JPH06304930A - 成形体の製造方法 - Google Patents

成形体の製造方法

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JPH06304930A
JPH06304930A JP2131294A JP2131294A JPH06304930A JP H06304930 A JPH06304930 A JP H06304930A JP 2131294 A JP2131294 A JP 2131294A JP 2131294 A JP2131294 A JP 2131294A JP H06304930 A JPH06304930 A JP H06304930A
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JP
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resin composition
resin
voltage
mold
substance
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JP2131294A
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Tsugio Kato
次雄 加藤
Min Tai Kao
カオ・ミン・タイ
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】熱硬化性または熱可塑性樹脂にイオン性物質お
よび/または帯電性物質を配合して調製した液状の樹脂
組成物を所定の内部形状の金型に注入し、次いで樹脂組
成物に直流電流を印加し、その後、樹脂組成物に熱硬化
性樹脂が配合されている場合には加熱硬化させることに
よって、また熱可塑性樹脂が配合されている場合には冷
却、圧縮等によって樹脂組成物を固化せしめ、所定の形
状の成形体を得る。 【効果】イオン性および/または帯電性物質が連続的に
変化する濃度で分布し、物理的性質等の特性がより向上
した成形体を容易に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形体の製造方法に関
し、特には、充填材や添加剤を任意の部位に集中させ、
もしくは連続的に変化させた濃度で分布させて、成形体
の特性を向上させたり、新たに機能を付与し得る製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、樹脂に種々の充填材を配合し
た組成物(プラスチックコンパウンド)を成形加工する
ことによって、機械的強度、耐熱性、電気的特性等の物
理的性質が改善された成形体を製造する技術が知られて
いる。かかる技術では、充填材の種類、配合量等を適宜
調整することによって、得られる成形体の特性をその用
途に応じて制御することができる。
【0003】更に近年では、成形体中において、配合さ
れた充填材の濃度を連続的に変化させることによって、
その物理的性質をより向上させ、他の新たな機能を付与
することが試みられている。しかしながら、このように
成形体中で充填材の濃度変化を付与することについて
は、適切な方法が見出されていなかった。
【0004】更に、従来の成形体では離型剤、難燃剤、
接着性付与剤、帯電防止剤など各種の添加剤を均一に分
散した樹脂組成物を使用することが基本であった。これ
らの添加剤のうち、例えば離型剤は、成形体の表面に析
出しなければ離型効果は発揮されないが、従来、離型剤
を積極的に析出させる方法は見出されていないため、止
むを得ず樹脂組成物に過剰の離型剤を添加していた。し
かしながら、離型剤は成形体の離型性を向上させる半
面、接着性を低減させる作用も有するため、過剰に添加
することは好ましいことではない。このような問題は、
離型剤に限られたことではなく、難燃剤、接着付与剤、
帯電防止剤などにも同様に言えることである。したがっ
て、これらの添加剤を過剰に添加することなく、金型や
インサートとの界面など任意の部位に、任意の添加剤を
集中的に析出させることが可能な成形方法が切望されて
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、充填材が連続的に変化する濃度で分布し、物理的性
質等の特性がより向上した成形体を、容易に製造するこ
とが可能な方法を提供することを目的とする。
【0006】また、本発明は、充填材のみならず、成形
体に特定機能を付与し得る各種の添加剤を効率よく任意
の部位に選択的に集中させて製品の機能を大幅に向上さ
せ、もしくは新たな機能を付与し得る成形方法を提供す
ることをも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の成形体の製造方
法は、イオン性および/または帯電性物質を含有する液
状の樹脂組成物に直流電圧を印加した後、固化せしめる
ことを特徴とする成形体の製造方法である。より具体的
には、樹脂組成物を硬化させる前に、液状の樹脂に均一
に分散させた所定の充填材や各種のイオン性添加物等を
電圧により所定の部位に移動させ、その濃度を連続的に
変化させて硬化させることを特徴とする。
【0008】本発明の方法では、例えば、熱硬化性ある
いは熱可塑性樹脂に、所定量のイオン性および/または
帯電性物質を配合し、低粘度の液状の樹脂組成物、即ち
プラスチックコンパウンドを調製する。続いて、好まし
くは得られた樹脂組成物を所定の内部形状の金型に注入
し、この金型内にて直流電圧を印加する。その際、印加
された電圧によって、樹脂組成物中におけるイオン性お
よび/または帯電性物質の濃度分布に変化が生じる。そ
の後、金型内において、樹脂組成物を、熱硬化性樹脂が
配合されている場合には加熱硬化させて、また熱可塑性
樹脂が配合されている場合には、冷却、圧縮等によって
固化せしめ、所定の形状の成形体を得る。かかる成形体
では、イオン性および/または帯電性物質が連続的に変
化する濃度で分布しており、その濃度変化に起因して物
理的性質等の特性が著しく改善され、更に新たな機能が
付与され得る。
【0009】本発明の方法において、成形体の素材、即
ち樹脂組成物の主成分となる樹脂には、上述したように
熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を用いることができ
る。前記熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹
脂等が挙げられる。尚、これら熱硬化性樹脂、特にエポ
キシ樹脂には、必要に応じてフェノール系化合物、アミ
ン系化合物、酸無水物等の硬化剤や、イミダゾール化合
物、有機ホスフィン、有機金属化合物、アミン化合物等
の硬化促進剤を添加することができる。これらの硬化促
進剤の中でも、潜在性触媒は後述する樹脂組成物の体積
抵抗率を低下させることがなく好ましい。このような潜
在性触媒の具体例としては、ノバキュア(旭化成(株)
社製)等のマイクロカプセル型潜在性触媒や、アミキュ
ア(味の素(株)社製)等を挙げることができる。ま
た、前記熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン
樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプピレン樹脂、ABS
(アクリロニトリル -ブタジエン-スチレン)樹脂、P
PS(ポリフェニレンアルファイド)樹脂等が挙げられ
る。
【0010】一方、前記樹脂組成物に配合されるイオン
性および/または帯電性物質のうち、帯電性物質として
は、例えば充填材を挙げることができる。充填材には、
非導電性の無機質フィラーあるいは有機質フィラーを好
ましく用いることができる。前記非導電性の無機質フィ
ラーの具体例としては、シリカ、アルミナ、水酸化アル
ミニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウ
ム、クレイ、タルク、ガラス等の粉末が挙げられる。前
記非導電性の有機質フィラーの具体例としては、ポリエ
チレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂、ナイロン樹脂等の粉末が挙げられる。この他、前
記充填材として、鉄、銅、銀のような導電性の金属粉末
にコーティング等の表面処理を施して表面が帯電できる
ようにしたものを用いることもできる。
【0011】尚、本発明において、このような充填材の
配合量は、上述したような樹脂と充填材との合計量中、
5〜80体積%、更には30〜60体積%の範囲に設定される
ことが好ましい。この理由は、充填材の配合量が少な過
ぎると、成形体中における充填材の濃度分布の変化が小
さく、また充填材の濃度分布を変化させるために長時間
を要する恐れがあるためであり、逆に、充填材の配合量
が多すぎると、樹脂組成物の過度の増粘や、流動性の低
下を招く傾向があるためである。
【0012】この他、前記樹脂組成物では、必要に応じ
て、難燃剤、難燃助剤、離型剤、顔料、充填材の表面処
理剤、低応力付与剤等の各種添加剤や、希釈剤、溶媒等
を配合することもできる。
【0013】また、本発明の樹脂組成物に配合されるイ
オン性物質は、マイナス電荷のアニオンでも、プラス電
荷のカチオンでもよく、直流電圧によって移動できるも
のであればいかなるものでもよい。このようなイオン性
物質の例としては、各種の塩、無機および有機酸、イオ
ン性界面活性剤、金属錯体、アミン化合物、カップリン
グ剤等を挙げることができる。これらのイオン性物質の
配合量はそのイオン性物質の性質によって適宜選択され
るが、目安としては樹脂組成物全体に対して0.0001〜 5
%の範囲内である。配合量が0.0001%未満である場合に
は、その添加効果が十分発揮されない恐れがある。ま
た、 5%を越える場合には、電圧を印加した場合、必要
以上の量の添加物が電極やインサートとの界面に移動し
て不必要に厚い層を形成し、その弊害が生じる恐れがあ
る。
【0014】なお、本発明者らによれば、上述のように
添加剤として添加したイオン性物質を所望の分布状態に
分布させるだけではなく、最初から樹脂組成物の原料中
に混在するイオン性物質を成形体中に所望の分布状態で
分布させ、成形体に所望の特性を付与することもでき
る。例えば、エポキシ樹脂には、その原料中に通常数百
ppmの塩素イオンが含まれているが、この塩素イオン
を電圧を印加することにより成形体の表面に移動させ、
帯電防止や封止された物質の腐食防止等の効果を発現さ
せることができる。
【0015】帯電性物質を効率よく移動させるために
は、電圧を印加する際に、樹脂組成物がある特定の値、
具体的には106 Ω・cm以上の体積抵抗率を有している
ことが望ましい。体積抵抗率が106 Ω・cm未満である
場合には、帯電性物質の表面に帯電した電荷が容易に発
散し、電圧を印加しても帯電性物質の移動速度が遅く、
実用に耐えない恐れがある。なお、ここでいう体積抵抗
率とは、互いに 1cm離れた平板電極の間に樹脂を入
れ、 100Vの直流電圧を印加して両電極間の抵抗値Rを
測定し、その測定値を基にして以下の式から算出される
値ρv を意味する。
【0016】ρv =SR/d (ここで、ρv は体積抵抗率、R(Ω)は測定された抵
抗値、d(cm)は電極間距離およびS(cm2 )は電
極の面積をそれぞれ表わす) イオン性物質の移動は帯電性物質の移動とは原理が異な
っており、媒体の抵抗率の変化からは影響を受けず、常
にほぼ一定の電荷を有する。したがって、イオン性物質
は上記の制限は受けない。
【0017】本発明の方法において、前記樹脂組成物に
印加する直流電圧は、得ようとする成形体の形状および
寸法、用いる樹脂(組成物)の粘度、電気抵抗、帯電性
物質の帯電状態等の各ファクターを考慮して適宜設定す
ることができるが、好ましくは、約 1V〜10kVの範囲
で設定する。当該直流電圧が 1V未満である場合、帯電
性物質の濃度分布を変化させるためには長時間を要する
恐れがあり、また10kVを超える場合、複雑で大型の電
圧印加装置等が必要となりコスト高を招く恐れがある。
【0018】尚、このような直流電圧の印加は、終始一
定の電圧値に設定して、また初期に低い電圧値に設定し
徐々に上昇させながら、あるいは初期に高い電圧値に設
定し徐々に降下させながら行うことができる。更に、帯
電性物質の濃度の変化は、直流電圧の値および印加時間
に依存するため、これらのファクターや必要に応じて樹
脂組成物の温度等の情報をコンピューターに入力し、相
互に制御した上で直流電圧の印加を行うことによって、
樹脂組成物中の帯電性物質の濃度を最適な状態で連続的
に変化させることができる。
【0019】上述したような直流電圧を印加する具体的
な方法としては、例えば、金型等に注入された液状の樹
脂組成物中に仮の電極を挿入し、この電極を介して印加
する方法、あるいは金型の一部を電極として、この電極
を介して印加する方法等が挙げられる。尚、前者の方法
では、電圧印加後に電極を取り外し、引続き成形を行
う。
【0020】更に、本発明の方法は、硬質材料等からな
るインサートが組込まれた成形体の製造に、特に好まし
く適用することができる。以下、このような成形体の製
造方法について詳細に説明する。
【0021】一般に、インサートが組込まれた成形体で
は、樹脂とインサートとの界面に、相互の熱膨張係数お
よび弾性率等の物理的性質の差、また樹脂のガラス転移
点等に応じて内部応力が生じるため、当該界面よりクラ
ックが発生し、欠陥となることが知られている。このよ
うなクラックの発生を防止する施策としては、例えば、
樹脂に上述したような多量の充填材を配合することによ
って、樹脂の熱膨張係数をインサートの熱膨張係数に近
似させることや、樹脂に適切な可塑剤やゴム成分等の低
応力付与剤を配合することによって、樹脂の弾性率やガ
ラス転移点を低下させることが試みられている。しかし
ながら、多量の充填材の配合は、樹脂組成物(プラスチ
ックコンパウンド)の過度の増粘、流動性の低下を招
き、金型内への注入および成形等の作業性を損なう。ま
た、樹脂の弾性率やガラス転移点の低下は、最終的に得
られる成形体の耐熱性や機械的強度等の物理的性質を低
下させるため、好ましくない。
【0022】かかる点を考慮して、最近では、成形体に
おけるクラックの発生を低減させる新たな施策として、
樹脂とインサートとの間に、適切な厚みのゴム等の弾性
体や熱可塑性樹脂のシートからなる応力緩和層を介在さ
せる方法が提案されている。しかしながら、このような
方法では、応力緩和層を形成するための工程が増加し、
また応力緩和層と樹脂またはインサートとの物性がかな
り異なるため、材料の物性を適切に整合させることが極
めて困難であるといった問題が残る。
【0023】これに対し、本発明の方法を、インサート
が組込まれた成形体の製造に適用することによって、具
体的には、金型内でインサートが組み込まれた状態の液
状の樹脂組成物に直流電圧を印加した後、固化せしめる
ことによって、成形体中における充填材の濃度分布に連
続的な変化が生じ、特に樹脂とインサートとの界面付近
で充填材の濃度が高い層を形成することができる。かか
る成形体では、形成された充填材の濃度が高い層が応力
緩和層として機能し、インサートの表面近傍における内
部応力を低減するため、クラックの発生が防止される。
尚、このように充填材の濃度分布に連続的な変化が生じ
た場合の濃度の分布幅は、成形体の形状および寸法、要
求される特性に因って適宜選択され得るが、成形体中の
充填材の濃度の最高値と、成形体中における充填材の濃
度の平均値との差が約 5%以上であることが好ましい。
但し、ここで成形体中の充填材の濃度の最高値とは、樹
脂とインサートとの界面から 500μm以内の範囲におけ
る充填材の平均濃度を意味する。
【0024】上述したような成形体において、インサー
トとしては、例えば、鉄、鋼、アルミニウム、ステンレ
ス、金、銀、銅、ニッケル、各種合金、メッキ品等の表
面が通電可能な金属材料、またゲルマニウム系、シリコ
ン系等の半導体材料であって、電気抵抗率が好ましくは
1010Ω・cm以下、特に好ましくは106 Ω・cm以下の
程度の通電可能な材料を用いることができる。また、前
記インサートの形状は、円筒、棒状、板状、球状、角状
等のいずれであってもよい。更に、前記インサートは、
成形体の用途、要求される特性等に応じて、成形体の中
心、端部付近等のどの位置に組込まれていてもよく、ま
た複数が一成形体内の様々な位置に組込まれていてもよ
い。このようなインサートの具体例としては、重電機器
等に用いられる各種ブッシングの導体、モールドトラン
スのコイル、碍子に埋め込まれるナットやボルト、リニ
アモーターカーの構成部材として用いられる案内・推進
コイルの本体、当該コイルを取付固定するための各種ブ
ッシング、半導体モールドパッケージにおけるリードフ
レーム、素子等が挙げられる。
【0025】本発明の方法をインサートが組込まれた成
形体の製造に適用する場合、樹脂組成物に直流電圧を印
加する際に、インサートを電極として用いてもよい。こ
の場合、電極の設定は帯電性物質の帯電状態に応じて選
択することができる。例えば、帯電性物質が負に帯電し
ているならば、インサートを陽極とし、樹脂組成物に挿
入された仮の電極、金型等を陰極とし、帯電性物質が正
に帯電しているならば、逆の設定にする。また、上記電
極の設定で電圧を反転して印加することによって、最終
的に得られる成形体において、樹脂の外表面近傍におい
て帯電性物質の濃度を高め、特定の機能を付与すること
もできる。例えば、帯電性物質として、硬度の高いアル
ミナ、難燃性に優れた水和アルミニウム、熱伝導性に優
れた窒化ケイ素等の充填材を用い、これら充填材を成形
体の樹脂の外表面近傍において高濃度に分布させ、成形
体表面の耐磨耗性、難燃性、熱伝導性等の性能を改善す
ることができる。
【0026】また、本発明の方法を、液相法による一般
的な有機薄膜の作製技術に適用することによって、帯電
性物質や他の添加剤が連続的に変化する濃度で分布し
た、優れた傾斜機能薄膜を得ることもできる。また、有
機薄膜を導体あるいは半導体基板上に形成する場合で
は、直流電圧を印加する際に、かかる基板を電極として
用いてもよい。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例に沿って詳細に説明す
る。 実施例1 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量 189)
100重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸80重量
部、マイクロカプセル型潜在触媒(旭化成(株)社製ノ
バキュア、HX 3742 ) 2重量部、平均粒径 4.5μmのシ
リカ充填材 150重量部、および平均粒径20μmのシリカ
充填材 150重量部を均一に混合し、液状のエポキシ樹脂
組成物(ワニス)を調製した。この樹脂組成物の体積抵
抗率は、60℃で 4×108 Ω・cmであった。
【0028】次に、インサートとしてのコイルを、金型
内に金型の内表面と接触しないように設置し、当該金型
内に前記液状エポキシ樹脂組成物を注入して、60℃に加
熱した。
【0029】尚、図1は、本実施例でインサートとして
用いたコイルの構造を示す模式図である。同図に示す如
く、このコイルは、幅20mm,厚さ 2mmのアルミニウ
ム線を絶縁紙を介して巻回することにより作製されてい
る。
【0030】続いて、液状エポキシ樹脂組成物を真空脱
泡した後、コイルのアルミニウム線側を陽極とし、金型
側を陰極として、当該樹脂組成物に 100Vの直流電圧を
5分間印加した。引続き、当該樹脂組成物を、 120℃で
2時間、更に 150℃で10時間加熱硬化させて固化せし
め、絶縁処理のなされたモデルコイルを得た。
【0031】かかるモデルコイルについて、樹脂の表面
硬度をバーコール硬度計(GYZJ 934-1)によって測定し
た。また、温度範囲 0℃〜 100℃、1サイクル 1時間と
した冷熱サイクル試験を反復して行い、樹脂クラックが
発生するまでのサイクル数を測定し、耐クラック性を評
価した。これらの結果を下記表1に示す。 実施例2 エポキシ樹脂組成物の注入および真空脱泡後、 100Vの
直流電圧を20分間印加することを除いて、実施例1と同
様にモデルコイルを作製し、樹脂の表面硬度および耐ク
ラック性について評価した。結果を下記表1に併記す
る。 実施例3 樹脂組成物の注入および真空脱泡後、 100Vの直流電圧
を30分間印加することを除いて、実施例1と同様にモデ
ルコイルを作製し、樹脂の表面硬度、および耐クラック
性について評価した。結果を下記表1に併記する。 実施例4 エポキシ樹脂組成物の注入および真空脱泡後、1000Vの
直流電圧を 5分間印加することを除いて、実施例1と同
様にモデルコイルを作製し、樹脂の表面硬度および耐ク
ラック性について評価した。結果を下記表1に併記す
る。 実施例5 エポキシ樹脂組成物の注入および真空脱泡後、コイルの
アルミニウム線側を陰極とし、金型側を陽極として、 1
00Vの直流電圧を10分間印加することを除いて、実施例
1と同様にモデルコイルを作製し、樹脂の表面硬度につ
いて評価した。結果を下記表1に併記する。 比較例1 エポキシ樹脂組成物の注入および真空脱泡後、直流電圧
を印加しないことを除いて、実施例1と同様にモデルコ
イルを作製し、樹脂の表面硬度および耐クラック性につ
いて評価した。結果を下記表1に併記する。 比較例2 エポキシ樹脂組成物の注入および真空脱泡後、 100Vの
交流電圧を20分間印加することを除いて、実施例1と同
様にモデルコイルを作製し、樹脂の表面硬度および耐ク
ラック性について評価した。結果を下記表1に併記す
る。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果より明らかなように、実施例1
〜4により得られた成形体(モデルコイル)では、エポ
キシ樹脂に固有の優れた硬度が確保され、また耐クラッ
ク性が向上していた。また、実施例5で得られた成形体
(モデルコイル)においては、成形体の表面硬度が著し
く向上していた。 実施例6 本実施例では、金型内において半導体素子を樹脂封止
し、半導体パッケージを作製した。
【0034】尚、図2は、本実施例で用いられた、半導
体素子及び金型の構成を示す概略図である。即ち、ま
ず、半導体チップ11(チップサイズ:15mm×15mm×
0.45mm)を、マウント剤13によって、リードフレーム
15のダイパッド16(ベッドサイズ:15.5mm×15.5mm
×0.15mm)上にマウントし、更に半導体チップ11上に
設けられたボンディングパッド12と、リードフレーム15
のリード部17をボンディングワイヤ14を介して電気的に
接続した。続いて、このリードフレーム15を、金型21の
キャビティ22内に、リード部17が上金型23および下金型
24によって絶縁紙26を介して挟持される形で設置した。
このとき、上金型23および下金型24を配線27を介して、
またリードフレーム15のリード部17を配線28を介して、
夫々直流電源29に電気的に接続した。
【0035】次いで、上金型23における注入口25からキ
ャビティ22内に実施例1で調製した液状エポキシ樹脂組
成物を注入し60℃に加熱した後、直流電源29を作動さ
せ、リードフレーム15側を陽極として、また金型21側を
陰極として 100Vの直流電圧を20分間印加した。引続
き、キャビティ22内の樹脂組成物を 120℃で 2時間、更
に150℃で10時間加熱硬化させて固化せしめ、半導体チ
ップ21を樹脂封止した半導体パッケージ(QFP 184 pin
)を得た。
【0036】かかる半導体パッケージを多数用意し、温
度範囲 -60℃〜 150℃、1サイクル1時間とした冷熱サ
イクル試験を反復して行い、所定のサイクル数毎に20個
ずつ取出して樹脂の断面を観察し、内部クラックの発生
状況を観察した。結果を下記表2に示す。 比較例3 エポキシ樹脂組成物の注入および加熱後、直流電圧を印
加しないことを除いて、実施例6と同様に半導体パッケ
ージを作製し、樹脂の内部クラックの発生状況について
調べた。結果を下記表2に併記する。
【0037】
【表2】
【0038】表2の結果より明らかなように、本発明の
実施例により得られた成形体(半導体パッケージ)で
は、上述したような直流電圧の印加により耐クラック性
が向上していた。 実施例7 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量 189)
100重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸80重量
部、イミダゾール触媒(2E4MZ−CN、四国化成社
製) 0.2重量部、平均粒径 4.5μおよび平均粒径20μの
シリカ充填材の各々 100重量部を均一に混合し、液状の
エポキシ樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物の体積
抵抗率は、60℃で 5×107 Ω・cmであった。
【0039】得られたエポキシ樹脂組成物を、図3に示
すように、絶縁体31を介して10mmの間隔で互いに平行
に配置された平板陰極32および平板陽極33を有する金型
に注入し、温度を60℃に保ちながら、陰極32および陽極
33の間に 100Vの直流電圧を20分間印加した。その後、
樹脂を 120℃で 2時間、次いで 150℃で10時間加熱硬化
させた。
【0040】このようにして得られた樹脂平板の両平面
の硬度をそれぞれバーコール硬度計(GYZJ 934-1)で測
定したところ、陽極33に接していた側の表面の硬度が85
であったのに対して、陰極32に接していた側の表面の硬
度は65であった。
【0041】この結果から、電極間に電圧を印加するこ
とにより、マイナスに帯電した充填材が陽極側に移動
し、陽極に接する面の硬度を向上させたことが明らかで
ある。 実施例8 イミダゾール触媒の使用量を 5重量部としたこと以外は
実施例7と同様にして、液状のエポキシ樹脂組成物を調
製した。この樹脂組成物の体積抵抗率は、60℃で 4×10
5 Ω・cmであった。
【0042】得られたエポキシ樹脂を実施例7と同様に
図3に示す金型に注入し、実施例7と同様の電圧印加、
過熱処理および樹脂平板両面の硬度測定を行なった。そ
の結果、陽極に接していた側の表面の硬度が69であった
のに対して、陰極に接していた側の表面の硬度は67であ
った。両表面の硬度の差は僅かであり、電圧を印加して
も充填材の移動速度が非常に遅く、その効果は少なかっ
た。 実施例9 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート 828、エ
ポキシ当量 189、油化シェル社製)90重量部、臭素化エ
ポキシ樹脂(エピクロン 152、エポキシ当量 360、臭素
含有量47%、大日本インキ社製)10重量部、酸無水物硬
化剤(メチルテトラヒドロ無水フタル酸)80重量部、平
均粒径 4.5μmの溶融シリカ(東芝セラミック社製) 1
50重量部および三酸化アンチモン 0.1重量部をミキサー
で均一に加熱混合し、50℃に冷却後、さらにマイクロカ
プセル型潜在性触媒(HX 3742 、旭化成社製) 3重量部
を均一に混合して樹脂組成物を調製した。得られた樹脂
組成物の体積抵抗率は、60℃で 3.5×108 Ω・cmであ
った。
【0043】この樹脂組成物を、図4に示す幅12.7m
m、長さ 127mm、厚さ10mmの金型41に注入し、さら
に金型41と接触しないように仮のアルミ製電極42を樹脂
組成物中に挿入した。このような状態で、金型41を陽
極、仮の電極42を陰極として 100Vの直流電圧を10分間
印加した。その後、仮の電極42を取り外し、 120℃で 3
時間加熱硬化して成形体を作製した。得られた成形体の
難燃性を調べたところ、UL94V-0であった。 比較例4 直流電圧を印加しないこと以外は実施例9と同様の方法
で成形体を作製し、得られた成形体の難燃性を調べた。
その結果、成形体の難燃性はUL94HBであった。
【0044】実施例9および比較例4から明らかなよう
に、本発明の製造方法によると、従来の製造方法では難
燃化を達成し得ないほど少量の臭素および三酸化アンチ
モンであっても樹脂の難燃化を達成することが可能であ
る。すなわち、本発明の製造方法によると、臭素、三酸
化アンチモンのような有害な化合物の使用量を大幅に減
らすことができる。 実施例10 熱可塑性樹脂(ポリエチレン) 100重量部に帯電防止剤
デノン34C(カチオン系界面活性剤、丸善石油社製)0.
01重量部を 200℃で均一に分散して樹脂組成物を調製し
た。この樹脂組成物を、実施例9において用いた金型
(図4)に注入し、次いで金型に接触しないように仮の
アルミ製電極を樹脂組成物に挿入した後、金型を陰極、
仮の電極を陽極として電極間に 600Vの直流電圧を30秒
間印加した。その後、仮の電極を取り外し、急冷却によ
り成形体を作製して、成形体表面の帯電性を調べた。
【0045】帯電性は、ホコリに対する吸引性から判定
した。すなわち、成形体を綿花で摩擦し、煙草の灰を吸
引するかどうかで判定した。その結果、成形品は灰を吸
引しなかった。 比較例5 直流電圧を印加しないことを除いて、実施例10と同様の
方法により成形品の作製並びに成形品の帯電性の判定を
行なった。その結果、成形品は著しく多量の灰を吸引し
た。
【0046】実施例10および比較例5から明らかなよう
に、本発明の製造方法によると、従来の製造方法では帯
電性を達成し得ないほど少量の帯電防止剤であっても帯
電性を達成することができる。 実施例11 エポキシ樹脂組成物を注入および加熱した後の金型を陽
極、リードフレームを陰極とし、直流電圧の印加時間を
30秒とした以外は実施例6と同様の方法により半導体パ
ッケージを作製した。
【0047】次に、樹脂中の不純物イオン量を調べるた
めに、リードフレーム側(内部)および金型側(外部)
部分の樹脂を微粉砕し、それぞれ密閉容器内で約10気圧
の加圧条件下、蒸留水中において 180℃で 2時間抽出し
た後、ハロゲン量を定量した。
【0048】その結果、半導体パッケージ内部のハロゲ
ン量は10ppm、パッケージ外部では 245ppmであっ
た。 比較例6 エポキシ樹脂組成物の注入および加熱後、直流電圧を印
加しないことを除いて、実施例7と同様の方法により半
導体パッケージ内部および外部のハロゲン量を定量し
た。
【0049】その結果、ハロゲン化量はパッケージ内部
および外部共に 115ppmであった。実施例11および比
較例6より明らかなように、本発明の製造方法による
と、樹脂組成物中に混在するハロゲン等の不純物を半導
体パッケージの外部に追い出すことができる。これによ
り、パッケージ内部の不純物イオン濃度が低下し、配線
の腐食を防止することができ、半導体素子の信頼性を向
上させることが可能である。また、帯電防止の効果も有
する。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
充填剤が連続的に変化した濃度で分布し、物理的性質等
の特性がより向上し、さらに新たな機能が付与された成
形体を、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例においてインサートとして用
いられる、アルミニウム線からなるコイルの構造を模式
的に示す図。
【図2】本発明の他の実施例において半導体パッケージ
を作製する際に用いられる金型と、この金型内部に保持
された樹脂封止される半導体素子とを模式的に示す図。
【図3】本発明の別の実施例において用いられる金型を
模式的に示す図。
【図4】本発明のさらに別の実施例において用いられる
金型を模式的に示す図。
【符号の説明】
11…半導体チップ、12…ボンディングパッド、13…マウ
ント剤、14…ボンディングワイヤ、15…リードフレー
ム、16…ダイパッド、17…リード部、21、41…金型、22
…キャビティ、23…上金型、24…下金型、25…注入口、
26…絶縁紙、27、28…配線、29…直流電流、31…絶縁
体、32…平板陰極、33…平板陽極、42…仮の電極

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン性および/または帯電性物質を含有
    する液状の樹脂組成物に直流電圧を印加した後、固化せ
    しめることを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】帯電性物質を含有する液状の樹脂組成物に
    直流電圧を印加した後、固化せしめることを特徴とする
    成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記樹脂組成物の硬化前の体積抵抗率が 1
    ×106 Ω・cm以上である請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】前記樹脂組成物を、その一部に互いに絶縁
    された一対の電極が設けられた金型に注入し、その後直
    流電圧を印加する請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】前記樹脂組成物を、一部に電極が設けられ
    た金型に注入し、樹脂組成物中に仮の電極を挿入した後
    直流電圧を印加する請求項3記載の製造方法。
  6. 【請求項6】イオン性物質を含有する液状の樹脂組成物
    に直流電圧を印加した後、固化せしめることを特徴とす
    る成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記イオン性物質の配合割合が、樹脂組成
    物全体の0.0001〜 5重量%である請求項6記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】前記イオン性物質が、塩、無機および有機
    酸、イオン性界面活性剤、金属錯体、アミン化合物並び
    にカップリング剤からなる群より選ばれる請求項6記載
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6332998B1 (en) 1997-05-30 2001-12-25 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Method for making molding parts using heat-curable molding compositions
JP2016165895A (ja) * 2015-03-04 2016-09-15 株式会社東芝 傾斜機能材料の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6332998B1 (en) 1997-05-30 2001-12-25 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Method for making molding parts using heat-curable molding compositions
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