JPH06290867A - マイクロ波加熱装置 - Google Patents
マイクロ波加熱装置Info
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- JPH06290867A JPH06290867A JP5093842A JP9384293A JPH06290867A JP H06290867 A JPH06290867 A JP H06290867A JP 5093842 A JP5093842 A JP 5093842A JP 9384293 A JP9384293 A JP 9384293A JP H06290867 A JPH06290867 A JP H06290867A
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- JP
- Japan
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- zone
- heating
- microwave
- temperature
- oven
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- Pending
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- Constitution Of High-Frequency Heating (AREA)
- Control Of High-Frequency Heating Circuits (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 誘電体損失係数が昇温とともに増大する処理
物も連続処理できるようにすることを目的とする。 【構成】 オーブン内を仕切り板によって複数のゾーン
に区分し、各ゾーンごとに処理物の加熱状態をセンサに
よって検知し、各ゾーンでの処理物の加熱状態に前のゾ
ーンでの加熱履歴を加味して演算処理により該ゾーンの
マイクロ波出力を制御する構成とした。
物も連続処理できるようにすることを目的とする。 【構成】 オーブン内を仕切り板によって複数のゾーン
に区分し、各ゾーンごとに処理物の加熱状態をセンサに
よって検知し、各ゾーンでの処理物の加熱状態に前のゾ
ーンでの加熱履歴を加味して演算処理により該ゾーンの
マイクロ波出力を制御する構成とした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、処理物をアプリケータ
内に連続的に供給し搬送させながらマイクロ波によって
加熱処理する工業用のマイクロ波加熱装置に関する。
内に連続的に供給し搬送させながらマイクロ波によって
加熱処理する工業用のマイクロ波加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工業用のマイクロ波加熱装置で
は、作業効率を上げるために処理物をアプリケータ内に
連続的に供給し搬送させながら加熱処理する方式が開発
され普及している。搬送には、ベルトによる一般的な方
法から圧送、風送、スクリューによる方法、アプリケー
タ自体の回転による方法、処理物の落下による方法等が
あり、処理物が比較的大きな固体のような場合には、イ
ンデックス方式により処理物を半連続的に搬送させるな
ど、処理物の材質、形状、大きさ等に適した搬送方法が
採られている。一方、マイクロ波加熱は、他の加熱方法
に比べ、出力の微細な制御が可能な上、加熱時のマイク
ロ波出力と処理物の昇温、乾燥時の相関関係が比較的容
易に得られるため、温度による微細な変質、変色等の防
止が容易である。
は、作業効率を上げるために処理物をアプリケータ内に
連続的に供給し搬送させながら加熱処理する方式が開発
され普及している。搬送には、ベルトによる一般的な方
法から圧送、風送、スクリューによる方法、アプリケー
タ自体の回転による方法、処理物の落下による方法等が
あり、処理物が比較的大きな固体のような場合には、イ
ンデックス方式により処理物を半連続的に搬送させるな
ど、処理物の材質、形状、大きさ等に適した搬送方法が
採られている。一方、マイクロ波加熱は、他の加熱方法
に比べ、出力の微細な制御が可能な上、加熱時のマイク
ロ波出力と処理物の昇温、乾燥時の相関関係が比較的容
易に得られるため、温度による微細な変質、変色等の防
止が容易である。
【0003】図6は従来のコンベア式マイクロ波加熱装
置の一例の構成を示す。図において1は処理物、2はベ
ルト、3はベルト2を駆動するモータ、4はアプリケー
タのオーブン、5はマイクロ波発生装置である。処理物
1がベルト2上に乗ってオーブン4内を連続して加熱条
件に合った速度で進行し、処理物1がオーブン4内の所
定の位置に到達すると、マイクロ波発生装置5からオー
ブン4内にマイクロ波が投入され、処理物1の進行につ
れて所定の状態に加熱処理されていく。この種のマイク
ロ波加熱装置では、通常、オーブン内やオーブン出口に
品温センサを取り付け、マイクロ波出力をフィードバッ
ク制御することにより品質の安定化を計る手段が実用に
供されており、また、オーブン内のマイクロ波分布がで
きる限り均一になるように、オーブン4の寸法やマイク
ロ波の投入位置などが設定されており、オーブン内電界
を攪拌するためのスタラーファンが取り付けられている
のが普通である。また、最初弱く後半強く加熱するよう
な場合は、オーブン4内を仕切り板で複数のゾーンに区
分し、各ゾーンごとにマイクロ波出力を加減し、加熱の
時期に対するエネルギー調整を行ない、品質の向上を計
る構成が採られている。
置の一例の構成を示す。図において1は処理物、2はベ
ルト、3はベルト2を駆動するモータ、4はアプリケー
タのオーブン、5はマイクロ波発生装置である。処理物
1がベルト2上に乗ってオーブン4内を連続して加熱条
件に合った速度で進行し、処理物1がオーブン4内の所
定の位置に到達すると、マイクロ波発生装置5からオー
ブン4内にマイクロ波が投入され、処理物1の進行につ
れて所定の状態に加熱処理されていく。この種のマイク
ロ波加熱装置では、通常、オーブン内やオーブン出口に
品温センサを取り付け、マイクロ波出力をフィードバッ
ク制御することにより品質の安定化を計る手段が実用に
供されており、また、オーブン内のマイクロ波分布がで
きる限り均一になるように、オーブン4の寸法やマイク
ロ波の投入位置などが設定されており、オーブン内電界
を攪拌するためのスタラーファンが取り付けられている
のが普通である。また、最初弱く後半強く加熱するよう
な場合は、オーブン4内を仕切り板で複数のゾーンに区
分し、各ゾーンごとにマイクロ波出力を加減し、加熱の
時期に対するエネルギー調整を行ない、品質の向上を計
る構成が採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】オーブン内を区切って
ない従来のマイクロ波加熱装置では、オーブン内のマイ
クロ波分布が均一なために、処理物の誘電体損失係数ε
・tanδが図7に示すように温度とともに増大するよ
うな場合には、処理物の先頭部が昇温すると、先頭部が
後続部よりマイクロ波吸収がよくなり、先頭部が加速度
的に加熱され、発火に到るなど危険な状態が生ずるた
め、連続的な処理ができないという問題があった。上記
問題解決のため、バッチ式加熱の考えを採り入れ、オー
ブン内に処理物を満たして全体を同時に加熱する方法で
は、処理物供給の時間が長くなり、インデックス送りの
間マイクロ波投入を停止しなければならず、前後装置と
の処理物の授受をスムーズに行なうことが難しく、又、
フィードバックによる品温制御が行なえず、品質は、オ
ーブン内の電界分布や処理物の初期状態に大きく影響を
受け、安定した品質が得られないという問題があった。
ない従来のマイクロ波加熱装置では、オーブン内のマイ
クロ波分布が均一なために、処理物の誘電体損失係数ε
・tanδが図7に示すように温度とともに増大するよ
うな場合には、処理物の先頭部が昇温すると、先頭部が
後続部よりマイクロ波吸収がよくなり、先頭部が加速度
的に加熱され、発火に到るなど危険な状態が生ずるた
め、連続的な処理ができないという問題があった。上記
問題解決のため、バッチ式加熱の考えを採り入れ、オー
ブン内に処理物を満たして全体を同時に加熱する方法で
は、処理物供給の時間が長くなり、インデックス送りの
間マイクロ波投入を停止しなければならず、前後装置と
の処理物の授受をスムーズに行なうことが難しく、又、
フィードバックによる品温制御が行なえず、品質は、オ
ーブン内の電界分布や処理物の初期状態に大きく影響を
受け、安定した品質が得られないという問題があった。
【0005】一方、オーブン内を区切った場合には、加
熱の時期によって加えるマイクロ波エネルギーの量を加
減し、処理物の加熱特性に合わせて加熱できるので、通
常の処理物では品質の確保には有効であるが、処理物の
ε・tanδが温度とともに変化(増大)する場合、オ
ーブン内の電界分布や処理物の初期状態によってできた
昇温のばらつきや処理物のエネルギーレベルは制御能力
の限度を越え、適正な制御ができず、品質の確保が難し
い。
熱の時期によって加えるマイクロ波エネルギーの量を加
減し、処理物の加熱特性に合わせて加熱できるので、通
常の処理物では品質の確保には有効であるが、処理物の
ε・tanδが温度とともに変化(増大)する場合、オ
ーブン内の電界分布や処理物の初期状態によってできた
昇温のばらつきや処理物のエネルギーレベルは制御能力
の限度を越え、適正な制御ができず、品質の確保が難し
い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来の上記の
ような問題を解決するため、オーブン内を仕切り板によ
って処理物の搬送方向に複数のゾーンに区切り、各ゾー
ンごとに該ゾーンにマイクロ波を供給するマイクロ波発
生装置を設け、各ゾーンごとに該ゾーンにおける処理物
の加熱状態を検知するセンサを設け、中央演算処理装置
(CPU)によって各ゾーンでの加熱条件を前のゾーン
での加熱履歴と該ゾーンでの加熱状態から算出し、各ゾ
ーンごとに設けたマイクロ波発生装置の出力を該ゾーン
での加熱条件に合わせて制御する構成とした。
ような問題を解決するため、オーブン内を仕切り板によ
って処理物の搬送方向に複数のゾーンに区切り、各ゾー
ンごとに該ゾーンにマイクロ波を供給するマイクロ波発
生装置を設け、各ゾーンごとに該ゾーンにおける処理物
の加熱状態を検知するセンサを設け、中央演算処理装置
(CPU)によって各ゾーンでの加熱条件を前のゾーン
での加熱履歴と該ゾーンでの加熱状態から算出し、各ゾ
ーンごとに設けたマイクロ波発生装置の出力を該ゾーン
での加熱条件に合わせて制御する構成とした。
【0007】
【作用】上記のような構成にすると、各ゾーンごとに該
ゾーンに設けたマイクロ波発生装置のマイクロ波出力が
該ゾーンでの加熱状態に前のゾーンでの加熱履歴を加味
して制御されるので、処理物のε・tanδが昇温とと
もに増大する場合でも、後続部の加熱に何等影響を及ぼ
すことなく、先頭部の過度の加熱が抑えられ、連続的加
熱によって品質を確保できる。
ゾーンに設けたマイクロ波発生装置のマイクロ波出力が
該ゾーンでの加熱状態に前のゾーンでの加熱履歴を加味
して制御されるので、処理物のε・tanδが昇温とと
もに増大する場合でも、後続部の加熱に何等影響を及ぼ
すことなく、先頭部の過度の加熱が抑えられ、連続的加
熱によって品質を確保できる。
【0008】
【実施例】図1は本発明の一実施例の構成を示す。オー
ブン4内を仕切り板6によって処理物1の搬送方向に複
数のゾーンに区切り、各ゾーンごとに該ゾーンにマイク
ロ波を供給するマイクロ波発生装置51、52、53、
54を設け、各ゾーンごとに該ゾーンにおける処理物1
の加熱状態を検知するセンサ7を設け、中央演算処理装
置(CPU)8によって各ゾーンでの加熱条件を前のゾ
ーンでの加熱履歴と該ゾーンでの加熱状態から算出し、
各ゾーンに投入されるマイクロ波出力を該ゾーンでの加
熱条件に合わせて制御する構成とした。
ブン4内を仕切り板6によって処理物1の搬送方向に複
数のゾーンに区切り、各ゾーンごとに該ゾーンにマイク
ロ波を供給するマイクロ波発生装置51、52、53、
54を設け、各ゾーンごとに該ゾーンにおける処理物1
の加熱状態を検知するセンサ7を設け、中央演算処理装
置(CPU)8によって各ゾーンでの加熱条件を前のゾ
ーンでの加熱履歴と該ゾーンでの加熱状態から算出し、
各ゾーンに投入されるマイクロ波出力を該ゾーンでの加
熱条件に合わせて制御する構成とした。
【0009】処理物1はベルト2によってオーブン4内
を連続して搬送され、オーブン4内の各ゾーンで各ゾー
ンごとに設けられたマイクロ波発生装置から投入される
マイクロ波により順次加熱処理されていく。マイクロ波
の加熱エネルギーはマイクロ波出力と時間の積である。
処理物1の先頭部がオーブン4内に入った直後から最初
のゾーンのマイクロ波出力を一定の水準に上げると、先
頭部が受ける単位重量あたりのエネルギー量は後続部が
受けるエネルギー量より多くなり、先頭部がオーバーヒ
ートすることが明白である。それを防ぐために、処理物
が最初のゾーンに入った際、処理物の進行につれて該ゾ
ーンに供給するマイクロ波出力を徐々に大きくして、該
ゾーンに存在する処理物の量に応じたマイクロ波を投入
する。処理物の後端部が出口に近づいた時は、後端部の
オーバーヒートを防ぐために、最後のゾーンに供給する
マイクロ波出力を徐々に下げ、該ゾーンに存在する処理
物の量に応じたマイクロ波を投入する。
を連続して搬送され、オーブン4内の各ゾーンで各ゾー
ンごとに設けられたマイクロ波発生装置から投入される
マイクロ波により順次加熱処理されていく。マイクロ波
の加熱エネルギーはマイクロ波出力と時間の積である。
処理物1の先頭部がオーブン4内に入った直後から最初
のゾーンのマイクロ波出力を一定の水準に上げると、先
頭部が受ける単位重量あたりのエネルギー量は後続部が
受けるエネルギー量より多くなり、先頭部がオーバーヒ
ートすることが明白である。それを防ぐために、処理物
が最初のゾーンに入った際、処理物の進行につれて該ゾ
ーンに供給するマイクロ波出力を徐々に大きくして、該
ゾーンに存在する処理物の量に応じたマイクロ波を投入
する。処理物の後端部が出口に近づいた時は、後端部の
オーバーヒートを防ぐために、最後のゾーンに供給する
マイクロ波出力を徐々に下げ、該ゾーンに存在する処理
物の量に応じたマイクロ波を投入する。
【0010】図2はオーブン4を複数のゾーンに区切る
仕切り板6の構造の一例を示し、図3はオーブン4の各
ゾーンごとにマイクロ波発生装置を設けた構造の一例を
示す。仕切り板6は、処理物1を連続して搬送できるよ
うに、ベルト2と処理物2が通過する穴を設け、さら
に、マイクロ波遮断の効果を上げるための板9を設け
た。処理物1の誘電体損失係数ε・tanδが図7に示
すように温度とともに増大するような場合(このような
特性の処理物は比較的多く、昇温により物理的性質が変
化するものや、昇温により化学変化が生ずるものなどは
この特性のものが多い)、先頭部の昇温をサーマルラン
ナウェイが起こらないように抑えて連続加熱処理するこ
とができない。図1に示す実施例では、処理物1の先頭
部が最初のゾーンに入ると、該ゾーン内に処理物1が行
き渡る迄、該ゾーンに設けられたマイクロ波発生装置5
1の出力は徐々に増大していくようになっており、各ゾ
ーンは、処理物がその誘電体損失係数が大幅に変化しな
い範囲しか昇温しないようになっている。すなわち、オ
ーブン4内を、制御能力と誘電体損失係数と昇温の割合
に応じて、各ゾーンで大幅な誘電体損失係数の変化が、
起こらないように区切った。誘電体損失係数の変化があ
る温度付近で急峻な場合は、その急峻なポイント付近を
微細に区切って、各ゾーンで誘電体損失係数が大幅に変
化しない構造とする。
仕切り板6の構造の一例を示し、図3はオーブン4の各
ゾーンごとにマイクロ波発生装置を設けた構造の一例を
示す。仕切り板6は、処理物1を連続して搬送できるよ
うに、ベルト2と処理物2が通過する穴を設け、さら
に、マイクロ波遮断の効果を上げるための板9を設け
た。処理物1の誘電体損失係数ε・tanδが図7に示
すように温度とともに増大するような場合(このような
特性の処理物は比較的多く、昇温により物理的性質が変
化するものや、昇温により化学変化が生ずるものなどは
この特性のものが多い)、先頭部の昇温をサーマルラン
ナウェイが起こらないように抑えて連続加熱処理するこ
とができない。図1に示す実施例では、処理物1の先頭
部が最初のゾーンに入ると、該ゾーン内に処理物1が行
き渡る迄、該ゾーンに設けられたマイクロ波発生装置5
1の出力は徐々に増大していくようになっており、各ゾ
ーンは、処理物がその誘電体損失係数が大幅に変化しな
い範囲しか昇温しないようになっている。すなわち、オ
ーブン4内を、制御能力と誘電体損失係数と昇温の割合
に応じて、各ゾーンで大幅な誘電体損失係数の変化が、
起こらないように区切った。誘電体損失係数の変化があ
る温度付近で急峻な場合は、その急峻なポイント付近を
微細に区切って、各ゾーンで誘電体損失係数が大幅に変
化しない構造とする。
【0011】各ゾーンを区切った仕切り板6には穴があ
いているために、各ゾーンが隣のゾーンのマイクロ波の
影響を完全に受けないようにすることが難しい。これに
対しては、例えば、第1のゾーンでの昇温状態から第2
のゾーンに与える影響を演算して決定するプログラムを
組み込むことにより補正できる。処理物の加熱開始、加
熱終了時点では、例えば、マイクロ波出力が0のときと
増加するときでは隣のゾーンに与える影響に差が生ずる
ため、より精密な制御を行なうには、このことをプログ
ラムに組み込む必要がある。マイクロ波加熱装置は他の
加熱方法に比べ、マイクロ波出力と昇温の相関関係が容
易に得られるために、演算処理が比較的単純に行なえ
る。マイクロ波の隣のゾーンに与える影響は、仕切り板
6の穴(隙間)の大きさによって異なるが、2450M
HZ のオーブンにおいて、仕切り板6の隙間が50mm
程度で、第1のゾーンにマイクロ波を投入し第2のゾー
ンの品温測定を行なう方法で調べたところ、第1のゾー
ンでの処理物の昇温(ΔT)に対し第2のゾーンにおけ
る処理物の第1のゾーンからのマイクロ波による昇温は
5%程度に抑えられる。
いているために、各ゾーンが隣のゾーンのマイクロ波の
影響を完全に受けないようにすることが難しい。これに
対しては、例えば、第1のゾーンでの昇温状態から第2
のゾーンに与える影響を演算して決定するプログラムを
組み込むことにより補正できる。処理物の加熱開始、加
熱終了時点では、例えば、マイクロ波出力が0のときと
増加するときでは隣のゾーンに与える影響に差が生ずる
ため、より精密な制御を行なうには、このことをプログ
ラムに組み込む必要がある。マイクロ波加熱装置は他の
加熱方法に比べ、マイクロ波出力と昇温の相関関係が容
易に得られるために、演算処理が比較的単純に行なえ
る。マイクロ波の隣のゾーンに与える影響は、仕切り板
6の穴(隙間)の大きさによって異なるが、2450M
HZ のオーブンにおいて、仕切り板6の隙間が50mm
程度で、第1のゾーンにマイクロ波を投入し第2のゾー
ンの品温測定を行なう方法で調べたところ、第1のゾー
ンでの処理物の昇温(ΔT)に対し第2のゾーンにおけ
る処理物の第1のゾーンからのマイクロ波による昇温は
5%程度に抑えられる。
【0012】図4は本発明の一実施例の制御の流れを示
す。従来のフィードバック制御は、各ゾーンごとに該ゾ
ーンでの処理物の品温を検知し、この検知信号によって
該ゾーンのマイクロ波出力を加減し品温のコントロール
を行なう。本発明の制御は、従来のフィードバック制御
のように、処理物の品温を検出し、該ゾーンのマイクロ
波出力を該ゾーンの品温のみでコントロールするのでは
なく、前のゾーンでのマイクロ波出力の電力量、すなわ
ち、何Kwのマイクロ波出力を何秒間受けたかの積分電
力量を求め、その数値を反比例定数として現在の状態
(しきい値に対し品温が高いか低いか)を判断し、マイ
クロ波出力を制御する。例えば、第1のゾーンでの加熱
状態と第2のゾーンでの加熱状態を検知することにより
把握できる加熱履歴を第2のゾーンで得られた加熱状態
での判断に使用する。加えられたマイクロ波エネルギー
量により処理物のエネルギーレベルが判り、誘電体損失
係数が急上昇するポイントか、そのポイントがどの位置
なのかを知ることができ、ゾーンの検知位置から次のゾ
ーンの検知位置までの搬送の間にオーバーヒートしたり
することのないようにマイクロ波出力を制御できる。ベ
ルト速度が90mm/分、第1のゾーンと第2のゾーン
の検出位置距離が1200mmの場合(区間通過時間は
13.3分となる)単位重量あたりのマイクロ波電力量
は時間が長いため大きく、従来の制御方法ではオーバー
ヒート、発火が発生するが、本発明の制御方法によると
品質を確保できる。この場合は、処理物1が第1のゾー
ンの検知位置から第2のゾーンの検知位置に到るまで1
3分間盲目的に加熱されるに等しく、従って、加熱履歴
を考慮してマイクロ波出力条件を決定しなければ、品質
の確保が難しい。
す。従来のフィードバック制御は、各ゾーンごとに該ゾ
ーンでの処理物の品温を検知し、この検知信号によって
該ゾーンのマイクロ波出力を加減し品温のコントロール
を行なう。本発明の制御は、従来のフィードバック制御
のように、処理物の品温を検出し、該ゾーンのマイクロ
波出力を該ゾーンの品温のみでコントロールするのでは
なく、前のゾーンでのマイクロ波出力の電力量、すなわ
ち、何Kwのマイクロ波出力を何秒間受けたかの積分電
力量を求め、その数値を反比例定数として現在の状態
(しきい値に対し品温が高いか低いか)を判断し、マイ
クロ波出力を制御する。例えば、第1のゾーンでの加熱
状態と第2のゾーンでの加熱状態を検知することにより
把握できる加熱履歴を第2のゾーンで得られた加熱状態
での判断に使用する。加えられたマイクロ波エネルギー
量により処理物のエネルギーレベルが判り、誘電体損失
係数が急上昇するポイントか、そのポイントがどの位置
なのかを知ることができ、ゾーンの検知位置から次のゾ
ーンの検知位置までの搬送の間にオーバーヒートしたり
することのないようにマイクロ波出力を制御できる。ベ
ルト速度が90mm/分、第1のゾーンと第2のゾーン
の検出位置距離が1200mmの場合(区間通過時間は
13.3分となる)単位重量あたりのマイクロ波電力量
は時間が長いため大きく、従来の制御方法ではオーバー
ヒート、発火が発生するが、本発明の制御方法によると
品質を確保できる。この場合は、処理物1が第1のゾー
ンの検知位置から第2のゾーンの検知位置に到るまで1
3分間盲目的に加熱されるに等しく、従って、加熱履歴
を考慮してマイクロ波出力条件を決定しなければ、品質
の確保が難しい。
【0013】図5は本発明の一実施例の加熱パターン
(実線)の一例を示す。この処理物は品温が70℃を越
えると誘電対損失係数が急速に増大する特性を持ってお
り、この実施例では、処理物が第2のゾーンの出口付近
に達すると、品温が70℃になるように設定されてい
る。第1のゾーンでは、急速な加熱によって万一にも品
温が70℃付近に達することがないように、しきい値を
43℃に抑えて加熱を行なっている。しかし、第1のゾ
ーンのマイクロ波出力の制御は通常のフィードバック制
御のみに限定されるため、第1のゾーンの品温検出位置
付近で43℃であっても、第1のゾーンの出口付近での
品温には差が生ずる。第2のゾーンでその状態の処理物
をそのまま通常のフィードバック制御により加熱処理す
ると、しきい値を越えた時点で昇温が大きかったもの
は、曲線(1)に示すように、第2のゾーンで加熱され
てしきい値に達する前に昇温によりサーマルランナウェ
イを起こし発火に至ってしまう。また、しきい値を越え
た後昇温が小さかったものは、曲線(2)が示すよう
に、第2のゾーンでは加熱不足が生じたり、しきい値に
到達後マイクロ波出力が大幅に増大して加えられるよう
になり、後続部がオーバーヒートするようになる。以
上、第1、第2のゾーンにおいては、70℃付近のサー
マルランナウェイが発生し易い温度領域に加熱するた
め、非常にきびしいコントロールが必要である。本発明
によれば第2のゾーンでは第1のゾーンでの加熱履歴を
加味したコントロールを行なうため、制御による温度の
ハンティングを微細な範囲に抑えることができ、理想的
な加熱パターンに合わせて加熱を行なうことができる。
第3のゾーンでは、さらに誘電体損失係数が増大する領
域に入ること、また、処理物の品質上品温の上限を11
5℃とする必要があるため、第2のゾーンでの加熱履歴
をもとに制御を行なわないと、ランナーウェイを起こし
たり、また、簡単に品温が115℃を越えてしまうよう
になる。第4のゾーンでは、温度をホールドする必要が
ある。放熱による冷却とマイクロ波加熱とのバランスで
品温を105℃に抑えているが、バランスをとるための
マイクロ波出力の制御には、前のゾーンでの加熱履歴が
重要になってくる。すなわち、それまでに受けたマイク
ロ波エネルギーのポテンシャルが高いと品温は上がり過
ぎ、低いと品温が下がり過ぎ、品質を確保できない。上
記のように通常のフィードバック制御のみでは図5に示
すような加熱を行なうことは無理である。
(実線)の一例を示す。この処理物は品温が70℃を越
えると誘電対損失係数が急速に増大する特性を持ってお
り、この実施例では、処理物が第2のゾーンの出口付近
に達すると、品温が70℃になるように設定されてい
る。第1のゾーンでは、急速な加熱によって万一にも品
温が70℃付近に達することがないように、しきい値を
43℃に抑えて加熱を行なっている。しかし、第1のゾ
ーンのマイクロ波出力の制御は通常のフィードバック制
御のみに限定されるため、第1のゾーンの品温検出位置
付近で43℃であっても、第1のゾーンの出口付近での
品温には差が生ずる。第2のゾーンでその状態の処理物
をそのまま通常のフィードバック制御により加熱処理す
ると、しきい値を越えた時点で昇温が大きかったもの
は、曲線(1)に示すように、第2のゾーンで加熱され
てしきい値に達する前に昇温によりサーマルランナウェ
イを起こし発火に至ってしまう。また、しきい値を越え
た後昇温が小さかったものは、曲線(2)が示すよう
に、第2のゾーンでは加熱不足が生じたり、しきい値に
到達後マイクロ波出力が大幅に増大して加えられるよう
になり、後続部がオーバーヒートするようになる。以
上、第1、第2のゾーンにおいては、70℃付近のサー
マルランナウェイが発生し易い温度領域に加熱するた
め、非常にきびしいコントロールが必要である。本発明
によれば第2のゾーンでは第1のゾーンでの加熱履歴を
加味したコントロールを行なうため、制御による温度の
ハンティングを微細な範囲に抑えることができ、理想的
な加熱パターンに合わせて加熱を行なうことができる。
第3のゾーンでは、さらに誘電体損失係数が増大する領
域に入ること、また、処理物の品質上品温の上限を11
5℃とする必要があるため、第2のゾーンでの加熱履歴
をもとに制御を行なわないと、ランナーウェイを起こし
たり、また、簡単に品温が115℃を越えてしまうよう
になる。第4のゾーンでは、温度をホールドする必要が
ある。放熱による冷却とマイクロ波加熱とのバランスで
品温を105℃に抑えているが、バランスをとるための
マイクロ波出力の制御には、前のゾーンでの加熱履歴が
重要になってくる。すなわち、それまでに受けたマイク
ロ波エネルギーのポテンシャルが高いと品温は上がり過
ぎ、低いと品温が下がり過ぎ、品質を確保できない。上
記のように通常のフィードバック制御のみでは図5に示
すような加熱を行なうことは無理である。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
各ゾーンごとに処理物の適切な加熱処理ができ、各ゾー
ンごとにマイクロ波出力の制御を後続部や先行部に影響
しオーバーヒートを起こしたり昇温不足になったりする
ことのないように行なうことができ、連続して加熱処理
することが可能となり、生産時間の短縮や効率の向上、
前後装置との処理物の授受のスムーズ化、品質の向上等
に及ぼす効果が大である。特に、誘電体損失係数が昇温
とともに増大し、従来連続処理することができなかった
処理物も効率よく連続処理することができるようになっ
た効果が大である。
各ゾーンごとに処理物の適切な加熱処理ができ、各ゾー
ンごとにマイクロ波出力の制御を後続部や先行部に影響
しオーバーヒートを起こしたり昇温不足になったりする
ことのないように行なうことができ、連続して加熱処理
することが可能となり、生産時間の短縮や効率の向上、
前後装置との処理物の授受のスムーズ化、品質の向上等
に及ぼす効果が大である。特に、誘電体損失係数が昇温
とともに増大し、従来連続処理することができなかった
処理物も効率よく連続処理することができるようになっ
た効果が大である。
【図1】本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】オーブン内を複数のゾーンに区切る仕切り板の
構造の一例を示す図である。
構造の一例を示す図である。
【図3】オーブン内の各ゾーンごとにマイクロ波発生装
置を設けた構造の一例を示す図である。
置を設けた構造の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例の制御の流れを示す図であ
る。
る。
【図5】本発明の一実施例の加熱パターンの一例を示す
図である。
図である。
【図6】従来のコンベア式マイクロ波加熱装置の一例の
構成を示す図である。
構成を示す図である。
【図7】処理物の誘電体損失係数の一例を示す図であ
る。
る。
1 処理物 2 ベルト 3 モータ 4 オーブン 51、52、53、54 マイクロ波発生装置 6 仕切り板 7 センサ 8 CPU 9 板 Z1 第1のゾーン Z2 第2のゾーン Z3 第3のゾーン Z4 第4のゾーン
Claims (1)
- 【請求項1】 処理物をアプリケータ内に連続的に供給
し搬送させながらマイクロ波によって加熱処理するマイ
クロ波加熱装置において、 アプリケータ内を仕切り板によって処理物の搬送方向に
複数のゾーンに区切り、各ゾーンごとに該ゾーンにマイ
クロ波を供給するマイクロ波発生装置を設け、各ゾーン
ごとに該ゾーンにおける処理物の加熱状態を検知するセ
ンサを設け、中央演算処理装置(CPU)によって各ゾ
ーンでの加熱条件を前のゾーンでの加熱履歴と該ゾーン
での加熱状態から算出し各ゾーンごとに設けたマイクロ
波発生装置の出力を該ゾーンでの加熱条件に合わせて制
御する構成としたことを特徴とするマイクロ波加熱装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5093842A JPH06290867A (ja) | 1993-03-30 | 1993-03-30 | マイクロ波加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5093842A JPH06290867A (ja) | 1993-03-30 | 1993-03-30 | マイクロ波加熱装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06290867A true JPH06290867A (ja) | 1994-10-18 |
Family
ID=14093658
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5093842A Pending JPH06290867A (ja) | 1993-03-30 | 1993-03-30 | マイクロ波加熱装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06290867A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2020511755A (ja) * | 2017-03-15 | 2020-04-16 | 915 ラボ、エルエルシー | マルチパスマイクロ波加熱システム |
-
1993
- 1993-03-30 JP JP5093842A patent/JPH06290867A/ja active Pending
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CN107580540B (zh) * | 2015-05-11 | 2021-12-21 | 迪芬巴赫机械工程有限公司 | 用于连续加热材料的装置 |
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