JPH0629645Y2

JPH0629645Y2 - 冷却用具

Info

Publication number: JPH0629645Y2
Application number: JP1987136607U
Authority: JP
Inventors: 一雄色部
Original assignee: Japan Vilene Co Ltd
Current assignee: Japan Vilene Co Ltd
Priority date: 1987-09-07
Filing date: 1987-09-07
Publication date: 1994-08-10
Anticipated expiration: 2002-09-07
Also published as: JPS6441867U

Description

【考案の詳細な説明】イ考案の目的産業上の利用分野本考案は冷却用具に関するもので、詳しくはガラス瓶容
器やプラスチック容器に入ったビール、ジュースの様な
清涼飲料水、炭酸入飲料、或いは果物などを冷やす用具
であって、特に冷蔵庫内でこれらのものを冷やす場合
に、冷却速度を早めて短時間で目的とする温度に冷やす
ことができるという新規な用具に関するものである。

従来の技術とその問題点従来、ビールやジュースなどを短時間で冷やしたい場
合、冷蔵庫内の温度を下げれば良いのであるが、野菜な
どの様にあまり低温にできないものがこの冷蔵庫内に入
っていると冷却温度が制限され急冷しにくいし、またか
なり低温に下げたとしてもその冷却速度には限界があ
り、充分に満足できる冷却速度が得にくいという欠点が
あった。さらに冷蔵庫のない場所での保冷は困難で、折
角冷えたビールやジュースもすぐに生ぬるくなってしま
うという問題点も有していたのである。

本考案は上記の問題点を解決することを目的としてなさ
れたもので、冷蔵庫内でのビールやジュースの冷却速度
を早め、しかもその取扱いにおいて手をぬらすこともな
く、また冷蔵庫から出した後の保冷性も良いという冷却
用具を提供しようとするものである。

ロ考案の構成本考案の構成は、疎水性シートの片面に、架橋ポリアク
リル酸塩、デンプン・アクリル酸グラフト重合体、デン
プン・アクリロニトリルグラフト重合体、酢ビ・アクリ
ル酸塩共重合体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合
体、ＰＶＡ・無水マレイン酸共重合体、ＣＭＣ架橋物か
ら選ばれる１種又は２種以上の高吸水性樹脂を含有した
保水性層を設けてなることを特徴とする冷却用具、を要
旨とするものである。

問題点を解決するための手段水の気化熱を利用して冷却を早める用具を得るべく検討
を重ねたところ、高吸水性樹脂は非常に多量の水分を保
持し、かつその水分は化学的に結合しているため移動し
にくいものであるにもかかわらず気化して行くというこ
とに着目し、この高吸水性樹脂を含有する保水性層と、
手で持っても手がぬれない疎水性シート、とを一体化し
たシート状の用具を作り、これをそのままか或いは適宜
の形状に成形して使用してやれば、非常にすぐれた冷却
用具となることを見い出したのである。

第１図は本考案用具の１実施例の部分断面拡大図であ
る。

この図の様に本考案は、疎水性シート（１）の片面に保
水性層（２）が一体に設けられているというものであ
る。

この疎水性シート（１）は、例えば、各種のフイルム、
撥水紙、撥水布、金属箔の様な水を通しにくい疎水性の
素材からなるシート層である。

また、保水性層（２）は高吸水性樹脂を含有した層で、
例えば、パルプの様な親水性繊維と高吸水性樹脂の粉末
或いは繊維状物とを混合してシート化した層、又は繊維
状の高吸水性樹脂を用いて単独で或いは他の親水性繊維
とブレンドして不織布状にシート化した層、となってい
るのである。

第２図は本考案用具の他の実施例の部分断面拡大図であ
る。

この図の様に、疎水性シート（１）に多数の小孔（３）
を設けておくと、保水性層（２）に保持された水分の気
化が促進され冷却効果が大きくなるのである。

なお、第１図の様に完全に水の通らない疎水性シート
（１）を用いても上下の端の断面から水蒸気が逃げるの
で冷却効果は得られるがその効果は比較的低くこの第２
図の様な小孔（３）を有する疎水性シート（１）にした
方が水蒸気が出やすく冷却効果は向上するのである。

この場合、この小孔（３）があまり大きいと保水性層
（２）内の高吸水性樹脂が水の移動を阻止しているもの
の、手で持ったときの圧力で水が浸出しやすくなるの
で、この小孔（３）は直径２mm以下のものが望ましいも
のである。

また、小孔（３）がなくても透湿性を有する透湿性防水
フイルムなどをこの疎水性シート（１）として使用する
と非常に好適なものとなるのである。

また、第２図の保水性層（２）は、その両面に補強層
（４）（４′）が設けられている実施例であり、例えば
この補強層（４）（４′）を紙、不織布、編織布などで
構成して、その間に高吸水性樹脂層（５）を挟持してい
るものとなっているのである。

つまりこの補強層（４）（４′）は保持層としても作用
しているのである。

この場合、高吸水性樹脂層（５）は単に高吸水性樹脂の
みからなる層であっても良いし、第１図の保水性層
（２）の様に親水性繊維と高吸水性樹脂とを混合一体化
した層であっても良いものである。

また、この高吸水性樹脂層（５）が、例えば接着剤の様
な合成樹脂中に高吸水性樹脂を分散させてコーテイング
した層であったり、或いは接着剤粉末と高吸水性樹脂と
の混合一体化した層である場合には、補強層（４）
（４′）は必ずしも必要ではなく、特に内側の補強層
（４′）はなくても何ら問題ないものとなるのである。

なお、この補強層（４）（４′）は前記して様に不織
布、紙、編織布などからなる層であるが、親水性層であ
ることが望ましいことは勿論である。

本考案における保水性層（２）には水を保持させること
は言うまでもなく、この保持される水は高吸水性樹脂の
作用によりかなり多量であり、この保有水を徐々に気化
させて冷却を促進させるのである。

この場合、その保有水は移動しないことが望ましく、そ
のためにも水を化学的に保持する高吸水性樹脂が必須成
分となるのである。

この高吸水性樹脂としては、架橋ポリアクリル酸塩、デ
ンプン・アクリル酸グラフト重合体、デンプン・アクリ
ロニトリルグラフト重合体、酢ビ・アクリル酸塩共重合
体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、ＰＶＡ・
無水マレイン酸共重合体、ＣＭＣ架橋物などがあげら
れ、いずれもその吸水倍率が１０〜１０００倍程度の樹
脂となっており、粉末又は繊維上の形態として用いられ
るものである。

本考案における疎水性シート（１）の表面には絵柄など
を印刷しても良いし、また、保水性層（２）にはシート
全体の強度を高めるためにエンボス加工などを施しても
良いものである。

さらに、保水性層（２）にカビなどの繁殖を防止するた
めに、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ソーダ、ア
スコルビン酸などの殺菌料、その他の食添防腐剤などを
配合すれば一層好ましいものとなるのである。

作用本考案の構成は以上の様なものであり、保水性層（２）
に水を付与して充分にぬらし、これを冷却したいビール
やジュース等の容器の外周に疎水性シート（１）を外側
にして巻きつけて冷蔵庫に入れるのである。

第３図は本考案用具の使用状態を示した斜視図である。

この図の様に、容器（ｙ）の周囲にシート状の本考案用
具（ｓ）を巻いても良いし、予め円筒状、コップ状など
の形状に成形した本考案用具にしておいて、その中へ容
器（ｙ）を差し込んでも良く、その他、このシート状の
本考案用具を各種の冷却対象物の形状や容器形状に応じ
た形に成形しておいても良いものである。

この様にして容器（ｙ）の外周を保水させた本考案用具
（ｓ）で覆ってやると、保有水の気化熱により冷却速度
は促進され、冷蔵庫内の温度を特に低くすることもなく
かなり早く目的とする温度に冷えるのである。

また、外周の表面には疎水性シート（１）があるため手
で持ってもぬれず取扱いやすいし、保有された水が保水
性層（２）から移動しないので冷蔵庫内がぬれる心配も
ないのである。

さらにこの冷却用具を付けたまま冷蔵庫から出しておい
た場合に、その保冷性は非常によく長時間に渡って冷却
効果を維持するのである。

実施例架橋ポリアクリル酸ソーダ５０ｇ／m²とパルプ１００ｇ
／m²とをエアレイ法により混合してシート化した吸収層
を作り、この両面に３０ｇ／m²のポリエステル繊維不織
布を補強層として積層し、第２図の様な合計３層からな
る保水性層を形成した。

一方、疎水性シートとして孔径0.5mmの小孔を１５個／c
m²の割合で有する厚さ５０μのポリエチレンフイルムを
使用し、この片面に接着剤を用いて前記の保水性層を接
着一体化させ本考案冷却用具を得た。

この冷却用具を水に浸けて吸水させ、余剰の水を拭き取
って、第３図の様に水（６３３cc）の入ったビール瓶に
巻きつけて合せ目をテープで止めた。

このビール瓶に温度計付のコルク栓をして、内部の温度
をチェックしながら冷蔵庫（温度は２℃、湿度は３３
％）に入れその温度変化を調べた。なお、比較のため本
考案用具を巻かないビール瓶でも同様にして温度変化を
調べた。

これらの温度変化をグラフで示すと、第４図の様な結果
が得られたのである。

このグラフより本考案用具が非常にすぐれた冷却速度促
進効果を発揮することが認められるのである。

ハ考案の効果本考案の効果を列挙すれば、下記の通りである。

（ａ）ビールやジュース、その他各種の被冷却物の冷蔵
庫内での冷却速度を早め、短時間で目的とする冷却温度
に冷せるものである。

（ｂ）保有水は高吸水性樹脂により保持されているので
冷蔵庫内に漏れず庫内をぬらすことはない。

（ｃ）表面に疎水性シートがあるため手がぬれず取扱い
性にすぐれている。

（ｄ）冷蔵庫から出してもこの冷却用具を付けたままに
しておくと保冷性も非常にすぐれたものとなる。

（ｅ）高吸水性樹脂は多量の水を保持できるので冷却促
進効果の持続性も良く、（ｄ）の保冷性の持続も良好で
ある。

以上の様に本考案は非常にすぐれた効果を有し、新規な
冷却用具として高い有用性を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案用具の１実施例の部分断面拡大図であ
る。第２図は本考案用具の他の実施例の部分断面拡大図であ
る。第３図は本考案用具の使用状態を示した斜視図である。第４図は実施例における冷却試験の時間と温度変化を示
したグラフである。（１）…疎水性シート、（２）…保水性層、（３）…小
孔、（４）・（４′）…補強層、（５）…高吸水性樹脂
層、（ｙ）…容器、（ｓ）…本考案用具

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】疎水性シートの片面に、架橋ポリアクリル
酸塩、デンプン・アクリル酸グラフト重合体、デンプン
・アクリロニトリルグラフト重合体、酢ビ・アクリル酸
塩共重合体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、
ＰＶＡ・無水マレイン酸共重合体、ＣＭＣ架橋物から選
ばれる１種又は２種以上の高吸水性樹脂を含有した保水
性層を設けてなることを特徴とする冷却用具。
【請求項２】疎水性シートが、多数の小孔を有するもの
である実用新案登録請求の範囲第１項記載の冷却用具。
【請求項３】保水性層が、親水性繊維と高吸水性樹脂を
混合一体化したものである実用新案登録請求の範囲第１
項記載の冷却用具。
【請求項４】保水性層が、補強層間に高吸水性樹脂を挟
持させたものである実用新案登録請求の範囲第１項記載
の冷却用具。
【請求項５】保水性層が、接着剤等の樹脂と高吸水性樹
脂との混合層である実用新案登録請求の範囲第１項記載
の冷却用具。