JPH06293701A - 5−テトラデセン酸エステルの製造方法 - Google Patents

5−テトラデセン酸エステルの製造方法

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JPH06293701A
JPH06293701A JP5084225A JP8422593A JPH06293701A JP H06293701 A JPH06293701 A JP H06293701A JP 5084225 A JP5084225 A JP 5084225A JP 8422593 A JP8422593 A JP 8422593A JP H06293701 A JPH06293701 A JP H06293701A
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JP
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acid ester
tetradecenoic acid
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halogen atom
sex pheromone
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Takehiko Fukumoto
毅彦 福本
Mitsuyoshi Oshima
光芳 大島
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 実用的に使用できる量の性フェロモンを安価
に供給することのできる5−テトラデセン酸エステルの
製造方法を提供する。 【構成】 一般式 CH3 (CH2 7 CH=CH(C
2 3 M(式中Mはアルカリ金属またはMgX基を表
し、MgX基のXはハロゲン原子を表す)で示される有
機金属誘導体に、YCOOR(式中Yはハロゲン原子、
Rはアルキル基)で示されるハロ蟻酸エステルを反応さ
せることとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鞘翅目昆虫ヒメコガネ
(Anomala rufocuprea)などの性フ
ェロモンである5−テトラデセン酸エステルの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】鞘翅目昆虫ヒメコガネは、ソイビーンビ
ートル(soybean beetle)とも呼ばれ、
畑作物の重要害虫として知られていた。1985年玉木
らがその性フェロモンをシス−5−テトラデセン酸メチ
ル(式I)と同定し、報告している〔Appl.En
t.Zool.20(3)359(1985)〕。 CH3 (CH2 7 CH=CH(CH2 3 COOCH3 ・・・(I)
【0003】現在既に、この性フェロモンを利用して発
生予察に利用する技術が実用化されている。この性フェ
ロモンを製造する方法として、前出の玉木らの文献に、
ブロムペンタン酸からシュウ素を酸化的に切断し、ウイ
テイヒ縮合する方法が記載されている。また、特開平4
−178350号には、1−デシンを金属アセチリドに
変換して、4−ブロム酪酸と反応させ、次いでこれをメ
チルエステル化した後、三重結合を還元する方法が記載
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者に
おいては、材料も高価で収率も低いという欠点があっ
た。また、後者においても、4−ブロム酪酸が必ずしも
安価ではなく、アルキル化の際のヘキサメチルリン酸ト
リアミド、エステル化時のジアゾメタンなどの取扱いに
細心の注意を要する材料を使用しているといった欠点が
あった。
【0005】したがって、本発明の目的は、実用的に使
用できる量の性フェロモンを安価に供給することのでき
る5−テトラデセン酸エステルの製造方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、取扱いが容易で
かつ安価な材料を用い、収率の高い反応工程により5−
テトラデセン酸エステルを製造する方法に想到した。
【0007】上記目的達成のため、請求項1の5−テト
ラデセン酸エステルの製造方法は、一般式 CH3 (C
2 7 CH=CH(CH2 3 M(式中Mはアルカリ
金属またはMgX基を表し、MgX基のXはハロゲン原
子を表す)で示される有機金属誘導体に、YCOOR
(式中Yはハロゲン原子、Rはアルキル基)で示される
ハロ蟻酸エステルを反応させることを特徴とする。
【0008】上記目的達成のため、請求項2の発明は、
請求項1の5−テトラデセン酸エステルの製造方法にお
いて、5−テトラデセン酸エステルが、シス−5−テト
ラデセン酸エステルであることを特徴とする。
【0009】本発明にかかる製造方法においては、下式
(II)に従って反応が進行する。
【化1】 すなわち、本発明は、一般式 CH3 (CH2 7 CH
=CH(CH2 3 M(式中Mはアルカリ金属またはM
gX基を表し、MgX基のXはハロゲン原子を表す)で
示される有機金属化合物と、YCOOR(式中Yはハロ
ゲン原子、Rはアルキル基)とをクロスカップリングす
るものである。
【0010】本発明の出発物質の有機金属化合物CH3
(CH2 7 CH=CH(CH2 3 Mは、例えば、公
知の1−ハロ−4−トリデセン: CH3 (CH2 7 CH=CH(CH2 3 Z ・・・(III) から容易に導くことができる(式中Zはハロゲン元
素)。具体的には、これをエーテル中で窒素ガス存在
下、薄く切ったリチウム片と反応させれば、有機リチウ
ム化合物: CH3 (CH2 7 CH=CH(CH2 3 Li ・・・・(IV) が得られる。また、無水テトラヒドロフランもしくは無
水エーテル中で、金属マグネシウムと反応させれば、グ
リニャール化合物: CH3 (CH2 7 CH=CH(CH2 3 MgX ・・・・(V) が得られる。
【0011】一方、反応させるハロ蟻酸エステル〔YC
OOR(式中Yはハロゲン原子、Rはアルキル基)〕の
代表的なものとしては、クロル蟻酸メチルもしくはクロ
ル蟻酸エチルがあり、ヒメコガネの性フェロモンの場
合、クロル蟻酸メチルを反応させれば良い。
【0012】反応は、各種溶媒中にハロ蟻酸エステルを
溶解した中へ、有機金属化合物を滴下することにより行
う。
【0013】反応温度は、−78℃から60℃、好まし
くは−30℃から15℃である。
【0014】用いる溶媒としては、テトラヒドロフラ
ン,ジエチルエーテルなどが好ましい。加える量は、C
3 (CH2 7 CH=CH(CH2 3 Mの1モル当
たり300〜1500gである。ヘキサメチルリン酸ト
リアミド(HMPA)やジメチルイミダゾリン(DM
I)などの親水性溶媒を併用しても良いが、この場合毒
性の低いDMIが好ましい。
【0015】反応物のモル比は、有機金属化合物に対
し、ハロ蟻酸エステルが若干過剰であることが好まし
く、有機金属化合物に対し通常1.1〜1.3倍モルの
ハロ蟻酸エステルを使用する。
【0016】反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液
と塩酸を加えて分液する。こうして得られた有機層を濃
縮し、蒸留もしくはカラムクロマトグラフィー等の通常
の分離操作で5−テトラデセン酸エステルを得ることが
できる。
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0018】実施例1 シス−5−テトラデセン酸メチル(ヒメコガネの性フェ
ロモン)のリチウム法による合成 フラスコに乾燥した無水エーテル60mlを入れ、窒素
雰囲気下、金属リチウム片1.4g(薄く切ったもの)
を入れ、氷浴で、0℃に冷却する。次いで、1−ブロモ
−シス−4−トリデセン24.8g(0.095モル)
を無水エーテル50mlに溶かして、ゆっくり滴下す
る。滴下後0℃で1時間攪拌すると、リチウム片が消費
され、大量に白沈が生じた。1時間放置し、その上澄を
滴下ロートに抜き出した。
【0019】次に、無水エーテル80mlにクロル蟻酸
メチル10.4g(0.11モル)を溶解した中に、上
記の有機金属溶液を−20℃で1時間かけて滴下した。
滴下終了後、そのまま室温となるまで攪拌した。次い
で、0℃で飽和塩化アンモニウム水溶液60mlを滴下
した後、10%塩酸21mlを加えた。有機層を取り出
し、5%炭酸水素ナトリウム液で洗浄して、エーテルを
減圧下除去した。残渣を減圧蒸留したところ、シス−5
−テトラデセン酸メチル 13.9g(純度93%,収
率61%)が得られた。IR, 1H−NMR,13C−N
MR,GC−MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析
法)により、本化合物がシス−5−テトラデセン酸メチ
ルであることが確認された。図1は、得られた化合物の
IRスペクトル図、図2は、GC−MS図であり、表1
に得られた化合物の 1H−NMR,13C−NMRで確認
された化学シフトを示す。
【0020】
【表1】
【0021】実施例2 シス−5−テトラデセン酸メチル(ヒメコガネの性フェ
ロモン)のグリニャール法による合成 窒素雰囲気下、フラスコに無水テトラヒドロフラン30
mlと金属マグネシウム2.5g(0.103モル)を
加え、ヨウ素片0.1gを加え、1−クロロ−シス−4
−トリデセン21.6g(0.1モル)を無水テトラヒ
ドロフラン40mlに溶解した液を40℃から滴下し、
反応させた。滴下終了後、67℃で3時間攪拌してグリ
ニャール試薬を調製した。
【0022】次に、別のフラスコに無水テトラヒドロフ
ラン80mlとクロル蟻酸メチル10.4g(0.11
モル)を溶解した中へ、−30℃から上記グリニャール
試薬を滴下した。滴下終了後、はげしく攪拌したまま、
徐々に室温まで攪拌を続けた。その後、0℃に冷却し
て、飽和塩化アンモニウム水溶液60mlを滴下した
後、10%塩酸19mlを加えた。有機層を取り出し、
5%炭酸水素ナトリウム液で洗浄し、テトラヒドロフラ
ンを減圧下除去した。残渣を減圧蒸留したところ、シス
−5−テトラデセン酸メチル13.9g(純度95%,
収率70%)が得られた(bp.145〜148℃/2
mmHg)。IR, 1H−NMR,13C−NMR,GC
−MSにより、本化合物がシス−5−テトラデセン酸メ
チルであることが確認された。
【0023】
【発明の効果】上記したところから明かなように、本発
明によれば、取扱いが容易でかつ安価な材料を用い、収
率の高い反応工程により5−テトラデセン酸エステルを
製造することができ、実用的に使用できる量の性フェロ
モンを安価に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明により得られた化合物のIRス
ペクトル図である。
【図2】図2は、本発明により得られた化合物のGC−
MS図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 CH3 (CH2 7 CH=CH
    (CH2 3 M(式中Mはアルカリ金属またはMgX基
    を表し、MgX基のXはハロゲン原子を表す)で示され
    る有機金属誘導体に、YCOOR(式中Yはハロゲン原
    子、Rはアルキル基)で示されるハロ蟻酸エステルを反
    応させることを特徴とする5−テトラデセン酸エステル
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 5−テトラデセン酸エステルが、シス−
    5−テトラデセン酸エステルであることを特徴とする請
    求項1の製造方法。
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