JPH06299332A - 金薄膜の形成方法及び形成装置 - Google Patents

金薄膜の形成方法及び形成装置

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JPH06299332A
JPH06299332A JP10604493A JP10604493A JPH06299332A JP H06299332 A JPH06299332 A JP H06299332A JP 10604493 A JP10604493 A JP 10604493A JP 10604493 A JP10604493 A JP 10604493A JP H06299332 A JPH06299332 A JP H06299332A
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solution
thin film
substrate
single crystal
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JP10604493A
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English (en)
Inventor
Takehiko Kawasaki
岳彦 川崎
Yuji Kasanuki
有二 笠貫
Tsutomu Ikeda
勉 池田
Masahiko Miyamoto
雅彦 宮本
Harunori Kawada
春紀 河田
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 平板状単結晶からなる金薄膜の形成装置を提
供する。 【構成】 結晶成長槽51内の金錯体溶液52をホット
プレート54で加熱分解すると共に、流量計55を介し
て空気を流通させ、更にポンプ56により溶液52の溶
媒を供給して、基板53上に金薄膜を形成する装置。 【効果】 溶液52の濃度を最適に制御でき、大粒径の
平板状金単結晶群からなる金薄膜を安定して形成するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金薄膜の形成方法及び
形成装置に関し、特に半導体集積回路、光集積回路、磁
気回路等の電子素子、光素子、圧電素子等或は電子放出
素子、記録媒体用電極の作成に適した平板状金単結晶か
らなる金薄膜の形成方法及び形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より金薄膜は、時計バンドなどのア
クセサリーの装飾用の他、リードフレームやHIC等の
厚膜分野の配線や電極、GaAs半導体の薄膜配線など
に広く用いられてきた。
【0003】最近では、Si半導体デバイスの高密度化
から、Al配線のエレクトロ・マイグレーションが深刻
な問題となり、重金属である金が配線材料として有望視
されている。特に、耐エレクトロ・マイグレーション、
耐腐食性、低抵抗性、耐メルト性などに優れている大粒
径の平板状金単結晶薄膜を形成することが望まれてい
る。
【0004】また、特に昨今、走査型トンネル顕微鏡
(STM)、或は原子間力顕微鏡(AFM)の原理を利
用して原子レベルの加工をすることで記録を行う方法が
提案され、記録媒体用電極として、化学的に安定な貴金
属である金の平滑性の高い薄膜を形成することが望まれ
ている。
【0005】従来、基板上への金結晶薄膜形成方法とし
て、真空蒸着法、CVD法、電解めっき法、無電解めっ
き法が知られている。
【0006】真空蒸着法は、Si、SiO2 、SiN、
GaAs、サファイヤ、Cr、Ti、Cuなどの基板を
500〜700℃程度に加熱したうえ、通常10-6to
rr以下の真空中で、電子ビームや抵抗加熱により金を
蒸気相で搬送して堆積を行なう。これに使用する装置は
主に真空チャンバー、排気装置、高圧電源、基板加熱及
び制御装置からなる。真空蒸着法によって金結晶薄膜を
得た例としては、マイカ(雲母)上に形成した報告があ
る(G.E.D.Chidsey他、Surface
Science 200(1988)45−66)。
【0007】また、熱CVD法、PECVD法により、
Si上に金多結晶薄膜を形成した報告がある(N.Mi
sawa他 第37回半導体・集積回路技術シンポジウ
ムDec.7.1989)。この装置も真空蒸着装置と
同様、反応チャンバー、ガス供給装置、排気装置、排気
ガス除外装置、高圧あるいは高周波電源、制御装置から
なる。
【0008】電解めっき法、無電解めっき法は、装飾用
の金薄膜形成やリードフレームのめっきなどで古くから
利用されている方法であり、予め、基板表面に金、銅、
ニッケル面を形成した上、金薄膜を形成するというもの
である。使用する装置は主にめっき液容器、加熱装置、
電極、定電流電源からなる。
【0009】一方、金錯体溶液を分解処理し、平板状金
単結晶群からなる金薄膜を形成する方法が最近提案され
た(特願平03−132176)。ここで使用する装置
は、液容器、加熱装置のみである。この方法によれば、
金粉末を金のエッチャント、例えばヨウ素とヨウ化カリ
ウム(KI)の混合水溶液などに溶解して金錯体溶液を
作成し溶液を加熱することにより、従来に比べ格段に大
きくしかも十分平滑な面を有する平板状金単結晶群から
なる金薄膜を非常に簡便に作成できる。
【0010】図7にこの方法で作成した平板状金単結晶
群の代表的な光学顕微鏡写真を示す。この金単結晶群は
通常の多結晶薄膜と異なり、それぞれの結晶が基板の面
内方向の結晶径に対する垂直方向の厚さの比、即ちアス
ペクト比が非常に小さな平板状単結晶の集合である。こ
の平板状単結晶は極めて平滑な表面を有している。この
後さらに成長を続けることで、各々の平板状単結晶同志
の衝突により粒界が形成される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来方法で
は、以下のような問題点を有していた。
【0012】真空蒸着法やCVD法は、装置が非常に大
がかり且つ高価である。またこの方法では、マイカ(雲
母)や高配向グラファイトの不活性基板には、サブミク
ロン〜数μm程度の結晶粒径からなる金結晶薄膜を形成
できるが、STMでその表面の観察を行うと、数十nm
程度の範囲では平滑であるものの、それ以上では段差や
穴が数多く存在し、例えば記録媒体に使用できるような
薄膜は得ることはできなかった。(前記C.E.D.C
hidsey他、Surface Science 2
00(1988)45−66)。また、Si,GaAs
などの半導体材料上やSiO2 やSiN,Al23
どの絶縁体上では、サブミクロン径以下の単結晶群か多
結晶膜しか形成できなかった。
【0013】電解めっき法や無電解めっき法は、装置は
非常に簡便で安価であるが、得られる膜が多結晶膜であ
り、そもそも単結晶群は形成できない。
【0014】また、先述した金錯体溶液を分解処理し、
平板状金単結晶群からなる金薄膜を作成する方法(特願
平03−132176)は、上述の方法に比べ大きな平
板状金単結晶群からなる金薄膜を簡便な装置で作成でき
る。しかしながら、この方法は金錯体を含んだ溶液及び
基板を容器に入れ、これを一定温度に保ちながら金結晶
を基板上に成長させるため、金結晶の成長と共に金錯体
濃度が変化する。また容器が解放系で且つ室温以上の一
定温度に保つため溶液の蒸発が起き、溶液中に溶解して
いるその他の種(カリウムイオン、ヨウ素イオンなど)
にも濃度変化が発生する。
【0015】この場合、例えば、ヨウ素は金結晶をエッ
チングするため溶液中に過剰に存在すると金結晶を成長
させることができない。しかし、溶液中から急激に取り
去ると球状結晶が多く成長し良質の平板状単結晶が得ら
れない。一方、水の蒸発は溶液中のKIの高濃度化を引
き起こす。一定の金錯体に対してKIが多くなり過ぎる
と金錯体は溶液中で安定して結晶成長が停止してしま
う。
【0016】より大きな金単結晶を作成するためには、
金錯体濃度が成長に適した濃度で安定していることが望
ましいが、この方法では必然的に濃度変化によって結晶
成長速度の大幅低下或は成長が停止するため、安定して
より大粒径の平板状単結晶群からなる金薄膜を作成する
ことが困難であった。
【0017】また、金錯体溶液中には、金錯体として
[AuI4- 及び[AuI2- が混在し、この溶液
を加熱すると溶液中の[AuI4- は徐々に低級化し
て[AuI2- となる([AuI4- →[AuI
2- )。また同時に金の生成が起こる([AuI2
- →Au)。この両者の反応速度は溶液中のKI濃度に
強く影響され、しかもそれぞれ最適濃度が異なる。よっ
て本来ならばそれぞれ異なるKI濃度で変換を進めるの
が好ましいが、これまでの方法、即ち出発物質に[Au
4- を含む溶液を用いる限りそれは困難であった。
【0018】従って、本発明の目的とするところは、上
記従来技術の有する問題点に鑑み、耐エレクトロ・マイ
グレーション、耐腐食性、低抵抗性、耐メルト性などに
優れている平板状金単結晶群よりなる高品質の金薄膜を
安定して形成する方法及び形成装置を提供することにあ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
すべく成された本発明は、第一に、金錯体溶液中の金錯
体を分解処理し、基板上にかかる金の薄膜を形成する方
法において、上記基板上の少なくとも一部分に(11
1)回折線のロッキングカーブの標準偏差が1.5度以
下の金属薄膜を形成し、該金属薄膜上に金を析出,成長
せしめることを特徴とする金薄膜の形成方法であり、第
二に、金錯体溶液中の金錯体を分解処理し、基板上にか
かる金の薄膜を形成する方法において、上記金錯体溶液
の調整にAuIを用いることを特徴とする金薄膜の形成
方法であり、第三に、金錯体溶液中の金錯体を分解処理
し、基板上にかかる金の薄膜を形成する方法において、
上記金錯体溶液を保持する溶液槽内にガスを流通させ該
溶液から蒸発した溶媒及び溶質を除去すると共に、該溶
液に溶媒を供給する工程を含むことを特徴とする金薄膜
の形成方法であり、更には、この金薄膜の形成方法を実
施する装置であって、金錯体溶液を保持する溶液槽と、
該溶液槽内にガスを導入する手段と、該溶液槽内に金錯
体溶液の溶媒を供給する手段を具備することを特徴とす
る金薄膜の形成装置である。
【0020】先ず、本発明第一において、基板上に形成
する金属薄膜の形成方法の例、金錯体溶液中の金錯体を
分解処理することで平板状金単結晶群からなる金薄膜を
形成する過程の例、金属薄膜上のみから選択的に平板状
金単結晶群を成長させる方法の例、及びその他の実施態
様の例について説明する。
【0021】(イ)基板上に形成する金属薄膜の形成方
法の例 金属薄膜の材料として金を用いた場合、基板として例え
ばSrTiO3 、MgO、サファイア等の単結晶ウエ
ハ、マイカなどを用い、真空蒸着法を用い、5×10-6
Torr以下程度の真空中で、基板温度を200℃〜6
00℃程度として蒸着を行う。
【0022】このようにして作成した薄膜は、X線回折
法によりその配向性を評価すると、(111)回折線の
ロッキングカーブの標準偏差が1.5度以下の配向性の
高い薄膜となる。
【0023】(ロ)金薄膜を形成する過程の例 次に、金薄膜の基板上への形成方法について、金錯体と
して[AuI4- 及び[AuI2- 、分解処理手段
として揮発処理を用いるものとして説明する。
【0024】まず、蒸留水にヨウ化カリウム及びヨウ素
を投入してヨウ素水溶液を形成した後、金を投入し撹拌
溶解させ、[AuI4- 及び[AuI2- を含有す
る金錯体溶液を形成する。このとき溶液中には、金錯体
の他、I3 -、K+ が存在するものと考えられる。
【0025】次いで、基板の表面を金錯体溶液に接した
後、該溶液を30〜100℃に昇温し、この温度を保ち
ヨウ素成分の揮発を促進させる。
【0026】この時、溶液系内では、I3 -の状態で存在
するヨウ素成分の揮発による溶液系内の平衡状態の維持
の為、[AuI4- 及び[AuI2- からのI成分
の解離による分解、又は[AuI4- 及び[AuI
2- の形で存在する錯体中のヨウ素成分の直接の揮発
による分解が進行し、結果として金が過飽和状態となり
基板表面に核として析出する。
【0027】この後、核の形成は、しばらく続くが、あ
る程度の数の核が形成されると、核の増加が止まり、核
が自己整合的に単結晶群が成長する。この金単結晶群は
図7に示したように、通常の多結晶薄膜と異なり、それ
ぞれの結晶が基板の面内方向の粒径に対する垂直方向の
厚さのアスペクト比の小さな平板状金単結晶の集合であ
る。なお、この平板状金単結晶は、基板に対して(11
1)方位が優先配向したものである。
【0028】その後、成長を続けることで、各々の平板
状金単結晶同志の衝突により、粒界が形成される。
【0029】尚、金錯体の種類、分解の手法が異なるも
のの、このような金錯体の分解による溶液内の金過飽和
現象を利用して、導電性金ペースト用の金粉末を系内に
浮遊状態で析出させる技術が特開昭56−38406、
特開昭55−54509に開示されている。
【0030】図1に、前記(イ)のようにして作製した
金属薄膜上に、上記の方法で基板に平板状金単結晶群か
らなる金薄膜を形成する過程の概略を示す。
【0031】図1(a)に示すように、基板1上に前記
(イ)の方法で金属薄膜2を形成する。その後、図1
(b)に示すように、前記基板を金錯体を含む結晶成長
用溶液に投入し、金錯体を分解処理することで平板状金
単結晶群3からなる金薄膜を形成する。それぞれの平板
状金単結晶3は、下地の金属薄膜2の高い配向性を持つ
結晶粒7上から核を形成して成長する。
【0032】(ハ)金属薄膜上のみから選択的に平板状
金単結晶群を成長させる方法の例 基板上の所望の部分のみに前記金属薄膜を形成し、その
上のみから選択的に平板状金単結晶群を成長させる方法
について説明する。
【0033】様々な基板表面、錯体の種類、形成条件に
よる、平板状金単結晶の平均粒径および、1/(平均粒
径の2乗)で与えられる核形成密度の実験値を表1に示
す。
【0034】
【表1】
【0035】表1によって明らかなように、核形成密度
は、基板表面材料の種類、錯体の種類、形成条件により
異なるが、特に基板表面材料の種類には強く依存し、金
属等の導電体の表面では大きく、絶縁体の表面では小さ
い。
【0036】このことを利用することで、所望の位置の
みから、平板状金単結晶群、または平板状金単結晶群よ
りなる金薄膜を形成することができる。すなわち、結晶
の成長を行いたい部分のみに前記の金属薄膜面を露出さ
せ、これに隣接する部分は絶縁体等の核形成密度の低い
面とすることである。これには大きく分けて下記の2つ
の方法がある。
【0037】核形成密度の低い材料からなる基板を用
い、この基板上に堆積した前記金属薄膜を分割してパタ
ーニング除去し、所望の金属薄膜面部分以外の部分の基
板面を露出する方法。
【0038】この方法は例えば、図2(a)に示すよう
に、基板1上に前記(イ)の方法で金属薄膜2を形成す
る。その後、フォトリソグラフィー等により図2(b)
に示すように所望の位置のみに金属薄膜2が残るように
パターニングを行う。その後、図2(c)に示すよう
に、前記基板を金錯体を含む結晶成長用溶液に投入し金
錯体を分解処理することで平板状金単結晶群3、あるい
は平板状金単結晶群3からなる金薄膜を形成する。それ
ぞれの平板状金単結晶は、パターニングされた下地の金
属薄膜2の高い配向性を持つ結晶粒上のみから選択的に
核を形成して成長する。
【0039】前記金属薄膜上に、核形成密度の低い材
料からなる被覆を設け、この被覆に開口部を形成し所望
の部分の金属薄膜を露出する方法。
【0040】この方法は例えば、図3(a)に示すよう
に、基板1上に前記(イ)の方法で金属薄膜2を形成す
る。次に、図3(b)に示すように金属薄膜2上に例え
ばSiO2 等の核形成密度の低い材料からなる被覆5を
堆積する。その後、フォトリソグラフィー等により図3
(c)に示すように所望の位置のみに金属薄膜2が露出
するように被覆5をパターニングし、開口部6を形成す
る。その後、図3(d)に示すように、前記基板を金錯
体を含む結晶成長用溶液に投入し金錯体を分解処理する
ことで平板状金単結晶群3、あるいは平板状金単結晶群
3からなる金薄膜を形成する。それぞれの平板状金単結
晶は、開口部6から露出した、下地の金属薄膜2の高い
配向性を持つ結晶粒上のみから選択的に核を形成して成
長する。
【0041】(ニ)その他の実施態様の例 また、本発明第一は、前述した実施態様の例以外にも様
々な態様にて実施可能である。
【0042】前記金属薄膜の材料としては前述のAu以
外にも、Ag、Pt、Al、Ti、Cu、W等、その上
に金単結晶群の成長が行えるものであれば使用可能であ
る。
【0043】前記金属薄膜の堆積方法は、金属薄膜を
(111)回折線のロッキングカーブの標準偏差が1.
5度以下に形成できるものであれば、真空蒸着法、MB
E法、イオンプレーティング法、クラスター・イオンビ
ーム蒸着法、スパッタ法、CVD法等特に限定されるも
のではない。
【0044】また、前記基板としては、前述のSrTi
3 、MgO、サファイア等の単結晶ウエハ、マイカの
他にも、前記金属薄膜を(111)回折線のロッキング
カーブの標準偏差が1.5度以下に形成でき、金錯体溶
液に浸した時に溶解しにくいものであれば使用可能であ
る。
【0045】金錯体としては、[AuI4- 、[Au
2- 、[AuCl4- 、[Au(CN)2-
[Au(CN)3- などが用いられる。
【0046】金錯体の分解処理手段としては、加熱によ
る揮発や、還元剤を用いる方法等がある。還元剤として
は例えば、ハイドロキノン、ピロガロール、パイロカテ
キン、グクシン、メトールハイドロキノン、アミドー
ル、メトール、亜硫酸ソーダ、チオ硫酸ナトリウム、水
酸化ナトリウム等、溶液中で還元作用を有する各種の物
質が用いられる。
【0047】また、前記被覆の材料としては、前述の平
板状金単結晶の成長を行った時に、被覆の開口部より露
出した金属薄膜表面と比較して核発生密度が十分小さ
く、かつ金錯体溶液に浸した時に溶解しにくいものであ
れば使用可能である。具体的には、SiO2 、Si3
4 、SiON、テフロン、PSG等が用いられる。
【0048】以上のように、本発明第一の形成方法で
は、平板状金単結晶群、及び前記平板状金単結晶群から
なる金薄膜は、結晶配向性の高い金属薄膜下地の結晶上
から成長するため、下地の欠陥に起因する平板状金単結
晶の格子欠陥を低減できる。このため、結晶表面に現れ
る欠陥による段差が低減でき、表面の平滑性が向上し、
耐エレクトロ・マイグレーション、耐腐食性、低抵抗
性、耐メルト性、などに優れている平板状単結晶群より
なる高品質の金結晶薄膜を形成することができる。
【0049】次に、本発明第二について説明する。
【0050】本発明第二においては、金錯体溶液をAu
Iで調整するより、金錯体として[AuI2- を用い
るものである。具体的には、例えばKIあるいはNH4
Iなどのヨウ化物蒸留水に溶解し、これにAuI粉末を
添加し撹拌溶解する。AuIはヨウ化物を水溶液中では
[AuI2- として存在する。この溶液にI2 を必要
に応じて加え、十分溶解して結晶成長溶液とする。この
溶液中の金錯体を分解処理することで基板上に平板状金
単結晶を生成させる。この時、金錯体溶液中のヨウ化物
例えばKIの濃度とAuI濃度は、それぞれ好ましくは
10〜250g/リットル,1〜20g/リットルの範
囲である。更に好適には50〜150g/リットル,3
〜10g/リットルの範囲である。また、I2 濃度は2
g/リットル以下である。この時、AuI濃度に対して
ヨウ化物濃度(KI)が高すぎると結晶の生成が見られ
なくなり、逆に低過ぎると結晶の核発生密度が大きくな
り単結晶径が小さくなる。また、I2 の添加は核発生密
度を低下させ単結晶径を大きくすることができる。
【0051】このように金錯体溶液中のヨウ化物(KI
等)及び金錯体の濃度は金結晶成長において重要な意味
を持つが、従来のように[AuI4- 及び[AuI
2-が混在する金錯体を用いた場合には、前述したよ
うにこれらの濃度を最適に制御することは困難であっ
た。本発明第二の形成方法では、金錯体に[AuI2
-を用いることにより、ヨウ化物及び金錯体濃度を結晶
成長に最適な濃度となるよう容易に制御できるため、大
粒径の平板状金単結晶群からなる金薄膜を安定して形成
することができる。
【0052】本発明第二において、前記基板としては、
金錯体溶液で重大な腐食が起こらないものであれば、ど
のような材質のものでも用いることができる。例えば、
絶縁性素材であるマイカ、MgO、SiO2 、Si3
4 、更には有機高分子材料など、そして導電性素材であ
るSi基板(結晶、アモルファス)、各種金属基板及び
その化合物基板を用いることができる。
【0053】また、金錯体の分解処理手段としては、本
発明第一と同様に加熱による揮発や、還元剤を用いる方
法等がある。
【0054】次に、本発明第三について説明する。
【0055】本発明第三は、金錯体溶液中の溶媒と溶質
の量を個別に制御することにより、結晶成長に適した組
成の結晶成長溶液を基板上に安定して存在させるように
したものである。
【0056】本発明第三において、金錯体溶液を保持す
る溶液槽内に、ガス導入手段により、例えば空気,N
2 ,Arなどのガスを流通させ、金錯体溶液から蒸発し
た水(溶媒)及びヨウ素(溶質)を除去する。この時、
ガス流量を制御することにより、これらの除去速度を制
御できる。また、金錯体溶液と同程度に加熱された水
(溶媒)を、溶媒供給手段により、その流量を制御しな
がら溶液槽内に供給することにより、金錯体溶液中の他
の溶質、例えばヨウ化カリウムや金錯体の濃度も制御で
きる。
【0057】前記金錯体溶液を保持する溶液槽は、該溶
液を加熱する溶液加熱槽であっても、平板状金単結晶を
成長させる結晶成長槽であっても良く、これらの溶液槽
に前記ガス導入手段と溶媒供給手段を付設することがで
きる。
【0058】次に、本発明第三を実施態様例を示しなが
ら具体的に説明する。
【0059】図5に本発明第三の金薄膜の形成装置の一
構成例を示す。かかる装置において、結晶成長槽51中
に金錯体溶液52、例えば金錯体が溶解しているヨウ素
及びヨウ化カリウム水溶液あるいはヨウ素及びヨウ化ア
ンモニウム水溶液、及び基板53を保持し、ホットプレ
ート54上に設置する。そしてホットプレート54で溶
液をおよそ60〜95℃に加熱する。次に、ガス導入手
段であるところのマスフロー流量計55などを用いて結
晶成長槽51中にair,N2 ,Arなどのガスを流し
込む。流し込んだガスは溶液52から蒸発した水やヨウ
素と共に系外に排出する。また同時に、溶液52とほぼ
同様な温度に加熱した水を、溶媒供給手段であるところ
の液送ポンプ56を用いて結晶成長槽52に注ぎ込む。
尚、上記ガス流量及び水供給量は、所望の溶液濃度を保
つように制御される。所定時間経過後、基板を取り出し
水洗する。
【0060】図6に本発明第三の金薄膜の形成装置の別
の構成例を示す。かかる装置において、溶液貯蔵槽61
には金錯体溶液62、例えば金錯体が溶解しているヨウ
素及びヨウ化カリウム水溶液あるいはヨウ素及びヨウ化
アンモニウム水溶液を室温〜数10℃に保持しておく。
ここからポンプ63aなどを用いて連続的に溶液62を
溶液加熱槽64に送る。溶液加熱槽64ではヒーター6
5などにより該溶液が60〜90℃になるように加熱す
る。またガス、例えばair,N2 ,Arなどをガス導
入手段であるところのマスフロー流量計66などを通し
て溶液加熱槽64に流し込む。流れ込んだガスは、溶液
から蒸発した水及びヨウ素と共に系外に排出される。ま
た、必要に応じて加熱した水を、溶媒供給手段であると
ころの液送ポンプ67により溶液加熱槽64に注ぎ込
む。続いて、この溶液をポンプ63bなどにより結晶成
長槽68へと流すが、その過程で該溶液の吸光度を吸光
度測定装置69で測定する。この時、流路はヒーター6
5などで溶液加熱槽64と同様な温度になるように加熱
しておく。溶液の吸光度が結晶成長に適した値であれば
溶液をそのまま結晶成長槽68へと液送するが、不適の
場合はこの溶液を排出口70より排出し、溶液加熱槽6
4へのガス流量或いは溶媒流量或いは溶液貯蔵槽61か
ら溶液加熱槽64への液送速度或いは溶液加熱槽64の
加熱温度などを変更する。結晶成長に適した吸光度の値
とは、例えば測定波長480nm、溶液層厚1mmにお
いて0.05〜0.7であり、好適には0.1〜0.5
である。吸光度が大き過ぎる場合は、ガス流量を増加さ
せると共に水を供給するか、液送速度を遅くするか或い
は加熱温度を上げる。吸光度が小さ過ぎる場合はその逆
の操作を行う。結晶成長に適した溶液であることを確認
したら、溶液をホットプレート71などで加熱した結晶
成長槽68に流し、溶液が安定したところで基板72を
配置し結晶成長を行う。結晶成長の様子はビデオモニタ
ー73で観察する。このとき、溶液は80〜95℃に保
持する。また、結晶成長槽68の液面及び溶液濃度を一
定に保つためにポンプ63cなどで溶液排出を行う。ま
た、上記温度,液送速度,ガス流量及び溶媒供給量の制
御は制御装置74にて行う。所定時間経過後、基板を取
り出し水洗する。
【0061】以上のように本発明第三では、金錯体溶液
から蒸発した溶質及び溶媒を除去すると共に、該溶液に
溶媒を供給することにより、溶媒と溶質の量を個別に制
御でき、結晶成長に適した組成の安定した金錯体溶液を
基板上に安定して存在させることができる。これによ
り、大粒径の平板状単結晶からなる金結晶薄膜を安定し
て形成することができる。
【0062】本発明第三において、前記基板としては、
本発明第二と同様に金錯体溶液で重大な腐食が起こらな
いものであれば、どのような材質のものでも用いること
ができる。
【0063】また、金錯体の分解処理手段としては、本
発明第一及び第二と同様に加熱による揮発や、還元剤を
用いる方法等がある。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。
【0065】実施例1 本実施例は本発明第一により金薄膜を形成したものであ
り、以下にその方法を説明する。
【0066】まず、蒸留水500mlにヨウ化カリウム
40g及びヨウ素6gを投入して撹拌溶解させた。この
溶液に金を2g投入して撹拌溶解させた。溶解後、この
溶液から100ml分取して反応容器にいれ、ここにさ
らに蒸留水を100ml加えて撹拌し結晶成長用溶液と
した。
【0067】次に、図1(a)に示したように、へき開
マイカ基板1上に真空蒸着法により、結晶粒7からなる
金属薄膜2を0.1μmの厚さで堆積した。この金属薄
膜2の材料としてはAuを用い、この際の成膜条件は、
真空度は5×10-7Torr、基板温度は300℃、成
膜速度は0.1nm/secとした。
【0068】このようにして作成したAuよりなる金属
薄膜2を、X線回折法により評価したところ、(11
1)方向に強く配向しており、(111)回折線ロッキ
ングカーブの標準偏差が1.0度であった。また、電子
顕微鏡、及び走査型トンネル顕微鏡による観察等の評価
法により、この薄膜の平均結晶粒径は0.5μmである
ことがわかった。
【0069】このようにして作成した基板を、約90℃
に加熱した結晶成長用溶液に投入し温度を保ったまま放
置した。
【0070】1時間後に基板を取り出し観察したとこ
ろ、図1(b)に示したように、下地の金属薄膜2の結
晶粒7上から平板状金単結晶群3が形成されて、各平板
状金単結晶間には粒界4が形成され金薄膜が形成されて
いた。この平板状金単結晶群3は、基板に垂直方向には
(111)面を有し、各平板状単結晶の基板の面内方向
の平均粒径は約2μmであり、膜の厚さは20nmであ
った。
【0071】本実施例の方法により作成した平板状金単
結晶群3について、位相差顕微鏡による光学的観察と、
走査型トンネル顕微鏡、及び原子間力顕微鏡による観察
を行ったところ、結晶の成長過程で必然的に発生する1
段が1原子層に相当するステップのみが観察され、それ
以上の大きな段差や穴は確認されなかった。
【0072】このように、本実施例の形成方法により、
非常に表面の平滑性の高い平板状金単結晶群からなる金
薄膜を形成できた。
【0073】実施例2 本実施例は本発明第一により金薄膜を形成したものであ
り、以下にその方法を説明する。
【0074】まず、蒸留水500mlにヨウ化カリウム
40g及びヨウ素6gを投入して撹拌溶解させた。この
溶液に金を2g投入して撹拌溶解させた。溶解後、この
溶液から100ml分取して反応容器にいれ、ここにさ
らに蒸留水を100ml加えて撹拌し結晶成長用溶液と
した。
【0075】次に、図2(a)に示したように、SrT
iO3 (100)単結晶ウエハ基板1上に真空蒸着法に
より、結晶粒7からなる金属薄膜2を0.1μmの厚さ
で堆積した。この金属薄膜2の材料としてはAuを用
い、この際の成膜条件は、真空度は5×10-7Tor
r、基板温度は300℃、成膜速度は0.1nm/se
cとした。
【0076】このようにして作成したAuよりなる金属
薄膜2を、X線回折法により評価したところ、(11
1)方向に強く配向しており、(111)回折線ロッキ
ングカーブの標準偏差が1.1度であった。また、電子
顕微鏡、及び走査型トンネル顕微鏡による観察等の評価
法により、この薄膜の平均結晶粒径は1.0μmである
ことがわかった。
【0077】続いて、図2(b)に示すように、通常の
フォトリソグラフィーとヨウ化カリウムとヨウ素の水溶
液によるエッチングにより、Auよりなる金属薄膜2を
直径1μmのドット状にパターニングした。ドットの間
隔は50μmとした。
【0078】このようにして作成した基板を、約90℃
に加熱した結晶成長用溶液に投入し温度を保ったまま放
置した。
【0079】1時間後に基板を取り出し観察したとこ
ろ、図2(c)に示したように、パターニングされた下
地の金属薄膜2の結晶粒7上のみから選択的に平板状金
単結晶群3が形成されて、各平板状金単結晶間には粒界
4が形成され金薄膜が形成されていた。この平板状金単
結晶群3は、基板に垂直方向には(111)面を有し、
各平板状単結晶の基板の面内方向の平均粒径は約50μ
mであり、膜の厚さは1.0μmであった。
【0080】本実施例の方法により作成した平板状金単
結晶群3について、位相差顕微鏡による光学的観察と、
走査型トンネル顕微鏡、及び原子間力顕微鏡による観察
を行ったところ、結晶の成長過程で必然的に発生する1
段が1原子層に相当するステップのみが観察され、それ
以上の大きな段差や穴は確認されなかった。
【0081】このように、本実施例の形成方法により、
非常に平坦性の高い平板状金単結晶群からなる金薄膜を
形成できた。
【0082】実施例3 本実施例は本発明第一により金薄膜を形成したものであ
り、以下にその方法を説明する。
【0083】蒸留水500mlにヨウ化カリウム40g
及びヨウ素6gを投入して撹拌溶解させた。この溶液に
金を2g投入して撹拌溶解させた。溶解後、この溶液か
ら100ml分取して反応容器にいれ、ここにさらに蒸
留水を100ml加えて撹拌し結晶成長用溶液とした。
【0084】次に、図3(a)に示したように、SrT
iO3 (100)単結晶ウエハ基板1上に真空蒸着法に
より、結晶粒7からなる金属薄膜2を0.1μmの厚さ
で堆積した。この金属薄膜2の材料としてはAuを用
い、この際の成膜条件は、真空度は5×10-7Tor
r、基板温度は300℃、成膜速度は0.1nm/se
cとした。
【0085】このようにして作成したAuよりなる金属
薄膜2を、X線回折法により評価したところ、(11
1)方向に強く配向しており、(111)回折線ロッキ
ングカーブの標準偏差が1.1度であった。また、電子
顕微鏡、及び走査型トンネル顕微鏡による観察等の評価
法により、この薄膜の平均結晶粒径は1.0μmである
ことがわかった。
【0086】次に、後述の開口部形成のためのリフトオ
フ用のレジストパターン(不図示)を金属薄膜2上に形
成した後、図3(b)に示すように、被覆5を金属薄膜
2上に堆積した。被覆5の材料としてはSiO2 を用
い、RFスパッタ法により0.2μmの厚さに堆積し
た。その後にリフトオフを行い、図3(c)に示したよ
うに開口部6を形成した。開口部6の大きさは直径1.
5μmのドット状とし、ドットの間隔は100μmとし
た。このようにして作成した基板を、約90℃に加熱し
た結晶成長用溶液に投入し温度を保ったまま放置した。
【0087】1時間後に基板を取り出し観察したとこ
ろ、図3(d)に示したように、パターニングされた被
覆5の開口部6より露出した下地の金属薄膜2の結晶粒
7上のみから選択的に平板状金単結晶群3が形成され
て、各平板状金単結晶間には粒界4が形成され金薄膜が
形成されていた。この平板状金単結晶群3は、基板に垂
直方向には(111)面を有し、各平板状単結晶の基板
の面内方向の平均粒径は約100μmであり、膜の厚さ
は2.0μmであった。
【0088】本実施例の方法により作成した平板状金単
結晶群3について、位相差顕微鏡による光学的観察と、
走査型トンネル顕微鏡、及び原子間力顕微鏡による観察
を行ったところ、結晶の成長過程で必然的に発生する1
段が1原子層に相当するステップのみが観察され、それ
以上の大きな段差や穴は確認されなかった。
【0089】このように、本実施例の形成方法により、
非常に平坦性の高い平板状金単結晶群からなる金薄膜を
形成できた。
【0090】実施例4 本実施例は本発明第一により金薄膜を形成したものであ
り、以下にその方法を説明する。
【0091】まず、蒸留水500mlにヨウ化カリウム
40g及びヨウ素6gを投入して撹拌溶解させた。この
溶液に金を2g投入して撹拌溶解させた。溶解後、この
溶液から100ml分取して反応容器にいれ、ここにさ
らに蒸留水を100ml加えて撹拌し結晶成長用溶液と
した。
【0092】次に、図2(a)に示したように、サファ
イアウエハ基板1上にクラスター・イオンビーム蒸着法
により、結晶粒7からなる金属薄膜2を0.1μmの厚
さで堆積した。この金属薄膜2の材料としてはAgを用
い、この際の成膜条件は、真空度は5×10-7Tor
r、イオン化電流/加速電圧は100mA/3kV、基
板温度は400℃、成膜速度は0.1nm/secとし
た。
【0093】このようにして作成したAgよりなる金属
薄膜2を、X線回折法により評価したところ、(11
1)方向に強く配向しており、(111)回折線ロッキ
ングカーブの標準偏差が1.2度であった。また、電子
顕微鏡、及び走査型トンネル顕微鏡による観察等の評価
法により、この薄膜の平均結晶粒径は2.0μmである
ことがわかった。
【0094】続いて、図2(b)に示すように、通常の
フォトリソグラフィーと過酸化水素とNH4 OHの水溶
液によるエッチングにより、Agよりなる金属薄膜2を
直径1.5μmのドット状にパターニングした。ドット
の間隔は75μmとした。
【0095】このようにして作成した基板を、結晶成長
用溶液に投入し、ハイドロキノン100mgを溶解した
水溶液30mlをゆっくり加え放置した。
【0096】2時間後に基板を取り出し観察したとこ
ろ、図2(c)に示したように、パターニングされた下
地の金属薄膜2の結晶粒7上のみから選択的に平板状金
単結晶群3が形成されて、各平板状金単結晶間には粒界
4が形成され金薄膜が形成されていた。この平板状金単
結晶群3は、基板に垂直方向には(111)面を有し、
各平板状単結晶の基板の面内方向の平均粒径は約75μ
mであり、膜の厚さは1.5μmであった。
【0097】本実施例の方法により作成した平板状金単
結晶群3について、位相差顕微鏡による光学的観察と、
走査型トンネル顕微鏡、及び原子間力顕微鏡による観察
を行ったところ、結晶の成長過程で必然的に発生する1
段が1原子層に相当するステップのみが観察され、それ
以上の大きな段差や穴は確認されなかった。
【0098】このように、本実施例の形成方法により、
非常に平坦性の高い平板状金単結晶群からなる金薄膜を
形成できた。
【0099】実施例5 本実施例は本発明第一により金薄膜を形成したものであ
り、以下にその方法を説明する。
【0100】まず、蒸留水500mlにヨウ化アンモニ
ウム40g及びヨウ素8gを投入して撹拌溶解させた。
この溶液に金を2g投入して撹拌溶解させた。溶解後、
この溶液から100ml分取して反応容器にいれ、ここ
にさらに蒸留水を100ml加えて撹拌し結晶成長用溶
液とした。
【0101】次に、図1(a)に示したように、へき開
マイカ基板1上に真空蒸着法により、結晶粒7からなる
金属薄膜2を0.1μmの厚さで堆積した。この金属薄
膜2の材料としてはAuを用い、この際の成膜条件は、
真空度は5×10-7Torr、基板温度は300℃、成
膜速度は0.1nm/secとした。
【0102】このようにして作成したAuよりなる金属
薄膜2を、X線回折法により評価したところ、(11
1)方向に強く配向しており、(111)回折線ロッキ
ングカーブの標準偏差が1.0度であった。また、電子
顕微鏡、及び走査型トンネル顕微鏡による観察等の評価
法により、この薄膜の平均結晶粒径は0.5μmである
ことがわかった。
【0103】このようにして作成した基板を、約90℃
に加熱した結晶成長用溶液に投入し温度を保ったまま放
置した。
【0104】1時間後に基板を取り出し観察したとこ
ろ、図1(b)に示したように、下地の金属薄膜2の結
晶粒7上から平板状金単結晶群3が形成されて、各平板
状金単結晶間には粒界4が形成され金薄膜が形成されて
いた。この平板状金単結晶群3は、基板に垂直方向には
(111)面を有し、各平板状単結晶の基板の面内方向
の平均粒径は約1.5μmであり、膜の厚さは15nm
であった。
【0105】本実施例の方法により作成した平板状金単
結晶群3について、位相差顕微鏡による光学的観察と、
走査型トンネル顕微鏡、及び原子間力顕微鏡による観察
を行ったところ、結晶の成長過程で必然的に発生する1
段が1原子層に相当するステップのみが観察され、それ
以上の大きな段差や穴は確認されなかった。
【0106】このように、本実施例の形成方法により、
非常に表面の平滑性の高い平板状金単結晶群からなる金
薄膜を形成できた。
【0107】実施例6 本実施例は図4に示されるような装置を用い、本発明第
二により金薄膜を形成したものであり、以下にその方法
を説明する。
【0108】まず、蒸留水500mlにヨウ化カリウム
50g及びヨウ素0.2gを加えた後、AuI粉末3.
2gを添加し撹拌溶解した。この溶液を図4に示した装
置の溶液貯蔵槽41に入れた。ここから液送ポンプ43
aを用いて溶液42を溶液加熱槽44に送った。液送速
度は約1.5ml/minとした。溶液加熱槽44では
ヒーター45により溶液が85℃になるように加熱し
た。溶液加熱槽44で加熱後、溶液をポンプ43bで結
晶成長槽46へと導いた。結晶成長槽46の状態が安定
した後、自然酸化膜が形成されたSiウエハー47を結
晶成長槽46内に設置した。結晶成長槽46では下面の
ホットプレート48により加熱して液温が約90℃にな
るように保持した。この時、ホットプレート48の表面
温度は220℃であった。また、結晶成長槽46では液
面及び溶液濃度を一定に保つために、ポンプ43cで溶
液の排出を行った。
【0109】液送開始後、約6時間で結晶の成長を終了
し、基板を取り出し、水洗したところ、大粒径の平板状
金単結晶群が基板47上に生成していた。エレクトロン
チャネリングパターン分析の結果、この結晶の平板面は
すべて(111)面であった。生成した平板状単結晶の
うち最大のものは直径1.2mmで、厚さは7.5μm
であった。また、走査型トンネル顕微鏡により平板状単
結晶の(111)面の表面を観察した結果、個々の単結
晶の表面の凹凸は1μm角内で5Å以下であった。
【0110】実施例7 本実施例は図4に示した装置を用い、本発明第二により
金薄膜を形成したものであり、以下にその方法を説明す
る。
【0111】まず、蒸留水500mlにヨウ化アンモニ
ウム55gを加えた後、AuI粉末3.0gを添加し撹
拌溶解させた。この溶液を図4に示した装置の溶液貯蔵
槽41に入れた。ここから液送ポンプ43aを用いて溶
液42を溶液加熱槽44に送った。液送速度は約1.5
ml/minとした。溶液加熱槽44ではヒーター45
により溶液が80℃になるように加熱した。溶液加熱槽
44で加熱後、溶液をポンプ43bで結晶成長槽46へ
と導いた。結晶成長槽46の状態が安定した後、自然酸
化膜が形成されたSiウエハー47を結晶成長槽46内
に設置した。結晶成長槽46では下面のホットプレート
48により加熱して液温が約92℃になるように保持し
た。この時、ホットプレート48の表面温度は220℃
であった。また、結晶成長槽46では液面及び溶液濃度
を一定に保つために、ポンプ43cで溶液の排出を行っ
た。
【0112】液送開始後、約6時間で結晶の成長を終了
し、基板を取り出し、水洗したところ、大粒径の平板状
金単結晶群が基板47上に生成していた。エレクトロン
チャネリングパターン分析の結果、この結晶の平板面は
すべて(111)面であった。生成した平板状単結晶の
うち最大のものは直径0.9mmで、厚さは8μmであ
った。また、走査型トンネル顕微鏡により平板状単結晶
の(111)面の表面を観察した結果、個々の単結晶の
表面の凹凸は1μm角内で5Å以下であった。
【0113】実施例8 本実施例は図5に示した装置を用い、本発明第三により
金薄膜を形成したものであり、以下にその方法を説明す
る。
【0114】まず、蒸留水500mlにヨウ化カリウム
53g及びヨウ素4gを加えた後、金粉末1.25gを
添加し撹拌溶解させた。この溶液及びSiウエハーを図
5に示した装置の結晶成長槽51に入れた。そして、結
晶成長槽51をホットプレート54により加熱して溶液
52の液温が約90℃になるように保持した。上記加熱
と共にマスフロー流量計55を用いてairを800m
l/minの流速で流した。次に、結晶成長槽51中の
溶液量が220mlとなったところで、液送ポンプ56
を用いて約90℃に加熱した水を結晶成長槽51に送
り、溶液濃度が所望の値に一定になるようにした。この
時、液送速度は約2ml/minであった。
【0115】液送開始後、約4時間で結晶の成長を終了
し、基板を取り出し、水洗したところ、大粒径の平板状
金単結晶群が基板53上に生成していた。エレクトロン
チャネリングパターン分析の結果、この結晶の平板面は
すべて(111)面であった。生成した平板状単結晶の
うち最大のものは直径1mmで、厚さは7μmであっ
た。また、走査型トンネル顕微鏡により平板状単結晶の
(111)面の表面を観察した結果、個々の単結晶の表
面の凹凸は1μm角内で5Å以下であった。
【0116】実施例9 本実施例は図5に示した装置を用い、本発明第三により
金薄膜を形成したものであり、以下にその方法を説明す
る。
【0117】まず、蒸留水500mlにヨウ化カリウム
53g及びヨウ素4gを加えた後、金粉末1.25gを
添加し撹拌溶解させた。この溶液及びSiウエハーを図
5に示した装置の結晶成長槽51に入れた。そして、結
晶成長槽51をホットプレート54により加熱して溶液
52の液温が約90℃になるように保持した。上記加熱
と共にマスフロー流量計55を用いてairを800m
l/minの流速で流した。次に、結晶成長槽51中の
溶液量が250mlとなったところで、液送ポンプ56
を用いて約90℃に加熱した水を液送速度約1.5ml
/minで結晶成長槽51に送り、溶液濃度が所望の値
に一定になるようにした。
【0118】液送開始後、約5時間で結晶の成長を終了
した。この時の残溶液量は約100mlであった。基板
53を取り出し、水洗したところ、大粒径の平板状金単
結晶群が基板53上に生成していた。エレクトロンチャ
ネリングパターン分析の結果、この結晶の平板面はすべ
て(111)面であった。生成した平板状単結晶のうち
最大のものは直径1.2mmで、厚さは8μmであっ
た。また、走査型トンネル顕微鏡により平板状単結晶の
(111)面の表面を観察した結果、個々の単結晶の表
面の凹凸は1μm角内で5Å以下であった。
【0119】実施例10 本実施例は図6に示した装置を用い、本発明第三により
金薄膜を形成したものであり、以下にその方法を説明す
る。
【0120】まず、蒸留水1000mlにヨウ化カリウ
ム106g及びヨウ素8gを加えた後、金粉末2.5g
を添加し撹拌溶解させた。この溶液を図6に示した装置
の溶液貯蔵槽61に入れた。ここから液送ポンプ63a
を用いて溶液62を溶液加熱槽64に送った。液送速度
は約2.5ml/minとした。溶液加熱槽64ではヒ
ーター65により溶液が85℃になるように加熱した。
上記加熱と共にマスフロー流量計66を用いてN2 を溶
液加熱槽64に500ml/minの流速で流した。同
時に、液送ポンプ67を用いて約85℃に加熱した水を
液送速度約0.2ml/minで溶液加熱槽64に送っ
た。
【0121】次に、この溶液をポンプ63bで溶液加熱
槽64から結晶成長槽68に送る間に、吸光度測定装置
69で溶液の吸光度を随時測定した。ここで溶液の吸光
度が0.25(測定波長480nm,溶液厚1mm)で
あることを確認したのち、溶液を結晶成長槽68へと導
いた。結晶成長槽68の状態が安定した後、自然酸化膜
が形成されたSiウエハー72を結晶成長槽68内に設
置した。結晶成長槽68では下面のホットプレート71
により加熱して液温が約90℃になるように保持した。
この時、ホットプレート71の表面温度は220℃であ
った。また、結晶成長槽68内の液面及び溶液濃度を一
定に保つためにポンプ63cで溶液の排出を行った。
【0122】液送開始後、約7時間で結晶の成長を終了
し、基板を取り出し、水洗したところ、大粒径の平板状
金単結晶群が基板72上に生成していた。エレクトロン
チャネリングパターン分析の結果、この結晶の平板面は
すべて(111)面であった。生成した平板状単結晶の
うち最大のものは直径1.8mmで、厚さは15μmで
あった。また、走査型トンネル顕微鏡により平板状単結
晶の(111)面の表面を観察した結果、個々の単結晶
の表面の凹凸は1μm角内で5Å以下であった。
【0123】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は以下の効
果を奏する。 (1)本発明第一によれば、結晶配向性の良好な金属薄
膜下地の結晶上から金単結晶群を成長させるため、下地
の欠陥に起因する平板状金単結晶の格子欠陥を低減でき
る。このため、結晶表面に現れる欠陥による段差が低減
でき、表面の平滑性が向上し、耐エレクトロ・マイグレ
ーション、耐腐食性、低抵抗性、耐メルト性、などに優
れている平板状単結晶群よりなる高品質の金結晶薄膜を
形成することができる。 (2)本発明第二によれば、金錯体溶液の金錯体に[A
uI2- を用いることにより、ヨウ化物及び金錯体濃
度を結晶成長に最適な濃度となる様、容易に制御できる
ため、大粒径の平板状金単結晶群からなる金薄膜を安定
して形成することができる。 (3)本発明第三によれば、金錯体溶液からの溶媒及び
溶質の蒸発量を制御すると共に溶媒の量を制御すること
により、組成の安定した結晶成長溶液を基板上に安定し
て存在させることができるため、従来問題であった結晶
成長中の金錯体やその他の種の濃度変化に起因する結晶
成長の停止あるいは成長速度の大幅低下を回避でき、大
粒径の平板状金単結晶群からなる金薄膜を安定して形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第一における金薄膜の形成工程の一例を
示す図である。
【図2】本発明第一における金薄膜の形成工程の他の例
を示す図である。
【図3】本発明第一における金薄膜の形成工程の他の例
を示す図である。
【図4】本発明第二に用いた金薄膜の形成装置の一構成
例である。
【図5】本発明第三の金薄膜の形成装置の一構成例であ
る。
【図6】本発明第三の金薄膜の形成装置の一構成例であ
る。
【図7】金錯体の分解処理により形成した平板状金単結
晶群の代表的な光学顕微鏡像である。
【符号の説明】
1 基板 2 金属薄膜 3 平板状金単結晶群 4 粒界 5 被覆 6 開口部 7 金属薄膜の結晶粒 41 溶液貯蔵槽 42 溶液 43a〜c ポンプ 44 溶液加熱槽 45 ヒーター 46 結晶成長槽 47 基板 48 ホットプレート 51 結晶成長槽 52 溶液 53 基板 54 ホットプレート 55 流量計 56 ポンプ 61 溶液貯蔵槽 62 溶液 63a〜c ポンプ 64 溶液加熱槽 65 ヒーター 66 流量計 67 ポンプ 68 結晶成長槽 69 吸光度測定装置 70 排出口 71 ホットプレート 72 基板 73 ビデオモニター 74 制御装置
フロントページの続き (72)発明者 宮本 雅彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 河田 春紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金錯体溶液中の金錯体を分解処理し、基
    板上にかかる金の薄膜を形成する方法において、上記基
    板上の少なくとも一部分に(111)回折線のロッキン
    グカーブの標準偏差が1.5度以下の金属薄膜を形成
    し、該金属薄膜上に金を析出,成長せしめることを特徴
    とする金薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記金属薄膜が形成されている基板に、
    金属薄膜に隣接して該金属薄膜より核形成密度の小さい
    材料からなる面を設けたことを特徴とする請求項1に記
    載の金薄膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記金属薄膜の材料が、金であることを
    特徴とする請求項1に記載の金薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 金錯体溶液中の金錯体を分解処理し、基
    板上にかかる金の薄膜を形成する方法において、上記金
    錯体溶液の調整にAuIを用いることを特徴とする金薄
    膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 金錯体溶液中の金錯体を分解処理し、基
    板上にかかる金の薄膜を形成する方法において、上記金
    錯体溶液を保持する溶液槽内にガスを流通させ該溶液か
    ら蒸発した溶媒及び溶質を除去すると共に、該溶液に溶
    媒を供給する工程を含むことを特徴とする金薄膜の形成
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の金薄膜の形成方法を実
    施する装置であって、前記金錯体溶液を保持する溶液槽
    と、該溶液槽内にガスを導入する手段と、該溶液槽内に
    金錯体溶液の溶媒を供給する手段を具備することを特徴
    とする金薄膜の形成装置。
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