JPH06281444A - 走査プローブ顕微鏡及びその制御誤差の補正方法 - Google Patents

走査プローブ顕微鏡及びその制御誤差の補正方法

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JPH06281444A
JPH06281444A JP27665893A JP27665893A JPH06281444A JP H06281444 A JPH06281444 A JP H06281444A JP 27665893 A JP27665893 A JP 27665893A JP 27665893 A JP27665893 A JP 27665893A JP H06281444 A JPH06281444 A JP H06281444A
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Kiyoshi Nagasawa
潔 長澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 探針を試料表面に接近させ、探針が試料表面
から受ける原子間力や磁気力などの微小力を検出して試
料表面の観察や処理を行う走査プローブ型表面顕微処理
装置において、種々の環境変化によって生じるカンチレ
バの変位を補正して、再現性よく、かつ、高精度に動作
する装置を実現する。 【構成】 カンチレバ1の先端に設けられた探針17を
試料2の表面に接近させ、原子間力や磁気力などの微小
力によって生じるカンチレバ1の変位を光てこ方式微小
力検出器30で検出し、カンチレバ変位検出回路5、カ
ンチレバ変位出力信号補正回路25を通して、力一定サ
ーボ回路9により、試料2を支持するXYZスキャナ1
4を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、探針により試料表面の
構造や状態を観察する走査プローブ顕微鏡に係り、特に
探針を保持するカンチレバーの撓みを制御しながら試料
を走査する顕微鏡に関する。代表的には原子間力顕微鏡
であるが、試料表面の形態観察のみでなく種々の物理的
性質の分布を計測する顕微鏡、さらには情報を媒体表面
に記録するための微細加工の機能をも備えた装置にも関
係する。
【0002】
【従来の技術】走査プローブ顕微鏡と呼べるものの最初
の例は1983年に開発された走査トンネル顕微鏡(S
TM)である。これはトンネル電流を利用したものであ
る。その後、固体プローブを使用し、これを試料表面に
nmのオーダで近接させ、種々の物理現象を利用して使
用表面の構造や物性を原子オーダの解像度で観察あるい
は計測する装置が次々と提案された。この中で、原子間
力顕微鏡(AFM)はトンネル電流の代りに原子間力、磁
気力、光、音等を利用した顕微鏡である。カンチレバー
の先端に有する探針と試料とに働く微小力(斥力あるい
は引力)を一定に保ち、即ち、カンチレバーの撓みを検
出し、サーボにより撓みを一定に保ちつつ、試料を走査
して探針の動きにより表面を観察するAFMについては
特開昭62−130302号に論じられている。
【0003】さらに、ジャーナル・オブ・バキューム・
サイエンス・アンド・テクノロジー(J. Vac. Sci. Tech
nol.)、A8巻(1990年)、第369〜373頁に
は光てこ方式でカンチレバーの撓みを拡大して検出する
機構を備えた原子間力顕微鏡が記載されている。
【0004】また、アプライド・フィジックス・レター
ズ(Applied Physics Letters)第61巻(1992
年)、第8号、第1003〜1005頁には、原子間力
顕微鏡の原理を用い、さらに赤外レーザ光によりプロー
ブ尖端を加熱して試料表面に情報を示すピットを形成す
る情報書き込み機能を付加した装置、つまり原子間力顕
微鏡の原理を応用した情報ストレージ装置が示される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光てこによりカンチレ
バーの撓みを拡大して検出する機構を備えた走査プロー
ブ顕微鏡、あるいはその原理を用いた関連する装置で
は、カンチレバーの撓みによるプローブ尖端の変位を約
1000倍にも拡大して検出することができる。その反
面、この鋭敏なカンチレバーを使用しているので、これ
を安定に動作させるには種々の難かしさがある。例え
ば、カンチレバーにはその撓みを検出するためにレーザ
光が照射されているが、レーザ光が照射には加熱効果が
あり、それだけでカンチレバーに反りが生じる。カンチ
レバーの先端に力が加わって生じる撓みと区別するた
め、これを自由状態での反りと呼ぶ。この反りの量は個
々のカンチレバでバラツキがある。また周囲温度などの
環境の変化により変動する。特に、真空中で試料表面を
観察するようにした走査プローブ顕微鏡では、真空排気
に伴う断熱膨張で温度が変化したり、また真空排気が進
むにしたがいカンチレバからの熱放散の度合いが変化
し、カンチレバの反りが大きく変化する。また、エージ
ングによっても反りの量が変化する。
【0006】カンチレバの自由状態での反りが変化した
ままで走査プローブ顕微鏡を駆動すると、探針と試料と
の間の力を制御するサーボ制御に誤差が生じる。誤差が
著しい場合は、探針に試料からの力が加わらない状態で
プローブの走査が成されたり、もしくは逆に予定以上の
力が加わって、試料もしくはプローブを破損することも
ある。
【0007】従って本発明の一つの目的は、プローブ先
端の探針と試料との間に働く力を常に精度良く制御で
き、もって再現性のある試料の観察結果が得られる走査
プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0008】本発明の別の目的は、真空中の試料の表面
を観察できる走査プローブ顕微鏡を提供するにある。
【0009】本発明の更に別の目的は、試料の観察のた
めの準備動作を容易に迅速に行える走査プローブ顕微鏡
を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、カンチ
レバの撓みを検出する変位検出器の出力信号のレベルに
補正を加える補正手段を設け、補正された変位検出信号
が所定の目標値に一致するよう試料とプローブとの相対
距離をサーボ制御する点にある。より詳しくは、上記補
正手段は探針と試料表面を十分に離してカンチレバを自
由状態としたときの上記変位検出器の出力信号のレベル
を保存する手段と、保存されたレベルに応じて上記変位
検出器の出力信号をレベルシフトする手段を有する。
【0011】本発明の別の特徴によれば、補正手段とし
てカンチレバを自由状態としたときの上記変位検出器の
出力信号のレベルを取り込み、このレベルを新たな基準
値としてサーボ制御の目標値を算出する手段を設ける。
【0012】本発明の更に別の特徴は、上記カンチレバ
の取付け位置もしくは上記変位検出器の取付け位置の少
なくとも一方を微小調整し、上記カンチレバを自由状態
としたときの上記変位検出器の出力信号のレベルを所定
の基準値に向けて調整可能する機構、つまり機械的補正
手段を設けたた点にある。変位検出器として、光てこ式
変位検出器を用いる装置の場合は、この機械的補正手段
としてカンチレバで反射したレーザ光の位置を検出する
光位置検出器の取付け位置を微小調整する手段を採用で
きる。一方カンチレバ取付け位置を微小調整する機械的
補正手段としては、圧電素子を介してカンチレバをベー
スに取付け、圧電素子への印加電圧によりカンチレバ取
付け位置を調整する手段が採用できる。
【0013】試料を新たにセットした際の観察準備の手
順は以下の通りとなる。まずプローブと試料の相対距離
(繰り出し距離)を設定する位置設定手段を起動して探針
を試料表面に接近させる。探針が試料表面を検知したと
ころで位置設定手段の動作を反転して繰り出し距離を所
定量減少させ、カンチレバを自由状態とする。この状態
で上述の補正手段により変位検出器の出力信号の補正を
行う。しかる後に、探針を再び試料表面に接近させ、探
針が再び試料表面を検知してから一定量だけ繰り出し距
離の増加を継続する。この状態で位置設定手段を固定
し、観察準備を完了する。
【0014】
【作用】カンチレバを自由状態としたときの上記変位検
出器の出力信号のレベルを保存し、これに応じて検出器
の出力信号を補正する手段を備える、もしくはこれに応
じてサーボ制御の目標値を算出する手段を備えるいずれ
の構成でも、カンチレバ自身の反りにより生じるサーボ
制御の誤差が精度良く、迅速に補正される。また、補正
動作は余り人手を掛けずに容易に行える。よって、探針
に加わる力を所望の値に保持して探針の動きによる試料
表面の観察ができ、再現性のある観察結果が得られる。
【0015】カンチレバもしくは位置検出器の取付け位
置を調整する機械的補正手段では、上述の電気的補正手
段に比べると補正精度、及び迅速性でやや劣るものの、
同様の結果が得られる。特に、カンチレバに大きな反り
が生じればこの機械的補正が必要となることがある。つ
まり、まず機械的補正により変位検出器の出力信号に含
まれる誤差を電気的補正手段の補正範囲内に納め、最終
的には電気的補正も加えて精密な補正を行なう。特に、
真空中で動作させる走査プローブ顕微鏡では、真空排気
前に機械的補正あるいは電気的補正を行ない、真空排気
後に電気的補正のみを行なうのが便利である。
【0016】探針が試料表面を検知するまで探針(また
は試料)を繰り出し、次に繰り出し距離を減少させてカ
ンチレバを自由状態とし、位置検出出力の補整を行った
後、再度探針(または試料)を繰り出し、探針が試料表
面を検知してからなお一定量だけ繰り出しを継続して停
止する試料観察の準備手順によれば、、カンチレバ自身
の変形によるサーボ制御の誤差が除去されるとともに、
サーボ制御のアクチュエータの適正な制御範囲内で力一
定制御を行なう準備がなされるので、再現性の良い試料
の観察結果が得られる。また、この観察準備をシーケン
ス制御により自動的に行なう構成とすることもできる。
【0017】
【実施例】図1は、本発明の実施例の原子間力顕微鏡の
構成を示した図である。本装置は基本的には真空中の試
料を観察するよう構成されている。
【0018】先端に探針17を備えたカンチレバ1がプ
ローブベース23に取付けれらプローブを形成する。ま
たプローブベース23には光てこ方式変位検出器30が
搭載される。観察対象である試料2はXYZスキャナ1
4に搭載され、観察対象面が探針17に近接するよう配
置される。プローブベース23は尺取虫機構31を介し
てテーブル29に支持されており、尺取虫機構31の駆
動によりプローブのZ軸方向のポジシニングができるよ
うになっている。Z軸は観察対象面と垂直である。な
お、XYZスキャナ14は粗動機構を介して上記テーブ
ルに支持されている。またテーブルは除振機構を介して
装置ベースに取り付けられる。この装置ベース、除振機
構、粗動機構などは図から省略されている。これらの機
構系は真空容器24の中に設置される。すなわち、試料
2をXYZスキャナ14に搭載した後、真空排気系27
を動作させ、真空中で試料2の表面を観測するようにな
っている。制御ユニット45からは、装置各部を制御す
る制御信号が発せられる。
【0019】光てこ方式微小力検出器30は、カンチレ
バ1の先の探針17に力が加わった時に生じるカンチレ
バの撓みを拡大して検出する。すなわち半導体レーザ素
子3から発せられたレーザビーム18は集光用レンズ2
0でカンチレバ1の背面に集光される。カンチレバ1の
背面からの反射ビーム19はミラー21aおよび21b
で反射して光位置検出器4に入射する。光位置検出器4
は2個の電流出力を有し、それら電流出力の比は光位置
検出器4に入射する光の位置に依存する。変位検出回路
5は上記2個の電流出力を受け、これを反射ビーム19
の基準位置からの偏向に比例した電圧をもつ変位検出信
号に変換する。この光てこ方式光学系の拡大率は約10
00倍であり、1Åの探針17の位置変化が光位置検出
器の受光面4上で約0.1μmとなり、Åオーダ以下の
探針の位置変化も検出できる。なお、光位置検出器4は
移動機構22を介して検出器ベース23に取り付けられ
ており、移動機構22により光位置検出器4そのものの
位置を調節できる。
【0020】XYZスキャナ14として、例えばトライ
ポッド型圧電素子スキャナが用いられる。つまりXYZ
スキャナ14はX軸圧電素子、Y軸圧電素子及びZ軸圧
電素子を含み、これらの圧電素子により駆動される可動
端に試料2が搭載される。X軸圧電素子及びY軸圧電素
子はXY走査回路13で制御され、もって探針17が試
料の観察対象領域を走査するように試料2の位置が2次
元走査される。一方、Z軸圧電素子はカンチレバ1の先
の探針17と試料表面との間に生じる斥力を一定に保つ
サーボ制御のために用いられる。すなわち、上記変位検
出回路5で得た変位検出信号は、信号補正回路25で電
圧値が補正されてサーボ回路9に導かれる。サーボ回路
9は、補正された変位信号のレベルが設定された目標値
になるようにZ制御信号を発生してZ軸圧電素子を駆動
する。これにより光位置検出器4で検出される反射ビー
ムの偏向量が一定に保たれるように、ひいてはカンチレ
バ1の撓みが一定に保たれるように試料2のZ軸方向の
位置が微細に制御され、もって探針17と試料表面との
間に生じる斥力を一定に保つソフトコンタクトドライブ
が実行される。ただし、このようなソフトコンタクトド
ライブを可能にするためには、サーボ回路9に入力する
変位検出信号が探針17と試料表面との間に生じる斥力
を正しく反映していること、およびZ軸圧電素子は、そ
の伸縮の制御範囲内で駆動されることの二つの条件を満
足しなければならない。この2条件を達成するために信
号補正回路25及び尺取虫機構31が使用される。以下
これらの部分の機能について詳述する。
【0021】光てこ方式変位検出器30に取り付けられ
るカンチレバ1の自由状態での反りは、個々にバラツキ
がある。また、カンチレバ1の取付けの際の誤差によっ
ても、カンチレバ1が自由状態であるときの変位検出回
路5の出力電圧にバラツキが生じる。さらに、真空容器
24の内部を真空排気すると、カンチレバ1の自由状態
での反りは例えば図2のように変化する。図2(a)で
は、大気中でのカンチレバ1の姿勢を実線で、真空排気
後の撓みの形を破線で示してある。これはレーザ光18
で照射されたカンチレバ1の熱放散が大気中と真空中と
で大きく変わり、カンチレバ1の温度が変化したためで
ある。その結果、反射されたレーザ光19はP1点から
2点にシフトする。図2(b)は、この時間変化を変
位検出回路5の出力電圧で表わしたものである。このよ
うに変位検出回路5の出力電圧は排気の始めには急激な
変化を示し、その後、元に戻ろうとするが、大気中とは
異なったレベルに収斂する。この変化の様子はカンチレ
バ1の種類によって異なる。いずれの場合でも、カンチ
レバが自由状態のときの変位検出信号のレベルに対応し
て変位検出回路5の出力電圧を補正する必要がある。本
実施例では信号補正回路25により、この補正を電気的
に行う。
【0022】信号補正回路25は変位検出回路5の出力
電圧を入力するサンプルホールド回路51と、変位検出
回路5の出力電圧をサンプルホールド回路の出力電圧だ
けレベルシフトして出力するレベルシフト回路52を含
んでいる。まず検出器ベ−ス23の位置が試料12から
遠ざかるように尺取虫機構31を動作させて探針17と
試料表面との間に斥力が加わらないようにする。つま
り、カンチレバ1を自由状態にする。この状態で信号補
正回路25のサンプルホールド回路をサンプル動作させ
る。これにより、信号補正回路25の出力はレベルシフ
トされ、探針17に実際かかる斥力がゼロのときサーボ
回路9の入力が基準値(本実施例ではゼロボルト)とな
るように補正される。以上のようにして信号補正回路2
5による補正(較正)が完了する。つぎに、尺取虫機構
31により検出器ベ−ス23を一定距離だけ前方に繰り
だす。サーボ回路9は、信号補正回路25からの補正さ
れた変位検出信号のレベルが設定された目標値となるよ
うZ制御信号を発生してXYZスキャナ14のZ軸圧電
素子を駆動するので、探針17と試料表面との間に生じ
る斥力を一定に保つソフトコンタクトドライブが正しく
実行される。この状態でXY走査回路13を駆動して、
試料2を二次元走査すると、試料2の表面の凹凸に倣う
ようにXYZスキャナ14のZ軸圧電素子が制御され、
この制御電圧から試料2の高さ方向の情報を得ることが
できる。さらに、これらのX、Y、Zの値を計算機シス
テム12に入力することにより、試料2の表面の三次元
像が得られる。尚、サンプルホールド回路には、ホール
ド出力を長時間一定に保持できないものが多い。ホール
ド期間中にホールド出力が変化すると、これに起因して
探針17に加わる力に誤差が生じるので、これを防ぐた
め信号補正回路25のサンプルホールド回路51の部分
をデジタル計算機システムで構成するのがより好まし
い。すなわち、カンチレバ1を自由状態にしたときの変
位検出回路5の出力電圧をAD変換してデジタル計算機
のメモリに取り込む。メモリに保存された値をメモリか
ら読みだしてDA変換し、レベルシフト回路52に与え
る。信号補正回路25の全体をデジタル計算機システム
で構成する、もしくはアナログ動作のサンプルホールド
回路のホールド出力をAD変換してデジタル計算機のメ
モリに取り込む構成とする等の変形も可能である。
【0023】次に、上述した補正の時期について述べ
る。本実施例では、試料をセットし、真空容器内を真空
排気するたびに上述した補正をおこなう。この場合の具
体的動作は後で更に詳しく述べる。一方、一旦真空容器
内を真空排気した後に、観察領域を変える、もしくは探
針17と試料表面との間の斥力の設定値などの条件を変
えて観察を複数回繰り返すのが一般的である。真空容器
内を真空排気した時にはカンチレバ1の環境が激変する
ので、その自由状態での反りが収斂するのにある時間を
要することを考慮すると、真空容器内を真空排気した際
には複数回上記の補正を実行し、補正の合間に試料の観
察を行うのが好ましい。真空排気した後に一定時間が経
過すれば、その後は補正動作を入れずに観察を繰り返し
てかまわない。
【0024】一方、真空排気を行わずに試料を観察する
場合がある。また、図1の構成から真空排気系27及び
真空容器24を除いた走査プローブ顕微鏡も存在する。
このような装置でも、観察する試料を交換したとき、も
しくは外気温度が変化したとき、カンチレバ自身の反り
が変化する可能性もある。したがって、新たな試料をセ
ットする毎に、観察に先立ち上記の補正を行うのも効果
がある。
【0025】また、装置各部の経年変化に対処するため
には、装置の動作時間、もしくは絶対時間を積算するタ
イマを設け、時間の積算値が一定値に達する毎に上記の
補正を行うのがよい。
【0026】カンチレバの変形に起因す変位検出信号の
誤差の補正方法として、電気的な方法だけではなく、機
械的な方法もある。これは図1の移動機構22を用いて
変位検出回路5の出力が基準レベルになるように光位置
検出器4の位置をY方向に移動する方法である。ただ
し、上述の信号補正回路25による電気的補正はこの機
械的補正より簡便であり、かつ自動的に行える利点を有
する。また、機械的に1μm以下の位置精度を出すこと
は極めて困難なため、移動機構22を用いた補正を行っ
ても、最終的には上述した電気的補正を更に加えること
が必要な場合が多い。真空排気したことによるカンチレ
バの環境変化に対応して力一定サーボ回路の入力信号を
補正するのに移動機構22を用いるには、真空容器24
の外部から移動機構22が操作可能でなければならな
い。これに対し、上記実施例のように信号補正回路25
を設けた装置構成では、移動機構22は、真空容器24
を取りはずして初めて操作可能になるものでも良い。但
し、真空排気に先立ち、移動機構22の操作による較正
を予め行い、真空排気後に信号補正回路25による電気
的補正を行うのが好ましい。いずれの装置構成でも、短
期間ごとの補正は変位信号補正回路25のみにより行
い、より長期間ごとの補正の際には移動機構22の操作
をも行うのが実際的である。
【0027】次に、試料2を交換した際に変位検出信号
のレベルを補正する具体的な手順を図3を参照して説明
する。図3にて、(a)はXYZスキャナ14のZ軸圧
電素子の伸び量の時間変化、(b)は尺取虫機構31に
よる検出器ベース23の繰り出し距離の時間変化、
(c)はサーボ回路9への入力信号の時間変化を示す。
較正動作は以下の〜の手順で行われるが、これは図
3中の時間区分〜に対応している。
【0028】 まず、尺取虫機構31によりプローブ
ベース23を連続的に前方に繰り出す。つまりプローブ
ベース23をZ方向に移動させる。当初、探針17は試
料2の表面から十分に離れているので、サーボ回路9へ
の入力信号は探針17と試料表面との間に加わる力がゼ
ロであることを示す基準値(図3の例ではゼロボルト)
に本来なるべきだが、カンチレバ1自身の変形により、
offになっている。探針17が試料2の表面に到達
すると、力一定サーボ制御により、サーボ回路9への入
力信号は図のように目標値Vfにほぼ等しくなる。
【0029】 尺取虫機構31を更に一定時間動作さ
せ、検出器ベース23をさらに前方に繰り出す。検出器
ベース23が前方に移動するに従い、XYZスキャナ1
4のZ軸圧電素子の伸び量は力一定サーボ制御により伸
びきった状態から徐々に小さくなる。
【0030】 次に、尺取虫機構31の駆動方向を反
転し、プローブベース23を後退させる。XYZスキャ
ナ14のZ軸圧電素子の伸び量は逆に増加し、伸びきっ
た状態に戻る。なお、尺取虫機構31の駆動方向の反転
は、例えばサーボ回路9の入力信号レベルのモニタによ
り自動的に行うことができる。つまり、サーボ回路9の
入力信号がVfの近傍に到達してからの経過時間を監視
するタイマを制御ユニット45に設け、経過時間が一定
値に達したら自動的に尺取虫機構31の駆動方向を反転
すれば良い。力一定サーボ制御が有効に機能し、探針1
7が試料2の表面に押圧されている期間(図3の,
)では電圧Vfを目標値としてフィードバック制御が
おこなわれるものの、探針17に実際に加わる力はV
offとVfとのレベル差Vf′に対応する力となる。
【0031】 Z軸圧電素子が伸びきった状態となっ
た後も尺取虫機構31による後退の動作を継続し、探針
17が試料2から離れた地点からdだけ、さらに遠ざけ
る。dは表面からの力の影響が無視できる距離で、具体
的には2μm以上である。
【0032】 この位置で探針17を固定し、力一定
サーボ回路9の入力信号を補正する。具体的には、入力
信号をVoffだけレベルシフトして基準値(図3ではゼ
ロボルト)になるように補正する。前述したように、信
号補正回路25のサンプルホールド回路をサンプル動作さ
せることにより補正を自動的に、かつ迅速に行うことが
できる。また移動機構22が操作可能ならこれの手動操作
で補正を行っても良い。
【0033】 補正の完了後、再び尺取虫機構31に
よる繰り出し動作を開始する。探針17が試料2の表面
に再び到達すると、サーボ回路9が有効に機能しはじ
め、サーボ回路9への入力信号は再び目標値Vfとな
る。探針17に加わる力は、設定された目標値Vfに相
当する力になる。
【0034】 探針17が試料2の表面に到達した後
も引き続き尺取虫機構31により繰り出し動作を継続
し、XYZスキャナ14のZ軸圧電素子の伸び量を減少
させる。
【0035】 Z軸圧電素子の伸び量が適正になった
ところで尺取虫機構31による繰り出し動作を停止して
検出器ベース23の位置を固定する。これにより、試料
2をXY平面内で2次元走査して試料表面を観察するた
めの準備動作が完了する。通常はZ軸圧電素子の伸び量
が伸び量の制御範囲の中央値付近になったとき繰り出し
動作を停止するのが最も好ましい。なお、上述の適正な
位置でのプローブベース23の固定は、力一定サーボ回
路9の出力であるZ制御信号と設定伸び量を示す参照信
号との比較により自動的に行うことができる。
【0036】以上により、カンチレバ自身の反りに起因
する力一定制御の誤差の補正と、プローブベースの適正
位置まで繰り出しとを含む試料観察の準備動作が迅速に
できる。とくに、制御ユニット45による自動的なシー
ケンス制御で図3に示した準備動作を実行すると、サー
ボ回路9の入力信号を補正した時点から試料の観察開始
までの時間を著しく短くできる。したがって、真空排気
時など変化の激しい環境においても、信頼性の高い試料
の3次元データを得ることができる。尚、光位置検出器
4はポシションセンサ−ダイオ−ドあるいは分割型ホト
ダイオ−ドが適当である。ポジションセンサ−ダイオ−
ドは2出力型のものと4出力型のもの、分割型では2分
割のものと4分割のものがあり、4出力型あるいは4分
割を使用した場合、原子間力及び摩擦力が検出できるの
で好都合である。
【0037】図4は、走査型電子顕微鏡(SEM)の試
料台に原子間力顕微鏡ユニット(AFMユニット)を組
込んだ別の実施例の主要部を示す。SEM用ベース37
の上に、SEM用XY移動機構32、その上に金属板3
4とゴムのように軟らかいダンパ材35を積層した除振
機構33、さらにその上にAFMユニットを固定したA
FM用ベース42、を順次、積み上げ、それらを真空フ
ランジ39に取り付けた構造になっている。AFMユニ
ットは探針を含む光てこ式変位検出器30、この検出器
30を試料2に向けて繰り出す、もしくは後退させるた
めの尺取虫機構31、試料2を支持、走査するXYZス
キャナ14、さらにこのスキャナ14をXYに動かしA
FMでの視野選択するためのXY移動機構38から構成
されている。ここでAFM用ベース42の底面はSEM
用ベース37と平行で、SEMの対物レンズ40を出た
電子ビーム41の軸と直交している。また、探針17と
試料2とは同時にSEMで観察できるようになってい
る。
【0038】この実施例で、原子間力顕微鏡(AFM)
を駆動する電子回路部分、及びデータ処理のための構成
は図1に示した実施例と全く同様であり、また真空排気
に伴うカンチレバ自身の撓みによる誤差の較正の動作も
全く同様である。このSEMとAFMの結合システムを
用いると、探針でAFM観察する領域の選定精度が光学
顕微鏡に比べて遥かに向上し、サブミクロンオーダでの
視野選択が可能になる。また、SEMにより探針17の
先端の評価を行うこともできる。さらにこのシステムで
は、SEM像とAFM像とを同時に観察することができ
る。
【0039】本実施例で原子間力顕微鏡と走査型電子顕
微鏡との複合を示したが、その他に、透過型電子顕微
鏡、2次イオン質量分析計、オージェ電子分析計、電子
線プローブマイクロアナライザなどの真空を利用した理
化学機器、あるいは分子線エピタキシー装置、電子線描
画装置、イオン打込み装置、電子線測長装置などの半導
体プロセス用装置との組合せもあり得る。
【0040】図5はさらに別の実施例を示す。この実施
例の原子間力顕微鏡が図1の実施例と異なるのは、変位
信号補正回路25が省略され、変位検出回路5からの検
出信号がサーボ回路9に直接入力される点である。ま
た、カンチレバ1自身の変形による力一定サーボ制御の
誤差を解消するために、カンチレバ1は圧電素子47を
介してプローブベース23に取り付けられている。さら
に圧電素子47を駆動する駆動回路48、および変位検
出回路5の出力信号レベルを表示する表示器49が付加
されている。その他は図1の実施例と全く同様であり、
図1と共通する部分には同一符号を付している。
【0041】図5の実施例における変位検出信号の補正
は以下のように実行される。前述の実施例と同様に、ま
ず尺取虫機構31による繰り出し距離を減少させ、カン
チレバ1を自由状態にする。次に駆動回路48の出力電
圧を調整し、カンチレバ1の姿勢を微小調整する。この
とき表示器49に表示される変位検出回路5の出力信号
レベルを参照しながら調整を行い、出力信号レベルが基
準値となったら駆動回路48の出力電圧を固定し、補正
を完了する。真空排気後の補正をこの方法で行う場合、
真空排気に先立って移動機構22による補正を予め実行
した方が良いのは本実施例でも同様である。
【0042】図6はさらに別の実施例を示す。これまで
示した種々の実施例では、カンチレバ1の変形に起因す
る力一定サーボ制御の誤差を解消するために、変位検出
信号のレベルが補正されるのに対し、図6の実施例では
力一定サーボ制御の目標値Vfが補正される。このため
に、サーボ回路9による力一定サーボ制御の目標値Vf
は計算機システム12で算出され、サーボ回路9に与え
られる。また変位検出回路5から出力する変位検出信号
を計算機システム12に取り込むための入力装置50が
付加されている。その他は図5の実施例と同様であり、
図5と共通する部分には同一符号が付してある。
【0043】これまでの実施例と同様に、まず尺取虫機
構31による繰り出し距離を減少させ、カンチレバ1を
自由状態にする。この状態で、入力装置50を起動し、
変位検出回路5の出力している変位検出信号を計算機シ
ステム12に取り込む。カンチレバ1が自由状態である
ので変位検出信号のレベルは基準値(例えばゼロボル
ト)であるべきだが、カンチレバ1が変形していれば取
り込まれる変位検出信号のレベルはVoff となる。計算
機システム12には力一定サーボ制御の基準値を格納す
るためのレジスタが設定されており、このレジスタの内
容を取り込まれたVoff の値に書き替える。つまり新た
な基準値が設定される。また計算機システム12には変
位検出信号に誤差が無いときの力一定サーボ制御の目標
値Vft が格納された別のレジスタがある。新たな基準
値への書替えの後、計算機システム12はVft とV
off との和を算出し、この和の値を新たな目標値Vfと
してサーボ回路9に出力する。
【0044】以上により変位検出信号のレベルを補正し
たのと等価な補正が行われるので、補正動作のあと尺取
虫機構31によりプローブを前方に繰り出すと、サーボ
回路9による力一定サーボ制御が正確に機能し、探針1
7に加わる力は目標値 Vftに正確に対応した値とな
る。なお、実施例では計算機システムによりサーボ回路
の目標値を補正する構成としたが、アナログ回路で同等
な補正を実現することもできる。つまり、図1の信号補
正回路25と同様なサンプルホールド回路、レベルシフ
ト回路により目標値を補正することもできる。
【0045】図5の実施例で説明した圧電素子47によ
る調整で変位検出回路5の出力信号レベルを完全に基準
値に一致させるには、極めて微妙な調整が必要である。
これに対し、図6の実施例で述べた補正は、自動的に正
確に行われる。ただし、Voff の値が本来の基準値(ゼ
ロボルト)から大きくずれている場合には、図5の実施
例で説明した圧電素子47による調整を予め行い、V
off を許容範囲内にしてから計算機システム12へのV
off の取り込みを開始しなければならない。
【0046】図7は更に別の実施例を示す。本実施例
は、カンチレバに作用する力を所定値(目標値)に制御す
るために光干渉方式の変位検出器103を用いた原子間
力顕微鏡である。探針109を備えたカンチレバ104
とXYZスキャナ100とを接続するプローブベース1
02の内部にはレーザ投光器105とハーフミラー11
2と反射ミラー111とホトダイオード106が設けら
れる。レーザ投光器105から照射されたレーザ光の一
部は、ハーフミラー112によりホトダイオード106
へ導かれる。ハーフミラー112を通過したレーザ光は
反射ミラー111で反射してハーフミラー112に再び
到達し、カンチレバ104に導かれる。カンチレバ10
4で反射したレーザ光はハーフミラー112を通過して
ホトダイオード106へ到達する。その際、最初にハー
フミラー112によりホトダイオード106へ導かれた
レーザ光(参照光)と、カンチレバ104で反射された
レーザ光とが干渉しあう。ホトダイオード106は変位
検出回路55により駆動されており、変位検出回路55
の出力信号はホトダイオード106の受光強度を反映し
ている。この出力信号は変位検出信号としてサーボ回路
9に与えられる。サーボ回路9はXYZスキャナ100
のZ軸圧電素子を駆動してカンチレバ104の撓みが一
定になるようにプローブベース102の位置をサーボ制
御する。図7では省略しているが試料とプローブとの相
対距離を微小調節するポジショナが設けられる。本実施
例では、探針109に加わる力を一定に制御し、さらに
また探針と試料の相対位置をXY平面内で二次元走査す
るためのXYZスキャナ100をプローブ側に配置し、
Z方向距離(繰り出し距離)を調節するポジショナを試
料側に配置している。これらは、プローブ側、試料側の
いずれに配置しても良いことは明らかである。
【0047】サーボ回路9の動作を停止し、試料2を探
針109に向かって徐々に繰り出した場合のホトダイオ
ード106の受光強度の変化を図8で説明する。試料2
と探針109が離れており、カンチレバ104が自由状
態である範囲では受光強度は一定の値である。繰り出し
距離が増加し、探針109に加わる斥力によりカンチレ
バ104が撓むと、カンチレバ104で反射したレーザ
光と参照光との位相差が変化し、受光強度が変化する。
その変化は、繰り出し距離の増加に対し、より正確には
カンチレバのレーザ照射面の変位に対し正弦波を描き、
その正弦波の周期はレーザ光の波長の2分の1と等しく
なる。そこで、図8に実線で示すように、カンチレバ1
04が自由状態であるときの受光強度が最大強度と最小
強度の中間値になるようにし、試料の繰り出しにより一
旦受光強度が変化してから再びこの中間値近傍になった
とき試料を固定し、中間値を目標値としてサーボ回路9
とZ軸圧電素子によるサーボ制御を行えば、カンチレバ
104の撓みをレーザ光の4分の1波長に対応するDb
に制御することができる。このように探針109に加わ
る斥力を一定に制御できるが、温度変化などでカンチレ
バ自身が変形し、自由状態でのホトダイオード106の
受光強度が図8の破線のように変化すると、上記中間値
を目標値とするサーボ制御の結果、探針109に加わる
斥力は、図中にDaと示した撓みに対応した値となる。
【0048】そこで、図7の実施例では、カンチレバ1
04は圧電素子113を介してブロック102に取り付
けられている。駆動回路48の出力により圧電素子11
3を制御してカンチレバ1の位置を調整できる。また、
変位検出回路55の出力する変位検出信号のレベルを表
示する表示器49を備える。試料2の観察に先だち、試
料2を後退させてカンチレバ104を自由状態にする。
次に駆動回路48の出力電圧を調整し、カンチレバ1の
位置を微小調整する。このとき表示器49に表示される
変位検出回路55の出力信号レベルを参照しながら調整
を行い、出力信号レベルが所定値(本実施例の場合、最
大値と最小値の中間値で、サーボ回路9に設定する目標
値と等しい)となったら駆動回路48の出力電圧を固定
する。このような補正を行った後、ポジショナにより試
料を所定距離だけ繰り出し、サーボ回路9によるサーボ
制御を開始すると、探針109に加わる斥力をDbに正
しく制御できる。
【0049】以上表面顕微鏡、特に原子間力顕微鏡に本
発明を適用した種々の実施例を示した。本発明にかかる
技術はカンチレバの撓みを利用して探針と試料との間に
生じる微小力を検知することにより観察画像を得る走査
プローブ顕微鏡に広く適用できる事は明らかであろう。
即ち、試料表面と探針尖端の間に働く原子間斥力ではな
く原子間吸着力(引力)を検知してこれを制御する構成で
も良い。さらに試料表面からの漏れ磁界による磁気力を
検知する、試料と探針の間の静電力を検知するなど、種
々の構成をもつ走査プローブ顕微鏡に本発明の技術を適
用できる。また、情報を読みだす動作は走査プローブ型
顕微鏡そのものであり、更に媒体表面に情報書き込みを
行う手段を設けた装置に本発明に係る技術を適用するこ
とも可能である。この場合、情報書き込みには、探針に
よる試料表面の電界蒸発作用、熱化学作用、熱による相
変化作用、熱機械作用、機械加工、電荷注入、垂直磁気
反転などの作用により実現できる。これにより、超高密
度のファイルシステムが実現でき、本発明をこれらのシ
ステムに適用することにより、高精度な情報処理が実現
できる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る走査
プローブ顕微鏡では、探針を先端に有するカンチレバの
反りのバラツキを補正することができ、探針と試料表面
との間で極めて正確な力一定サーボが実現できる。これ
により高精度な観察や情報処理が可能となる。さらに、
真空排気する際に生じるカンチレバの反りの変化も補正
でき、電子顕微鏡をはじめとする種々の超高真空排気シ
ステムと走査プローブ顕微鏡の複合化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例である原子間力顕微鏡のブロッ
ク図である。
【図2】実施例の真空排気時に生じるカンチレバの反り
の様子を及びその時間経過を示す概念図及び特性図であ
る。
【図3】実施例の自動補正動作を説明するタイムチャー
トである。
【図4】原子間力顕微鏡を走査型電子顕微鏡の試料台に
組込んだ別の実施例の主要部を示す部分断面図である。
【図5】更に別の実施例のブロック図である。
【図6】更に別の実施例のブロック図である。
【図7】更に別の実施例のブロック図である。
【図8】図7の実施例の制御特性を示す概念図である。
【符号の説明】
1、104…カンチレバ、2…試料、4…光位置検出
器、5…変位検出回路、9…サーボ回路、12…計算機
システム、13…XY走査回路、14、100…XYZ
スキャナ、17、109…探針、23…プローブベー
ス、24…真空容器、25…信号補正回路、27…真空
排気系、30…光てこ式変位検出器、47、113…圧
電素子、48…駆動回路、49…表示器、50…入力装
置、51…サンプルホールド回路、52…レベルシフト
回路、55…変位検出回路、105…レーザ投光器、1
06…ホトダイオード。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小柳 肇 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 本多 幸雄 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 長澤 潔 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社技術研究所内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一端に探針を備えるカンチレバと、該カン
    チレバを保持するプローブベースとを有するプローブ、 上記プローブベースと上記探針に近接して配置される試
    料との少なくとも一方を駆動して上記プローブと上記試
    料との相対位置を移動する走査手段、 上記カンチレバの撓みを検出する変位検出手段、 上記カンチレバが自由状態であるときの上記カンチレバ
    の変位の検出値に応じて上記変位検出手段の検出出力を
    補正する補正手段、及び補正された上記変位検出手段の
    検出出力を入力して上記プローブと上記試料との相対距
    離を制御し、もって上記試料と上記探針の間に働く力を
    制御するサーボ制御手段、 を含むことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  2. 【請求項2】上記補正手段は、上記カンチレバが自由状
    態であるときの上記変位検出手段の検出出力をサンプリ
    ングしてその値をホールドするサンプルホールド手段、
    該サンプルホールド手段のホールド出力に応じて上記変
    位検出手段の検出出力をレベルシフトするレベルシフト
    回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の走査プロ
    ーブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】上記補正手段は、上記カンチレバが自由状
    態であるときの上記変位検出手段の検出出力をサンプリ
    ングしてその値をホールドするサンプルホールド手段、
    該サンプルホールド手段のホールド出力を記憶する記憶
    手段、該記憶手段から読みだす上記ホールド出力に応じ
    て上記変位検出手段の検出出力をレベルシフトするレベ
    ルシフト回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の
    走査プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】上記カンチレバは圧電素子を介して上記プ
    ローブベースに保持され、上記補正手段は、上記圧電素
    子を用いて上記プローブベースに対するカンチレバの位
    置もしくは姿勢を調整する手段を含むことを特徴とする
    請求項1に記載の走査プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】上記変位検出手段は、上記カンチレバにレ
    ーザ光を照射するレーザ投光器と、上記カンチレバから
    の反射レーザ光の偏向を検出する光位置検出器とを含
    み、上記補正手段は上記光位置検出器の位置調整を行う
    移動手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の走査
    プローブ顕微鏡。
  6. 【請求項6】上記変位検出手段は、上記カンチレバにレ
    ーザ光を照射するレーザ投光機と、上記カンチレバから
    の反射レーザ光と所定に参照用レーザ光との干渉光を検
    出する光検出器を含むこと特徴とする請求項1に記載の
    走査プローブ顕微鏡。
  7. 【請求項7】一端に探針を備えるカンチレバと、該カン
    チレバを保持するプローブベースとを有するプローブ、 上記プローブベースと上記探針に近接して配置される試
    料との少なくとも一方を駆動して上記プローブと上記試
    料との相対位置を移動する走査手段、 上記カンチレバの撓みを検出する変位検出手段、 上記変位検出手段の検出出力を入力し、該検出出力のレ
    ベルが設定された目標値に一致するよう上記プローブと
    上記試料との相対距離を制御し、もって上記試料と上記
    探針の間に働く力を制御するサーボ制御手段、及び上記
    カンチレバが自由状態であるときの上記変位検出手段の
    検出出力のレベルに応じて上記サーボ制御手段の目標値
    を補正する補正手段、 を含むことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  8. 【請求項8】上記補正手段は、上記カンチレバが自由状
    態であるときの上記変位検出手段の検出出力を取り込
    み、取り込まれた検出出力のレベルを基準値として上記
    目標値を算出する計算機システムからなることを特徴と
    する請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡。
  9. 【請求項9】一端に探針を備えるカンチレバと、該カン
    チレバを保持するプローブベースとを有するプローブ、 上記プローブベースと、上記探針に近接して配置される
    試料との少なくとも一方を駆動して上記プローブと上記
    試料との相対位置を上記試料の観察対象表面を含む平面
    内で移動する走査手段、 上記プローブベースと上記試料との、上記試料の観察対
    象表面を含む平面と垂直方向の相対距離を調節する位置
    設定手段、 上記カンチレバの撓みを検出する変位検出手段、 上記上記変位検出手段の検出出力を補正する補正手段、 補正された上記変位検出手段の検出出力を入力して上記
    プローブと上記試料との相対距離を制御し、もって上記
    試料と上記探針の間に働く力を制御するサーボ制御手
    段、及び、 上記位置設定手段を駆動して上記カンチレバを自由状態
    とし、上記補正手段を起動する補正シーケンス制御手
    段、 を含むことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  10. 【請求項10】上記補正シーケンス制御手段は、上記探
    針が上記試料に接触するまで上記設定手段による繰り出
    し距離を増加させ、次に繰り出し距離を所定量減少させ
    ることにより上記カンチレバを自由状態とし、次に上記
    補正手段を起動し、次に上記繰り出し距離を再び増加さ
    せることを特徴とする請求項9に記載の走査プローブ顕
    微鏡。
  11. 【請求項11】上記補正シーケンス制御手段は、上記試
    料が交換されるごとに上記補正手段を起動することを特
    徴とする請求項9に記載の走査プローブ顕微鏡。
  12. 【請求項12】上記補正シーケンス制御手段は、所定時
    間が経過するごとに上記補正手段を起動することを特徴
    とする請求項9に記載の走査プローブ顕微鏡。
  13. 【請求項13】上記補正シーケンス制御手段は、上記カ
    ンチレバの周囲を真空排気した後に上記補正手段を起動
    することを特徴とする請求項9に記載の走査プローブ顕
    微鏡。
  14. 【請求項14】上記補正シーケンス制御手段は、上記カ
    ンチレバの周囲を真空排気した後に上記補正手段を複数
    回起動することを特徴とする請求項9に記載の走査プロ
    ーブ顕微鏡。
  15. 【請求項15】請求項1、請求項7もしくは請求項9の
    いずれかに記載の走査プローブ顕微鏡において、上記探
    針と上記試料の間には、原子間斥力、原子間引力、吸着
    力、摩擦力、磁気力もしくは静電力のいずれかが作用す
    ることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  16. 【請求項16】請求項1、請求項7もしくは請求項9の
    いずれかに記載の走査プローブ顕微鏡において、さらに
    上記試料の表面に電子ビームを照射し、該電子ビームと
    上記試料との相対走査により上記試料の電子顕微鏡像を
    得る手段を含むことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  17. 【請求項17】請求項16に記載の走査プローブ顕微鏡
    に電子顕微鏡像を得る手段を兼ね備える装置において、
    走査プローブ顕微鏡の探針と試料とを同時に観察できる
    構造としたことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  18. 【請求項18】一端に探針を備えるカンチレバを含むプ
    ローブと、上記プローブと上記探針に近接して配置され
    る試料との少なくとも一方を駆動して上記プローブと上
    記試料との相対位置を移動する走査手段と、上記カンチ
    レバの撓みを検出する変位検出手段と、上記プローブと
    上記試料の少なくとも一方を繰り出して両者の相対距離
    を設定するポジショニング手段と、上記変位検出手段の
    検出出力を入力して上記プローブと上記試料との相対距
    離を制御し、もって上記試料と上記探針の間に働く力を
    制御するサーボ制御手段とを含む走査プローブ顕微鏡の
    動作補正方法において、上記探針が上記試料に接するま
    で上記ポジショニング手段による繰り出し距離を増加
    し、次に上記探針と上記試料の間に働く力が実質的に無
    くなるまで上記ポジショニング手段による繰り出し距離
    を減少し、次に上記変位検出手段の検出出力が基準値と
    なるよう上記変位検出手段の検出出力をレベルシフト
    し、次に上記ポジショニング手段による繰り出し距離を
    再び増加し、上記探針が上記試料に接してからなお所定
    距離だけ上記繰り出し距離を増加してから上記ポジショ
    ニング手段による繰り出しを停止することを特徴とする
    走査プローブ顕微鏡の制御誤差の補正方法。
  19. 【請求項19】一端に探針を備えるカンチレバを含むプ
    ローブと、上記プローブと上記探針に近接して配置され
    る試料との少なくとも一方を駆動して上記プローブと上
    記試料との相対位置を移動する走査手段と、上記カンチ
    レバの撓みを検出する変位検出手段と、上記変位検出手
    段の検出出力を入力して上記プローブと上記試料との相
    対距離を制御し、もって上記試料と上記探針の間に働く
    力を制御するサーボ制御手段と、上記カンチレバ及び上
    記試料を含む環境を真空排気する真空排気手段を含む走
    査プローブ顕微鏡の動作補正方法において、上記真空排
    気手段による真空排気に先立ち上記カンチレバを自由状
    態とし、上記変位検出手段の検出出力が基準値となるよ
    うに上記変位検出手段の取付け位置及び上記カンチレバ
    の取付け位置の少なくとも一方を補正すること、上記真
    空排気手段による真空排気後に上記カンチレバを自由状
    態とし、上記変位検出手段の検出出力が基準値となるよ
    う上記変位検出手段の検出出力をレベルシフトすること
    を特徴とする走査プローブ顕微鏡の制御誤差の補正方
    法。
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