JPH0628389B2 - 適応形輪郭抽出フイルタ - Google Patents

適応形輪郭抽出フイルタ

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JPH0628389B2
JPH0628389B2 JP60012020A JP1202085A JPH0628389B2 JP H0628389 B2 JPH0628389 B2 JP H0628389B2 JP 60012020 A JP60012020 A JP 60012020A JP 1202085 A JP1202085 A JP 1202085A JP H0628389 B2 JPH0628389 B2 JP H0628389B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、輝度信号と色信号が周波数多重されている
NTSC方式のビデオ信号から、輪郭信号をデジタル的
に抽出する輪郭抽出フィルタに関する。
〔従来の技術〕
第6図は従来の水平輪郭抽出フィルタの一例を示すブロ
ック図であり、図において、101はデジタル化された
ビデオ信号を供給する信号線、111は輝度信号を抽出
するフィルタ、112は水平輪郭を抽出するフィルタで
あり、この水平輪郭抽出フィルタ112において、60
1,602は2サンプリング期間の遅延時間を持つ遅延
回路、603,605は−1/4倍係数回路、604は1/2
倍係数回路、606は加算器、607は水平輪郭信号を
出力する信号線である。
また、第7図は従来の垂直輪郭抽出フィルタの一例を示
すブロック図であり、図において、101はデジタル化
されたビデオ信号を供給する信号線、111は輝度信号
を抽出するフィルタ、113は垂直輪郭を抽出するフィ
ルタであり、この垂直輪郭抽出フィルタ113におい
て、701,702は1水平走査期間の遅延時間を持つ
遅延回路、703,705は−1/4倍係数回路、704
は1/2倍係数回路、706は加算器、707は垂直輪郭
信号を出力する信号線である。
さらに、第8図は従来の水平,垂直輪郭抽出フィルタの
一例を示すブロック図であり、図において、101はデ
ジタル化されたビデオ信号を供給する信号線、111は
輝度信号を抽出するフィルタ、114は水平及び垂直輪
郭を抽出するフィルタであり、この輪郭抽出フィルタ1
14において、801,804は1水平走査期間から2
サンプリング期間を引いた遅延時間を持つ遅延回路、8
02,803は2サンプリング期間の遅延時間を持つ遅
延回路、805,806,808,809は−1/8倍係
数回路、807は1/2倍係数回路、810は加算器、8
11は輪郭信号を出力する信号線である。
次に動作について説明する。NTSC方式のビデオ信号
S(t)は輝度信号Y(t)と、2つの色差信号U(t)及びV
(t)を色副搬送波fsc(3.579545MHz)で直角に位相変調
した色信号C(t)との複合信号となっている。即ち、ビ
デオ信号S(t)は、 S(t)=Y(t)+C(t) =Y(t)+U(t)sin2πfsct+V(t)cos2
πfsct と表される。
従来行なわれているこの種の輪郭抽出フィルタは、アナ
ログ形式のものでもデジタル形式のものでも、ビデオ信
号S(t)から輝度信号Y(t)を分離し、この分離された輝
度信号Y(t)から水平輪郭抽出フィルタを用いて水平輪
郭信号を、また垂直輪郭抽出フィルタにより垂直輪郭信
号をそれぞれ得るという構成が一般的であった。
まず、水平輪郭信号抽出の動作について述べる。
第6図の水平輪郭抽出フィルタにおいて、信号線101
に与えられたデジタルビデオ信号は輝度信号フィルタ1
11に供給され、輝度信号成分だけが水平輪郭抽出フィ
ルタ112へ与えられる。
今、輝度信号フィルタ111の出力信号である輝度信号
f(t)が、ある時刻t=nT(Tはサンプリング周期)
においてf(nT)で与えられるとする。この時、遅延
時間2Tの遅延回路601の出力輝度信号はf(nT−
2T)で与えられる。また、遅延回路602は遅延回路
601で遅延された輝度信号(nT−2T)を再び時間
2T遅延させるので、遅延回路602の出力信号はf
(nT−4T)となる。係数回路603は輝度信号フィ
ルタ111の出力信号を−1/4倍し、係数回路604は
遅延回路604は遅延回路601の出力信号を1/2倍
し、係数回路605は遅延回路602の出力信号を−1/
4倍するので、これらの係数回路の出力信号はそれぞれ
−f(nT)/4,f(nT−2T)/2,−f(nT
−4T)となる。加算回路606はその入力信号をすべ
て加算して出力するので、水平輪郭抽出フィルタ112
の出力信号線607に与えられる信号は、 −1/4〔f(nT)−2f(nT−2T)+f(nT−4T)〕 となる。これは輝度信号f(t)の画面上水平方向(水平
周波数成分)に関する2次微分を表している。
従って、輝度信号の水平方向の高域成分、即ち水平方向
の輪郭信号が抽出されたことになる。
次に、垂直輪郭抽出フィルタの動作について述べる。
第7図の垂直輪郭抽出フィルタ113と第6図の水平輪
郭抽出フィルタ112との構成の違いは、遅延回路の遅
延時間が異なっているだけである。
即ち、水平輪郭抽出フィルタ112の遅延回路は2サン
プリング期間の遅延時間を持っていたのに対し、垂直輪
郭抽出フィルタ113の遅延回路は、1水平走査期間の
遅延時間を持つ。従って、ある時刻t=nTでの輝度信号
f(nT)が輝度信号フィルタ111から垂直輪郭抽出フ
ィルタ113へ与えられたとすると、垂直輪郭抽出フィ
ルタ113の出力信号は、水平輪郭抽出フィルタ112
の場合と同様に考えて、 −1/4〔f(nT)−2f(nT−H)+f(nT−2H)〕 となる。これは画面垂直方向(垂直周波数成分)の2次
微分を表している。従って、輝度信号の垂直方向の高域
成分、即ち画面上垂直方向の輪郭信号が抽出される。
第8図の水平・垂直輪郭抽出フィルタ114は、水平輪
郭抽出フィルタ112と垂直輪郭抽出フィルタ113と
を重ね合わせて構成されている。即ち、遅延回路80
2,803と係数回路806,807,808と加算器
810で構成される部分が水平輪郭抽出フィルタを形成
し、遅延回路801〜804と係数回路805,80
7,809と加算器810で構成される部分が垂直輪郭
抽出フィルタを形成している。従って、この水平・垂直
輪郭抽出フィルタを用いれば、水平輪郭信号と垂直輪郭
信号とが同時に抽出される。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところが、上述した、従来のビデオ信号から輪郭信号を
抽出する回路構成では、ビデオ信号から輝度信号を分離
し、その後該輝度信号の高域周波数成分を輪郭信号とし
て輪郭抽出回路により抜き取るようにしているため、ビ
デオ信号を輝度信号と色信号とに分離するYC分離回路
と、輪郭抽出回路とで入力信号が異なることとなり、こ
の結果、各YC分離回路及び輪郭抽出回路毎に各々必要
とする輝度信号を抽出するYフィルタの構成上必要であ
る遅延手段たるメモリ、すなわち入力信号を遅延するラ
インメモリを設ける必要があり、輪郭抽出回路を備えた
回路構成のコストアップが避けられないという欠点があ
った。
また、従来の輪郭抽出回路では、輝度信号の高域周波数
成分として出力される出力信号が、水平輪郭信号,垂直
輪郭信号あるいはこれらの両方を含む輪郭信号に固定さ
れているため、輝度信号に漏れ込んだ色信号成分をも抽
出してしまい、再生画像にドット妨害といわれる画像劣
化を招くという問題もあった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、その1H遅延回路をYC分離回路との間で共
用することができ、しかも色信号の漏れ込みを少なく抑
えることができる輪郭抽出フィルタを得ることを目的と
する。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明に係る輪郭抽出フィルタは、デジタルビデオ信
号を1水平走査期間遅延させる複数の遅延回路からな
り、その複数の出力が、ビデオ信号を輝度信号と色信号
とに分離する分離回路に用いられるラインメモリと、該
ラインメモリの出力から、色信号成分を含む画面垂直方
向の高周波成分を抽出するくし形フィルタ,及びその出
力から色信号成分を除去する水平低域フィルタからな
り、画面上垂直方向の輪郭信号を抽出する垂直輪郭抽出
フィルタと、前記ラインメモリの出力から色信号成分を
除去する垂直低域フィルタと、このフィルタの出力から
画面水平方向の高域成分を抽出する水平高域フィルタか
らなり、画面上の水平方向の輪郭信号を抽出する水平輪
郭抽出フィルタとを備え、輪郭検出回路にて、色副搬送
波の位相が同相である標本点の標本値に基づいて画面上
水平,垂直方向の信号変化量を算出し、この信号変化量
に応じて上記水平又は垂直輪郭信号を切り換えて出力す
るようにしたものである。
〔作用〕
この発明においては、画面上垂直方向の輪郭信号を抽出
する垂直輪郭抽出フィルタを、YC分離未処理の信号で
かつ単に複数のラインメモリの出力信号のデジタルビデ
オ信号を入力信号として色信号成分を含む画面垂直方向
の高周波成分を抽出するくし形フィルタ、及びその出力
から色信号成分を除去する水平低域フィルタから構成
し、又画面上水平方向の輪郭信号を抽出する水平輪郭抽
出フィルタを、前記垂直輪郭抽出フィルタと同じデジタ
ルビデオ信号を並列に入力信号として色信号成分を除去
する垂直低域フィルタ、及びその出力から画面水平方向
の高周波成分のみを抽出する水平高域フィルタから構成
し、さらに上記垂直及び水平輪郭抽出フィルタでは水平
方向の低域フィルタを垂直輪郭抽出フィルタの後段に、
そして同じく垂直方向の低域フィルタを水平輪郭抽出フ
ィルタの前段に設けているので、前記の入力されたデジ
タルビデオ信号に含まれる色信号成分は除去できる。し
かも上記各輪郭抽出フィルタの入力信号として、ビデオ
信号から輝度信号と色信号を分離するYC分離回路に通
常必要とする1Hもしくは2Hの2つの遅延信号と遅延
なしの信号の3つの信号を入力しているため、YC分離
回路用の1Hまたは2H遅延回路の出力信号のデジタル
ビデオ信号を用いることが可能となる。
また、輪郭検出回路では、画面水平,垂直方向の信号変
化量を、色副搬送波の位相が同相である標本点の標本値
に基づいて算出しているため、基本的条件として輪郭検
出回路での色副搬送波の影響をなくすことができる。し
かも該輪郭検出回路の入力信号として、上記垂直及び水
平輪郭抽出フィルタの3つの入力信号と同じ信号の組合
せを用いているので同様にYC分離回路用の1Hまたは
2H遅延回路の出力信号を用いることが可能となる。
この結果、YC分離回路の入力側に用いられる複数のラ
インメモリの複数出力信号を組合わした複数のデジタル
ビデオ信号を本輪郭抽出フィルタに入力信号として利用
して、ラインメモリをYC分離回路と本輪郭抽出フィル
タとの間で共用することができる。
次に本発明のもう一つの作用を以下説明する。すなわ
ち、画面水平,垂直方向の信号変化量に応じて、上記水
平及び垂直輪郭信号を切り換えて前記垂直もしくは水平
の輪郭抽出フィルタの出力信号を出力するようにしたの
で、水平輪郭信号に漏れ込む色信号成分の水平周波数が
色副搬送波の周波数に近く、この場合には水平方向の信
号差がほぼ0になり、また垂直輪郭信号に漏れ込む色信
号成分の垂直周波数が131.25(c/ph)に近く、こ
の場合には垂直方向の信号差がほぼ0になることから、
水平及び垂直輪郭信号の切り換えは、信号変化量の多い
方に切り換えられるため都合の良いことに結果として、
常に色信号成分を持たない方が選択されることとなり、
これにより上記水平及び垂直輪郭抽出フィルタで取り除
けなかったいくぶん漏れた色信号成分を、上記出力信号
の切り換えにより完全に除去できる。つまり色信号の影
響を受けていない方向の輪郭信号を出力できる。
〔実施例〕 以下、この発明の一実施例を図について説明する。第1
図はこの発明の一実施例による輪郭抽出フィルタを示す
ブロック図であり、図において、101は色副搬送波の
4倍の周波数4fscのサンプリング周波数でデジタル化
されたNTSC方式のビデオ信号を供給する信号線、1
02は1H遅延回路からなるラインメモリ、103は水
平輪郭抽出フィルタ、104は垂直輪郭抽出フィルタ、
105は輪郭検出回路、106は水平輪郭信号を出力す
る信号線、107は垂直輪郭信号を出力する信号線、1
08は制御信号を出力する信号線、109は信号線10
8からの制御信号により、出力を信号線106または信
号線107に切り換えるスイッチ回路、110は輪郭信
号を出力する信号線である。
第2図はラインメモリ102の詳細なブロック図であ
り、図において、101はデジタル化されたビデオ信号
を供給する信号線、201,202は1水平走査期間の
遅延時間を持つ遅延回路、203は全く遅延のないビデ
オ信号を出力する信号線、204はは1水平走査期間だ
け遅延されたビデオ信号を出力する信号線、205は2
水平走査期間だけ遅延されたビデオ信号を出力する信号
線である。
第3図は水平輪郭抽出フィルタ103の詳細なブロック
図であり、図において、203は遅延のないビデオ信号
を供給する信号線、204は1H遅延されたビデオ信号
を供給する信号線、205は2H遅延されたビデオ信号
を供給する信号線、301,303は1/4倍係数回路、
302,308は1/2倍係数回路、304,310は加
算器、305,306は2サンプル遅延回路、307,
309は−1/4倍係数回路、106は水平輪郭信号を出
力する信号線である。
第4図は垂直輪郭抽出フィルタ104の詳細なブロック
図であり、図において、203は遅延のないビデオ信号
を供給する信号線、204は1H遅延されたビデオ信号
を供給する信号線、205は2H遅延されたビデオ信号
を供給する信号線、401,403は−1/4倍係数回
路、402,408は1/2倍係数回路、404,410
は加算器、405,406は2サンプル遅延回路、40
7,409は1/4倍係数回路、107は垂直輪郭信号を
出力する信号線である。
第5図は輪郭検出回路105の詳細なブロック図であ
り、図において、203は遅延のないビデオ信号を供給
する信号線、204は1H遅延されたビデオ信号を供給
する信号線、205は2H遅延されたビデオ信号を供給
する信号線、501は4サンプル遅延回路、502,5
03は2サンプル遅延回路、504,505は減算器、
506,507は絶対値回路、508は比較回路、10
8は制御信号を出力する信号線である。
次に動作について説明する。信号線101に供給された
デジタルビデオ信号は、ラインメモリ102により3つ
の系統に分かれる。第1の系統は、全く遅延を受けずに
ラインメモリ102の出力信号線203から出力される
信号値系列f(nT)〔Tはサンプリング周期、nは整
数〕であり、第2の系統は、f(nT)が1H遅延回路
201により1水平走査期間だけ遅延され、ラインメモ
リ102の出力信号線204から出力される信号値系列
f(nT−H)〔Hは1水平走査期間〕であり、第3の
系統は、f(nT−H)が1H遅延回路202によりさ
らに1水平走査期間だけ遅延され、ラインメモリ102
の出力信号線205から出力される信号値系列f(nT
−2H)である。
これら3系統の信号値系列f(nT),f(nT−
H),f(nT−2H)は画面上では下からこの順番で
垂直方向に並んでいる。
第3図に示す水平輪郭抽出フィルタ103において、第
1の信号値系列f(nT)は係数回路301により1/4
倍され、加算器304の第1の入力に供給され、また第
2の信号値系列f(nT−H)は係数回路302により
1/2倍されて、加算器304の第2の入力に供給され、
さらに第3の信号値系列f(nT−2H)は係数回路3
03により1/4倍されて、加算器304の第3の入力に
供給される。加算器304は上記3系統の入力を全て加
算するので、その出力g(nT−H)は次のようにな
る。
g(nT−H)=1/4〔f(nT)+2f+(nT−H) +f(nT−2H)〕 または、 g(nT)=1/4〔f(nT+H)+2f(nT) +f(nT−H)〕 これは周知のように、f=mfH(fは周波数、mは整
数、fHは水平走査周波数)でゲインが1、f=(m+
1/2)fHでゲインが0となるくし形フィルタであり、
垂直周波数fverで考えればfver=0でゲインが1、f
ver=131.25(c/ph)でゲインが0となる垂直低減
フィルタである。NTSC方式の色信号成分ははfver
=131.25(c/ph)付近に分布するので、上記のフィ
ルタにより色信号成分はほぼ除去される。従ってg(n
T)はf(nT)の輝度信号の垂直低周波成分を抽出し
たものであり、水平周波数は何ら制限を加えていないた
め、水平の輪郭成分を含む。
加算器304の出力は、次に2サンプル遅延回路305
及び−1/4倍係数回路307の入力に供給される。加算
器304の出力の信号値系列をg(nT)とすれば、遅
延回路305の出力における信号値系列はg(nT−2
T)である。遅延回路306はこの信号値系列をさらに
2Tだけ遅延させるので、遅延回路306の出力におけ
る信号値系列はg(nT−4T)となる。係数回路30
7はg(nT)を−1/4倍して加算器310に送り、係
数回路308はg(nT−2T)を1/2倍して加算器3
10に送り、係数回路309はg(nT−4T)を−1/
4倍して加算器310に送り、加算器310は上記入力
の総和を計算するので、加算器310の出力の信号値系
列x(nT−2T)は次のようになる。
x(nT−2T)=−1/4〔g(nT)−2g(nT−2T) +g(nT−4T)〕 または、 x(nT)=−1/4〔g(nT+2T)−2g(nT) +g(nT−2T)〕 これは周知のように、f=0(Hz)でゲインが0、f=
fsc(fscは色副搬送波周波数)でゲインが1となる高
域フィルタである。従ってx(nT)は水平方向の輪郭成
分であり、この信号は水平輪郭抽出フィルタ103の出
力信号線106から取り出される。
次に垂直輪郭抽出の動作について説明する。第4図の垂
直輪郭抽出フィルタ104において、加算器404の出
力h(nT)は前項と同様の議論により、次のようにな
る。
h(nT)=−1/4〔f(nT−H)−2f(nT) +f(nT+H)〕 これはf=mfHでゲインが0、f=(m+1/2)f
Hでゲインが1となるくし形フィルタであり、垂直周波
数で考えればfver=0でゲインが0,fver=131.25
(c/ph)でゲインが1となる垂直高域フィルタであ
る。従って、信号値系列h(nT)には垂直の輪郭成分
が含まれるが、同時に色信号成分も存在する。遅延回路
405,406、係数回路407〜409、加算器41
0からなる低域フィルタにより、前記色信号成分はほぼ
除去され、垂直輪郭成分だけが残る。即ち、加算器41
0の出力の信号値系列は前項と同様の議論により、次の
ようになる。
y(nT)=1/4〔h(nT−2T)+h(nT) +h(nT+2T)〕 これは、f=0(Hz)でゲインが1、f=fscでゲイン
が0となる低域フィルタであり、信号値系列h(nT)
に含まれていた色信号成分を除去する。垂直輪郭成分y
(nT)は、垂直輪郭抽出フィルタ104の出力信号線
107から取り出される。
ここで本実施例においては、上記の手段で抽出された水
平輪郭信号及び垂直輪郭信号はそのまま重畳されて水平
・垂直輪郭信号となるのではなく、画像の特徴に応じ
て、適宜水平輪郭信号又は垂直輪郭信号を選択して出力
する。画像の特徴とは、具体的に言えば、水平方向に輪
郭があるか垂直方向に輪郭があるかということであり、
第5図はこの輪郭の方向を検出する回路である。同図に
おいて、ビデオ信号の第1の系統f(nT)と第3の系
統f(nT−2H)はそれぞれ遅延回路502,503
で2サンプル遅延され減算器505の入力に加えられ
る。次に減算器505の出力は絶対値回路507に入力
され、信号の絶対値がとられる。
従って、絶対値回路507の出力は次のようになる。
|f(nT−2T)−f(nT−2T−2H)| 2T+Hの遅延時間を無視すれば次のように書ける。
|f(nT+H)−f(nT−H)| 一方、ビデオ信号の第2の系統f(nT−H)は4サン
プル遅延回路501の入力部と減算器504の第1の入
力部に供給され、減算器504の第2の入力部には遅延
回路501で4サンプル遅延された信号値系列f(nT
−4T−H)が供給される。減算器504の出力は絶対
値回路506により絶対値がとられるので、絶対値50
6の出力は次のようになる。
|f(nT−H)−f(nT−4T−2H)| 2T+Hの遅延時間を無視すれば次のように書ける。
|f(nT+2T)−f(nT−2T)| 絶対値回路507の出力において、f(nT)を基準に
考えればf(nT+H)は1水平走査期間後の信号値系
列であり、画面上では1走査線分だけ下に位置する。ま
た、f(nT−H)は1水平走査期間前の信号値系列で
あり、画面上に1走査線だけ上に位置する。色副搬送波
は走査線ごとに位相が反転するので、垂直方向に画像の
変化がなければ、f(nT−H)とf(nT−H)は等
しく、絶対値回路507の出力は0となる。即ち、絶対
値回路507の出力は垂直方向の画像の変化の度合を示
している。
また、絶対値回路506の出力において、同様にf(n
T)を基準に考えれば、f(nT+2T)は2サンプル
後の信号値系列であり、画面上右側に位置し、f(nT
−2T)は2サンプル前の信号値系列であり、画面上左
側に位置する。ここでサンプリング周波数は4fscであ
るから、水平方向に画像の変化がなければ、色副搬送波
の位相は4サンプル点ごとにもとに戻り、このためf
(nT+2T)とf(nT−2T)は等しく、絶対値回
路506の出力は0となる。即ち、絶対値回路506の
出力は水平方向の画像の変化の度合を示す。
比較回路508は上記2つの絶対値回路506,507
の出力を比較して、垂直の信号差が水平の信号差より大
きい時は、垂直輪郭抽出フィルタ104の出力を輪郭信
号とし、そうでない時は水平輪郭抽出フィルタ103の
出力を輪郭信号として信号線110に供給するよう、信
号線108を介してスイッチ回路109を制御する。
上記のような出力の制御を行なうことにより、水平輪郭
信号または垂直輪郭信号中に幾分漏れる色信号成分をさ
らに除去することができるが、その理由は次のように説
明できる。即ち、水平輪郭信号中に漏れる色信号成分
は、垂直周波数が比較的高く、水平周波数がfscに近い
領域を占めている。ところが、水平周波数がfscに近づ
くと水平の信号差はほぼ0に等しくなり、上記の周波数
成分を持つ信号に対しては、垂直輪郭抽出フィルタの出
力が選択され、輪郭信号として出力されない。
また、垂直輪郭信号中に漏れる色信号成分は、水平周波
数が比較的高く、垂直周波数が131,25(c/ph)に近
い領域を占めている。ところが、垂直周波数が131.25
(c/ph)に近づくにつれ、垂直の信号差が0に近く
なり、水平輪郭抽出フィルタが選択されて、上記成分は
輪郭信号として出力されない。以上のように、水平輪郭
抽出フィルタ103及び垂直輪郭抽出フィルタ104で
取り除けなかった色信号成分は、出力の切り換え制御に
より完全に除去できる。
このように本実施例装置によれば、ビデオ信号から直
接、水平,垂直輪郭信号を抽出できるようにしたので、
ビデオ信号から輝度信号と色信号を分離するYC分離回
路と1Hまたは2H遅延回路を共用できる。また、水平
輪郭抽出フィルタと垂直輪郭抽出フィルタを画像の特徴
に応じて切り換えるようにしたので、色信号成分の漏れ
込みが少ない輪郭信号が得られる。
〔発明の効果〕
以上のようにこの発明によれば、画面上垂直方向の輪郭
信号を抽出する垂直輪郭抽出フィルタを、YC分離回路
の入力側に用いられる複数のラインメモリの複数出力の
デジタルビデオ信号から色信号成分を含む画面垂直方向
の高周波成分を抽出するくし形フィルタ,及びその出力
から上記画面垂直方向の高周波成分のみを抽出し、かつ
色副搬送波に対しては信号を減衰する水平低域フィルタ
から構成し、画面上水平方向の輪郭信号を抽出する水平
輪郭抽出フィルタを、上記垂直輪郭抽出フィルタの入力
信号と同同じデジタルビデオ信号から色信号成分を除去
する垂直低域フィルタ、及びこのフィルタの出力から水
平方向の高域成分を抽出する水平高域フィルタから構成
したので、上記垂直及び水平輪郭抽出フィルタでは上記
の複数のデジタルビデオ信号に含まれる色信号成分を除
去でき、また、輪郭検出回路では、画面水平,垂直方向
の信号変化量を、色副搬送波の位相が同相である標本点
の標本値に基づいて算出しているため、輪郭検出回路で
の色副搬送波の影響をなくすことができ、これにより、
上記垂直,水平輪郭抽出フィルタ及び輪郭検出回路の入
力信号として、YC分離回路と同様デジタルビデオ信号
を用いることが可能となり、上記ラインメモリをYC分
離回路との間で共用可能な輪郭抽出フィルタを得ること
ができる。そしてこの結果として輪郭抽出フィルタを含
む回路構成のコストアップを回避することができる。
また、画面水平,垂直方向の信号変化量に応じて、上記
水平及び垂直輪郭信号を切り換えて前記垂直もしくは水
平の輪郭抽出フィルタの出力信号を出力するようにした
ので、色信号成分が漏れ込んでいる水平輪郭信号ではそ
の水平方向の信号変化量がほぼ0となり、また色信号成
分が漏れ込んでいる垂直輪郭信号ではその垂直方向の信
号変化量がほぼ0となることから、水平及び垂直輪郭信
号の切り換えは、信号変化量の多い方に切り換えられる
ため結果として常に色信号成分を持たない方が選択され
ることとなり、これにより上記水平及び垂直輪郭抽出フ
ィルタで完全に取り除けなかったいくぶん漏れた色信号
成分を、上記出力信号の切り換えにより完全に除去でき
る効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例による適応形輪郭抽出フィ
ルタを示すブロック図、第2図は第1図のラインメモリ
の詳細を示すブロック図、第3図は第1図の水平輪郭抽
出フィルタの詳細を示すブロック図、第4図は第1図の
垂直輪郭抽出フィルタの詳細を示すブロック図、第5図
は第1図の輪郭検出回路の詳細を示すブロック図、第6
図は従来の水平輪郭抽出フィルタを示すブロック図、第
7図は従来の垂直輪郭抽出フィルタを示すブロック図、
第8図は従来の水平垂直輪郭抽出フィルタを示すブロッ
ク図である。 102……ラインメモリ、103……水平輪郭抽出フィ
ルタ、104……垂直輪郭抽出フィルタ、105……輪
郭検出回路、201,202……1H遅延回路、30
1,303,407,409……1/4倍係数回路、30
2,308,402,408……1/2倍係数回路、30
4,310,404,410……加算器、305,30
6,405,406,502,503……2T遅延回
路、307,309,401,403……−1/4倍係数
回路、504,505……減算器、506,507……
絶対値回路、508……比較回路。 なお図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】輝度信号と色信号とが周波数多重されてい
    るNTSC方式のビデオ信号を、色副搬送波の4倍の周
    波数で標本化及び量子化してなるデジタルビデオ信号を
    入力とし、該ビデオ信号の輪郭成分を抽出するデジタル
    フィルタであって、 前記デジタルビデオ信号を1水平走査期間遅延させる複
    数の遅延回路からなり、その複数の出力がビデオ信号を
    輝度信号と色信号とに分離するYC分離回路に用いられ
    るラインメモリと、 該ラインメモリの複数の出力を入力として、画面垂直方
    向の高域成分を抽出する第1のくし形フィルタと、この
    第1のくし形フィルタの出力を入力としてこれを1標本
    化期間だけ遅延させる複数の遅延回路を含み色信号成分
    を遮断する水平方向の低域フィルタとからなり、画面上
    垂直方向の輪郭信号を抽出する垂直輪郭抽出フィルタ
    と、 前記ラインメモリの複数の出力を入力として画面上垂直
    方向の高域成分を阻止して色信号成分を除去する第2の
    くし形フィルタと、この第2のくし形フィルタの出力を
    入力としてこれを1標本化期間だけ遅延させる複数の遅
    延回路を含み画面水平方向の高周波成分を通過させる水
    平方向の高域フィルタとからなり、画面上の水平方向の
    輪郭信号を抽出する水平輪郭抽出フィルタと、 前記ラインメモリの複数の出力を入力としてこれを1標
    本化期間だけ遅延させる複数の遅延回路を含み、色副搬
    送波の位相が同相の標本点の標本値を用いて画面水平方
    向及び垂直方向の信号の変化量を算出して輪郭の方向を
    検出する輪郭検出回路と、 該輪郭検出回路の出力に応じて前記垂直輪郭抽出フィル
    タまたは前記水平輪郭抽出フィルタの出力のいずれかを
    輪郭信号として選択する選択手段とを備えたことを特徴
    とする適応形輪郭抽出フィルタ。
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