に条件(加工温度,断面
減少率)の異なる加工を施し、1℃/sの速度で冷却し
た後、室温にて引張試験を行って絞りを評価した。ここ
で、Co−10wt%Cr合金,Co−20wt%Cr
合金,Co−30wt%Cr合金の変態温度はそれぞれ
約700℃,850℃,900℃である。各試験結果を
図6〜8に示す。各図において、○は絞り10%以上、
△は同10%未満、×は加工できなかったことを示す。
図示のように、変態温度をTtとすると、Tt以上Tt
+200℃以下の温度で、10%以上の断面減少率の加
工を施した場合に絞りの向上が認められた。
【0028】(実施例9)更に、20wt%のCrを含
有するCo基合金を900℃で断面減少率の異なる加工
を行い、加工後の冷却速度も変えて得られた材料に室温
にて引張試験を行って絞りを評価した。その結果を図9
に示す。同図において、○は絞り10%以上、△は同1
0%未満を示す。図示のように、900℃で断面減少率
10%以上の加工を施しても、加工後の冷却速度が0.
1℃/s未満ではその後の冷間での引張特性(絞り)は
低く、加工性が十分でないことが確認された。
有するCo基合金を900℃で断面減少率の異なる加工
を行い、加工後の冷却速度も変えて得られた材料に室温
にて引張試験を行って絞りを評価した。その結果を図9
に示す。同図において、○は絞り10%以上、△は同1
0%未満を示す。図示のように、900℃で断面減少率
10%以上の加工を施しても、加工後の冷却速度が0.
1℃/s未満ではその後の冷間での引張特性(絞り)は
低く、加工性が十分でないことが確認された。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明蒸着材料に
よれば、Co−Cr基合金の線材による連続供給が可能
となる。これにより、従来問題となった蒸着条件を安定
させ、長時間の連続操業が可能となった。垂直磁気記録
用薄膜などの製造分野における有効利用が期待される。
又、本発明製造方法により、冷間にて線材化し易い蒸着
材料を製造することができる。
よれば、Co−Cr基合金の線材による連続供給が可能
となる。これにより、従来問題となった蒸着条件を安定
させ、長時間の連続操業が可能となった。垂直磁気記録
用薄膜などの製造分野における有効利用が期待される。
又、本発明製造方法により、冷間にて線材化し易い蒸着
材料を製造することができる。
【図1】蒸着材料の機械的特性を試験した際の結果を示
すもので、(A)は伸びと引張強度の関係を示すグラ
フ、(B)は絞りと引張強度の関係を示すグラフであ
る。
すもので、(A)は伸びと引張強度の関係を示すグラ
フ、(B)は絞りと引張強度の関係を示すグラフであ
る。
【図2】添加元素の異なるCo−Cr基合金の引張試験
における添加元素量と絞りの関係を示すグラフである。
における添加元素量と絞りの関係を示すグラフである。
【図3】Cr含有量の異なるCoの絞りと添加元素量の
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
【図4】Cr含有量の異なるCoの絞りとf1 /(f1
+h1 +h2 )の関係を示すグラフである。
+h1 +h2 )の関係を示すグラフである。
【図5】添加元素としてMnを含むと共に、f1 /(f
1 +h1 +h2 )を制御したCo−Cr基合金におけ
る絞りとf1 /(f1 +h1 +h2 )の関係を示すグ
ラフである。
1 +h1 +h2 )を制御したCo−Cr基合金におけ
る絞りとf1 /(f1 +h1 +h2 )の関係を示すグ
ラフである。
【図6】10wt%のCrを含むCoの加工条件(加工
温度,断面減少率)と絞りの関係を示すグラフである。
温度,断面減少率)と絞りの関係を示すグラフである。
【図7】20wt%のCrを含むCoの加工条件(加工
温度,断面減少率)と絞りの関係を示すグラフである。
温度,断面減少率)と絞りの関係を示すグラフである。
【図8】30wt%のCrを含むCoの加工条件(加工
温度,断面減少率)と絞りの関係を示すグラフである。
温度,断面減少率)と絞りの関係を示すグラフである。
【図9】断面減少率の異なる加工を施し、その後の冷却
速度も変えた場合の絞り値の違いを示したグラフであ
る。
速度も変えた場合の絞り値の違いを示したグラフであ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 30wt%以下のCrを含有するCo−
Cr基合金であって、 径が1.0mm以上,10mm以下で、径の1000倍
以上の長さを有し、 引張強度が500MPa以上、1500MPa以下、 絞りが、5%以上、 伸びが、5%以上(標点間距離100mm)の機械的特
性を有することを特徴とする蒸着用材料。 - 【請求項2】 30wt%以下のCrを含有するCo−
Cr基合金であって、Mn,Cr,Mg,Zr,Caか
ら選択された元素を0.01〜0.1wt%含有するこ
とを特徴とする蒸着用材料。 - 【請求項3】 30wt%以下のCrを含有するCo−
Cr基合金であって、 X線回析における、fcc(200)、hcp(100)及び hcp(101)
のピーク高さ(cps) をそれぞれf1 ,h1 ,h2 とす
るとき、 0.1≦f1 /(f1 +h1 +h2 )≦1 の式を満たす結晶構造を室温でもつことを特徴とする蒸
着用材料。 - 【請求項4】 表面研削などの機械的手段又は酸洗いな
どの化学的手段により表面不純物を除去してなることを
特徴とする請求項1、2又は3記載の蒸着用材料。 - 【請求項5】 hcp 構造からfcc 構造への変態温度をT
tとした場合、30wt%以下のCrを含有するCo−
Cr基合金を、 Tt以上Tt+200℃以下の温度にて、1パスでの断
面減少率が10%以上の加工を行うことを特徴とする蒸
着材料の製造方法。 - 【請求項6】 Tt以上Tt+200℃以下の温度に
て、1パスでの断面減少率が10%以上の加工を行った
後、0.1℃/s以上の速度で冷却することを特徴とす
る請求項5記載の蒸着材料の製造方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11374993A JPH06306583A (ja) | 1993-04-16 | 1993-04-16 | 蒸着用材料及びその製造方法 |
EP93911971A EP0603407B1 (en) | 1992-05-11 | 1993-05-06 | Vapor deposition material and production method thereof |
DE69315309T DE69315309T2 (de) | 1992-05-11 | 1993-05-06 | Material zur gasphasenabscheidung und herstellungsverfahren |
PCT/JP1993/000594 WO1993023586A1 (en) | 1992-05-11 | 1993-05-06 | Vapor deposition material and production method thereof |
ES93911971T ES2110094T3 (es) | 1992-05-11 | 1993-05-06 | Material de deposicion en forma de vapor y metodo para la produccion del mismo. |
US08/178,277 US5441010A (en) | 1992-05-11 | 1994-05-06 | Evaporation material and method of preparing the same |
US08/861,764 US6126760A (en) | 1992-05-11 | 1997-05-22 | Evaporation material |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11374993A JPH06306583A (ja) | 1993-04-16 | 1993-04-16 | 蒸着用材料及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06306583A true JPH06306583A (ja) | 1994-11-01 |
Family
ID=14620153
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11374993A Pending JPH06306583A (ja) | 1992-05-11 | 1993-04-16 | 蒸着用材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06306583A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019523345A (ja) * | 2016-07-27 | 2019-08-22 | アルセロールミタル | 真空蒸着のための装置および方法 |
-
1993
- 1993-04-16 JP JP11374993A patent/JPH06306583A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019523345A (ja) * | 2016-07-27 | 2019-08-22 | アルセロールミタル | 真空蒸着のための装置および方法 |
KR20210024690A (ko) * | 2016-07-27 | 2021-03-05 | 아르셀러미탈 | 진공 증착 장치 및 방법 |
US11319626B2 (en) | 2016-07-27 | 2022-05-03 | Arcelormittal | Apparatus and method for vacuum deposition |
KR20230075522A (ko) * | 2016-07-27 | 2023-05-31 | 아르셀러미탈 | 진공 증착 장치 및 방법 |
US11781213B2 (en) | 2016-07-27 | 2023-10-10 | Arcelormittal | Apparatus and method for vacuum deposition |
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