JPH06294023A - コアヤーン製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】表面から心繊維が見えず、扱きに強いコアヤー
ンを製造する。 【構成】ドラフト装置Ｄを出た繊維束に旋回気流を作用
させるノズルを有するノズルブロックと回転又は静止す
る中空スピンドルとよりなる紡績装置Ｓの入口より芯繊
維F1を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、紡績糸の製造過程で
強度の大なる合成繊維等の芯繊維を供給することによ
り、芯繊維のまわり綿等の鞘繊維を被覆したコアヤーン
を製造する方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コアヤーンの製造方法として、従来、リ
ング紡績装置で紡績糸を製造する過程で心繊維を供給す
るものが広く知られている。また、図６に示すような、
ドラフト装置Ｄの次に互いに異なる方向に旋回空気流を
生じさせる２つの空気噴射ノズル２４、２５よりなる加
撚装置を配した空気式紡績装置で紡績糸を製造する過程
で心繊維を供給するものも知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の各コアヤーンの
製造方法により製造される糸は、何れも、表面から芯繊
維が見える上、扱いたときに鞘繊維がずれる欠点があ
る。

【０００４】この発明は、表面から芯繊維が見えず、扱
きに強いコアヤーンを製造することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明のコアヤーン製造方法は、ドラフト装置を
出た繊維束に旋回気流を作用させるノズルを有するノズ
ルブロックと回転又は静止する中空スピンドルとよりな
る紡績装置の入口より芯繊維を供給することを特徴とす
るものである。

【０００６】

【作 用】上記のように構成されたコアヤーン製造方法
においては、芯繊維は、直接紡績装置内に導入され、ス
ピンドル内を通り、デリベリーローラーによって引出さ
れる。一方、ドラフト装置を出た繊維束は、ノズルから
噴出する空気流の作用によって紡績装置内に引き込ま
れ、繊維束の全ての繊維の前端は、芯繊維の周囲から芯
繊維に引かれてスピンドル内に導かれる。また、繊維の
後端側は、スピンドル入口から反転すると共に各繊維に
分離される。後端の分離した繊維は、ノズルから噴出す
る旋回気流にさらされ、糸の走行に伴い、芯繊維の周囲
に螺旋状に巻き付いてコアヤーンとなる。

【０００７】

【実施例】図１及び図２を参照し、コアヤーンの製造装
置を説明すると共に、この発明のコアヤーン製造方法の
実施例について説明する。

【０００８】この発明のコアヤーンの製造に用いられに
紡績装置Ｓは、ドラフト装置ＤのフロントローラーＲｆ
とデリベリーローラーＲｄとの間に設けられており、概
ね、ドラフト装置Ｄに続くケーシング１の内部に配され
た、ノズル３を有するノズルブロック２と、その入口部
に嵌められた入口部キャップ４と、入口側がケーシング
１内に挿入される回転スピンドル６とよりなっている。

【０００９】ドラフト装置Ｄは、例えば、フロントロー
ラーＲｆ、エプロンを有するセカンドローラーＲ２、サ
ードローラーＲ３及びバックローラーＲｂとよりなるも
のを採用する。これらの各トップローラーは、他の紡績
装置におけるものと同様に、ペンジュラムアーム１９に
支持されている。２０は、ペンジュラムアーム１９を開
閉するためのハンドルである。

【００１０】入口部キャップ４には、ドラフト装置Ｄよ
り供給される繊維束及び芯繊維Ｆ１を受け入れる通路１
３が形成されており、その出口部には繊維束の広がりを
絞るブッシュ５が設けられている。

【００１１】スピンドル６の中心には繊維束通路７が貫
通形成してあり、入口６ａの外径は充分に小さく、入口
６ａに続く部分は、外径が下流側に向けて増大する円錐
状部６ｂとしている。

【００１２】ノズルブロック２のスピンドル入口６ａ近
傍を覆う部分は、その外形に沿った小径円筒状の中空室
８としており、その上流側は、ノズルブロック２によっ
てスピンドル６の先端径よりも僅かに大径の円筒状にし
てある。中空室８に続く部分は、下部ケーシング１ａに
形成された環状の中空室９と、それに続く接線方向の空
気逃し孔１０が形成してある。

【００１３】上部ケーシング１ｂの内部には、ノズルブ
ロック２との間に中空の空気溜１１を形成している。ノ
ズルブロック２には、空気溜１１に連通し、スピンドル
６の入口６ａから僅か離れた下流に向き、かつ中空室８
に対して接線方向を向いた４つの空気噴射ノズル３が形
成してあり、空気溜１１には、孔１２を介して図示しな
いホースが接続してある。ノズル３の向きは、スピンド
ル６の回転方向と同一に設定してある。

【００１４】ホースから供給される圧縮空気は、空気溜
１１に流入した後、ノズル３から中空室８内に噴出し、
スピンドル入口６ａの近傍に高速の旋回気流を生じさせ
る。この空気流は、中空室８内部で旋回した後、中空室
９内をゆるく旋回しながらが外方へ拡散し、逃し孔１０
方向へと導かれ、排出される。同時に、この空気流は、
フロントローラーのニップ点からケーシング１の中空部
内へと流入する吸引空気流を発生させる。

【００１５】スピンドル駆動部は、軸受ケーシング１４
の内部に空気軸受けによって支持され、エアータービン
によって駆動されるものである。

【００１６】空気軸受は、軸受ケーシング１４内に空気
溜１７ａに続いて空気噴出孔１７ｂを有する円筒状のブ
ッシュ１７が嵌め込まれ、軸受ケーシング１４にも空気
溜１７ａに連通する圧縮空気供給孔１４ｃが設けられた
ものである。なお、１８は軸受ケーシング１４のキャッ
プである。

【００１７】この空気軸受において、圧縮空気供給孔１
４ｃに接続された図示しないホースから圧縮空気が供給
されると、その圧縮空気は、空気溜１７ａ、空気噴出孔
１７ｂを通ってスピンドル６とブッシュ１７との僅かの
間隙を通って排出され、スピンドル６はブッシュ１７に
対して非接触状態となる。

【００１８】エアータービンは、軸受ケーシング１４内
に接線方向に開口する圧縮空気供給孔１６ａ及び空気排
出孔１６ｂを有する円筒状のブッシュ１６が嵌め込ま
れ、軸受ケーシング１４にも圧縮空気供給孔１６ａ又は
空気排出孔１６ｂに連通する圧縮空気供給孔１４ａ又は
空気排出孔１４ｂが設けられ、一方、圧縮空気供給孔１
６ａの開口部に対応するスピンドル６の外周面に噴出空
気流を受ける複数の半円状凹部６ｃが形成されたもので
ある。

【００１９】このエアータービンにおいて、圧縮空気供
給孔１４ａに接続された図示しないホースから圧縮空気
が供給されると、その圧縮空気は、圧縮空気供給孔１６
ａを通ってスピンドル６の凹部６ｃに当たり、スピンド
ル６を回転させる。スピンドル６を回転させた空気流
は、空気排出孔１６ｂ、１４ｂを通って排出される。

【００２０】なお、スピンドル６は糸に撚を掛ける補助
をするものであって、これが回転しなくても、糸によっ
ては製造可能である。従って、スピンドル６は必ずしも
回転するものである必要はない。

【００２１】以上の装置において、ボビンＢより引出さ
れる芯繊維Ｆ１は、ヤーンガイド２１、２２及びテンサ
ー２３を経て、フロントローラーＲｆの脇から直接、紡
績装置Ｓの入口部キャップ４の通路１３へ導かれる。

【００２２】芯繊維Ｆ１としては、強力の大きいナイロ
ンやポリエステル等のマルチフィラメントが適してい
る。しかしながら、目的とする糸によっては、紡績糸等
の適宜の糸を用いることもできる。

【００２３】次に、この発明におけるコアヤーンの製造
過程を説明する。

【００２４】芯繊維Ｆ１は、テンサー２３を経てフロン
トローラーＲｆの脇から直接入口部キャップ４の通路１
３へ導入され、スピンドル６の繊維束通路７を通ってデ
リベリーローラーＲｄによって引出される。従って、芯
繊維Ｆ１には常に所定の張力が付与される。一方、ドラ
フト装置を出た繊維束は、ノズル３から噴出する空気流
の作用によって装置内に引き込まれ、繊維束の全ての繊
維の前端は、芯繊維Ｆ１の周囲から、芯繊維Ｆ２に引か
れて回転するスピンドル６内に導かれる。また、繊維の
後端側は、ノズル３から噴出する空気流の軸方向分力が
作用してスピンドル入口６ａから反転すると共に各繊維
に分離される。後端の分離した繊維は、ノズル３から噴
出する旋回気流にさらされ、糸Ｙの走行に伴って、芯繊
維Ｆ１の周囲に螺旋状に巻き付いて実撚状のコアヤーン
Ｙとなる。

【００２５】最後に、この発明の製造方法、リング紡績
及び図６に示す互いに異なる方向に旋回空気流を生じさ
せる２つの空気噴射ノズル２４、２５を有する空気式紡
績により製造されたコアヤーンの諸特徴を表１に示す。
また、それぞれの糸の外表面を図５に示す。この図にお
いて、（１）はこの発明の製造方法によるコアヤーンで
あり、表面からはほとんど鞘繊維Ｆ２しかみえない。
（２）はリング紡績によるコアヤーンであり、撚の入っ
た芯繊維Ｆ１の回りに鞘繊維Ｆ２が束状になって巻き付
いている。（３）は互いに異なる方向に旋回空気流を生
じさせる２つの空気噴射ノズルを有する空気式紡績によ
るコアヤーンであり、ほとんど平行に並んだ芯繊維Ｆ１
の回りに鞘繊維Ｆ２が束状になって巻き付いている。

【００２６】

【表１】

【００２７】表１及び図５をみると、本発明の製造方法
によるコアヤーンは、表面から芯繊維がほとんど見え
ず、扱いてもほとんど鞘繊維のずれがない極めて優れた
ものであることがわかる。また、本発明の製造方法によ
るコアヤーンは、図３の横断面図からも、円形断面の芯
繊維Ｆ１がコアヤーンの中心部に集中していることが裏
付けられる。なお、図４は、リング紡績によるコアヤー
ンの横断面図であり、これは円形断面の芯繊維Ｆ１が周
辺部にも存在していることがわかる。また、芯繊維Ｆ１
に撚があることも明りょうである。

【００２８】

【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、以下に記載するような効果を奏する。

【００２９】即ち、芯繊維と鞘繊維が明確に分離し、表
面から芯繊維がほとんど見えず、扱いてもほとんど鞘繊
維のずれがない、しかも、扱きに対する方向性のない極
めて優れたコアヤーンを高速で製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に用いられる紡績装置、ドラフト装置
及びデリベリーローラーの関係を示す側面図である。

【図２】この発明に用いられる紡績装置の縦断面図であ
る。

【図３】この発明の製法によって製造されるコアヤーン
の横断面図である。

【図４】リング紡績によって製造されるコアヤーンの横
断面図である。

【図５】この発明の製造方法、リング紡績、空気式紡績
により製造された各コアヤーンの外表面図である。

【図６】互いに異なる方向に旋回空気流を生じさせる２
つの空気噴射ノズルを有する空気式紡績の概略図であ
る。

【符号の説明】

２ ノズルブロック ３ ノズル ６ スピンドル Ｄ ドラフト装置 Ｆ１ 芯繊維 Ｆ２ 鞘繊維

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドラフト装置を出た繊維束に旋回気流を
   作用させるノズルを有するノズルブロックと回転又は静
   止する中空スピンドルとよりなる紡績装置の入口より芯
   繊維を供給することを特徴とするコアヤーン製造方法。