JPH0621290B2 - 高強度熱延鋼板の製造法 - Google Patents

高強度熱延鋼板の製造法

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JPH0621290B2
JPH0621290B2 JP60233894A JP23389485A JPH0621290B2 JP H0621290 B2 JPH0621290 B2 JP H0621290B2 JP 60233894 A JP60233894 A JP 60233894A JP 23389485 A JP23389485 A JP 23389485A JP H0621290 B2 JPH0621290 B2 JP H0621290B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の利用分野] 本発明は高強度熱延鋼板の製造法に関する。
[発明の背景] 近年自動車業界においては、車体の軽量化のため、設計
強度を変更しないで板厚を薄くし得ることが要望されて
いるが、従来の析出硬化型の高張力鋼板では、プレス成
形性が良くないこと、溶接性にも問題があること等から
かかる要望に答えることができない。
そこで、従来の析出硬化型高張力鋼板に代わる鋼板とし
て、フェライトとマルテンサイトの2相からなる複合組
織型高張力鋼板の採用が増加しつつある。
しかし、かかる複合組織型鋼板も加工性などの点におい
て必ずしの好ましいものではない。
そこで、さらに、Mnを基本成分とし、Si,Crを多量
に添加することにより、熱間圧延工程−巻取工程を経た
後においても低降伏比、良延性という特性をもつ複合組
織型鋼板が開発されている。
しかし、かかる複合組織型鋼板はSi,Crを大量に使
用するためコストが高いという問題点がある。
一方、フェライト+マルテンサイト組織タイプの複合組
織型熱延鋼板のマルテンサイトの一部もしくは大部分を
ベイナイトに置換することによりプレス加工性が大幅に
向上することはすでに特開昭58−167750、特開
昭56−180456号公報において開示されている。
Nbはこのベイナイトの生成に有効であるばかりかオイ
ールリム等の適用された場合のフラッシュバット溶接の
熱影響部(HAZ部)強度低下の防止に有効である。N
b添加複合組織型高強度熱延鋼板におけるベイナイト生
成の促進は熱間圧延後のオーステナイト相中の固溶Nb
によるフェライト変態の抑制の効果であり、フラッシュ
バット溶接部軟化防止は溶接前に固溶していたNbの溶
接後のフェライト域冷却時に析出したNbCの効果であ
る。
以上のようにNb添加複合組織型熱延鋼板では熱間圧延
前のスラブの段階においてNbを固溶状態にしておく必
要があるばかりか、熱間圧延一巻取後の最終製品の段階
においてもNbを固溶状態にしておかねばならない、巻
取工程においてNbCを析出させないことは複合組織型
鋼板の特徴である低降伏比を達成するうえでも重要であ
る。
ところで、従来方法においては、熱延鋼板は、普通造塊
法による鋼塊を分塊して造られたスラブ又は連続鋳造法
により造られたスラブを、一旦常温にまで冷却して、そ
の後加熱炉にて1200〜1300℃の高温で長時間の
加熱を行なつてから連続熱間圧延機に噛込ませて製造し
ている。
このように、従来は、冷塊になつたスラブを再加熱して
から粗圧延に入れるのであるが、一度温度が常温にまで
下ったスラブでは、Nbは析出してしまい、これを再び
固溶させるためには、例えば1200℃以上の高温で1
時間以上の加熱を施さねばならないのである。
すなわち、一度常温まで下ったスラブを1100℃に再加熱
しても、析出物の完全な再固溶は起り得ず、従って組織
の制御には何ら効果をもたらさないということになるの
である。
しかし、このように1200℃以上の高温長時間加熱を
スラブに施こすことは加熱量の莫大な損失となる。
[発明の目的] 本発明は、加工性の良い熱延鋼板を低加熱費で製造する
ことができる高強度熱延鋼製造法を提供することを目的
とする。
[発明の概要] 上記目的は、重量%で、C:0.03〜0.2%、S
i:0.02〜1.5%、Mn:0.6〜2.5%、
S:0.01%以下、solAl:0.01〜0.06
%及びNbとTiのうち少なくとも一種をNb:0.0
1〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%を含有し、残
部鉄及び不可避的不純物からなるベイナイトを含む変態
強化型の高強度熱延鋼板を製造する方法において、凝固
時冷却速度を70℃/分以上で連続鋳造を行ない高温ス
ラブを得た後、該スラブが550℃の温度になる前に、
該スラブを1050℃以上の温度に加熱した後に、熱間
圧延を開始し、該熱間圧延をAr3点以上の温度で終了
し、次いで所定の制御冷却を行なうことを特徴とする高
強度熱延鋼板の製造法によって達成される。
以下に本発明の構成を説明する。
C:0.03〜0.2 %、 Cは、必要な強度維持及びベイナイト、マルテンサイト
などの低温変態生成物を形成させるうえで必須な元素で
あるが、0.2 %を越えると加工性と溶接性を劣化するこ
とに加え、本発明の鋼板の特徴の一つである低降伏比特
性を損なうこととなる。その下限は強化及び焼入性向上
効果を発揮させるために0.03%とする。
Si:0.02〜1.5 % Siは溶鋼の脱酸に必要な元素であり、また高強度かつ
高延性をうるうえでもっとも有効な置換型固溶元素であ
る。さらに正常なポリゴナルフェライト形成を有利にす
る働きをもっている。このような特性を発揮させるため
には0.02%を下限とした。また、溶接部の脆化(遷移温
度の上昇)を防止し、表面酸化スケール状態の悪化を防
ぐために1.5 %を上限とした。
Mn:0.6 〜2.5 % Mnは焼入性を増し、所望の組織をうるうえで必須の元
素である。その効果を発揮させるためには0.6 %以上を
必要とし、2.5 %を越えると、溶接上困難になると同時
に延性を劣化し、鋼板の価格が高価格となるため上限を
2.5 %とする。
S:0.01%以下 Sは硫化物を生成し、加工性を劣化させるので可及的に
少ない方が望ましいが、その含有量が0.01%以下であれ
が所望の加工性が確保できることからS含有量の上限を
0.01%と定めた。
sol Al:0.01〜0.06% sol Alは鋼の脱酸剤として有効なものであるが、その
含有量が0.01未満では脱酸の効果が期待できなくなり、
他方0.06%を越えて含有させても脱酸の効果が飽和して
それ以上の効果が期待できないことからsol Al含有量
を0.01〜0.06%と限定した。
Nb:0.01〜0.1 %、Ti:0.01〜0.1 % Nb,Tiは一般には析出強化元素であるが、本発明で
は固溶元素としての役割を主な目的としており、Mn等
と共存して熱延後の変態組織に影響を与え、ベイナイト
組織等を得やすくする働きがある。さらに組織を微細化
し、延びフランジ性を向上させるとともに溶接後の熱影
響部の硬化低下を防止し、母板のみならずホイールデス
クに用いた場合の疲労強度改善に役立つ。上記のような
観点からこれらの成分範囲をNb:0.01〜0.1 %、T
i:0.01〜0.1 %とした。Nb,Tiはいずれか一方を
添加すればよいが、両者を添加してもよい。
なお、Crは0.1 〜1.0 %添加してもよい。Crは他の
元素と異なり、これ自体には固溶強化能はないが、焼入
性を向上させ、ベイナイト組織を得るうえで好ましい元
素である。その下限はその効果を発揮させうる量から0.
1 %とし、上限はその効果が飽和に達し経済的でなくな
る量から1.0 %とする。
凝固時冷却速度を70℃/分以上とした連続鋳造 現行の連続鋳造スラブでは、凝固時冷却速度が中心付近
で3〜30℃/分であるため凝固時にMn,S,P等の
溶質成分の、溶鋼と固体鉄分間の分配が完全に生じるた
め(分配係数小)、凝固後一次デンドライトとデンドラ
イト樹枝間の最終凝固部では溶質元素の濃淡が大きい。
この傾向は複合組織型鋼板のようにMn量の高い鋼種で
は著しい。このように濃淡は熱間圧延後も維持され、極
端な場合には banded sutructureとよばれる積層構造
を呈する。このため制御冷却を行なった後には、Mn量
の高い領域ではマルテンサイト粒が密集し、ひどい場合
には層状のマルテンサイト層が生成する。一方、Mn量
の少ない領域では全くマルテンサイト相が存在しない。
このような不均一組織は複合組織型鋼板の特徴である延
性を劣化する。
凝固時冷却速度を70℃/分以上とすることにより、分
配係数が大きくなり、2.5 %Mn以下の鋼において複合
組織を得るうえで問題にならない程度までMn等の濃度
差が少ない事が判明した。逆にいうならば、凝固時冷却
速度が70℃/分で連続鋳造すると複合組織型鋼強度熱
延鋼板の延性が大幅に向上する。さらに凝固時冷却速度
の増大はスラブ中心部のマクロ偏析も軽減し、材質を向
上させる。
凝固時冷却速度増大の実現手段については従来厚さの連
続鋳造において強冷却してもよいし、冷却速度に見合う
厚さの薄スラブに連続鋳造しても良い。この場合、スラ
ブ厚の減少に伴なう圧延比の低下は、元来溶質元素の濃
度差が小さいため、材質に全く影響を及ぼさない。
スラブの溶製後該スラブを550℃以上に保持するのは
以下のような理由による。550℃という低温であった
としても、当該鋼種では、フェライト相への変態がほと
んど進行していないため、炭窒化物の析出が完了しない
段階で再加熱することになる。このため容易に分解でき
るため、たとえば1050℃〜1150℃といった低温
・短時間加熱によっても析出物の再固溶が可能である。
このような固溶状態は熱延後の低温変態生成物の生成に
有効に働らく。
なお、550℃以上の温度への保温は例えば断熱材によ
り行なえばよい。
なお、熱間圧延はたとえば1050〜1150℃の温度で開
始すればよい。
熱間圧延終了後は所定の制御冷却を行なう。
[実施例] 第1表に示す鋼を溶製した。A1,A2,A6,B1,
B2は実施例であり、他は比較例である。
A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2につ
いてはスラブ厚50mmtで連続鋳造機で凝固させた。
さらにA1,A2,B1,B2,C1については連続鋳
造機から出てきた高温スラブに断熱材等で保熱、さらに
は軽加熱によって第2表に示すような条件のもとで熱間
圧延し、板厚2.8 mmの熱延コイルとした。A3,B
3,C3については常温まで冷却後、従来工程で再加熱
し、熱間圧延した。
また、A4,A5,B4,B5は従来タイプの連続鋳造
によって得たスラブで、A4,B4については直接圧
延、また、A5,B5については再加熱し、熱間圧延を
行なった。
なお、本実施例においては制御冷却の一例として次の冷
却を行なった。すなわち、強度・延性のバランスからフ
ェライト体積率を50%以上確保するため、フェライト
ノーズ付近は10℃/s以下で徐冷し、その後600℃
以下の巻取温度まで20℃/s以上で急冷した。
第3表に示すように、本実施例に係る熱延鋼板はいずれ
も加工性、特に強度−延性バランス(TS×El)が飛
躍的に向上している上、加熱炉原単位の低減がはかられ
ているのが明らかである。従って、本実施例によれば、
加工性の良好な複合組織鋼強度熱延鋼板を安価に製造す
ることができる。
[発明の効果] 本発明によれば次のもろもろの効果が得られる。
加熱費の節約が可能である。
加工性が良好で、特に、自動車の車体用の鋼板として
適用するのに好適な高強度熱延鋼板を製造することがで
きる。
溶接による熱影響部の強度低下の生じない熱延鋼板が
得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.03〜0.2%、S
    i:0.02〜1.5 %、Mn:0.6〜2.5%、
    S:0.01%以下、solAl:0.01〜0.06
    %及びNbとTiのうち少なくとも一種をNb:0.0
    1〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%を含有し、残
    部鉄及び不可避的不純物からなるベイナイトを含む変態
    強化型の高強度熱延鋼板を製造する方法において、凝固
    時冷却速度を70℃/分以上で連続鋳造を行ない高温ス
    ラブを得た後、該スラブが550℃の温度になる前に、
    該スラブを1050℃以上の温度に加熱した後に、熱間
    圧延を開始し、該熱間圧延をAr3点以上の温度で終了
    し、次いで所定の制御冷却を行なうことを特徴とする高
    強度熱延鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.03〜0.2%、S
    i:0.02〜1.5 %、Mn:0.6〜2.5%、
    S:0.01%以下、solAl:0.01〜0.06
    %及びNbとTiのうち少なくとも一種をNb:0.0
    1〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%を含有し、C
    r:0.1〜1.0%を添加し、残部鉄及び不可避的不
    純物からなるベイナイトを含む変態強化型の高強度熱延
    鋼板を製造する方法において、凝固時冷却速度を70℃
    /分以上で連続鋳造を行ない高温スラブを得た後、該ス
    ラブが550℃の温度になる前に、該スラブを1050
    ℃以上の温度に加熱した後に、熱間圧延を開始し、該熱
    間圧延をAr3点以上の温度で終了し、次いで所定の制
    御冷却を行なうことを特徴とする高強度熱延鋼板の製造
    法。
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