JPH062821B2 - エポキシ基含有シリコーンエラストマー微粉末の製造方法及びその方法により製造された微粉末 - Google Patents

エポキシ基含有シリコーンエラストマー微粉末の製造方法及びその方法により製造された微粉末

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JPH062821B2
JPH062821B2 JP30818789A JP30818789A JPH062821B2 JP H062821 B2 JPH062821 B2 JP H062821B2 JP 30818789 A JP30818789 A JP 30818789A JP 30818789 A JP30818789 A JP 30818789A JP H062821 B2 JPH062821 B2 JP H062821B2
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信幸 寺江
秀一 畔地
良範 井口
雅則 須藤
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はエポキシ基含有シリコーンエラストマー微粉末
の製造方法およびこの製造方法によって製造されたエポ
キシ基含有シリコーンエラストマー微粉末に係り、特に
は、シリコーンエラストマーエマレジョンの形成と、こ
れからエラストマー微粒子を分離することからなるエポ
キシ基含有シリコーンエラストマー微粉末の製造方法に
関し、また、エポキシ基を有し、自己融着せず、異質の
有機樹脂との相溶性に優れ、この有機樹脂に優れた潤滑
性、衝撃吸収性を付与することができるシリコーンエラ
ストマー微粉末に関するものである。
(従来の技術) シリコーンエラストマー粒状物の製造方法としてはいく
つか提案がなされており、例えば、硬化したシリコーン
エラストマーをガラス転移温度以下に冷却した後に粉砕
する方法(米国特許第3,843,601号公報参照)、付加反
応型硬化性オルガノシロキサン組成物を230〜300℃のス
プレードライヤーの中で硬化させ、粒状のシリコーンエ
ラストマーを得る方法(特開昭59-96122号公報参照)、
付加反応または縮合反応型硬化性オルガノポリシロキサ
ン組成物を低剪断応力下で混合しながら硬化させつつ粒
子を製造する方法(特開昭62-270660号公報参照)など
が知られているが、いずれも微細で均質な粒子を得るこ
とが難しい上、特殊な装置が必要であり、かつ硬化速度
をコントロールすることが困難であるなどの欠点を有し
ているため工業的生産には不利である。
また、分子鎖末端にビニル基を有するオルガノポリシロ
キサンとケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガ
ノハイドロジェンポリシロキサンからなるオルガノシロ
キサン組成物を水と界面活性剤を使ってエマルジョンと
し、白金系触媒を添加してから加熱して硬化させること
によりシリコーンエラストマー粒子を含有するエマルジ
ョンを得る方法も知られている(特開昭56-36546号公報
参照)が、ここには硬化したシリコーンエラストマーを
粒状体として取り出すことは全く述べられていない。
このような水中に形成されたシリコーンエラストマーの
分散液またはエマルジョンから粒子を取り出す方法につ
いて種々提案されており(特開昭62-243621号,同62-25
7939号,同63-77942号同64-56735号,同64-70558号,特
公昭63-65692号各公報参照)、エマルジョン製造条件、
乳化剤の選択により粒径をコントロールでき、さらに連
続工程中で洗浄することにより不純物を除去し、必要と
される程度に合せて精製を行なうことができるとされて
いる。しかし、この場合には生成した粒子が微細なため
粒子の取り出しに困難を伴なう。
特開昭62-243621号および同63-77942号には、硬化性液
状シリコーンゴム組成物を界面活性剤を用いて25℃以下
の組成物が硬化しない条件で水性エマルジョンとしたの
ち、25℃以上の水中に分散して粒状ゴムを生成させると
いう方法が開示されているが、この方法では硬化反応の
制御が難しいため、ゴム粒子生成の途中で硬化して融着
を起こし微細な粒子を取り出すことができないという欠
点を有する。
なお、一般にエマルジョンを破壊する方法としては、エ
マルジョンに塩類またはアルコールを添加しエマルジョ
ン粒子を保持している界面活性剤を無効化させる方法が
知られている。この方法をシリコーンエラストマーのエ
マルジョンに適用した場合には、無効化の際に粒子の凝
集、自己融着が起こるために、条件のコントロールに困
難を伴ない、独立した粒子を効率よく取り出すことは難
しいとされている。(特開昭62-257939号公報参照) さらに、応用に関し、硬化したシリコーンエラストマー
粒状物を含有するシリコーンエラストマー組成物につい
ては、すでにいくつかの提案がなされており公知となっ
ているものがある。例えば、白金触媒存在下での付加反
応、縮合反応または有機過酸化物存在下での加熱により
硬化したオルガノポリシロキサンエラストマーの球状粒
子を含有するシリコーンエラストマー組成物をエポキシ
樹脂に添加した熱硬化性エポキシ樹脂組成物が提案され
ている。(特公昭62-28971,同63-12489,特開昭55-341
2,同61-101519,同61-166823,同61-225253号各公報参
照) このようなシリコーンエラストマー微粉末を熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂の耐衝撃性改良剤や潤滑性向上剤とし
て応用しようとする場合、この微粉末にエポキシ基等の
官能基を導入すれば、これら異種有機樹脂との相溶性お
よび密着性を高め得ることが推測される。
実際に、エポキシ基等の官能基を導入したシリコーンオ
イルについては多数のものが公知となっているが、シリ
コーンエラストマー微粒子にこのような官能基を導入す
る試みとしては、例えば、特開昭64-70558号および同64
-56735号において、(1)ケイ素原子に結合した水素基あ
るいはアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと
(2)ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハ
イドロジェンポリシロキサンと(3)硬化用触媒および(4)
不飽和炭化水素基含有エポキシ化合物あるいはエポキシ
基等の官能性基含有アルコキシシランとからなる液状シ
リコーンエラストマー組成物を水中に分散させたのち硬
化し、スプレードライヤー等により水を除去してシリコ
ーンエラストマー粒状物を製造することが述べられてい
る。しかし、この方法で製造されたシリコーンエラスト
マー粒状物では、エポキシ基含有化合物の一部がエラス
トマー分子と結合しているに過ぎず、大部分はシリコー
ンエラストマー粒子中に未反応のままに混在している。
そのため、エラストマー粒状物の物理特性が損なわれ、
かつ官能基導入による異種有機樹脂との相溶性効果も充
分に発揮されないという不利を有する。さらに、縮合反
応により架橋ゴム硬化する方法においては、ケイ素原子
に結合した水酸基と開環したエポキシ基とが縮合触媒の
働きで一部分反応を起すため、エラストマー中のエポキ
シ基が架橋基として働いてゲル硬化したりする。また、
付加反応により架橋ゴム硬化すること方法においては、
エポキシ基含有不飽和化合物の付加と架橋反応を同時に
行なうためコントロールが難しいという問題がある。
(発明が解決しようとする課題) 以上に述べたように、凝集物のない微粒状で、異種有機
樹脂との相溶性がよく、これらの異種有機樹脂の物性を
改良するのに適したエポキシ基含有シリコーンエラスト
マー微粉末を安定して製造する方法は知られておらず、
微粉末も得られていなかった。したがってこの微粉末を
製造するための優れた方法の出現が望まれていた。本発
明はこの課題を解決するためになされたものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は前記の課題を解決したものであり、これは、 (a)1分子中にケイ素原子に結合したビニル基を少なく
とも2個とケイ素原子に結合したエポキシ基含有有機基
を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン (b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なく
とも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン および (c)白金系触媒 を主成分とする硬化性オルガノポリシロキサン組成物を
水性エマルジョンとして水中に分散させ、次いで分散状
態で粒子を硬化させることによって体積平均粒径が20μ
m以下のシリコーンエラストマーエマルジョンを生成さ
せ、このエマルジョンに無機塩類を添加して硬化した分
散粒子を凝集し、分離させ、次いでろ別、洗浄、乾燥す
る工程からなることを特徴とするエポキシ基含有シリコ
ーンエラストマー微粉末の製造方法に係り、 また、 (a)1分子中にケイ素原子に結合したビニル基を少なく
とも2個とケイ素原子に結合したエポキシ基含有有機基
を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン (b)1分子中にケイ素原子に結合した水素を少なくとも
2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン および (c)白金系触媒 を主成分とする硬化性オルガノポリシロキサン組成物を
水性エマルジョンとして水中に分散させ、次いで分散状
態で粒子を硬化させることによって体積平均粒径が20μ
m以下のシリコーンエラストマーエマルジョンを生成さ
せ、このエマルジョンに無機塩類を添加して硬化した分
散粒子を凝集し、分離させ、次いでろ別、洗浄、乾燥す
る工程からなる製造方法により製造されたことを特徴と
するエポキシ基含有シリコーンエラストマー微粉末に係
るものである。
すなわち、本発明者らは前記の課題を解決するため鋭意
研究の結果、けい素原子に結合したビニル基とけい素原
子に結合したエポキシ基含有有機とをもつオルガノポリ
シロキサン及びけい素原子に結合した水素原子をもつオ
ルガノポリシロキサンからなる組成物を水中にエマルジ
ョン状に分散し、分散状態で付加反応によりエラストマ
ー化すれば、特性の優れたエポキシ基含有シリコーンエ
ラストマー微粉末が得られる可能性があることを見出
し、さらに検討を重ねて本発明を完成させた。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明においては、エポキシ基含有シリコーンエラスト
マー微粉末の製造のための原料のひとつとして、前記
(a)成分である1分子中にケイ素原子に結合したビニル
基を少なくとも2個とケイ素原子に結合したエポキシ基
含有有機基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキ
サンを用いるが、この(a)成分は(c)成分の触媒作用によ
り(b)成分と付加反応し硬化してエラストマー状弾性を
発現するためのポリマー成分である。
(a)成分のビニル基量としては1分子中に少なくとも2
個存在する必要があるが、通常は(a)成分のオルガノポ
リシロキサン100g当り0.005〜1.0モルの範囲で変えるこ
とができ、好ましくは0.01〜0.6モルの範囲である。こ
のビニル基は公知の方法によって(a)成分に導入すれば
よい。
(a)成分にエポキシ基含有有機基を導入する方法として
は、けい素原子に結合した水素原子を有するシラン、シ
ロキサンとビニル基などの不飽和炭化水素基を有するエ
ポキシ化合物とを白金系触媒により付加反応させたもの
を用いて高分子シロキサンを得る方法、けい素原子に結
合したビニル基を有するシラン、シロキサンとアクリル
基、メルカプト基などの活性基を有するエポキシ化合物
とをラジカル触媒によるか又は増感剤を用いた紫外線照
射によってラジカル付加させたものを用いて高分子シロ
キサンを得る方法などを挙げることができる。
上記エポキシ基含有有機基の量は(a)成分のオルガノポ
リシロキサン1分子中に少なくとも1個存在することが
必要であるが、これはシリコーンエラストマー微粉末10
0g当り活性エポキシ基として0.005〜0.25モルの範囲で
存在することが好ましく、より好ましくは0.010〜0.20
モルの範囲である。この含有量が0.005モル/100g未満
では有機樹脂に対する相溶性、密着性の効果が充分では
なく、有機樹脂に添加配合した場合に樹脂相との接着性
が不充分となる。一方、0.25モル/100gを超えるとシリ
コーンエラスマーとしてのゴム物性、特にゴム弾性や潤
滑が低下するため、有機樹脂に添加配合した場合に耐衝
撃性改良剤としての応力緩和効果や潤滑効果が不充分な
ものとなり、しかもエラストマー微粉末の製造自体に困
難さが増してくる。ここで活性エポキシ基とはシリコー
ンエラストマー微粉末が他の有機樹脂や化合物と混合さ
れたときに、それら他の有機樹脂や化合物の官能性基と
反応活性を有しているエポキシ基の意味である。このよ
うな活性エポキシ基はシリコーンエラストマー微粉末中
で主鎖のシロキサン骨格に化学的に結合され、かつ微粉
末の表面に配向しているものである。この活性エポキシ
基の含有量は公知の方法により測定することができる
が、本発明において用いた測定方法は実施例中で後記す
るとおりである。
この(a)成分のオルガノポリシロキサンはけい素原子に
結合した有機基のうち、前記のエポキシ基含有有機基を
除いた残りの基の少なくとも90%がメチル基であるもの
が好ましい。
上記(a)成分としてはまた下記の一般式 (ただし、Rは同種または異種の不飽和結合を有しない
非置換又は置換一価炭化水素基、Aはエポキシ基含有有
機基、a,bは0,1,2または3でa+b=3、x,yは正の整数、z
は0または正の整数で1≦y、2≦2b+z)で表わされ、
かつ25℃で20〜50,000cSの粘度を有するものが好まし
い。
上記一般式におけるビニル基の結合位置は側鎖又は末端
のどちらでもよいが、両末端に存在することが好まし
い。前述のとおり、ビニル基量としては1分子中に少な
くとも2個存在する必要があるが、通常は(a)成分のオ
ルガノポリシロキサン100g当り0.005〜1.0モルの範囲で
変えることができ、好ましくは0.01〜0.6モルの範囲で
ある。
式中のRは不飽和結合を有しない非置換又は置換一価炭
化水素基を表わし、これにはれ例えばメチル基、エチル
基、プロピル基等の炭素数1〜8のアルキル基、シクロ
ヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、
フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等の
アリール基、及び3,3,3-トリフルオロピロピル基のよう
なハロゲン化炭化水素基が挙げられる。このR基は少な
くともその90%がメチル基であることが好ましい。
式中のAはエポキシ基含有有機基を表わし、これには例
えば下記の基が挙げられる。
このエポキシ基含有有機基は、前述のとおりシリコーン
エラストマー微粉末100g当り活性エポキシ基として0.00
5〜0.25モルの範囲で存在することが好ましい。
式中のa,b,x,y,zは前記のとおりであり、x,y及びzは
(a)成分のオルガノポリシロキサンの粘度が25℃で20〜5
0,000cSの範囲であるような正の整数を表わすが、(a)成
分としては25℃で100〜10,000cSの粘度を有するものが
より好ましい。粘度が20cS以下ではオルガノポリシロキ
サンの分子量が小さくなり、そのため相対的にビニル基
含有量が多くなり、これを(b)成分と付加反応で硬化し
てエラストマーとしたときに架橋度が高くなったりして
シリコーンエラストマー微粉末の物理特性が悪くなって
くる。粘度が50,000cS以上では高粘度のため乳化分散が
難しくなり、シリコーンエラストマー微粉末の平均粒径
を20μm以下にすることが困難になってくる。
前記の一般式で表わされるオルガノポリシロキサンは公
知の方法により合成することができる。例えば、前述の
エポキシ基導入法に従って、けい素原子に結合した水素
原子を1分子中に少なくとも1個有する環状シロキサン
に1分子中に少なくとも1個の不飽和炭化水素基を有す
るエポキシ化合物を白金触媒により付加反応してエポキ
シ基含有環状シロキサンを合成し、この環状シロキサン
を末端ビニル基を持ったオルガノポリシロキサン及び必
要に応じその他の環状オルガノポリシロキサンと一緒に
開環重合させることにより合成することができる。
本発明においては他のひとつの原料としての前記(b)成
分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いる
が、この(b)成分は(c)成分の触媒作用により(a)成分と
架橋反応してエラストマー状弾性を発現するための成分
である。
この(b)成分は1分子中にけい素原子に結合した水素原
子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリ
シロキサンであるが、その水素原子の結合位置は分子末
端でも側鎖にあってもよく、また、その両方に存在して
いてもよい。
この(b)成分は一般式 (ただし、Rは前記に同じ、cは0〜3の数、dは0.00
5〜2.0の数でc+dは3以下の数、かつケイ素原子に結合
した水素原子が1分子中に少なくとも2個存在する)で
表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサンから
なるもものであることが好ましい。この化合物は線状、
環状又は樹脂状のいずれであってもよいが、線状又は樹
脂状であるものが好ましい。式中のRは不飽和結合を有
しない非置換又は置換一価炭化水素基を表わし、前記
(a)成分で挙げたのと同じ基が例示されるが、このR基
の90%以上がメチル基であるものが好ましい。
この(b)成分は25℃における粘度が1〜100,000cSの範囲
にあるのが好ましく、5〜20,000cSの範囲がより好まし
い。1cS以下で揮発性が大きくなり取り扱いにくくなる
ためであり、100,000cSを超えると乳化分散が難しくな
り、(a)成分について述べたのと同じ理由により好まし
くない。
(b)成分中のけい素原子に結合した水素原子の含有量は
1分子中に少なくとも2個存在すれば特に限定はされな
いが、通常は(b)成分100g当り0.005〜1.6モルの範囲で
変えることができ、好ましい範囲は0.01〜1.2モルであ
る。
この(b)成分としては下記のものが例示される。
このような線状メチルハイドロジェンポリシロキサン又
は樹脂状メチルハイドロジェンポリシロキサンは公知の
方法で合成することができる。例えば、ジメチルシロキ
サン単位及びメチルハイドロジェンキサン単位を有する
環状シロキサンと末端トリメチルシロキサン単位をもっ
た線状シロキサンと開環重合させる方法、 解させる方法などにより合成することができる。
本発明において用いる(c)成分は、前記(a)成分のけい素
原子に結合したビニル基と(b)成分のけい素原子に結合
した水素原子との間の付加反応の触媒であり、公知のも
のを用いることができるが、これには白金黒、シリカな
どに担持させた白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコ
ール化合物、塩化白金酸とアルデヒド,各種オレフィ
ン,ビニルシロキサンとの錯体などの白金化合物が例示
される。
この(a)、(b)、(c)各成分からなるオルガノポリシロキサ
ン組成物はこれらの所定量を混合することによって得る
ことができ、(a)成分と(b)成分との配合比はこれらの分
子量さらには硬化後のエラストマーとして要求される物
性によって広範囲に変えることができるが、通常は(a)
成分中のけい素原子に結合したビニル基 と(b)成分中の 結合とのモル比が2:1〜1:10の範囲となるように
することが望ましい。また、(c)成分の添加量は触媒量
とすればよく、(a)、(b)成分の合計量に対し0.1ppm未満
では付加反応が充分ではなくなるし、1,000ppmを超える
と反応が速すぎるし不経済となるので0.1〜1,000ppmの
範囲とすればよいが、好ましい範囲は1〜100ppmであ
る。
本発明に係る製造方法によってシリコーンエラストマー
微粉末を製造するには、まず前記した(a)、(b)、(c)3成
分からなる組成物を水中に分散する必要があるが、(a)、
(b)、(c)3成分を混合すると直ちに硬化が始まると直ち
に硬化が始まるので、この硬化反応が速すぎると、各成
分が完全に混合する前に硬化が起って硬化が不均一にな
ったり、乳化する前に硬化して乳化ができなかったりす
る。これを避けるには、ひとつの方法として二段階に分
けて組成物を形成させるようにしてもよい。
すなわち、(a)成分としてのビニル基及びエポキシ基を
含有するオルガノポリシロキサンと(b)成分としてのオ
ルガノハイドロジェンポリシロキサンの所定量を混合し
てオルガノシロキサン組成物をつくり、ついでこれを界
面活性剤と水を添加してからエマルジョン化し、調製さ
れたエマルジョンに(c)成分の白金系触媒を添加して
(a)、(b)、(c)3成分からなる組成物を形成させオルガノ
シロキサン組成物を硬化させる方法である。(c)成分が
水に分散しないものである場合には乳化剤を用いて水分
散を可能としてから添加することがよい。
あらかじめ(a)、(b)、(c)3成分からなる組成物をつくり
これを水中に分散させる方法による場合、組成物の分散
に先行して望ましくない硬化反応が起るのを避けるため
には白金触媒の反応制御剤を用いることができる。反応
制御剤を添加した(a)、(b)、(c)3成分からなる組成物を
水中に分散してから、通常は50〜70℃以上に加熱すれば
制御作用が解除され、硬化反応が進行してエラストマー
微粒子が形成される。
このような白金触媒の反応制御剤としては公知のものを
用いることができ、例えば、アセチレン系化合物、ベン
ゾトリアゾール、芳香族複素環式窒素化合物、ピリダジ
ン、ピラジン、キノリン、ピペリジン、ナフチリジン、
キナルジン、ジアルキルホルムアミド、チオアミド、ア
ルキルチオウレア、エチレンチオウレア、ポリメチルビ
ニルシロキサン環化合物等を挙げることができる。
オルガノポリシロキサン組成物を水中に分散するために
使用する界面活性剤はこの組成物を乳化できるものであ
ればよく特に制限はないが、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエー
テルなどのようなノニオン系乳化剤でHLBが10〜15の
ものとすることがよく、これらはその2種以上を併用し
てもよい。
エラストマー微粒子の平均粒径は20μm以下とすること
が必要であるが、これには硬化前の組成物を平均粒径20
μm以下に乳化分散しておくことが必要であり、この乳
化に当ってはビニル基とエポキシ基を含有するオルガノ
ポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン及び乳化剤の3者(あるいは、これらに硬化触媒と反
応制御剤を加えたもの)をあらかじめ混合し、これに水
を徐々に添加してW/o型エマルジョンをO/W型エマ
ルジョンに転相させる転相乳化方法を用いることがよ
い。この転相時までに要する水量はオルガノポリシロキ
サンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計10
0重量部に対し10〜50重量部の範囲である。
乳化分散には公知の装置を用いることができ、例えば、
市販のホモジナイザーなどを用いることができる。
(a)、(b)、(c)3成分からなる組成物の乳化分散物は、硬
化触媒の反応制御剤を含まない場合には室温でも硬化反
応が起こってエラストマーを形成するが、加温して反応
を促進してもよく、反応制御剤を含む場合には前述のと
おり加温してエラストマーを形成させる。
上記のようにして得られたシリコーンエラストマーのエ
マルジョンからシリコーンエラストマー微粒子を分離さ
せるのに、このエマルジョンをフィルターを用いてろ過
したのではかなり細かいメッシュを必要とし、かつ目詰
りを起して分離が極めて困難となる。これを避けるため
にはエマルジョンに無機塩類を添加しエマルジョン粒子
を凝集させてからろ過すればよく、この方法によりフィ
ルターの目詰りを起すことなくろ別することができる。
エマルジョン粒子の凝集状態は無機塩類の添加条件によ
り調製することができる。さらに水や有機用剤を用いて
洗浄を繰り返すことによりイオン性不純物の除去は極め
て容易であり、また乳化時に作用した界面活性剤の除去
も容易であり、アルコール等の有機溶剤で洗浄すること
によりほぼ完全に除去することができる。このエマルジ
ョン粒子を凝集させるための無機塩類としては、具体的
には塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、
硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸亜鉛、硝酸カ
ルシウム等が例示され、その添加量はエマルジョン100
重量部に対して1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部
の範囲がよく、1重量部以下では粒子の凝集が十分に起
こらず、また30重量部以上では溶解度を超えるためそれ
以上添加しても効果が期待できず、後工程での洗浄の効
率を悪くする原因となる。さらに、エマルジョン粒子の
凝集をより容易に行なうためにアルコール等を併用して
もよい。
このようにして凝集したエマルジョン粒子をフィルター
を用いて分離し、遠心脱水機などにより十分に脱水した
後、洗浄を行ない、この脱水と洗浄を繰り返してから乾
燥させてシリコーンラストマー微粉末とする。
ここで、乾燥時には凝集を少なくするため流動乾燥機な
どのように攪拌または流動させながら乾燥させることが
好ましい。洗浄工程を充分に行なうと乾燥工程において
特別の解砕手段を用いなくて流動乾燥などにより凝集体
がくずれ、ほぼ完全な球状微粒子が単離できる。
本発明では体積平均粒径が20μm以下のシリコーンエラ
スマーエルジョンを形成させ、これからシリコーンエラ
ストマー微粉末をとりだしているが、上記の体積平均粒
径が20μmを超えると、得られたシリコーンエラストマ
ー微粉末を有機樹脂に添加配合した場合、粒子が粗いた
め分散性が悪く、耐衝撃(熱的衝撃、機械的衝撃が含ま
れる改良剤としての応力緩和効果や潤滑効果が不十分と
なる。
(実施例) つぎに本発明を実施例に基いて説明する。なお、例中の
部は全て重量部を示す。
合成例1 テトラメチルシクロテトラシロキシサンに にモル数に対して1.5倍モルのアリルグリシジルエーテ
ルを添加し、白金系触媒を用いて85℃で3時間付加反応
させたのち、未反応物をストリップして除去し下記式で
示される化合物(I)を合成した。
この化合物(I)とオクタメチルシクロテトラシロキサ
ン及び1,2-ジビニルテトラメチルジシロキサンの配合物
を合計量として500部と溶媒としてジメチルホルムアミ
ド100部を仕込み、115℃で1時間加熱して脱水してか
ら、リン酸トリブチル触媒2.5部を添加し、攪拌しなが
ら110℃で3時間平衡化反応を行なったのち、135℃で1
時間加熱して触媒のリン酸トリブチルを分解し、さらに
未反応物をストリップで除去して下記式で示される化合
物A〜C及びFを合成した。この化合物のビニル基含有
量及びエポキシ基含有量を測定したところ第1表のとお
りであった。
実施例1 合成例1でつくった化合物A100部に下記式で示される2
5℃での粘度が170cSのメチルハイドロジエンポリシロキ
サン2.4部を配合して のモル比が1.2であるオルガノポリシロキサン組成物を
つくった。
ついでこれにHLBが13.5のポリオキシエチレンオクチ
ルフェニルエーテル3部と水297部を添加してホモミキ
サーで均一に混合してから、316kg/cm2の圧力でガウリ
ンホモジナイザーを通して均質化したところ体積平均粒
径が約2μmのエマルジョンを得た。
つぎにこのエマルジョン100部に塩化白金酸オレフィン
錯塩を白金量として0.001部添加し、20℃で20時間攪拌
混合して反応させたところ、体積平均粒径はほとんど変
わらずに2.3μmである球状の粒子からなるシリコーン
エラスマーエマルジョンが得られた。ついでこのエマル
ジョン100部を85℃に加熱して硫酸ナトリウム5部を添
加混合したところ、エマルジョンが破壊されエマルジョ
ン粒子が凝集した。
この凝集物を400メッシュのフィルターを取付けた遠心
脱水機を用いて脱水し含水率30%のケーキ状とし、さら
にこのケーキ状物100部にイオン交換水500部を添加し攪
拌洗浄し、これを上記と同様の遠心脱水機で脱水した。
この洗浄・脱水をさらに2回繰り返して得られた含水率
30%のケーキ状物を入口温度100℃、出口温度60℃の熱
風循環式の流動乾燥機[FLO−5A(株)大川原製作
所製商品名]用いて乾燥したところ、体積平均粒径が約
5μm、含水率が0.1%、トルエン抽出分が0.5%のシリ
コーンエラストマー微粉末Aが得られた。
実施例2 合成例1でつくった化合物B100部に実施例1で用いた
のと同じメチルハイドロジエンポリシロキサン2.3部を
配合して のモル比が1.2であるオルガノポリシロキサン組成物を
つくった。ついでこのものを実施例1と全く同じ方法で
乳化して体積平均粒径が約3μmのエマルジョンを得
た。
このエマルジョンを実施例1と全く同じ方法で硬化し、
ついで硫酸ナトリウムを加えてエマルジョンを破壊・凝
集させたのち、同様に洗浄・脱水を4回繰り返してから
同様に乾燥を行ないシリコーンエラストマー微粉末Bを
得た。
実施例3 合成例1でつくった化合物C100部に実施例1で用いた
のと同じメチルハイドロジエンポリシロキサン1.9部を
配合した以外は実施例1と全く同じ方法によってシリコ
ーンエラストマー微粉末Cを得た。
これら微粉末A、B、Cの一般特性値は第2表に示すと
おりであった。
なお、特性の測定は下記の方法によって行なった。以下
のすべての例についても同様である。
四塩化炭素15mlにサンプル約0.5gを正確に秤取して溶解
させ、これにハヌス液(0.2N臭化ヨウ素−酢酸溶液)25
mlを加えて2時間25℃の恒温の暗所に置きビニル基を反
応させる。20重量%のヨウ化カリウム水溶液15mlを加え
て遊離するヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液でデ
ンプン指示薬の終点まで滴定し、消費されたヨウ素より 含有量を算出する。
n-ブタノール15mlにサンプルを約0.5gを正確に秤取して
懸濁させる。これにKOH水溶液(20%KOH/水+メタノー
ル)25mlを加えて約5分間 基を反応させ、発生した水素ガスの容積を測定し気圧補
正したのち、1モルの水素ガスが標準状態で22400mlを
占めることより 基含有量を計算する。
(3)エポキシ基含有量の測定 サンプルを約2gを正確に秤量し、100ml共栓フラスコに
入れ、10mlの塩酸−ジオキサン溶液(濃塩酸1.5mlを精
製ジオキサン100mlに混合した溶液で使用直前に調整し
たものを正確に10ml添加する)に溶解又は懸濁し10分間
放置したのち、中性のエチルアルコールを約20〜30ml加
え、過剰の塩酸をフェノールフタレインを指示薬として
0.1N苛性ソーダ溶液で滴定し、エポキシ基含有量を算出
する。なお、この測定法はオルガノポリシロキサンのサ
ンプルとエラストマー微粉末のサンプルの両方に適用し
た。
(4)抽出水の電気伝導度及び界面活性剤濃度の測定 サンプル約6gを正確に秤量し、イオン交換水(電気伝導
度1μS/cm以下)150gと共にステンレス製容器に入
れ、密封後121±3℃の恒温器中に静置し20時間加熱抽
出する。抽出後、予めイオン交換水で1回洗浄したろ紙
を用いてろ過し、得られた抽出水について電気伝導度、
界面活性剤濃度を測定する。電気伝導度の測定には東京
東亜エレクトロニクス社製の電気伝導度計を用いた。界
面活性剤濃度は抽出水の表面張力を測定し検量線により
求めた。表面張力は協和科学社製の表面張力計を用いて
測定した。
(5)体積平均粒径及び粒径分布の測定 サンプル0.1〜0.2gをメノウ乳鉢で十分にほぐし、ノニ
オン界面活性剤の入った水約20gで希釈し分散液とす
る。これをコールターカウンター(コールターエレクト
ロニクス社製)を用いて体積平均粒径及び粒径分布を測
定する。
合成例2 テトラメチルトリプロピルシクロテトラシロキサンに のモル数に対して2.0倍モルのアリルグリシジルエーテ
ルを添加し、白金触媒を用いて85℃で20時間反応させた
のち未反応物をストリップし、下記式で示される化合物
(II)を合成した。
この化合物(II)144部とオクタメチルシクロテトラシ
ロキサン330部と分子鎖両末端がジメチルビニルシロキ
シ基で封鎖されたジメチルシロキサン単位が8個よりな
る粘度が7cS(25℃)のジメチルポリシロキサン 26部と溶媒としてジメチルホルムアミド100部を仕込み1
15℃で1時間加熱して脱水した。つぎにリン酸トリブチ
ル触媒2.5部を添加し、攪拌しながら110℃で3時間平衡
化反応を行なったのち、135℃で1時間加熱して触媒の
リン酸トリブチルを分解し、さらに未反応物をストリッ
プで除去し、下記式で表される化合物Dを合成した。
このもののビニル基含有量は0.013モル/100g、エポキ
シ基含有量は0.060モル/100gであった。
実施例4 合成例2でつくった化合物D100部にジメチルハイドロ
ジエンシロキサン単位[(CH3)2HSiO0.5]60モル%、SiO
2単位40モル%からなるメチルハイドロジエンポリシロ
キサン 1.7部を配合して のモル比が1.2であるオルガノポリシロキサン組成物を
つくった。さらにこの組成物を実施例1と同じ方法で乳
化し、体積平均粒径が約3μmのエマルジョンをつくっ
た。ついでこのエマルジョンを実施例1と同じ方法で硬
化して体積平均粒径4.5μmのエラストマーエマルジョ
ンとしたのち硫酸ナトリウムを加えてエマルジョンを凝
集させて破壊し、同様に脱水、洗浄を繰り返してから乾
燥し、シリコーンエラストマー微粉末Dを得た。
合成例3 ヘプタメチルシクロテトラシロキサンと のモル数に対して2.0倍モルのビニルシクロヘキセンエ
ポキサイドを添加し、白金系触媒を用いて85℃で4時間
反応させたのち未反応をストリップして除去し、下記式
で示される化合物(III)を合成した。
この化合物(III)118部、オクタメチルシクロテトラシ
ロキサン279.5部、オクタフェニルシクロテトラシロキ
サン57.5部及び分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ
基で封鎖されたジメチルシロキサン単位が8個よりなる
粘度が7cS(25℃)のジメチルポリシロキサン45部とジ
メチルホルムアミド100部を仕込み、合成例1と同様の
方法により平衡化反応を行ない、下記式で表される化合
物Eを合成した。
実施例5 合成例3でつくった化合物E100部に実施例4で使用し
たのと同じメチルハイドロジエンポリシキサン2.9部を
配合して のモル比が1.2であるオルガノポリシロキサン組成物を
つくった。さらにこの組成物を実施例1と同じ方法で乳
化分散し、体積平均粒径が約6.7μmのエラストマー
エマルジョンとしたのち硫酸ナトリウムを加えてエマル
ジョンを凝集させて破壊し、同様に脱水、洗浄を繰り返
してから乾燥し、シリコーンエラストマー微粉末Eを得
た。
微粉末D、Eの一般特性値を前記実施例1〜3の場合と
同様にして測定したところ、その結果は第3表に示すと
おりであった。
比較例 1 合成例1でつくった化合物F100に実施例1で用いたの
と同じメチルハイドロジエンポリシロキサン1.6部を配
合して のモル比が1.2であるオルガノポリシロキサン組成物を
つくった。さらにこのものを実施例1と同じ方法で乳化
分散し、体積平均粒径が約4μmのエマルジョンをつく
った。ついでこのエマルジョン100部に塩化白金酸オレ
フィン錯塩を白金量として0.001部添加し、40℃で20時
間攪拌混合し、 含有量を測定して付加反応率を求めたがほとんど反応し
ていなかった。これをさらに60℃に加熱し10時間攪拌を
続けたところ付加反応率は90%以上となったが、生成し
たエラストマーエマルジョンの一部が凝集して表面に数
百μmのシリコーンゴム粒状硬化物を含んだエマルジョ
ンが得られた。このものの平均粒径は30μm以上であ
り、このエラストマーエマルジョンを実施例1と同じ方
法で硫酸ナトリウムを加えて凝集さ破壊し、脱水・洗浄
を繰り返したのち乾燥してシリコーンエラストマー粉末
Fを得た。このエラストマー粉末は粉砕不可能な多数の
数百μm以上のエラストマー粒状硬化物を含んでおり、
この粉末を80メッシュのふるいにかけたところ約15%の
粒径200μm以上のシリコーンエラストマー粒状硬化物
を含んでいた。
比較例 2 分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された
25℃での粘度が400cSのジメチルポリシロキサン 100部に分子鎖両末端がトリメチルシロキ基で封鎖され
た25℃での粘度が170cSのメチルハイドロジエンポリシ
ロキサン 17.1部及びアリルグリシジルエーテル10部を配合して混
合し、 基とビニル基とのモル比が1.2である組成物をつくっ
た。ついでこの組成物に実施例1で使用したのと同じ界
面活性剤3部と水297部とを添加し、実施例1と同様に
エマルジョンをつくったところ、このエマルジョンは体
積平均粒径が3μmであった。つぎにこのエマルジョン
に実施例1と同様に白金触媒を添加して50℃で6時間反
応させたところ、エマルジョンの一部が凝集して上層部
にオイル状物が浮上してきた。ついでこのエマルジョン
に硫酸ナトリウムを添加して破壊凝集させたのち、脱
水、洗浄、乾燥してシリコーンエラストマー粉末Gを得
た。このものは一部ゴム状に凝集した粒径200μm以上
の粗大粒子を含む粉末で、一般特性は第4表に示すとお
りであり、未反応アリルグリシジルエーテルに起因する
と思われる揮発分、トルエン抽出分が検出された。
比較例 3 比較例2で使用したのと同じジメチルポリシロキサン10
0部とメチルハイドロジエンポリシロキサン20部及びア
リルグリシジルエーテル10部を配合して混合物1つくっ
た。つぎに上記と同じジメチルポリシロキサン100部に
塩化白金酸オレフィン錯塩を白金量として0.001部添加
して混合物2をつくった。つぎにこの混合物1と2を別
々に温度が5℃以下になるように冷却し、5℃以下の温
度を保って両者を混合し、さらに5℃以下に保ったまま
実施例1で使用したのと同じ界面活性剤6部と5℃に冷
却した水564部をホモミキサーで均一に混合したとこ
ろ、乳化している間に付加反応が進んで未乳化の粒径20
0μm以上のシリコーンゴム粒状硬化物を含だエマルジ
ョンが得られた。このものの平均粒径は測定不能であ
り、このものを80メッシュのフィルターでろ別したとこ
ろ約20%の粒径200μm以上のシリコーンゴム粒状硬化
物を含んでいることがわかった。
比較例 4 比較例1で得られた平均粒径が3μmのエマルジョンに
白金触媒を添加したのち室温で1時間放置後、入口温度
150℃、出口温度80℃としたスプレードライヤーGA−
31[ヤマト科学(株)製商品名]を用いてスプレード
ライしたところ、含水率0.8%のシリコーンエラストマ
ー微粉末Hが得られた。このものの一般特性は第4表の
とおりであり、界面活性剤に起因すると思われる抽出水
電気伝導度と界面活性剤がかなり検出された。
実施例6、比較例5 前記の実施例1〜5、比較例2及び4で得たシリコーン
エラストマー微粉末A〜E、G及びHをそれぞれ単独で
用い、下記の配合表に従って配合し、ヘンシェルミキサ
ーで混合したのち、80〜100℃の二軸ロールで5分間混
練し、得られた混合物を冷却・破砕し、タブレット化し
て半導体装置封止用エポキシ樹脂組成物を得た。また、
シリコーンエラストマー微粉末を添加しないほかは下記
配合と同一の組成物を調製した。
なお、配合表中のエポキシ紙にはオルトクレゾールノボ
ラック樹脂(エポキシ当量196、軟化点78℃)、難燃化
エポキシ樹脂には臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹
脂(エポキシ当量270軟化点80℃)、フェノール樹脂硬
化剤にはフェノールノボラック樹脂(水酸基当量106、
軟化点83℃)を使用した。
得られた組成物を用いて、低圧トランスファー成形機
(東亜精機製50トンプレス)により、180℃、70kg/c
m2、2分の条件で成形し、成形後180℃で1時間の後硬
化を行ない、FP(フラットパッケージ)型ICの耐熱
衝撃製試験用に6mm×6mmの大きさで厚さ0.7mmと0.9mm
のテスト素子を作った。得られた試料素子について下記
の耐熱衝撃性試験を行った。
耐熱衝撃性試験(吸湿半田試験) 用いたシリコーンエラストマー微粉末毎にかつ厚さ毎に
それぞれ試料素子10個を採り、85℃、湿度85%の恒温恒
湿槽に24時間放置して吸水率を測定した。吸水率を測定
した試料素子をそのままで半田浴中に浸漬し素子表面に
クラックが入るまでの時間(秒)を測定した。半田浴の
温度は試料素子の厚さが0.7mmのとき215℃、厚さが0.9m
mのとき240℃とした。測定結果は第5表に示すとおりで
あった。この測定値は全て試料素子10個の平均値であ
る。
半導体装置封止用エポキシ樹脂組成物に本発明のシリコ
ーンエラストマー微粉末を添加配合することにより、成
形物の耐熱衝撃性が改良されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井口 良範 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内 (72)発明者 須藤 雅則 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内 (72)発明者 原 寛保 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)1分子中にケイ素原子に結合したビニ
    ル基を少なくとも2個とケイ素原子に結合したエポキシ
    基含有有機基を少なくとも1個有するオルガノポリシロ
    キサン (b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なく
    とも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン および (c)白金系触媒 を主成分とする硬化性オルガノポリシロキサン組成物を
    水性エマルジョンとして水中に分散させ、次いで分散状
    態で粒子を硬化させることによって体積平均粒径が20μ
    m以下のシリコーンエラストマーエマルジョンを生成さ
    せ、このエマルジョンに無機塩類を添加して硬化した分
    散粒子を凝集し、分離させ、次いでろ別、洗浄、乾燥す
    る工程からなることを特徴とするエポキシ基含有シリコ
    ーンエラストマー微粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】(a)1分子中にケイ素原子に結合したビニ
    ル基を少なくとも2個とケイ素原子に結合したエポキシ
    基含有有機基を少なくとも1個有するオルガノポリシロ
    キサン (b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なく
    とも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン および (c)白金系触媒 を主成分とする硬化性オルガノポリシロキサン組成物を
    水性エマルジョンとして水中に分散させ、次いで分散状
    態で粒子を硬化させることによって体積平均粒径が20μ
    m以下のシリコーンエラストマーエマルジョンを生成さ
    せ、このエマルジョンに無機塩類を添加して硬化した分
    散粒子を凝集し、分離させ、次いでろ別、洗浄、乾燥す
    る工程からなる製造方法により製造されたことを特徴と
    するエポキシ基含有シリコーンエラストマー微粉末。
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