JPH06296629A - 眼内レンズの製造方法 - Google Patents

眼内レンズの製造方法

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JPH06296629A
JPH06296629A JP5218363A JP21836393A JPH06296629A JP H06296629 A JPH06296629 A JP H06296629A JP 5218363 A JP5218363 A JP 5218363A JP 21836393 A JP21836393 A JP 21836393A JP H06296629 A JPH06296629 A JP H06296629A
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polymerizable monomer
intraocular lens
meth
outer peripheral
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Kunihisa Yoshida
邦久 吉田
Yuriko Watanabe
百合子 渡辺
Hiroko Hattori
浩子 服部
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学部と支持部が一体的に構成された一体型
の眼内レンズを製造するに際して、光学部と支持部とに
それぞれ適した素材を用いて、それらの接合強度を高め
ると共に、光学部及び支持部の変形を防止する。 【構成】 予め第一の歪み取りの行なわれた第一の重合
体28を用い、該第一の重合体の周りに存在せしめた第
二の重合性モノマー30にて、第一の重合体の外周部を
膨潤せしめた後、該第二の重合性モノマーを重合して、
第一の重合体と第二の重合体とが、第一の重合体組成及
び第二の重合体組成の混合領域を介して、一体的に形成
された複合重合体を得て、かかる複合重合体に第二の歪
み取りを行なった後、その第一の重合体部分から光学部
を形成すると共に、その第二の重合体部分から支持部を
形成して、目的とする眼内レンズを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、眼内レンズの製造方法に係り、
特に光学部と支持部とが一体的に構成されてなる一体型
の眼内レンズにして、良好な光学特性を有すると共に、
光学部と支持部の接合強度が高い眼内レンズを、有利に
製造し得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】眼内レンズは、レンズ本体としての光学部
と、該光学部を眼内の所定位置に取付固定するための支
持部とから構成されており、従来から、それら光学部と
支持部とが別々に形成されて、支持部が光学部に固定さ
れるスリーピース型やツーピース型の眼内レンズと、光
学部と支持部とが一体に構成されるワンピース型(一体
型)の眼内レンズとが知られている。
【0003】そして、それら何れの型の眼内レンズであ
っても、光学部は光学性能に優れた素材で、支持部は支
持部に適した素材で、それぞれ形成することが望まし
く、例えば、眼内レンズを眼内に挿入する際に支持部の
位置を視認し易くするために、光学部は透明な素材で形
成する一方、支持部を着色することが行なわれている。
而して、光学部と支持部とが一体に構成されて成る一体
型の眼内レンズにあっては、そのような構成を採用する
ことは難しく、支持部だけを着色することは困難であっ
た。
【0004】そのため、従来では、支持部が着色された
一体型の眼内レンズを作製するために、特開平2−79
54号公報に開示されているような方法等が考えられて
いる。即ち、先ず、レンズブランクの中央部分を透明な
プラスチック材料で形成した後、該中央部分の周辺に液
状の着色プラスチック形成材料(重合性材料)を配置し
て、重合・硬化させ、図5に示される如き、中央部分1
0と着色周辺部分12とが結合せしめられたレンズブラ
ンクを得る。或いは、その逆に、レンズブランクの周辺
部分を着色プラスチック材料にて形成した後、その中央
に設けられた孔部に透明な液状プラスチック形成材料を
注ぎ込むことにより、同様に、中央部分10と周辺部分
12が結合せしめられたレンズブランクを得る。そし
て、この得られたレンズブランクの透明な中央部分10
から光学部14を形成し、またその着色周辺部分12か
ら支持部16を形成することによって、図6に示される
如き一体型の眼内レンズ18を作製するのである。
【0005】しかしながら、そのような中央部分10と
周辺部分12を単に隣合わせて重合する方法において
は、中央部分10と周辺部分12の接合強度が不十分と
なり易い問題があった。そして、そのために、眼内レン
ズ18の眼内への挿入時に接合部で分離したり、或いは
眼内での支持力に耐えられず、接合部で折損したりする
問題を生じていた。また、そのような方法では、レンズ
ブランクの中央部分10に変形が惹起され易い問題があ
って、最終的に得られる眼内レンズ18の光学部14に
おいて所望の光学特性が得られ難いという問題を有して
いた。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、光学部と支持部が一体的に構成された一体
型の眼内レンズを製造するに際して、光学部と支持部と
にそれぞれ適した素材を用いて、それらの接合強度を高
めると共に、光学部の変形を防止して、所望の光学特性
が得られるようにすることにある。
【0007】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の要旨とするところは、光学部と支持部とが一体的
に構成されてなる一体型の眼内レンズを製造する方法に
して、(a)第一の重合性モノマーを重合して、前記光
学部を与える丸棒形状の第一の重合体を形成する工程
と、(b)該第一の重合体を加熱して、その歪み取りを
行なう第一の歪み取り工程と、(c)該第一の重合体の
少なくとも外周面に第二の重合性モノマーが接触する状
態において、かかる第二の重合性モノマーを該第一の重
合体の周りに存在せしめる工程と、(d)かかる第一の
重合体と第二の重合性モノマーとの接触状態を保持し
て、該第二の重合性モノマーの重合に先立って、該モノ
マーで前記第一の重合体の外周部を膨潤せしめる工程
と、(e)該第二の重合性モノマーを重合して、前記第
一の重合体の外周部に、前記支持部を与える第二の重合
体が、第一の重合体組成及び第二の重合体組成の混合領
域を介して、一体的に形成されてなる複合重合体を得る
工程と、(f)この得られた複合重合体を加熱して、そ
の歪み取りを行なう第二の歪み取り工程と、(g)かか
る第二の歪み取りが施された複合重合体を加工して、そ
の第一の重合体部分から前記光学部を形成すると共に、
その第二の重合体部分から前記支持部を形成する工程
と、を含むことを特徴とする眼内レンズの製造方法にあ
る。
【0008】また、本発明において、有利には、前記第
二の重合性モノマーが接触せしめられるところの前記第
一の重合体の外周面の表面粗さが、Rmax で0.1μm
〜1mmとされる。
【0009】さらに、本発明において、有利には、前記
第二の重合性モノマーの重合によって形成される第二の
重合体部分が着色されることとなる。
【0010】
【作用・効果】すなわち、本発明においては、第一の重
合体の周りに第二の重合性モノマーを存在せしめた後、
該第二の重合性モノマーを重合させる前に、所定の膨潤
時間を設けて、該第二の重合性モノマーを前記第一の重
合体の外周部に含浸させて、該外周部を膨潤させるので
ある。このような操作を行なうことにより、複合重合体
における第一の重合体部分と第二の重合体部分とが、第
一の重合体組成及び第二の重合体組成の混合領域(含浸
部分)を介して、強固に接合せしめられることとなるの
である。従って、かかる複合重合体より加工される眼内
レンズにあっては、光学部と支持部との接合部における
分離や折損が効果的に防止され得ることとなるのであ
る。
【0011】しかも、本発明では、第一の重合体につい
て第一の歪み取り操作を行なった後に、第二の重合体の
成形を行なうことから、該第一の重合体に対する第二の
重合性モノマーの含浸が均一に行なわれ得て、該第一の
重合体の外周部が均一に膨潤せしめられることとなる。
その結果、第一の重合体の変形が効果的に防止され得る
ため、最終的に得られる眼内レンズの光学部において良
好な光学特性が得られる特徴を有しているのである。更
に、本発明では、複合重合体について第二の歪み取り操
作を行なった後に、眼内レンズへの加工を行なうことか
ら、最終的に得られる眼内レンズにおいて、その支持部
が、EO滅菌処理後のガス抜き時等に応力緩和等によっ
て変形することが良好に防止され得るのである。
【0012】また、本発明に従う眼内レンズの製造方法
において、第二の重合性モノマーが接触せしめられると
ころの第一の重合体の外周面の表面粗さが、Rmax で
0.1μm〜1mmとされる場合には、第二の重合性モノ
マーによる第一の重合体の外周部の膨潤がより効果的に
行なわれることとなり、第一の重合体組成及び第二の重
合体組成の混合領域(含浸部分)が十分な厚み(幅)で
均一に形成されるようになる。それ故に、複合重合体に
おける第一の重合体部分と第二の重合体部分との結合強
度が有利に高められ得、かかる複合重合体より加工され
る眼内レンズの光学部と支持部の接合部における分離や
折損が一層効果的に防止され得ることとなるのである。
【0013】さらに、本発明に従う眼内レンズの製造方
法において、支持部を与える第二の重合体部分を着色す
る場合には、眼内レンズ支持部の視認性が向上し、手術
時の取扱性が向上する利点がある。
【0014】
【具体的構成】ところで、本発明においては、第一の重
合体を与える第一の重合性モノマー及び第二の重合体を
与える第二の重合性モノマーとして、従来から公知の各
種重合性モノマーを使用することができ、例えば、以下
に挙げるものを使用することができる。なお、表記上、
「・・・(メタ)アクリレート」とあるのは、「・・・
アクリレート」または「・・・メタクリレート」を表わ
し、その他の(メタ)アクリル誘導体についても同様で
ある。
【0015】すなわち、先ず、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert
−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)ア
クリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、tert
−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)ア
クリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、
ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレ
ート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メ
タ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の直鎖状、
分岐鎖状、環状のアルキル(メタ)アクリレート類;シ
リコン含有(メタ)アクリレート類を挙げることができ
る。
【0016】また、高屈折率の材料を得ようとする場合
には、芳香環を含有するモノマーが配合される。例え
ば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、o−ヒ
ドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒド
ロキシスチレン、トリメチルスチレン、tert−ブチルス
チレン、パーブロモスチレン、ジメチルアミノスチレ
ン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体類;ベンジ
ル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリ
レート類等を用いることができる。
【0017】さらに、生体に対する安全性を向上させる
ためには、フッ素含有のモノマーが配合される。例え
ば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレ
ート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオ
ロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフ
ルオロ−1−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリ
レート等のフッ素含有(メタ)アクリレート類;o−フ
ルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロ
スチレン、トリフルオロスチレン、パーフルオロスチレ
ン、p−トリフルオロメチルスチレン、o−トリフルオ
ロメチルスチレン、m−トリフルオロメチルスチレン、
4−ビニルベンジル−2’,2’,2’−トリフルオロ
エチルエーテル、4−ビニルベンジル−2’,2’,
3’,3’,4’,4’,4’−ヘプタフルオロブチル
エーテル、4−ビニルベンジル−3’,3’,3’−ト
リフルオロプロピルエーテル、4−ビニルベンジル−
3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,
6’−ノナフルオロヘキシルエーテル等のフッ素含有ス
チレン誘導体類等を用いることができる。
【0018】更にまた、親水性表面を有する材料を得よ
うとする場合には、親水性基を有するモノマーが配合さ
れる。例えば、N−ビニルピロリドン、α−メチレン−
N−メチルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等の
N−ビニルラクタム類;ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート
類;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド、N
−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)
アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル
アミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アク
リルアミド類等を挙げることができる。
【0019】そして、それら各種モノマーの中から、1
種又は2種以上を選択して使用し、或いはこれらより選
択した1種又は2種以上を重合してマクロモノマーと成
し、これを重合成分の一つとして用いることもできる。
なお、これらの重合成分の組合せ及び配合割合等は、得
ようとする重合体に応じて適宜に決定される。
【0020】なお、眼内レンズの光学部を与える第一の
重合体は、安定性等を考慮して、架橋している方が好ま
しいため、第一の重合性モノマーには、架橋剤を添加す
るのが望ましい。具体的には、4−ビニルベンジル(メ
タ)アクリレート、3−ビニルベンジル(メタ)アクリ
レート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリ
レート、ビニル(メタ)アクリレート等の架橋剤が使用
でき、或いは分子内に少なくとも2個以上の重合性基を
有するマクロモノマーを架橋剤として使用しても差し支
えない。そして、通常、架橋剤は、全重合成分の100
重量部に対して、0.5〜15重量部程度の割合で配合
される。
【0021】また、第一、第二の重合性モノマーの何れ
についても、従来から知られている各種の配合剤や添加
剤を加えることができる。そして、前記モノマーと各種
配合剤、添加剤を均一に混合することによって、それぞ
れ、第一の重合体を与える第一の重合性モノマー液(重
合性材料)と、それとは異なる第二の重合体を与える第
二の重合性モノマー液(重合性材料)とが調製されるの
である。
【0022】なお、添加剤の具体例としては、着色剤が
あり、特に、眼内レンズを眼内に挿入する際に支持部を
視認し易くするために、支持部形成用の第二の重合性モ
ノマーに配合される。添加される着色剤については、生
体に対する安全性が要求される他は特に限定はなく、食
品、医薬品等の分野で使用されている赤色101号、青
色1号、黄色402号等の色素;C.I.ダイレクト・ブル
ー 237、C.I.ダイレクト・イエロー 8 等の直接染料;
C.I.アシッド・ブルー 29 、C.I.アシッド・ブラック 2
等の酸性染料;C.I.ベーシック・ブルー 5、C.I.ベー
シック・バイオレット 1 等の塩基性染料;C.I.バット
・ブルー 18 、SOLUBILISED C.I.バット・ブルー 1 等
のバット染料;C.I.ソルベント・バイオレット 13 、C.
I.ソルベント・グリーン 3 等の油溶染料;C.I.ピグメ
ントブルー 15 等の分散染料等を挙げることができる。
特に、特開平1−299560号公報等に開示されてい
る如き重合性染料は、重合体中に強固に結合するため、
好ましいものである。
【0023】そして、着色剤の濃度は、通常、0.01
〜30重量%程度とされ、着色剤が前記重合性材料に溶
解し難い場合や分散し難い場合等には、更に界面活性剤
及び/又は分散剤を添加することができる。
【0024】また、必要に応じて、眼内レンズの光学部
に紫外線吸収性を持たせるべく、光学部形成用の第一の
重合性モノマーに、重合性紫外線吸収剤を配合すること
ができる。重合性紫外線吸収剤は、アクリロイル基、メ
タクリロイル基、ビニル基、アリル基及びイソプロペニ
ル基等の重合性基を有するものであるが、特に、生体に
対する毒性がない、若しくは毒性が少ないものが有利に
選択されることとなり、好ましくは、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸誘導体系等の重
合性紫外線吸収剤が採用されることとなる。
【0025】そして、更に、第一、第二の重合性モノマ
ー(重合性材料)には、実施される重合操作に応じて、
所定の重合開始剤が加えられることとなる。例えば、加
熱重合を行なう場合には、アゾビスイソブチロニトリル
やアゾビスジメチルバレロニトリル等のラジカル重合開
始剤が配合される。また、光重合を行なう場合は、ベン
ゾインやメチルオルソベンゾイルベンゾエート等の光重
合開始剤が配合される。更に、加熱重合と光重合を組み
合わせて行なうことも可能である。なお、重合開始剤の
配合量は、全重合成分の100重量部に対して0.00
1〜5重量部程度とされる。
【0026】そして、上述の如くして調製された第一、
第二の重合性モノマーが用いられる一方、本発明に従う
眼内レンズの製造方法においては、(a)第一の重合体
の成形工程、(b)第一の重合体に対する第一の歪み取
り工程、(c)第一の重合体に第二の重合性モノマーを
接触させる工程、(d)第二の重合性モノマーによる第
一の重合体の膨潤工程、(e)第二の重合体の成形工程
(複合重合体の成形工程)、(f)複合重合体に対する
第二の歪み取り工程、及び(g)複合重合体の加工工程
が、順次実施されることとなる。
【0027】先ず、前記工程(a)、即ち第一の重合体
の成形工程では、上述の如くして、眼内レンズの光学部
形成材料として第一の重合性モノマーが調製されると共
に、該第一の重合性モノマーが、所定の成形型内に注入
されて、常法に従って重合されることとなる。なお、か
かる第一の重合体成形用の成形型としては、重合体を脱
型した時点で略丸棒形状の第一の重合体が得られるよう
に、通常、試験管の如き有底円筒形状の成形型が用いら
れる。
【0028】そして、この第一の重合体にあっては、成
形時に重合体の外周面が成形型の内壁にくっついて、引
っ張られたりすること等によって、歪みが生じ易いこと
から、次いで、前記工程(b)、即ち第一の歪み取り工
程を実施すべく、かかる第一の重合体に対して加熱操作
が施されるのである。何故なら、第一の重合体に歪みを
残したままの状態で、該第一の重合体に第二の重合体を
与える第二の重合性モノマーを含浸させると、良く含浸
される部分と含浸され難い部分ができて、第一の重合体
の外周部が不均一に膨潤してしまうからであり、それに
よって、第一の重合体の変形が誘発される結果、最終的
に得られる眼内レンズの光学部の光学特性に悪影響を生
じることとなるからである。
【0029】この歪み取り操作は、具体的には、成形型
より脱型した第一の重合体を、成形型より少し径の大き
い加熱型に移して、該第一の重合体のガラス転移温度
(Tg)±20℃程度の温度で、30分〜数時間程度、
通常は1〜2時間程度保持し、その後、徐冷することに
よって、行なうことができる。なお、処理温度が高過ぎ
ると、重合体が熱変形を起こし易くなり、また処理温度
が低過ぎれば、充分な歪み除去ができなくなる。
【0030】さらに、通常は、かかる第一の歪み取り工
程の後に、第一の重合体の外周面等を切削して、所定の
径の丸棒形状に整えることとなる。例えば、15mmφの
第一の重合体を切削して、6mmφの丸棒形状に整える。
【0031】そして、本発明において、有利には、第一
の重合体の外周面の表面粗さをRmax で0.1μm〜1
mmとなるように加工するのであり、具体的には、切削加
工、旋盤加工、研磨加工、研削加工等によって表面粗さ
を調整することとなる。それによって、後述する第一の
重合体の外周部を第二の重合性モノマーで膨潤させる工
程において、膨潤が効果的に行なわれ得るようになり、
膨潤域の厚み(幅)が部位によらず略一定になるため、
複合重合体において第一の重合体組成及び第二の重合体
組成の混合領域(含浸部分)が十分な厚み(幅)で均一
に形成されるようになり、第一の重合体部分と第二の重
合体部分の接合強度が有利に向上せしめられ得るのであ
る。なお、より好ましくは、第一の重合体の外周面の表
面粗さは、Rmax で1μm〜500μmに調整されるこ
ととなる。
【0032】また、この表面粗さがRmax で0.1μm
未満の場合には、第一の重合体の外周部を第二の重合性
モノマーで膨潤させる工程において、ある程度膨潤時間
をかけても、混合領域の厚みが十分には得られ難くなる
ため、最終的に得られる眼内レンズにおいて、光学部と
支持部の接合部分で分離が生じ易くなる。そして、表面
粗さが大きくなる程、膨潤(含浸)が効果的に行なわれ
て、混合領域の厚みが大きくなる傾向が見られるが、こ
の表面粗さがRmax で1mmより大きくなると、第一の重
合体の外周部を第二の重合性モノマーで膨潤させる工程
において、膨潤域の厚みが部位によって不均一になり易
く、混合領域の厚みが部位によって大きくばらつくよう
になるため、最終的に得られる眼内レンズが不良レンズ
になり易いのである。
【0033】そして、かくして得られた第一の重合体の
少なくとも外周面に第二の重合性モノマーが接触する状
態において、該第二の重合性モノマーを該第一の重合体
の周りに存在せしめることにより、前記工程(c)が実
施される。なお、この第二の重合性モノマーとしては、
上述の如くして、眼内レンズの支持部形成材料として調
製された重合性材料が用いられる。
【0034】また、かかる工程(c)を実施する具体的
な方法としては、例えば、図1に示されるようにして、
中央部に第一の重合体28を挿入する支持孔26が設け
られた円環状のスペーサ22等を用いて、第一の重合体
28(例えば6mmφ)を、有底円筒状の第二の重合体成
形用の成形型20(例えば内径20mmφ程度)の中央部
に配置する一方、該成形型内の第一の重合体28の周り
に形成される空間に、第二の重合性モノマー30を注入
する方法がある。
【0035】なお、スペーサ22としては、第二の重合
性モノマー30の注入時及びその重合時において、該モ
ノマーの上下の流動を阻害しないように、例えば図2や
図3に示される如き、開孔部(切欠き部24や通孔3
4)が設けられたものが好適に用いられることとなる。
また、かかるスペーサ22は、2つ以上用いて、第一の
重合体28の2箇所以上を固定することが好ましく、第
二の重合性モノマー30にて膨潤させる際の第一の重合
体28の変形を良好に防止するためには、スペーサ2
2,22間の距離を約40cm以内とすることが好まし
い。
【0036】そして、そのような第一の重合体と第二の
重合性モノマーとの接触状態を保持して、該第二の重合
性モノマーの重合に先立って、該モノマー液で前記第一
の重合体の外周部を膨潤せしめることにより、前記工程
(d)が実施されるのである。それによって、第一の重
合体中に第二の重合性モノマーが充分に含浸せしめられ
て、第一の重合体の外周部が膨潤せしめられることとな
り、かかる含浸部分にて第一の重合体組成と第二の重合
体組成との混合領域が構成されるのである。
【0037】なお、該混合領域(含浸部分)の厚みを必
要以上に厚くすることは、第一の重合体の物性等に悪影
響を及ぼすこととなって、好ましくないため、通常は、
0.1〜3mm程度の厚みとすることが好ましい。そし
て、前述のように、第二の重合性モノマーが接触せしめ
られるところの第一の重合体の外周面の表面粗さを、R
max で0.1μm〜1mmとなるように調整する場合に
は、該混合領域を有利に0.1〜3mm程度の厚みで均一
に形成することができるのであり、更に、該表面粗さを
Rmax で1μm〜500μmとなるように調整する場合
には、該混合領域を有利に2mm程度の厚みで均一に形成
することができるのであり、以て最終的に得られる眼内
レンズの外観を望ましいものとすることができる。
【0038】また、該混合領域の厚みは、膨潤条件(温
度、時間)の設定により調整することができる。一般的
な条件として、保持温度については、第二の重合性モノ
マーの重合を促進しない(ゲル化が開始されない)程度
の0〜35℃が望ましく、より望ましくは10〜25℃
である。また、保持時間については、0.5〜48時間
程度、望ましくは1〜24時間程度とするのが良い。即
ち、これより温度が高かったり、時間が長くなると、第
二の重合性モノマーのゲル化が始まるからであり、また
必要以上に時間を長くすることは生産性上も好ましくな
い。一方、これより温度が低かったり、時間が短くなる
と、混合領域が殆ど形成されずに、接合部分の強度の低
下を招くこととなるからである。
【0039】そして、かかる工程(d)が行なわれた後
に、前記第二の重合性モノマーが常法に従って重合させ
られることによって、工程(e)、即ち第二の重合体の
成形工程が実施される。それにより、中央部分の第一の
重合体と周辺部分の第二の重合体とが一体的に接合され
てなる複合重合体が得られるのである。
【0040】このようにして得られる複合重合体の一例
が図4に示されているが、この複合重合体42にあって
は、第二の重合性モノマーで第一の重合体の外周部を充
分に膨潤させた後に、第二の重合性モノマーを重合せし
めていることから、第一の重合体部分36と第二の重合
体部分38とが、第一の重合体組成及び第二の重合体組
成の混合領域40を介して、強固に接合せしめられたも
のとなる。また、第二の重合体の形成操作の前に、第一
の重合体について第一の歪み取り操作が行なわれること
から、該第一の重合体の外周部の膨潤が均一になり、そ
れによって、複合重合体42の第一の重合体部分36の
変形が効果的に防止されたものとなる。
【0041】そして、かかる複合重合体に対しては、再
度加熱操作が施されて、前記工程(f)、即ち第二の歪
み取り工程が実施されるのである。何故なら、この歪み
取りが為されていない場合には、該複合重合体を加工し
て最終的に得られる眼内レンズにおいて、EO滅菌処理
後のガス抜き時等に、支持部が応力緩和等によって変形
することがあるからである。なお、この操作は、前述の
第一の重合体に対する第一の歪み取り操作と同様にして
行なわれることとなる。
【0042】また、通常は、かかる複合重合体の外周面
を切削して所定の径(例えば15mmφ)に整え、更に所
定厚み(例えば3.0mmt)に切断することによって、
眼内レンズ製造用のレンズブランクが形成され、該レン
ズブランクを加工することによって、前記工程(g)が
実施されることとなる。
【0043】そして、該レンズブランク(複合重合体)
の第一の重合体部分から光学部を形成すると共に、その
第二の重合体部分から支持部を形成することによって、
目的とする眼内レンズを得ることができるのである(図
6参照)。このような眼内レンズは、光学部と支持部の
接合強度が高く、該接合部での分離や折損が効果的に防
止される特徴を有している。また、光学部に変形がない
ことから、優れた光学特性を有しているのである。
【0044】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
【0045】実施例 1および比較例 1 先ず、下記表1に示される第一の重合体組成に従って配
合された第一の重合性モノマーを、内径:10mm、長さ
50cmのガラス試験管を用いて重合した。重合条件は、
35℃で40時間、50℃で8時間加熱した後、50℃
から130℃まで10℃/1.5時間の加熱速度で昇温
した。そして、得られた重合体をガラス試験管より脱管
した後、第一の歪み取り処理(110℃で1時間)を行
ない、外径:6mmの丸棒状に切削加工して、第一の重合
体を得た。なお、この第一の重合体の外周面の表面粗さ
は、Rmax で190〜200μmであった。
【0046】次いで、該第一の重合体を、フッ素樹脂製
スペーサーを使用して、内径:20mm、長さ:50cmの
ガラス試験管中央部に配置し、その周囲に下記表1に示
される第二の重合体組成に従って配合された第二の重合
性モノマーを流し込み、20℃にて24時間そのまま静
置して、該モノマー液を第一の重合体の外周部に含浸さ
せ、第一の重合体の外周部を膨潤させた。
【0047】しかる後、35℃で40時間、50℃で8
時間加熱し、更に10℃/1.5時間の加熱速度で50
℃から130℃まで昇温することによって、加熱重合を
行ない、複合重合体を得た。そして、かかる複合重合体
をガラス試験管より脱管した後、第二の歪み取り処理
(110℃で1時間)を行なった。
【0048】
【表1】
【0049】そして、前記複合重合体を加工して、外
径:15mm、厚さ3mmの円板状レンズブランクを得、更
に該レンズブランクを加工して、第一の重合体部分より
光学部を形成すると共に、第二の重合体部分から支持部
を形成し、着色された支持部を有する眼内レンズを製造
したところ、光学部と支持部の接合性に優れると共に、
所期の光学特性を有する眼内レンズが得られた。
【0050】また、前記複合重合体を加工して、長さ方
向中央部に第一の重合体と第二の重合体の境界部がくる
ようにした、(長さ:13mm)×(幅:2mm)×(厚
み:0.75mm)の試験片を作製した。更に、比較のた
めに、膨潤操作を省略した他は同様にして、複合重合体
を得て、該複合重合体より同形状の試験片を作製した。
【0051】そして、インストロン社製4301型万能
材料試験機を使用して、それら試験片の破断強度及び破
断点伸びを測定し、また破断状況を観察した。そして、
その結果を下記表2に示したが、膨潤操作を行なうこと
によって、第一の重合体部分と第二の重合体部分の接合
強度が効果的に高められていることが判った(測定結果
は各試験片5個の平均値で示した)。
【0052】
【表2】
【0053】実施例 2および比較例 2 下記表3に示される第一の重合体組成に従って配合され
た第一の重合性モノマーと、第二の重合体組成に従って
配合された第二の重合性モノマーとを用いて、実施例1
と同様にして、複合重合体を得た。なお、第一の重合体
の外周面の表面粗さは、Rmax で10〜20μmであっ
た。
【0054】
【表3】
【0055】そして、前記複合重合体を加工して、実施
例1と同様のレンズブランクを得、更に該レンズブラン
クを加工して、第一の重合体部分より光学部を形成する
と共に、第二の重合体部分から支持部を形成し、着色さ
れた支持部を有する眼内レンズを製造したところ、光学
部と支持部の接合性に優れると共に、所期の光学特性を
有する眼内レンズが得られた。
【0056】また、前記複合重合体を加工して、長さ方
向中央部に第一の重合体と第二の重合体の境界部がくる
ようにした、(長さ:13mm)×(幅:2mm)×(厚
み:0.75mm)の試験片を作製した。更に、比較のた
めに、膨潤操作を省略した他は同様にして、複合重合体
を得て、該複合重合体より同形状の試験片を作製した。
【0057】そして、実施例1と同様にして、それら試
験片の破断強度及び破断点伸びを測定し、また破断状況
を観察した。そして、その結果を下記表4に示したが、
膨潤操作を行なうことによって、第一の重合体部分と第
二の重合体部分の接合強度が効果的に高められているこ
とが判った(測定結果は各試験片5個の平均値で示し
た)。
【0058】
【表4】
【0059】比較例 3 先ず、実施例1で用いた第一の重合性モノマーを、内
径:10mm、長さ50cmのガラス試験管を用いて、実施
例1と同様にして重合し、ガラス試験管より脱管した
後、第一の歪み取りを省略して、そのまま外径:6mmの
丸棒状に切削加工して、第一の重合体を得た。なお、こ
の第一の重合体の外周面の表面粗さは、Rmax で480
〜490μmであった。次いで、該第一の重合体を、フ
ッ素樹脂製スペーサーを使用して、内径:20mm、長
さ:50cmのガラス試験管中央部に配置し、その周囲
に、実施例1で用いた第二の重合性モノマーを流し込
み、20℃にて24時間そのまま静置した。この時、第
一の重合体の外周部は均一に膨潤せず、混合領域(含浸
部分)が不均一に形成された。
【0060】そして、実施例1と同様にして、加熱重合
し、複合重合体を得て、ガラス試験管より脱管した後、
第二の歪み取り処理を行なった。しかる後、該複合重合
体よりレンズブランクを作製し、更に該ブランクを加工
して、着色された支持部を有する眼内レンズを製造し
た。その結果、光学部の一部分が着色されてしまい、不
良レンズとなった。
【0061】比較例 4 先ず、実施例1で用いた第一の重合性モノマーを、内
径:10mm、長さ50cmのガラス試験管を用いて、実施
例1と同様にして重合し、ガラス試験管より脱管した
後、第一の歪み取り処理を行ない、外径:6mmの丸棒状
に切削加工して、第一の重合体を得た。なお、この第一
の重合体の外周面の表面粗さは、Rmax で480〜49
0μmであった。次いで、該第一の重合体を、フッ素樹
脂製スペーサーを使用して、内径:20mm、長さ:50
cmのガラス試験管中央部に配置し、その周囲に、実施例
1で用いた第二の重合性モノマーを流し込み、実施例1
と同様にして、該モノマー液で第一の重合体の外周部を
膨潤させた。
【0062】そして、実施例1と同様にして、加熱重合
し、複合重合体を得て、ガラス試験管より脱管した後、
第二の歪み取りを省略して、そのまま該複合重合体より
レンズブランクを作製した。しかる後、該ブランクを加
工して、着色された支持部を有する眼内レンズを製造し
たところ、EO滅菌後のガス抜き工程において応力緩和
に起因すると思われる支持部の変形が発生した。
【0063】比較例 5 先ず、実施例1で用いた第一の重合性モノマーを、内
径:10mm、長さ50cmのガラス試験管を用いて、実施
例1と同様にして重合し、ガラス試験管より脱管した
後、第一の歪み取り処理を行ない、外径:6mmの丸棒状
に切削加工して、第一の重合体を得た。そして、更に、
バレル研磨機を用いて、該第一の重合体の研磨を行な
い、表面粗さをRmax で0.05μmに調整した。
【0064】次いで、該第一の重合体を、フッ素樹脂製
スペーサーを使用して、内径:20mm、長さ:50cmの
ガラス試験管中央部に配置し、その周囲に、実施例1で
用いた第二の重合性モノマーを流し込み、実施例1と同
様にして、該モノマー液で第一の重合体の外周部を膨潤
させた。そして、実施例1と同様にして、加熱重合し、
複合重合体を得て、ガラス試験管より脱管した後、第二
の歪み取り処理を行なった。
【0065】しかる後、前記複合重合体を加工して、長
さ方向中央部に第一の重合体と第二の重合体の境界部が
くるようにした、(長さ:13mm)×(幅:2mm)×
(厚み:0.75mm)の試験片を作製した。得られた試
験片を観察したところ、第一の重合体組成及び第二の重
合体組成の混合領域は殆ど形成されていなかった。
【0066】そして、実施例1と同様にして、試験片の
破断強度及び破断点延びを測定し、また破断状況を観察
した。そして、その結果を下記表5に示したが、第一の
重合体の表面を研磨したことによって、第一の重合体組
成及び第二の重合体組成の混合領域が殆ど形成されず、
第一の重合体部分と第二の重合体部分との接合強度が低
下していることが判った。
【0067】
【表5】
【0068】比較例 6 先ず、実施例1で用いた第一の重合性モノマーを、内
径:10mm、長さ50cmのガラス試験管を用いて、実施
例1と同様にして重合し、ガラス試験管より脱管した
後、第一の歪み取り処理を行ない、外径:6mmの丸棒状
に切削加工して、第一の重合体を得た。この時、外径切
削におけるバイトの移動速度を50cm/minと大きくし
たため、第一の重合体の外周面の表面粗さは、Rmax で
1450〜1500μmとなった。
【0069】次いで、該第一の重合体を、フッ素樹脂製
スペーサーを使用して、内径:20mm、長さ:50cmの
ガラス試験管中央部に配置し、その周囲に、実施例1で
用いた第二の重合性モノマーを流し込み、実施例1と同
様にして、該モノマー液で第一の重合体の外周部を膨潤
させた。そして、実施例1と同様にして、加熱重合し、
複合重合体を得て、ガラス試験管より脱管した後、第二
の歪み取り処理を行なった。
【0070】しかる後、前記複合重合体を加工して、実
施例1と同様のレンズブランクを得、更に該レンズブラ
ンクを加工して、第一の重合体部分より光学部を形成す
ると共に、第二の重合体部分から支持部を形成し、着色
された支持部を有する眼内レンズを製造したところ、第
一の重合体組成及び第二の重合体組成の混合領域が、一
方の支持部ではかなり大きくなり、他方の支持部ではか
なり小さくなったため、不良レンズとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明手法の一工程を説明するための断面説明
図である。
【図2】第一の重合体を成形型の中央部に配置するため
に使用されるスペーサの一例を示す平面図である。
【図3】第一の重合体を成形型の中央部に配置するため
に使用されるスペーサの異なる例を示す平面図である。
【図4】本発明手法に従って得られた複合重合体の一例
を示す横断面図である。
【図5】従来の眼内レンズ製造用のレンズブランクの一
例を示す横断面図である。
【図6】図5のレンズブランクより形成される眼内レン
ズの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
20 成形型 22 スペーサ 24 切欠き部 26 支持孔 28 第一の重合体 30 第二の重合性モノマー 36 第一の重合体部分 38 第二の重合体部分 40 混合領域 42 複合重合体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学部と支持部とが一体的に構成されて
    なる一体型の眼内レンズを製造する方法にして、 第一の重合性モノマーを重合して、前記光学部を与える
    丸棒形状の第一の重合体を形成する工程と、 該第一の重合体を加熱して、その歪み取りを行なう第一
    の歪み取り工程と、 該第一の重合体の少なくとも外周面に第二の重合性モノ
    マーが接触する状態において、かかる第二の重合性モノ
    マーを該第一の重合体の周りに存在せしめる工程と、 かかる第一の重合体と第二の重合性モノマーとの接触状
    態を保持して、該第二の重合性モノマーの重合に先立っ
    て、該モノマーで前記第一の重合体の外周部を膨潤せし
    める工程と、 該第二の重合性モノマーを重合して、前記第一の重合体
    の外周部に、前記支持部を与える第二の重合体が、第一
    の重合体組成及び第二の重合体組成の混合領域を介し
    て、一体的に形成されてなる複合重合体を得る工程と、 この得られた複合重合体を加熱して、その歪み取りを行
    なう第二の歪み取り工程と、 かかる第二の歪み取りが施された複合重合体を加工し
    て、その第一の重合体部分から前記光学部を形成すると
    共に、その第二の重合体部分から前記支持部を形成する
    工程と、を含むことを特徴とする眼内レンズの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記第二の重合性モノマーが接触せしめ
    られるところの前記第一の重合体の外周面の表面粗さ
    が、Rmax で0.1μm〜1mmであることを特徴とする
    請求項1に記載の眼内レンズの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第二の重合性モノマーの重合によっ
    て形成される第二の重合体部分が着色されていることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の眼内レンズの製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006212101A (ja) * 2005-02-01 2006-08-17 Nidek Co Ltd 眼内レンズの製造方法及び該方法により得られる眼内レンズ
CN113545884A (zh) * 2021-04-06 2021-10-26 富螺(上海)医疗器械有限公司 人工晶状体
CN113545885A (zh) * 2021-04-06 2021-10-26 富螺(上海)医疗器械有限公司 人工晶状体的制作方法

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