JPH0628771B2 - 密閉鍛造法 - Google Patents

密閉鍛造法

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JPH0628771B2
JPH0628771B2 JP59268455A JP26845584A JPH0628771B2 JP H0628771 B2 JPH0628771 B2 JP H0628771B2 JP 59268455 A JP59268455 A JP 59268455A JP 26845584 A JP26845584 A JP 26845584A JP H0628771 B2 JPH0628771 B2 JP H0628771B2
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敏郎 大谷
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、密閉鍛造法に関するものである。
〔従来の技術〕
鍛造品、特にトラックリンクのように薄肉部と厚肉部と
の肉厚が成形方向に急激に変化する部分を有する複雑な
形状をした鍛造品は通常の開放型の鍛造法にては複数の
工程、例えばバスタ、ブロッカ、フィニッシュ等の工程
を経て素材を完成品に鍛造して、多くのバリを出すこと
により金型内に材料を充満させて鍛造加工を行わなけれ
ばなない。このため、この通常の鍛造法では省資源、省
エネルギの点から好ましくない。
そこで、一般的に完全密閉コイニングと呼ばれているバ
リを出さない密閉鍛造法が考えられるが、今のところ
0.1〜2kg程度の単純形状の小物部品にしか適用され
ていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来の上記密閉鍛造法は、1工程で成形するもの、ある
いは複数工程で成形するもののいずれの場合でも、各工
程での成形素材は上、下の型(ポンチ)間に充満するべ
く成形がされるが、この従来の密閉鍛造法をトラックリ
ンクのように薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に大き
く変化する複雑形状で大物物品の成形に採用した場合、
金型内に材料が充満しにくく、満足する成形品を得よう
とすると、成形荷重が大きくなり、非常に大きな鍛圧機
が必要となる。
〔問題点を解決するための手段及び作用〕
本発明は上記のことにかんがみなされたもので、トラッ
クリンクのように薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に
急激に変化する部分を有する複雑な形状で、しかも大物
部品を従来の密閉鍛造法に比べて少ない成形荷重で、し
かも欠肉が生じることなく、さらに重量管理を容易にし
た密閉鍛造加工を行なうことができる密閉鍛造法を提供
しようとするもので、その構成は、穴状に形成された下
型と、この下型内に外周が密に嵌合する上型を用い、か
つ薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化する
部分をもつ成形品を密閉鍛造する密閉鍛造法において、
成形工程を複数に分け、先の成形工程では、上記薄肉部
と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化する部分以外
の部分の成形品の形状になっており、また薄肉部と厚肉
部との肉厚が成形方向に急激に変化する部分を成形品の
断面形状より成形方向に大きな形状にした金型にて成形
し、後の成形工程で、薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方
向に急激に変化する部分を成形品の形状にし、他の部分
を成形品の断面形状より成形方向に大きな形状にした金
型にて成形するようにし、これにより成形時の成形素材
の外周は密閉されてここからバリが生じることがなくな
り、また、上型と下型の対向間では、先の成形工程で成
形品として欠肉が生じやすい薄肉部と厚肉部との肉厚が
成形方向に急激に変化する部分に隙間が生じ、次の成形
工程では上記先の成形工程で隙間があいた部分の成形が
なされると共に他の部分に対向する部分の成形材料と型
との間に隙間が生じることになり、従って上記先の成形
工程にて隙間が生じた部分に材料の流動性により材料が
移動され、次の成形工程にてこの材料が移動した部分が
成形されて薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に
変化する部分に材料が充満される。
〔実施例〕
第1図から第3図は本発明に係る密閉鍛造法の実施態様
を模式的に示す。
なお実際の鍛造成形では成形型の作動方向(成形方向)
と直角方向の平面内において種々の形状に成形される
が、この実施例では説明を簡単にするために、成形型の
作動方向(成形方向)と直角方向の一方向の断面形状に
ついてのみで説明する。
素材1は断面粗成形工程2にて粗成形し、この材料を第
1、第2の成形工程3,4にて密閉鍛造法にて順次成形
する。
第2図は上記第1の成形工程3にて用いる第1の金型装
置Iを、また第3図は第2の成形工程4にて用いる第2
の金型装置IIをそれぞれ示す。この両金型装置I,IIは
穴状に形成された下型5a,5bとこの下型5a,5b
の穴状部に外周が密に嵌合する上型6a,6bとからな
っており、下型5a,5bの成形面は成形品の下側形状
を、また上型6a,6bの成形面は成形品の上側形状を
それぞれ成形する形状になっているが、それぞれの上型
6a,6bの及び下型5a,5bの成形面の形状はその
工程にて変えてある。
すなわち、この実施例では成形しようとする成形品の断
面形状は第4図に示すようになっていて、中間部の薄肉
部Aと左右の厚肉部B,Cとを有しており、薄肉部Aに
対して厚肉部B,Cが段状になっていて薄肉部と厚肉部
との肉厚が成形方向に急激に変化している。このような
鍛造により成形される成形品にあっては、その薄肉部と
厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化する部分7a,
7b,8a,8bに仮想線で示すような欠肉が生じやす
い。これは鍛造成形時における材料の流動性の問題から
この部分に材料が充満しにくいことによる。
そこで、第2図で示す第1の金型装置Iにおける上型6
aの成形面には、この上型6aにて成形される部分での
薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化する部
分7a,7bに対向する部分が、正常の成形面9a,9
bより成形方向に凹ました切欠き部10a,10bが設
けてある。また下型5aにも同様に、この下型5aにて
成形される部分での薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向
に急激に変化する部分8a,8bに対向する部分が、正
常の成形面11a,11bより成形方向に凹ました切欠
き部12a,12bが設けてある。
一方、第3図に示す第2の金型装置IIにおける上型6b
の成形面の形状は上型6bにて成形される部分であると
ころの薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化
する部分7a,7bに対向する部分が成形部13a厚肉
部13bとなっており、他の部分が正常の成形面に対し
て成形方向に凹ました切欠き部14a,14bとなって
いる。また下型5bにも同様に、この下型5bにて成形
される部分での薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に急
激に変化する部分8a,8bに対向する部分が成形部1
5a,15bとなっており、他の部分が正常の成形面に
対して成形方向に凹ました切欠き部16a,16bとな
っている。
なお、上記両金型装置I,IIにおいて、第1の金型装置
Iの切欠き部10a,10b,12a,12bの長さに
対して、第2の金型装置IIの成形部13,15a,15
bの長さの方が長くなっており、また各型における切欠
き部は正常な成形面に対してなめらかな円弧面にて連続
されている。
上記金型装置I,IIを用いての密閉鍛造法を以下に説明
する。
まず第1の成形工程では、薄肉部と厚肉部との肉厚が成
形方向に急激に変化する部分が上型6aの切欠き部10
a,10b及び下型5aの切欠き部12a,12bによ
る空間部に対向することにより成形圧が作用しないので
成形されず、他の部分が上型6bの成形面及び下型5a
の成形面にて成形される。このとき、この上型6a及び
下型5aによる成形部分は密閉鍛造されることにより、
型内に密に封じ込められる。
そしてこの成形部分にてあまった材料は上型6a及び下
型5aに押圧されていない切欠き部10a,10b,1
2a,12bに対向する空間部に材料の流動性(塑性変
形)により移動される。
このように第1の成形工程3にて成形された成形品は薄
肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化する部分
以外の部分が完成品の形状に成形され、薄肉部と厚肉部
との肉厚が成形方向に急激に変化する部分は上記成形部
分にてあまって移動してきた材料にて盛りあがってい
る。
このとき上型6a及び下型5aの切欠き部10a,10
b,12a,12bに対向する空間部に移動する材料移
動量は薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化
する部分での形状を成形するに足りるだけの量、あるい
はわずかに多い量であることが望ましく、そのように素
材1の大きさを決める。
次に上記の第1の成形工程3にて成形された成形品を第
2の金型装置IIの下型5bに入れ、これの上型6bにて
第2の成形工程4を行なう。
この工程では、第2の金型装置IIの上型6b及び下型5
bの成形部13a,13b,15a,15bにて、上記
第1の成形工程3にて材料が移動された薄肉部と厚肉部
との肉厚が成形方向に急激に変化する部分が成形され、
この部分の材料は充満成形される。
このとき、この部分は密閉成形されるので、この部分の
材料がこの部分の成形に必要な量より多い場合には、こ
のときのあまった材料がこの工程が用いる上型6b及び
下型5bの切欠き部14a,14b,16a,16bに
よる空間部に移動される。
なおこのときの移動量は上記第1の成形工程3での切欠
き部10a,10b,12a,12bに対向する空間部
に移動する材料の移動量を適正にすることにより少なく
することができる。そしてこの第2の成形工程4での材
料の許容移動量は鍛造品の厚みの成形公差で決まるが、
トラックリンクの場合、厚み公差の上限が1.6mm程度
以下になるように設定する。
またこの第2の成形工程4での上型6b及び下型5bの
成形部13a,13b,15a,15bの長さは第1の
成形工程3での上型6a及び下型5aの切欠き部10
a,10b,12a,12bの長さより少し長く、かつ
各成形部と切欠き部との境界部をなめらかに連続した形
状にしておくことにより、薄肉部と厚肉部との肉厚が成
形方向に急激に変化しやすい部分の周辺部は第2の金型
装置IIの上型6b及び下型5bにて重複成形され、この
部分と他の部分との境界部は滑らかに連続した状態で成
形される。またこのときは、第2の金型装置IIの上型6
b及び下型5bの切欠き部14a,14b,16a,1
6bで、これの成形部13a,13b,15a,15b
との境界部以外は成形品と接触しない。
なおこの第2の成形工程4の加工量を複数回にわけて行
なってもよく、最終工程にサイジング工程を入れる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、成形金型の作動方向に薄肉部と厚肉部
との肉厚が成形方向に急激に変化する形状を有する成形
品、例えばトラックリンク等の成形を、これの上記薄肉
部と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化する部分に
欠肉が生じることなく密閉鍛造を行なうことができる。
また各成形工程での各成形面の一部に非成形部が存在す
ることになり、各成形工程とも完全な密閉状態となるこ
とがなく、このため、素材重量が成形品の重量より少し
多くても、そのオーバ分はこれの最終工程時における金
型の切欠き部に逃げることができ、通常一般の密閉鍛造
法のように成形作動のストロークエンド時における金型
面圧の急増が生じることがなく、面圧急増による金型の
破損をなくすことができる。
さらに、本発明によれば上記したように、どの成形工程
においても完全な密閉状態とならないことにより、従来
の密閉鍛造に比べて半分以下の成形荷重にて欠肉が生じ
ることなく成形できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の工程説明図、第2図は第1図のA−A
線に沿う断面図、第3図は第1図のB−B線に沿う断面
図、第4図は成形品の一例を示す断面図である。 1は素材、2は断面粗成形工程、3,4は第1、第2の
成形工程、5a,5bは下型、6a,6bは上型、7
a,8a,8bは薄肉部と厚肉部との肉等が成形方向に
急激に変化する部分、9a,9b,11a,11bは正
常の成形面、10a,10b,12a,12b,14
a,14b,16a,16bは切欠き部、13a,13
b,15a,15bは成形部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】穴状に形成した下型と、この下型内に外周
    が密に嵌合する上型を用い、かつ薄肉部と厚肉部との肉
    厚が成形方向に急激に変化する部分をもつ成形品を密閉
    鍛造する密閉鍛造法において、成形工程を複数に分け、
    先の成形工程では、上記薄肉部と厚肉部との肉厚が成形
    方向に急激に変化する部分以外の部分が成形品の形状に
    なっており、また薄肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に
    急激に変化する部分を成形品の断面形状より成形方向に
    大きな形状にした金型にて成形し、後の成形工程で、薄
    肉部と厚肉部との肉厚が成形方向に急激に変化する部分
    を成形品の形状にし、他の部分を成形品の断面形状より
    成形方向に大きな形状にした金型にて成形するようにし
    たことを特徴とする密閉鍛造法。
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