JPH06285109A - 使い捨ておむつ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 尿漏れ防止のため表面シートの股間位置に立
体伸縮ギャザーを設けてなる使い捨ておむつにおいて、
素材を節減することができ、且つ簡単な方法により立体
伸縮ギャザーを設けることを目的とする。 【構成】 表面シート２は、その中央領域に親水化処理
が施され、あるいは孔明け加工して形成した透水部を有
する疎水性不織布を用いて構成させる共に、前記透水部
１５の両側部をほぼ断面がΩ状をなすように折り立てる
ことにより折立部１６を設け、該折立部内に立体ギャザ
ーを作る伸縮弾性体１７をおむつの長手方向に沿い伸張
状態に接合介置し、かつ前記透水部と折立部との間を該
折立部に沿ってスリットカット１９する事により、おむ
つ長手方向に沿う排せつ物の横漏れを防止し得る堰とな
る立体伸縮ギャザー６、６を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、使い捨ての紙おむつ
に関し、特に、表面シートの股間位置に立体的な尿漏れ
防止のための伸縮ギャザーを設けてなる使い捨ておむつ
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】使い捨ておむつに用いられる表面シート
はウエットバック（排せつ物の表面シートを介しての逆
戻り）を減少させるため、ポリプロピレン、ポリエステ
ル等の疎水性繊維からなる不織布が用いられ、これに尿
の透過性を付与するため界面活性剤等の親水化剤を用い
て親水化処理されているのが一般的である。しかし、親
水化処理のため、尿は表面シートの層を伝わっておむつ
の幅方向両端、長手方向両端に達し、にじみ出て漏れと
なる。

【０００３】この尿漏れを防止するために、これまでも
多くの提案がなされているが、本出願人らは漏れを防ぐ
ため、先に特願昭６３−２５３８６９号（特開平２−１
０２６４９号）として、紙おむつ表面材の中央領域を親
水性シートで構成し、隣接する左右両側部を疎水性シー
トで構成することにより、上述した従来のおむつがもつ
漏れ、逆戻りの問題点を改善するおむつを提案した。し
かしこの従来例は、表面シートの股間位置に起立したギ
ャザー構造を有していなかったので、股間からの尿漏れ
防止が十分ではない。

【０００４】一方、起立したギャザーを吸収体の外側に
設けるものが、例えば特開昭６２−２２３３０３号公報
などによって開示されている。このおむつの立体伸縮ギ
ャザーは、図６に示すように、サイドフラップ３０の上
側に、表面シート３１とは別体に立体ギャザー形成のた
めの第２フラップ３２を取付け、その第２フラップを折
り返してループ状になし、且つその折り返し部分の端末
をエンドフラップ位置（腹部、背部）で接着固定すると
共に、前記ループ３３内に伸縮弾性体３４（エラスチッ
クバンド）を伸張状態に接着して、伸縮弾性体の引っ張
り作用で起立するギャザー構造３５を股間位置に設ける
ものである。つまり、おむつ着用時、前記弾性体が収縮
した状態では第２のフラップの折り返しの部を上方に引
っ張り上げるようにしている。しかし、この従来の立体
ギャザーは、前記のとおりサイドフラップとは別に幅の
広い第２のフラップが必須であり、この第２フラップ先
端部を製造時に折り返してループ状とし、そのループ内
にエラスチックバンドを巻き込み接着する等の複雑な加
工処理作業を要する。そのうえ、前記折り返し部分の端
末をエンドフラップ位置（腹部、背部）で接着している
から、その立体ギャザーの位置と長さは、紙おむつ全長
に対するエンドフラップ接着固定の長さとエラスチック
封入の長さで決ってくるという制約があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このような事情に鑑み
本発明者らは、先願たる特願昭６３−２５３８６９号を
改良して従来よりもさらに尿漏れ防止機能の高いおむつ
を簡便な手段で提供しようとするものである。すなわち
表面シートの股間位置に尿漏れ防止機能を備えた立体伸
縮ギャザーを有する使い捨ておむつを、簡易な手段と方
法で、極めて経済的に製作することが可能なおむつを提
案することを本発明の第１の課題としている。また前記
特開昭６２−２２３３０３号の問題点を改善して従来の
ような立体ギャザーを形成する際に複雑な加工処理を要
せず、そのギャザーの位置と長さ及び立ち上がり高さを
簡単に変更調節できる新規なおむつを提案することを第
２の課題とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明は、表面材として疎水性の不織布を使用し、
その中央領域を界面活性剤などにより親水化処理して透
水部を形成させるとともに、その両側部にエラスチック
バンド等を封入させた折立部を作成し、かつこの折立部
の内側に沿い透水部両側を適当な長さにスリットカット
することにより、前記カット部の外側の表面材を前記エ
ラスチックバンドの張力により上方に立ち上げ、尿漏れ
を防止しうる立体伸縮ギャザーが形成されるようにする
ことを要旨とするものである。

【０００７】すなわち本発明のおむつは吸収体が表面シ
ートと液体不透過性の裏面シートの間に配置されている
使い捨ておむつにおいて、吸収体の上面を透水性シート
で被覆し、また前記表面シートを、中央領域が親水化処
理あるいは孔明け処理して透水部を形成させた疎水性不
織布を用いて構成する共に、前記透水部の両側部を断面
がほぼΩ状をなすように折り立てることにより折立部を
設け、該折立部内に伸縮弾性体を伸張状態に接合介置さ
せ、かつ前記折立部に沿って透水部の両側をスリットカ
ットするとともに、前記２つのスリットカット部内側の
領域を前記透水性シートに接合し、また前記表面シート
の前記スリットカット部の外側領域を前記透水性シート
に接合されない遊離部として、前記伸縮弾性体の縮小時
に、前記遊離部を弾性的に上方に立ち上げるようにした
ことを特徴とするものである。

【０００８】

【実施例】以下本発明の具体的な実施態様を、図面に基
づいて説明する。図１〜図５に示すように、本発明たる
使い捨ておむつは、表面シート２と、裏面シート３と、
その間に配置された吸収体１と、股下領域に設ける伸縮
弾性体１７，２４と、おむつの上部両端の止着テープ５
とを有している。図１の平面図に示すように、表面シー
ト２は疎水性不織布より形成し、その中央領域を界面活
性剤などにより親水化処理して透水部１５を設ける。股
下領域における両サイドフラップ４，４の内側の部分で
あって、前記透水部１５の両側部を断面がほぼΩ状をな
すように折り立てることにより折立部１６を形成する。
そしてこの折立部１６内に伸縮弾性体を伸張状態に接合
介置させ、かつ前記折立部の内側に沿って透水部の両側
をスリットカットする事により、おむつ長手方向に沿っ
て排せつ物の横漏れを防止し得る堰となる立体伸縮ギャ
ザー６、６を形成させる。

【０００９】以下に本発明おむつの詳細を説明すると、
図３に示したように、おむつの中心層を構成する吸収体
１は、裏面シート３の中央位置に固定される。前記吸収
体１は、マット状をなす芯体１２とその下側に位置する
テイッシュ１２ａとからなっている。そしてこの芯体１
２の上側にはこれを覆う様に透水性シート１３（第２表
面材）が配置される。この透水性シート１３の役割につ
いては後述する。

【００１０】マット状芯体１２としては、液体吸収力に
すぐれたフラップパルプ、綿状パルプ、レーヨン等の吸
収性繊維が用いられ、これをテイッシュ１２ａと組み合
わせて２層あるいはそれ以上の多層にして使用する。ま
た前記状芯体１２を構成する繊維層間に、高吸収性ポリ
マーを含むシートあるいはこれに、活性炭、カルボキシ
メチルセルロース、ゼオライトなどを混合した粒状物を
必要に応じて配置することにより吸収能力を増大させる
ことも可能である。

【００１１】前述のように芯体１２の上表面には、これ
を覆い隠すように、透水性シート１３（第２表面材）を
少なくとも１枚配置する。このように芯体１２の上にテ
イッシュではなく、強度を有する透水性シートを重ね合
わせた主なる理由は、表面材１５の両側部を立ち上げた
ときに、吸収体は強度が弱いのでこれを露出させないこ
とと、この吸収体に吸収された尿の逆戻りを表面材１３
と１５の２枚によって低減させるためである。なお透水
性シート１３としては、前記した理由から通常使用する
テイッシュペーパーよりも強度を有するものが好まし
く、一例として親水性の不織布、穴あきプラスチックフ
イルムなどが用いられる。吸収体１の平面形状は、図１
に示すようなくびれのない長方形状かあるいは中央部両
側がくびれた、いわゆる砂時計状（図示略）のものが使
用される。

【００１２】裏面シート３としては、液不透過性シート
材が用いられ、好ましくは通気性を兼備したシート材を
用いるのがよい。具体的には通気性を備えたポリエチレ
ンフイルム、撥水性不織布が用いられる。

【００１３】前述のように本発明の表面シート２は、中
央領域を界面活性剤などにより親水化処理をして透水部
１５を設けるか、あるいは中央領域を孔明け加工処理し
て透水部１５を形成した疎水性不織布を用いて構成させ
る。この疎水性不織布としては、例えばポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維よりな
る親水化処理のされていないスパンボンド不織布、メル
トブロー不織布などが好適であるが、もちろんこれに限
定するものではない。

【００１４】前記透水部１５の両側部には、おむつの長
手方向に沿い断面がはぼΩ状をなすように折り立てるこ
とにより形成した折立部１６，１６を設ける。そしてこ
れらの折立部１６内に立体ギャザーを作るための伸縮弾
性体（例えばエラスチックバンド等）１７を伸張状態に
介置しホットメルト接着剤等により接着する。折立部１
６の深さは、スパンデックス、糸ゴム等の細いものでは
５〜１０ｍｍ、ウレタンフォーム等では５〜３０ｍｍで
よい。

【００１５】なお、前記透水部１５と折立部１６との間
には、前記折立部１６に沿う長手方向に前記エラスチッ
クバンド１７とほぼ等しい長さのスリットカット部１
９，１９を形成する。そして図２に示すように前記２つ
のスリットカット部間すなわちスリットカット部内側の
領域を前記透水性シート１３にホットメルト接着剤等を
用いて部分的に接着する一方、前記スリットカット部１
９の外側の部分すなわち前記スリットカット部の外側領
域を前記透水性シート１３に接合されない遊離部（非接
着部）２０に形成する。図１において、斜線部は表面シ
ートの接着部を表し、白抜き部は表面シート遊離部を表
している。

【００１６】このように構成することにより、前記伸縮
弾性体（エラスチックバンド）１７の縮小したときに、
前記遊離部を弾性的に上方に立ち上げて、おむつの長手
方向に沿って横漏れを防止し得る堰となる立体的な伸縮
ギャザー６を形成するのである。なお前記スリットカッ
ト部１９の位置と長さは、図５（Ａ）〜（Ｂ）に例示す
るように簡単に変更、調節することができる。図５
（Ａ）と図５（Ｂ）とを比べるとカットする位置が異な
り、図５（Ｂ）の方がギャザーの立ち上がり高さが高
い。

【００１７】なお、図中２１、２１で示すものは、前記
表面シート２及び裏面シート３の幅方向両側縁を切り欠
いて形成したレッグホール用の凹欠部であり、この凹欠
部２１，２１の内側縁に沿うように、レッグギャザー２
３，２３を形成する伸縮弾性体（例えばエラスチックバ
ンド等）２４を伸張状態に接着するのである。このレッ
グギャザー２３はおむつの着用時、使用者の脚回りに接
触して、シール状態を保持する。

【００１８】なお、図３はおむつの表面シートに折立部
を形成し、その内部にエラスチックバンド２４を伸張状
態に配設する過程の一例を示す説明図、図４は本発明た
る使い捨ておむつの製造方法の概略を示した説明図であ
る。表面シートに折立部を形成するに当たっては、図４
に示すように、連続的に送られてくる表面シート２の透
水部１５の両側部をの一部に、左右に配設された一組の
折込ホイール（ローラ）２５とこれが嵌合する一組の折
込溝２７を備えた成型板２６を用いて、表面シート２の
流れ方向と平行に２本の縦ひだを形成させるように折り
込むことにより、おむつの長手方向に沿い折立部１６，
１６を設ける。そしてシート折り込みと同時にこれらの
折立部１６の底に立体ギャザーを作るための伸縮弾性体
（例えばエラスチックバンド等）１７を伸張状態に接着
介置するのである。

【００１９】なお図５からも明かなように、裏面シート
３の上におむつの中心層を構成する吸収体１と、レッグ
ギャザー２３，２３を形成する伸縮弾性体２４とを接着
した後、これらの上に、前述のように折立部１６にエラ
スチックバンド１７を伸張状態に接着してなる表面シー
ト２を貼り重ねる。もちろん、前記表面シート２の透水
部１５と折立部１６との間には、予め、スリッタ（図示
省略）によって間欠的にスリットを施すことによりスリ
ットカット部１９を設けておくものである。

【００２０】

【発明の効果】以上述べたように、本発明のおむつは、
表面シートとして疎水性不織布を用いてその中央領域に
親水化処理を施こしあるいは孔明け処理して透水部を形
成させる共に、前記透水部の両側部に断面がほぼΩ状を
なすように折り立てることにより形成した折立部を設
け、該折立部内に立体ギャザーを作る伸縮弾性体をおむ
つの長手方向に沿い伸張状態に接合介置させ、かつ前記
透水部と折立部との間を該折立部に沿ってスリットカッ
トするだけで、カットした両サイドの遊離部を弾性的に
上方に立ち上げて立体伸縮ギャザーを簡単に形成するこ
とができ、また芯体の上に実質的に表面材を２枚に重ね
合わせて、上側の表面材を立ち上げたときに吸収性芯体
を露出させず、かつこの芯体に吸収された尿の逆戻りを
低減させることが可能となる。そのため従来品よりもさ
らに尿漏れ防止機能の高いおむつを提供できる。更に本
発明のおむつは前記スリットカット部の位置、長さによ
り立体伸縮ギャザーの立ち上がり方や立ち上がり場所、
立ち上がりの高さを簡単に調節できる点ですぐれた効果
を発揮する。

【００２１】さらにまた本発明おむつは、本出願人の別
件発明たる、中央に設ける親水性表面材とその両サイド
に設ける疎水性表面材を重ね合わせ、その間に弾性体を
設置し、この弾性体に沿って中央の表面材を適当な長さ
にカットすることにより、カットした両サイドの部分が
弾性体の伸縮によって起立し、尿漏れを防止する立体伸
縮ギャザーが形成されるようにした製品に比べても、表
面材を形成するための素材を節減できる点で経済的効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明おむつの一例を示す平面図。

【図２】同上Ａ−Ａ線に沿う断面図。

【図３】本発明おむつの表面シートに折立部を形成し、
その内部にエラスチックバンドを伸張状態に配設する過
程の一例を示す説明図。

【図４】本発明おむつの製造方法を概略的に示す説明
図。

【図５】スリット位置を変えた本発明おむつの他の例を
示す平面図。

【図６】従来品の断面図。

【符号の説明】

１ 吸収体 ２ 表面シート ３ 裏面シート ４ サイドフラップ ５ 止着テープ ６ 立体伸縮ギャザー １２ マット状芯体 １３ 透水性シート １５ 透水部 １６ 折立部 １７ 伸縮弾性体 １９ スリットカット部 ２０ 遊離部 ２１ 凹欠部 ２２ 凹欠部 ２３ レッグギャザー ２４ 伸縮弾性体 ３０ サイドフラップ ３１ 表面シート ３２ 第２フラップ ３３ ループ ３４ 伸縮弾性体 ３５ 立体伸縮ギャザー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸収体が表面シートと液体不透過性の裏
   面シートの間に配置されている使い捨ておむつにおい
   て、 前記吸収体の上面を透水性シートで被覆し、また前記表
   面シートを、中央領域が親水化処理あるいは孔明け処理
   して透水部を形成させた疎水性不織布を用いて構成する
   共に、前記透水部の両側部を断面がほぼΩ状をなすよう
   に折り立てることにより折立部を設け、該折立部内に伸
   縮弾性体を伸張状態に接合介置させ、かつ前記折立部に
   沿って透水部の両側をスリットカットするとともに、前
   記２つのスリットカット部内側の領域を前記透水性シー
   トに接合し、また前記表面シートの前記スリットカット
   部の外側領域を前記透水性シートに接合されない遊離部
   として、前記伸縮弾性体の縮小時に、前記遊離部を弾性
   的に上方に立ち上げるようにしたことを特徴とする使い
   捨ておむつ。