JPH06292462A - 植物の栽培方法 - Google Patents

植物の栽培方法

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JPH06292462A
JPH06292462A JP10596693A JP10596693A JPH06292462A JP H06292462 A JPH06292462 A JP H06292462A JP 10596693 A JP10596693 A JP 10596693A JP 10596693 A JP10596693 A JP 10596693A JP H06292462 A JPH06292462 A JP H06292462A
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JP
Japan
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plant
spores
mycorrhizal
gigaspora
sieve
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JP10596693A
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English (en)
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Masakazu Sakai
昌和 坂井
Hideo Miyamoto
秀夫 宮本
Jin Miyamoto
人 宮本
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ギガスポラ( Gigaspora) 属に属するVA菌
根菌胞子を植物に接種して植物を栽培するにあたり、目
開き250μmの篩を通過しない胞子を80%以上含む
VA菌根菌胞子を用いることを特徴とする植物の栽培方
法。 【効果】 本発明の方法では、ギガスポラ( Gigaspora
)属に属するVA菌根菌であって、250μm以上の粒
径を有する胞子を用いているため、VA菌根菌胞子の活
性が高く、植物への感染率が高い。しかも、本発明の方
法においては、このようなものを用いているため、植物
の生育効果(生長促進効果)が高く、しかも安定した効
果を発現する。それ故、本発明は農業,園芸業等の分野
において極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業や園芸等の分野で
有用な植物の栽培方法に関し、詳しくは植物への感染率
が高く、植物の生育効果の高い植物の栽培方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】VA菌
根菌( Vesicular Arbuscular Mycorrhizae ) は、植物
の根に共生することにより、植物の生長を促進したり、
植物の耐病性等を向上させる働きがあり、その有用性は
古くから知られている(小川 眞著:VA菌根とその働
き,森林立地,第30(2)巻,第57〜65頁,19
88年.小林紀彦著:VA菌根菌と土壌病害への利用,
植物防疫,第42巻,第259〜266頁,1988年
など)。そしてギガスポラ( Gigaspora )属に属するV
A菌根菌を、該菌と共生する植物に施用し、植物を栽培
することが知られている(特開平3−81522号公
報、特開平4−320676号公報、特開昭63−87
973号公報、特開平3−76572号公報、特開平3
−247270号公報など)。しかしながら、これらの
方法では感染率が不充分であったり、安定した感染が得
られないという問題点があった。
【0003】本発明者らは、このような従来の問題点を
解消すべく鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、特
定の粒径を有するVA菌根菌胞子を用いることにより、
植物への感染率が著しく高くなり、しかも植物の生育効
果が高く、かつ安定した効果が得られることを見出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ギガ
スポラ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌胞子を植物
に接種して植物を栽培するにあたり、目開き250μm
の篩を通過しない胞子を80%以上含むVA菌根菌胞子
を用いることを特徴とする植物の栽培方法を提供するも
のである。
【0005】VA菌根菌は、土壌中に存在する接合菌の
一種であり、その菌糸が様々な植物の根について菌根を
形成し、両者が共生することが知られている。本発明の
方法においては、種々のVA菌根菌の中でも特に、ギガ
スポラ ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌を選択的に
用いる。
【0006】ここでギガスポラ ( Gigaspora )属に属す
るVA菌根菌としては種々のものがあり、具体的には例
えばギガスポラ・マルガリタ( Gigaspora margarita
),ギガスポラ・アルビダ( Gigaspora albida ),
ギガスポラ・ギガンタ( Gigaspora gigantea ),ギガ
スポラ・デシピエンス(Gigaspora decipiens),ギガス
ポラ・ロゼア( Gigaspora rosea )等を挙げることが
できる。これらのVA菌根菌の胞子粒径は、通常、それ
ぞれ200〜850μm,150〜450μm,200
〜800μm,300〜500μm,230〜305μ
mである。
【0007】これらギガスポラ ( Gigaspora )属に属す
るVA菌根菌は、自然界から篩等を用いて集めたり(鈴
木達彦著,VA菌根に関する諸問題5,農業および園
芸,第62巻,第3号,p28〜33,1987年)、
遠心分離により集めた(特開昭63−309178号公
報)ものを用いることができる。さらに、栄養薄膜培養
法(特開昭55−118390号公報)や器官培養した
根を使用する方法(特公昭62−49037号公報)等
により増殖させたものを用いることができる。また、無
機質や有機質の担体に付着させたギガスポラ ( Gigaspo
ra )属に属するVA菌根菌も使用することができる。
【0008】さらに、このようにして一旦集められたギ
ガスポラ ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌の胞子
を、宿主植物に感染させ、増殖して得られたものを用い
ることもできる。
【0009】この場合、ギガスポラ ( Gigaspora )属に
属するVA菌根菌を感染させる植物、すなわちギガスポ
ラ ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌培養のための宿
主植物としては、ギガスポラ ( Gigaspora )属に属する
VA菌根菌が感染する植物であれば特に制限はないが、
生長が速く、根がよく張る植物であって、かつギガスポ
ラ ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌が感染しやすい
植物が好適である。具体的には例えば、デントコーン,
メヒシバ,スダングラス,バヒアグラス,ギニアグラ
ス,ムギ,芝草等のイネ科植物、ダイズ,赤クローバ
ー,白クローバー,マングビーン,ピーナッツ,アルフ
ァルファ,カラスノエンドウ等のマメ科植物、ナス,ト
マト,ピーマン,シシトウ等のナス科植物、ネギ,玉ネ
ギ等のユリ科植物などが挙げられる。これらの植物は、
種や実生苗を用いる他、播種して育苗後、移植して栽培
したり、栄養繁殖したり、挿し芽,挿し木,接木,球根
等により増殖,栽培したりして用いられる。
【0010】上記のような宿主植物に、ギガスポラ ( G
igaspora )属に属するVA菌根菌を感染させる場合に用
いる基材(培地)としては、宿主植物が生育する基材な
らば特に制限はなく、様々なものを挙げることができ、
有機物であると、無機物であるとを問わない。無機物と
しては例えば、ゼオライト,発泡粘土(ブレー粘土),
タルク,パーライト,バーミキュライト,(焼成)赤玉
土,軽石,石灰岩,土,砂,コークス等を挙げることが
できる。また、有機物としては例えば、ピートモスなど
を挙げることができ、これらを複数併用した混合基材を
用いてもよい。但し、土着の雑菌の混入防止という観点
からは、滅菌処理(焼成処理を含む)した基材が好まし
く、例えば滅菌土壌,焼成赤玉土等を好適に使用するこ
とができる。
【0011】ギガスポラ ( Gigaspora )属に属するVA
菌根菌の宿主植物への接種・感染方法について述べる
と、施用時期としては宿主植物の発根前後のいずれであ
ってもよいが、特に播種時や挿し芽の前処理時、播種や
挿し芽と同時、或いは苗の移植時などが好ましい。ま
た、施用方法としては、VA菌根菌を前記の基材と混合
したり、根元に入れたり、種子や芽の下層に層状に施用
したり、或いは定植時の植え穴の中に施用したりするこ
とが好ましい。
【0012】VA菌根菌を植物へ感染させる場合、通
常、1植物体に対し、1〜1,000 個、好ましくは5〜50
0 個のギガスポラ ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌
胞子を植物へ接種すればよい。VA菌根菌を接種した植
物を、常法にて栽培することにより、例えば温度5〜6
0℃、好ましくは10〜40℃にて、基材のpH3〜
9.5、好ましくは4〜7.5の条件で栽培することに
より、VA菌根菌が植物の根に感染する。
【0013】このように宿主植物の発根と共に、ギガス
ポラ ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌の感染が成立
する。感染と同時に、ギガスポラ ( Gigaspora )属に属
するVA菌根菌が盛んに増殖し、VA菌根菌の菌糸が効
率よく伸長する。
【0014】さらにVA菌根菌感染植物に肥料等を与え
て、栄養生長を維持しながら、胞子形成を誘導する。こ
のようにして植物は栄養生長を続けながらも、VA菌根
菌は胞子を形成し始める。宿主植物の栽培は通常の条件
で行なえばよく、温度は通常、10〜40℃である。な
お、植物を旺盛に生育させるために肥料を与えるが、肥
料は調製したものであってもよいし、或いは市販のもの
であってもよい。また、固形肥料であってもよいし、施
肥を調節しやすいように、液体肥料(液肥)を与えても
よい。また、肥料中に含まれるリンの濃度は高すぎない
ようにすることが望ましく、好ましくは300ppm以
下とする。
【0015】このようにしてVA菌根菌感染植物の栄養
生長を維持するが、適当な時期に、ギガスポラ ( Gigas
pora )属に属するVA菌根菌の胞子形成を誘導する。た
とえば通常、栽培し始めてから2〜7ケ月程度経過し
て、植物が充分に生育し、VA菌根菌も増殖したところ
で水,栄養等の供給を絶ち、暫く放置すると、VA菌根
菌は胞子を形成する。すなわち、胞子密度が充分に上が
ったところで、基剤を回収し、胞子を得ればよい。本発
明の方法では、このようにして得られたギガスポラ ( G
igaspora )属に属するVA菌根菌の胞子を用いることも
できる。
【0016】本発明の方法は、上記の如くして得られる
ギガスポラ ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌の胞子
のうち、特定の粒径以上の胞子を、植物の栽培に用いる
点に特徴がある。すなわち、本発明の植物の栽培方法に
おいては、上記の如きVA菌根菌の胞子を篩にかけ、目
開き250μmの篩を通過しないVA菌根菌胞子、つま
り粒径が250μm以上のVA菌根菌胞子を、80%以
上含むものを用いる。ここで目開き250μmの篩と
は、タイラーの表示方法では、No.60 の篩、ASTM E-11-
61でもNo.60 の篩、BS 410-1962 でもNo.60 の篩を示
す。本発明の植物の栽培方法においては、好ましくは目
開き250μmの篩を通過しない胞子を90%以上含む
VA菌根菌胞子を用いる。
【0017】なお、VA菌根菌胞子を選別するのに用い
る篩としては、特に制限はないが、ステンレス製や真鍮
製のものが好ましい。
【0018】また、このようなVA菌根菌胞子単独だけ
ではなく、上記VA菌根菌胞子と無機鉱物とからなる混
合物(VA菌根菌胞子接種物)を、植物の栽培に用いる
ことができる。この場合に用いられる無機鉱物として
は、土着の雑菌の混入防止などという観点から、焼成赤
玉土,焼成アタパルジャイト及び焼成モンモリロナイト
のうちの少なくとも1種以上を含むものが好適である。
【0019】ここで焼成赤玉土は、赤玉土を200〜1
000℃の温度で焼成したものが好ましく、250〜8
50℃の温度で焼成したものがより好ましい。また、粒
径は特に制限はないが、0.3 〜5mmの範囲にあるもの
が好ましく、0.5 〜3mmの範囲にあるものがより好ま
しい。また、焼成アタパルジャイトと焼成モンモリロナ
イトは、いずれも200〜1300℃の温度で焼成した
ものが好ましく、300〜1000℃の温度で焼成した
ものがより好ましい。さらに、粒径は特に制限はない
が、0.3 〜5mmの範囲にあるものが好ましく、0.5 〜
3mmの範囲にあるものがより好ましい。
【0020】なお、無機鉱物として、例えば焼成アタパ
ルジャイト或いは焼成モンモリロナイトと、焼成赤玉土
との混合物を用いる場合には、焼成赤玉土を焼成アタパ
ルジャイト或いは焼成モンモリロナイトの5〜95容量
%、好ましくは30〜70容量%の割合で混合すればよ
い。このような無機鉱物は、前記VA菌根菌胞子とよく
混合し、VA菌根菌接種物の形で用いることができる。
【0021】本発明の方法では、上記の如く目開き25
0μmのふるいを通過しない胞子を80%以上含むVA
菌根菌胞子〔ギガスポラ( Gigaspora )属に属するVA
菌根菌胞子である。〕、或いはこのようなVA菌根菌胞
子と無機鉱物とからなるVA菌根菌胞子接種物を用いて
植物を栽培する。
【0022】本発明の方法が適用される植物としては特
に制限はないが、例えば、デントコーン,メヒシバ,ス
ダングラス,バヒアグラス,ギニアグラス,ムギ,芝草
等のイネ科植物、ダイズ,赤クローバー,白クローバ
ー,マングビーン,ピーナッツ,アルファルファ,カラ
スノエンドウ等のマメ科植物、ナス,トマト,ピーマ
ン,シシトウ等のナス科植物、ネギ,玉ネギ等のユリ科
植物などが挙げられる。
【0023】本発明の方法においては、上記の如く特定
のVA菌根菌胞子、或いはこのようなVA菌根菌胞子と
無機鉱物とからなるVA菌根菌胞子接種物を用いて植物
を栽培すればよく、植物の栽培自体は通常の方法や条件
で行なえばよい。
【0024】例えば上記の如く特定のVA菌根菌胞子、
或いはこのようなVA菌根菌胞子と無機鉱物とからなる
VA菌根菌胞子接種物の施用時期としては、植物の発根
前後のいずれであってもよいが、特に播種時や挿し芽の
前処理時、播種や挿し芽と同時、或いは苗の移植時など
が好ましい。また、施用方法としては、上記の如く特定
のVA菌根菌胞子、或いはこのようなVA菌根菌胞子と
無機鉱物とからなるVA菌根菌胞子接種物を、植物の根
元に入れたり、種子や芽の下層に層状に施用したり、或
いは定植時の植え穴の中に施用したりすることが好まし
い。
【0025】また、上記の如く特定のVA菌根菌胞子、
或いはこのようなVA菌根菌胞子と無機鉱物とからなる
VA菌根菌胞子接種物は通常、1植物体に対し、1〜1,
000個、好ましくは5〜500 個の割合で施用すればよ
い。このようにVA菌根菌胞子を施用した植物を、常法
にて栽培することにより、例えば温度5〜60℃、好ま
しくは10〜40℃にて、基材のpH3〜9.5、好ま
しくは4〜7.5の条件で栽培することにより、VA菌
根菌が植物の根に感染する。
【0026】このように植物の発根と共に、ギガスポラ
( Gigaspora )属に属するVA菌根菌の感染が成立し、
感染と同時に、ギガスポラ ( Gigaspora )属に属するV
A菌根菌が盛んに増殖し、VA菌根菌の菌糸が効率よく
伸長する。さらに、VA菌根菌感染植物に肥料等を与え
ると、植物は旺盛に生育する。肥料は調製したものであ
ってもよいし、或いは市販のものであってもよい。ま
た、固形肥料であってもよいし、施肥を調節しやすいよ
うに、液体肥料(液肥)を与えてもよい。また、肥料中
に含まれるリンの濃度は高すぎないようにすることが望
ましく、好ましくは300ppm以下とする。
【0027】本発明の方法によれば、上記の如く特定の
VA菌根菌胞子、或いはこのようなVA菌根菌胞子と無
機鉱物とからなるVA菌根菌胞子接種物を、植物の栽培
時、例えば野菜・果樹苗の育苗時や鑑賞用植物の栽培時
等に施用することにより、これら植物に高い感染率でギ
ガスポラ ( Gigaspora )属に属するVA菌根菌を感染さ
せ、植物の良好な生育を図ることができる。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例により、さらに詳しく説
明する。 実施例1及び比較例1,2 25穴連結ポット(1ポットの大きさ:5cm×5cm
×5cm)のうち、両側及び中央の計3列(1列5ポッ
ト)に、焼成赤玉土(粒径3mm〜0.5 mm)を深さ
2.5cmまで敷き詰めた。そのうちの端1列のポットに
は、予め増殖させて取得した胞子のうち250μmの篩
を通過しなかった(粒径250μm以上の)ギガスポラ
・マルガリタ( Gigaspora margarita ) 〔なお、本菌は
工業技術院生命工学工業技術研究所(旧名称:工業技術
院微生物工業技術研究所)において受託を拒否され
た。〕の胞子を30個接種した(実施例1)。また、中
央の1列のポットには、篩で分離する前のギガスポラ・
マルガリタ(Gigaspora margarita ) の胞子(250μ
mの篩を通過しない胞子の割合が70%であった。)を
30個接種した(比較例1)。最後に、残り1列のポッ
トには、250μmの篩を通過し、かつ150μmの篩
に残った(粒径250μm未満の)胞子を30個接種し
た(比較例2)。さらに、それぞれの胞子上に、上記と
同様の焼成赤玉土を深さ2cmまで敷き詰め、その表面
に赤クローバーの種子を5粒播いた後、上記と同様の焼
成赤玉土で軽く覆土した。
【0029】このようにセットした連結ポットに、洗び
んを用いて脱塩水を各ポットに添加し、焼成赤玉土が充
分湿めるまで添加した。その後、連結ポットの底穴より
焼成赤玉土がこぼれないようにプラスチックトレーの上
に載せ、照明付インキュベーター内に、一日(24時
間)を16時間明条件(20,000ルックス,30℃)及び
8時間暗条件(25℃)のサイクルで放置した。
【0030】2日毎に、給水を繰り返しながら、3週間
培養した後、各区5ポットのうちから3ポットずつ採取
した。赤クローバーに付いた根を、水道水を緩く流した
中に漬け、指で軽く焼成赤玉土を除去した。得られた赤
クローバーを下記に示す方法で染色し、赤クローバーに
感染しているギガスポラ・マルガリタ( Gigaspara mar
garita )の部位の割合を感染率として計測した。得られ
た各区3ポットの感染率の平均値を第1表に示す。さら
に、5週間培養した後、残り2ポットずつ回収し、同様
に感染率を計測した。結果を第1表に示す。
【0031】なお、感染率の測定は、以下の方法により
行なった。 〔感染率の測定方法〕 次の手順により、トリパンブルーを用いて染色した。 (ア)感染させた植物根を水できれいに洗った。 (イ)水を切った根をビーカーに入れ、10%KOHで
1時間弱く沸騰させながら煮た。 (ウ)根が着色している場合は、10%KOHを水です
すいで除去した後、10倍に薄めた過酸化水素(約3
%)液で5分間脱色し、さらに水洗した。 (エ)次に、下記に示す組成を有するラクトフェノール
−トリパンブルー染色液に根を浸し、5〜30分間弱く
沸騰させて染色した。 *ラクトフェノール−トリパンブルー染色液の組成 石炭酸(フェノール) 200ml 蒸留水 200ml 乳酸 200ml グリセリン 400ml トリパンブルー 1g 合計 1000ml (オ)根を水洗し、実体顕微鏡で観察した。 感染率の算出法 1cm間隔のグリッドの上に、上記のようにして染色し
たサンプルを載せ、実体顕微鏡により、グリッド上20
0箇所の中、染色した箇所を計数して感染率とした。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2及び比較例3,4 ギガスポラ・マルガリタ( Gigaspora margarita ) の代
わりに、ギガスポラ・アルビダ( Gigaspora albida )の
胞子を用いたこと以外は、実施例1及び比較例1,2と
同様に行ない、それぞれ実施例2、比較例3,4とし
た。但し、5ポットともすべて3週間の時点で回収し
た。各区5ポットの感染率を測定した結果の平均値を第
2表に示す。
【0034】
【表2】
【0035】実施例3及び比較例5 実施例1(250μm以上の胞子のみ)及び比較例2
(250μm未満の胞子のみ)で用いたギガスポラ・マ
ルガリタ( Gigaspora margarita ) の胞子を、それぞれ
別々にガラス製の蒸発皿(直径60mm)に約200個
加え、その中に殺菌水を10ml加え、超音波洗浄器で
5秒間処理し、胞子表面に付着している土壌などを除去
した。その後、殺菌水で2回洗浄後、2%クロラミン
T,0.02%ストレプトマイシン溶液を10ml添加し、
15分間室温で放置した。その後、上記溶液を除去し、
殺菌水で5回洗浄した。
【0036】このようにして得られた滅菌済み胞子を発
芽試験に供した。すなわち、殺菌水を殺菌シャーレに加
え、その上に直径25mmのヌクレオポア(ヌクレオポ
ア社製)を浮かべ、各ヌクレオポア当り10胞子となる
ように、合計50胞子を発芽試験に供した。その後、3
0℃インキュベーターに保存し、4週間目に50胞子す
べてについて、1胞子当りに出ている菌糸の本数を計測
した。得られた結果を1胞子当りの平均値として第3表
に示す。
【0037】
【表3】
【0038】実施例4,5及び比較例6,7 150ml容のビニールポットに、800℃で焼成した
赤玉土を深さ約3分の2まで敷き詰め、その上にギガス
ポラ・マルガリタ( Gigaspara margarita ) の胞子を5
0個接種した。その上に、上記と同様の赤玉土を残りの
深さ約3分の1に敷いた。その上にさらに、赤クローバ
ーの種子を5粒、土の中へ軽くピンセットで押し込むよ
うに播種した。このようなポットを5個用意した。そし
て、この5個のポットをゆっくりと灌水後、25〜30
℃の温度にコントロールされているガラス温室内で1ヶ
月栽培した。その後1.5リットル容のプラスチック鉢
へ、上記と同様の焼成赤玉土を敷き詰めながら移植し
た。そして、下記に示す液肥を、週1回各鉢200ml
づつ散布しながら、さらに2ヶ月栽培した。その後、灌
水や液肥の供給を止め、そのまま1ヶ月間放置させ、胞
子形成をさせた。
【0039】なお、液肥としては、次の(1)に示す微
量金属栄養素液と、(2)に示す栄養液肥を用い、
(1)の微量金属栄養素液を100倍に希釈し、この希
釈液1リットル当り、(2)の栄養液肥を10g混合
し、さらに硫酸マグネシウム・7水塩を0.25g加えて調
製した。 (1)微量金属栄養素液の組成 Fe・EDTA 0.12g H2 BO3 2.86g MnCl2 ・4H2 O 0.18g ZnSO4 ・7H2 O 0.22g CuSO4 ・5H2 O 0.08g Na2 MoO4 ・2H2 O 0.027g CoSO4 ・6H2 O 0.053g CaCl2 1.0g Al2(SO4)2 0.10g Kl 0.10g KBr 0.10g H2 O 10リットル (2)栄養液肥の組成 普通液肥(N:P:K=15:6:6)
【0040】上記のようにして得られた胞子を、ウェッ
トシービング法により分画し、目開き850μmの篩を
通過し、目開き250μmの篩に残った胞子(画分A)
と、目開き250μmの篩を通過し、目開き106μm
の篩に載った胞子(画分B)とを取得した。画分A,B
を別々のビーカーに入れ、焼成赤玉土の表層に浮遊して
いる胞子を駒込ピペットで分取した。これを数回繰り返
しながら、粒径250μm以上850μm以下の胞子
(画分C)と、粒径106μm以上250μm未満の胞
子(画分D)とを、各々1500胞子分取した。
【0041】得られた画分C,画分Dとも、デカンテー
ションにより不要な水を流した後、600℃で焼成した
アタパルジャイト(粒径0.5 〜1.5 mm)をそれぞれ3
0gずつ加え、胞子とよく混合した。このようにして画
分Cを含む接種物Aと、画分Dを含む接種物Bとを得
た。得られた接種物Aと接種物Bの1g中に含まれる胞
子数を調べたところ、10回のサンプリングの平均値
は、接種物Aの場合には46.7胞子/g,接種物Bの場合
には47.3胞子/gであった。これら接種物Aと接種物B
を、4℃の冷蔵庫で1ヶ月間放置し、その後、常温(2
0〜25℃)で2週間放置した。
【0042】次に、これら接種物Aと接種物Bとを用い
て以下の試験を行なった。臭化メチルで殺菌した完熟腐
葉土と焼成赤玉土(上記と同様のもの)を1:1で混合
し、水で湿らせたものを、150ml容のビニールポッ
トに上から1cmのところまで詰めた。その後、外径1
5mmの試験管を用いて深さ3cmの穴を開けた。この
ようにして作製したポットを20個用意した。そのうち
の10個のポットには、接種物Aを1gずつ、穴の底部
から側面に均等になるように注意深く施用した(実施例
4)。また、残る10個のポットには接種物Bを、1g
ずつ同様に施用した(比較例6)。
【0043】これらの接種物を施用した各ポットに、予
め殺菌完熟腐葉土を用いてガラス温室(20〜30℃の
温度にコントロール)で育てておいたナス(品種:千両
二号)であって、播種後4週間を経て本葉が2枚出てい
る苗を、根部の腐葉土を軽く水洗除去した後、移植し
た。その根部へ接種物(接種物A或いは接種物B)が触
れるように土寄せした後、さらにガラス温室(20〜3
0℃の温度にコントロール)で1ヶ月間栽培した。
【0044】その後、各区5ポットからナスの苗を回収
し、根部に付着した腐葉土,焼成赤玉土を、水を流しな
がら丁寧に除去した。得られた苗の根部を切断した後、
実施例1及び比較例1,2と同様にして染色を行ない感
染率を求めた。接種物Aおよび接種物Bの各5ポットの
平均値を感染率として第4表に示す。
【0045】
【表4】
【0046】残りの各区5ポットは、さらに3週間同じ
ガラス温室にて栽培を続けた。その際、移植後1ヶ月目
の時点で、ピータース液肥(N:P:K=20:20:
20)1000倍液を各ポット50mlずつ施用した。
このようにして得られた各区5ポットの植物の地上部と
地下部の1植物体当りの生育調査を、接種物A(実施例
5)及び接種物B(比較例7)について行なった。結果
を第5表に示す。
【0047】
【表5】
【0048】
【発明の効果】本発明の方法では、ギガスポラ( Gigas
pora )属に属するVA菌根菌であって、250μm以上
の粒径を有する胞子を用いているため、VA菌根菌胞子
の活性が高く、植物への感染率が高い。しかも、本発明
の方法においては、このようなものを用いているため、
植物の生育効果(生長促進効果)が高く、しかも安定し
た効果を発現する。それ故、本発明は農業,園芸業等の
分野において極めて有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ギガスポラ( Gigaspora )属に属するV
    A菌根菌胞子を植物に接種して植物を栽培するにあた
    り、目開き250μmの篩を通過しない胞子を80%以
    上含むVA菌根菌胞子を用いることを特徴とする植物の
    栽培方法。
  2. 【請求項2】 VA菌根菌胞子とともに、無機鉱物とか
    らなるVA菌根菌胞子接種物を用いる請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 無機鉱物として、焼成赤玉土,焼成アタ
    パルジヤイト及び焼成モンモリロナイトのうち少なくと
    も1種以上を含むものを用いる請求項2記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114208464A (zh) * 2021-12-14 2022-03-22 华南农业大学 一种可肥料回收再利用的丛枝菌根真菌应用装置及方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114208464A (zh) * 2021-12-14 2022-03-22 华南农业大学 一种可肥料回收再利用的丛枝菌根真菌应用装置及方法
CN114208464B (zh) * 2021-12-14 2023-01-31 华南农业大学 一种可肥料回收再利用的丛枝菌根真菌应用装置及方法

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