JPH0628130B2 - 炭化ニオブフィールドエミッターの作製方法 - Google Patents
炭化ニオブフィールドエミッターの作製方法Info
- Publication number
- JPH0628130B2 JPH0628130B2 JP16806690A JP16806690A JPH0628130B2 JP H0628130 B2 JPH0628130 B2 JP H0628130B2 JP 16806690 A JP16806690 A JP 16806690A JP 16806690 A JP16806690 A JP 16806690A JP H0628130 B2 JPH0628130 B2 JP H0628130B2
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- JP
- Japan
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- emitter
- niobium carbide
- field emitter
- torr
- current
- Prior art date
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は高安定電流特性を示す炭化ニオブフィールドエ
ミッターの作製方法に関する。このフィールドエミッタ
ーは、高輝度、可干渉性点光源として使用可能であり、
例えば、低加速走査電子顕微鏡、分析電子顕微鏡等の電
子源として重要である。
ミッターの作製方法に関する。このフィールドエミッタ
ーは、高輝度、可干渉性点光源として使用可能であり、
例えば、低加速走査電子顕微鏡、分析電子顕微鏡等の電
子源として重要である。
(従来の技術及び解決しようとする課題) 従来、フィールドエミッターとして、タングステン(W)
金属単結晶が実用化されているが、このWフィールドエ
ミッターは時間と共に大幅に電流が減衰すると共に1/
fノイズも大きいので広い応用を阻害している。
金属単結晶が実用化されているが、このWフィールドエ
ミッターは時間と共に大幅に電流が減衰すると共に1/
fノイズも大きいので広い応用を阻害している。
そこで、本発明者らは、この問題点を解消すべく研究を
重ねた結果、電子放射特性のよい炭窒化ニオブフィール
ドエミッターを開発した(特願昭62−113334
号、特願昭63−035794号)。
重ねた結果、電子放射特性のよい炭窒化ニオブフィール
ドエミッターを開発した(特願昭62−113334
号、特願昭63−035794号)。
しかし、このフィールドエミッターの高輝度性を利用す
るためには、1×10-10Torrの圧力のもとで約20μ
A以上の電流を安定に放射することが難しいという問題
があった。
るためには、1×10-10Torrの圧力のもとで約20μ
A以上の電流を安定に放射することが難しいという問題
があった。
本発明は、上記炭窒化ニオブフィールドエミッターの問
題点を解消すべくなされたものであって、1×10-10
Torrにおいて、約20μA以上の電流を安定に放射し
得る新規なフィールドエミッターの作製方法を提供する
ことを目的とするものである。
題点を解消すべくなされたものであって、1×10-10
Torrにおいて、約20μA以上の電流を安定に放射し
得る新規なフィールドエミッターの作製方法を提供する
ことを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、前記目的を達成すべく、更に研究を続け
た結果、炭窒化ニオブに代えて、炭化ニオブ単結晶エミ
ッターを用いるに際し、これに特定の処理を施すことに
より、エミッションパターンが変化し、1×10-10To
rrにおいて約50μAの電流を安定に放射することを見
い出し、この知見に基づき本発明を完成したものであ
る。
た結果、炭窒化ニオブに代えて、炭化ニオブ単結晶エミ
ッターを用いるに際し、これに特定の処理を施すことに
より、エミッションパターンが変化し、1×10-10To
rrにおいて約50μAの電流を安定に放射することを見
い出し、この知見に基づき本発明を完成したものであ
る。
すなわち、本発明は、炭化ニオブ単結晶エミッターを、
1400〜1800℃のもとで、エチレンその他の炭化
水素系ガスに5000L以上露出し、その表面にグラフ
ァイト膜を形成させた後、超高真空下で108V/cm以
上の強電界を印加することを特徴とする高安定電子放射
特性を示す炭化ニオブフィールドエミッターの作製方法
を要旨とするものである。
1400〜1800℃のもとで、エチレンその他の炭化
水素系ガスに5000L以上露出し、その表面にグラフ
ァイト膜を形成させた後、超高真空下で108V/cm以
上の強電界を印加することを特徴とする高安定電子放射
特性を示す炭化ニオブフィールドエミッターの作製方法
を要旨とするものである。
以下に本発明を更に詳細する。
(作用) 本発明において使用する炭化ニオブ単結晶エミッター
(以下、「NbCエミッター」と記載する)は、例えば
0.2mm×0.2mm×3mmの直方体単結晶の先端を電解
研磨法により約0.1μmの先端径とし、これを超高真
空中で1500〜1900℃でフラッシュ加熱すること
で得られる。この加熱により清浄表面にすると共にチッ
プ先端を(100)、(111)面で覆われた多面体形状に
できる。例えば、エミッター軸を<110>方位とする
エミッターの場合は、そのチップ形状は第1図に示すよ
うな多面体形状になる。このエミッターからのエミッシ
ョンパターンは第2図に示すとおりである。傾斜部分は
電子ビームのあたった部分を示している。
(以下、「NbCエミッター」と記載する)は、例えば
0.2mm×0.2mm×3mmの直方体単結晶の先端を電解
研磨法により約0.1μmの先端径とし、これを超高真
空中で1500〜1900℃でフラッシュ加熱すること
で得られる。この加熱により清浄表面にすると共にチッ
プ先端を(100)、(111)面で覆われた多面体形状に
できる。例えば、エミッター軸を<110>方位とする
エミッターの場合は、そのチップ形状は第1図に示すよ
うな多面体形状になる。このエミッターからのエミッシ
ョンパターンは第2図に示すとおりである。傾斜部分は
電子ビームのあたった部分を示している。
得られたNbC<110>エミッターのチップを、ま
ず、エチレン又はその他の炭化水素ガス(圧力1×10
-6Torr)中で、1400〜1800℃の範囲の温度で5
000秒以上、すなわち、5000L以上加熱(露出)す
る。ここで、1L=1×10-6Torr・秒である。これ
により、表面にグラファイト膜が形成される。
ず、エチレン又はその他の炭化水素ガス(圧力1×10
-6Torr)中で、1400〜1800℃の範囲の温度で5
000秒以上、すなわち、5000L以上加熱(露出)す
る。ここで、1L=1×10-6Torr・秒である。これ
により、表面にグラファイト膜が形成される。
次に超高真空(例、1×10-10Torr)に排気し、108
V/cm以上の強電界を印加する。この操作により、エミ
ッションパターンは第2図から第3図のように変化する
と共に放射電流の安定化が起こる。
V/cm以上の強電界を印加する。この操作により、エミ
ッションパターンは第2図から第3図のように変化する
と共に放射電流の安定化が起こる。
これらの条件を限定した理由は以下のとおりである。
まず、前記のガス中での加熱温度は、1400〜180
0℃の範囲であることが必要である。加熱温度が140
0℃未満ではチップ先端の(111)面にのみグラファイ
トが生成し、放射電流の安定性に欠ける。一方、加熱温
度が1800℃以上ではグラファイトが昇華し、チップ
先端の表面にはグラファイトが生成せず、放射電流の安
定化が起こらない。加熱温度が1400〜1800℃の
範囲の場合において、チップ先端の(111)、(100)
面上にグラファイトが生成し、放射電流が極めて安定に
なる。この範囲の温度であると、短時間ノイズが±0.
2%以下、ドリフトは±0.1%/hr以下と電流安定性
が極めてよく、因みに1×10-10Torrのもとでは50
μAの放射電流が第4図に示すように安定に得られ、フ
ィールドエミッターの高輝度性を有効に利用することが
可能となる。
0℃の範囲であることが必要である。加熱温度が140
0℃未満ではチップ先端の(111)面にのみグラファイ
トが生成し、放射電流の安定性に欠ける。一方、加熱温
度が1800℃以上ではグラファイトが昇華し、チップ
先端の表面にはグラファイトが生成せず、放射電流の安
定化が起こらない。加熱温度が1400〜1800℃の
範囲の場合において、チップ先端の(111)、(100)
面上にグラファイトが生成し、放射電流が極めて安定に
なる。この範囲の温度であると、短時間ノイズが±0.
2%以下、ドリフトは±0.1%/hr以下と電流安定性
が極めてよく、因みに1×10-10Torrのもとでは50
μAの放射電流が第4図に示すように安定に得られ、フ
ィールドエミッターの高輝度性を有効に利用することが
可能となる。
エチレン又はその他の炭化水素ガス(圧力1×10-6To
rr)中で加熱時間は5000秒以上であることが必要で
ある。これは、5000秒以下ではチップ先端の(11
1)面にのみグラファイトが生成し、加熱温度が140
0℃未満の場合と同様に、放射電流の安定性はよくない
ためである。
rr)中で加熱時間は5000秒以上であることが必要で
ある。これは、5000秒以下ではチップ先端の(11
1)面にのみグラファイトが生成し、加熱温度が140
0℃未満の場合と同様に、放射電流の安定性はよくない
ためである。
炭化水素ガスとしては、エチレンの他、メタン等の炭化
水素が挙げられる。
水素が挙げられる。
次に本発明の実施例を示す。
(実施例) 先端径0.1μmのNbC<110>エミッターを超高真
空下(1×10-10Torr)の下で、1800℃でフラッシ
ュ加熱して清浄表面とした。
空下(1×10-10Torr)の下で、1800℃でフラッシ
ュ加熱して清浄表面とした。
次いで、この系にエチレンガスを導入し、1×10-6T
orrの圧力下においてチップを1500℃で2×104秒
加熱して、チップ表面にグラファイトを生成させた。こ
の後、超高真空に排気してエミッターに108V/cm以
上の電界を印加してエミッションパターンを第2図から
第3図に変化させた。
orrの圧力下においてチップを1500℃で2×104秒
加熱して、チップ表面にグラファイトを生成させた。こ
の後、超高真空に排気してエミッターに108V/cm以
上の電界を印加してエミッションパターンを第2図から
第3図に変化させた。
得られたフィールドエミッターの電流特性は、1×10
-10Torrの真空度、50μAの放射電流のもとで、第4
図に示すように、短時間ノイズが±0.2%以下、ドリ
フトは±0.1%/hr以下と極めて安定であった。ま
た、より小さい放射電流では、より長時間安定に放射で
きた。
-10Torrの真空度、50μAの放射電流のもとで、第4
図に示すように、短時間ノイズが±0.2%以下、ドリ
フトは±0.1%/hr以下と極めて安定であった。ま
た、より小さい放射電流では、より長時間安定に放射で
きた。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の方法によれば、1×10
-10Torrの真空度、50μAの放射電流でも短時間ノイ
ズは±0.2%以下、ドリフトは±0.1%/hr以下と
極めて安定であり、しかもこれを再現性よく得られる炭
化ニオブフィールドエミッターを提供できる。
-10Torrの真空度、50μAの放射電流でも短時間ノイ
ズは±0.2%以下、ドリフトは±0.1%/hr以下と
極めて安定であり、しかもこれを再現性よく得られる炭
化ニオブフィールドエミッターを提供できる。
第1図はNbC<110>フィールドエミッターを18
00℃でフラッシュ加熱後のチップ先端形状を示す図、 第2図は1800℃でフラッシュ加熱後のエミッターか
らのエミッションパターンを示す図、 第3図は本発明の方法で得られるフィールドエミッター
のエミッションパターンを示す図、 第4図は本発明の実施例で得られたフィールドエミッタ
ーの全放射電流経時変化(真空度は1×10-10Torr)を
示す図である。
00℃でフラッシュ加熱後のチップ先端形状を示す図、 第2図は1800℃でフラッシュ加熱後のエミッターか
らのエミッションパターンを示す図、 第3図は本発明の方法で得られるフィールドエミッター
のエミッションパターンを示す図、 第4図は本発明の実施例で得られたフィールドエミッタ
ーの全放射電流経時変化(真空度は1×10-10Torr)を
示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】炭化ニオブ単結晶エミッターを、1400
〜1800℃のもとで、エチレンその他の炭化水素系ガ
スに5000L(1L=1×10-6Torr・秒)以上露出
し、その表面にグラファイト膜を形成させた後、超高真
空下で108V/cm以上の強電界を印加することを特徴
とする高安定電子放射特性を示す炭化ニオブフィールド
エミッターの作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16806690A JPH0628130B2 (ja) | 1990-06-26 | 1990-06-26 | 炭化ニオブフィールドエミッターの作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16806690A JPH0628130B2 (ja) | 1990-06-26 | 1990-06-26 | 炭化ニオブフィールドエミッターの作製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0461724A JPH0461724A (ja) | 1992-02-27 |
JPH0628130B2 true JPH0628130B2 (ja) | 1994-04-13 |
Family
ID=15861203
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16806690A Expired - Lifetime JPH0628130B2 (ja) | 1990-06-26 | 1990-06-26 | 炭化ニオブフィールドエミッターの作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0628130B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5114168B2 (ja) * | 2007-11-20 | 2013-01-09 | 株式会社日立ハイテクノロジーズ | 電界放出型電子源およびそれを用いた電子線応用装置 |
-
1990
- 1990-06-26 JP JP16806690A patent/JPH0628130B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0461724A (ja) | 1992-02-27 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |