JPH06294790A - 試験試料のイオン強度または比重を測定するための方法、組成物および試験具 - Google Patents

試験試料のイオン強度または比重を測定するための方法、組成物および試験具

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JPH06294790A
JPH06294790A JP6020901A JP2090194A JPH06294790A JP H06294790 A JPH06294790 A JP H06294790A JP 6020901 A JP6020901 A JP 6020901A JP 2090194 A JP2090194 A JP 2090194A JP H06294790 A JPH06294790 A JP H06294790A
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Chris T Zimmerle
クリス・ティー・ジンマール
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水性試験試料のイオン強度に対して応答して
検出かつ測定できる色遷移を示すことが可能な組成物で
あって、(a)検出できる色遷移を与えるのに充分な量
のメタクロム性染料、(b)該メタクロム性染料と結合
することが可能な高分子電解質、および(c)水、水混
和性アルコールまたはそれらの混合物を含む担体を含む
ことを特徴とする組成物、並びにそれを用いる測定方法
および試験具。 【効果】 本発明によれば、尿などの水性試験試料のイ
オン強度または比重を、pHに依存せず、高感度で短時間
に検定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試験試料のイオン強度
を測定し、または比重を概算するための方法、組成物お
よび試験具に関する。より詳しくは、本発明は、イオン
強度または比重について、水性試験試料、例えば尿を検
定する方法であって、(a)試験試料との接触に際して
検出または測定できる応答を生じる試薬組成物を用い、
そして(b)試験試料のpHには実質的に依存しない方法
に関する。この検出できる応答は、試験試料のイオン強
度に比例し、試験試料のイオン強度に定量的に、また試
験試料の比重に半定量的に相関させることができる。こ
の試薬組成物は、試験試料のイオン強度または比重に関
する検定を与えるのに充分な色の区別を試験試料間に与
える。
【0002】
【従来の技術】試験試料、例えば尿または血清の比重
は、試験試料の全体積に対する試験試料に溶解した固体
物質の相対的比率の尺度である。一般に、試験試料の比
重は、試験試料の濃縮の相対的程度または希釈の相対的
程度の尺度である。尿の比重は、試験試料のイオン強度
またはイオン濃度に相関させることができる。尿試料に
関しては、比重についての検定は、ルーチンの尿分析で
実施される他の検定の結果を解釈するのに役立つ。
【0003】臨床的には、適正で標準化された流動物制
限または増大した流動物摂取の条件下で、尿試料の比重
は人の腎臓の濃縮能力および希釈能力の尺度となる。尿
の比重は約1.005〜約1.030の範囲にわたり、
通常、約1.010〜約1.025の範囲内にある。無
作為の午前最初の尿標本における約1.025またはそ
れ以上の比重は、腎臓の正常な濃縮能力を示す。
【0004】異常に低い、または異常に高い尿比重は、
臨床的に意味がある。したがって、尿および他の水性試
験試料の正確で信頼できる比重検定が、検査室および家
庭の両方での使用のために利用できなければならない。
検定は、正確な診断を下すことができ、また正しい医学
的処置を実施し、監視し、そして維持できるよう、異常
に低い比重および異常に高い比重の正確な測定値を与え
なければならない。
【0005】例えば、尿崩症は、抗利尿ホルモン(AD
H)の正常な機能の不在または欠陥によって生じる疾病
であり、腎臓の濃縮能力の欠陥の最も重篤な例である。
この疾病は、低い比重の大量の尿を排泄することが特徴
的である。通常、尿崩症に罹患した人の尿比重は1.0
01〜1.003の範囲にわたる。低い尿比重は、糸球
体腎炎、腎盂腎症および他の各種の腎異常に罹患した人
にも発生する。これらの場合、腎臓は、尿細管の損傷に
起因してその尿濃縮の能力を失っている。
【0006】異常に高い尿比重もまた、病的状態の指標
である。例えば、糖尿病、副腎機能不全、肝臓病または
鬱血性心不全に罹患した人では、尿比重が異常に高い。
同様に、尿比重は、例えば発汗、発熱、嘔吐および下痢
によって、過剰量の水を失ったときに上昇する。加え
て、異常に大量のブドウ糖や蛋白質などの非イオン性尿
成分は、糖尿病またはネフローゼに罹患した人では尿比
重を1.050またはそれ以上にまで増大させることが
ある。標本間でわずかしか変動しない約1.010とい
う固定的に低い比重の尿は、等張尿として知られてい
る。この状態は、腎臓の濃縮および希釈双方の能力の障
害を伴う重篤な腎損傷を示している。
【0007】ある人の尿比重が異常に高いか、または異
常に低いか否かを判定するため、また医療処置の経過を
監視してその有効性を判定するのに役立てるために、簡
便、正確かつ廉価な比重検定法が開発されている。一般
に、試験試料の比重は、試験試料の密度に関係する測定
値である。比重は、標準化された条件下での与えられた
体積の水の重量に対する同体積の試験試料(例えば尿)
の重量の比率から導かれる値である(数式1)。
【0008】 比重=尿の重量/水の重量 (数式1)
【0009】水は比重が1.000である。尿は水に対
する無機物、塩類および有機化合物の溶液であるから、
尿の比重は1.000より大きい。相対的な差は尿標本
の濃縮程度を反映し、尿中の固体全体の尺度となる。
【0010】尿比重を測定するためにいくつかの方法が
利用できる。最も汎用され、おそらく最も精度の低い方
法は、尿比重計を用いる方法である。尿比重計は重みを
つけた球根状の器具であって、比重の読みに換算された
目盛りを有する円筒状の茎部を備えている。尿試料を容
れた円筒内にこの尿比重計を浮遊させ、これが尿試料中
に沈む深さによって尿比重を測定する。比重の値は、尿
と空気との接点での尿比重計の目盛りから直接読み取
る。尿比重計法は面倒であり、次のような短所がある:
(a)大量の尿の試験試料を必要とする。(b)尿比重
計の目盛りを読み取るのが困難かつ不正確である。
(c)尿比重計は規則正しく再較正されないことから、
信頼できない検定法である。
【0011】屈折率測定法は、尿比重を測定する間接的
な方法を提供する。尿の屈折率は、尿中に溶解した粒子
の数に直接関係付けられ、そのため尿比重に直接関係付
けられる。その結果、尿の屈折率の測定値を尿比重に相
関させることができる。尿比重を測定する屈折計の方法
は、比重の測定がわずか1滴の尿に対して実施されるこ
とから、望ましい。しかし、屈折計には、毎日較正する
ことが必要であり、家庭での検定にそぐわないという短
所がある。
【0012】滴下法は、比重について検定するもう一つ
の方法であって、尿比重計のように尿比重を直接測定す
る。この方法では、増大する既知の比重を有する溶媒混
合物を満たした一連のカラムのそれぞれに1滴の尿を導
入する。尿滴が、その最初の勢いが散逸した後に静止状
態に達し、そうして上昇も下降もしなくなったとき、こ
の尿の比重はその特定のカラムの溶媒混合物の比重と同
一であると判定する。しかしながら、滴下法は、そのよ
うな検定を準備するのに長時間を必要とし、個人が家庭
で検定を実施することができないことから、ルーチンの
尿分析には汎用されない。
【0013】上記の滴下法を機器を用いて実施すること
もできる。機器に基づく検定は、制御された比重および
粘性を有するシリコーン油を満たした特別に設計された
カラムを用いる。カラムは、試験試料よりやや低密度の
水不混和性シリコーン油を満たした、温度が制御された
カラム内に一方が他方の上になるように取り付けられた
2個の光学ゲート(ランプ−光トランジスタ対)が規定
する距離を、試験試料の厳密に計量された1滴が落下す
るのに要する時間を測定するよう設計されている。落下
時間は電子工学的に測定され、比重の単位に換算され
る。この比重法は非常に厳密であるが、検定機器の価
格、および機器を操作するのに要する熟練度は、尿比重
を家庭で試験することを実施不能にしている。
【0014】上記の比重検定方法のうち、診療所または
検査室の外で比重検定を実施するのに適したものは皆無
である。そのため、個人が家庭で比重検定を実施するこ
とを可能にするために、試薬を含浸させた試験片(試験
ストリップ)が開発された。一般的には、比重の測定用
に開発された試験片による検定法は間接的な検定方法で
あって、試験片は尿試料のイオン強度に応じて変色す
る。試験試料のイオン強度は、試験試料中に存在するイ
オンのタイプおよび量の尺度となる。試験試料の比重は
試験試料のイオン強度に比例する。したがって、試験試
料のイオン強度について検定することにより、試験試料
のイオン強度を試験試料の比重に相関させることによっ
て、比重は間接的かつ半定量的に測定される。
【0015】今日の比重試験片はpHに左右され、高分子
電解質、例えば部分的に中和されたポリ(メチルビニル
エーテル/マレイン酸);色原性指示薬、例えばブロモ
チモールブルー;および好適な緩衝剤を含有する試薬組
成物を含浸させた担体マトリックスを含む。試薬組成物
の高分子電解質はイオン交換を受け、試験試料中に存在
するカチオンと引き換えに、尿試料のイオン強度に関係
付けられた量の水素イオンを試験試料中に放出するとい
うように、試薬組成物は試験試料中のイオンまたは電解
質の数に感度を有する。
【0016】したがって、尿中の電解質の濃度が上昇す
る(高い比重)につれて、より多くのカチオンが、試薬
組成物の高分子電解質上に存在する水素イオンと交換す
るのに利用できるようになる。その総体的な結果は、尿
試料中への水素イオンの放出、およびその結果生じる尿
試料のpHの低下であり、それがブロモチモールブルーと
いう色原性指示薬の、上昇した比重に応じた青緑から
緑、さらには黄緑への色遷移を生起する。結果的なこの
色遷移は、イオン強度の増大、すなわち比重の上昇によ
って生起された溶液のpHの変化を示し、経験的かつ半定
量的に尿試料の比重に関係付けられる。
【0017】部分的に中和されたポリ(メチルビニルエ
ーテル/マレイン酸)という高分子電解質およびブロモ
チモールブルーという指示薬を用いた試験片に対して
は、約1.000〜約1.030の比重を有する水性試
験試料における比重についての検定が実施される。1.
000の読みまたは青緑色は、色原性指示薬色素の色遷
移の欠如によって証明されるとおり、その尿が非常に低
い比重を有することを示す。約1.005〜約1.03
0という比重の読みは、青緑から緑ないし黄緑への色遷
移によって表され、増大する比重の信頼できる指標とし
て役立つ。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】約1.000〜約1.
050という比重の値の視覚的な区別を可能にする、尿
比重について半定量的に検定する簡便で信頼するに足る
方法を有するならば、極めて好都合であろう。使用が簡
単な形態、例えば「浸して読み取る(dip-and-read)」
試験片で尿比重を測定する半定量的方法を提供すること
によって、尿検定を検査室職員が実施して、直ちに試験
結果を得ることが可能となる。この比重検定の結果は、
尿の他の成分についての検定と関連付けて解釈すること
ができ、そのため、検定結果を待つ必要なく診断を下す
ことができ、直ちに医療処置を開始することができる。
その上、この試験片法は、個人が家庭で実施して尿比重
を概算でき、それゆえその人が受けている医療処置の成
功を監視するのに役立てることができる。
【0019】
【課題を解決するための手段】本明細書において後でよ
り充分に説明するとおり、本発明の方法は、高分子電解
質および該高分子電解質と結合することが可能なメタク
ロム性染料(metachromatic dye)などの指示薬色素を含
む試薬組成物を包含する試験パッドを有する試験片を用
いることによって、試験試料のpHには依存せず、そして
尿および他の水性試験試料のイオン強度または比重につ
いての迅速で信頼するに足る検定を可能にする。この試
薬組成物は、試験試料のイオン強度またはイオン濃度に
応じて色遷移を生じる。この色遷移は試験試料のイオン
強度に直接関連付けられる。そのため、試薬組成物は、
イオン強度の定量的測定および比重の半定量的測定を可
能にするのに充分な検定感度を与える。
【0020】尿または他の水性試験試料のイオン強度ま
たは比重について検定するいかなる方法も、例えばpHの
変化や、蛋白質またはブドウ糖などの試験試料の別の成
分との優先的相互作用のような、競合的な化学的または
物理的相互作用の結果としてではなく、試験試料のイオ
ン強度または比重に応じて色遷移を生じる試薬組成物を
用いることによって、信頼するに足る再現可能な結果を
生じなければならない。さらに、イオン強度検定または
比重検定に用いられる方法および組成物は、複合的な試
験パッド片に存在する他の試験試薬パッドに不都合に作
用したり、または干渉してはならない。
【0021】本発明によれば、担体マトリックスに包含
させた試薬組成物は、イオン強度について検定し、それ
ゆえ比重について半定量的に検定するのに充分な感度お
よび色の区別を与える。この方法は、試験試料の比重約
1.000〜約1.015を測定するのに特に有用であ
る。さらに、比重について検定するためには乾相の試験
片が用いられているが、試験試料のpHには実質的に依存
しない、試験試料のイオン強度または比重についての検
定方法において、高分子電解質およびそれと結合するこ
とができる指示薬色素を包含させた乾相試験片は皆無で
ある。
【0022】従来の特許は、上記に考察した尿比重検定
に用いられる高分子電解質−染料イオン交換の化学を開
示している。例えば、Falbらの米国特許第4,318,709 号
明細書およびStiso らの米国特許第4,376,827 号明細書
には、尿比重について検定するのに用いられる高分子電
解質−染料手法が開示されている。それぞれの特許は、
染料の色遷移を監視することによって尿比重を測定する
ための高分子電解質−染料化学の利用を教示している。
【0023】FalbらおよびStiso らの特許は、試験試料
中に存在するカチオンが高分子電解質とのイオン交換を
誘発し、それによって水素イオンを試験試料に導入する
組成物および方法をそれぞれ開示している。水素イオン
濃度、すなわちpHの変化は、pH指示薬によって検出され
る。したがって、従来開示された方法は、水溶液のpHに
感度を有し、指示薬染料と高分子電解質との間に直接の
相互作用が発生することはない。
【0024】本発明の組成物および方法は、メタクロム
性指示薬染料が最初に高分子電解質に結合する点が上記
の開示と異なる。次いで、本発明の試薬組成物と、カチ
オンを含有する試験試料、例えば尿との接触に際して、
カチオンは、高分子電解質の利用可能な結合部位に関し
て競合し、高分子電解質からのある数量のメタクロム性
染料分子を置き換える。本明細書において後により詳細
に考察するとおり、高分子電解質からの放出の際には、
メタクロム性染料分子のスペクトル特性が変化し、結果
的に色遷移が生じる。色遷移は、高分子電解質から放出
されたメタクロム性染料の量に正比例し、それが試験試
料のイオン強度に直接関連付けられる。この変色は試験
試料のイオン強度に定量的に相関させることができ、試
験試料のイオン強度は試験試料の比重に半定量的に相関
させることができる。したがって、FalbらおよびStiso
らの開示とは対照的に、色遷移がポリ硫酸ビニルなどの
高分子電解質からのメタクロム性指示薬染料の、pHに依
存しない置き換えの結果として生じることから、本方法
は試験試料のpHには依存しない。
【0025】本発明の方法および組成物には、pH指示薬
染料を、それが高分子電解質と結合でき、かつ組成物に
緩衝剤が含まれる限り、利用できることも理解しなけれ
ばならない。緩衝剤は、試験試料のpHまたはpHの変化の
いずれとも異なって、高分子電解質からの置き換えの結
果として、pH指示薬染料が変色することを確実にする。
【0026】本発明は、比重試薬組成物の指示薬成分と
してメタクロム性指示薬染料を用いることによる、尿お
よび他の水性試験試料のイオン強度の正確な測定および
比重の半定量的な測定のための組成物および方法を提供
する。ヨーロッパ公開特許第0,349,934 号公報には、緩
衝剤、錯体形成体(complex former)およびpH指示薬染料
を含有する組成物を用いた、試料の比重またはイオン強
度を測定する試験片および方法が開示されている。錯体
形成体はクラウンエーテル、クリプタンド、ポダンドま
たは多官能性液体であることができる。該ヨーロッパ公
開特許に開示された方法はpH依存性であり、標準的pH指
示薬染料、例えばブロモチモールブルーまたはチモール
ブルーを用いる。ヨーロッパ公開特許第0,349,934 号公
報は、本発明に用いられるメタクロム性染料または高分
子電解質を教示または示唆していない。
【0027】米国特許第4,015,462 号明細書でGreyson
らは、染料を含有する液体を収めた、浸透によって破壊
されうるマイクロカプセルを包含させた支持マトリック
スを開示している。マイクロカプセルの一部は、浸透圧
特性(osmolality)の低い試験試料と接触すると破裂す
る。その結果生じる染料含有液体の放出は、比重に相関
される色遷移を生起する。しかし、マイクロカプセルに
封入されたものを含む支持マトリックスの製造が困難で
あることは、Greyson らの方法の重大な短所である。
【0028】先行技術とは対照的に、また現在利用でき
る市販の試験片とも対照的に、本発明の方法は、メタク
ロム性指示薬染料、例えばチオニン、およびポリ硫酸ビ
ニルまたはポリスチレンスルホネートなどの高分子電解
質を含有する試薬組成物を用いることによって、試験試
料のイオン強度の鋭敏な測定を与え、そして尿比重の半
定量的な測定を与えるものであり、試験試料のpHには実
質的に依存しない。本発明の試薬組成物は、試験試料と
接触すると、イオン強度の正確な検定または比重の半定
量的な測定を与えるのに充分な色遷移を生じる。そのた
め、イオン強度または比重についての尿および他の水性
試験試料の乾相試薬片検定において、新規かつ予想外の
結果が達成される。
【0029】略述すると、本発明は、水性試験試料のイ
オン強度を測定し、または比重を概算するための新規か
つ改善された方法および組成物を対象とし、特に、例え
ば尿、汗または血清のような生物学的液体のイオン強度
または比重に関するそれらを対象とする。この方法は、
試験試料中のカチオンと相互作用して、該試験試料のイ
オン強度または比重に相関させ得る検出および測定でき
る応答を生じることが可能な試薬組成物の使用を含む。
応答は、試験試料のpHには実質的に依存しない。家庭で
用いるためには、試薬組成物は肉眼で検出できる応答を
生じる。検査室で用いるためには、試薬組成物は肉眼で
または機器によって検出できる応答を生じる。
【0030】この方法は、試薬組成物が担体マトリック
スに包含されて試験具の試験パッドを提供する乾相検定
に好適である。試験パッドの担体マトリックスは、濾紙
などの吸水性の多孔性材料、またはガラス繊維もしくは
高分子材料の透過性層などの非吸水性の多孔性材料を含
む。試薬組成物は担体マトリックス中に均質に包含さ
れ、担体マトリックスは次いで試薬組成物を、液体試験
試料に対する担体マトリックスの浸透性を維持しつつ、
既知の濃度で担体マトリックス全体に均質に保持する。
【0031】より詳細には、本発明は、新規な試薬組成
物を用いることによって、尿および他の生物学的試験試
料または水性試験試料のイオン強度または比重について
検定する方法を対象とする。メタクロム性指示薬染料お
よび高分子電解質を含有する試薬組成物を用いることに
よって、イオン強度の正確な測定または比重の半定量的
な測定を許すのに充分な試験試料のイオン強度に対する
感度と、異なる比重の試験試料間の充分な色の区別とが
与えられることが明らかにされた。意外にも、本発明の
方法は試験試料のpHには実質的に依存せず、そのため、
試験試料のイオン強度または比重を測定するための試薬
組成物に緩衝剤を含有させることは不要であることが多
い。
【0032】本発明の重要な特徴によれば、水性試験試
料の比重は、約1.000〜約1.050の範囲、特に
約1.000〜約1.015の範囲で半定量的に測定す
ることが可能である。本発明の試薬組成物にメタクロム
性指示薬染料および高分子電解質を含有させることによ
って、検定は試験試料のpHには実質的に依存せず、緩衝
剤の存在は不必要となることが多い。したがって、本発
明の試薬組成物の使用によって、イオン強度に対する改
善された検定感度が達成される。本発明の試薬組成物
は、メタクロム性指示薬染料および高分子電解質を含有
し、尿または他の試験試料のイオン強度の正確な測定ま
たは比重の半定量的な測定を可能にする。
【0033】したがって、本発明の一面は、水性液体の
イオン強度または比重を測定するための新規な方法およ
び組成物を提供することである。この新規な組成物は、
水性試験試料中のカチオンと相互作用して、該試験試料
のイオン強度または比重を示す視認できる変化、例えば
試験具の変色を生じる。
【0034】本発明のもう一つの面は、試験試料のイオ
ン強度間の色の区別およびそれらの測定を可能にするの
に充分な感度および充分な視覚的な色の解像度を有す
る、尿または他の水性試験試料を検定する方法を提供す
ることである。
【0035】本発明のもう一つの面は、尿または他の水
性試験試料中に存在するカチオンと相互作用することが
可能であり、かつ試験試料のpHに依存せず検出および測
定できる色遷移を生じることが可能な試薬組成物を用い
て、尿または他の水性試験試料を検定して、該試験試料
のイオン強度を確定し、またはその比重を概算する方法
を提供することである。
【0036】本発明のもう一つの面は、試験試料中に存
在するカチオンと相互作用し、肉眼でまたは機器によっ
て区別できる色遷移を生じて、試験試料の約1.000
〜約1.050、特に約1.000〜約1.015の比
重の半定量的測定を可能にする試薬組成物を提供するこ
とである。
【0037】本発明のもう一つの面は、乾相検出試験具
に、(a)チオニンまたはアストラゾンオレンジなどの
メタクロム性指示薬染料;(b)ポリ硫酸ビニルまたは
ポリスチレンスルホネートなどの高分子電解質;および
(c)好適な担体を含有する試薬組成物を包含させるこ
とによって、液体試験試料のイオン強度または比重につ
いて検定する方法を提供することである。
【0038】本発明のさらにもう一つの面は、試験試料
中に存在するカチオンと相互作用することが可能な試薬
組成物をその中に包含させた、濾紙などの吸水性マトリ
ックス、またはガラス繊維もしくは透過性高分子材料の
層などの非吸水性材料を含む担体マトリックスを有する
試験具を用いることによって、水性試験試料のイオン強
度または比重について検定する新規な改善された方法を
提供することである。
【0039】本発明のさらにもう一つの面は、メタクロ
ム性指示薬染料および高分子電解質を含む試薬組成物が
担体マトリックスに包含され、それによって試験試料の
イオン強度または比重に応答して実質的にpHに依存しな
い検定を与える、改善された乾相試験片を提供すること
である。
【0040】本発明の上記および他の利点並びに新規な
特徴は、好ましい実施態様に関する下記の詳細な説明か
ら明らかになるものと思われる。
【0041】本発明の方法によれば、イオン強度または
比重についての水性試験試料の検定は、メタクロム性指
示薬染料および高分子電解質を含有する試薬組成物を用
いることによって遂行される。充分量のメタクロム性指
示薬染料および高分子電解質を含有する試薬組成物を用
いることによって、イオン強度の異なる試験試料間の肉
眼による充分な色の区別および充分な感度が達成され
る。意外にも、この方法は試験試料のpHには実質的に依
存せず、そのため試薬組成物中に緩衝剤は不要であるこ
とが多い。したがって、水性試験試料の正確で再現可能
な、試験試料のpHに依存しないイオン強度検定が提供さ
れる。組成物および方法は、比重がイオン強度と相関さ
れうることから、試験試料の比重を半定量的に測定する
ために用いることも可能である。本発明の方法によって
与えられる試験試料のイオン強度および比重に対する感
度および色の解像度は、尿検定に特に有用である。
【0042】今日の市販の試験片検定は、約1.000
〜約1.050の範囲の比重を効果的に測定する。今日
の試験片はイオン強度について正確に検定することが不
可能である。しかし、本発明の組成物および方法は、個
人が試験片を用いて家庭でイオン強度について試験する
ことを可能にする。
【0043】本発明は、比重はイオン強度に相関させる
ことができることから、試験試料の比重の半定量的検定
も可能にする。尿比重についての半定量的検定は、尿比
重の検定が、尿のその他の被験物についての検定と関連
させて解釈され、疾病の状態の診断に役立てられること
から、臨床的に重要である。本発明は、約1.000〜
約1.015の比重を有する尿試料を検定する際に特に
有用である。約1.010〜約1.025という比較的
正常な範囲内の尿比重に関しても、やはり本発明の方法
は尿比重に対する充分な色の区別および充分な感度を与
える。しかし、臨床的利点は、この正常な比重の範囲内
では、比重の検定が他の被験物についての尿検定と関連
させて解釈され、その結果、すべての検定がさらに調査
しなければならない異常な生理学的状態に関する情報を
提供できることにより、実現される。
【0044】尿の検定に加え、本発明の方法および組成
物は、血漿および血清のイオン強度または比重を、そし
てより一般的には汗などその他多くの生理学的流体のイ
オン強度または比重をも測定するために用いることもで
きる。
【0045】本発明の利点を充分に達成するには、この
方法および組成物を乾相の試験パッド検定に用いて、尿
または他の水性試験試料のイオン強度または比重を測定
する。本発明の試薬組成物を包含させた担体マトリック
スを含む試験パッドを有する乾相試験片は、視覚的手段
による尿の迅速な定量的イオン強度検定または半定量的
比重検定を可能にする。
【0046】特に、本発明は、試験片の試験パッドの視
覚的な変色による試験試料のイオン強度または比重の測
定を可能にする。試験片は、充分量のメタクロム性指示
薬染料および高分子電解質を含む試薬組成物を包含する
不活性担体マトリックスを含む試験パッドを有する。イ
オン強度は、試薬組成物の色遷移から測定される。試験
試料の比重は、試験試料のイオン強度を試験試料の比重
に半定量的に相関させることによって測定される。
【0047】本発明の組成物および方法は、試験試料の
イオン強度または比重の迅速な比色分析的測定を可能に
する。従来の比重検定方法は、溶液のpHに感度を有する
指示薬色素を用い、それゆえにそれを測定した。本発明
の方法は、メタクロム性指示薬染料および高分子電解質
を利用するが、多くは緩衝剤の不在下で、尿試料に通常
見いだされるpH、例えば約3〜約9のpHには実質的に依
存しない。しかしながら、メタクロム性染料がpH指示薬
としても作用しうる、すなわちpHの変化に応じて変色す
るならば、組成物に緩衝剤を含有させて、メタクロム性
染料が試験試料のpHまたは試験試料のpHの変化のいずれ
の結果としても変色しないことを確実にする。
【0048】比重検定に慣用されるpH指示薬染料は、試
験試料中に存在するカチオンと高分子電解質の間のイオ
ン交換の結果として生起する溶液中でのpHの変化によ
り、色遷移を生じる。この現象は、pHの変化を観察する
のに必要な各種の染料、高分子電解質および緩衝剤を開
示するFalbらの米国特許第4,318,709 号明細書およびSt
iso らの米国特許第4,376,827 号明細書に充分に説明さ
れている。FalbらおよびStiso らの特許は、基本的に
は、尿比重について検定するのに用いられる今日の乾相
試験片を記載している。これら今日の試験片は、一般に
次のものを含む:(a)通常、約6〜約8という中性の
pH範囲で色遷移を生じる指示薬染料、例えばブロモチモ
ールブルー;(b)部分的に中和された高分子電解質;
および(c)緩衝剤。
【0049】Stiso らおよびFalbらの方法によれば、尿
のイオン強度が増加するにつれて、試験試料中のカチオ
ンと高分子電解質との間のイオン交換によって水素イオ
ンが溶液中に放出される。総体的な結果は溶液のpHの低
下であり、ブロモチモールブルー指示薬は、増加するイ
オン強度が生起するpH変化に応答して青緑から緑ないし
黄緑へと変色する。水性試験試料のイオン強度の増加は
比重の増大に直接関係付けられ、それゆえ染料の色遷移
は比重の値に経験的に関係付けられる。この今日の方法
は、比重を約0.005以内まで測定することを可能に
するが、これには、色遷移が数分という時間で褪色する
色遷移の不安定性という短所がある。したがって、結果
の精度は技量に依存する。
【0050】本発明の方法によれば、水性試験試料のイ
オン強度または比重についての検定は、乾相試験片が試
験試料と接触した後の視覚的な変色について試験片を検
査することによって測定される。試験片は試験パッドを
含み、該試験パッドは、高分子電解質およびメタクロム
性指示薬染料を含む試薬組成物を包含する担体マトリッ
クスを有する。溶液の総体的なpHを関知する染料を用い
た従来の方法とは対照的に、本発明の方法は、通常見い
だされるpH値には実質的に依存せず、典型的には、試薬
組成物は緩衝剤を実質的に含まない。
【0051】上記に考察したFalbらおよびStiso らの特
許は、高分子電解質とのイオン交換によって溶液のpHに
変化を誘発することによるイオン強度の測定を開示して
いる。このpHの変化は、pH指示薬染料を用いて測定され
る。Stiso らおよびFalbらが開示した方法は水性溶液の
pHに感度を有し、pH指示薬染料と高分子電解質との直接
の相互作用は発生せず、また正確な比重検定を得るため
には、尿の高いpH(すなわち6.5を超えるもの)を調
整しなければならない。Stiso らおよびFalbらが考察し
た方法は、試験片の製造の際の正常なゆらぎにも感度を
有する。例えば、担体材料、および試験片の乾燥条件に
おける変動、並びに高分子電解質におけるロット毎の差
は、いずれも試験片の最終的な表面pHに影響を及ぼす。
試験片の最終的な表面pHの変動は、試験片がpHの変化に
対してより鋭敏にまたはより鈍感になることから、結果
的に不正確なイオン強度または比重の測定を生起する。
【0052】本発明は、本発明の方法が尿の正常なpHの
範囲(すなわち3〜9)内ではpHに感度を有さない点
で、Stiso らおよびFalbらが開示した方法と異なる。こ
のpHに対する非依存性が、高いpHを有する尿試料の比重
の補正の必要性を排除する。pHに依存しない本発明の方
法は、pH依存性の現在の試験片に付随する製造の際の上
記の問題も回避する。本発明によれば、最初にメタクロ
ム性指示薬染料と高分子電解質との間の直接の相互作用
(例えば結合)が起こる。次いで、メタクロム性指示薬
染料分子の一部が、試験試料との接触後に高分子電解質
から放出される。放出された染料分子はスペクトルシフ
トを生じ、そのため、pHには実質的に依存しない、試験
試料のイオン強度に正比例する色遷移が起こる。この色
遷移は、試験試料の比重に相関させて、半定量的な比重
検定を与えることもできる。pHの影響による変色を防ぐ
ために、そして高分子電解質からのメタクロム性染料の
放出の結果として生じる変色を可能にするために緩衝剤
が存在する限り、pHの変化に応じて変色するメタクロム
性染料を利用することができる。
【0053】「緩和スペクトル分析の化学および生物学
への応用(Chemical and BiologicalApplications of Re
laxation Spectrometry) 」(E. Wyn-Jones編、米国マ
サチューセッツ州ボストン、D. Reidel Publishing C
o.、1975年)という出版物の437〜466ページに掲
載のV. Vitagliano による「カチオン染料と高分子電解
質との相互作用」という論文は、メタクロム性染料など
のカチオン染料と、ポリスチレンスルホネートなどの負
に荷電した部位を有する高分子電解質との相互作用につ
いて記述している。カチオン染料分子と高分子電解質の
負に荷電した部位との相互作用、すなわち結合は、溶液
のイオン強度に影響され、染料分子と高分子電解質との
間の結合は、溶液のイオン強度が増大するにつれて低下
することが知られている。本発明は、pHに依存しない方
法および試験具においてこの特性を利用して、水性試験
試料をイオン強度について、したがって比重についても
検定する。
【0054】特に、本発明は、強い高分子電解質および
少なくとも一種類のメタクロム性指示薬染料を含む試薬
組成物を用いて、試験試料のイオン強度または比重に対
して、試験試料のpHに依存せずに最高感度を達成する。
メタクロム性染料は、高分子電解質の負に荷電した部位
に結合する。高分子電解質とのメタクロム性染料のこの
結合は、互いに近くに存在する染料分子に起因するメタ
クロム性染料のスペクトルシフトを誘発する。
【0055】特に、本発明の試薬組成物にはメタクロマ
ジーを示す染料を含有させるが、それは、メタクロム性
染料が、天然もしくは合成高分子電解質との結合または
それからの放出に際して変色を生じるからである。メタ
クロマジーは、その発色団中に部分的に非局在化した電
荷を有する染料に一般的である。メタクロム性染料分子
が高分子電解質の負に荷電した部位に結合すると、メタ
クロム性染料分子は相互作用し合い、それによってメタ
クロム性染料のスペクトル特性の変化を誘発し、この変
化を色遷移として観察することができる。
【0056】カチオンは、高分子電解質とのメタクロム
性染料の結合に影響を及ぼすが、それは、カチオンが高
分子電解質の負に荷電した利用可能な部位に関してのメ
タクロム性染料との競合に成功するからである。したが
って、溶液のイオン濃度が上昇する(すなわち、イオン
強度または比重が増大する)につれて、カチオンがメタ
クロム性染料を犠牲にして優先的に高分子電解質と結合
することから、より多量のメタクロム性染料が高分子電
解質から放出される。高分子電解質から溶液中へのメタ
クロム性染料分子の放出は、結果的に色遷移を生じる
が、それは、メタクロム性染料のスペクトル特性が未結
合染料の正常な溶液状態のスペクトル特性に戻るからで
ある。したがって、高分子電解質から放出された、色遷
移によって測定されるようなメタクロム性染料の量は、
試験試料のイオン強度に(定量的に)、または比重に
(半定量的に)相関させることができる。
【0057】本発明の方法は、試験試料中に存在するカ
チオンが高分子電解質に結合したメタクロム性染料の放
出を生起する結果として生じる色遷移を利用する。試薬
組成物中にメタクロム性染料および強い高分子電解質を
含有させることによって、試験液のイオン強度を正確か
つ信頼性高く測定することが可能となる。イオン強度は
試験液の比重に半定量的に相関させることができる。本
発明の重要な特徴によれば、試験試料中に存在するカチ
オンによるメタクロム性染料の高分子電解質からの放出
は、異なるイオン強度を有する試験試料に相関させるこ
とができる区別可能な色遷移を与える。したがって、改
善された検定感度のため、および異なるイオン強度の試
験試料間の改善された色解像度のため、試験試料のイオ
ン強度のより正確な測定が達成される。
【0058】上記により、本発明の試薬組成物は次のも
のを含む:(a)メタクロム性指示薬染料、(b)強い
高分子電解質、および(c)好適な担体。この試薬組成
物は、イオン強度または比重について尿などの試験試料
を検定するために、ある方法で、例えば乾相試験片法で
用いられる。
【0059】本発明に用いられる指示薬染料はメタクロ
ム性染料である。メタクロム性染料は、天然に産する高
分子電解質および合成高分子電解質の負に荷電した部位
に結合することができる。したがって、メタクロム性指
示薬染料はカチオン性化合物であることが多い。そのよ
うなメタクロム性染料の可視スペクトルは、単量体形態
のメタクロム性染料が高分子電解質に結合すると、変化
する。したがって、高分子電解質に結合したメタクロム
性染料を含有する溶液は、高分子電解質からメタクロム
性染料分子が放出されたときに変色を生じる。カチオン
は、高分子電解質の利用可能な負に荷電した部位に関し
てメタクロム性染料と優先的に競合することから、高分
子電解質に結合したメタクロム性染料分子を放出させ
る。
【0060】一般に、メタクロム性染料は、本質的に
は、発色団の基に正電荷を非局在化できるいかなる染料
(好ましくはカチオン染料)であることもできる。その
ようなメタクロム性染料は、高分子電解質の負に荷電し
た部位に結合した後、ナトリウムまたはカリウムなどの
カチオンの存在による高分子電解質からの放出に応じ
て、色遷移を生じる。色遷移の程度および強さは、試験
試料中のカチオンの濃度に直接関係付けられ、そしてカ
チオンの濃度は試験試料中のイオン強度に直接関係付け
られる。したがって、色遷移の程度および強さを、試験
試料中のイオン強度に、ひいては比重に相関させること
ができる。
【0061】試薬組成物の指示薬染料成分として選ばれ
る個々のメタクロム性染料は、試験キットを設計する当
業者が、最大の視覚的な色解像度および最高の感度を有
する比重検定を形成するように決定することができる。
本発明の試薬組成物に含まれるメタクロム性指示薬染料
は、当業者に充分に公知の方法を用いて製造することが
できる。さらに、本発明の方法に有用ないくつかのメタ
クロム性指示薬染料化合物は、現在商業的に入手可能で
あり、pH指示薬として用いられている充分に公知の染料
である。
【0062】メタクロム性指示薬染料は、試薬組成物中
に約5〜約100mM(ミリモル濃度、すなわち1リット
ルあたりのミリモル数)、好ましくは約10〜約80mM
の濃度で存在する。本発明の利点を充分に達成するに
は、メタクロム性染料は試薬組成物中に約15〜約60
mMの濃度で存在する。
【0063】高分子電解質に結合し、次いで、カチオン
の存在によりそれから放出されて変色を生じるメタクロ
ム性染料の例としては、チオニン、アストラゾンオレン
ジ、アストラゾンブルー、トルイジンブルー、メチレン
ブルー、アクリジンオレンジ、ピロニンG、プロフラビ
ン、アズール(azure) A、フロキシン(phloxine)B、ク
レシルバイオレット(cresyl violet) 、サフラニンO、
ニュートラルレッド、チオフラビンT、ファーストレッ
ドAL、メチレングリーン、ローダミンB、ローダミン
6G、アズールB、インドイン(indoine) ブルー、ブリ
リアントクレシルブルー、4’,6−ジアミジノ−2−
フェニルインドール二塩酸塩水和物、アクリジンイエロ
ー、アクリフラビン、ピロニンY、ピロニンB、meldol
a's blue、ナイルブルー、ナイルレッド、ニューメチレ
ンブルー、メチルバイオレット、キナルジンレッド、ピ
ナクリプトール(pinacryptol) イエロー、臭化ピナシア
ノール(pinacyanol)、塩化ピナシアノール、2−[4−
(ジメチルアミノ)スチリル]−1−メチルキノリウム
ヨージド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−
1−メチルピリジニウムヨージド、stains-all、または
トリフェニルメタン染料、例えばメチルグリーン、クリ
スタルバイオレット、ビクトリアブルー、ブリリアント
グリーン、塩基性フクシン、ニューフクシン、エチルバ
イオレット、マラカイトグリーンオキサレート、および
それらの混合物が挙げられるが、これらに限定されな
い。やはりpHに感度を有し、そのためpH指示薬として用
いることができるメタクロム性染料は、試験試料のpHの
影響を克服するための緩衝剤と組み合わせて試薬組成物
に包含させ、pHの変化とは異なり試験試料中に存在する
カチオンに応答して染料が色遷移を生じることを可能に
しうる。
【0064】試薬組成物は、負に荷電した単量体サブユ
ニットとして約0.2〜約250mM、好ましくは約0.
5〜約100mMの高分子電解質も含有する。高分子電解
質は、メタクロム性指示薬染料と結合するのに充分な数
の負に荷電した部位を有する。本発明の利点を充分に達
成するには、負に荷電した単量体サブユニットとして約
1〜約10mMの高分子電解質を試薬組成物に含有させ
る。
【0065】好ましくは、高分子電解質は強い高分子電
解質であって、例えば、ポリ硫酸ビニル、ポリスルホン
酸ビニル、ポリスチレンスルホネート、ポリ(2−アク
リルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)お
よびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定され
ない。そのような強い高分子電解質は、水性溶液中では
実質的に完全に電離し、それによって、メタクロム性指
示薬染料と結合するのに充分な数の負に荷電した部位を
与える。
【0066】高分子電解質の分子量は特に重要というこ
とはない。メタクロム性染料と高分子電解質との相互作
用は、高分子電解質の分子量にではなく、組成物中に存
在する負に荷電した部分の濃度に関係付けられる。した
がって、高分子電解質の濃度の重要な面は、試薬組成物
中に存在する負に荷電した単量体サブユニットの量であ
る。
【0067】前述のとおり、水性溶液中では、メタクロ
ム性染料は、強い高分子電解質に結合して、単量体のメ
タクロム性染料を含有する水性溶液とは異なる色を呈す
る溶液を与える。カチオンが存在する場合、カチオンは
高分子電解質の利用できる負に荷電した結合部位に関し
て優先的に競合し、それによってメタクロム性染料を溶
液中に放出させる。水性溶液は、次いで高分子電解質か
ら放出されたメタクロム性染料の量に比例する色遷移を
生じる。色遷移は、溶液中のカチオンの量(すなわちイ
オン強度)に、ひいては溶液の比重に相関させられる。
【0068】本発明の重要な特徴によれば、本発明の方
法はpHに依存せず、特に尿試料に通常見いだされるpH範
囲(例えば、約3〜約9のpH)にわたって依存しない。
それは、色遷移が、高分子電解質から放出されたメタク
ロム性染料の量に比例し、その量は溶液中のカチオンの
量にのみ依存するからである。したがって、この方法が
pHに依存しないことから、メタクロム性染料および高分
子電解質を含有する試薬組成物は、典型的には緩衝剤を
必要としない。
【0069】試薬組成物に緩衝剤を随意に含有させる場
合、所望のpHを与えるように、各種のタイプのいかなる
緩衝剤を本発明の試薬組成物に用いることもできる。緩
衝剤は、試薬組成物を実質的に一定のpHに保ち、そのた
め試験試料のイオン強度に対するメタクロム性指示薬染
料の応答を最適化するよう、場合により含有させる。ま
た、緩衝剤は、メタクロム性染料が、pHの影響とは異な
り、試験試料中に存在するカチオンに応答して変色する
ことを確実にする。
【0070】場合により試薬組成物に含有させる緩衝剤
の量は、試薬組成物中のメタクロム性指示薬染料の性質
による。緩衝剤の濃度は、通常、0〜約600mM、好ま
しくは0〜約300mMである。試薬組成物に用いられる
個々の緩衝剤は、試薬組成物に含まれるメタクロム性指
示薬染料および高分子電解質に依存し、かつそれらによ
って変化する。最適の検定結果を得るには、試薬組成物
のpHを、約3〜約9の範囲、好ましくは約4〜約8の範
囲のpH値に保つ。本発明の利点を充分に達成するには、
緩衝剤は試薬組成物のpH値を約5〜約7.5に保つ。
【0071】メタクロム性染料が、pHの変化に応じて変
色する、すなわちpH指示薬として作用する可能性がある
ならば、メタクロム性染料を、それがpHの変化に応じて
変色せず、かつ試験試料のカチオン濃度に対する応答が
最適化されるpHの範囲に緩衝する。このpH範囲は、診断
試験を設計する当業者によって容易に決定される。
【0072】場合により用いられる緩衝剤の例として
は、酢酸塩;バイシン(BICINE);フタル酸塩、ホウ酸
塩;トリクロロ酢酸塩;スルホサリチル酸塩;リン酸
塩;酒石酸塩;クエン酸塩;コハク酸塩;マレイン酸;
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2”−
ニトリロトリエタノール;3,3−ジメチルグルタール
酸;3−N−モルホリノプロパンスルホン酸(MOP
S);マロン酸;1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメ
チル)メチルアミノ]プロパン(すなわち、ビス−トリ
ス);トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(すな
わち、トリス);トリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン−マレイン酸(すなわち、トリス−マレイン酸
塩);トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−マロ
ン酸(すなわち、トリス−マロン酸塩);3−N−(ト
リスヒドロキシメチル)メチルアミノ−2−ヒドロキシ
プロパンスルホン酸(TAPSO);2−([トリス
(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ)エタンスルホン
酸(TES);1,4−ピペラジンビス(エタンスルホ
ン酸)(PIPES);4−モルホリノエタンスルホン
酸(MES);N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−
N’−2−エタンスルホン酸(HEPES);および当
技術に公知のその他の好適な緩衝剤、またはそれらの組
み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0073】メタクロム性指示薬染料および高分子電解
質に加え、緩衝剤のほかに、必須成分の性質または機能
を実質的に変化させず、そして比重またはイオン強度の
検定に干渉しないその他の成分も、場合により試薬組成
物に含有させることができる。例えば、試薬組成物に
は、試験試料による試験具の試験パッドの濡れを改善す
るための化合物を場合により含有させることができる。
通常、この化合物は陰イオン性界面活性剤または非イオ
ン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤、例えば
オクトキシノール、ノンオキシノールまたはエトキシ化
脂肪族アルコールは好ましい界面活性剤である。陰イオ
ン性界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ス
ルホコハク酸ジオクチルナトリウムもしくはドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムなどの長い炭素鎖の硫酸塩
またはスルホン酸塩も、本発明の試薬組成物に含有させ
ることができる。界面活性剤は、0〜約200mM、好ま
しくは50〜約200mMの濃度で指示試薬組成物に含有
させる。
【0074】試薬組成物には、試験具の色遷移の安定性
および均一性を改善する高分子物質を含有させることも
できる。好適な高分子物質としては、ポリビニルピロリ
ドン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、ゼラチ
ン、アルギン、カラジーナン、カゼイン、アルブミン、
メチルセルロース、および同様の天然または合成高分子
物質が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい
高分子物質は、平均分子量が40,000のポリビニル
ピロリドンであり、米国ニューヨーク州ニューヨークの
GAF Corp.から商業的に入手可能である。高分子物質
は、一般的には、試薬組成物の総重量に対して0〜約5
%、好ましくは0〜約4%の量で試薬組成物に含有させ
る。
【0075】その上、試薬組成物には、高分子電解質の
負に荷電した部位に関してメタクロム性染料と競合する
ことができる溶液中のカチオンの数を減らすために、キ
レート化剤を含有させることもできる。その結果、高濃
度のカチオンすなわち電解質を有する試験試料間に、よ
り区別のつく色遷移が生じる。
【0076】本発明に場合により用いられるキレート化
剤に特別な制限はない。しかし、キレート性ジカルボン
酸もしくはポリカルボン酸などの有機キレート化剤、ま
たはポリカルボキシアルキルアミンキレート化剤、例え
ばエチレンジアミン四酢酸が最も好ましく用いられる。
その他の有用なキレート化剤の分類群としては、ソルビ
トールなどのポリヒドロキシ化合物;リグノスルホン酸
塩;グルコヘプトン酸塩;ジメチルグリオキシム;ビス
サリチルアルデヒドエチレンジイミンなどのサリチル酸
錯体;ジチオネート酸誘導体;トリエチレンアミンなど
のポリエチレンアミン;2,4−ペンタンジオン誘導
体;ジピリジン誘導体;トリエチレンピリジンアミン;
システイン、グリシンまたはヒスチジンを含有するポリ
ペプチド;プロリン誘導体;1,4,8,11,22,
25−オクタチアシクロオクトサンなどのチオクラウン
エーテル;トリフェニルホスフィン;またはこれらの組
み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】本発明の試薬組成物に有用なキレート化剤
の具体的な例としては、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、
コハク酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)、グルコン酸、N−(ヒドロキシエチル)エチレン
ジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NT
A)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、アミ
ノトリス(メチレンリン酸)、ヒドロキシエチリデンジ
ホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレン
ホスホン酸塩)、エチレンジアミン二酢酸(EDD
A)、イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロプロピオン酸
(NTP)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HID
A)および1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン
酸;またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これら
に限定されない。
【0078】キレート化剤は遊離酸の形態で、または水
溶性の塩、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、
アンモニウム、アルキル置換アンモニウムまたはヒドロ
キシアルキル置換アンモニウムの塩の形態で試薬組成物
に加えることができる。キレート化剤は、0〜約5mM、
好ましくは0〜約4mMの濃度で試薬組成物に含有させ
る。
【0079】試薬組成物に含まれる成分のための担体
は、水、水混和性アルコールまたはそれらの混合物であ
る。好適なアルコールは、水混和性アルコールであっ
て、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコールおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、こ
れらに限定されない。しかしながら、指示薬試薬組成物
に含まれる個々の成分の水またはアルコールへの溶解性
が限られているため、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチルおよび同
様の溶媒など、他の有機溶媒を担体中に含有させること
ができる。水およびアルコールのほかに、試薬組成物の
担体中に含有させるべき好適な単数または複数の有機溶
媒の選択は、診断用検定を設計する当業者の能力の範囲
内にある。
【0080】指示試薬組成物中に存在するアルコール以
外の有機溶媒の量は、一般に、担体の重量に対して0〜
約50%、好ましくは0〜約10%である。水と、メタ
ノールまたはエタノールなどのアルコールとを含む担体
は、試薬組成物で含浸した担体マトリックスを、2、3
分ないし数分以内に乾燥させることができるので、特に
好ましい。その上、アルコールの存在は、高分子電解質
によるメタクロム性指示薬染料の沈澱を防ぐのに役立
つ。
【0081】前述のとおり、試薬組成物は、試験試料と
接触すると色遷移を生じて、試験試料のイオン強度また
は試験試料の比重についての検定を与える。色遷移の強
さおよび程度は、試験試料のイオン強度を定量的に測定
し、または比重を半定量的に測定するのに用いられる。
本発明の重要な特徴によれば、本発明の試薬組成物は、
充分に解像されかつ区別された色遷移を与えるので、色
を測定する機器、例えば分光光度計または比色計を用い
ることなく試験試料のイオン強度を測定し、そして正確
に決定することができる。しかしながら、所望ならば、
そのような色の測定機器を用いて、試験試料と既知のイ
オン強度を有する溶液との間の色の程度および強さの差
を測定することもできる。イオン強度は比重に正比例す
ることから、色遷移を試験試料の比重に半定量的に相関
させることもできる。
【0082】色遷移の強さおよび程度は、試験試料によ
り生じた色を既知のイオン強度または既知の比重を有す
る溶液により生じた色と比較または相関させることによ
って、試験試料のイオン強度または比重を測定するのに
用いられる。本発明の重要な特徴によれば、試薬組成物
は、色の測定機器を用いることなく試験試料のイオン強
度または比重を測定しうるよう、充分に解像されかつ区
別された色遷移を与える。
【0083】上記により、メタクロム性指示薬染料およ
び高分子電解質を含有する試薬組成物を用いる、pHに依
存しない本発明の方法は、イオン強度の検定の精度およ
び信頼性を向上させ、イオン強度の検定における医師の
自信も高める。この方法は、比重についての半定量的検
定も与える。比重についての多数の尿検定が、訓練され
た医師または検査室の技師とは異なり、訓練されていな
い個人によって家庭で実施されることから、他の尿成分
についての検定と関連させて用い得る、尿および血清の
比重についての迅速かつ信頼できる半定量的検定方法を
提供することは不可避的に必要である。
【0084】従来は、比重の検定は、高分子電解質の酸
性の水素原子と溶液中のカチオンとの間のイオン交換に
応答して実質的に中性のpHで色遷移を生じるpH指示薬染
料を用いて、実質的に中性のpHで実施されてきた。その
ため、pH指示薬染料は、溶液のpHを実際に感知してい
る。本発明の方法および組成物によれば、試験試料の比
重は、結合されたメタクロム性指示薬染料を高分子電解
質から放出させ、それが次いでメタクロム性染料にスペ
クトルシフトを生起する、試験試料中に存在するカチオ
ンに起因する色遷移によって半定量的に測定される。メ
タクロム性指示薬染料は、溶液中で高分子電解質に結合
されたときには、そのメタクロム性染料が溶液中で遊離
状態にあるときに示す色スペクトルとは全く異なる色ス
ペクトルを示す。それゆえに、試験試料中にカチオンが
存在するためにメタクロム性指示薬染料が高分子電解質
から放出されたとき、結果的に色遷移が生じる。このよ
うな色遷移は、それが結合状態や遊離状態のメタクロム
性指示薬染料が示す色にのみ関連することから、pHには
実質的に依存しない。色遷移の程度および強さは、試験
試料のイオン強度に、したがってまた比重に直接関連付
けられる。
【0085】本発明の方法および組成物によって達成さ
れる新規かつ予想外の結果を明らかにするために、強い
高分子電解質およびメタクロム性指示薬染料を含有する
試薬組成物を調製し、次いで、試験試料の比重について
の乾相での検定に用いた。本方法は試験試料のpHに依存
しないことから、試薬組成物に緩衝剤は必要とされない
ことが多いことが明らかになった。
【0086】メタクロム性染料(トルイジンブルー)お
よび高分子電解質(ポリ硫酸ビニルカリウム)の水性溶
液は色が赤紫色であり、濾紙などの好適な担体マトリッ
クスに包含させた後は、増大するイオン強度または比重
を有する試験試料との接触および相互作用の後に、赤紫
色から空色までにわたって変色する。その結果、充分量
のトルイジンブルーなどのメタクロム性指示薬染料;お
よびポリ硫酸ビニルカリウム(KPVS)などの強い高
分子電解質を含有する試薬組成物は、好適な担体マトリ
ックスに包含させた後に、カチオンを含有し、かつ下記
の比重を有する標準溶液との接触および相互作用に際し
て、表1にまとめた色遷移を生じた。
【0087】
【表1】
【0088】本発明の重要な特徴によれば、本発明の試
薬組成物を用いて達成される色解像度は、イオン強度の
測定ばかりでなく、異なる比重を有する試験試料間の区
別も可能にする。
【0089】比重についての乾相の試験片検定を実施す
るには、まず試薬組成物を作成する。例えば、試薬組成
物は、組成物成分を単に混合して負に荷電した単量体サ
ブユニットとしてのポリ硫酸ビニルカリウムが5mMであ
り、トルイジンブルーが0.75mMである水性溶液、ア
ルコール溶液またはアルコール水溶液を用意することに
よって作成する。好ましくは、溶液は、少なくとも約5
0重量%のアルコールを含有するアルコール水溶液であ
る。
【0090】上記のとおり、メタクロム性指示薬染料お
よび高分子電解質を含有する試薬組成物は、イオン強度
または比重についての乾相の試験パッド検定に用いるこ
とができる。この試薬組成物を用いる乾相の試験パッド
検定は、当技術に充分に公知の方法に従って実施され
る。一般的には、尿または他の試験試料を試薬組成物を
含む被験物検出試験具と接触させることによって、イオ
ン強度または比重についての検定を実施する。被験物検
出試験具は、試験試料中に浸漬することができ、あるい
は試験試料を被験物検出試験具に一滴ずつ適用すること
ができる。その結果生じる被験物検出試験具の変色は、
試験試料のイオン強度または比重を示す。そして、その
ように設計されているならば、結果として生じる色遷移
を標準カラーチャートと比較して、尿または試験試料の
イオン強度または比重の測定値を与えることができる。
【0091】典型的には、被験物検出試験具は、試薬組
成物を含浸させた、(1個の被験物についてのみ検定す
るための)単一のパッドの試験片または(いくつかの被
験物について同時に検定するための)複数のパッドの試
験片のいずれかとして設計された試験片である。いずれ
のタイプの試験片についても、試験片は、通常は疎水性
プラスチックから作成された支持片または把手、および
吸水性または非吸水性の担体マトリックスを含む試薬試
験パッドを有する。一般に、担体マトリックスは、試験
試料が、毛管現象の力に応じてマトリックス中を移動し
て試薬組成物に接触し、そして検出かつ測定できる色遷
移を生じることを可能にする吸収性材料である。
【0092】担体マトリックスは、それが化学的試薬に
対して実質的に不活性であり、そして、それを構成する
成分を試験試料が抽出することによって、またはその後
の検定を不確定、不正確もしくは疑わしくさせるように
尿もしくは他の試験試料を認め得る程に変化させること
によって、尿もしくは他の試験試料を汚染しない限り、
目的の検定を実施するのに必要な化学的試薬を包含させ
ることが可能ないかなる物質であることもできる。ま
た、担体マトリックスは、液体の試験試料に関して多孔
性または吸収性である。
【0093】「担体マトリックス」という表現は、水お
よび他の生理学的流体に不溶性であり、そして水および
他の生理学的流体に曝露されたときにその構造的完全性
を保つ吸水性マトリックスまたは非吸水性マトリックス
を意味する。好適な吸水性マトリックスとしては、濾
紙、スポンジ材料、セルロース、木材、織布および不織
布などが挙げられる。非吸水性マトリックスとしては、
ガラス繊維、高分子フィルムおよび微孔性膜が挙げられ
る。その他の好適な担体マトリックスとしては、親水性
無機粉末、例えばシリカゲル、アルミナ、珪藻土など;
粘土質の物質;布;親水性天然高分子物質、特にセルロ
ースビーズなどのセルロース性材料、および特に繊維含
有紙、例えば濾紙またはクロマトグラフィー用紙;合成
ポリマーまたは改質天然ポリマー、例えば酢酸セルロー
ス、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリ
レート、ポリウレタン、架橋デキストラン、アガロー
ス、並びに他のそのような水不溶性の親水性架橋および
非架橋ポリマーが挙げられる。担体マトリックスは、異
なる化学的組成物からなるもの、または化学的組成物の
混合物であることができる。また、マトリックスは、硬
さおよび軟らかさと組み合わせた滑らかさおよび粗さに
関して、多様であることができる。把手は、通常、疎水
性材料、例えば酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリカーボネートまたはポリスチレンから形成
され、そして担体マトリックスは、最も好都合には、濾
紙または高分子フィルムから製造される。
【0094】本発明の利点を充分に達成するには、試薬
組成物を好適な担体マトリックスに包含させて試験パッ
ドを用意し、この試験パッドを、水性試験試料のイオン
強度または比重についての乾相試験片に用いる。本発明
の方法は、家庭または検査室で実施できる、水性試験試
料の経済的、正確かつ信頼できる検定を与える。その
上、本発明の方法は、試験試料のイオン強度または比重
の区別および測定を可能にし、そのため比重の検定を臨
床的により有用にする。
【0095】本発明の方法によれば、イオン強度または
比重についての乾相の試験片検定を実施するには、約
0.1〜約0.7mMのメタクロム性指示薬染料、例えば
チオニンまたはアストラゾンオレンジ;および負に荷電
した単量体サブユニットとして1〜約10mMのポリスル
ホン酸ビニルなどの高分子電解質を含有する、上記の水
性、アルコール性または水アルコール性の試薬組成物を
最初に調製する。次いで、吸水性マトリックス、例え
ば、英国ケント州Maidstone の Whatman Ltd. から商業
的に入手できるWHATMAN CCP500などの濾紙を、該
濾紙の裁断済み小片にメタクロム性指示薬染料および高
分子電解質を含有する試薬組成物を塗布し、浸漬し、ま
たは散布することのいずれかによって、該試薬組成物で
飽和させる。エアオーブン内での約50℃で約15〜2
0分間のオーブン乾燥によって、水性、アルコール性ま
たは水アルコール性の担体を除去した後、試薬組成物を
包含させた濾紙を、適切な寸法、例えば約0.25cm×
約0.25〜約1cm×約1cmの寸法のパッドに裁断す
る。次いで、試薬組成物を包含させた濾紙を、両面接着
テープを用いて不透明または透明な疎水性プラスチック
の把手に固定する。
【0096】次いで、結果的に得られた試験片を、遠心
分離していない新鮮な尿試料に、該試料で試験パッドが
飽和されるのに充分な時間浸漬する。予め定めた時間、
例えば約1分間〜約2分間待機した後、肉眼でまたは機
器によって試験片を応答について検査する。試験パッド
の色遷移の程度および強さは、尿試料のイオン強度、ま
たは所望ならば比重を示す。
【0097】本発明のもう一つの重要な特徴によれば、
試験パッドの寸法間の適正なバランス;試薬組成物の強
さ;試薬組成物中のメタクロム性指示薬染料および高分
子電解質の主体および量;試験試料の量;および、例え
ば浸漬ではなくピペットを用いるといった、試験試料を
試験片に導入する方法を決定し、既知のイオン強度また
は比重の溶液に由来する色標準との肉眼または機器のい
ずれかによる比較を可能にするように、検出かつ区別で
きる色遷移を与えることは、充分に、試験具を製造する
当業者の実験技量の範囲内のことである。
【0098】多くの場合、試験片の単なる肉眼による観
察が所望の情報を与える。より正確な情報が必要とされ
るならば、様々な標準的イオン強度または比重に対応す
る色スポットを有するカラーチャートを、試験片に用い
た特定の試薬組成物について作成することができる。次
いで、尿試料と接触させた後に結果として得られた試験
片の色をチャート上の色スポットと比較して、試験試料
のイオン強度または比重を測定することができる。
【0099】さらに正確な測定が必要とされるならば、
分光光度計または比色計を用いて、色遷移の程度および
強さをより精密に測定することができる。その上、色遷
移の程度および強さをより信頼性高く、より正確に測定
し、したがって試験試料のイオン強度または比重をより
正確に測定するために、肉眼による手法ではなく、分光
光度計または比色計による手法を用いることによって、
乾相の試薬片検定を定量的なものにすることができる。
【0100】試験試料のイオン強度または比重を測定す
る方法に本発明の試薬組成物を用いることによって達成
される、新規かつ予想外の結果を示すために、1種類の
メタクロム性染料またはそれらの組み合わせのいずれか
と高分子電解質とを含有する試薬組成物を濾紙マトリッ
クスに包含させた試験パッドを含む乾相試験片を用いた
検定から、色空間プロットを作成した。この色空間プロ
ットは、既知のイオン強度または比重の標準溶液を、濾
紙担体マトリックスに包含された本発明の試薬組成物を
含有する乾相試験片に接触させることによって得られ
た。
【0101】一般に、色空間プロットは、L* 軸、A*
軸およびB* 軸の3軸を含む。垂直軸上にプロットされ
たL* の値は色の強さの尺度であって、ここで、L*
大きい値は明るい(薄い)色を表し、L* =0は完全な
黒色を表す。水平のA* 軸は緑から赤への色遷移の尺度
であって、ここで、A* がより正の値であれば、それだ
け色はより赤く、同様に、A* がより負の値であれば、
それだけ色はより緑となる。同様に、第三の軸であるB
* 軸は青から黄への色遷移の尺度であって、ここで、B
* の値が大きいほど色はより黄となり、同様に、B*
値が小さいほど色はより青となる。
【0102】色空間差(ΔE)は下記の数式2から計算
される:
【0103】
【数1】
【0104】式中、L1 *、A1 *およびB1 *は、既知の比
重またはイオン強度の第一の標準溶液について測定した
色空間値であり;L2 *、A2 *およびB2 *は、第一の標準
溶液とは異なる比重またはイオン強度を有する既知の比
重またはイオン強度の第二の標準溶液について測定した
色空間値であり;そしてΔEは、第一と第二の標準溶液
の色空間プロットの間の色空間差である。
【0105】色空間差(ΔE)は、三次元色空間プロッ
トにおける2点間の直線距離である。理論的には、1単
位の色空間差は、人間の目が識別できる最小の色空間差
である。しかし、個々の人の視力間の生来の差のため、
実際的にかつ自信を持って色を識別するためには約3単
位の色空間差(ΔE)が必要とされる。
【0106】色空間プロット上にプロットされたL*
* およびB* の値は、当技術に周知の標準的な数式を
用いて、400nm(ナノメートル)と700nmとの間の
等間隔の16の異なる波長で測定した異なる反射率の測
定値から計算される。一般的には、16の異なる波長の
それぞれでの反射率%に、その波長での光の強さを乗じ
る。次いで、これらの値に、赤、緑および青の3色につ
いての標準検量関数を乗じ、最後にこれらを合算する。
これらの計算によって3個の三刺激値X、YおよびZが
得られる。L* 、A* およびB* は、X、YおよびZの
三刺激値から、下記の数式を用いて計算される:
【0107】
【数2】
【0108】式中、X0 、Y0 およびZ0 は完全白色
(すなわち、すべての波長で反射率=100%)に対す
る三刺激値であり、X、YおよびZは、400〜700
nmの間の16の波長から上記のとおりに算出した三刺激
値である。
【0109】この色空間プロットから色空間差(ΔE)
を算出したが、後でこれを要約し、より詳細に考察す
る。提示すべきデータの解釈に際しては、ΔE(1.0
07〜1.022)などの用語は、1.007および
1.022の比重を有する標準尿溶液についての比重検
定の間の色空間差である。同様に、ΔE(0〜0.1
2)という用語は、それぞれ0mMおよび0.12mMの塩
化ナトリウム濃度を有する標準溶液の検定の間の色空間
差である。ΔE(0.12〜0.5)およびΔE(0.
5〜3)という用語も同様に定義される。
【0110】
【実施例】本発明の試薬組成物が与える予想外の結果を
明らかにするために、実施例1および2の下記の組成物
を調製した。次いで、2組の試験片を作成し、試験試料
の比重およびイオン強度について検定するのに用いた。
2組の試験片とも、試験パッドの担体マトリックスとし
ては濾紙(WHATMAN CCP500)を用いた。
【0111】実施例1 1.5重量%のポリ硫酸ビニルカリウム(KPVS)の
水溶液0.5mlを、蒸留水2mlと混合した。次いで、得
られたKPVSの水溶液をメタノール15mlと混合し
た。メタクロム性染料であるチオニンおよびアストラゾ
ンオレンジの水溶液をKPVSのメタノール水溶液に別
々に加えて、2.5mMKPVS(負に荷電した単量体サ
ブユニットとして)、0.6mMチオニン、および0.1
3mMアストラゾンオレンジの濃度を有する試薬組成物を
用意した。試薬組成物の担体は92重量%のメタノール
であった。高パーセンテージのメタノールの存在、およ
び成分添加の順序は、KPVSによるチオニンの沈澱を
防止するのに役立つ。
【0112】実施例2 実施例1に用いた手順を反復して、5mMKPVS(負に
荷電した単量体サブユニットとして)および0.075
mMトルイジンブルーの濃度を有する試薬組成物を用意し
た。
【0113】実施例1および2の組成物は、本発明の試
薬組成物である。これらの組成物をそれぞれ濾紙(WHAT
MAN CCP500)に包含させ、そして実施例1の組成
物または実施例2の組成物のいずれかを含む濾紙を標準
的手順を用いて乾燥した。実施例1の組成物は2種類の
メタクロム性染料を含有し、広い範囲のイオン強度およ
び比重を有する試験試料に対して優れた感度を示した。
実施例2の組成物は1種類のメタクロム性染料を含有
し、比較的低いイオン強度または比重を有する試験試料
に対して優れた感度を示した。
【0114】実施例1の組成物または実施例2の組成物
のいずれかを包含させた個々の試験片を、0、0.12
5、0.5または3mMの塩化ナトリウム濃度を有する標
準塩化ナトリウム溶液、および1.007または1.0
22の比重を有する標準尿溶液に浸漬した。その結果生
じたそれぞれの試験片の色遷移を当技術に公知の標準的
手順を用いて測定し、ΔEの単位に換算した。これらの
実験についてのΔE単位を表2にまとめて示す。
【0115】
【表2】
【0116】本発明の方法および組成物によれば、表2
から、イオン強度または比重について検定するための試
薬組成物中にメタクロム性染料および高分子電解質を含
有させることによって、色空間差は、人間が検出し得る
最低限度である約3ΔE単位またはそれ以上で存在し、
それによって試験試料のイオン強度の検定または比重の
検定を与える。一般に、色空間差の値は3またはそれ以
上で存在し、そのため変色は肉眼によって識別可能であ
り、検定者は、異なるイオン強度または比重を有する尿
試料を容易に区別することができる。
【0117】具体的には、メタクロム性染料の組み合わ
せを含有する試薬組成物を包含する、実施例1の組成物
を含む試験片は、0〜0.125mMの範囲のナトリウム
イオンに対して、肉眼に認知できる優れた感度を示した
(ΔE=7)。試験片は、0.125〜0.5mMの範囲
(ΔE=13)および0.5〜3mMの範囲(ΔE=2
5)のナトリウムイオンに対しても肉眼で容易に認め得
る感度を示し、それによって0.125mM、0.5mMま
たは3mMのナトリウムイオンを含有する試験試料を検定
者が識別することを可能にした。同様に、色空間差(Δ
E)が容易に認識できる5単位であることから、検定者
は1.007の比重を有する尿試料と1.022の比重
を有するそれとを容易に識別することができる。
【0118】1種類のメタクロム性染料を含有する実施
例2の組成物を包含させた試験片は、約0.125mMま
たはそれ以下の濃度で存在するナトリウムイオンに対し
て、上昇した感度を示した(ΔE=12)。しかし、約
0.125mMを超えるナトリウムイオン濃度に対する感
度は最低であって、それは、ナトリウムイオンに対する
ΔE(0〜0.125)の値が12であることと比較し
て、ナトリウムイオンに対するΔE(0.125〜0.
5)の値が12であることが示すとおりである。ΔE値
が等値であることから、検定者は、ナトリウムイオンが
0.125mMである試験試料か、ナトリウムイオンが
0.5mMであるそれかを識別できない。しかし、示され
た色空間差が3色空間単位という最低検出可能レベルを
充分上回ることから、検定者は、0.125mMを下回る
ナトリウムイオン濃度を検出かつ測定しうる。
【0119】実施例2の組成物を包含する試験片を用い
る比重検定での10というΔE(1.007〜1.02
2)の値は、実施例1の組成物を包含する試験片を用い
たΔE(1.007〜1.022)の値(すなわち5)
より大であったことも注目すべきである。このより大き
いΔE値は、より容易に区別できる色遷移、したがって
より鋭敏な比重検定と解釈される。より区別できる色遷
移は、高分子電解質に対する染料のより弱い結合に理由
が求められる。
【0120】表2に示された結果を図1に図解する。図
1は、実施例1の試薬組成物に関する色遷移が、0〜3
mMの塩化ナトリウムの濃度範囲に対して赤−黄の象限か
ら緑−青の象限にわたることを示す。実施例2の試薬組
成物は、0〜3mMの塩化ナトリウムの濃度範囲に対して
青−赤の象限から青−緑の象限への変色を生じる。した
がって、実施例1および2の試薬組成物に関する色遷移
は、肉眼または機器のいずれによっても容易に検出かつ
区別することができる。
【0121】その結果、試薬組成物にメタクロム性指示
薬染料および高分子電解質を用いて試験試料のイオン強
度または比重を区別かつ測定することは、試験試料のイ
オン強度または比重の迅速で信頼できる測定を可能にす
る。本発明の試薬組成物は、鋭敏かつ正確なイオン強度
の検定、および半定量的な比重の検定を与えるという重
要かつ有用な利点を与える。上記に示したとおり、本発
明の試薬組成物に含まれるメタクロム性染料は、試験試
料のカチオン濃度に直接応答し、pHには本質的に依存せ
ず、そして半定量的な比重の検定または定量的なイオン
強度の検定を与える。
【0122】試験キットを設計する当業者には、試験試
料のイオン強度および比重の区別および測定を許すのに
充分な量の特に効果的な試薬組成物を包含させた、最適
の試験片を設計することができるということを理解すべ
きである。本発明の方法および組成物を用いる検定は少
なくとも3単位の色空間差を示すことから、このΔE値
は肉眼による検出には充分であり、今日の比色計または
分光光度計によって容易に検出される。同様に、本発明
の方法および組成物は、充分な数のカチオンが試験試料
中に存在する限り、試験試料中に見いだされる変動する
量の非イオン成分、例えばブドウ糖またはアルブミンに
関係なく、正確なイオン強度の検定、または半定量的な
比重の検定を与える。
【0123】本発明のもう一つの重要な特徴によれば、
試薬組成物中にメタクロム性染料および高分子電解質を
含有する試験片の充分な発色は、試験片を試験試料に接
触させてから約30秒ないし約2分以内に生じる。最大
の発色は接触の約2分後に生じる。しかし、許容し得
る、また信頼するに足る検定結果は、試験試料との接触
の約30秒後に変色について試験片を検査したときに達
成される。試験片の充分な発色のためのそのように短い
時間は、本発明の試薬組成物のさらなる利点である。そ
の上、色遷移は充分に安定であって、試験試料と接触さ
せて10分後までに試験片を調べることによって正確な
検定結果が得られる。したがって、本発明の試薬組成物
を包含させた試験片は、迅速で、より正確なイオン強度
の検定、および半定量的な比重の検定を得るのに用いる
ことができる。
【0124】
【発明の効果】全体として、好適な担体マトリックス、
例えば濾紙に包含させた試薬組成物に含まれるメタクロ
ム性指示薬染料および高分子電解質は、充分に異なる比
重を有する試験試料間の色の区別を改善し、水性試験試
料のイオン強度に対する優れた感度を提供する。優れた
感度に加え、本発明の方法および組成物は、充分な発色
および正確な検定結果を比較的短時間に与える。
【0125】したがって、本発明の重要な特徴によれ
ば、試薬組成物中にメタクロム性染料および強い高分子
電解質を用いることによって、尿および他の液体試験試
料のイオン強度についてのより正確で信頼できる検定、
および比重についての半定量的な検定を実施することが
できる。メタクロム性染料および高分子電解質は、異な
るイオン強度および比重を有する試験試料間の色の区別
を改善し、pHには本質的に依存せず、そのため検定感度
を向上させる。
【0126】明らかに、これまで説明された限りの本発
明の多くの改変および変形を、その精神および範囲から
の逸脱なしになすことができ、それゆえ、付記の請求の
範囲によって示されるとおりの制限だけが賦課されるべ
きである。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なる塩化ナトリウムの濃度に対する実施例1
および2の試薬組成物の色遷移を示すA* 対B* の二次
元色空間プロットである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性試験試料のイオン強度に応答して検
    出かつ測定できる色遷移を示すことが可能な組成物であ
    って、(a)検出できる色遷移を与えるのに充分な量の
    メタクロム性染料、(b)該メタクロム性染料と結合す
    ることが可能な高分子電解質、および(c)水、水混和
    性アルコールまたはそれらの混合物を含む担体を含むこ
    とを特徴とする組成物。
  2. 【請求項2】 (d)緩衝剤をさらに含む、請求項1記
    載の組成物。
  3. 【請求項3】 水性試験試料のイオン強度を測定する方
    法であって、 (a)該水性試験試料を、(1)検出できる色遷移を与
    えるのに充分な量のメタクロム性染料、(2)該メタク
    ロム性染料と結合することが可能な高分子電解質、およ
    び(3)水、水混和性アルコールまたはそれらの混合物
    を含む担体を含む試薬組成物と接触させること、および (b)該試薬組成物の色遷移の強さおよび程度から、該
    水性試験試料のイオン強度を測定することを特徴とする
    方法。
  4. 【請求項4】 試薬組成物が、(4)緩衝剤をさらに含
    む、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 水性試験試料が約3〜約9のpHを有す
    る、請求項3記載の方法。
  6. 【請求項6】 水性溶液の比重を半定量的に測定する方
    法であって、 (a)該水性溶液を、(1)検出できる色遷移を与える
    のに充分な量のメタクロム性染料、(2)該メタクロム
    性染料と結合することが可能な高分子電解質、および
    (3)水、水混和性アルコールまたはそれらの混合物を
    含む担体を含む試薬組成物と接触させること、および (b)該試薬組成物の色遷移の強さおよび程度から、該
    水性溶液の比重を測定することを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 試薬組成物が、(4)緩衝剤をさらに含
    む、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 水性試料のイオン強度を測定する方法で
    あって、 (a)該水性試料を、(1)検出できる色遷移を与える
    のに充分な量のメタクロム性染料、(2)該メタクロム
    性染料と結合することが可能な高分子電解質、および
    (3)水、水混和性アルコールまたはそれらの混合物を
    含む担体を含む試薬組成物をその中に包含させた試験パ
    ッドを有する被験物検出試験具と接触させること、およ
    び (b)該試薬組成物の色遷移の強さおよび程度から、該
    水性試料のイオン強度を測定することを特徴とする方
    法。
  9. 【請求項9】 カチオン含有水性試料の比重を半定量的
    に測定する方法であって、 (a)該水性試料を、(1)検出できる色遷移を与える
    のに充分な量のメタクロム性染料、(2)該メタクロム
    性染料と結合することが可能な高分子電解質、および
    (3)水、水混和性アルコールまたはそれらの混合物を
    含む担体を含む試薬組成物をその中に包含させた試験パ
    ッドを有する被験物検出試験具と接触させること、 (b)該水性試料のカチオン含量に応じた色遷移につい
    て該被験物検出試験具を検査すること、および (c)該色遷移を該水性試料の比重に相関させることを
    特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 水性試験試料のイオン強度を測定する
    ための被験物検出試験具であって、支持体ストリップ、
    試験パッド、および該試験パッドに包含させた試薬組成
    物を含み、該試薬組成物が、 (a)検出できる色遷移を与えるのに充分な量のメタク
    ロム性染料、 (b)該メタクロム性染料と結合することが可能な高分
    子電解質、および (c)水、水混和性アルコールまたはそれらの混合物を
    含む担体を含むことを特徴とする試験具。
JP6020901A 1993-02-19 1994-02-18 試験試料のイオン強度または比重を測定するための方法、組成物および試験具 Pending JPH06294790A (ja)

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