JPH062902B2 - 高強度熱延鋼板の製造法 - Google Patents

高強度熱延鋼板の製造法

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JPH062902B2 JP60233898A JP23389885A JPH062902B2 JP H062902 B2 JPH062902 B2 JP H062902B2 JP 60233898 A JP60233898 A JP 60233898A JP 23389885 A JP23389885 A JP 23389885A JP H062902 B2 JPH062902 B2 JP H062902B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の利用分野] 本発明は高強度熱延鋼板の製造法に関する。
[発明の背景] 近年自動車業界においては、車体の軽量化のため、設計
強度を変更しないで板厚を薄くし得ることが要望されて
いるが、従来の析出硬化型の高張力鋼板では、プレス成
形性が良くないこと、溶接性にも問題があること等から
かかる要望に答えることができない。
そこで、従来の析出硬化型高張力鋼板に代わる鋼板とし
て、フェライトとマルテンサイトの2相からなる複合組
織型高張力鋼板の採用が増加しつつある。
しかし、かかる複合組織型鋼板も加工性などの点におい
て必ずしの好ましいものではない。
そこで、さらに、Mnを基本成分とし、Si,Crを多
量に添加することにより、熱間圧延工程−巻取工程を経
た後においても低降伏比、良延性という特性をもつ複合
組織型鋼板が開発されている。
しかし、かかる複合組織型鋼板はSi,Crを大量に使
用するためコストが高いという問題点がある。
一方、Bは鋼の焼入性を向上させる元素として知られて
おり、低コストで焼入性を高めることができるが、その
ためにはBを固溶状態にしておく必要がある。
ところで、従来方法においては、熱延鋼板は、普通造塊
法による鋼塊を分塊して造られたスラブ又は連続鋳造法
により造られたスラブを、一旦常温にまで冷却して、そ
の後加熱炉にて1200〜1300℃の高温で長時間の
加熱を行なってから連続熱間圧延機に噛込ませて製造し
ている。
このように、従来は、冷塊になったスラブを再加熱して
から粗圧延に入れるのであるが、一度温度が常温にまで
下ったスラブでは、BはBNとして析出してしまい、こ
れを再び固溶させるためには、例えば1200℃以上の
高温で1時間以上の加熱を施さねばならないのである。
すなわち、一度常温まで下ったスラブを1100℃に再
加熱しても、析出物の安全な再固溶は起り得ず、従って
組織の制御には何ら効果をもたらさないということにな
るのである。
しかし、このように従来方法のように1200℃の高温
に1時間以上の長時間加熱をスラブに施こすことは加熱
量の莫大な損失となる。
[発明の目的] 本発明は、加工性の良い熱延鋼板を低加熱費で製造する
ことができる高強度熱延鋼製造法を提供することを目的
とする。
[発明の概要] 上記目的は、重量%で、C:0.03〜0.2%、S
i:0.02〜1.5%、Mn:0.6〜2.5%、
S:0.01%以下、solAl:0.01〜0.06
%、B:0.0005〜0.01%、Ti:0.01〜
0.1%を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなる
ベイナイトを含む変態強化型の高強度熱延鋼板を製造す
る方法において、連続鋳造を行ない高温スラブを得た
後、該スラブが550℃の温度になる前に、該スラブを
1050℃〜1150℃の温度に再加熱することにより
B析出物を再固溶して、熱間圧延を開始し、該熱間圧延
をAr3点以上の温度で終了し、次いで所定の制御冷却
を行なうことを特徴とする高強度熱延鋼板の製造法によ
って達成される。
以下本発明の構成を説明する。
C:0.03〜0.2% Cは、必要な強度維持及びベイナイト、マルテンサイト
などの低温変態生成物を形成させるうえで必須な元素で
あるが、0.2%を越えると加工性と溶接性を劣化するこ
とに加え、本発明の鋼板の特徴の一つである低降伏比特
性を損なうこととなる。その下限は強化及び焼入性向上
効果を発揮させるために0.03%とする。
Si:0.02〜1.5% Siは溶鋼の脱酸に必要な元素であり、また高強度かつ
高延性をうるうえでもっとも有効な置換型固溶元素であ
る。さらに正常なポリゴナルフェライト形成を有利にす
る働きをもっている。このような特性を発揮させるため
には0.02%を下限とした。また、溶接部の脆化(遷移温
度の上昇)を防止し、表面酸化スケール状態の悪化を防
ぐために1.5%を上限とした。
Mn:0.6〜2.5% Mnは焼入性を増し、所望の組織をうるうえで必須の元
素である。その効果を発揮させるためには0.6%以上を
必要とし、2.5%を越えると、溶接上困難になると同時
に延性を劣化し、鋼板の価格が高価格となるため上限を
2.5%とする。
S:0.01%以下 Sは硫化物を生成し、加工性を劣化させるので可及的に
少ない方が望ましいが、その含有量が0.01%以下であれ
が所望の加工性が確保できることからS含有量の上限を
0.01%と定めた。
solAl:0.01〜0.06% solAlは鋼の脱酸剤として有効なものであるが、その
含有量が0.01未満では脱酸の効果が期待できなくなり、
他方0.06%を越えて含有させても脱酸の効果が飽和して
それ以上の効果が期待できないことからsolAl含有量
を0.01〜0.06%と限定した。
Ti:0.01〜0.1% Tiは析出強化元素であり、溶接後の熱影響部の硬度の
低下を防止するのに役立つ。本発明ではこの効果に加え
Bの焼入性向上効果を最大限に発揮させることを主たる
目的に含有せしめており、下限及び上限はこの効果の観
点より0.01〜0.1%とする。
B:0.0005〜0.01 Bは焼入性を向上させる元素で、他の高価な元素の添加
量を低減して所望の組織を得るうえで有利な元素であ
る。その下限はその効果を発揮させ得る量から、また、
その上限はその効果が飽和に達し、経済的で無くなる量
から0.0005〜0.01とする。
なお、Crを1.0〜1.0%添加してもよい。Crは他の元
素と異なり、これ自体には固溶強化能はないが、焼入性
を向上させ、ベイナイト組織を得るうえで好ましい元素
である。その下限はその効果を発揮させうる量から0.1
%とし、上限はその効果が飽和に達し経済的でなくなる
量から1.0%とする。
スラブの溶製後該スラブを550℃以上に保持するのは
以下のような理由による。550℃という低温であった
としても、当該鋼種ではフェライト相への変態がほとん
ど進行していないため、BN,Fe23(CB)6等のB
の炭窒化物の析出が完了しない段階で再加熱することに
なる。このため、容易に分解できるため、1050℃〜
1150℃といった低温・短時間加熱によっても再固溶
が可能である。また、このような固溶状態は熱延後の低
温変態生成物の生成に有効に働らく。
なお、550℃以上の温度への保温は例えば断熱材によ
り行なえばよい。
1050〜1150℃以上の温度での熱間圧延 熱間圧延は、1050〜1150℃の温度で開始する。
このように1050℃以上としたのは、加熱費の低減が
その理由であり、また、1050℃以上とすると、本発
明では、スラブの冷却時に析出したBの炭窒化物等の析
出物を容易に分解し、Bを固溶状態に維持できるためで
ある。このような固溶状態は熱延時及び熱延後の再析出
を抑制し、制御でα+γ域へ冷却された段階までBを固
溶状態に維持できるため、マツテンサイトの生成を促進
する。このため、従来より低成分系で延性等の特性の良
好な複合組織型熱延鋼板を安定し製造できる。
一方、1150℃以下としたのは、加熱費の低域であ
り、さらに、マルテンサイト粒が微細に均一に分散し、
高延性の複合組織型高強度熱延鋼板が得られるめであ
る。
熱間圧延終了後は所定の制御冷却を行なう。
[実施例] 第1表に示す鋼を溶製した。A1,A2,B1,B2,
C1,C2は実施例であり、他は比較例である。
A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2につ
いてはスラブ厚230mmtで連続鋳造機で凝固させた。
さらにA1,A2,B1,B2,C1については連続鋳
造機から出てきた高温スラブに断熱材等で保熱、さらに
は軽加熱によって第2表に示すような条件のもとで熱間
圧延し、板厚2.8mmの熱延コイルとした。
なお、本実施例においては制御冷却の一例として次の冷
却を行なった。すなわち、強度・延性のバランスからフ
ェライト体積率を50%以上確保するため、ファライト
ノーズ付近は10℃/s以下で徐冷し、その後600℃
以下の巻取温度まで20℃/s以上で急冷した。
第3表に示すように、本実施例に係る熱延鋼板はいずれ
も加工性、特に強度−延性バランス(TS×El)が飛
躍的に向上している上、加熱原単位の低減がはかれらて
いるのが明らかである。従って、本実施例によれば、加
工性の良好な複合組織鋼強度熱延鋼板を安価に製造する
ことができる。
[発明の効果] 本発明によれば次のもろもろの効果が得られる。
加熱費の節約が可能である。
高価な元素を使用することなく、加工性が良好で、特
に、自動車の車体用の鋼板として適用するのに好適な高
強度熱延鋼板を製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.03〜0.2%、S
    i:0.02〜1.5%、Mn:0.6〜2.5%、
    S:0.01%以下、solAl:0.01〜0.06
    %、B:0.0005〜0.01%、Ti:0.01〜
    0.1%を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなる
    ベイナイトを含む変態強化型の高強度熱延鋼板を製造す
    る方法において、連続鋳造を行ない高温スラブを得た
    後、該スラブが550℃の温度になる前に、該スラブを
    1050℃〜1150℃の温度に再加熱することにより
    B析出物を再固溶して、熱間圧延を開始し、該熱間圧延
    をAr3点以上の温度で終了し、次いで所定の制御冷却
    を行なうことを特徴とする高強度熱延鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.03〜0.2%、S
    i:0.02〜1.5%、Mn:0.6〜2.5%、
    S:0.01%以下、solAl:0.01〜0.06
    %、B:0.0005〜0.01%、Ti:0.01〜
    0.1%を含有し、Cr:0.1〜1.0%を添加し、
    残部鉄及び不可避的不純物からなるベイナイトを含む変
    態強化型の高強度熱延鋼板を製造する方法において、連
    続鋳造を行ない高温スラブを得た後、該スラブが550
    ℃の温度になる前に、該スラブを1050℃〜1150
    ℃の温度に再加熱することによりB析出物を再固溶し
    て、熱間圧延を開始し、該熱間圧延をAr3点以上の温
    度で終了し、次いで所定の制御冷却を行なうことを特徴
    とする高強度熱延鋼板の製造法。
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