JPH06306513A - 高疲労強度焼結チタン合金の製造方法 - Google Patents

高疲労強度焼結チタン合金の製造方法

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JPH06306513A
JPH06306513A JP9621493A JP9621493A JPH06306513A JP H06306513 A JPH06306513 A JP H06306513A JP 9621493 A JP9621493 A JP 9621493A JP 9621493 A JP9621493 A JP 9621493A JP H06306513 A JPH06306513 A JP H06306513A
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alloy
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titanium
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Tatsuo Yamazaki
達夫 山崎
Hideki Fujii
秀樹 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、コスト増の要因である特殊な熱処
理を行うことなく、従来よりも高い疲労特性を有する焼
結チタン合金を安価な製造コストで製造するための方法
を提供することを目的とする。 【構成】 素粉末混合法によりα+β型チタン合金を製
造する方法において、塩素含有量が0.005重量%以
下で、10μm以上、45μm以下の粒径の粉末を95
重量%以上含むチタン粉末と、平均粒径が5μm以上、
20μm以下である添加合金成分の粉末を機械的に混合
し、CIP法等により圧粉体成形を行い、890℃以
上、当該合金のβ変態点未満の温度域で1時間以上、1
0時間以下の真空焼結を行い、さらに当該合金のβ変態
点未満の温度域でHIP等の緻密化処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼結チタン合金の製造方
法に関する。さらに詳しくは、素粉末混合法による焼結
チタン合金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金法は、材料を最終形状に近い形
状にまで造形できるため、加工性や成形性或いは被削性
の乏しいチタン合金等の製品を得るための製造方法とし
て適している。とりわけ、純チタン粉末と合金化用粉末
を機械的に混合して、プレスもしくはCIP(冷間静水
圧成形)にて所定形状に成形し、真空もしくは不活性ガ
ス雰囲気中で焼結処理を行うことにより、圧粉体の緻密
化および合金化を同時に行い、その後必要に応じてHI
P(熱間静水圧成形)等の緻密化処理を行う、いわゆる
「素粉末混合法」においては、焼結以前には軟質な純
チタン粉末が原料の大部分を占めるので良好な成形性を
有し、室温において精密な形状の圧粉体を製造し得る、
チタン粉末と合金化用粉末の混合比を変えることによ
り、組成の異なる各種合金を比較的容易に製造すること
が可能である、等の利点を有する。
【0003】ところで、焼結チタン合金の機械的特性、
特に疲労特性を十分に発揮させるには、成分が同じ溶製
材に対する密度比である相対密度を100%にする必要
があり、このためには、HIP処理や熱間鍛造等の緻密
化処理が行われている。しかし緻密化処理により相対密
度を100%にするには、焼結後の到達密度を95%以
上にする必要がある。それは、これ以下の密度では焼結
時に残留した内部空孔が製品表面とつながっており、緻
密化処理時に内部空孔が酸化したり、HIP処理の場
合、空孔に不活性ガスが流入し、これが十分な緻密化を
阻害するからである。
【0004】従来の素粉末混合法では、原料チタン粉末
には、廉価なスポンジファインが使用されてきた。しか
しスポンジファインは0.1〜0.2%も塩素を含有し
ており、焼結時に塩素を起因とする多量の空孔が残留す
る。この塩素起因の空孔はHIP法等の緻密化処理では
除去できず、十分な疲労特性が得られない。したがって
素粉末混合法においては、原料チタン粉末は塩素含有量
が低いことが必須であり、極低塩素のチタン粉末が使用
されるようになった。この代表的なものに、純チタン溶
製材を水素化処理後、粉砕し、さらに脱水素熱処理を行
い粉末化したHDH(脱水素処理)チタン粉末や不活性
雰囲気ガスで噴霧したアトマイズチタン粉末等がある。
【0005】さて、チタン中のチタンおよび合金元素の
拡散速度はα相中よりもβ相中の方が格段に速く、高密
度でかつ均一な合金を製造するという観点から、チタン
合金の素粉末混合法ではβ変態点以上の高温β単相温度
域で長時間焼結を行うことが必要である。しかし、この
ような条件の焼結では、β結晶粒が著しく粗大化するた
め、焼結チタン合金の組織は、冷却中にβ粒界に生成し
た粒界α相とβ粒内に生成した粗大ラメラ相からなる。
「Titanium Sience andTechn
ology」(1985年発行)No.2,第2066頁
に記載されているように、このような粒界α相や粗大ラ
メラ相からなる組織を持つチタン合金は、微細な等軸組
織を持つチタン合金に比べ、疲労強度が著しく低く、高
い疲労特性が要求される製品に対しては、適用が制限さ
れるという問題点があった。
【0006】このような欠点を補い、焼結チタン合金の
疲労特性を向上させる手段としては特開昭62−480
4号公報に記載の方法、すなわち、焼結後、β温度域か
ら焼き入れし、マルテンサイト変態を発生せしめ、さら
に800℃以上のβ変態点以下の温度でHIP処理を行
い、微細針状組織を持つチタン合金を製造する方法があ
る。しかしこの手法では、高温加熱後に水焼入れ等の急
冷処理を行う必要があり、さらに、加熱時、急冷時に製
品表面に生成する酸化スケールや酸化硬化層をHIP処
理に先立って除去する必要があり、多大なコスト増とな
る。また、焼入れ性の悪いα+β合金では、熱処理の効
果は製品表面から高々20mm程度の範囲であり、大型部
品の処理には適さない。
【0007】また、特開昭61−246333号公報や
特開昭56−123301号公報等に開示されている、
微細な粉末を使用したり、粒度分布を制御する手法を応
用し、粉末の焼結性を向上させ、低温β域で焼結し、β
粒成長を抑制する手法も可能であるが、原料粉末に極低
塩素のチタン粉末を使用した場合は、β結晶粒の微細化
効果は不十分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような現状から本
発明は、コスト増の要因である特殊な熱処理を行うこと
なく、従来よりも高い疲労特性を有する焼結チタン合金
を安価な製造コストで製造するための方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、(1)素粉末混合法によりα+β型チタン
合金を製造する方法において、塩素含有量が0.005
重量%以下で、10μm以上、45μm以下の粒径の粉
末を95重量%以上含むチタン粉末と、平均粒径が5μ
m以上、20μm以下である添加合金成分の粉末を機械
的に混合し、圧粉体成形を行い、890℃以上、当該合
金のβ変態点未満の温度域で1時間以上、10時間以下
の真空焼結を行い、さらに当該合金のβ変態点未満の温
度域で緻密化処理を行うことを特徴とし、(2)上記
(1)記載の圧粉体成形を、CIP(冷間静水圧成形)
法を用いることを特徴とし、(3)上記(1),(2)
記載の緻密化処理を、HIP(熱間静水圧成形)法によ
り行うことを特徴とし、(4)上記(1)〜(3)記載
の添加合金成分として60Al−40V合金を8〜12
重量%添加することを特徴とする。
【0010】ここでいうチタン合金とは、Ti以外にA
l,V,Mo,Cr,Fe,Sn,Nb,Zr等の合金
成分および0.7重量%未満のO,C,N,H等の不純
物を含む合金であり、例えば、Ti−6Al−4V合金
や、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo合金、Ti
−5Al−2.5Fe合金等が挙げられる。このような
チタン合金を素粉末混合法により製造するに際して、A
l,V,Fe,Sn,Zrおよびその他の合金成分は、
例えばAl−V母合金やAl−Sn−Zr−Mo母合金
やTi−Al−Fe母合金のような合金粉末を混合する
ことで添加してもよいし、Al粉末、V粉末、Fe粉
末、Sn粉末、Zr粉末等の金属元素粉末をそれぞれ所
定成分に添加してもよい。また、β変態点とは、この温
度以上では平衡状態においてβ単相となる温度で、Ti
−6Al−4Vでは約990℃であり、工業用純Tiで
は約890℃である。
【0011】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者等
は、焼結チタン合金の製造、利用に関して研究を重ねた
結果、素粉末混合法により焼結チタン合金を製造するに
あたり、原料粉末である極低塩素チタン粉末と添加合金
成分粉末の両者の粒度分布を制御し、β変態点以下の特
定のα+β温度域で焼結処理を行うことにより、実際的
な時間で十分に焼結密度を向上せしめ、なおかつ組織の
微細化が可能であることを見出した。本発明はこれら新
規知見に基づくものである。原料粉末の微細化とα+β
温度域での焼結により、焼結性の向上と組織の微細化が
両立できるのは、以下の理由による。第1に、純チタン
のβ変態点以上でかつ当該合金のβ変態点以下のα+β
温度域で焼結を行うと、焼結初期にはチタン粉末はβ単
相であるが、チタン粉末および添加合金粉末を十分に微
細化しておくと短時間でα相が析出し、β結晶粒は粗大
化せず、焼結材は微細なα+β組織となる。第2に、チ
タン粉末および添加合金粉末の微細化により、均一なチ
タン合金を作るために必要な合金元素の拡散距離は短く
なるとともに合金の拡散量が少なくなり、合金成分の拡
散速度が遅くなるα+β温度域でも均一な合金組成が達
成可能である。第3に、チタンや添加合金の微細粉末を
使用することにより、粉末の表面積が大幅に増加し、表
面拡散が起こりやすくなり、圧粉体の焼結性は向上す
る。第4に、原料粉末の微粉末化は、表面積が増加する
ため、表面への吸着酸素量が増加する。チタンの場合、
この表面吸着酸素は焼結時に粉末内部に拡散し、固溶酸
素となる。固溶酸素は、酸素量0.1重量%に対してβ
変態点を約15℃上昇させる。したがって拡散が速い高
温まで二相領域が広がることになり、通常の粒径(15
0μm)の粉末を使用した場合より焼結密度が向上しや
すくなる。
【0012】これら効果を十分に活用するには、チタン
粉末中に10μm以上、45μm以下の粒径の粉末を9
5重量%以上含むことが必要である。この理由は以下の
通りである。まず、45μm以上の粉末が5重量%を超
える量が含まれる場合、粗大な粉末が増加し、均一な合
金化に必要な拡散距離が大きくなるので均一な合金組成
が達成されない。また焼結性の向上や、吸着酸素量の上
昇も不十分で、β変態点直下でも焼結密度を十分向上で
きず、そのため緻密化処理を行っても十分な疲労強度が
得られない。一方、10μm未満の粉末が5重量%を超
える量が含まれる場合は、粉末同志の摩擦のため粉末の
流動性や圧粉成形性が低下するため、製品の形状不良や
密度の不均一や低下を招く。また表面積の増加のため急
激に酸素量が増大し、チタン合金の含有酸素量が0.3
5%以上となり、延性や疲労特性を急激に低下させる。
【0013】またチタン粉末の塩素含有量が0.005
重量%以下であることも必要で、これ以上の含有量であ
ると、従来技術でも述べた通り、塩素の残留のために合
金内部に空孔が残留し、疲労特性が低下する。
【0014】添加合金粉末の平均粒径を5μm以上、2
0μm以下とした理由は、添加合金粉末の平均粒径が5
μm未満であると焼結体の酸素量が0.35%以上に増
大するために製品の延性や疲労特性が低下し、平均粒径
が20μmを超える場合は、焼結性が阻害されるだけで
なく、チタン粉末中への合金成分の拡散が十分に行われ
ず、合金粉末が残留し、これが亀裂の発生の起点となり
疲労特性が劣化するからである。
【0015】焼結温度は、890℃からβ変態点の間で
あることが必要である。この理由は、β変態点以上の焼
結温度では、焼結中にα相の析出が起こらずβ単相組織
であり、急激なβ結晶粒の粗大化が起こり、製品は冷却
中に生成する粒界α相と粗大なラメラ相からなる組織と
なり疲労強度は低下するからであり、890℃未満の温
度域では、純チタンがα単相であるため、チタンおよび
合金成分の拡散速度が不十分であり、実際的な焼結時間
の範囲では十分に焼結密度が上昇せず、緻密化処理を行
っても相対密度は100%に達成できず、均一な合金化
も不可能なためである。焼結温度は1時間以上、10時
間以下であることが必要である。1時間より短い時間で
は十分な拡散が起こらず、合金化は不均一となるととも
に焼結体密度の上昇も不十分で緻密化が不可能となる。
また10時間以下としたのは、この時間内で均一な合金
化と95%以上の焼結密度は既に達成しており、これ以
上の焼結処理はエネルギー的に無駄であるとの理由によ
る。
【0016】緻密化処理をβ変態点以下としたのは、こ
れ以上の温度ではβ単相組織となり、β結晶粒が著しく
粗大化するため、緻密化したチタン合金は粒界α相と粗
大ラメラ相の組織となり、疲労特性が大幅に低下するか
らである。
【0017】本発明の請求項2では、粉体の成形を特に
CIPで行うこととした。CIPは、ダイプレス等の一
軸方向で圧縮成形する方法と異なり、素材に均一な圧力
を付与でき疎密のない均質な成形体が得られ、なおかつ
同一の成形圧力の場合は、一軸成形法と比べ、より高密
度の成形体および焼結体を得ることが可能である。
【0018】本発明の請求項3では、緻密化処理を特に
HIP法を行うこととした。焼結後の製品は、最終製品
とほぼ同一形状をしており、形状を大きく変化させるこ
とのない緻密化が可能なHIP処理を行うことが望まし
い。
【0019】本発明の請求項4では、添加合金成分とし
て特に60Al−40V合金を8〜12重量%添加する
こととした。汎用のTi−6Al−4V合金もこの方法
で製造できる。
【0020】
【実施例】焼結Ti−6Al−4V合金(Al:6重量
%、V:4重量%、残部:実質的にTi、少量の不純
物)に対して本発明を適用した場合に基づいて、さらに
詳しく説明する。表1は、Ti粉末の粒度分布と塩素お
よび酸素の含有量を示す。粉末Aは10μm以上、45
μm以下に96重量%の粉末を含み、塩素量が0.00
5重量%以下である、本発明の請求範囲の粉末である。
粉末B,C,Dは比較材に使用した粉末で、粉末Bは1
0μm以下の粒度を7重量%含み、粉末Cは45μm以
上を7重量%含み、また粉末Dは粉末Aと同等の粒度分
布を有するが、塩素含有量が0.01重量%と高い。粉
末Eの平均粒径は75μmであり、従来の粉末冶金で原
料として使用される粉末である。添加合金粉末は、Al
V母合金(Al60重量%、V40重量%)を粉砕、分
級により、平均粒径を3〜30μmとした粉末を使用
し、Ti対母合金の重量比を9:1となるように混合し
た。
【0021】表2は、各種粒度の粉末を混合体をCIP
法により成形し、各種条件で真空焼結を行った場合の焼
結体の相対密度、およびHIP処理(900℃、2時
間、100MPa)後の焼結体の相対密度を測定した結果を
示すとともに、酸素含有量、β変態点(Tβ)、および
疲労強度を測定した結果を示す。ここでいう相対密度と
は、同じ組成の合金を溶解法により製造した場合に得ら
れる試料の密度を100%とした場合の比である。また
疲労強度は繰返し数107 回にて評価した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表2にて試験番号1は、チタン粉末(表1
のサンプル)Eと平均粒径30μmの母合金粉末を使用
し1300℃で焼結を行った場合で、従来法に相当す
る。この焼結体の組織は粒界α相と粗大ラメラ相からな
り、HIP材の疲労強度は400MPa である。また試験
番号2は試験番号1の原料を用いて890℃〜β変態点
(1000℃)の範囲の980℃で2時間焼結を行った
材料である。焼結密度は上昇せずHIP処理による緻密
化の効果が十分に発揮されず、93%の密度にしか到達
せず、疲労強度は150MPa まで低下する。
【0025】試験番号3は、チタン粉末をAに、母合金
粉末の平均粒径を10μmと変更し、1000℃・2時
間で焼結を行った実施例である。得られた焼結体の相対
密度は96%で、HIP後の相対密度は100%であ
り、また添加合金の偏析もなく微細等軸な組織を有す
る。これは微細なチタン粉末と母合金粉末を使用したこ
とによる、表面拡散の助長および拡散の均一化および短
時間でのα相析出によるβ粒粗大化の防止の効果で、従
来の粉末では焼結密度が上昇せずHIP後に100%相
対密度が得られないα+β域焼結でも十分に焼結密度が
向上し、なおかつ微細均一な組織が得られている。その
結果、疲労強度は550MPa であり、従来材であり粗大
な組織を持つ試験番号1に比べ150MPa も向上してい
る。
【0026】試験番号4,5,6は実施例である試験番
号3の比較のために原料チタン粉末をB,C,Dにかえ
β変態点直下の温度で焼結を行った試験である。試験番
号4は十分な焼結体密度と微細組織を有するが、チタン
粉末Bが10μm以下の粉末を7重量%も含むため、試
験片の含有酸素量が0.4重量%と高くなり、疲労強度
が従来法よりも低下する結果になっている。試験番号5
は焼結時間を8時間にしたにもかかわらず、チタン粉末
Cが45μm以上の粉末を7重量%以上含むため、焼結
の促進効果が十分でなく、HIP後に97%の相対密度
にしか到達せず、十分な疲労特性が得られていない。ま
た、試験番号6で使用したチタン粉末Dは塩素含有量が
0.01重量%と高いため、焼結体密度は高いもののH
IP後に相対密度は100%に到達せず、疲労強度が低
下している。
【0027】試験番号7,8,9,10は試験番号3の
母合金粉末の平均粒度を変化させた試験の結果を示して
いる。試験番号7,8は本発明の請求範囲の下限近くお
よび上限近くの平均粒度を有する母合金粉末を使用した
本発明の実施例である。いずれの場合もHIP後に10
0%の相対密度となり、試験番号3と同等の微細組織を
有し、疲労強度は従来法よりも格段の上昇が見られ、微
細なチタン粉末と母合金粉末を使用したことによる、表
面拡散の助長および拡散の均一化および短時間でのα相
析出によるβ粒粗大化の防止の効果である。一方、試験
番号9および10は試験番号7,8に対する本発明の比
較例である。試験番号9はHIP後の密度は100%で
あり、微細組織を有するが、疲労強度が320MPa と従
来法よりも劣化している。この理由は、母合金粉末粒度
が3μmと本発明の請求範囲の下限値より微細なため母
合金粉末に含まれる酸素量が上昇し、これが製品の酸素
量を0.4重量%と増大させ、疲労強度を低下させた。
また、試験番号10は9時間での焼結処理にも関わらず
焼結密度が十分上昇せず、HIP後も100%の相対密
度に到達していない。この理由は母合金粉末粒度が22
μmと粗大で、本発明の効果である焼結の促進が十分で
ないためであり、また疲労強度は同一密度の試験番号6
よりも低下しており、密度の低下とともに母合金粒度の
粗大化に伴い合金成分が偏析し、疲労特性に悪影響を与
えている。
【0028】試験番号11〜18は試験番号3の焼結条
件を変化させた試験の結果である。表2で示したよう
に、この原料粉末で作製したチタン合金の含有酸素量は
0.3重量%であり、β変態温度は1023℃である。
まず、試験番号11〜14は試験番号3の焼結温度を変
化させた試験の結果である。試験番号11,12は本発
明の請求範囲内の焼結温度の下限近くおよび上限近くで
焼結試験を行った結果を示す。いずれの場合でも本発明
の効果である粉末微細化による焼結性の向上およびα+
β域焼結による組織の微細化が十分に発揮され、従来法
よりも格段の疲労強度の向上が可能である。一方、試験
番号13は本発明の請求範囲より低温で8時間の焼結を
行った比較例である。この焼結温度では拡散速度が十分
でなく焼結の進行が遅れるため、焼結体の相対密度は9
3.1%と低く、HIP処理を行っても96.2%まで
しか密度は上昇せず内部空孔が残留し、さらに合金成分
の拡散が不十分で偏析となり、疲労特性は低下してい
る。また試験番号14は本発明の請求範囲より高温で焼
結を行った結果であるが、焼結時にα相の析出が起こら
ずβ単相となるため、急激にβ粒が粗大化し、このため
疲労強度は従来材程度まで低下する。
【0029】次に、試験番号15〜18は試験番号3の
焼結時間を変化させた試験の結果である。試験番号15
は焼結時間の下限値近くの1.2時間で、試験番号16
は焼結時間の上限値近くの8時間で焼結した本発明の実
施例である。試験番号3の実施例と比べ、若干の特性の
低下は見られるものの、本発明の効果は十分発揮され、
高い疲労強度が得られている。一方、試験番号17は本
発明の請求範囲の焼結時間以下の0.5時間で焼結を行
った試験である。この場合は焼結時間が短いために十分
に焼結が進行せず、内部空孔の残留や合金成分の偏析の
ため、疲労特性が低下する。試験番号18は本発明の請
求範囲の焼結時間以上の12時間で焼結を行った試験で
ある。この結果は焼結時間の上限値で焼結した試験番号
17と比べ、焼結後の到達密度および疲労強度に変化な
く、本発明の請求範囲以上の時間で焼結を行うことの効
果は見出せない。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明を適用する
ことにより、内部空孔の残留や組織の粗大化等を起こさ
ず、またコストアップ要因である特殊な熱処理、機械加
工を行うことなく、従来よりも高い疲労特性を有する焼
結チタン合金を安価な製造コストで製造することが可能
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素粉末混合法によりα+β型チタン合金
    を製造する方法において、塩素含有量が0.005重量
    %以下で、10μm以上、45μm以下の粒径の粉末を
    95重量%以上含むチタン粉末と、平均粒径が5μm以
    上、20μm以下である添加合金成分の粉末を機械的に
    混合し、圧粉体成形を行い、890℃以上、当該合金の
    β変態点未満の温度域で1時間以上、10時間以下の真
    空焼結を行い、さらに当該合金のβ変態点未満の温度域
    で緻密化処理を行うことを特徴とする焼結チタン合金の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 圧粉体成形を、CIP(冷間静水圧成
    形)法を用いることを特徴とする、請求項1に記載の焼
    結チタン合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 緻密化処理をHIP(熱間静水圧成形)
    法により行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載
    の焼結チタン合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 添加合金成分として60Al−40V合
    金を8〜12重量%添加することを特徴とする、請求項
    1又は2又は3に記載の焼結チタン合金の製造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000077267A1 (fr) * 1999-06-11 2000-12-21 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Alliage de titane et procede de production correspondant
JP2019516021A (ja) * 2016-04-14 2019-06-13 エレメント 22 ゲーエムベーハーElement 22 Gmbh チタンまたはチタン合金にて構成される部材の粉末冶金を用いた製造方法
CN114669742A (zh) * 2022-02-23 2022-06-28 北京科技大学 高性能钛或钛合金制件及采用两步烧结法制备其的方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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