JPH06293292A - 海洋構造物の減揺装置 - Google Patents

海洋構造物の減揺装置

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JPH06293292A
JPH06293292A JP10367893A JP10367893A JPH06293292A JP H06293292 A JPH06293292 A JP H06293292A JP 10367893 A JP10367893 A JP 10367893A JP 10367893 A JP10367893 A JP 10367893A JP H06293292 A JPH06293292 A JP H06293292A
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宏次 谷田
Isao Negi
勲 根木
Kenji Nakamura
健治 中村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 海洋構造物の動揺を速かに抑える。 【構成】 海洋構造物上の左右位置に滑車4a,4bを
設ける。滑車4a,4b間に、両端に錘り5a,5bを
取り付けたワイヤロープ6を掛けて、錘り5a,5bを
滑車4a,4bから吊り下げる。ワイヤロープ6の中間
部に、駆動装置10の駆動で作動させられる伝動部7を
介在させる。動揺検知センサーの信号を基に駆動装置1
0へ制御指令を送る制御装置を備える。錘り5a,5b
を、動揺と同じ周期で90°遅れの位相で昇降させ、動
揺を慣性モーメントで打ち消す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は船舶、バージ、その他の
浮体等の海洋構造物の横揺れを制止するために用いる海
洋構造物の減揺装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】船舶におけるこの種の減揺装置として
は、ART(ANTI ROLLING TANK :減揺水槽)やフィン
スタビライザーが知られている。すなわち、ARTは、
水槽を利用して船舶の横揺れを制止しようとするもの
で、図9に概略を示す如く、主船体aの重心より上方部
に、上端間が空気連通管bにて連絡されたUチューブタ
イプの水槽cを設置し、主船体aの横揺れに伴って水槽
c内の水dがパッシブに共振して、位相が横揺れに対し
て90°遅れをもつような設計としたものである。一
方、フィンスタビライザーは、図10に概略を示す如
く、主船体aの船首尾方向のほぼ中央部の水面下ビルジ
部に、駆動装置eによって動かされるようにした可動フ
ィンfを設け、主船体aの動揺の角度、角速度、角加速
度等をセンサーgにより検知して可動フィンfの迎角を
アクティブに変え、船速によって可動フィンfに発生す
る揚力により主船体aの横揺れを制止するようにしたも
のである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ART
を用いた場合には、 一般的に全重量が、小型船で船の排水量の3〜4%、
大型船で1〜2%必要であり、且つ上甲板の上方位置に
大きなスペースを確保しなければならず、操船上、後部
見通しが悪くなること、 小型船では、重心上昇が船の性能に影響を及ぼすこ
と、 波浪中は減揺効果が期待できるものの、静水中は自由
水の増加で逆に横傾斜を大きくしてしまうこと、 一度設計してしまうと減揺水槽の固有周期が決まって
しまうため、船の揺れ周期が設計時と異なると、減揺効
果が低減すること、 水の移動に伴って空気が連通管内を通るときの騒音あ
るいは水の移動音が発生するため、居住性に影響を与え
ることが多いこと、 等の問題がある。
【0004】又、フィンスタビライザーを用いた場合に
は、 フィンの揚力が出る船速まで減揺効果が期待できない
(低速、停船中は効果がない)こと、 フィンが船外に突出しているため、浮遊物と衝突して
損傷を受ける可能性があると共に、船体抵抗の増大によ
り燃費が悪くなること、 ARTに比べて非常に高価(5倍位)であること、 フィンの発生する流体雑音による水中音の機器への影
響が懸念されること、 船体付加物のため船速低下の要因となること、 等の問題がある。
【0005】そこで、本発明は、上記ARTやフィンス
タビライザー方式による諸問題を解決し、構造が簡単で
優れた減揺効果が得られる海洋構造物の減揺装置を提供
しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、海洋構造物上の左右位置に、それぞれ滑
車を配置すると共に、該両滑車間に、左右端に錘りを取
り付けたワイヤロープを、上記錘りが滑車から吊り下が
るように掛け渡し、且つ該ワイヤロープの中間位置に、
上記左右の錘りにワイヤロープの移動を介して昇降変位
を与えるための伝動部を介装し、該伝動部を駆動装置に
接続し、更に、上記海洋構造物の動揺を検知する動揺検
知センサーと、該動揺検知センサーの信号を基に上記駆
動装置へ制御指令を送る制御装置を備えた構成とする。
【0007】
【作用】海洋構造物の動揺が動揺検知センサーによって
検知されると、その信号を基に制御装置から駆動装置へ
制御指令が出される。したがって、伝動部が作動させら
れることにより、ワイヤロープの移動を介して左右の錘
りが動揺と同じ周期で逆方向に昇降させられる。その結
果、このとき発生する錘りの慣性モーメントが動揺を打
ち消すように作用して動揺が抑えられる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0009】図1乃至図3は本発明の第1実施例を示す
もので、海洋構造物である船舶Sにおける船体1の上甲
板2上に、左右の両舷側部に近接させて滑車4a,4b
を配置すると共に、該両滑車4a,4b間に、両端に同
一質量の錘り5a,5bを取り付けたワイヤロープ6
を、上記錘り5a,5bがそれぞれ滑車4a,4bを吊
点として相対的に昇降変位可能となるように掛け渡し、
且つ上記錘り5a,5bの昇降変位をガイドするための
上下方向に延びる昇降ガイド3a,3bを、上記滑車4
a,4bの位置に対応させて船体1の左右両舷側部に設
け、又、上記ワイヤロープ6の中間位置に、錘り5a,
5bに昇降変位を与えるための伝動部7を介在させ、更
に、上記船体1の上甲板2上に、動揺検知センサーとし
てのジャイロ振動計8と、該ジャイロ振動計8等からの
信号に基づいて制御指令を発する制御装置9と、該制御
装置9の指令に基づいて上記伝動部7を駆動する駆動装
置10とを設ける。11は全体を覆うカバーである。
【0010】上記伝動部7及び駆動装置10は、図2に
示す如き構成としてある。すなわち、伝動部7は、ワイ
ヤロープ6の中間部の切断端をそれぞれ左右両端に接続
させるようにした左右方向に延びるラックバー12と、
該ラックバー12に噛合させたピニオン13とからな
り、又、駆動装置10は、ピニオン13の軸に連結した
減速機14及びモータ(電動又は油圧)15とからな
る。
【0011】更に、上記制御装置9は、図3に示す如
く、ジャイロ振動計8によって検知された船体1の回転
角速度信号θ1 にフィードバックゲインK1 を掛けるよ
うにした倍率器16と、上記回転角速度信号θ1 を積分
器20にて積分した後の回転角変位信号θにフィードバ
ックゲインK2 を掛けるようにした倍率器17と、伝動
部7に設けた図示しないセンサーからの船体1とワイヤ
ロープ6との相対速度信号Z1 にフィードバックゲイン
3 を掛けるようにした倍率器18と、同様に伝動部7
に設けた図示しないセンサーからの船体1とワイヤロー
プ6との相対変位信号ZにフィードバックゲインK4
掛けるようにした倍率器19と、上記各倍率器16,1
7,18,19からの信号を加算して駆動装置10へ制
御指令を送るようにした演算制御器21とからなる。な
お、22,23はそれぞれ増幅器を示す。
【0012】上記構成において、船舶Sに動揺(横揺
れ)が発生した場合、左右の錘り5a,5bを、制御装
置9の指令に基づき、動揺と同じ周期で動揺と反対方向
に昇降変位させて、このとき発生する錘り5a,5bの
慣性モーメントによって船舶Sの動揺を抑えるようにす
る。
【0013】詳述すると、船舶Sに動揺が発生すると、
その動揺がジャイロ振動計8にて回転角速度信号θ1
して検出されて倍率器16を介し演算制御器21に入れ
られる。又、上記回転角速度信号θ1 は積分器20にも
入れられ、ここで積分されて回転角変位信号θとされる
ことにより倍率器17を介して演算制御器21に入れら
れる。演算制御器21では、これら回転角速度信号θ1
と回転角変位信号θ及び錘り5a,5bの相対速度信号
1 、相対変位信号Zを用いて、振幅・位相制御された
制御指令を駆動装置10へ出力する。これにより、伝動
部7が制御指令に基づいて作動させられることになり、
左右の錘り5a,5bが相対的に昇降させられ、このと
き発生する錘り5a,5bの慣性モーメント(=2×m
×Z2 ×l、但し、m:錘りの質量、Z2 :錘りの昇降
加速度、l:船体中心から錘りまでの距離)が動揺を打
ち消す方向に作用させられる。この場合、モータ15の
駆動でピニオン13が回転させられると、該ピニオン1
3と噛合するラックバー12が左右方向へ変位させられ
るため、滑車4a,4bの部分からワイヤロープ6によ
って吊られた如くしてある錘り5a,5bがワイヤロー
プ6の移動を介して昇降ガイド3a,3bに沿い昇降さ
せられる。更に、このときの船体1とワイヤロープ6と
の相対速度信号Z1 と相対変位信号Zがそれぞれ倍率器
18と19を介して上記演算制御器21にフィードバッ
ク入力される。したがって、船舶Sの動揺を短時間にて
効果的に減衰させることができる。
【0014】上記において、各倍率器16,17,1
8,19のフィードバックゲインK1,K2 ,K3 ,K
4 は通常のLQ制御の最適化により決定でき、調整によ
り固有周期、減衰率を任意に選定することができる。更
に、錘り5a,5bとしては、固体質量を採用しても、
重量を調整できるようにしておくことが便利であるが、
特に、容器内に水の如き液体を入れるようにした構成と
しておくと、制御が不要な場合に水を抜くことができ、
載荷重量の面で有利となる。
【0015】又、上記においては、動揺検知センサーと
してジャイロ振動計8を用いた場合を示したが、たとえ
ば、図4に示す如く、船体1の両舷に加速度計24a,
24bを取り付けるようにしてもよい。この場合、制御
装置9は、図3に示したものと同様な構成において、加
算器25、設定器26、積分器27を設け、回転角加速
度信号θ2 から回転角速度信号θ1 を求めるようにす
る。
【0016】次に、図5は本発明の第2実施例を示すも
ので、上記第1実施例と同様な構成において、伝動部7
として、ドラム28を用い、該ドラム28に、錘り5a
側のワイヤロープ6と錘り5b側のワイヤロープ6を逆
巻きに巻き付けたものである。
【0017】図6は本発明の第3実施例を示すもので、
図2に示す伝動部7と同様に、ラックバー12とピニオ
ン13との組み合わせとした構成において、上記ラック
バー12と対峙させるラックバー29を設け、更に、駆
動装置10として、上記ラックバー29を移動させる油
圧シリンダ30と、油圧駆動源31と、該油圧駆動源3
1からの圧油の給排を切り換えるサーボバルブ32とを
設けたものである。
【0018】図7は本発明の第4実施例を示すもので、
伝動部7としてダブルロッド型の油圧シリンダ30を用
い、且つ駆動装置10として、油圧駆動源31とサーボ
バルブ32と逆止弁33を設けたものである。
【0019】上記図5乃至図7に示す実施例の場合も、
上述した第1実施例の場合と同様な作用効果を奏し得
る。
【0020】なお、上記実施例では、錘り5a,5bの
昇降をガイドする昇降ガイド3a,3bを上下方向に配
した場合を示したが、たとえば、図8に示す如く、左右
でハの字状となるよう斜め上下方向に配してもよく、こ
の場合、錘り5a,5b間の見掛け上のスパンLを増す
ことができて慣性モーメントを増加できること、その他
本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加
え得ることは勿論である。
【0021】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の海洋構造物の
減揺装置によれば、海洋構造物上の左右位置に配した滑
車間に両端に錘りを取り付けたワイヤロープを掛け渡し
て錘りを吊り下げ、ワイヤロープの中間部に介在させた
伝動部を駆動装置で駆動することにより左右の錘りを相
対的に昇降できるようにし、更に上記駆動装置に、動揺
検知センサーの信号を基にした制御指令を制御装置から
与えられるようにしたので、次の如き優れた効果を発揮
する。 海洋構造物の動揺と反対方向に錘りを昇降させること
で、このとき発生する錘りの慣性モーメントを動揺を打
ち消す方向に作用させることができ、海洋構造物の動揺
に素早く対応することができて優れた減揺効果が得られ
る。 構造が簡単で小型、コンパクトな設計が可能であるた
め、安価に製作することができる。 停船中から高速航行中までの広範囲に亘り効果が期待
できる。 錘り間のスパンが大きくとれる船型に対して有利とな
るため、特に、双胴船に適用して著効を示し、又、スペ
ース的にも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の海洋構造物の減揺装置の第1実施例を
示す船舶の概略縦断面図である。
【図2】駆動装置及び伝動部の概要図である。
【図3】制御装置の一例を示す概略図である。
【図4】制御装置の他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す概要図である。
【図6】本発明の第3実施例を示す概要図である。
【図7】本発明の第4実施例を示す概要図である。
【図8】錘りの昇降をガイドする昇降ガイドの別の例を
示す概略図である。
【図9】従来の減揺装置の一例を示す概略図である。
【図10】従来の減揺装置の他の例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
S 船舶(海洋構造物) 4a,4b 滑車 5a,5b 錘り 6 ワイヤロープ 7 伝動部 8 ジャイロ振動計(動揺検知センサー) 9 制御装置 10 駆動装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海洋構造物上の左右位置に、それぞれ滑
    車を配置すると共に、該両滑車間に、左右端に錘りを取
    り付けたワイヤロープを、上記錘りが滑車から吊り下が
    るように掛け渡し、且つ該ワイヤロープの中間位置に、
    上記左右の錘りにワイヤロープの移動を介して昇降変位
    を与えるための伝動部を介装し、該伝動部を駆動装置に
    接続し、更に、上記海洋構造物の動揺を検知する動揺検
    知センサーと、該動揺検知センサーの信号を基に上記駆
    動装置へ制御指令を送る制御装置を備えた構成を有する
    ことを特徴とする海洋構造物の減揺装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101253538B1 (ko) * 2011-04-07 2013-04-11 한국과학기술원 부유체의 평형유지장치

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