JPH06281096A

JPH06281096A - メンブレンの面外変形防止装置

Info

Publication number: JPH06281096A
Application number: JP5068469A
Authority: JP
Inventors: Yoshiro Mizoguchi; 良郎溝口; Hidenori Suzuki; 英憲鈴木; Masayo Ikeda; 昌代池田; Yoshihiro Nose; 吉弘能勢; Mitsuo Nomura; 光男野村
Original assignee: IHI Corp
Current assignee: IHI Corp
Priority date: 1993-03-26
Filing date: 1993-03-26
Publication date: 1994-10-07

Abstract

(57)【要約】【目的】タンク内側への変形をなくするメンブレンの
面外変形防止装置を提供する。【構成】低温タンク１の躯体２内側に沿わせて矩形の
薄板５を並べ、各薄板５の中央部を点アンカ６で躯体に
固定すると共に各薄板５の周辺部５ａ同士をコルゲーシ
ョン７を介して接合したメンブレン４において、薄板５
の内側にＨ型鋼１５等の骨格部材からなる防撓材１４を
薄板の隅部５ｂ間に掛け渡すように設けると共に、上記
防撓材１４を上記点アンカ６を介して躯体２に支持させ
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、低温タンクの躯体に対
する収縮移動を許容させて設けられたメンブレンに係
り、特に、タンク内側への変形をなくするメンブレンの
面外変形防止装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ＬＮＧ等の低温液を貯留する地下式低温
タンクは、低温液を貯留するための十分な強度で作られ
たコンクリート製の躯体を有し、低温をよく保つために
躯体内側が保冷材で覆われる。また、低温液に直接触れ
るタンク最内側は低温に対して強くかつシール性の高い
ステンレス等のメンブレンが張設される。従って、低温
タンクの側壁の断面構造は、外側が躯体、内側がメンブ
レンとなり、その間に保冷材層が形成されている。

【０００３】低温タンクは非常に大きな構造物であり、
内側の表面が大面積であるので、これを隙間なくメンブ
レンで覆うには、所定の大きさの矩形の薄板を並べ、こ
れらの薄板を互いに溶接して継ぎ合わせる。このとき、
低温液投入時の熱収縮を考慮したメンブレン構造が採用
される。即ち、各薄板の中央部が点アンカで躯体に固定
され、各薄板の周辺部同士がコルゲーションと呼ばれる
ひだを介して接合される。こうすることにより、低温液
投入時に各薄板が点アンカを中心に収縮し、その周辺部
ではコルゲーションが拡がるので、メンブレンは躯体に
対する収縮移動が許容されていることになる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、メンブレン
は薄板毎に点アンカで支えられているが、点アンカを除
く大部分が躯体から自由である。けれども、躯体との間
に保冷材層が介在しているため、低温液の圧力が加わっ
ても保冷材層を介して躯体に支えられるので、その圧力
によって外側に変形することはない。従って、メンブレ
ンは薄板で構成し、シール性（液密性、気密性）のみを
持たせればよい。

【０００５】反面、メンブレンをタンク内側から支える
ものはない。即ち、メンブレンをタンク内側に移動させ
る力に対しては、あまり強いとはいえない。けれども通
常の状態であれば、メンブレンは躯体に囲まれているか
ら、メンブレンを躯体側からタンク内側に押すような力
は存在せず、メンブレンをタンク内側から支える必要は
ない。

【０００６】しかし、何等かの原因により、こうしたメ
ンブレンを躯体側からタンク内側に押す力が加わった場
合を考慮すると、メンブレン自体が非常に薄くて変形し
やすく、しかもこれをタンク内側から支えるものがない
構造では、メンブレンがタンク内側に押し込まれてメン
ブレンに面外変形が発生する。面外変形によりメンブレ
ンが破損にまで至ると、シール性が失われてしまうので
問題である。

【０００７】例えば、低温タンクのメンブレンのシール
性を検査するためにアンモニアリークテストが行われ
る。アンモニアリークテストは、アンモニア気体を保冷
材層内に、ある微圧で注入し、このアンモニア気体がタ
ンク内側に漏洩するかどうかを観測して、メンブレンの
シール性の検査を行うものである。検査を確実に行うに
は注入するアンモニア気体の圧力は高い方がよい。しか
し、上記のようにメンブレンにはタンク内側からの支え
がないので、保冷材層内に高い圧力を加えるとメンブレ
ンがタンク内側に押されて、面外変形が発生する。この
ため従来は、微圧によるアンモニアリークテストが行わ
れている。

【０００８】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、タンク内側への変形をなくするメンブレンの面外変
形防止装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、低温タンクの躯体内側に沿わせて矩形の薄
板を並べ、各薄板の中央部を点アンカで躯体に固定する
と共に各薄板の周辺部同士をコルゲーションを介して接
合したメンブレンにおいて、薄板の内側にＨ型鋼等の骨
格部材からなる防撓材を薄板の隅部間に掛け渡すように
設けると共に、上記防撓材を上記点アンカを介して躯体
に支持させたものである。

【００１０】

【作用】上記構成により、防撓材はＨ型鋼等の骨格部材
から構成されると共に点アンカを介して躯体に支持され
ている。防撓材は、剛性が高いので容易にはタンク内側
へ移動したり変形したりすることがない。

【００１１】アンモニア気体を保冷材層内に注入した場
合、メンブレンはタンク内側へ押されるが、上記防撓材
が薄板の内側に設けられているので、防撓材に規制され
て変形することがない。点アンカから最も遠い薄板の隅
部は最も変形しやすい部分であるから、防撓材がこの隅
部間に掛け渡されていることは、変形の防止に好適に作
用する。勿論、防撓材が薄板の周辺部や中央部近辺に拡
がっていても構わない。

【００１２】

【実施例】以下本発明の一実施例を添付図面に基づいて
詳述する。

【００１３】図３に示される低温タンク１は、有底筒体
状に形成されたコンクリート製躯体２を有し、その躯体
２の内側に沿わせて所定の厚さの保冷材層３が設けられ
ている。保冷材層３の内側はメンブレン４で覆われてい
る。このメンブレン４の内側に低温液が貯留される。メ
ンブレン４は、所定の大きさの矩形の薄板５を縦横に多
数並べ、各薄板５の中央部を点アンカ６で躯体に固定す
ると共に、各薄板５の周辺部５ａ同士をコルゲーション
７を介して溶接により接合して形成される。このメンブ
レン４を薄板５の１枚分のみ拡大して示したのが図１で
ある。

【００１４】薄板５は２．０ｍｍの厚さのｓｕｓ３０４
のステンレスからなり、縦横共に約２ｍの正方形に形成
されている。これらの薄板５によりタンク内側全体が覆
われ、各薄板５の周辺部５ａには縦横にコルゲーション
（シングルコルゲーション）７による波形の列が形成さ
れる。また、各薄板５の隅部５ｂには、上記縦横のシン
グルコルゲーション７に斜めに交わる十字クロス８が形
成される。

【００１５】低温タンク１の点アンカ６の部分の断面
が、図３に代表的に１箇所だけ示されている。その拡大
断面図を図２に示す。図示されるように、点アンカ６
は、主に台座９とピン１０とからなる。躯体２には、点
アンカ６の台座９が取り付けられている。台座９は、所
定の上下幅を有し、その上部及び下部にタンク内側より
取り付けボルト１１が挿通され、その取り付けボルト１
１の先端が躯体２に埋め込まれたナット等に挿入され
て、躯体２に固定されている。台座９は、熱伝導の小さ
い材料からなり、ピン１０を通じての冷熱の移動を妨げ
るために設けられる。この台座９の中央部にタンク内側
に向けて起立された雌ねじ等を有するピン受け部１２が
設けられている。台座９の周りは保冷材層３で埋め込ま
れている。

【００１６】ピン１０は、ピン受け部１２からメンブレ
ン４にかかる長さを有する丸棒であり、その先端部１０
ａにピン受け部１２に自らを固定するための雄ねじ等を
有し、基端部１０ｂにはメンブレンを取り付けるための
円盤状のフランジ１３が形成されている。メンブレン張
設の際には、まず薄板５を保冷材層３に被せてピン受け
部１２に位置合わせし、ピン１０を挿入する。ピン１０
をピン受け部１２に固定したら、フランジ１３の周囲を
薄板５に溶接して薄板５の固定及びシールを行う。この
ようにして各薄板５は、点アンカ６を介して躯体２に固
定されている。

【００１７】ピン１０の基端部１０ｂには、防撓材１４
が取り付けられている。防撓材１４は断面がＨ字状を呈
する骨格部材、いわゆるＨ型鋼１５を２本組み合わせて
なり、図１に示されるように、その２本のＨ型鋼１５が
薄板５の２つの対角線上に配置され、Ｘ字状を呈してい
る。２本のＨ型鋼１５は、その交点においてピン１０の
基端部１０ｂに重ね合わされ、それぞれが溶接により一
体的に接合されている。２本のＨ型鋼１５は、それぞれ
その一側面をメンブレン４に対して平行に設けられてい
る。従って、防撓材１４は、薄板５の隅部５ｂからその
対角の隅部５ｂに亘ってタンク内側より薄板５に、比較
的近い位置から臨んでいることになる。

【００１８】次に実施例の作用を述べる。

【００１９】上記の説明のようにメンブレン４は、各薄
板５毎に点アンカ６を介して躯体２に固定されており、
かつ各薄板５の周辺部がコルゲーションを介して接合さ
れている。そして、防撓材１４とメンブレン４とは点ア
ンカ６を介して１点で接している。従って、メンブレン
４は低温液を投入したときの熱収縮が可能である。

【００２０】防撓材１４はＨ型鋼１５等の骨格部材から
構成されると共に点アンカ６に支持されている。従っ
て、防撓材１４は、剛性が高いので、外力を受けても容
易にはタンク内側へ移動したり変形したりすることがな
い。

【００２１】この低温タンク１において、何等かの原因
により、こうしたメンブレン４を躯体２側からタンク内
側に押す力が加わったとする。例えば、前記したアンモ
ニアリークテストでは、保冷材層３内にアンモニア気体
が所定圧で注入される。

【００２２】メンブレン４を形成する薄板５は、上記注
入気体圧によってタンク内側へ押されるが、防撓材１４
が薄板５に臨ませて設けられているので、防撓材１４に
規制されて変形することがない。防撓材１４は、点アン
カ６から最も遠い薄板の隅部５ｂに臨んでおり、この隅
部５ｂは変形に対して最も弱い部分であるから、変形防
止に好適に作用する。

【００２３】勿論、防撓材１４が薄板の周辺部５ａや中
央部近辺に拡がっていても構わない。例えば、図４のよ
うに、前述の対角線上の２本のＨ型鋼１５の各先端部間
に、４本のＨ型鋼１５を掛け渡してＸ字とロ字とを重ね
合わせたような形状にすることもできる。

【００２４】なお、本実施例にあっては、防撓材１４を
Ｈ型鋼１５で構成したが、防撓材１４は、断面がＬ字状
を呈するＬ材、或いはチャンネル材のように可撓性の小
さい骨格部材であればよい。

【００２５】

【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮す
る。

【００２６】（１）メンブレンの面外変形が防止され
ることにより、メンブレン、ひいては低温タンクの耐久
性が向上する。

【００２７】（２）保冷材層内に比較的高い圧力の試
験気体が導入できるので、シール性の検査の信頼性が向
上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すメンブレンの薄板の１
枚分の拡大図である。

【図２】本発明の点アンカの部分の拡大断面図である。

【図３】本発明による低温タンクの断面図である。

【図４】本発明の他の実施例を示す防撓材の正面図であ
る。

【符号の説明】

１低温タンク２躯体４メンブレン５薄板６点アンカ７コルゲーション１４防撓材１５Ｈ型鋼

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者能勢吉弘東京都江東区豊洲三丁目２番16号石川島播磨重工業株式会社豊洲総合事務所内 (72)発明者野村光男東京都江東区豊洲三丁目２番16号石川島播磨重工業株式会社豊洲総合事務所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】低温タンクの躯体内側に沿わせて矩形の
薄板を並べ、各薄板の中央部を点アンカで躯体に固定す
ると共に各薄板の周辺部同士をコルゲーションを介して
接合したメンブレンにおいて、薄板の内側にＨ型鋼等の
骨格部材からなる防撓材を薄板の隅部間に掛け渡すよう
に設けると共に、上記防撓材を上記点アンカを介して躯
体に支持させたことを特徴とするメンブレンの面外変形
防止装置。