JPH06287455A - 成形材料 - Google Patents

成形材料

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JPH06287455A
JPH06287455A JP7464393A JP7464393A JPH06287455A JP H06287455 A JPH06287455 A JP H06287455A JP 7464393 A JP7464393 A JP 7464393A JP 7464393 A JP7464393 A JP 7464393A JP H06287455 A JPH06287455 A JP H06287455A
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JP
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silicon
containing polymer
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polymer
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JP7464393A
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English (en)
Inventor
Kozo Nogi
幸三 野木
Nobuhiko Yugawa
伸彦 湯川
Shigefumi Kuramoto
成史 倉本
Tadahiro Yoneda
忠弘 米田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 マトリックス樹脂中に多量の充填剤を短時間
に均一分散することができるため生産性に優れ、粘度が
低いため成形性に優れ、しかも耐候性、耐熱変色性、耐
水性等の物性に優れた美麗な外観を有する成形品を得る
ことのできる成形材料を提供する。 【構成】 ラジカル重合性単量体、熱可塑性樹脂、金属
酸化物の水和物および含珪素ポリマーを必須成分として
含み、前記含珪素ポリマーとして、RO基とSi原子を
有し、RO基とSi原子が結合してSi−O−C結合を
形成しているとともに一部または全部のSi原子がSi
−O−C結合によって主鎖と直接または間接的に結合し
ている構造を有し、数平均分子量が1,000〜1,0
00,000の範囲にあって有機溶剤に可溶のものが用
いられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐候性、耐熱変色
性、耐水性等の物性に優れ、大理石調、御影石調等の美
麗な外観を有する浴槽、キッチンカウンター、洗面台等
の住宅機器材料や建造物内外壁用装飾材料等として有用
な成形品を作製するために用いられる成形材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】浴槽、キッチンカウンター、洗面台等の
住宅機器材料や建造物内外壁用装飾材料等として有用な
人工大理石としては、充填剤をマトリックス樹脂に混合
した成形材料を成形、硬化して得られたものがあるが、
大理石調の外観を得るためには、多量の充填剤を用いる
必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、マトリック
ス樹脂中に多量の充填剤を均一分散させるのには長い時
間がかかるため、生産性が悪い。多量の充填剤を使用す
るので、充填剤とマトリックス樹脂との間の接着強度が
人工大理石の物性に与える影響が大きく、そのため、そ
れらの間の接着強度が不充分な場合、マトリックス樹脂
自体の強度が大きくても、得られる人工大理石の強度が
小さくなってしまう。これを改良するために、カップリ
ング剤や湿潤剤が種々用いられているが、これらは、効
果が充分でなかったり、耐候性、耐熱変色性、耐水性等
の、人工大理石に必要な物性を阻害したりする、といっ
た問題があった。
【0004】そこで、この発明は、マトリックス樹脂中
に多量の充填剤を短時間に均一分散することができるた
め生産性に優れ、粘度が低いため成形性に優れ、しかも
耐候性、耐熱変色性、耐水性等の物性の優れた美麗な外
観を有する成形品(硬化物)を得ることのできる成形材
料を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記従来技
術の問題点を改善するために、種々検討を重ねた結果、
マトリックス樹脂原料として、ラジカル重合性単量体
と、この単量体に溶解もしくは分散する熱可塑性樹脂と
を用い、充填剤として金属酸化物の水和物を用いるとと
もに、添加剤として含珪素ポリマーを用いるようにすれ
ば、上記課題が解決されることを実験で確認して、この
発明を完成した。
【0006】したがって、この発明は、ラジカル重合性
単量体(A)、この単量体(A)に溶解もしくは分散す
る熱可塑性樹脂(B)、金属酸化物の水和物(C)およ
び含珪素ポリマー(D)を必須成分として含む成形材料
であって、前記含珪素ポリマー(D)が、1分子当たり
少なくとも1個のR1 O基〔R1 は、水素原子である
か、または、アルキル基、シクロアルキル基、アリール
基、アラルキル基およびアシル基の中から選ばれ、置換
されていてもよい1種の基であり、R1 が1分子中に複
数ある場合、複数のR1 は互いに同一であっても異なっ
てもよい。〕と少なくとも1個のSi原子を有し、R1
O基とSi原子が結合してSi−O−C結合を形成して
いるとともに一部または全部のSi原子がSi−O−C
結合によって主鎖と直接または間接的に結合している構
造を有し、数平均分子量が1,000〜1,000,0
00の範囲にあって有機溶剤に可溶であることを特徴と
する。
【0007】この発明で用いられるラジカル重合性単量
体(A)としては、特に限定はされないが、たとえば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、イソブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)ア
クリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル
系単量体等が挙げられる。これらの中でも、メチルメタ
クリレートとスチレンのうちの少なくとも一方の使用が
好ましい。メチルメタクリレートを用いた場合は、耐候
性の良い人工大理石が得られ、スチレンを用いた場合
は、スチレンの屈折率が高いため、金属酸化物の水和物
(C)との屈折率の差が小さくなり、透明感の高い人工
大理石が得られるからである。
【0008】ラジカル重合性単量体(A)は、上記のも
のに限定されない。たとえば、多官能(メタ)アクリレ
ートを使用してもよい。ここで、多官能(メタ)アクリ
レートとは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリレー
ト基を有する化合物をいう。多官能(メタ)アクリレー
トとしては、特に限定はされないが、たとえば、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等
が挙げられる。これらの中でも特に好ましいのは、脂肪
族の多官能(メタ)アクリレートである。また、多官能
(メタ)アクリレートは、前述したメチルメタクリレー
トとスチレンのうちの少なくとも一方と併用することが
好ましい。その場合、得られる人工大理石の耐熱性、耐
溶剤性、耐水性等の諸特性が著しく改善されるからであ
る。
【0009】ラジカル重合性単量体(A)は、1種のみ
を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。この
発明で用いられる熱可塑性樹脂(B)としては、ラジカ
ル重合性単量体(A)に溶解もしくは分散するものであ
れば、特に限定はされず、たとえば、ポリメチル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル系ポリマー、
(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、ポリ
スチレン、ポリ酢酸ビニル、スチレン−酢酸ビニル共重
合体、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリカプロラ
クタム、飽和ポリエステル等の従来公知の熱可塑性樹脂
を使用することができる。これらは、1種のみを使用し
てもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中で
も、特に、ポリスチレンとポリメチルメタクリレートの
うちの少なくとも一方の使用が好ましい。その場合は、
相分離や発泡が比較的起こりにくいため、外観に優れ、
しかも耐候性の良い人工大理石が得られるからである。
【0010】熱可塑性樹脂(B)は、カルボキシル基、
エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基、オキサゾ
リン基、N−ヒドロキシアルキルアミド基等の1種また
は2種以上の官能基を分子内に有するものであってもよ
い。このような熱可塑性樹脂(B)を使用した場合、硬
化時に分離して白化(白濁)する現象が起きにくくなる
ので、多量の熱可塑性樹脂(B)を混合して収縮や発熱
を抑制することが可能になるからである。しかも耐溶剤
性、耐熱性等が改善されるからである。このような官能
基を有する熱可塑性樹脂(B)の合成方法としては、特
に限定はされないが、たとえば、下記〜の方法が挙
げられる。
【0011】 カルボキシル基、エポキシ基、チオエ
ポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、N−ヒドロ
キシアルキルアミド基等の官能基を分子内に有する重合
性単量体を重合させるか、その他の重合性単量体と共重
合させる方法。 上記官能基を分子内に有する化合物を、その化合物
と反応しうる基を有する重合体と反応させることにより
上記官能基を重合体中に導入する方法。
【0012】 上記官能基以外の官能基を分子内に有
する重合体を、公知の手法により上記官能基を分子内に
有する重合体に変換する方法。 成形材料中における熱可塑性樹脂(B)の含有量は、硬
化時に発泡あるいは相分離して外観が不透明になったり
白濁したりしない範囲に設定するのがよく、使用する熱
可塑性樹脂(B)とラジカル重合性単量体(A)との相
溶性を考慮して定められ、特に限定はされないが、好ま
しいのは、ラジカル重合性単量体(A)100重量部に
対して熱可塑性樹脂(B)が5〜75重量部の範囲であ
る。熱可塑性樹脂(B)の量が5重量部未満の場合、成
形材料の硬化時の収縮が大きくなりがちであり、硬化物
に割れやクラックが生じやすくなるので、望ましくな
い。逆に、75重量部を超える場合は、硬化物の外観が
不透明に白濁して、美麗な外観を有する成形品が得られ
にくくなり、しかも耐熱性も不足気味となり、望ましく
ないからである。
【0013】この発明で充填剤として用いられる金属酸
化物の水和物(C)としては、特に限定はされないが、
たとえば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化
カルシウム等の各水和物が挙げられる。なお、金属酸化
物の水和物(C)には、金属の水酸化物、たとえば、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシ
ウム等が包含される。とりわけ、白度が90%以上のも
のが好ましく、上記のものの中でも、特に、酸化アルミ
ニウムの水和物(水酸化アルミニウムを包含する)の使
用が好ましい。金属酸化物の水和物(C)は、1種のみ
を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ま
た、必要に応じては、金属酸化物の水和物(C)に加え
て、シリカ、アルミナ、石英、ケイ酸カルシウム、タル
ク、クレー等の他の充填剤を使用してもよい。さらに、
必要に応じては、各種の着色剤を添加して色調を変化さ
せることもできる。
【0014】金属酸化物の水和物(C)の使用量につい
ては、特に限定はされないが、ラジカル重合性単量体
(A)100重量部に対して100〜800重量部の範
囲が好ましい。その使用量が100重量部未満では、硬
化物の耐熱性が不足気味となったり、重厚な質感が得ら
れにくくなったりし、800重量部を超えると、成形材
料が高粘性となり、成形硬化時の作業性に問題が生じ、
望ましくないからである。
【0015】この発明の成形材料を硬化させるための硬
化剤としては、特に限定はされないが、たとえば、ベン
ゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイ
ド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ビス(4−t
−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオ
キシオクトエート等のラジカル重合開始剤等が挙げられ
る。これらは、1種のみを使用してもよいし、2種以上
を併用してもよい。また、有機アミンや多価金属の塩類
等の硬化促進剤と併用することもできる。
【0016】この発明の成形材料は、必要に応じては、
エポキシ樹脂(E)と、多官能カルボン酸および/また
はその無水物(F)とを含んでいてもよい。エポキシ樹
脂(E)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する
分子量150以上の化合物であり、具体的には、たとえ
ば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノール
F系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環式脂
肪族系エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種の
みを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】エポキシ樹脂(E)は、n−ブチルグリシ
ジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグ
リシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノエポキシ
ド等の反応性希釈剤と併用することも可能である。エポ
キシ樹脂(E)の好ましい使用量は、ラジカル重合性単
量体(A)100重量部に対して10〜100重量部の
範囲である。エポキシ樹脂(E)の使用量が10重量部
未満では、成形材料の硬化物の収縮が大きくなりやす
く、一方、100重量部を超える多量とした場合は、成
形材料を硬化させるときの硬度上昇が遅く、硬化物を脱
型するに至るまでの時間が長くなり、望ましくないから
である。
【0018】多官能カルボン酸および/またはその無水
物(F)(以下、これらをまとめて単に「カルボン酸化
合物(F)」と称することがある)とは、1分子中に2
個以上のカルボキシル基を有する化合物および/または
その酸無水物であり、エポキシ樹脂(E)の硬化剤とし
て作用するものである。このようなカルボン酸化合物
(F)としては、特に限定はされないが、たとえば、マ
レイン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット
酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸等のカルボン酸
およびその無水物を挙げることができる。また、ポリ
(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有ポリマーを
使用することもできる。これらは、1種のみを使用して
もよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】カルボン酸化合物(F)の好ましい使用量
は、エポキシ樹脂(E)1当量に対して0.5〜4.0
当量(ただし、酸無水物は2官能と考える)の範囲であ
る。カルボン酸化合物(F)の使用量が0.5当量未満
である場合は、最終的に得られる硬化物にクラックや割
れが発生しやすくなったり、耐熱性等の物性が損なわれ
がちとなったりし、逆に、4.0当量を超える多量とし
た場合は、硬化物の耐水性や耐候性が低下してくるの
で、望ましくないからである。
【0020】なお、使用する熱可塑性樹脂(B)が、後
述するように、エポキシ樹脂(E)と反応する2個以上
のカルボキシル基を有するものである場合は、このカル
ボキシル基含有熱可塑性樹脂のカルボキシル基の量もカ
ルボン酸化合物(F)の当量として合算すべきである。
必要に応じては、エポキシ樹脂(E)とカルボン酸化合
物(F)との反応を促進する目的で、少量の三級アミ
ン、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物等の促
進剤を添加することも可能である。
【0021】エポキシ樹脂(E)とカルボン酸化合物
(F)を用いる場合、熱可塑性樹脂(B)としては、エ
ポキシ樹脂(E)およびカルボン酸化合物(F)のうち
の少なくとも一方と反応しうる官能基を分子内に有する
ものを使用することが好ましい。そのような熱可塑性樹
脂(B)の例としては、前述した、カルボキシル基、エ
ポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基、オキサゾリ
ン基、N−ヒドロキシアルキルアミド基等の1種または
2種以上の官能基を分子内に有する熱可塑性樹脂が挙げ
られる。このような熱可塑性樹脂(B)を使用した場
合、成形材料を硬化する際に白濁せず、より優れた外観
の硬化物を得ることができるからである。
【0022】次に、含珪素ポリマー(D)について説明
する。含珪素ポリマー(D)は、前記R1 O基がSi原
子に結合してSi−O−C結合を形成している構造を有
する。ポリマー(D)は、2個以上のSi原子がシロキ
サン結合してなるポリシロキサン構造を有していても良
い。含珪素ポリマー(D)は、一部または全部のSi原
子がSi−O−C結合によって直接または間接的に主鎖
と結合している構造を有する。このSi−O−C結合は
加水分解性を有するはずであるが、Siと結合している
1 O基に比べて主鎖の分子量が非常に大きく立体的に
かさ高くなるので、加水分解性が抑制されている。
【0023】含珪素ポリマー(D)の一部または全部の
Si原子がSi−O−C結合によって直接または間接的
に主鎖と結合している構造とは、たとえば、Si原子が
下記の2価の結合を介して主鎖と直結し、Si−O−C
結合を形成している構造である。 −O− −COOR3 O− −COO− −R3 O− −CONHR3 O− −R3 COO− 〔R3 は、C数1〜20の範囲の2価の有機基であ
る。〕R3 の具体例としては、たとえば、直鎖状または
分岐状のC数1〜20のアルキレン基または置換アルキ
レン基(たとえば、メチレン、エチレン、プロピレン、
ブチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オク
タデシレン、2−メチルテトラメチレン、3−メチルテ
トラメチレン等)、C数6〜20のフェニレン基または
置換フェニレン基、−CH2 CHR2 −(OCH2 CH
2)q −〔q=1〜9、R2 は水素原子またはメチル基
である。〕のように例示されたアルキレン基における炭
素鎖が任意の位置で酸素原子により中断されたC数1〜
20のオキシアルキレン基、−CH2 CH2 〔OCO
(CH2)5 2 −等の基が挙げられる。R3 が1分子中
に複数ある場合、複数のR3 は互いに同一であっても異
なってもよい。
【0024】含珪素ポリマー(D)の主鎖は、炭素を主
体とするものであり、主鎖結合にあずかる炭素原子が7
0〜100モル%、残部をN,O,S,Si,P等の元
素が占めるものである。ラジカル重合性単量体(A)お
よび熱可塑性樹脂(B)(以下、これらを「マトリック
ス樹脂」と称することがある)に対する金属酸化物の水
和物(C)(以下、これを単に「充填剤」と称すること
がある)の分散性をより向上させるためには、ポリマー
(D)は疎水基を有するものが好ましい。この理由は明
らかではないが、ポリマー(D)中のSi−O−R1
が加水分解されて親水性のSi−OH基となり、このS
i−OH基と前記疎水基とがバランスされてポリマー
(D)が界面活性剤のように働くと考えられる。前記疎
水基としては、C数6〜20のアルキル基(たとえば、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキ
シル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシ
ル基、オクタデシル基等)、C数6〜20のアリール基
(たとえば、フェニル基、トリル基、キシリル基等)、
C数7〜20のアラルキル基(たとえば、ベンジル基、
フェネチル基等)が主鎖に直接または該疎水基を有する
有機基が主鎖に結合していれば良い。該疎水基の量は有
機媒体の種類によって異なるが、ポリマー(D)1分子
当たり平均1〜100個である方が好ましい。該疎水基
が少ないと、マトリックス樹脂に対する充填剤の分散性
が小さい場合があり、多すぎると、マトリックス樹脂の
種類によってはマトリックス樹脂とポリマー(D)との
相溶性が小さくなり、マトリックス樹脂と充填剤との間
の接着性が低下するおそれがある。
【0025】上記のような主鎖を有するポリマーの具体
例としては、たとえば、(メタ)アクリル樹脂;スチレ
ン樹脂;酢酸ビニル樹脂;ポリエチレンやポリプロピレ
ン等のポリオレフィン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデ
ン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル
樹脂;セルロース樹脂;フッ素樹脂;および、これらの
共重合体や一部変性した樹脂等が挙げられる。ポリマー
(D)は、これらの樹脂の主鎖を構成している1個以上
の炭素原子に上述のような2価の基を介してSiが結合
している構造を有する。
【0026】ポリマー(D)は、マトリックス樹脂に対
する充填剤の分散性およびマトリックス樹脂と充填剤と
の接着性をより向上させるために、マトリックス樹脂と
相溶するものが好ましい。従って、用いられるマトリッ
クス樹脂の溶解度パラメーターに近い値を有するポリマ
ー(D)を用いる方が好ましく、マトリックス樹脂と同
様の化学構造を有するものがより好ましい。
【0027】ポリマー(D)中のSi−OR1 基は、充
填剤との結合部となる基であり、ポリマー(D)が充填
剤にSi−OR1 基で結合することにより、マトリック
ス樹脂に対する充填剤の分散性およびマトリックス樹脂
と充填剤との接着性等を改良することができる。特に、
ポリマー(D)は、Si原子の少なくとも一部がO原子
を介して主鎖と直接または間接的に結合しているため、
Si原子のすべてがO原子を介さずに主鎖と直接または
間接的に結合している場合に比べてSi原子のイオン性
が高まる。その結果、Si−OR1 基の加水分解および
充填剤との結合速度が速くなり、従来使用されているシ
ラン系カップリング剤では効果の見られない充填剤につ
いても、マトリックス樹脂に対する分散性、接着性等の
改善効果が顕著に発現される。
【0028】R1 O基は、ポリマー(D)1分子当たり
少なくとも1個であり、平均3〜100個であることが
好ましい。R1 O基がないと、ポリマー(D)の充填剤
との結合点がなくなり、充填剤のマトリックス樹脂に対
する分散性および接着性が低下し、逆に多すぎると、ポ
リマー(D)が凝集剤的に働いて分散性や接着性が低下
する場合がある。
【0029】ここで、R1 は、水素原子であるか、また
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基およびアシル基の中から選ばれる1種の基であ
る。R1 の具体例としては、たとえば、直鎖状または分
岐状のアルキル基(たとえば、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、第2級ブチル、第3級ブチ
ル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニ
ル、デシル、ドデシル、オクタデシル等)、シクロアル
キル基(たとえば、シクロペンチル、シクロヘキシル
等)、アリール基(たとえば、フェニル、トリル、キシ
リル等)、アラルキル基(たとえば、ベンジル、フェネ
チル等)、アシル基(たとえば、アセチル、プロピニオ
ル、ブチリル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボ
ニル等)などが挙げられる。上述した、アルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびアシ
ル基は、これらの基中の水素原子の1または2以上が置
換されているものであってもよい。その置換基として
は、たとえば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ
基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;塩素、
臭素等のハロゲン;等が挙げられる。R1 が1分子中に
複数ある場合、複数のR1は互いに同一であっても異な
ってもよい。R1 は、水素原子、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基が好ましい。これは、R1 O基の
加水分解縮合速度が更に速くなるという理由による。
【0030】この発明で用いる含珪素ポリマー(D)の
数平均分子量は、1,000〜1,000,000の範
囲内にあることが必要であり、2,000〜200,0
00の範囲内にあることが好ましい。分子量が小さい場
合には、マトリックス樹脂に対する充填剤の分散性およ
びマトリックス樹脂と充填剤との接着性等の向上効果が
小さい。逆に分子量が大きい場合には、成形材料を作製
する際にマトリックス樹脂に溶解させたり、溶融させた
りして使用するのが困難になる。
【0031】この発明で用いる含珪素ポリマー(D)
は、上記のようにR1 O基を有しているとともに、下記
一般式(Z−1)〜(Z−8)で表される1価の反応性
有機基(Z)の少なくとも1種がO原子を介してSi原
子に結合している、すなわち、Z−O−Siとなってい
る構造を有するものが好ましい。そのように反応性有機
基Zを有するポリマー(D)は、マトリックス樹脂との
間に化学的結合を形成しうるので、基Zを有しないもの
に比べると、マトリックス樹脂と充填剤との接着性をよ
り向上させる。さらに、マトリックス樹脂と含珪素ポリ
マー(D)との相溶性をも向上させる。このとき、充填
剤との結合およびマトリックス樹脂との化学的結合は、
同時にあるいは別々に生成させることができる。マトリ
ックス樹脂との化学的結合によりマトリックス樹脂と充
填剤との接着性をより有効なものにするという点から
は、ポリマー(D)は基Zを1分子当たり平均少なくと
も1個有することが好ましい。 (Z−1) CH2 =C(R2)−COOR3 − (Z−2) CH2 =C(R2)−CO− (Z−3) CH2 =C(R2)−R3 − (Z−4) CH2 =C(R2)−CONHR3 − (Z−5) CH2 =C(R2)−CONHR3 −CO− (Z−6) CH2 =C(R2)−R3 −CO− 〔一般式(Z−1)〜(Z−8)中、互いに独立に、R
2 は水素原子またはメチル基、R3 は前記と同じであ
る。〕反応性有機基(Z)が1分子中に複数ある場合、
複数のZは互いに同一であっても異なってもよい。
【0032】上記ポリマー(D)は、大きく分けて2種
の方法によって製造することができる。その第1の方法
は、Si−O−C結合の交換反応を利用する方法であ
り、第2の方法は、重合性不飽和基を有するモノマー成
分を共重合させる方法である。交換反応を利用する方法
は、加水分解性オルガノシロキサン(a)に対して主骨
格形成用OH含有有機ポリマー(b)を交換反応をさせ
る方法である。加水分解性オルガノシロキサン(a)
は、Si原子に結合したR1 O基〔R1 は、前記と同じ
である。〕を複数個有する珪素化合物である。主骨格形
成用OH含有有機ポリマー(b)は、炭素を主体とする
主鎖を有し、かつ、ヒドロキシル基およびカルボキシル
基のうちの少なくとも一方を分子内に1個以上含有する
ポリマーである。この交換反応では、加水分解性オルガ
ノシロキサン(a)が有するR1 O基の一部または全部
と主骨格形成用OH含有有機ポリマー(b)が有するヒ
ドロキシル基およびカルボキシル基のうちの少なくとも
一方とで反応させて、R1 O基を(b)の残基(下記
Y)と交換する。すなわち、加水分解性オルガノシロキ
サン(a)を次式(I): で表し、主骨格形成用OH含有有機ポリマー(b)をY
−OH(ここで、OHは、ヒドロキシル基および/また
はカルボキシル基中のOHである。)で表した時に、次
式(II): で表される反応により目的とするポリマー(D)が生成
する反応である。
【0033】加水分解性オルガノシロキサン(a)は、
従来公知のものを使用することができ、特に限定されな
いが、たとえば、水ガラスを中和または陽イオン交換樹
脂で処理して得られるケイ酸あるいはケイ酸を更にアル
コール中でエステル化処理して得られるポリアルコキシ
シロキサンや一般式: R4 p Si(OR1)4-p … 〔式中、R1 は、上述したものであり、複数のR1 はす
べて同一または少なくとも1つが異なっていてもよい。
4 は、C数1〜20の範囲の1価の有機基である。p
は0〜2の整数である。R4 が2個の場合には、互いに
同一または異なっていてもよい。〕で示されるシラン化
合物、その加水分解物、および、その縮合物からなる群
から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。特に、一般
式で示されるシラン化合物、その加水分解物、およ
び、その縮合物は、容易に合成または入手できるので好
ましい。
【0034】上記一般式中のR4 は、C数1〜20の範
囲の1価の有機基から選ばれる少なくとも1種の基であ
り、C原子が直接Siと結合している。R4 の具体例と
しては、R1 の具体例として挙げたもの等が挙げられ
る。R4 が1分子中に複数ある場合、複数のR4 は互い
に同一であっても異なってもよい。一般式で示される
シラン化合物の具体例としては、たとえば、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポ
キシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピル
トリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラ
ン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルト
リエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラ
ン、ジメトキシジエトキシシラン等のアルコキシシラン
化合物;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキ
シシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジアセトキ
シジメチルシラン等のアシロキシシラン化合物;ジシク
ロヘキシルジヒドロキシシラン、ジフェニルジヒドロキ
シシラン、オクチルトリヒドロキシシラン等のシラノー
ル化合物などを挙げることができ、それぞれ、単独で使
用されたり、2種以上併用されたりする。中でも、アル
コキシシラン化合物は、交換反応が容易に起こるので、
特に好ましい。
【0035】一般式で示されるシラン化合物の加水分
解物としては、たとえば、テトラヒドロキシシラン、メ
チルトリヒドロキシシラン、フェニルトリヒドロキシシ
ランなどを挙げることができ、それぞれ、単独で使用さ
れたり、2種以上併用されたりする。実際には、単離さ
れず、シラン化合物、その加水分解物、および、その縮
合物の混合物の形で使用されることが多い。
【0036】一般式で示されるシラン化合物の縮合物
としては、たとえば、平均組成が下記一般式で表され
るポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種の化合物
が挙げられ、それぞれ、単独で使用されたり、2種以上
併用されたりする。 〔式中、R1 およびR4 は前記と同じ、hは0以上、2
以下の数、iは3以下の正の数、h+iは3以下の正の
数である。ただし、R1 が1分子中に複数ある場合、複
数のR1 は互いに同一であっても異なってもよく、R4
が1分子中に複数ある場合、複数のR4 は互いに同一で
あっても異なってもよい。〕このようなポリシロキサン
は、たとえば、水を含むアルコール等の有機溶媒中で加
水分解縮合する方法により製造される。その際、触媒と
して塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、p−ト
ルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸;アンモニア、
水酸化ナトリウム等のアルカリ;酸性または塩基性のイ
オン交換樹脂;Al2 3 等の固体酸または塩基が使用
され、たとえば、数平均分子量200〜100,000
のものが使用される。中でも特に好ましいのは、反応後
の除去が容易であるという点で系に不溶な固体状触媒を
用いることが推奨される。
【0037】前記主骨格形成用OH含有有機ポリマー
(b)が有する、炭素を主体とする主鎖とは、主鎖結合
にあずかる原子のうち炭素原子が70〜100モル%、
残部をN,O,Si,S,P等の元素が占める主鎖であ
る。ポリマー(b)は、好ましくは数平均分子量が1,
000〜1,000,000である。ポリマー(b)の
数平均分子量が1,000未満だと、得られるポリマー
(D)を用いて成形材料を作製しても性能向上効果が小
さい場合があり、1,000,000超過だと、得られ
る含珪素ポリマー(D)が溶融しなかったりするおそれ
がある。
【0038】このようなポリマー(b)としては、ヒド
ロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するポ
リマーなら従来公知のものを使用することができ、特に
限定されず、樹脂としてたとえば、(メタ)アクリル樹
脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリ
ル−酢酸ビニル樹脂、ポリエステル、アルキド樹脂、ア
ルキド変性(メタ)アクリル樹脂、ニトロセルロース樹
脂、ポリエーテル、(メタ)アクリル−シリコーン樹
脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等が挙げら
れ、それぞれ、単独で使用されたり、2種以上併用され
たりする。
【0039】ポリマー(b)としては、特に、アクリル
酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキ
ル、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも
1種のモノマーをアクリル酸エステル類、アクリルアミ
ド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、
アリル化合物類、ビニルエーテル類、ビニルエステル
類、スチレン類等のラジカル重合性モノマーと共重合し
て得られるポリマーが容易に合成または入手できるので
好ましい。
【0040】ポリマー(b)の製造に用いられるモノマ
ーは、たとえば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒド
ロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタク
リレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒ
ドロキシル基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有モ
ノマーなどであり、その他、これらのモノマーと共重合
可能な不飽和基を1個有するコモノマーが必要に応じて
用いられる。このようなコモノマーとしては、たとえ
ば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、
クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マレイ
ン酸エステル類、フマール酸エステル類などの不飽和カ
ルボン酸エステル類;アクリルアミド類;メタクリルア
ミド類;アリル化合物;ビニルエーテル類;ビニルエス
テル類;スチレン類;ビニルニトリル類などから選ばれ
る少なくとも1種の化合物である。
【0041】交換反応を利用する方法では、ポリマー
(D)中に二重結合基やエポキシ基のような反応性有機
基Zを存在させる場合、加水分解性オルガノシロキサン
(a)に対して主骨格形成用OH含有有機ポリマー
(b)とOH含有反応性有機化合物(c)を交換反応さ
せる。この場合、交換反応は以下の方法により行うこと
ができる。 (1)加水分解性オルガノシロキサン(a)と主骨格形
成用OH含有有機ポリマー(b)とを、(a)の有する
一部のR1 O基と(b)の有するヒドロキシル基および
カルボキシル基のうちの少なくとも一方とで反応させて
1 O基を(b)の残基と交換すると同時に、(a)と
(c)とを、(a)の有する一部のR1 O基と(c)の
有するヒドロキシル基およびカルボキシル基のうちの少
なくとも一方とで反応させてR1 O基を(c)の残基と
交換する。
【0042】 (2)加水分解性オルガノシロキサン(a)とポリマー
(b)を予め交換反応させてなる含珪素有機ポリマー
(d)〔このポリマー(d)は上述のように基Zを持た
ないポリマー(D)である。〕とOH含有反応性有機化
合物(c)とを、(d)の有する一部のR1 O基と
(c)の有するヒドロキシル基およびカルボキシル基の
うちの少なくとも一方とで反応させてR1 O基を(c)
の残基と交換する。
【0043】 (3)加水分解性オルガノシロキサン(a)とOH含有
反応性有機化合物(c)を、(a)の有する一部のR1
O基と(c)の有するヒドロキシル基およびカルボキシ
ル基のうちの少なくとも一方とで反応させてR1 O基を
(c)の残基と予め交換してなる反応性有機珪素化合物
(e)とポリマー(b)とを、(e)の有する一部のR
1 O基と(b)の有するヒドロキシル基およびカルボキ
シル基のうちの少なくとも一方とで反応させてR1 O基
を(b)の残基と交換する。
【0044】 OH含有反応性有機化合物(c)は、ヒドロキシル基お
よびカルボキシル基のうちの少なくとも1つを1個以上
有するとともに、重合可能な不飽和基およびエポキシ基
から選ばれる少なくとも1種の反応性基を1個以上有す
る有機化合物である。このような化合物(c)として
は、従来公知のものを使用することができ、特に限定さ
れないが、たとえば、一般式Z−OH〔ただし、Zは上
記一般式(Z−1)〜(Z−8)で表される基であ
る。〕で示される化合物(たとえば、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−
ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエト
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルア
クリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アリ
ルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテ
ル、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2−ヒド
ロキシエチルアクリルアミド、メタクリル酸、アクリル
酸、1−カルボキシメチルメタクリルアミド、ビニル酢
酸、グリシドール、エチレングリコールモノグリシジル
エーテル、グリシド酸、3,4−エポキシブタン酸な
ど)から選ばれる少なくとも1つが例示される。これら
の化合物の中でも、交換反応が容易に起こる点で、ヒド
ロキシル基を有する化合物、すなわち、基Zが上記一般
式(Z−1)〜(Z−3)および(Z−7)で表される
化合物が好ましい。
【0045】上記のような交換反応は、触媒の存在下ま
たは非存在下に行われる。触媒としては、無機酸(たと
えば、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等)、有機酸(たとえ
ば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエ
ンスルホン酸等)、有機アミン化合物(たとえば、トリ
エチルアミン、トリプロピルアミン等)、有機アルカリ
金属化合物(たとえば、ナトリウムメトキシド、ナトリ
ウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキ
シド、カリウム−t−ブトキシド等)、ゼオライト類、
酸性もしくは塩基性イオン交換樹脂、金属酸化物(たと
えば、Ga2 3、Tl2 3 、Sb2 3 、Al2
3 等)等の液体状あるいは固体状の酸または塩基を挙げ
ることができる。中でも特に好ましいのは、反応後の除
去が容易であるという点で系に不溶な固体状触媒を用い
ることが推奨される。
【0046】上記交換反応は、溶剤中または無溶剤下に
0〜200℃、好ましくは40〜130℃に加温され、
また反応系は加圧下、常圧下、減圧下の如何を問わず、
また、交換反応によって副生するアルコール類またはカ
ルボン酸類を除去しつつ反応を行うことも可能である。
反応系に用いる溶剤としては、たとえば、加水分解性オ
ルガノシロキサン(a)、ポリマー(b)および化合物
(c)が溶解するものであれば、すべて使用でき、たと
えば、代表的なものとしては、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の
脂肪族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、ジク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、n−ブチルエーテル等のエーテル
類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類など
が使用される。
【0047】交換反応に溶剤を用いた場合、得られたポ
リマー(D)を取り出す方法としては、ポリマー(D)
が、使用した有機溶剤に溶解する場合には有機溶剤を留
去したり、ポリマー(D)が不溶な有機溶剤に添加した
りして固体として取り出すことができる。交換反応は、
たとえば、(a)中のR1 O基1モルに対して、(b)
中のヒドロキシル基およびカルボキシル基のモル数の合
計が0.001〜1の割合となるようにポリマー(b)
を用い、しかも、(c)中のヒドロキシル基およびカル
ボキシル基のモル数の合計が0.001〜1の割合とな
るように化合物(c)を用いて、触媒の存在下または非
存在下、溶剤中または無溶剤下に10分〜5時間行われ
る。
【0048】交換反応の際に水が存在すると加水分解性
オルガノシロキサン(a)のR1 O基の加水分解および
縮合が生じるため、水を極力存在させない方が好まし
く、存在させても1000ppm以下に押さえることが
好ましい。ポリマー(D)を作るための上記共重合方法
は、反応性有機珪素化合物(R)単独、または、これと
共重合可能な単官能性モノマー(H)を共重合させる方
法である。
【0049】反応性有機珪素化合物(R)は、上記反応
性有機基(Z)のうちの一般式(Z−1)〜(Z−6)
で表されるものの中から選ばれる少なくとも1種を1個
以上とSi原子を有し、有機基(Z)とSi原子がSi
−O−C結合を形成している化合物であり、たとえば、
下記一般式で表される重合性有機珪素化合物(K)お
よび平均組成が下記一般式で表され数平均分子量が4
00〜100,000の重合性オルガノポリシロキサン
(L)から選ばれる少なくとも1種である。ここで、重
合性とは、1個以上のラジカル重合可能な不飽和基を有
することを示す。
【0050】 〔式中、Zは上記一般式(Z−1)〜(Z−6)で表さ
れる基から選ばれる1種、R1 およびR4 は、上述した
ものである。rは1〜3の整数、sは1〜3の整数、r
+sは2〜4の整数、tは3以下の正の数、uは3以下
の正の数、vは0〜2の範囲の数、t+u+vは3以下
の正の数である。ただし、Zが1分子中に複数ある場
合、複数のZは互いに同一であっても少なくとも1つが
異なってもよく、R1 が1分子中に複数ある場合,複数
のR1 は互いに同一であっても異なってもよく、R4
1分子中に複数ある場合,複数のR4 は互いに同一であ
っても異なってもよい。〕特に、重合性有機珪素化合物
(K)として、分子中に2個以上の互いに同一または少
なくとも1つが異なっていても良い基Zが存在する多官
能性有機珪素化合物(I)や、0.5≦(M/N)×t
≦10を満足する官能性オルガノポリシロキサン(J)
〔ここで、Mは官能性オルガノポリシロキサン(J)の
数平均分子量、Nは一般式の式量、tは一般式にお
いて有機基(Z)の数を表す3以下の正の数である。〕
から選ばれる1種を使用する場合には、(R)と(H)
との合計量に対して(I)0.5〜60wt%および
(J)0.5〜80wt%の内の少なくとも一方をこの範
囲で含有させて有機溶剤中で共重合させることにより、
得られるポリマー(D)中に一般式(Z−1)〜(Z−
6)で表される基Zを存在させることができる。
【0051】前記重合性有機珪素化合物(K)の具体例
としては、たとえば、メタクリロキシエトキシトリメト
キシシラン、メタクリロキシエトキシトリエトキシシラ
ン、メタクリロキシエトキシトリアセトキシシラン、メ
タクリロキシプロポキシトリメトキシシラン、アクリロ
キシエトキシトリメトキシシラン、アクリロキシプロポ
キシトリメトキシシラン、アクリロキシトリエトキシト
リエトキシシラン、メタクリロキシトリメトキシシラ
ン、メタクリロキシトリエトキシシラン、アクリロキシ
トリメトキシシラン、アクリロキシトリエトキシシラ
ン、アクリロキシトリアセトキシシラン、アリルオキシ
トリメトキシシラン、ビニルフェノキシトリメトキシシ
ラン、CH2 =CHCONHCH2 CH2 OSi(OC
3)3 、CH 2 =CHCONHCH2 CH2 COOSi
(OCH3)3 などを挙げることができる。
【0052】多官能性有機珪素化合物(I)の具体例と
しては、ビス(メタクリロキシプロポキシ)ジメトキシ
シラン、ビス(メタクリロキシエトキシ)ジメトキシシ
ラン、ビス(メタクリロキシプロポキシ)ジエトキシシ
ラン、ビス(メタクリロキシエトキシ)ジエトキシシラ
ン、ビス(メタクリロキシブトキシ)ジメトキシシラ
ン、ビス(メタクリロキシジエトキシ)ジメトキシシラ
ン、ビス(メタクリロキシテトラエトキシ)ジメトキシ
シラン、ビス(メタクリロキシクロロプロポキシ)ジメ
トキシシラン、トリス(メタクリロキシクロロプロポキ
シ)メトキシシラン、トリス(メタクリロキシエトキ
シ)メトキシシラン、ビス(メタクリロキシエトキシ)
ジアセトキシシラン、ビス(アクリロキシエトキシ)ジ
メトキシシラン、ビス(アクリロキシエトキシ)ジフェ
ノキシシラン、トリス(アクリロキシエトキシ)メトキ
シシラン、トリス(アクリロキシエトキシ)フェノキシ
シラン、ビス(アクリロキシプロポキシ)ジメトキシシ
ラン、ビス(アクリロキシブトキシ)ジブトキシシラ
ン、トリス(アクリロキシジエトキシ)ドデシロキシシ
ラン、ジ(メタクリロキシ)ジメトキシシラン、ジ(メ
タクリロキシ)ジエトキシシラン、トリ(メタクリロキ
シ)ブトキシシラン、ジ(アクリロキシ)ジメトキシシ
ラン、ジ(アクリロキシ)ジアセトキシシラン、トリ
(アクリロキシ)ブトキシシラン、ビス(アリルオキ
シ)ジメトキシシラン、トリス(アリルオキシ)エトキ
シシラン、トリス(ビニルフェノキシ)ブトキシシラ
ン、(CH2 =CHCONHCH2 CH2 O)2Si(O
CH3)2 、(CH2 =CHCONHCH2 CH2 CO
O)2Si(OCH3)2 などを挙げることができる。
【0053】上記重合性オルガノポリシロキサン(L)
の具体的な合成法としては、たとえば、上記一般式で
表されるシラン化合物の少なくとも1種を加水分解縮合
して得られる平均組成が一般式で示されるポリシロキ
サン、あるいは、水ガラスを中和または陽イオン交換樹
脂で処理して得られるケイ酸あるいはケイ酸を更にアル
コール中でエステル化処理して得られるポリアルコキシ
シロキサンを、一般式Z−OHで示されるOH含有反応
性有機化合物(M)〔Zは上記一般式(Z−1)〜(Z
−6)で示される基である。〕、すなわち、CH2 =C
(R2)COOR 3 OH(R2 およびR3 は前記と同
じ)、(メタ)アクリル酸〔CH2 =C(R 2)COO
H:R2 は前記と同じ〕、CH2 =C(R2)R3 OH
(R2 およびR3は前記と同じ)、CH2 =C(R2)C
ONHR3 OH(R2 およびR3 は前記と同じ)、CH
2 =C(R2)CONHR3 COOH(R2 およびR3
前記と同じ)、CH2 =C(R2)R3 COOH(R2
よびR3 は前記と同じ)等で交換反応することにより得
られる。
【0054】また、単官能性モノマー(H)としては、
重合可能な不飽和基を1個有する化合物であり、たとえ
ば、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸
類;アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、
クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マレイ
ン酸エステル類、フマール酸エステル類などの不飽和カ
ルボン酸エステル類;アクリルアミド類;メタクリルア
ミド類;アリル化合物;ビニルエーテル類;ビニルエス
テル類;スチレン類;ビニルニトリル類;ラジカル重合
性を有するシランカップリング剤(不飽和基を有するシ
ランカップリング剤)などから選ばれる少なくとも1種
の化合物である。
【0055】反応性有機珪素化合物(R)とモノマー
(H)を共重合させる際の(R)と(H)の割合は、
(R)+(H)の合計量に対して、(R)0.5〜10
0wt%、(H)0〜99.5wt%の範囲であり、(R)
が0.5wt%未満の場合には、ポリマー(D)中にSi
OR1 という構造を有するポリマーが少なくなるおそれ
がある。
【0056】反応性有機珪素化合物(R)単独であるい
はこれとモノマー(H)を重合させる方法は、従来公知
の方法がとられ、ラジカル開始剤の存在下、バルク重
合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等のいずれの方法を
用いてもよい。しかしながら、有機珪素化合物(R)と
して多官能性有機珪素化合物(I)や官能性オルガノポ
リシロキサン(J)を使用する場合には、溶液重合をと
ることが好ましい。他の方法では、高度な架橋構造を有
するポリマーとなり、溶融しなかったりするため、その
効果が発現されにくくなる。
【0057】ラジカル重合開始剤としては、たとえば、
従来公知のものを使用することができ、特に限定されな
いが、好ましくは、アゾ化合物、過酸化物などから選ば
れる少なくとも1種の化合物である。上記したラジカル
重合開始剤の量としては特に限定はないが、多量に使用
すると発熱量が多くなって反応の制御が困難となり、一
方、少量使用の場合は高度な架橋構造を生成するので、
好ましくは(R)+(H)の合計量に対して0.5〜7
wt%、更に好ましくは1〜6wt%の範囲で使用する方が
良い。
【0058】溶液重合に用いる有機溶媒は、有機珪素化
合物(R)およびモノマー(H)が溶解するものであれ
ば特に限定されず、具体例としては、ケトン類、エステ
ル類、芳香族炭化水素類、エーテル類、アルコール類、
ハロゲン化炭化水素類などが挙げられ、いずれか1つが
単独で使用されたり、2以上の溶剤の混合溶剤で使用さ
れたりする。
【0059】また、共重合させる際の温度は、重合方法
や使用するラジカル重合開始剤によって適宜選択可能で
あるが、反応の制御のし易さから30〜200℃、好ま
しくは50〜150℃の範囲とされる。共重合の際に連
鎖移動剤や分子量調節剤、界面活性剤等を適宜使用して
もかまわない。重合を行う時間は、たとえば、1〜12
時間とされる。
【0060】この発明の成形材料中における含珪素ポリ
マー(D)の含有量は、ラジカル重合性単量体(A)と
熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対して0.
5〜10重量部の範囲が望ましい。含珪素ポリマー
(D)の含有量が上記の範囲よりも少ない場合は、含珪
素ポリマー(D)の添加効果が充分でなく、上記範囲よ
りも多い場合は、含有量の増加に見合った効果の改善が
ないからである。
【0061】この発明の成形材料は、成形品(硬化物)
に御影石調の外観を付与するために、ラジカル重合性単
量体(A)、熱可塑性樹脂(B)、金属酸化物の水和物
(C)および含珪素ポリマー(D)を必須成分として含
む混合物(1)中に、この混合物(1)の硬化物とは異
なる透明度および/または色調を与える硬化物の破砕物
(G)が分散しているものであってもよい。
【0062】破砕物(G)は、ラジカル重合性単量体
(A)と同一または異なるラジカル重合性単量体
(A’)、熱可塑性樹脂(B)と同一または異なる熱可
塑性樹脂(B’)、金属酸化物の水和物(C)と同一ま
たは異なる金属酸化物の水和物(C’)および含珪素ポ
リマー(D)と同一または異なる含珪素ポリマー
(D’)を必須成分として含む混合物(2)(必要に応
じて着色剤を含んでいてもよい)を硬化して得られる少
なくとも1種の硬化物を破砕したものである。ラジカル
重合性単量体(A’)、熱可塑性樹脂(B’)、金属酸
化物の水和物(C’)および含珪素ポリマー(D’)と
しては、ラジカル重合性単量体(A)、熱可塑性樹脂
(B)、金属酸化物の水和物(C)および含珪素ポリマ
ー(D)の例として前述したものが再び例示される。
【0063】破砕物(G)の原料となる混合物(2)内
には、ラジカル重合性単量体(A’)、熱可塑性樹脂
(B’)、金属酸化物の水和物(C’)および含珪素ポ
リマー(D’)に加えて、必要ならば、この発明の効果
を阻害しない範囲の量で各種のガラス繊維等の補強繊
維、ステアリン酸亜鉛等の離型剤、揺変剤、可塑剤、難
燃剤、耐炎剤等が含まれていてもよい。また、硬化剤と
してラジカル重合開始剤を、ラジカル重合性単量体
(A’)に対して0.5〜3.0重量%の割合で含んで
いてもよい。
【0064】この発明の成形材料の作製方法について
は、特に限定はされず、従来の成形材料と同様の方法で
行うことができる。ラジカル重合性単量体(A)として
メチルメタクリレートを用い、熱可塑性樹脂(B)とし
てポリメチルメタクリレートを用いる場合を例に挙げて
説明すれば、たとえば、以下のような方法により成形材
料を作製することができる。
【0065】まず、懸濁重合等の方法であらかじめ作製
しておいたビーズ状のポリメチルメタクリレートをメチ
ルメタクリレートモノマーに加温下で混合し攪拌するこ
とにより溶解して、アクリルシラップを作製する。この
アクリルシラップは、重量平均分子量が50,000〜
500,000、固形分が20〜50重量%のものが好
ましい。分子量が50,000未満のものは、多量の連
鎖移動剤が必要であり、重合しにくい。また、耐候性や
色調が悪くなる場合が多い。500,000を超えるも
のは、シラップとしたときの粘度が高くなり、取り扱い
性が悪い。また、多量の充填剤を投入できない。固形分
が20重量%未満のものは、収縮が大きくなり、クラッ
クが発生しやすい。また、硬化時の発熱が大きく、割れ
やすくなる。固形分が50重量%を超えるものを使用し
た場合、粘度が高くなりがちであり、そのため、扱いに
くかったり、多量の充填剤を投入できなかったりする。
【0066】上記のようにして得られたアクリルシラッ
プに金属酸化物の水和物(C)、含珪素ポリマー(D)
および必要に応じてその他の成分を添加し、高速攪拌機
や、塗料製造用の顔料分散機、混練ロール、ニーダー等
を用いて均一に混練することにより、成形材料を得る。
その際、熱可塑性樹脂(B)の種類によっては、溶融混
練してもよい。
【0067】この発明の成形材料の成形、硬化方法につ
いても、特に限定はされず、従来の成形材料と同様の方
法で行うことができる。たとえば、成形材料を型に注
入、圧入または投入し、注型、プレス、押し出し等の各
種成形方法で成形し、硬化させることにより、目的とす
る製品(成形品)を得ることができる。注型硬化の場
合、60℃程度の温度で予備硬化を進め、さらに80〜
120℃に加温して後硬化(アフターキュア)すること
もできる。
【0068】成形材料の成形、硬化は、たとえば、以下
のようにして行われる。雌雄一対の型の空間部に成形材
料を注入して満たし、型を加温して、過酸化物触媒の分
解によりラジカル重合させる。重合反応完了後、型から
取り出し、必要に応じてさらにアフターキュアを施した
後、サンディング等により表面を仕上げることにより、
製品を得る。しかし、これに限定されず、たとえば、プ
レスに取り付けられた雌雄一対の型に生パン状の成形材
料を仕込み、加熱、加圧下で重合硬化させることによ
り、製品を得るようにしてもよい。
【0069】
【作用】マトリックス樹脂の原料として、ラジカル重合
性単量体(A)に加えて熱可塑性樹脂(B)を含ませる
ようにすると、熱可塑性樹脂(B)により、硬化時の発
熱が抑制され、収縮によるクラックや割れが防止され
る。充填剤として金属酸化物の水和物(C)を含ませる
ようにすると、難燃性に優れ、しかも透明感のある美麗
な大理石調の外観を有する成形品(硬化物)を得ること
が可能になる。
【0070】含珪素ポリマー(D)を含ませるようにす
ると、ラジカル重合性単量体(A)と熱可塑性樹脂
(B)に対する金属酸化物の水和物(C)の分散性が改
善されるため、ラジカル重合性単量体(A)と熱可塑性
樹脂(B)に金属酸化物の水和物(C)を混合分散させ
るのに必要な時間が短縮され、短時間に一様で均一なス
ラリー状の成形材料を得ることが可能になる。得られる
スラリー状の成形材料の粘度は、含珪素ポリマー(D)
を含まない場合に比べて低くなる。そのため、金属酸化
物の水和物(C)の量をさらに増量することが可能にな
ったり、ポンプ輸送や型注入等の種々の操作や取り扱い
が容易になったりする。また、成形材料中の気泡が抜け
易いので、ピンホール等の欠陥が生じにくい等の利点が
得られる。硬化物の物性は、含珪素ポリマー(D)を用
いない場合に比べて高くなる。特に、含珪素ポリマー
(D)の効果により、マトリックス樹脂に対する充填剤
の接着性が向上するため、硬化物の物理的強度が改善さ
れる。
【0071】成形材料中に破砕物(G)が分散したもの
を成形硬化させた場合は、御影石調の外観を有する成形
品(硬化物)が得られる。
【0072】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。
なお、以下では、「部」は「重量部」を、「%」は「wt
%」をそれぞれ表す。まず、下記実施例で使用する含珪
素ポリマーを下記合成例により合成した。
【0073】−合成例1− 攪拌機、温度計および蒸留塔を備えた1リットルの4つ
口フラスコにテトラメトキシシラン608.4g(4.
0モル)および2−ヒドロキシエチルメタクリレート2
60.0g(2.0モル)を仕込み、さらに触媒として
アンバーリスト15(ローム・アンド・ハース・ジャパ
ン社製の強酸性陽イオン交換樹脂。以下、同じ。)4.
54gを加え、150Torrの圧力下で80℃まで6時間
かけて昇温し、留出する液体がほとんどなくなるまで8
0℃に2時間保持した。その後、80℃に保持しながら
5Torrの圧力下で過剰のテトラメトキシシランを留去し
た。反応液を室温まで冷却し、アンバーリスト15を濾
別して、反応性有機ケイ素化合物組成物(a−1)を得
た。
【0074】この組成物(a−1)をHPLC(高速液
体クロマトグラフィー。以下同じ。)により分析したと
ころ、組成物(a−1)は、メタクリロキシトリメトキ
シシラン315.1g(70.7%)、ビス(メタクリ
ロキシエトキシ)ジメトキシシラン105.2g(2
3.6%)、トリス(メタクリロキシエトキシ)メトキ
シシラン13.8g(3.1%)、副生成物であるメタ
ノール2.7g(0.6%)、および、未反応のテトラ
メトキシシラン2.2g(0.5%)と2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート6.7g(1.5%)を含んでい
た。
【0075】次に、攪拌機、滴下口、温度計、冷却管お
よびN2 ガス導入口を備えた500ミリリットルのガラ
ス製反応器に有機溶剤としてトルエン185gを入れ、
2ガスを導入しながらトルエンを110±2℃の温度
に調整した。ついで、攪拌しながら、メチルメタクリレ
ート70.0g、ブチルアクリレート120.0g、上
記で得られた反応性有機ケイ素化合物組成物(a−1)
10.4gおよびラジカル重合開始剤として2,2’−
アゾビスイソブチロニトリル2.0gを混合した溶液を
滴下口より2時間かけて滴下した。滴下後も同温度で1
時間加熱して共重合を行い、含珪素ポリマー(D−1)
がトルエンに溶解した溶液を得た。
【0076】このトルエン溶液10gをアルミニウムカ
ップに採取し、150℃で6時間真空乾燥してトルエン
および残存モノマーを留去することにより不揮発分を調
べたところ、5.17gであった。この結果から、上記
トルエン溶液中の含珪素ポリマー(D−1)の濃度は5
1.7%であった。含珪素ポリマー(D−1)につい
て、後述の方法により、数平均分子量、1分子当たりの
平均有機基(Z)の数および有機溶剤への溶解性を調べ
た。その結果を後記表1に示した。
【0077】次いで、含珪素ポリマー(D−1)分子中
の重合可能な不飽和基の有無を以下の方法により調べ
た。攪拌機、温度計、冷却管およびN2 ガス導入口を備
えた200ミリリットルの4つ口フラスコに、含珪素ポ
リマー(D−1)のトルエン溶液(上記で得られたも
の)40g、メチルメタクリレート30g、トルエン4
0gおよびラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル2.0gを仕込んで混合し、N2
ガスを導入しながら攪拌し、90℃で加熱した。その結
果、系全体がゲル化したことから、含珪素ポリマー(D
−1)分子中には重合可能な不飽和基が存在しているこ
とが確認された。
【0078】−合成例2− 攪拌機、温度計および冷却管を備えた1リットルの4つ
口フラスコに、テトラメトキシシランを1000g、水
を118.3g、アンバーリスト15を119.5gお
よびメタノールを500g仕込んで混合し、攪拌しなが
ら80℃まで加熱し、メタノールを留去しながら加水分
解縮合を進め、メタノールが留去しなくなった時点で冷
却し、アンバーリスト15を濾別して、ポリメトキシシ
ロキサン465.0gを得た。
【0079】このポリメトキシシロキサン465.0g
に、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを113.9
gとアンバーリスト15を19.9g加え、攪拌しなが
ら80℃、200Torr下で加熱し、生成したメタノール
を留去して、ポリメトキシシロキサンのメトキシ基と2
−ヒドロキシエチルメタクリレートの交換反応を行っ
た。冷却後、濾別によりアンバーリスト15を除去し
て、官能性オルガノポリシロキサン(f−1)を得た。
【0080】この官能性オルガノポリシロキサン(f−
1)の数平均分子量を測定したところ、1700であっ
た。また、官能性オルガノポリシロキサン(f−1)の
平均組成を求めるため、以下の方法で分析した。Si量
は元素分析により定量した。メトキシ基の量は、官能性
オルガノポリシロキサン(f−1)中の残存メタノール
を予めGC(ガスクロマトグラフィー。以下同じ。)で
測定した後、1N−NaOH水溶液100gに官能性オ
ルガノポリシロキサン(f−1)2gを入れ、6時間攪
拌した均一溶液中のメタノールをGCで定量し、増加し
たメタノールの量で求めた。これは増加したメタノール
がメトキシ基の加水分解物と見なせるからである。2−
メタクリロキシエトキシ基の量は、官能性オルガノポリ
シロキサン(f−1)中に残存する2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートをGCで定量し、その転化率より求め
た。これらの分析結果より、官能性オルガノポリシロキ
サン(f−1)の平均組成式は、下記に示す通りであっ
た。
【0081】 次に、攪拌機、滴下口、温度計、冷却管およびN2 ガス
導入口を備えた500ミリリットルのガラス製反応器に
有機溶剤としてトルエン175gを入れ、N2ガスを導
入しながらトルエンを110±2℃の温度に調整した。
ついで、この反応器内を攪拌しながら、上記で得られた
官能性オルガノポリシロキサン(f−1)20g、メチ
ルメタクリレート20g、2−エチルヘキシルアクリレ
ート120gおよびラジカル重合開始剤として2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル3.6gを混合した溶液
を滴下口より2時間かけて滴下した。滴下後も同温度で
1時間加熱して共重合を行い、含珪素ポリマー(D−
2)がトルエンに溶解した溶液を得た。
【0082】このトルエン溶液中の含珪素ポリマー(D
−2)の濃度を合成例1と同様にして調べたところ、5
2.9%であった。含珪素ポリマー(D−2)につい
て、後述の方法により、数平均分子量、1分子当たりの
平均有機基(Z)の数および有機溶剤への溶解性を調べ
た。その結果を後記表1に示した。
【0083】次いで、含珪素ポリマー(D−2)分子中
の重合可能な不飽和基の有無を合成例1と同様の方法で
調べたところ、含珪素ポリマー(D−2)分子中には重
合可能な不飽和基が存在していることが確認された。 −合成例3− 攪拌機、滴下口、温度計、冷却管およびN2 ガス導入口
を備えた500ミリリットルのガラス製反応器に有機溶
剤としてトルエン200gを入れ、N2 ガスを導入しな
がらトルエンを110±2℃の温度に調整した。つい
で、この反応器内を攪拌しながら、合成例2で得られた
官能性オルガノポリシロキサン(f−1)20g、スチ
レン90g、ブチルアクリレート90gおよびラジカル
重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル6.0gを混合した溶液を滴下口より2時間かけて滴
下した。滴下後も同温度で1時間加熱して共重合を行う
ことにより、含珪素ポリマー(D−3)がトルエンに溶
解した溶液を得た。
【0084】このトルエン溶液中の含珪素ポリマー(D
−3)の濃度を合成例1と同様にして調べたところ、4
7.5%であった。含珪素ポリマー(D−3)につい
て、後述の方法により、数平均分子量、1分子当たりの
平均有機基(Z)の数および有機溶剤への溶解性を調べ
た。その結果を後記表1に示した。
【0085】次いで、含珪素ポリマー(D−3)分子中
の重合可能な不飽和基の有無を合成例1と同様の方法で
調べたところ、含珪素ポリマー(D−3)分子中には重
合可能な不飽和基が存在していることが確認された。 −合成例4− 合成例2で得られたポリメトキシシロキサン465.0
gに、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを57.0
gとアンバーリスト15を10.0g加え、攪拌しなが
ら80℃、200Torr下で加熱し、生成したメタノール
を留去して、ポリメトキシシロキサンのメトキシ基と2
−ヒドロキシエチルメタクリレートの交換反応を行っ
た。冷却後、濾別によりアンバーリスト15を除去し
て、官能性オルガノポリシロキサン(f−2)を得た。
【0086】この官能性オルガノポリシロキサン(f−
2)の数平均分子量を測定したところ、2000であっ
た。また、官能性オルガノポリシロキサン(f−2)の
平均組成を前述の官能性オルガノポリシロキサン(f−
1)の場合と同様の方法で分析したところ、官能性オル
ガノポリシロキサン(f−2)の平均組成式は、下記に
示す通りであった。
【0087】 攪拌機、滴下口、温度計、冷却管およびN2 ガス導入口
を備えた500ミリリットルのガラス製反応器に有機溶
剤としてトルエン200gを入れ、N2 ガスを導入しな
がらトルエンを110±2℃の温度に調整した。つい
で、この反応器内を攪拌しながら、上記で得られた官能
性オルガノポリシロキサン(f−2)70g、スチレン
65g、ブチルアクリレート65gおよびラジカル重合
開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1
2gを混合した溶液を滴下口より2時間かけて滴下し
た。滴下後も同温度で1時間加熱して共重合を行うこと
により、含珪素ポリマー(D−4)がトルエンに溶解し
た溶液を得た。
【0088】このトルエン溶液中の含珪素ポリマー(D
−4)の濃度を合成例1と同様にして調べたところ、4
9.3%であった。含珪素ポリマー(D−4)につい
て、後述の方法により、数平均分子量、1分子当たりの
平均有機基(Z)の数および有機溶剤への溶解性を調べ
た。その結果を後記表1に示した。
【0089】次いで、含珪素ポリマー(D−4)分子中
の重合可能な不飽和基の有無を合成例1と同様の方法で
調べたところ、含珪素ポリマー(D−4)分子中には重
合可能な不飽和基が存在していることが確認された。な
お、上記の合成例で得られた含珪素ポリマー(D−1)
〜(D−4)の、数平均分子量、1分子当たりの平均有
機基(Z)数および有機溶剤への溶解性は、下記の方法
により分析し評価した。その際、残存する原料成分を除
去するため、ヘキサン、アセトニトリルまたはメタノー
ル等の貧溶媒を選択して含珪素ポリマーの再沈精製を繰
り返した。数平均分子量 上記方法により再沈精製した含珪素ポリマーについてゲ
ル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、ポリス
チレン換算の数平均分子量を下記条件において測定し
た。
【0090】(試料の調製)テトラヒドロフランを溶媒
として使用し、再沈精製した含珪素ポリマー0.1gを
10gのテトラヒドロフランに溶解して試料とした。 (装置)東ソー株式会社製の高速GPC装置HLC−8
020を用いた。
【0091】(カラム)東ソー株式会社製のG3000
H、G2000HおよびGMHXLを用いた。 (標準ポリスチレン)東ソー株式会社製のTSK標準ポ
リスチレンを用いた。 (測定条件)測定温度40℃、流速1ml/分で測定し
た。1分子当たりの平均有機基(Z)数 上記方法により再沈精製した含珪素ポリマー10gをテ
トラヒドロフラン50gに溶解し、水10gを添加して
均一な溶液とし、還流下、1週間加熱(60℃)して、
Si原子にO原子を介して結合している反応性有機基
(Z)を加水分解により切断した。GCおよびHPLC
分析により、有機基(Z)と水酸基とが結合してなる化
合物(ZOH)の量(α)を下記の式に従って求め、こ
れを1分子当たりの平均有機基(Z)数とした。
【0092】α=(W1 /Mw)/(W2 /Mn) ここで、 W1 :加水分解により切断して生成したZOHの重量
(g) Mw:ZOHの分子量 W2 :再沈精製した含珪素ポリマーの重量(g) Mn:再沈精製した含珪素ポリマーの数平均分子量 である。有機溶剤への溶解性 上記方法により再沈精製した含珪素ポリマー1gと下記
の各有機溶剤100gとを室温下で1時間攪拌して混合
した後、東洋ろ紙株式会社製No.2のろ紙を用いてろ
過することにより残渣を取り出し、この残渣を50℃で
2時間真空乾燥して精秤し、その結果が0.6g未満の
場合は、溶解したとみなした。下記表1中の記号は、次
のとおりである。
【0093】◎…残渣が0.2g未満。 ○…残渣が0.2g以上、0.4g未満。 △…残渣が0.4g以上、0.6g未満。 ×…残渣が0.6g以上。 (有機溶剤)ケトン類:アセトン。
【0094】エーテル類:テトラヒドロフラン(TH
F)。 芳香族炭化水素類:トルエン。 エステル類:酢酸エチル。
【0095】
【表1】
【0096】−実施例1−1− メチルメタクリレート71.5部にポリメチルメタクリ
レート28.5部〔住友化学工業(株)製、スミペック
スB、LG−6〕を溶解させた後、エチレングリコール
ジメタクリレート3部および分散剤として合成例1で得
られた含珪素ポリマー(D−1)のトルエン溶液3.9
部を添加して均一に混合し、その後、水酸化アルミニウ
ム〔昭和電工(株)製、ハイジライトH−320、平均
粒径9μm〕180部を加えて30分間混練した。
【0097】得られた混練物にt−ブチルパーオキシ2
−エチルヘキサノエート0.5部を添加してよく混合
し、減圧脱泡することにより、成形材料を得た。次に、
この成形材料を250×250×6mmの注型用型に注入
し、60℃で硬化させたところ、90分で硬化した。そ
の後、さらに120℃で120分間、後硬化させること
により、成形品(硬化物)を得た。
【0098】−実施例1−2〜1−4− 実施例1−1において、分散剤の種類および添加量を下
記表2に示す通りとしたこと以外は実施例1−1と同様
にして、成形材料を得た。得られた成形材料を実施例1
−1と同様にして成形硬化させて、成形品(硬化物)を
得た。
【0099】−比較例1−1− 実施例1−1において、分散剤を全く用いないこと以外
は実施例1−1と同様にして成形材料を得た。次に、得
られた成形材料を実施例1−1と同様にして成形硬化さ
せて、成形品(硬化物)を得た。
【0100】−比較例1−2− 実施例1−1において、分散剤として含珪素ポリマーの
代わりに市販のW−980〔ビッグ・ケミー・ジャパン
社製の湿潤分散剤(ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テルのマレイン酸エステル)〕を用いたこと以外は実施
例1−1と同様にして成形材料を得た。
【0101】得られた成形材料を実施例1−1と同様に
して成形硬化させて、成形品(硬化物)を得た。以上の
実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−2で得
られた各成形材料について、液温30℃における粘度を
調べた。その結果を下記表2に示した。表2にみるよう
に、実施例1−1〜1−4の成形材料の粘度は、比較例
1−1〜1−2の成形材料の場合に比べて、いずれも低
いものであった。このことから、含珪素ポリマーの添加
による減粘効果が確認された。
【0102】実施例1−1〜1−4および比較例1−1
〜1−2で得られた各成形品(硬化物)について、外観
を調べた。その結果、実施例1−1〜1−4の成形品
は、いずれも、半透明の大理石調外観を有し、割れやク
ラックの発生は認められなかった。これに対し、比較例
1−1の成形品は、原料の成形材料の粘度が表2にみる
ように高いものであったため、注型の際に巻き込んだ気
泡が除去されず、ピンホールおよびクラックの発生が多
数認められた。また、比較例1−2の成形品は黄変して
おり、実施例のものに比べて外観が劣っていた。
【0103】
【表2】
【0104】−実施例2−1− メチルメタクリレート24.0部およびスチレンモノマ
ー40.0部にポリメチルメタクリレート16.0部
〔住友化学工業(株)製、スミペックスB、LG−6〕
を溶解させた後、トリメチロールプロパントリメタクリ
レート20部および分散剤として合成例3で得られた含
珪素ポリマー(D−3)のトルエン溶液1.8部を添加
して均一に混合し、その後、水酸化アルミニウム〔昭和
電工(株)製、ハイジライトH−320、平均粒径9μ
m〕130部を加えて30分間混練した。
【0105】得られた混練物にt−ブチルパーオキシピ
バレート0.8部を添加してよく混合し、減圧脱泡する
ことにより、混合物(2−1)を得た。この混合物(2
−1)の粘度は、液温30℃で4ポイズであった。次
に、この混合物(2−1)を250×250×6mmの注
型用型に注入し、60℃で硬化させたところ、60分で
硬化した。その後、さらに120℃で120分間、後硬
化させることにより、硬化物を得た。この硬化物は、半
透明の大理石調の外観を有する樹脂であった。
【0106】この硬化物をハンマーミルで破砕し、20
メッシュのASTM標準篩で粗粒を除去した後、80メ
ッシュのASTM標準篩で微粉を除去することにより、
20〜80メッシュの比重1.6の半透明の破砕物(G
−1)を得た。 −実施例2−2− 実施例2−1において、混合物(2−1)の代わりに、
この混合物(2−1)に着色剤としてアクリル樹脂用ト
ナー(AT−854、大日精化工業(株)製)2部を添
加、混合して得られた混合物(2−2)を用いた他は実
施例2−1と同様にして硬化を行って、黒色半透明の硬
化物を得た。
【0107】次に、この硬化物を実施例2−1と同様に
して破砕、篩分けすることにより、20〜80メッシュ
の比重1.6の黒色の破砕物(G−2)を得た。 −比較例2−1− 実施例2−1において、分散剤を全く用いないこと以外
は実施例2−1と同様の配合により比較用混合物(2−
1)を得た。この比較用混合物(2−1)の粘度は、液
温30℃で11ポイズであった。
【0108】後は、実施例2−1と同様にして、比較用
混合物(2−1)を硬化させ、その硬化物を破砕、篩分
けすることにより、20〜80メッシュの比重1.7の
比較用破砕物(G−1)を得た。 −比較例2−2− 実施例2−1において、分散剤を全く用いないととも
に、着色剤としてアクリル樹脂用トナー(AT−85
4、大日精化工業(株)製)2部を添加、混合したこと
以外は実施例2−1と同様の配合により比較用混合物
(2−2)を得た。
【0109】後は、実施例2−1と同様にして、この比
較用混合物(2−2)を硬化させ、その硬化物を破砕、
篩分けすることにより、20〜80メッシュの比重1.
7の黒色の比較用破砕物(G−2)を得た。 −比較例2−3− 実施例2−1において、分散剤として含珪素ポリマーの
代わりに市販のW−980〔ビッグ・ケミー・ジャパン
社製の湿潤分散剤(ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テルのマレイン酸エステル)〕を用いたこと以外は実施
例2−1と同様の配合により比較用混合物(2−3)を
得た。この比較用混合物(2−3)の粘度は、液温30
℃で4ポイズであり、減粘効果は認められた。しかし、
この比較用混合物(2−3)を実施例2−1と同様にし
て硬化させたところ、その硬化物は黄変していた。
【0110】−実施例3−1− メチルメタクリレート80.0部にポリメチルメタクリ
レート20.0部〔住友化学工業(株)製、スミペック
スB、LG−6〕を溶解させた後、エチレングリコール
ジメタクリレート3.0部および分散剤として合成例2
で得られた含珪素ポリマー(D−2)のトルエン溶液
2.6部を添加して均一に混合し、その後、水酸化アル
ミニウム〔昭和電工(株)製、ハイジライトH−32
0、平均粒径9μm〕130部、実施例2−1で得られ
た破砕物(G−1)50部および実施例2−2で得られ
た破砕物(G−2)10部を加えて30分間混練した。
【0111】得られた混練物にt−ブチルパーオキシ2
−エチルヘキサノエート0.5部を添加してよく混合
し、減圧脱泡することにより、成形材料を得た。この成
形材料の粘度は、液温30℃で90ポイズであった。次
に、この成形材料を250×250×10mmの注型用型
に注入し、60℃で硬化させたところ、90分で硬化し
た。その後、さらに120℃で120分間、後硬化させ
ることにより、成形品(硬化物)を得た。
【0112】得られた成形品は、乳白色半透明の美麗な
大理石調の硬化樹脂の中に、この硬化樹脂とは異なった
色調を有する白色粒子と黒色粒子が均一に分散した御影
石調の美麗なものであった。この成形品の表面層を0.
5mm程度ベルトサンダーで研削して製品としたところ、
粒子断面が直接表面に出現し、より立体的な深みのある
装飾性に優れたものとなった。
【0113】−比較例3−1− 実施例3−1において、分散剤を全く用いないととも
に、実施例2−1で得られた破砕物(G−1)50部の
代わりに比較例2−1で得られた比較用破砕物(G−
1)50部を、実施例2−2で得られた破砕物(G−
2)10部の代わりに比較例2−2で得られた比較用破
砕物(G−2)10部をそれぞれ用いたこと以外は実施
例3−1と同様の配合により成形材料を得た。この成形
材料の粘度は、液温30℃で330ポイズであった。
【0114】この成形材料を実施例3−1と同様にして
成形硬化させることにより、成形品(硬化物)を得た。
この成形品は、原料の成形材料の粘度が高いために注型
の際に巻き込んだ気泡が除去されず、ピンホールおよび
クラックの発生が多数認められた。
【0115】
【発明の効果】この発明の成形材料によれば、マトリッ
クス樹脂中に多量の充填剤を短時間に均一分散すること
ができるため生産性に優れ、粘度が低いため成形性に優
れるとともに、耐候性、耐熱変色性、耐水性、難燃性、
物理的強度等の物性に優れ、透明感のある美麗な大理石
調の外観を有する成形品(硬化物)を得ることができ
る。
【0116】この成形材料中に破砕物(G)が分散した
ものを成形硬化させた場合は、御影石調の外観を有する
成形品(硬化物)が得られる。得られた成形品は、上記
の優れた物性を有し、大理石調、御影石調等の美麗な深
みのある外観を有するため、浴槽、キッチンカウンタ
ー、洗面台等の住宅機器材料や建造物内外壁用装飾材料
等として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米田 忠弘 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジカル重合性単量体(A)、この単量
    体(A)に溶解もしくは分散する熱可塑性樹脂(B)、
    金属酸化物の水和物(C)および含珪素ポリマー(D)
    を必須成分として含む成形材料であって、前記含珪素ポ
    リマー(D)が、1分子当たり少なくとも1個のR1
    基〔R1 は、水素原子であるか、または、アルキル基、
    シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびア
    シル基の中から選ばれ、置換されていてもよい1種の基
    であり、R1 が1分子中に複数ある場合、複数のR1
    互いに同一であっても異なってもよい。〕と少なくとも
    1個のSi原子を有し、R1 O基とSi原子が結合して
    Si−O−C結合を形成しているとともに一部または全
    部のSi原子がSi−O−C結合によって主鎖と直接ま
    たは間接的に結合している構造を有し、数平均分子量が
    1,000〜1,000,000の範囲にあって有機溶
    剤に可溶であることを特徴とする成形材料。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂(E)、ならびに、多官能
    カルボン酸および/またはその無水物(F)をさらに含
    む請求項1記載の成形材料。
  3. 【請求項3】 含珪素ポリマー(D)が、R1 O基を有
    するとともに、下記一般式(Z−1)〜(Z−8)で示
    される反応性有機基(Z)の中から選ばれる少なくとも
    1種を有し、前記Z基がO原子を介してSi原子に結合
    してSi−O−C結合を形成している請求項1または2
    記載の成形材料。 (Z−1) CH2 =C(R2)−COOR3 − (Z−2) CH2 =C(R2)−CO− (Z−3) CH2 =C(R2)−R3 − (Z−4) CH2 =C(R2)−CONHR3 − (Z−5) CH2 =C(R2)−CONHR3 −CO− (Z−6) CH2 =C(R2)−R3 −CO− 〔一般式(Z−1)〜(Z−8)中、R2 は水素原子ま
    たはメチル基、R3 はC数1〜20の範囲の2価の有機
    基である。〕
  4. 【請求項4】 ラジカル重合性単量体(A)、熱可塑性
    樹脂(B)、金属酸化物の水和物(C)および含珪素ポ
    リマー(D)を必須成分として含む混合物(1)中に、
    ラジカル重合性単量体(A)と同一または異なるラジカ
    ル重合性単量体(A’)、熱可塑性樹脂(B)と同一ま
    たは異なる熱可塑性樹脂(B’)、金属酸化物の水和物
    (C)と同一または異なる金属酸化物の水和物(C’)
    および含珪素ポリマー(D)と同一または異なる含珪素
    ポリマー(D’)を必須成分として含む混合物(2)を
    硬化して得られ、かつ、前記混合物(1)の硬化物とは
    異なった透明度および/または色調を与える硬化物の破
    砕物(G)が分散している請求項1から3までのいずれ
    かに記載の成形材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013530256A (ja) * 2010-04-02 2013-07-25 ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア 含フッ素ポリマーをベースとするハイブリッド有機/無機複合体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013530256A (ja) * 2010-04-02 2013-07-25 ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア 含フッ素ポリマーをベースとするハイブリッド有機/無機複合体
JP2016172855A (ja) * 2010-04-02 2016-09-29 ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア 含フッ素ポリマーをベースとするハイブリッド有機/無機複合体

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