JPH0629300B2 - アクリルエラストマーの製造法 - Google Patents

アクリルエラストマーの製造法

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JPH0629300B2
JPH0629300B2 JP60279234A JP27923485A JPH0629300B2 JP H0629300 B2 JPH0629300 B2 JP H0629300B2 JP 60279234 A JP60279234 A JP 60279234A JP 27923485 A JP27923485 A JP 27923485A JP H0629300 B2 JPH0629300 B2 JP H0629300B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アクリルエラストマーの製造法に関する。更
に詳しくは、有機過酸化物による加硫が可能な、新規な
アクリルエラストマーの製造法に関する。
〔従来の技術〕
アクリルエラストマーは、重合体主鎖の飽和構造および
側鎖基の極性により、すぐれた耐熱性、耐候性、耐油性
などの性質を示すエラストマーとして、各種のシール材
(パッキン、0-リング、ガスケット類)、ホース類、電
気部品、被覆材などの用途に広く用いられている。アク
リルエラストマーとしては、アクリル酸エステルを主成
分単量体として共重合して得られるアクリル共重合体エ
ラストマーとエチレンおよびアクリル酸エステルまたは
メタクリル酸エステルを主成分単量体として共重合して
得られるエチレン−アクリレート共重合体エラストマー
の2種のタイプのものが現在工業化されて実用に供され
ている。
これらの供重合体エラストマー中には、いずれも少量の
架橋サイト供与性単量体が共重合されており、それぞれ
架橋サイトの種類に応じた加硫系を選択することによ
り、加硫反応を効率的に行なっている。そして、架橋サ
イトの種類に応じて、次のような加硫剤が用いられてい
る。
これらの架橋サイトのうち、活性ハロゲン基は、例え
ば、2-クロルエチルビニルエーテル、ビニルクロルアセ
テート、ビニルベンジルクロリド、ビニルベンジルクロ
ルアセテート、2-クロルエチルアクリレートなどを共重
合して得られ、上記の加硫剤を用いて加硫できるが、加
硫反応の際発生するハロゲン化水素またはその塩のため
に耐金属腐食性に劣る欠点がみられる他、アルカリ石け
ん−イオウまたはイオウ供与性化合物を加硫剤とした場
合には、親水性に富むアルカリ石けんの含有により、耐
水性や電気特性の低下も避けられない。
また、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエ
ーテルなどを共重合して、架橋サイトとしてエポキシ基
を導入した場合には、加硫時および加硫物の金属腐食性
はみられないものの、加硫速度と生地のスコーチ性との
間のバランスが十分ではない。即ち、速い加硫速度が得
られる場合にはスコーチ性が著しく、混練時の加工安全
性や生地の貯蔵安定性が満足できない。逆に、スコーチ
性が満足し得る状態にある場合には加硫速度が遅くな
り、加硫成形工程の能率化に支障をきたすことになる。
加硫剤として、アルカリ石けん−イオウまたはイオウ供
与性化合物を用いた場合には、活性ハロゲン基架橋サイ
トの場合と同様に、加硫物の耐水性の低下をもたらす。
更に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸モノエス
テル、イタコン酸などを共重合して導入されるカルボキ
シル基架橋サイトの場合には、金属腐食性が少なく、圧
縮永久歪の低い加硫物を与えるものとして最近注目され
てはいるが、加硫速度が必ずしも大きくないため、前記
エポキシ基架橋サイトの場合と同様に、加硫速度を上げ
ようとする際にスコーチ性の低下がしばしば問題とな
る。この他にもまた、混練加工時にロール、ニーダー、
バンバリーミキサーなどの混練部金属部分に粘着する傾
向があり、余分の労力を要するという難点がある。
このような架橋サイトを有するアクリルエラストマーの
加硫方法としては、この他に有機過酸化物を加硫剤とし
て用いる方法が従来から知られており、この有機過酸化
物による加硫は、例えばエチレン−プロピレン系共重合
ゴムなどの種々の合成ゴムにも適用し得ることが広く知
られており、その際に加硫助剤として分子中に少くとも
1個の不飽和結合を有する化合物が併用されることも周
知である。
有機過酸化物を加硫剤とするアクリルエラストマーの加
硫では、加硫助剤の選択によっては二次加硫を省略する
ことができ、成形性にもすぐれた加硫特性を得ることが
できるが、得られる加硫物の物理的特性、特に引張特
性、引裂強度などがよくなく、耐熱老化性の点でも不十
分なため、実用面での制約が大きいのが実情である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者は、有機過酸化物で加硫することができ、しか
も圧縮永久歪、耐熱老化性などの点ですぐれた加硫物を
与え得るアクリル共重合体エラストマーを求めて種々の
検討を行なった結果、エチレン−プロピレン−ジエン系
共重合ゴムの架橋サイトとなるジエン成分として用いら
れている5-アルキリデン-2-ノルボルネンに不飽和カル
ボン酸を付加反応させたものを共重合体の一成分として
共重合させることにより、かかる課題が効果的に解決さ
れることを見出した。
〔問題点を解決するための手段〕および〔作用〕 従って、本発明は有機過酸化物で加硫可能な、新規なア
クリルエラストマーの製造方法に係り、このアクリルエ
ラストマーの製造は、(a)アルキル基が1〜8個の炭素
原子を有するアルキルアクリレートおよびアルキル基な
らびにアルキレン基がそれぞれ1〜4個の炭素原子を有
するアルコキシアルキルアクリレートよりなる群から選
ばれた少くとも1種のアクリレート単量体60〜99.9重量
%、(b)5-アルキリデン-2-ノルボルネンと不飽和カルボ
ン酸との付加反応生成物単量体10〜0.1重量%および(c)
これらの単量体と共重合し得る少くとも1種の他の重合
性単量体30〜0%を共重合させることにより行われる。
アクリルエラストマーを形成する共単量体成分(a)のア
クリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチ
ルアクリレート、n-またはイソプロピルアクリレート、
n-またはイソブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレ
ート、2-エチルヘキシルアクリレートなどのアルキル基
が1〜8個の炭素原子を有するアルキルアクリレート
(これらのアルキルアクリレートは、例えば2-シアノエ
チルアクリレートの如くそれらの置換体であってもよ
い)、メトキシメチルアクリレート、エトキシメチルア
クリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキ
シエチルアクリレート、2-ブトキシエチルアクリレー
ト、3-メトキシプロピルアクリレートなどのアルキル基
とアルキレン基とがそれぞれ1〜4個の炭素原子を有す
るアルコキシアルキルアクリレートが用いられ、これら
の中で特にエチルアクリレート、n-ブチルアクリレー
ト、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチル
アクリレートなどが好んで用いられる。アルキルアクリ
レートのアルキル基の炭素数が1〜8個に、またアルコ
キシアルキルアクリレートのアルキル基とアルキレン基
の炭素数がそれぞれ1〜4個に限定されるのは、炭素数
がこれ以上に増えると、得られるアクリルエラストマー
加硫物の低温特性と耐油性との釣合いを満足させなくな
るためである。
これらのアクリレートは、全共単量体重量の約55〜99.9
%、好ましくは約75〜99.5%の割合で用いられ、特に釣
合いのとれた低温特性と耐油性とが望まれる場合には、
アルコキシアルキルアクリレートが約15〜65%の割合で
アルキルアクリレートと併用されることが望ましい。
共単量体成分(b)の付加反応生成物単量体を形成させる
一方の原料である5-アルキリデン-2-ノルボルネンとし
ては、例えばメチリデンノルボルネン、エチリデンノル
ボルネン、プロピリデンノルボルネン、ビニルノルボル
ネン、好ましくはエチリデンノルボルネンなどが用いら
れ、また他方の原料である不飽和カルボン酸としては、
例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、β,
β−ジメチルアクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、2-
メチル-2-ブテン酸、2-ペンテン酸、2-ヘキセン酸、3-
エチル-2-ペンテン酸、2-ヘプテン酸、マレイン酸、フ
マル酸、シトラコン酸、イタコン酸、2-ノルボルネン-5
-カルボン酸、けい皮酸、マレイン酸モノメチル、マレ
イン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルなどが用いら
れ、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、けい皮酸、
マレイン酸モノアルキルなどが用いられる。
これら両者間の反応は、5-アルキリデン-2-ノルボルネ
ンの2-3位間の二重結合に不飽和カルボン酸のカルボキ
シル基が付加し、ノルボルナンエステルを形成させるよ
うに行われる。この反応は、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、n-ヘキサンなどの反応溶媒を用い、硫酸、塩酸、
p-トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素などを反応触媒
に用いて、一般に還流条件下で行われる。
共重合反応では、付加反応生成物単量体の分子中に存在
する2個の不飽和結合の内、不飽和カルボン酸に由来す
る不飽和結合の方が関与し、アルキリデン基に由来する
不飽和結合は架橋サイトとして作用する。
この共単量体成分は、全共単量体重量の約10〜0.1%、
好ましくは約5〜0.5%の割合で用いられる。これ以下
の使用割合では、十分な量の架橋サイトが共重合体エラ
ストマー中に導入されず、一方これ以上の割合で使用さ
れると、加硫物の架橋密度が上がりすぎ、硬くなって伸
びがなくなり、エラストマーとしての実用性がなくなる
ようになる。
共単量体成分(c)の他の重合性単量体としては、例えば
塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸
ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ジ
ビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、
ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタク
リレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルアルコ
ール、2-ヒドロキシエチルアクリレートなどが用いられ
る。これらの重合性単量体は、共重合させる場合であっ
ても、全共単量体重量の約30%以下、好ましくは約20%
以下の割合範囲にとどめることが望ましい。
本発明に係るアクリルエラストマーは、前述のように共
重合体中に存在するアルキリデン基を架橋サイトとして
有機過酸化物で加硫することができる。有機過酸化物と
しては、例えばジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド、第3ブチルパーベンゾエート、2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-
ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン-3
などが用いられる。
有機過酸化物加硫系には、分子中に少くとも1個の不飽
和結合を有する化合物を加硫助剤として配合することが
でき、例えば1,2-ポリブタジエン、ジアリルフタレー
ト、ジアリルマレエート、ジアリルイタコネート、トリ
アリルトリメリテート、トリアリルシアヌレート、トリ
アリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレ
ングリコールジメタクリレート、ジアセトンアクリルア
ミド、第3ブチルアクリルアミドなどの蒸気圧の低いも
のが、好ましい加硫助剤として用いられる。
これらの加硫剤および加硫助剤は、いずれもアクリルエ
ラストマー100重量部当り約0.5〜20重量部の割合で一般
に用いられる。
加硫操作は、通常加硫剤および加硫助剤を他の任意の配
合剤、例えば補助剤、充填剤、老化防止剤、安定剤、可
塑剤、滑剤、加工助剤などと共に、ロール混合、バンバ
リー混合、ニーダー混合、溶液混合など一般に用いられ
る混合方法によってアクリルエラストマーと混合した
後、加熱することによって行われる。加硫温度として
は、一般に約120℃以上、好ましくは150℃以上の温度が
用いられる。
〔発明の効果〕
本発明に係る新規なアクリルエラストマーは、新規物質
である5-アルキリデン-2-ノルボルネンと不飽和カルボ
ン酸との付加反応生成物を共重合させることにより、有
機過酸化物によっれ加硫することができ、しかも圧縮永
久歪の点で非常にすぐれ、また耐熱老化性も良好な加硫
物を形成させる。
〔実施例〕
次に、実施例について本発明を説明する。
参考例 5-エチリデン-2-ノルボルネン120g(1モル)およびメ
タクリル酸84g(1モル)をトルエン500ml中で混合
し、これに濃硫酸触媒3mlを加え、還流条件下で8時間
反応させた。反応終了後、トルエンを留去し、アルカリ
洗浄および水洗浄後蒸留して、沸点70〜72℃/0.2Torrの
付加反応生成物を143g(収率70%)得た。
実施例 (アクリルエラストマーの合成) 次の表1に示される単量体組成(重量部)の共単量体混
合物A〜Cを共重合させ、それぞれアクリルエラストマ
ーA〜C(Cは比較例)を合成した。
共重合反応は、次のようにして行われた。まず、全共単
量体混合物の1/4量に相当する25部(重量、以下同
じ)、ラウリルメルカプタン(分子量調節剤)0.02部、
ポリオキシエチレンドデシルエーテル(花王石鹸製品エ
マルゲン120)2部、ドデシル硫酸ナトリウム(花王石
鹸製品エマール10)2部および水200部を反応容器に仕
込み、液温を50℃に保ちながら十分に窒素置換した。次
いで、過硫酸アンモニウム0.05部および亜硫酸水素ナト
リウム0.05部を添加すると、重合反応が開始し、温度が
上昇し始めるので、直ちに残りの共単量体混合物(この
混合物中には予めラウリルメルカプタン0.02部が添加さ
れ、十分に窒素置換されている)75部を、約45分間にわ
たって少量ずつ連続的に滴下し、この際の反応液の温度
を約60℃に保った。その後、更に1時間かきまぜて重合
反応を完結させ、得られた共重合体ラテックスを約85℃
の15%食塩水中に投入し、凝析した共重合体を水洗、乾
燥して、それぞれのアクリルエラストマーを得た。これ
らのアクリルエラストマーのムーニー粘度(ML1+4、100
℃)は、次の表2に示される。
(加硫) 得られたそれぞれのアクリルエラストマーについて、次
の表3に示される配合処方の配合物を60℃の8インチオ
ープンロールで30分間混練してシート状となし、これを
170℃で10分間プレス加硫をした後、オーブン中で150
℃、6時間の二次加硫を行なった。得られた加硫物につ
いて物性を測定し、その結果を表3に併記した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)アルキル基が1〜8個の炭素原子を有
    するアルキルアクリレートおよびアルキル基ならびにア
    ルキレン基がそれぞれ1〜4個の炭素原子を有するアル
    コキシアルキルアクリレートよりなる群から選ばれた少
    くとも1種のアクリレート単量体60〜99.9重量%、(b)5
    -アルキリデン-2-ノルボルネンと不飽和カルボン酸との
    付加反応生成物単量体10〜0.1重量%および(c)これらの
    単量体と共重合し得る少くとも1種の他の重合性単量体
    30〜0%を共重合させることを特徴とする、有機過酸化
    物で加硫可能なアクリルエラストマーの製造法。
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