JPH06279195A - リチウムハロボラサイト薄膜及びその製法 - Google Patents

リチウムハロボラサイト薄膜及びその製法

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JPH06279195A
JPH06279195A JP5093565A JP9356593A JPH06279195A JP H06279195 A JPH06279195 A JP H06279195A JP 5093565 A JP5093565 A JP 5093565A JP 9356593 A JP9356593 A JP 9356593A JP H06279195 A JPH06279195 A JP H06279195A
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thin film
lithium
haloborasite
halogen
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智美 長瀬
Takao Kitamura
孝雄 北村
Hideo Wada
英男 和田
Koji Sakane
幸治 坂根
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リチウムアルコキシド及びホウ素アルコキシ
ドのアルコール溶液に、水とハロゲン化アンモニウム又
はハロゲン化水素を添加して調製したゾルを基板上にコ
ートし、次いでハロゲンの蒸散を制御しながら仮焼成
し、焼成して厚さ0.2〜5μmのリチウムハロボラサ
イト薄膜を得る。 【効果】 上記薄膜は膜厚がきわめて薄く、かつ形状付
与性に優れ、固体伝導体として有用で、特に薄膜電池の
固体電解質用に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体伝導体として有用
で特に薄膜電池の固体電解質用に好適な、リチウムハロ
ボラサイト薄膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リチウムハロボラサイトは、Li固体
伝導体として優れた導電性を示すとともに、他のLi
固体伝導体であるLiNやLiIとは異なり空気中の
水分に対しても耐性があり、化学的安定性に優れ信頼性
が高いので、有望視されている新素材である。
【0003】このリチウムハロボラサイトは水熱法やフ
ラックス法で製造されているが、水熱法では数mm程度
の結晶しか得られず、フラックス法ではミクロサイズの
結晶しか得られない。そこで、大形結晶の製造法として
よく知られた引き上げ法のような融解法を適用すること
も考えられるが、リチウムハロボラサイトは、高温で融
解よりも先に分解が起こり、ハロゲンが蒸散してLi
などのリチウムボレートとなるために、この融
解法による大形結晶の製造はきわめて困難であり、いま
だ実現していない。
【0004】また、リチウムハロボラサイト微結晶を加
圧成形し焼結すると、副生するLiなどのリ
チウムボレートはLi導電性を示さないことから、全
体的にLi導電性が低下するのを免れない。このた
め、本来のLi導電性を維持しようとすると成形性に
難があり、例えば固体電解質成形体には応用できないな
どの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来のリチウムハロボラサイトの欠点を克服し、Li
導電性を損なうことなく、形状付与性を改善したリチウ
ムハロボラサイト薄膜を提供することを目的としてなさ
れたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有するリチウムハロボラサイト薄膜を開発
するために種々研究を重ねてきた。先ず、通常のゾル−
ゲル法を単に適用し、リチウム、ホウ素及びハロゲンを
含むゾル溶液を基板にコートし仮焼成、焼成したが、こ
れだけでは加熱によりハロゲンが蒸散しやすいためリチ
ウムボレート膜状物が生成しリチウムハロボラサイトは
得られなかった。そこで、ハロゲン化物の種類や添加量
や、加熱時の雰囲気や温度などの条件について検討した
結果、ハロゲン化アンモニウムやハロゲン化水素を添加
するともに、仮焼成時や焼成時のハロゲンの蒸散を制御
することにより、純粋なリチウムハロボラサイトの組成
を有する薄膜が得られ、この薄膜がその目的に適合する
ことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに
至った。
【0007】すなわち、本発明は、一般式 Li
12X(Xは1種又は2種以上のハロゲン元素であ
る)で表わされるリチウムハロボラサイトから成り、か
つ厚さが0.2μm〜5μmであることを特徴とするリ
チウムハロボラサイト薄膜を提供するものである。
【0008】本発明の薄膜を構成するリチウムハロボラ
サイトとしては、その中のハロゲンが単独でもよいし、
また2種以上の組合せであってもよく、例えばLi
12Cl、Li12Br、Li
12I、Li12Cl0.6Br0.4などが
挙げられる。また、この薄膜の厚さは0.2〜0.5μ
mの範囲で選ばれる。この厚さが0.2μm未満のもの
は実際には作製するのが困難であり、例えば後述するコ
ーティング法でも1回の成膜操作で得られる膜厚は0.
2μm程度である。また、膜厚が厚くなるにつれ、抵抗
は大きくなるため、例えば薄膜電池の固体電解質へ応用
した場合、得られる電圧が小さくなって性能が劣化する
などの不都合が生じるので、膜厚は薄い方が好ましい。
さらに、膜厚が5μmを超えると亀裂が入りやすくなり
均一な膜が得られにくくなる傾向がみられる。
【0009】本発明の薄膜は、リチウムアルコキシド及
びホウ素アルコキシドのアルコール溶液に、水とハロゲ
ン化アンモニウム又はハロゲン化水素を添加して調製し
たゾルを基板上にコートし、次いでハロゲンの蒸散を制
御しながら仮焼成し、焼成することによって製造され
る。
【0010】これらのアルコキシドのアルコール溶液
は、例えば金属リチウムとメタノールなどのアルコール
からリチウムアルコキシドのアルコール溶液(A)を調
製し、また酸化ホウ素とメタノールなどのアルコールか
らホウ素のアルコキシドのアルコール溶液(B)を調製
し、この溶液(A)に溶液(B)をB/Liが1.75
〜2原子比となるように加えてよくかきまぜることなど
により得られる。
【0011】このようにして得られた混合アルコキシド
のアルコール溶液に、その中のアルコキシ基に対し1〜
10、好ましくは2.5〜7.5化学当量比の水、及び
その中のリチウムに対し0.3〜1.8、好ましくは
0.6〜1.2化学当量比のハロゲン化水素又はハロゲ
ン化アンモニウムを加えて溶液状のゾルが得られる。
【0012】このゾルはシリカガラスや単結晶シリコン
などから成る基板上にコーティングされる。コーティン
グ法としては、ディッピング法もしくはスピンコート法
が簡便で好ましい。こうして得られたコート基板は、通
常200〜500℃、好ましくは200〜300℃で仮
焼成される。その際、ハロゲンの蒸散を制御することが
重要である。この制御法としては、仮焼成を目的とする
リチウムハロボロサイトのハロゲンと同一種のハロゲン
を含む雰囲気下で行う方法が好ましい。このコート基板
の仮焼成操作1回当り0.1〜0.5μmの膜厚が得ら
れる。これより厚膜とするには、仮焼成操作を所望の膜
厚となるまで繰り返すのがよい。
【0013】次いで、仮焼成基板を仮焼成時と同様ハロ
ゲンを含む雰囲気下などハロゲンの蒸散の制御条件下
に、通常400〜800℃、好ましくは500〜600
℃で焼成する。このようにして、所要の膜厚のリチウム
ハロボラサイト薄膜が得られる。
【0014】
【発明の効果】本発明のリチウムハロボラサイト薄膜
は、膜厚がきわめて薄く、かつ形状付与性に優れるとい
う顕著な効果を奏する。また、本発明方法によれば、通
常のゾル−ゲル法に準じて簡単に効率よくリチウムハロ
ボラサイト薄膜を得ることができる。
【0015】本発明のリチウムハロボラサイト薄膜は、
軽薄短小化しますます機能の集積化が要求される電気・
電子デバイス用の固体伝導体として有用で、例えば薄膜
電池の固体電解質材料に用いて好適である。
【0016】
【実施例】次に実施例によって本発明をさらに詳細に説
明する。
【0017】実施例1 リチウムメトキシド及びホウ素メトキシド[B(OCH
]を以下のとおり常法により合成した。すなわ
ち、金属リチウム1.4g(0.2モル)を含水量0.
05重量%以下のメタノール150mlに溶解し、リチ
ウムメトキシドのメタノール溶液を得た。この際用いた
メタノールは、マグネシウムリボン5重量部を市販メタ
ノール79重量部と反応させて溶解したのち、これに市
販メタノール710重量部を加え3時間還流後蒸留して
調製した。また、別に酸化ホウ素70gをメタノール2
50mlに溶解し、5時間還流後蒸留し、次いで得られ
た沸点55〜57℃の蒸留物約150gに塩化リチウム
18gを加えて溶解し、静置して層分離を行い、上層の
ものをさらに蒸留して沸点67〜68℃のホウ素メトキ
シドを得た。
【0018】次に、リチウムメトキシド7.6g(0.
2モル)のメタノール溶液150mlにホウ素メトキシ
ド36.4g(0.35モル)を滴下したのち、40℃
で1日かきまぜ、メタノールで希釈してリチウムメトキ
シド濃度0.4モル/lとホウ素メトキシド濃度0.7
モル/lのメタノール溶液500mlを調製した。ここ
までの操作はすべて不活性ガス雰囲気下で行った。
【0019】このようにして得たメタノール溶液に、塩
化アンモニウム8g(0.15モル)を水126ml
(7モル)に溶解した水溶液を滴下して加え、室温で1
日かきまぜてゾル溶液を得た。
【0020】次いで、このゾル溶液を用いて、SiO
ガラス基板(25mm×12mm×1mm)に、引き上
げ速度4mm/秒でディッピングコートを行った。加熱
時の塩素の蒸散を制御するために、一端を封じ、他端を
キャピラリー管で開口したガラス管中にコートした基板
とともに塩化アンモニウム2gを入れ、含塩素雰囲気下
200℃で10分間仮焼成した。コート−仮焼成の操作
1回につき、厚さ約0.2μm程度の薄膜が形成され
た。コート−仮焼成を8回繰り返して厚さ1.6μm程
度の薄膜とし、これを550℃で1時間焼成して薄膜を
形成させた。得られた薄膜は薄膜X線回折によりLi
12Clと同定された。
【0021】実施例2 実施例1と同様にしてリチウムメトキシド濃度0.4モ
ル/lとホウ素メトキシド濃度0.7モル/lのメタノ
ール溶液500mlを調製した。このメタノール溶液
に、臭化水素12g(0.15モル)を水126ml
(7モル)に溶解した水溶液を滴下して加え、室温で1
日かきまぜてゾル溶液を得た。
【0022】さらに、このゾル溶液を用いて、SiO
ガラス基板(25mm×12mm×1mm)に、引き上
げ速度4mm/秒でディッピングコートを行った。加熱
時の臭素の蒸散を制御するために、一端を封じ、他端を
キャピラリー管で開口したガラス管中にコートした基板
とともに臭化アンモニウム2.5gを入れ、含臭素雰囲
気下250℃で10分間仮焼成した。コート−仮焼成の
操作1回につき、厚さ約0.2μm程度の薄膜が形成さ
れた。コート−仮焼成を7回繰り返して厚さ1.5μm
程度の薄膜とし、これを500℃で1時間焼成して薄膜
を形成させた。得られた薄膜は薄膜X線回折によりLi
12Brと同定された。
【0023】実施例3 実施例1と同様にしてリチウムメトキシド濃度0.4モ
ル/lとホウ素メトキシド濃度0.7モル/lのメタノ
ール溶液500mlを調製した。このメタノール溶液
に、ヨウ化アンモニウム29g(0.2モル)を水12
6ml(7モル)に溶解した水溶液を滴下して加え、室
温で1日かきまぜてゾル溶液を得た。
【0024】さらに、このゾル溶液を用いて、SiO
ガラス基板(25mm×12mm×1mm)に、引き上
げ速度4mm/秒でディッピングコートを行った。加熱
時のヨウ素の蒸散を制御するために、一端を封じ、他端
をキャピラリー管で開口したガラス管中にコートした基
板とともにヨウ化アンモニウム2.5gを入れ、含ヨウ
素雰囲気下250℃で10分間仮焼成した。コート−仮
焼成の操作1回につき、厚さ約0.2μm程度の薄膜が
形成された。コート−仮焼成を8回繰り返して厚さ1.
6μm程度の薄膜とし、これを500℃で1時間焼成し
て薄膜を形成させた。得られた薄膜は化学分析及び薄膜
X線回折によりLi12Iと同定された。
【0025】実施例4 実施例1と同様にしてリチウムメトキシド濃度0.4モ
ル/lとホウ素メトキシド濃度0.7モル/lのメタノ
ール溶液500mlを調製した。このメタノール溶液
に、塩化アンモニウム4g(0.075モル)及び臭化
アンモニウム7.3g(0.075モル)を水126m
l(7モル)に溶解した水溶液を滴下して加え、室温で
1日かきまぜてゾル溶液を得た。
【0026】さらに、このゾル溶液を用いて、SiO
ガラス基板(25mm×12mm×1mm)に、引き上
げ速度4mm/秒でディッピングコートを行った。加熱
時の塩素及び臭素の蒸散を制御するために、一端を封
じ、他端をキャピラリー管で開口したガラス管中に、コ
ートした基板とともに塩化アンモニウム2g及び臭化ア
ンモニウム2.5gを入れ、塩素及び臭素を含む雰囲気
下に250℃で10分間仮焼成した。コート−仮焼成の
操作1回につき、厚さ約0.2μm程度の薄膜が形成さ
れた。コート−仮焼成を7回繰り返して厚さ1.5μm
程度の薄膜とし、これを550℃で1時間焼成して薄膜
を形成させた。得られた薄膜は化学分析及び薄膜X線回
折によりLi12Cl0.6Br0.4と同定
された。
【0027】実施例5 SiOガラス上に金の櫛形電極を蒸着した基板を用いた
以外は実施例4と同様にしてLi12Cl
0.6Br0.4の薄膜を形成させた。得られた薄膜の
25℃における導電率は8×10−7Ω−1cm−1
あった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01M 10/39 A (72)発明者 坂根 幸治 香川県高松市花ノ宮町二丁目3番3号 工 業技術院四国工業技術試験所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 Li12X(Xは1種
    又は2種以上のハロゲン元素である)で表わされるリチ
    ウムハロボラサイトから成り、かつ厚さが0.2μm〜
    5μmであることを特徴とするリチウムハロボラサイト
    薄膜。
  2. 【請求項2】 リチウムアルコキシド及びホウ素アルコ
    キシドのアルコール溶液に、水とハロゲン化アンモニウ
    ム又はハロゲン化水素を添加して調製したゾルを基板上
    にコートし、次いでハロゲンの蒸散を制御しながら仮焼
    成し、焼成することを特徴とする請求項1記載の薄膜の
    製造方法。
JP5093565A 1993-03-29 1993-03-29 リチウムハロボラサイト薄膜及びその製法 Expired - Lifetime JPH0725536B2 (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5849432A (en) * 1995-11-03 1998-12-15 Arizona Board Of Regents Wide electrochemical window solvents for use in electrochemical devices and electrolyte solutions incorporating such solvents
US6045948A (en) * 1997-09-18 2000-04-04 Nec Moli Energy (Canada) Limited Additives for improving cycle life of non-aqueous rechargeable lithium batteries
JP2009525939A (ja) * 2006-02-08 2009-07-16 ロス アラモス ナショナル セキュリティ,リミテッド ライアビリテイ カンパニー ボラン類のエネルギー効率の良い合成
JP2018052755A (ja) * 2016-09-26 2018-04-05 公立大学法人首都大学東京 リチウムイオン伝導性材料

Cited By (4)

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JP2009525939A (ja) * 2006-02-08 2009-07-16 ロス アラモス ナショナル セキュリティ,リミテッド ライアビリテイ カンパニー ボラン類のエネルギー効率の良い合成
JP2018052755A (ja) * 2016-09-26 2018-04-05 公立大学法人首都大学東京 リチウムイオン伝導性材料

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