JPH06294706A - ラップシーム溶接機診断装置および溶接良否判定装置 - Google Patents

ラップシーム溶接機診断装置および溶接良否判定装置

Info

Publication number
JPH06294706A
JPH06294706A JP5084649A JP8464993A JPH06294706A JP H06294706 A JPH06294706 A JP H06294706A JP 5084649 A JP5084649 A JP 5084649A JP 8464993 A JP8464993 A JP 8464993A JP H06294706 A JPH06294706 A JP H06294706A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
steel strip
temperature
lap seam
lap
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5084649A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2789990B2 (ja
Inventor
Noboru Ohira
昇 大平
Kozo Maeda
孝三 前田
Mamoru Inaba
護 稲葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP8464993A priority Critical patent/JP2789990B2/ja
Publication of JPH06294706A publication Critical patent/JPH06294706A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2789990B2 publication Critical patent/JP2789990B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)
  • Radiation Pyrometers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】設備異常を的確に診断することができ、これに
より危険な溶接不良を激減することが可能で、任意の鋼
種に適用可能な診断装置、鋼帯溶接接続部の溶接良否を
高精度に判定することができる溶接良否判定装置を得る
ことにある。 【構成】先行鋼帯1の端部および後行鋼帯2の端部を重
ねて溶接接続して連続した鋼帯を連続プロセスラインに
通板させるラップシーム溶接機診断装置において、先行
鋼帯1および後行鋼帯2の材質の組合わせ毎に、鋼帯の
厚い方の板厚さと溶接良好温度域の関係を記憶する記憶
装置を有する制御装置23と、先行鋼帯1および後行鋼
帯2の鋼帯材質と鋼帯の厚い方の板厚さならびに溶接直
後の溶接部温度を測定する放射温度計5と、放射温度計
5による測定値と前記記憶装置に記憶された内容のうち
該当する鋼帯の材質組合わせにおける記憶値から溶接機
の診断を行なう判断装置を有する制御装置23とからな
るもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シーム溶接など抵抗溶
接によるプロセスラインの鋼帯溶接接続を行なうラップ
シーム溶接機診断装置及び溶接部良否判定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、連続溶融亜鉛鍍金ライン、連続
電気鍍金ライン、連続焼鈍ライン等では鋼帯コイルを巻
き戻してライン内に通板し、該コイルの後端部と、新た
な鋼帯コイルの先端部を重ね溶接により接続して通板
し、連続的に通板操業するものである。
【0003】ところが、溶接機の異常、溶接機周辺設備
の異常などの原因で、上記のような連続プロセスライン
の鋼帯溶接部がライン内で破断することがあり、一度破
断すれば復旧までに多くの時間を要し設備の稼働率を低
下させる。連続プロセスラインの入側における溶接時に
溶接良否を判定する方法としては、従来第1の公知例
(特開昭63−203285号公報)と、第2の公知例
(特開平3−207584号公報)がある。
【0004】(1)第1の公知例では、鋼帯の重ね厚み
と、溶接良好温度域の関係を制御器に記憶し、溶接時の
鋼帯接続溶接部の鋼帯重ね厚みと、溶接直後の溶接部温
度とを制御器に導入し、溶接の良否を判定するものであ
る。
【0005】溶接良否判定装置として見た場合、第1の
公知例では対象とする鋼板の材質としては普通鋼を使用
している。 (2)溶接異常診断装置として見た場合、第2の公知例
では溶接表面温度、溶接1次電圧、溶接1次電流、電極
輪加圧力、溶接速度、ラップ代、入熱量等多くの状態を
検出した上で、溶接すべき板厚、材質に対する許容範囲
を各々設定し、各測定値のうち、少なくとも1つの測定
値が、該許容範囲を超える時に溶接異常として判定する
ものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の第1の公知例で
は、以下の問題点がある。 (1−1)実際のプロセスラインでは60kgf/mm
2 を超える高張力鋼、合金元素成分の多い深絞り高張力
鋼などの特殊鋼と、一般材、軟質鋼などの普通鋼とが前
後に組み合わされて接続され通板することが多い。この
ように接続する鋼板の材質が変わると溶接性良好温度域
も異なるので、前述のように種々の材質が通板するライ
ンにおいては板厚さ情報と、溶接直後の温度測定値だけ
で、鋼板の良否判定するのは困難である。
【0007】(1ー2)溶接部の温度を溶接直後に測定
するとしているものであるが、溶接機によっては電極周
辺に充分なスペースが無いことが多いこと、放射温度計
の光軸と鋼帯法線の成す角度が大きくなると溶接ライン
の変動が視野位置を大きく変動させること、温度測定誤
差が大きくなったり放射温度計の視野が広がること、な
どから溶接点直後を放射温度計の視野とすることが不可
能なことがある。放射温度計の視野中心と溶接部との距
離が大きくなると、その距離をキャリッジが移動する間
に溶接部が冷却し溶接部温度が低下する。このとき、材
質や鋼帯重ね厚みによってキャリッジ移動速度は一般に
異なるので、その温度降下の程度も一定ではなく、温度
測定値と鋼帯重ね厚みのみによる良否判定では誤差が大
きくなるという問題がある。
【0008】(1−3)鋼帯が溶接部で破断する場合エ
ッジ部から破断する場合が多く両エッジ近傍の容接の良
否は重大であるが、特にエッジ部に重点をおいた溶接良
否判定は行われていない。
【0009】前述した第2の公知例では以下のような問
題点がある。 (2−1)この装置では装置構成が複雑になり信頼性、
保守性の低下及び設置時のコストが高い等の問題があ
る。また、溶接途中の先行鋼帯と後行鋼帯のラップ量の
変動(ラップ逃げ)を検出できない。
【0010】ここで、ラップ逃げというのは、溶接時の
シーム部への電極による入熱及び加圧によってクランプ
機構により加えている鋼帯とクランプ板との間にずれが
発生する、あるいはクランプ機構によってくわえている
鋼帯に外部から張力が加わって鋼帯とクランプ板との間
にずれが発生する等の現象を言う。
【0011】(2−2)溶接がラインのフリー側からド
ライブ側へ向かって行われる場合、電極による加熱と加
圧とによって溶接後のシーム幅はフリー側が広くドライ
ブ側が狭くなるのが一般的な傾向である。従って、鋼帯
の重ね代、すなわちラップ代は、予めフリー側で小さく
設定することがある。これは、通常クランプ板の平行度
を変化させることで行われ、コンペンセーションとよば
れる。このコンペンセーションの設定は、板厚によって
異なるのが通常である。しかるに、この設定がすべての
板厚において適正であるかどうかを判定することは多大
な検証が必要であり、その困難さからコンペンセーショ
ンの設定は精度不十分なことが多いという問題点があ
る。
【0012】(2−3)電極輪は溶接時の抵抗加熱およ
び加圧によって酸化皮膜が成長しかつ圧痕が生じる。こ
の程度がひどくなると、入熱の不均一等の溶接不良に繋
がるので、一般に定期的に研削バイト、あるいは回転ヤ
スリによって電極輪の外周面を切削する。ところが、回
転ヤスリを用いて切削するとき、押しつけ力の不均一等
によって電極輪が非真円になることがある。この状態で
溶接を行うと、固定側の電極輪のレベル、即ち溶接レベ
ルがクランプされている鋼帯に対し、電極輪の回転に伴
って周期的に変動する。その結果、シーム幅の変動につ
ながるという問題点がある。
【0013】(2−4)鋼帯が溶接部で破断する場合エ
ッジ部から破断する場合が多く両エッジ近傍の容接の良
否は重大であるが、特にエッジ部に重点をおいた溶接良
否判定は行われていない。
【0014】以上述べたように第1および第2の公知例
の連続プロセスにおける溶接機は、機会損失に直接繋が
る重要設備であるにも関わらず、その溶接不良に繋がる
溶接機の機能不良を短時間で特定すべき有効かつ簡潔な
手段がこれまで存在しなかった。言い換えれば、溶接不
良を生ぜしめる溶接機の動作異常を的確に検出しうる有
効かつ簡潔な診断装置が無かった。
【0015】本発明は、設備異常を的確に診断すること
ができ、これにより危険な溶接不良を激減することが可
能で、任意の鋼種に適用可能なラップシーム溶接機診断
装置、ならびに鋼帯溶接接続部の溶接良否を高精度に判
定することができる溶接良否判定装置を提供することを
目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1に対応する発明によれば、先行鋼帯の端部
および後行鋼帯の端部を重ねて溶接接続して連続した鋼
帯を連続プロセスラインに通板させるラップシーム溶接
機診断装置において、前記先行鋼帯および後行鋼帯の材
質の組合わせ毎に、鋼帯の板厚情報ならびに溶接良好温
度域の関係を記憶する記憶装置と、前記先行鋼帯および
後行鋼帯の鋼帯材質と前記鋼帯の板厚情報ならびに溶接
直後の溶接部温度を測定する温度測定装置と、この温度
測定装置による測定値と前記記憶装置に記憶された内容
のうち該当する鋼帯の材質組合わせにおける記憶値から
前記溶接機の診断を行なう判断装置と、からなるラップ
シーム溶接機診断装置である。
【0017】前記目的を達成するため、請求項2に対応
する発明によれば、請求項1記載の温度測定装置は、放
射温度計からなり、この放射温度計の視野径を、正常溶
接時の溶接接続幅に略一致させたことを特徴とするラッ
プシーム溶接機診断装置である。
【0018】前記目的を達成するため、請求項3に対応
する発明によれば、請求項1記載の判断装置は、前記記
憶装置で記憶された良好温度域の低温側の閾値を超える
距離合計が板幅の一定割合以上であり、かつこの低温側
の閾値より大きく外れて低温側にある第2の閾値を超え
る距離合計が板幅の一定割合以下であるとき、板幅方向
全域に渡るラップ逃げであると判断することを特徴とす
るラップシーム溶接機診断装置である。
【0019】前記目的を達成するため、請求項4に対応
する発明によれば、請求項1記載の判断装置は、前記温
度測定装置で測定された温度プロフィールを略3等分割
し、その3区間毎の温度平均値が一定以上の偏差で単調
減少或いは単調増加することに基づき、ラップシーム溶
接機のクランプ機構の平行度の設定不良と判断すること
を特徴とするラップシーム溶接機診断装置である。
【0020】前記目的を達成するため、請求項5に対応
する発明によれば、請求項1記載の判断装置は、前記温
度測定装置で測定された温度プロフィールを両エッジ近
傍とその中間部に3分割し、その3区間毎の平均値を求
め中央部の平均温度とエッジ近傍部の平均温度の差が一
定以上でかつ第2の閾値を超える距離合計が板幅の一定
割合以上であることに基づき、エッジ部におけるラップ
逃げであると判断することを特徴とするラップシーム溶
接機診断装置である。
【0021】前記目的を達成するため、請求項6に対応
する発明によれば、請求項1記載の判断装置は、前記温
度測定装置で測定された温度プロフィールにおいて第2
の閾値を超える距離合計が板幅の一定割合以上であるこ
とから片板抜け、あるいは極端な板幅全域にわたるラッ
プ不良であると判断することを特徴とするラップシーム
溶接機診断装置である。
【0022】前記目的を達成するため、請求項7に対応
する発明によれば、請求項1記載の判断装置は、前記温
度測定装置で測定された温度プロフィールを板幅方向に
移動平均等の手法で平滑化し、平滑化後の温度波形の山
の頂上或いは谷の底の間の距離が電極輪の円周長に概略
等しいことに基づき、電極輪の切削による非真円形状と
判断することを特徴とするラップシーム溶接機診断装置
である。
【0023】前記目的を達成するため、請求項8に対応
する発明によれば、請求項1記載の判断装置は、前記温
度測定装置で測定された温度プロフィールを板幅方向に
移動平均等の手法で平滑化し、平滑化後の波形の山の頂
上或いは谷の底が3個以上有る時に、その2つ以上の距
離が略等しいすなわち波形に周期性があることに基づ
き、電極輪の切削による非真円形状と判断することを特
徴とするラップシーム溶接機診断装置である。
【0024】前記目的を達成するため、請求項9に対応
する発明によれば、先行鋼帯の端部および後行鋼帯の端
部を重ねて溶接接続して連続した鋼帯を連続プロセスラ
インに通板させ、かつラップシーム溶接部の良否を判定
する判定装置において、前記先行鋼帯および後行鋼帯の
材質の組合わせ毎に、鋼帯の板厚情報ならびに溶接良好
温度域の関係を記憶する記憶装置と、前記先行鋼帯およ
び後行鋼帯の鋼帯材質と前記鋼帯の板厚情報ならびに溶
接直後の溶接部温度を測定する温度測定装置と、この温
度測定装置による測定値と前記記憶装置に記憶された内
容のうち該当する鋼帯の材質組合わせにおける記憶値の
溶接良好温度域に入るかどうかにより溶接部の良否判定
を行なう判定装置と、からなるラップシーム溶接良否判
定装置である。
【0025】前記目的を達成するため、請求項10に対
応する発明によれば、請求項9記載の判定装置は、前記
演算装置で演算された両エッジ近傍では前記放射温度計
の視野径にほぼ等しい細かなピッチで測温し、この測温
値が前記記憶装置に記憶された内容のうち該当する鋼帯
の材質組合わせにおける記憶値の溶接良好温度域に入る
かどうかにより溶接部の良否判定を判定することを特徴
とするラップシーム溶接良否判定装置である。
【0026】前記目的を達成するため、請求項11に対
応する発明によれば、請求項9記載の判定装置は、前記
演算装置で演算された両エッジ近傍区間とその中間区間
の平均温度差がある温度以上になることによりエッジ部
の溶接の良否を判定することを特徴とするラップシーム
溶接良否判定装置である。
【0027】前記目的を達成するため、請求項12に対
応する発明によれば、先行鋼帯の端部および後行鋼帯の
端部を重ねて溶接接続して連続した鋼帯を連続プロセス
ラインに通板させ、かつラップシーム溶接部の良否を判
定する判定装置において、前記溶接線上で溶接点の後方
一定距離の位置を視野中心として温度を測定する放射温
度計と、この放射温度計で測定された測温値と、前記鋼
帯の重ね厚みに基づいて溶接部の良否を判定するラップ
シーム溶接良否判定装置である。
【0028】
【作用】請求項1に対応する発明によれば、設備異常を
的確に診断することができ、これにより危険な溶接不良
を激減することが可能で、任意の鋼種に適用可能にな
る。 請求項2に対応する発明によれば、放射温度計の
視野径に対して溶接後のシーム幅(コイル継ぎ溶接部
幅)を略一致させたので、溶接後のシーム幅が狭くなっ
たことを温度値の低下として間接的に検出することがで
きる。これは、発明者等による実験結果から明らかにな
り、先行鋼帯と後行鋼帯の重ね代すなわちラップ代(重
ね代)を意図的に変化させて溶接直後のシーム部温度を
放射温度計で測定したところ、放射温度計の視野径にた
いして溶接後のシーム幅が狭い時に放射温度計の指示温
度が低下することが判った。また発明者等の検討によ
り、溶接部の強度低下は、溶接部への入熱不足とならん
で、溶接時形成されるシームの幅とも強い相関が有るこ
とが明らかであり、さらにシーム幅が殆ど無い、更に進
んで全くシームが形成されない時は、極端に鋼帯の接続
強度は低下する。このように、放射温度計の視野径と正
常時のシーム幅を略一致させておけば、鋼帯の接続強度
上危険方向であるところのシーム幅の減少が検出でき
る。
【0029】請求項3〜請求項8記載の発明によれば、
種々の接続形態の場合でも正確に板接続部を検出し温度
プロフィール上のエッジ位置を求め、エッジ近傍で重点
的に良否判定を行えるので、鋼帯接続部の溶接良否をよ
り高精度に判定することができ、また鋼帯の鋼種組み合
わせ毎に良否判定閾値を持つので、より正確な判定が行
える。
【0030】請求項9〜請求項12に記載の発明によれ
ば、鋼種組み合わせと厚い方の板厚毎に溶接速度が決定
されるロジックに倣って良否判定閾値を決めることで、
溶接部温度を測定する位置を電極輪の後方一定距離にず
らすことができる。以上述べた本発明によれば、溶接部
での破断をより確実に防止することができ、ラインの稼
働率を飛躍的に向上させて生産性を向上させることがで
きる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。先ず溶接機の診断装置として実施例につい
て述べる図1はラップシーム溶接機の診断装置の構成図
である。この診断装置は、シーム部温度を測定する放射
温度計5と、鋼帯接続部のエッジを検出するエッジ検出
器7、8と、溶接速度設定器21と鋼帯材質・厚さ設定
器24からなる入力装置と、放射温度計5で検出した信
号を増幅する出力アンプ26と、これらの情報に基づい
て溶接機の異常を診断する制御装置23と、その結果を
表示する表示装置例えば陰極線管表示器(CRT)2
8、スピーカー27から構成されている。
【0032】放射温度計5は、図4に示すラップシーム
溶接機のキャリッジ10に設置され、溶接用電極輪12
より溶接進行方向の後方一定距離に温度測定点を保持す
る。入力装置25は、溶接に必要な諸パラメータ(後述
する)を入力する。制御装置23は、放射温度計5から
の温度検出値と入力装置25からの設定値を比較したり
して溶接機の故障診断等を行なう。エッジ検出器7,8
は、キャリッジ10に設置され、溶接用電極輪12より
溶接進行方向の前方一定距離にて鋼帯接続部(溶接部)
のエッジ位置を検出する。
【0033】エッジ位置演算装置22はエッジ検出器
7,8からの検出値と溶接速度設定器21からの設定値
を入力し、制御装置23により求められた板幅方向の温
度プロフィール上においてエッジ位置を演算する。
【0034】ここで、前述の「溶接に必要な諸パラメー
タ」とは、先行鋼帯1および後行鋼帯2の材質、板厚
み、先行鋼帯1および後行鋼帯2の材質の組み合わせご
との鋼帯板厚みと溶接良好温度域の関係、溶接速度(キ
ャリッジ走行速度)、溶接用電極輪12の加圧力、溶接
電圧、溶接電流等の情報を指している。
【0035】制御装置23は、図示しない記憶装置およ
び判断装置を備え、以下に述べる処理を行なう。図2
は、前記記憶装置に記憶されるラップシーム溶接機の診
断アルゴリズムである。放射温度計5の視野径と溶接正
常時の溶接後のシーム幅とを略一致するように構成した
放射温度計5と、その温度計5によって測定した幅方向
温度プロフィールに対して以下の処理を行なう(S
1)。
【0036】次に、後述する良好温度域の低温側の閾値
を超える距離合計が板幅の一定割合(例えば板幅×0.
8)以上であり、かつこの低温側の閾値より大きく外れ
て低温側にある第2閾値を超える距離合計が板幅の一定
割合(板幅×0.2)以下であるかどうかが判断され
(S2)、この条件を満足する場合には、板幅方向全域
に渡るラップ逃げであると診断する(S3)。
【0037】S2で該条件を満足しない場合には、S1
の温度プロフィールを略3等分割し、その3区間毎の平
均温度が一定以上の偏差で単調減少或いは単調増加し、
かつ第2の閾値を超える距離合計が板幅の一定割合(板
幅×0.05)以上であるかどうかを判断し(S4)、
この条件を満足する場合は、ラップシーム溶接機のクラ
ンプ機構の平行度の設定不良と診断する(S5)。
【0038】S4で該条件を満足しない場合には、S1
の温度プロフィールを両エッジ近傍とその中間部に3分
割し、その3区間毎の平均値を求め中央部の平均温度
(例えば50°C)とエッジ近傍部の平均温度の差が一
定以上でかつ第2の閾値を超える距離合計が板幅の一定
割合(板幅×0.05)以下であるかどうかが判断され
(S6)、該条件を満足するとき、エッジ部におけるラ
ップ逃げであると診断する(S7)。
【0039】S6において、該条件を満足しないとき
は、S1の温度プロフィールにおいて第2の閾値を超え
る距離合計が板幅の一定割合(板幅×0.7)以上であ
るかどうかが判断され(S8)、該条件を満足するとき
は片板抜け、または極端な板幅全域にわたるラップ不良
であると診断する(S9)。
【0040】S8において、該条件を満足しないときS
1で得られた温度プロフィールを板幅方向に移動平均等
の手法で平滑化し、平滑化後の波形の山の頂上或いは谷
の底が3個以上有る時に、その2つ以上の距離が略等し
い、すなわち波形に周期性があるかどうかが判断され
(S10)、該条件を満足するときは、電極輪の切削に
よる非真円形状と診断する(S11)。
【0041】S10において、該条件を満足しないとき
は、前述した診断以外の診断を行なう(S12)。前述
の制御装置23の記憶装置には、対象とする鋼帯、すな
わち図4に示す先行鋼帯1および後行鋼帯2の全ての材
質の組み合わせ毎に、予め求めた鋼帯の厚い方の板厚さ
と良好温度域の関係が記憶されている。例えば、対象と
する鋼帯が、高張力鋼、一般鋼、軟質鋼等同士、あるい
はこれらの組み合わせについて、先行鋼帯1と後行鋼帯
の組み合わせ毎に、鋼帯の厚い方の板厚さと溶接良好温
度域の関係を何等かの手段により測定し、これを制御装
置23の記憶装置に記憶させておく。
【0042】図3は該溶接良好温度域を説明するための
図である。例えば図1の放射温度計5により測定される
温度測定点を保ちながら、連続的に測定した板幅方向の
正常時の温度プロフィール30の例であり、31は左側
のエッジ位置、32は右側のエッジ位置、33は中央区
間、34,35はエッジ部区間、37,39,38はそ
れぞれエッジ部区間34,35、中央区間33の温度測
定値の平均値である。制御装置23の判断装置は、該溶
接良好温度域と、放射温度計5で測定した先行鋼帯1お
よび後行鋼帯2の材質と鋼帯の厚い方の板厚さ、ならび
に溶接直後の溶接温度の測定値の関係に基づいて後述す
るように、ラップシーム溶接機の診断を行なう。
【0043】図4がラップシーム溶接機に本装置を取り
つけた状態を表す図である。すなわち、キャリッジ10
は、コ字状の枠体からなり、走行車輪11により鋼帯接
続部3上を板幅方向に移動するようになっている。溶接
用電極輪12は、キャリッジ10の上下に設置された一
対の取付部材16にそれぞれ支持され、先行鋼帯1と後
行鋼帯2を抵抗溶接で重ね溶接し、鋼帯接続部(溶接部
でもある)3を形成するためのものである。温度検出器
5は、例えば放射温度計からなり、溶接用電極輪12の
後方にシーム部を視野とするように設置されている。放
射温度計5の視野中心点(測定点)6は、溶接用電極輪
12の中心線、つまり溶接点13より後方の一定距離W
S に保持されている。エッジ検出器7,8は、例えば発
光器7a,8aおよび受光器7b,8bから構成され、
図12に示すように一方のエッジ検出器7は、その光軸
が先行鋼帯1上を垂直に横切るように、他方のエッジ検
出器8は、その光軸が後行鋼帯2上を垂直に横切るよう
に、それぞれホルダー14によりキャリッジ10に取り
付けられている。また、エッジ検出器7,8は、接続点
13より前方の一定距離WL に保持されている。図4に
おいて、15は上下一対の鋼帯押えロール、16は溶接
用電極輪12の取付部材、17は放射温度計の取付部
材、18は鋼帯押えロール取付部材である。
【0044】図1の制御装置23に図2のような判定ア
ルゴリズムを付与した装置によって実現される診断機能
について以下説明する。図3の溶接良好温度域36を、
先行鋼帯1の材質と後行鋼帯2の材質の全ての組み合わ
せについて厚い方の板厚さとの関係を事前に調査し、制
御装置23に記憶しておき、鋼帯溶接接続時の溶接温度
を放射温度計5で測定し、先行鋼帯1の材質と後行鋼帯
2の材質と、厚い方の板厚さを設定器24から設定し制
御器23に導入して、該当する良好温度域36と比較し
て以下の診断を行う。またこのとき板エッジ検出器7、
8のAND出力20により先行・後行鋼帯接合部31、
32を検出し、このタイミングと溶接速度設定器21よ
り設定される溶接速度とからエッジ位置演算装置22に
よって測定される温度プロフィール30上のエッジ位置
31、32を決定する。これに拠ってシーム部幅方向の
温度プロフィール30及び、良好温度域36が求まっ
た。但し本実施例では放射温度計5を上下両面に設置し
ているが、溶接機の診断にはより安定に稼動する下側の
温度値を全面的に採用している(図4参照)。
【0045】図5は板幅方向全域に亘るラップ逃げを生
じた場合の温度プロフィール例である。図5に示す様
に、シーム部幅方向の温度プロフィール30を求めた
後、良好温度域の低温側の閾値を超える距離合計が板幅
の0.8倍以上であり、かつこの低温側の閾値より大き
く外れて低温側にある第2の閾値(ここでは、放射温度
計のレンジ下限の500℃)を超える距離合計が板幅の
一定割合以下(ここでは、0.05倍以下)である。し
たがってこのとき板幅方向全域に亘るラップ逃げである
と診断することができる。
【0046】図6はコンペンセーションの設定不良の場
合の温度プロフィール例である。図6に示す様に、温度
プロフィールを板幅方向に3等分割しその3区間毎の温
度平均値が一定以上の偏差(ここでは、20℃としてい
る)で単調減少或いは単調増加し、かつ第2の閾値(こ
こでは、放射温度計のレンジ下限の500℃)を超える
距離合計が板幅の0.05倍以下であることから溶接機
クランプ機構の平行度の設定不良と診断することができ
る。
【0047】図7はDR側エッジ近傍でラップ逃げが生
じた場合の温度プロフィール例である。図7に示す様
に、温度プロフィールを両エッジ近傍100mm区間と
その中間部に3分割し、その3分割区間毎の平均値を求
め中央部平均温度とエッジ近傍部平均温度の差が一定以
上(ここでは、50℃としている。)でかつ第2の閾値
(ここでは、放射温度計のレンジ下限の500℃)を超
える距離合計が板幅の0.05倍以上である。したがっ
てこのとき、エッジ部におけるラップ逃げであると診断
することができる。図7(b)にシーム幅を実測した結
果を幅方向位置を揃えて示す。
【0048】図8は片側の鋼帯が抜けた場合の温度プロ
フィール例である。図8に示す様に、温度プロフィール
が前述した第二の閾値(ここでは、放射温度計のレンジ
下限の500℃)を超える距離合計が、板幅の0.7倍
以上であることから片板抜け、あるいは極端な幅全域に
わたるラップ不良であると診断することができる。
【0049】図9は電極輪切削不良による非真円形状と
なった場合の温度プロフィール例である。図10は図9
の温度プロフィールを板幅方向に移動平均によって平滑
化した温度プロフィール例である。
【0050】図9〜図10に示す様に、温度プロフィー
ルを板幅方向に移動平均の手法で平滑化し平滑化後の温
度波形の山の頂上或いは谷の底の間の距離が電極輪の円
周長に概略等しいことから、或いは平滑化後の温度波形
の山の頂上或いは谷の底が3個有る時にその2つの距離
すなわち距離その1と距離その2とが略等しいすなわち
温度プロフィールに周期性があることから、電極輪の切
削による非真円形状と診断する。
【0051】なお、図3および図5〜図10において、
DR側はドライブ側を示し、OP側オペレータ側を示し
ている。以上述べた本発明によるラップシーム溶接機診
断装置の実施例によれば、以下のような作用効果が得ら
れる。
【0052】(1)発明者等が、先行・後行鋼帯の重ね
代、すなわちラップ代を意図的に変化させて溶接直後の
シーム部温度を放射温度計で測定したところ、放射温度
計の視野径にたいして溶接後のシーム幅が狭い時に放射
温度計の指示温度が低下することが判った。従って溶接
正常時のシーム幅に略一致させて放射温度計の視野径を
選択すれば、溶接後のシーム幅が狭くなったことを温度
値の低下として間接的に検出することができる。また溶
接部の強度低下は、後述するところの溶接部への入熱不
足とならんで、溶接時形成されるシームの幅とも強い相
関が有ることが著者等の検討より明らかになっている。
シーム幅が殆ど無い、更に進んで全くシームが形成され
ない時は、極端に鋼帯の接続強度は低下する。このよう
に、放射温度計の視野径と正常時のシーム幅を略一致さ
せておけば、鋼帯の接続強度上危険方向であるところの
シーム幅の減少が検出できる。
【0053】(2)本発明者等が検討した結果、溶接部
の温度が高くなるとオーバーヒートの現象になり、温度
が低くなると溶融再凝固部(ナゲット)が小さくなる、
更に温度が低くなると接続強度が低下し溶接部が割れる
破断が発生する。本発明者等は図14に示すバルジ試験
機による破断面の観察や表面の観察、及び破断強度の測
定によって、溶接直後の表面温度と溶接良否は強い相関
があり溶接良好な温度域は図13に示す様に鋼板の材質
に拠って変わることが明らかになった(溶接後約0.5
秒の時間経過後に測定)。
【0054】(3)エッジ検出器の信号と温度測定信号
のタイミングを比較することで正確なエッジ位置が検出
できる。 (4)キャリッジ走行速度Vは先行・後行鋼帯の材質の
組み合わせと厚い方の板厚さによってきまるので溶接良
好温度域を先行・後行鋼帯の材質の組み合わせと厚い方
の板厚によって定めれば温度降下の悪影響は無い。
【0055】以上述べたことから、簡潔な機器構成で種
々の溶接機の動作異常を的確に診断することができるの
で、動作異常に繋がる溶接機の不具合箇所の改良・補修
が効果的に行える。その結果溶接部での板破断を招来す
る溶接異常の発生頻度を激減することができる。従っ
て、破断をより確実に防止することができ、ラインの稼
働率を飛躍的に向上させて生産性を向上させることがで
きる。
【0056】次に、溶接良否判定装置としての実施例を
述べる。図3中の溶接良好温度域36を、図4の先行鋼
帯1の材質と後行鋼帯2の材質の全ての組み合わせにつ
いて厚い方の板厚さとの関係を事前に調査し、図1の制
御装置23に記憶しておき、鋼帯溶接接続時の溶接温度
を放射温度計5により測定し、先行鋼帯1の材質と後行
鋼帯2の材質と、厚い方の板厚さを該設定器24により
該制御装置23に導入して、前記良好温度域36にある
か否かを判断させ、範囲外の場合は警報27を出し、再
溶接等の手段により破断を確実に防止するものである。
【0057】次に良好温度域を先行鋼帯および後行鋼帯
の材質を考慮せずに決定した場合の不具合について述べ
る。60kgf/mm2 高張力鋼同士の組み合わせの場
合の良好温度域を図13(a)に、60kgf/mm2
高張力鋼と軟質鋼の組み合わせのそれを図13(b)
に、軟質鋼同士の組み合わせのそれを図13(c)に、
前記3者を重ねた図を図13(d)に示す。実際に使用
する溶接良好温度域を図13(a),(b),(c)の
全ての場合に判定できる様に定めると、図13(d)の
斜線の部分Aになる。その結果溶接良好温度域は狭くな
り適正な判定が困難になる。またD1の場合は溶接不良
と判定されるが、これが図13(a)の組み合わせであ
る場合は実際には溶接不良ではなく、過検出ということ
になる。またD2の場合も溶接不良と判定されるが、こ
れが(a),(c)の両組み合わせである場合も実際に
は溶接不良ではなく、やはり過検出ということになる。
【0058】そこで、先行鋼帯1および後行鋼帯2の材
質の全ての組み合わせについて、材質の組み合わせごと
の鋼帯の厚い方の板厚さと溶接良好温度域の関係を事前
に調査し、これを制御装置23に記憶させておけば、実
際の溶接にあたって、鋼帯の材質と厚い方の板厚さと、
溶接部温度測定値の各データを制御装置23に入力する
だけで、該当する材質の組み合わせと厚い方の板厚さの
ときの溶接良好温度域内にその温度測定値が入っている
か否かを制御装置23が判断するので、それぞれの材質
の組み合わせに対応して適正な溶接良否判定が可能にな
る。従って、例えば図13(a)の組み合わせであれ
ば、その組み合わせの鋼帯の厚い方の板厚さと溶接良好
温度域の関係で溶接の良否を判定し、図13(b)の組
み合わせであれば、その組み合わせであれば、その組み
合わせの鋼帯の厚い方の板厚さと溶接良好温度域の関係
で溶接の良否を判定し、図13(c)の組み合わせであ
れば、その組み合わせの鋼帯の厚い方の板厚さと溶接良
好温度域の関係で溶接の良否を判定する上で、上記のよ
うな溶接不良とか過検出といった判定上の問題はなくな
る。図13において、aH ,bH ,cH は高い方の閾値
を示し、aL ,bL ,cL は低い方の閾値を示してい
る。
【0059】なお、温度測定値が当該溶接良好温度域の
範囲外のときは警報を出し、再溶接などの手法により破
断を防止する措置をとることはいうまでもない。先行鋼
帯1と後行鋼帯2の接続形態は図11に示す様に種々あ
るが、図4の様な溶接機の構成に於いて電極輪12に先
行する位置に図12に示す様な2個の板エッジ検出器
7、8を設置し図1に示す様な装置構成により図3に示
す様に温度プロフィール30における接続部エッジ位置
31、32を正確に求めることができる。板エッジ検出
器7、8の中心線と電極輪12の中心線との距離をWL
、電極輪12の中心線と放射温度計視野中心6との距
離をWS 、溶接速度をV、とするとき2個の板エッジ検
出器7、8の出力のAND信号が入力してから (WL +WS )/V 秒 後に制御器23にエッジ検出信号を出力することで図3
に示す様に温度プロフィール30における接続部エッジ
位置31、32を正確に求めることができる。
【0060】図3に示す温度プロフィール30において
両エッジ位置の内側100mm程度の間は放射温度計5
の視野径に相当するピッチで温度をサンプリングし良好
温度域36にあるかどうか判定する。さらに両エッジ内
側区間34、35とその中央区間33の3区間で温度の
平均値を計算し、その平均値36、37、38間の最大
値と最小値の差が一定温度を超えると、スピーカ27に
警報を発するものである。
【0061】図4の様な溶接機の構成に於いて、電極輪
12の中心線と放射温度計5の視野中心6との距離をW
S (固定)、キャリッジ10の走行速度をVとすると
き、放射温度計5は溶接後WS /V秒後の溶接部温度を
測定していることになる。板厚さが同じでも材質が異な
ると、一般にVは異なるので、その温度降下は無視でき
ない誤差を生じることが本発明者等の試験によって明ら
かである(WS =100mm、V=7〜10m/mi
n、厚い方の板厚=0.8mm)。
【0062】一方、キャリッジ10の走行速度Vは先行
鋼帯1と後行鋼帯2の材質の組み合わせと厚い方の板厚
によってきまるので、WS /V秒後の温度降下は先行鋼
帯1と後行鋼帯2の材質の組み合わせと厚い方の板厚さ
によって一意に決まる。従って、溶接良好温度域を先行
鋼帯1と後行鋼帯2の材質の組み合わせと厚い方の板厚
さによって定めれば温度降下の悪影響は無い。
【0063】制御装置23においては、先行鋼帯1およ
び後行鋼帯2の材質と厚い方の板厚さと溶接直後の温度
測定値が入力されると、その温度測定値があらかじめ与
えられている当該鋼帯材質および厚い方の板厚さのとき
の溶接良好温度域36内に入っているか否かを比較し、
溶接良好温度域36内に入っていれば、CRT28に
「良好」の表示をする。また、溶接良好温度域36内に
入っていなければ、スピーカ27から警報を発し、CR
T28に「不良」を表示する。溶接良否の判定基準は、
例えば図14に示したバルジ試験の評価を参考に定めら
れ、溶接良好温度36を決定する。図14のNo .1か
らNo.3までは「良好」、No.4からNo.6まで
は「不良」として溶接良好温度域36を決定する。
【0064】本発明に係る溶接良否判定装置の実施例に
よれば、種々の接続形態の場合でも正確に板接続部を検
出し温度プロフィール上のエッジ位置を求め、エッジ近
傍で重点的に良否判定を行えるので鋼帯接続部の溶接良
否をより高精度に判定することができる。さらに、鋼帯
の鋼種組み合わせ毎に良否判定閾値を持つので、より正
確な判定が行える。また鋼種組み合わせと厚い方の板厚
毎に溶接速度が決定されるロジックに倣って良否判定閾
値を決めることで、溶接部温度を測定する位置を電極輪
の後方一定距離にずらすことができる。以上の結果溶接
部での破断をより確実に防止することができ、ラインの
稼働率を飛躍的に向上させて生産性を向上させることが
できる。なお、本発明は、板厚情報として、鋼帯の厚い
方の板厚さを例にあげて説明したが、これを鋼帯の重ね
厚みであっても同様な効果が得られる。
【0065】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、設備異常を
的確に診断することができ、これにより危険な溶接不良
を激減することが可能で、任意の鋼種に適用可能なラッ
プシーム溶接機診断装置、ならびに鋼帯溶接接続部の溶
接良否を高精度に判定することができる溶接良否判定装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるラップシーム溶接機診断装置の第
1の実施例を示すブロック図。
【図2】図1の制御装置における診断アルゴリズムを示
す図。
【図3】図1の放射温度計による求めた温度プロフィー
ル例。
【図4】図1のラップシーム溶接機診断装置の概略図。
【図5】図1の装置による診断例を示す図。
【図6】図1の装置による診断例を示す図。
【図7】図1の装置による診断例を示す図。
【図8】図1の装置による診断例を示す図。
【図9】図1の装置による診断例を示す図。
【図10】図1の装置による診断例を示す図。
【図11】鋼帯の溶接接続形態例を表す図。
【図12】板エッジ検出器と鋼帯接続部との位置関係を
表す図。
【図13】いくつかの材質の組み合わせの溶接温度良好
域を示す図。
【図14】溶接良好温度域の判定基準に用いる評価方法
を説明するための図。
【符号の説明】
1…先行鋼帯、2…後行鋼帯、3…鋼帯接続部(溶接
部)、5…温度検出器例えば放射温度計、6…温度測定
点、7,8…エッジ検出器、10…キャリッジ、12…
溶接用電極輪、13…溶接点、20…アンド(論理積)
回路、21…溶接速度設定器、22…エッジ位置演算装
置、23…制御装置、24…鋼帯材質・厚さ設定器、2
5…入力装置、26…出力アンプ、27…スピーカ、2
8…表示装置例えばCRT

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先行鋼帯の端部および後行鋼帯の端部を
    重ねて溶接接続して連続した鋼帯を連続プロセスライン
    に通板させるラップシーム溶接機診断装置において、 前記先行鋼帯および後行鋼帯の材質の組合わせ毎に、鋼
    帯の板厚情報ならびに溶接良好温度域の関係を記憶する
    記憶装置と、 前記先行鋼帯および後行鋼帯の鋼帯材質と前記鋼帯の板
    厚情報ならびに溶接直後の溶接部温度を測定する温度測
    定装置と、 この温度測定装置による測定値と前記記憶装置に記憶さ
    れた内容のうち該当する鋼帯の材質組合わせにおける記
    憶値から前記溶接機の診断を行なう判断装置と、 からなるラップシーム溶接機診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の温度測定装置は、放射温
    度計からなり、この放射温度計の視野径を、正常溶接時
    の溶接接続幅に略一致させたことを特徴とするラップシ
    ーム溶接機診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の判断装置は、前記記憶装
    置で記憶された良好温度域の低温側の閾値を超える距離
    合計が板幅の一定割合以上であり、かつこの低温側の閾
    値より大きく外れて低温側にある第2の閾値を超える距
    離合計が板幅の一定割合以下であるとき、板幅方向全域
    に渡るラップ逃げであると判断することを特徴とするラ
    ップシーム溶接機診断装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の判断装置は、前記温度測
    定装置で測定された温度プロフィールを略3等分割し、
    その3区間毎の温度平均値が一定以上の偏差で単調減少
    或いは単調増加することに基づき、ラップシーム溶接機
    のクランプ機構の平行度の設定不良と判断することを特
    徴とするラップシーム溶接機診断装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の判断装置は、前記温度測
    定装置で測定された温度プロフィールを両エッジ近傍と
    その中間部に3分割し、その3区間毎の平均値を求め中
    央部の平均温度とエッジ近傍部の平均温度の差が一定以
    上でかつ第2の閾値を超える距離合計が板幅の一定割合
    以上であることに基づき、エッジ部におけるラップ逃げ
    であると判断することを特徴とするラップシーム溶接機
    診断装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の判断装置は、前記温度測
    定装置で測定された温度プロフィールにおいて第2の閾
    値を超える距離合計が板幅の一定割合以上であることか
    ら片板抜け、あるいは極端な板幅全域にわたるラップ不
    良であると判断することを特徴とするラップシーム溶接
    機診断装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の判断装置は、前記温度測
    定装置で測定された温度プロフィールを板幅方向に移動
    平均等の手法で平滑化し、平滑化後の温度波形の山の頂
    上或いは谷の底の間の距離が電極輪の円周長に概略等し
    いことに基づき、電極輪の切削による非真円形状と判断
    することを特徴とするラップシーム溶接機診断装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の判断装置は、前記温度測
    定装置で測定された温度プロフィールを板幅方向に移動
    平均等の手法で平滑化し、平滑化後の波形の山の頂上或
    いは谷の底が3個以上有る時に、その2つ以上の距離が
    略等しいすなわち波形に周期性があることに基づき、電
    極輪の切削による非真円形状と判断することを特徴とす
    るラップシーム溶接機診断装置。
  9. 【請求項9】 先行鋼帯の端部および後行鋼帯の端部を
    重ねて溶接接続して連続した鋼帯を連続プロセスライン
    に通板させ、かつラップシーム溶接部の良否を判定する
    判定装置において、 前記先行鋼帯および後行鋼帯の材質の組合わせ毎に、鋼
    帯の板厚情報ならびに溶接良好温度域の関係を記憶する
    記憶装置と、 前記先行鋼帯および後行鋼帯の鋼帯材質と前記鋼帯の板
    厚情報ならびに溶接直後の溶接部温度を測定する温度測
    定装置と、 この温度測定装置による測定値と前記記憶装置に記憶さ
    れた内容のうち該当する鋼帯の材質組合わせにおける記
    憶値の溶接良好温度域に入るかどうかにより溶接部の良
    否判定を行なう判定装置と、 からなるラップシーム溶接良否判定装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の判定装置は、前記演算
    装置で演算された両エッジ近傍では前記放射温度計の視
    野径にほぼ等しい細かなピッチで測温し、この測温値が
    前記記憶装置に記憶された内容のうち該当する鋼帯の材
    質組合わせにおける記憶値の溶接良好温度域に入るかど
    うかにより溶接部の良否判定を判定することを特徴とす
    るラップシーム溶接良否判定装置。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の判定装置は、前記演算
    装置で演算された両エッジ近傍区間とその中間区間の平
    均温度差がある温度以上になることによりエッジ部の溶
    接の良否を判定することを特徴とするラップシーム溶接
    良否判定装置。
  12. 【請求項12】 先行鋼帯の端部および後行鋼帯の端部
    を重ねて溶接接続して連続した鋼帯を連続プロセスライ
    ンに通板させ、かつラップシーム溶接部の良否を判定す
    る判定装置において、 前記溶接線上で溶接点の後方一定距離の位置を視野中心
    として温度を測定する放射温度計と、 この放射温度計で測定された測温値と、前記鋼帯の重ね
    厚みに基づいて溶接部の良否を判定するラップシーム溶
    接良否判定装置。
JP8464993A 1993-04-12 1993-04-12 ラップシーム溶接機診断装置および溶接良否判定装置 Expired - Fee Related JP2789990B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8464993A JP2789990B2 (ja) 1993-04-12 1993-04-12 ラップシーム溶接機診断装置および溶接良否判定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8464993A JP2789990B2 (ja) 1993-04-12 1993-04-12 ラップシーム溶接機診断装置および溶接良否判定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06294706A true JPH06294706A (ja) 1994-10-21
JP2789990B2 JP2789990B2 (ja) 1998-08-27

Family

ID=13836561

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8464993A Expired - Fee Related JP2789990B2 (ja) 1993-04-12 1993-04-12 ラップシーム溶接機診断装置および溶接良否判定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2789990B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100325353B1 (ko) * 1999-07-20 2002-03-04 신현준 열영향부 폭의 산출에 의한 플래쉬버트 용접기의 용접품질 판정장치 및 용접품질 판정방법
JP2008006485A (ja) * 2006-06-30 2008-01-17 Jfe Steel Kk 溶接合否判定装置及び溶接合否判定方法
JP2008216064A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Jfe Steel Kk 溶接合否判定装置及び溶接合否判定方法
WO2018181398A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 Jfeスチール株式会社 帯状板体の溶接判定装置および溶接判定方法
WO2018181397A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 Jfeスチール株式会社 帯状板体の溶接判定装置および溶接判定方法
JP2021178346A (ja) * 2020-05-13 2021-11-18 Jfeスチール株式会社 溶接部の良否判定方法及び良否判定装置
CN114406685A (zh) * 2022-02-15 2022-04-29 宝钢湛江钢铁有限公司 一种带钢自动焊接方法
CN115290219A (zh) * 2022-08-15 2022-11-04 桂林师范高等专科学校 回流焊温区异常检测方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102328306B1 (ko) * 2017-12-27 2021-11-17 대우조선해양 주식회사 시임 용접부 용입깊이 추정방법

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100325353B1 (ko) * 1999-07-20 2002-03-04 신현준 열영향부 폭의 산출에 의한 플래쉬버트 용접기의 용접품질 판정장치 및 용접품질 판정방법
JP2008006485A (ja) * 2006-06-30 2008-01-17 Jfe Steel Kk 溶接合否判定装置及び溶接合否判定方法
JP2008216064A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Jfe Steel Kk 溶接合否判定装置及び溶接合否判定方法
WO2018181398A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 Jfeスチール株式会社 帯状板体の溶接判定装置および溶接判定方法
WO2018181397A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 Jfeスチール株式会社 帯状板体の溶接判定装置および溶接判定方法
JP6483933B2 (ja) * 2017-03-31 2019-03-13 Jfeスチール株式会社 帯状板体の溶接判定装置および溶接判定方法
JP6483932B2 (ja) * 2017-03-31 2019-03-13 Jfeスチール株式会社 帯状板体の溶接判定装置および溶接判定方法
JPWO2018181398A1 (ja) * 2017-03-31 2019-04-04 Jfeスチール株式会社 帯状板体の溶接判定装置および溶接判定方法
JPWO2018181397A1 (ja) * 2017-03-31 2019-04-11 Jfeスチール株式会社 帯状板体の溶接判定装置および溶接判定方法
JP2021178346A (ja) * 2020-05-13 2021-11-18 Jfeスチール株式会社 溶接部の良否判定方法及び良否判定装置
CN114406685A (zh) * 2022-02-15 2022-04-29 宝钢湛江钢铁有限公司 一种带钢自动焊接方法
CN115290219A (zh) * 2022-08-15 2022-11-04 桂林师范高等专科学校 回流焊温区异常检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2789990B2 (ja) 1998-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2789990B2 (ja) ラップシーム溶接機診断装置および溶接良否判定装置
JP4998709B2 (ja) 溶接合否判定装置及び溶接合否判定方法
JP5070749B2 (ja) 溶接合否判定装置及び溶接合否判定方法
JP2576326B2 (ja) ストリップ溶接部の良否判定装置
JP3064072B2 (ja) 突合せ溶接時の溶接部形状検出方法ならびにその装置
JP2518120B2 (ja) ストリップ溶接部の再溶接方法および装置
JPH05104256A (ja) プロセスラインの溶接良否判定方法及び装置
JPH05318132A (ja) ストリップ連続処理ライン用溶接装置及びその溶接判定方法
JP2013022597A (ja) ラップシーム溶接部の溶接良否判定方法および溶接良否判定装置
JP3938055B2 (ja) シーム溶接の良否判定方法および装置
JPH04250334A (ja) ストリップ溶接部の検査方法および装置
JPH09267182A (ja) ラップシーム溶接部の溶接良否判定方法
JP2501156B2 (ja) 溶接機の診断方法
KR100270098B1 (ko) 용접품질 판정장치 및 방법
JP7173092B2 (ja) 溶接部の良否判定方法及び良否判定装置
JPH07276075A (ja) 溶接時の異常検出方法
JP4642267B2 (ja) パルスアーク溶接の溶接安定性判定装置
JP2013022598A (ja) ラップシーム溶接機の異常診断方法および異常診断装置
KR102377160B1 (ko) 실시간 용접부 검출 기능을 갖는 용접 장치 및 실시간 용접부 검출 방법
JPH03207584A (ja) 溶接診断システム
KR100241029B1 (ko) 용접품질 판정장치 및 방법
JP2008030046A (ja) 鋼帯の突き合せ溶接機
JP3260477B2 (ja) 薄板の溶接部診断方法
JP3899607B2 (ja) シーム溶接良否判定装置
KR100900629B1 (ko) 코일 용접부 진단 방법

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080612

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090612

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100612

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110612

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees