JP2016165895A - 傾斜機能材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遠心力を利用することなくフィラーの分布を調整する傾斜機能材料の製造方法を提供する。【解決手段】主剤である硬化性樹脂10にフィラー11が分布した傾斜機能材料12の製造方法において、帯電したフィラー11を硬化性樹脂10に含有させた複合材13を得る工程Aと、複合材13に電圧を印加して、複合材13中でフィラー11を移動させる工程Bと、複合材13を固化する工程Cとを有し、工程Aでのフィラー11の帯電状態は、フィラー11の表面帯電処理の有無、及び、複合材13への添加剤14の投入の有無によって、調整される。【選択図】図1

Description

本発明は、誘電率を傾斜させた傾斜機能材料の製造方法に関する。
電気エネルギー機器をはじめとする機器内部の電界集中を抑制するには、誘電率を空間的に傾斜させた傾斜機能材料(Functionally Graded Materials:FGM)を用いるのが有効である。
傾斜機能材料の作製方法は、誘電率の異なる複数の組成を積層する段階的方法と、一つの組成中で誘電率に差を設ける連続的方法に大別される。
段階的方法は、複数の組成を積層する工程を要することから、手間がかかるという欠点がある。これに対し、連続的方法は、積層の必要がないため、この点において有効であり、連続的方法の具体例が、非特許文献1に記載されている。非特許文献1に記載の方法は、遠心力によって、フィラーの分布を調整する。
朱宮秀記、加藤克巳、大久保仁「ガス絶縁電力機器への誘電率傾斜 FGM(傾斜機能材料)の適用可能性」電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌)Vol.125(2005)、No.7、P695−700
しかしながら、連続的方法で、遠心力を利用してフィラーの分布を調整する方法は、複雑な形状の傾斜機能材料への適応性が低く、更に、フィラーを自在に分布させる自由度も低いという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、遠心力を利用することなくフィラーの分布を調整する傾斜機能材料の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る傾斜機能材料の製造方法は、主剤である硬化性樹脂にフィラーが分布した傾斜機能材料の製造方法において、帯電した前記フィラーを前記硬化性樹脂に含有させた複合材を得る工程Aと、前記複合材に電圧を印加して、前記複合材中で前記フィラーを移動させる工程Bと、前記複合材を固化する工程Cとを有し、前記工程Aでの前記フィラーの帯電状態は、該フィラーの表面帯電処理の有無、及び、前記複合材への添加剤の投入の有無によって、調整される。
よって、本発明に係る傾斜機能材料の製造方法は、遠心力を用いることなく電気泳動によって、フィラーの分布を調整する。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法において、前記添加剤は、前記硬化性樹脂の硬化を促す硬化剤であるのが好ましい。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法において、前記フィラーの表面帯電処理は、シランカップリング処理、放電処理、高分子電解質吸着処理、紫外線の照射処理、及び、X線の照射処理のいずれか一であるのが好ましい。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法において、前記工程Bで、前記複合材に印加する電圧の大きさを調節して、前記複合材中での前記フィラーの移動速度を調整するのが好ましい。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法において、前記工程Bでの前記フィラーの移動速度を、該各フィラーの大きさによって調整するのが好ましい。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法において、前記フィラーは、誘電率の異なる少なくとも2種類のフィラーP、Qからなるのが好ましい。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法において、前記複合材での前記フィラーP、Qの帯電極性は、一方が無極で他方が正極又は負極か、両方が正極か、両方が負極であるのが好ましい。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法において、前記フィラーの平均粒子径は、30μm以下であるのが好ましい。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法において、前記工程Bで、前記フィラーに、超音波振動を与えるのが好ましい。
本発明に係る傾斜機能材料の製造方法によれば、複合材に電圧を印加して複合材中を移動させるフィラーの帯電状態が、フィラーの表面帯電処理の有無、及び、複合材への添加剤の投入の有無によって、調整されるため、電気泳動によるフィラーの分布状態を制御する自由度が高く、傾斜機能材料中でのフィラーの分布状態を、安定的に、所定の状態にすることが可能である。
(A)〜(D)は、本発明の一実施の形態に係る傾斜機能材料の製造方法の工程を模式的に示した説明図である。 pH値に対するアルミナ粒子のゼータ電位の関係を示すグラフである。 印加される電圧と、フィラーの移動速度の関係を示すグラフである。 (A)〜(D)は、時間の経過と共に移動するフィラーを撮像した顕微鏡写真である。 フィラーの移動速度を計測した結果を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)〜(D)に示すように、本発明の一実施の形態に係る傾斜機能材料の製造方法は、主剤である硬化性樹脂10にフィラー11が分布した傾斜機能材料12の製造方法であって、フィラー11を硬化性樹脂10に含有させた複合材13を得る工程Aと、複合材13に電圧を印加する工程Bと、複合材13を固化する工程Cとを有する。
以下、詳細に説明する。
傾斜機能材料12の製造に用いられる主剤である硬化性樹脂10は、加熱されて硬化する熱硬化性樹脂、冷却によって硬化する熱可塑性樹脂、及び、硬化剤の投入等により常温で硬化する樹脂のいずれであってもよい。本実施の形態では、硬化性樹脂10が熱硬化性樹脂であり、硬化性樹脂10として、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジクロロペンタジエン樹脂、マレイミド樹脂等を採用できる。そして、硬化性樹脂10の代わりに熱可塑性樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリピレン樹脂、ABS樹脂、PPS樹脂、PET樹脂等を採用可能である。
本実施の形態において、フィラー11は、無機充填剤であり、傾斜機能材料12におけるフィラー11の分布状態に応じて、傾斜機能材料12の誘電率の空間的な傾斜状態が変わる。例えば、傾斜機能材料12におけるフィラー11の分布の偏りが顕著であれば、傾斜機能材料12は、誘電率の空間的な傾斜率が、高くなる。フィラー11は、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、クレイ、タルク、及びガラスのいずれか一種類からなるものであってもよいし、これらの中の複数種類を混合したものであってもよい。
傾斜機能材料12の製造は、図1(A)に示すように、帯電した複数のフィラー11を硬化性樹脂10に含有させた硬化前(未反応)の複合材13を得る工程Aから始められる。
工程Aにおいては、複数のフィラー11それぞれに対する帯電状態が調整される。ここで、フィラー11の帯電状態の調整とは、フィラー11を、正、又は、負に帯電させ(帯電極性を変え)、もしくは、帯電を消失させ、あるいは、その帯電レベル(帯電の強さ)を変えることを含む概念である。
本実施の形態では、フィラー11の帯電状態の調整が、フィラー11に対し、表面を帯電させる表面帯電処理の有無、及び、複合材13への図1(B)に示す添加剤14の投入の有無によって行われる。
即ち、フィラー11の帯電状態の調整には、以下の4つのパターンが存在する。第1のパターンは、フィラー11への表面帯電処理と共に、複合材13への添加剤14の投入も行うものであり、第2のパターンは、フィラー11への表面帯電処理を行うが、複合材13への添加剤14の投入は行わないものである。
そして、第3のパターンは、複合材13への添加剤14の投入を行い、フィラー11への表面帯電処理は行わないものであり、第4のパターンは、フィラー11への表面帯電処理、及び、複合材13への添加剤14の投入のいずれも行わないものである。
表面帯電処理としては、シランカップリング処理や、高分子電解質吸着処理、あるいは、紫外線の照射処理や、X線の照射処理や、放電処理が挙げられる。紫外線の照射処理は、フィラー11に紫外線を照射する処理を意味し、X線の照射処理は、フィラー11にX線を照射する処理を意味し、放電処理は、フィラー11に対し放電を与える処理を意味する。
表面帯電処理をフィラー11に対して行う場合、工程Aにおいて、複数のフィラー11それぞれに対し、表面帯電処理をなした後に、複数のフィラー11が、硬化前の硬化性樹脂10に投入され、複合材13を得ることとなる。
一方、複合材13に添加剤14を投入して、フィラー11の帯電状態を調整する場合は、工程Aにおいて、複数のフィラー11を硬化前の硬化性樹脂10に投入した後、図1(B)に示すように。硬化性樹脂10に添加剤14が投入されて、帯電したフィラー11を硬化性樹脂10に含有させた複合材13が得られる。
添加剤14は、フィラー11の帯電状態を調整するためだけに投入されるものであってもよいが、フィラー11の帯電状態を調整し、かつ、硬化性樹脂10の硬化を促す硬化剤であってもよい。添加剤14が硬化剤である場合、硬化剤として、アミン系化合物、酸無水物、フェノール系化合物、イミダゾール化合物、有機ホスフィン、有機金属化合物等を採用可能である。ここで言う硬化剤とは、硬化性樹脂10の硬化を促進する、所謂、硬化促進剤と、硬化性樹脂10に対し、硬化を開始させるものを含んだ概念である。
ところで、フィラー11は、pH値に応じて、図2に示すように、ゼータ電位が異なることが知られている。なお、図2のグラフは、大塚電子株式会社が公開している「Webで学ぶ (応用)ゼータ電位の測定データいろいろ」中のグラフを基にしたものである。
図2に示す右肩下がりの曲線は、アルミナ粒子のpH値とゼータ電位の関係であり、pHの上昇と共に、正の電荷特性を有するアルミナ粒子は、負の電荷特性を具備するようになる。ゼータ電位の絶対値が大きいということは、粒子の帯電レベルが大きいことを意味し、ゼータ電位の極性は、粒子の帯電の極性を示す。
従って、添加剤14の複合材13への投入で、複合材13のpHが変わり、その結果、フィラー11の帯電状態が調整されるものと考えられる。
工程Aでのフィラー11の帯電状態の調整は、次の工程Bにおいて、各フィラー11が複合材13中で移動する際に、大きな影響を及ぼすことになるため、重要である。この点、本実施の形態では、フィラー11の帯電状態の調整を、上述した4つのパターンから1つを選択してなすことができ、調整の自由度が高く、好適である。
更に、表面帯電処理をしたフィラーと表面帯電処理をしていないフィラーを硬化性樹脂10に投入することや、種類の異なるフィラー(工程Bでの移動速度に差があるフィラー)を、硬化性樹脂10に投入することで、最終的なフィラーの分布状態を所定の状態にすることができる。
本実施の形態では、工程Bの前に、複数のフィラー11が、自転公転ミキサーによって、硬化性樹脂10中で一様に分散した状態にされる。
なお、図1(B)に示すように、フィラー11を含有した硬化性樹脂10を、負極15及び正極16が設けられた収容部17に投入した後、添加剤14を硬化性樹脂10に投入しているが、これに限定されない(即ち、フィラー11及び添加剤14を投入した硬化性樹脂10を、収容部17に入れてもよい)。また、負極15及び正極16には、図1(B)、(C)に示すように、電源18が接続され、OFF状態であったスイッチ19をON状態にすることで、負極15及び正極16への通電が開始される。負極15及び正極16への印加電圧は直流が必須であるが、直流に交流やパルス状などを重畳させたものでもよい。
工程Bでは、図1(C)に示すように、負極15及び正極16が通電され、収容部17内の複合材13に、電圧(本実施の形態では直流電圧)が印加される。そして、電圧の印加によって、収容部17に生じた電界により、複合材13中に含まれている複数のフィラー11は、それぞれの帯電状態に応じて、複合材13中を移動する。
各フィラー11は、負に帯電していた場合、正極16に向かって移動し、正に帯電していた場合、負極15に向かって移動する。各ファイラー11が帯電していない場合、移動しない。
本実施の形態では、工程Bにおいて、複合材13に印加する電圧の大きさを調節して、複合材13中でのフィラー11の移動速度を調整し、最終的に、フィラー11が、所定の分布となるように制御している。
複合材に印加する電圧の大きさと、複合材中のフィラーの移動速度の関係を調べた実験結果を、図3に示す。この実験においては、硬化性樹脂に、低粘度ビスフェノールA型のエポキシ樹脂(具体的には、三菱化学株式会社のEP−816A)を使用し、フィラーに、平均粒子径が10μmでシランカップリング処理がなされていない球状のアルミナ(具体的には、株式会社アドマテックスのAO−809)を用いた。複合材に添加剤は投入されていない。
図3に示す結果より、多少のバラツキはあるものの、速度の平均値と複合材に印加した電圧の関係から、フィラーの複合材中の移動速度と、複合材に印加する電圧の大きさに比例関係があることが確認された。従って、複合材13に印加する電圧の大きさを調節することで、フィラー11の移動速度を調整できることが分かる。
なお、実験におけるフィラーの速度のバラツキは、速度を計測したフィラーごとの大きさや形状のバラツキ等によるものと考えられる。
更に、工程Bにおけるフィラー11の複合材13中の移動速度を、フィラー11の大きさによっても調整することができる。複数のフィラー11それぞれの大きさが異なることで、各フィラー11の大きさに応じて、フィラー11の複合材13中の移動速度が異なり、結果として、電圧印加後の複合材13中の各フィラー11の最終的な位置を調整できる。
複合材への電圧の印加によって、複合材中で、時間の経過と共に各フィラーが移動する様子を撮像した画像(顕微鏡写真)を、図4(A)〜(D)に示す。この実験においては、硬化性樹脂に、低粘度ビスフェノールA型のエポキシ樹脂(具体的には、三菱化学株式会社のEP−816A)を使用し、フィラーに、平均粒子径が10μmでシランカップリング処理がなされていない球状のアルミナ(具体的には、株式会社アドマテックスのAO−809)と、平均粒子径が10μmでシランカップリング処理がなされた球状のアルミナ(具体的には、株式会社アドマテックスのAC−9500−BHEA25C)の混合物を用いた。複合材に添加剤は投入されず、電圧の印加により100V/mmの電界を生じさせた。
図4(A)は、複合材に電圧を印加する前の画像であり、図4(B)〜(D)は、それぞれ、複合材に電圧の印加を開始してから、20分後、40分後、1時間後の画像である。図4(A)〜(D)に示す画像より、時間の経過とともにフィラーがカソード(負極を意味する)に移動していること、及び、小さいフィラーは、大きいフィラーより、速く移動することが確認できる。なお、アノードは、正極を意味する。
よって、フィラーの大きさにバラツキを持たせることにより、フィラーの複合材での分布を調整可能であることが分かる。
ここで、フィラー11の複合材13中での分布状態の調整の自由度は、フィラー11が大きくなるにつれて制限され、フィラー11の平均粒子径が30μmを超えると、分布調整の安定性を保てないことが確認されている。これは、フィラー11が大きくなるとフィラー11にかかる重力が大きくなるのが原因の一つと考えられる。
よって、フィラー11は、平均粒子径が30μm以下であるのが好ましい。
工程Bにおいて、複合材13に電圧を印加している際に、フィラー11に超音波振動を与えて、フィラー11が円滑に移動できるようにすることも可能である。
また、工程Bを終えて、フィラー11が複合材13内で所定の分布状態になった後、工程Cで、硬化性樹脂10の種類に応じた複合材13の硬化処理(固化処理の一例)がなされて、図1(D)に示すように、複合材13が固化した傾斜機能材料12が得られる。
傾斜機能材料12は、主として、フィラー11の分布状態、及び、各フィラー11の誘電率により、誘電率の空間的な傾斜状態(傾斜の強弱や、領域ごとの傾斜の差異等)が決定する。よって、傾斜機能材料12中でのフィラー11の分布状態(フィラー11の分布の偏り度合い等)に加え、フィラー11それぞれの誘電率を調節することも重要である。このため、フィラー11を、誘電率の異なる少なくとも2種類のフィラーP、Qを混合したものとし、フィラーP、Qを、工程Bの電気泳動により、それぞれ所定の分布に移動させて、誘電率を空間的に傾斜させた状態を形成するのも好適である。
ここで、複合材におけるフィラーP、Qの帯電極性が、反対(即ち、一方が正極で他方が負極)の場合、フィラーP、Qが吸着して、フィラーP、Qを所定の分布に安定的に移動させることができないことを確認している。従って、フィラーP、Qを所定の分布に安定的に移動させるという観点においては、複合材でのフィラーP、Qの帯電極性が、一方が無極で他方が正極又は負極か、両方が正極か、両方が負極であるのが好ましい。
そして、フィラーP、Qの帯電状態によって、フィラーP、Qをそれぞれ異なる分布にするためには、複合材でのフィラーP、Qの帯電状態が、一方が無極で他方が正極又は負極か、両方が正極でそれぞれ電位が異なるか、両方が負極でそれぞれ電位が異なるのが好適である。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験について説明する。
本実験においては、低粘度ビスフェノールA型のエポキシ樹脂(具体的には、三菱化学株式会社のEP−816A)を主剤として用い、各種のフィラーが、電圧の印加によって移動する方向を調べた。実験結果を表1に示す。
表1に記されているフィラーは、「破砕アルミナ」が、太平洋ランダム株式会社のLA1200で、表面帯電処理がなされていない不定形のアルミナ粒子を示し、「球状アルミナ」が、株式会社アドマテックスのAO−809で、シランカップリング処理がなされていない平均粒子径10μmの球状のアルミナを示し、「SC処理アルミナ」が、株式会社アドマテックスのAC9500−BHEA25Cで、シランカップリング処理がなされた平均粒子径10μmのアルミナを示し、「球状シリカ」が、株式会社アドマテックスのSO−C4でシランカップリング処理がなされていない平均粒子径1μmの球状のシリカを示し、「SC処理シリカ」が、株式会社アドマテックスのシランカップリング処理がなされた平均粒子径10μmのシリカを示し、チタニアが、東邦チタニウム株式会社のHTO210をそれぞれ示す。
硬化剤(フィラーの帯電状態を調整し、かつ、エポキシ樹脂の硬化を促す硬化剤を意味する)には、アミン系(具体的には、三菱化学株式会社のEK−113)と、酸無水物系(具体的には、HUNTSMAN社のHY925)を用いた。
表1に示す実験結果より、破砕アルミナ及び球状アルミナは、硬化剤が付与されていない状態で、負極に移動したため、工程Aにおいて、正に帯電していたと考えられる。この点、アルミナ粒子は、図2に示すように、pHが約9に等電点が存在し、本実験のエポキシ樹脂は、pHが約7であることと一致する。
一方、シランカップリング処理がなされたアルミナ粒子は、硬化剤が付与されていない状態で、電気泳動による移動が見られなかったことから、工程Aでの帯電レベルが小さかったと考えられる。よって、アルミナ粒子は、シランカップリング処理によって、pHが約7に等電点が存在するようになったと推測される。
そして、破砕アルミナ、球状アルミナ及びSC処理アルミナの全てにおいて、アルミナ粒子は、アミン系の硬化剤の添加により、正極側に移動し、酸無水物系の硬化剤の添加により、負極側に移動した。この結果は、エポキシ樹脂のpH値が、アミン系の硬化剤の添加によって上昇し、酸無水物系の硬化剤の添加によって低下する現象で説明できる。
また、表1の実験結果より、シランカップリング処理がなされていない球状シリカは、硬化剤を添加しない場合、アミン系の硬化剤を添加した場合、酸無水物系の硬化剤を添加した場合のいずれにおいても、正極に移動し、工程Aでの帯電状態が負極であったと考えられる。これに対し、SC処理シリカは、硬化剤を添加しない場合及び酸無水物系の硬化剤を添加した場合に負極に移動し、アミン系の硬化剤を添加した場合に移動しなかったことから、シリカは、シランカップリング処理によって、表面の帯電状態が正極側に変化し、電気泳動による分布が変わることが確認できる。
そして、チタニアは、硬化剤を添加しない場合及びアミン系の硬化剤を添加した場合に、正極側に移動し、酸無水物系の硬化剤を添加した場合に、負極側に移動することから、複合材のpH値によって、チタニアの移動方向が変わることが確認できる。
よって、主剤のpH値を変える硬化剤の投入や、フィラーの表面帯電処理の有無によって、最終的なフィラーの分布が調整可能なことが分かる。
更に、エポキシ樹脂にアミン系の硬化剤を投入した複合材において、球状シリカは正極に移動し、SC処理シリカは移動しないことから、帯電極性の異なる複数種のフィラーを複合材に添加することで、フィラーの分布を、フィラーの種類ごとに調整できることが明らかである。
また、上述した低粘度ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を主剤とし、上述した球状アルミナをフィラーとして、フィラーに対し放電処理による表面帯電処理を行った場合と行わなかった場合のそれぞれについて、フィラーの主剤中での移動速度を計測した。計測結果を図5に示す。図5には、放電処理無しのフィラー及び放電処理有りのフィラーについての平均移動速度が記されている。
なお、放電処理は、フィラーを含有させた主剤中に剣山状の電極を配置して、15kVrmsを30分間印加することによって行った。そして、フィラーの移動速度は、電界20V/mmの条件下でのフィラーの移動を計測したものである。図5に示す結果より、多少のばらつきはあるものの、放電処理後のフィラーが、放電処理前のフィラーに比べ速く移動するのが確認できる。よって、放電処理による表面帯電処理の有無により、フィラーの分布調整が可能である。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
10:硬化性樹脂、11:フィラー、12:傾斜機能材料、13:複合材、14:添加剤、15:負極、16:正極、17:収容部、18:電源、19:スイッチ

Claims (9)

  1. 主剤である硬化性樹脂にフィラーが分布した傾斜機能材料の製造方法において、
    帯電した前記フィラーを前記硬化性樹脂に含有させた複合材を得る工程Aと、
    前記複合材に電圧を印加して、前記複合材中で前記フィラーを移動させる工程Bと、
    前記複合材を固化する工程Cとを有し、
    前記工程Aでの前記フィラーの帯電状態は、該フィラーの表面帯電処理の有無、及び、前記複合材への添加剤の投入の有無によって、調整されることを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
  2. 請求項1記載の傾斜機能材料の製造方法において、前記添加剤は、前記硬化性樹脂の硬化を促す硬化剤であることを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の傾斜機能材料の製造方法において、前記フィラーの表面帯電処理は、シランカップリング処理、放電処理、高分子電解質吸着処理、紫外線の照射処理、及び、X線の照射処理のいずれか一であることを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の傾斜機能材料の製造方法において、前記工程Bで、前記複合材に印加する電圧の大きさを調節して、前記複合材中での前記フィラーの移動速度を調整することを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の傾斜機能材料の製造方法において、前記工程Bでの前記フィラーの移動速度を、該フィラーの大きさによって調整することを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の傾斜機能材料の製造方法において、前記フィラーは、誘電率の異なる少なくとも2種類のフィラーP、Qからなることを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
  7. 請求項6記載の傾斜機能材料の製造方法において、前記複合材での前記フィラーP、Qの帯電極性は、一方が無極で他方が正極又は負極か、両方が正極か、両方が負極であることを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の傾斜機能材料の製造方法において、前記フィラーの平均粒子径は、30μm以下であることを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の傾斜機能材料の製造方法において、前記工程Bで、前記フィラーに、超音波振動を与えることを特徴とする傾斜機能材料の製造方法。
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