JPH06285190A

JPH06285190A - ゴルフクラブヘッドの製造方法

Info

Publication number: JPH06285190A
Application number: JP5095410A
Authority: JP
Inventors: Masashi Kobayashi; 正志小林
Original assignee: Maruman Golf Co Ltd
Current assignee: Maruman Golf Co Ltd
Priority date: 1993-03-30
Filing date: 1993-03-30
Publication date: 1994-10-11

Abstract

(57)【要約】【目的】ヘッド本体とフェースインサートとが別部材
からなるゴルフクラブヘツドを効率よく且つ高精度に製
造する方法を提供する。【構成】フェース部に凹所１３を有すると共にこの凹
所の内面に開口する注入孔１４ａを有するヘッド本体１
１を形成する。このヘッド本体を金型２０内に配置して
凹所のフェース側開口部を金型のキャビティ２１ａの内
壁面により密閉し、注入孔から凹所内に加圧注入した成
形材料１７を加熱成形することにより、ヘッド本体の凹
所内にフェースインサートを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はゴルフクラブヘツドの製
造方法に関し、更に詳しくは、ヘッド本体とフェースイ
ンサートとが別部材からなるゴルフクラブヘツドの製造
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、クラブヘッド本体のフェース
部に凹所を形成し、この凹所にプラスチック等からなる
フェースインサートを装着したゴルフクラブヘツドが使
用されている。また、近年においては、金属製ヘッド本
体のフェース部に同様に凹所を形成し、この凹所に繊維
強化樹脂からなるフェースインサートを装着したゴルフ
クラブヘツドが採用されている。この種のクラブヘッド
において、一般に、従来のフェースインサートは凹所に
適合する形状に加工された後、ヘッド本体の凹所に嵌合
され、ヘッド本体に螺合するビスや接着剤で凹所内に固
着されている。

【０００３】一方、繊維強化樹脂のフェースインサート
の場合、プリプレグシートの積層体をヘッド本体の凹所
に配置してヘッド本体を金型内にセットし、プリプレグ
シート積層体を金型で押圧してヘッド本体の凹所内で加
熱硬化させることにより、ヘッド本体と一体成形する方
法が考えられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】フェースインサートを
予め凹所に適合する形状に加工する場合、凹所との間に
隙間が生じないようにフェースインサートを精度よく加
工するには、熟練者による手作業が必要となるため、製
造効率が低下する原因となっている。また、フェースイ
ンサートを接着剤で凹所内に固着する場合、接着剤のは
み出しによる美観の低下の問題が生じ、はみ出した接着
剤を手作業で除去する必要があるため、製造効率が低下
する原因となっている。さらに、フェースインサートを
ビスで固着する場合、フェースインサートにビス挿通孔
を穿設するため、フェースインサートの強度が低下し割
れ易くなり、また、フェースインサートの表面にビスの
頭が表出するため、美観上好ましくないばかりか、クラ
ブヘッドのフェースにフェースインサートとは機械的性
質の異なるビスが存在するため、打球特性への影響をさ
けることができない。

【０００５】一方、繊維強化樹脂のプリプレグシート積
層体を金型で押圧してヘッド本体と一体成形する従来方
法の場合、プリプレグシートの樹脂量が不足していると
凹所内に形成されるフェースインサートが形状不良とな
るため、プリプレグシートを凹所から突出させた状態で
金型により押圧する必要がある。このため、プリプレグ
シートの押圧時にプリプレグシートの樹脂等が凹所から
はみ出すことを避けることができず、繊維強化樹脂が硬
化した後に樹脂のバリを手作業で除去しヘツド表面を研
磨する必要があるため、製造効率が低下する原因となっ
ている。

【０００６】したがって、本発明の目的は、ヘッド本体
とフェースインサートとが別部材からなるゴルフクラブ
ヘツドを効率よく且つ高精度に製造する方法を提供する
ことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
フェース部に凹所を有すると共にこの凹所の内面に開口
する注入孔を有するヘッド本体を形成し、このヘッド本
体を金型内に配置して凹所のフェース側開口部を金型の
キャビティ内壁面により密閉し、注入孔から凹所内に加
圧注入した成形材料を加熱成形することにより、ヘッド
本体の凹所内にフェースインサートを形成することを特
徴とするゴルフクラブヘツドの製造方法である。

【０００８】請求項２記載の発明は、請求項１記載の製
造方法において、ヘッド本体の凹所内にそのフェース側
開口部を塞ぐ繊維強化樹脂のプリプレグシートを配置し
た状態で、凹所のフェース側開口部を金型のキャビティ
内壁面にて密閉することを特徴とする。

【０００９】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の製造方法において、成形材料がゴム等の弾力性材
料であることを特徴とする。

【００１０】請求項４記載の発明は、請求項２記載の製
造方法において、成形材料がプリプレグシートの樹脂と
同一の樹脂であることを特徴とする。

【００１１】請求項５記載の発明は、請求項２記載の製
造方法において、プリプレグシートの周縁部を凹所の内
側面に沿って屈曲させて凹所内に挿入することを特徴と
する。

【００１２】

【作用】請求項１記載のゴルフクラブヘツドの製造方法
においては、ヘッド本体の凹所のフェース側開口部を金
型のキャビティ内壁面により密閉し、凹所の内面に開口
する注入孔から凹所内に加圧注入した成形材料を加熱成
形することにより、ヘッド本体の凹所内にフェースイン
サートを形成するので、成形材料が凹所からヘッド本体
のフェース側にはみ出すことを防止でき、バリや隙間の
ないフェースインサートを効率よく形成することができ
る。

【００１３】請求項２記載の製造方法においては、ヘッ
ド本体の凹所内にそのフェース側開口部を塞ぐ繊維強化
樹脂のプリプレグシートを配置した状態で、凹所のフェ
ース側開口部を金型のキャビティ内壁面にて密閉するの
で、繊維強化樹脂と成形材料とが一体化したフェースイ
ンサートを効率よく且つ精度よくヘッド本体と一体に形
成することができる。

【００１４】請求項３記載の製造方法においては、成形
材料がゴム等の弾力性材料からなるので、表面層が繊維
強化樹脂からなり且つ内部層がゴム等の弾力性材料から
なるフェースインサートを効率よく且つ精度よくヘッド
本体と一体に形成することができる。フェースインサー
トをこのような内部構造にすることで、打球時にボール
と同調して変形するクラブヘッドを効率よく且つ精度よ
く製造できることとなる。

【００１５】請求項４記載の製造方法においては、成形
材料がプリプレグシートの樹脂と同一の樹脂からなるの
で、繊維強化樹脂からなるフェースインサートをヘッド
本体と一体に効率よく且つ精度よく形成することができ
る。

【００１６】請求項５記載の製造方法においては、プリ
プレグシートの周縁部を凹所の内側面に沿って屈曲させ
て凹所内に挿入するので、成形されたフェースインサー
トの周縁から繊維層の剥離が起こりにくくなる。したが
って、耐久性に優れたフェースインサートを有するクラ
ブヘッドを効率よく且つ精度よく製造できることとな
る。

【００１７】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につき
説明する。

【００１８】図１から図５までは本発明の一実施例を示
したものである。はじめに図１を参照すると、本発明方
法によって製造されるクラブヘッド１０は、ステンレス
鋼あるいはアルミ合金、チタニウム、チタニウム合金等
の軽金属からなる中空構造のヘッド本体１１を有し、こ
のヘッド本体１１はクラブシャフト（図示せず）を接続
するためのネック部１２と一体に形成されている。ヘッ
ド本体１１自体は鋳造、鍛造、あるいは外殻部品の溶接
等により製造することができる。このヘッド本体１１の
フェース側には後述するフェースインサートを収容する
ための凹所１３が形成されており、この凹所１３は隔壁
１４によってヘッド本体１１の中空内部と分離されてい
るが、隔壁１４には成形材料を注入するための注入孔１
４ａが形成されている。ここでは、注入孔１４ａは凹所
１３の内底面に開口しており、その後方のヘッド本体１
１の後部壁には注入管２４（図２参照）を通す穴１５が
形成されている。

【００１９】本発明方法によれば、ヘッド本体１１は凹
所１３のフェース側開口部を密閉できるキャビティ２１
ａを形成した下型２１とヘッド本体１１の背面側を収容
する上型２２とを有する金型２０内に配置され、凹所１
３のフェース側開口部は下型２２のキャビティ２１ａの
内壁面により密閉される。

【００２０】この実施例では、ヘッド本体１１の凹所１
３には予め、繊維強化樹脂のプリプレグシート１６が凹
所１３のフェース側開口部を塞ぐように配置されてい
る。プリプレグシート１６はガラス繊維、炭素繊維、金
属繊維等からなる繊維層を適宜数重ねて樹脂に含浸させ
たものである。プリプレグシート１６の周縁部は屈曲さ
れ凹所１３の内側面に沿って挿入されている。

【００２１】図２に示すように、上型２２の上には注入
型２３が配置される。この注入型２３は成形材料１７
（図３参照）を収容するポット部２３ａを有し、ポット
部２３ａの内底部に連通する注入管２４が下方に突出し
ている。注入管２４の先端はヘッド本体１１の隔壁１４
の注入孔１４ａに係合される。注入管２４の先端と隔壁
１４の注入孔１４ａとの間からの成形材料１７の漏出を
防止するために、好ましくは、隔壁１４の注入孔１４ａ
と注入管２４の先端は同一テーパー角のテーパー状に形
成されている。

【００２２】この実施例では、成形材料１７としてブタ
ジエンゴム等の弾力性材料が用いられる。したがって、
図３に示すように、上記のようにセットされた金型２０
を成形材料１７の成形温度に加熱され、注入型２３のポ
ット部２３ａに成形材料１７を供給し、さらに、図４に
示すように、加圧型２５の嵌合部２５ａをポット部２３
ａに嵌合させて加圧型２５をプレス装置（図示せず）に
て加圧することにより、ポット部２３ａ内の成形材料１
７をヘッド本体１１の注入孔１４ａから凹所１３内に加
圧注入する。そして、凹所１３内の成形材料１７が所定
の温度および圧力条件下で加硫成形されると共に、凹所
１３内のプリプレグシート１６が硬化される。成形材料
がブタジエンゴムの場合、例えば、１５０゜Ｃ、１５０
ｋｇ／ｃｍ²で約１０分間放置した後、１５０゜Ｃ、５
０ｋｇ／ｃｍ²で約５０分間放置し、金型２０から取り
出す。好ましくはその後さらに１３０゜Ｃで約３時間放
置してブタジエンゴムの２次加硫およびプリプレグシー
ト１６の２次硬化を行う。このようにして、ヘッド本体
１１の凹所１３内に表面層が繊維強化樹脂からなり内層
がゴム等の弾力性材料からなるフェースインサートがヘ
ッド本体１１と一体に形成される。

【００２３】その後、図５に示すように、ヘッド本体１
１の後部壁の穴を樹脂または金属からなる封止体１８に
て封止し、ヘツド表面の研磨、塗装等の仕上げ処理を行
う。この封止体１８を比重の大きな金属で作れば重心深
度調整用の錘りとなる。

【００２４】上記実施例の製造方法によれば、ヘッド本
体１１の凹所１３のフェース側開口部を金型２０のキャ
ビティ内壁面により密閉した状態で、凹所１３の内面に
開口する注入孔１４ａから凹所１３内に加圧注入した成
形材料１７を加熱成形するので、成形材料１７が凹所１
３からヘッド本体１１のフェース側にはみ出すことを防
止でき、バリや隙間のないフェースインサートを効率よ
く形成することができる。したがって、ヘツド表面の研
磨等の仕上げ加工が容易になり、作業時間を短縮できる
こととなる。

【００２５】また、ヘッド本体１１の凹所１３内にその
フェース側開口部を塞ぐ繊維強化樹脂のプリプレグシー
ト１６を配置した状態で、凹所１３のフェース側開口部
を金型２０のキャビティ内壁面にて密閉するので、繊維
強化樹脂と成形材料とが一体化したフェースインサート
を効率よく且つ精度よくヘッド本体１１と一体に形成す
ることができる。

【００２６】さらに、成形されるフェースインサート
は、表面層が繊維強化樹脂からなり且つ内部層がゴム等
の弾力性材料からなるので、打球時にボールと同調して
変形するクラブヘッドを効率よく且つ精度よく製造でき
ることとなる。また、このような同調型クラブヘッドを
製造するときは、プリプレグシート１６と凹所１３の内
面との間に離型剤を塗布しておくことにより、フェース
インサートの表面の繊維強化樹脂層を凹所１３内で摺動
変位可能にすることができる。

【００２７】さらに、上記実施例では、プリプレグシー
ト１６の周縁部を凹所１３の内側面に沿って屈曲させて
凹所１３内に挿入するので、成形されたフェースインサ
ートの周縁から繊維層の剥離が起こりにくくなる。した
がって、耐久性に優れたフェースインサートを有するク
ラブヘッドを効率よく且つ精度よく製造できることとな
る。

【００２８】なお、上記実施例では成形材料１７は単一
の注入孔１４ａから凹所１３内に注入されるが、複数の
注入孔から凹所内に成形材料を注入してもよい。また、
図６に示すように、凹所１３の内面に開口する注入孔１
４ｂをヘッド本体１１のソール壁に形成してもよい。

【００２９】さらに、図７および図８に示すように、注
入孔１４ａはヘッド本体１１の隔壁１４と後部壁とをつ
なぐ管状部１９により形成してもよく、この場合、注入
管２４の先端を管状部１９の後部開口端に係合させて成
形材料１７を加圧注入することができる。管状部１９の
後部開口端はフェースインサートを形成した後に樹脂や
金属等からなる封止体１８で封止することができる。こ
の実施例では隔壁１４が管状部１９により補強されるの
で、フェースインサートに対するバックアップ効果が高
まる。また、図示の例では管状部１９はヘッド本体１１
のほぼ中央に設けられているが、管状部をヒール寄り、
トウ寄りの各位置に設けてもよい。

【００３０】さらに、ヘッド本体１１の凹所１３内に予
め繊維強化樹脂のプリプレグシート１６を配置する場
合、成形材料１７としてプリプレグシートの樹脂と同一
の樹脂を用いてもよい。この場合、繊維強化樹脂のみか
らなるフェースインサートを備えたクラブヘッドを効率
よく且つ高精度に製造することができる。

【００３１】さらに、本発明はヘッド本体１１の凹所１
３のフェース側開口部を金型のキャビティ内壁面で密閉
しておき、ヘッド本体の凹所内面に開口する注入孔から
成形材料１７を加圧注入することを特徴とするものであ
るから、繊維強化樹脂のプリプレグシートは省略しても
よく、この場合、凹所内に注入された成形材料のみから
なるフェースインサートを備えたクラブヘッドを効率よ
く且つ高精度に製造することができる。また、繊維強化
樹脂のプリプレグシートの代わりに金属の外殻体を予め
凹所１３内に配置しておくことにより、金属外殻体とゴ
ム等の弾力性材料とからなるフェースインサートを凹所
内に形成してもよい。

【００３２】さらに、凹所１３の内底部を規定する隔壁
１４は図１，図６および図７に示す実施例では平坦な壁
となっているが、これに限られず、例えばフェース側が
凹レンズ面状に湾曲した壁であってもよい。また、図１
に示す実施例では凹所１３の内側面はフェース側開口部
に向かって開口面積が小さくなるような曲面形状となっ
ているので、凹所１３内に形成されたフェースインサー
トが凹所から離脱することを確実に防止できるが、同様
の目的を達成するために、凹所１３の内側面に段差部や
凹溝を形成してもよい。しかし、接着性に優れた成形材
料１７が使用されるときは、凹所１３の内側面は、図６
の実施例のように、互いに平行な平坦面であってもよ
い。

【００３３】

【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明に
よれば、ヘッド本体の凹所のフェース側開口部を金型の
キャビティ内壁面で密閉しておき、ヘッド本体の凹所内
面に開口する注入孔から成形材料を加圧注入して加熱成
形するから、ヘッド本体とフェースインサートとが別部
材からなるゴルフクラブヘツドを効率よく且つ高精度に
製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法の一実施例を説明するための金型お
よびヘッド本体の横断面図である。

【図２】図１に示す金型に成形材料注入用の金型をセッ
トした状態を示す横断面図である。

【図３】図２に示す金型に成形材料を供給した状態を示
す横断面図である。

【図４】図３に示す金型に加圧型をセットして成形材料
をヘッド本体の凹所内に加圧注入した状態を示す横断面
図である。

【図５】図１〜図４に示す製造方法で製造されたクラブ
ヘッドの横断面図である。

【図６】本発明方法の他の実施例を説明するためのヘッ
ド本体の縦断面図である。

【図７】本発明方法のさらに他の実施例を説明するため
の金型およびヘッド本体の横断面図である。

【図８】図７に示す製造方法で製造したクラブヘッドの
横断面図である。

【符号の説明】

１１ヘッド本体１３凹所１４隔壁１４ａ、１４ｂ注入孔１６プリプレグシート１７成形材料１８封止体２０金型

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】フェース部に凹所を有すると共にこの凹
所の内面に開口する注入孔を有するヘッド本体を形成
し、このヘッド本体を金型内に配置して凹所のフェース
側開口部を金型のキャビティ内壁面により密閉し、注入
孔から凹所内に加圧注入した成形材料を加熱成形するこ
とにより、ヘッド本体の凹所内にフェースインサートを
形成することを特徴とするゴルフクラブヘツドの製造方
法。
【請求項２】ヘッド本体の凹所内にそのフェース側開
口部を塞ぐ繊維強化樹脂のプリプレグシートを配置した
状態で、凹所のフェース側開口部を金型のキャビティ内
壁面にて密閉することを特徴とする請求項１記載の製造
方法。
【請求項３】成形材料がゴム等の弾力性材料であるこ
とを特徴とする請求項１または２記載の製造方法。
【請求項４】成形材料がプリプレグシートの樹脂と同
一の樹脂であることを特徴とする請求項２記載の製造方
法。
【請求項５】プリプレグシートの周縁部を凹所の内側
面に沿って屈曲させて凹所内に挿入することを特徴とす
る請求項２記載の製造方法。