JPH06279123A - 窒化ケイ素焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素焼結体及びその製造方法

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JPH06279123A
JPH06279123A JP5092286A JP9228693A JPH06279123A JP H06279123 A JPH06279123 A JP H06279123A JP 5092286 A JP5092286 A JP 5092286A JP 9228693 A JP9228693 A JP 9228693A JP H06279123 A JPH06279123 A JP H06279123A
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silicon nitride
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less
sintered body
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JP5092286A
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Inventor
Shinichi Yamagata
伸一 山形
Takehisa Yamamoto
剛久 山本
Yasushi Chikugi
保志 筑木
Akira Yamakawa
晃 山川
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 常温から中高温域で使用される機械部品用構
造材料として、十分な強度を備えると共に強度のバラツ
キが少ない窒化ケイ素焼結体を提供する。 【構成】 粒径を制御したα結晶化率50%以上の窒化
ケイ素粉末と焼結助剤粉末からなる最大粒径30μmを
越える粒子を含まない混合粉末を、相対密度45%以上
に成形し、β変態温度未満で相対密度80%以上に予備
焼結し、β変態温度以上でα結晶化率40%以上で1次
焼結し、10気圧以上の窒素ガス中でα相が残存するよ
うに2次焼結して製造され、相対密度99%以上で、β
相窒化ケイ素の柱状結晶の平均粒径が長軸方向で10μ
m以下で、内部に存在する不純物、気孔又は窒化ケイ素
異常成長結晶粒の最大寸法が30μm以下であって、室
温から中高温での3点曲げ強度が1000MPa以上の
窒化ケイ素焼結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、室温から中高温域にお
ける機械的強度に優れ、しかもそのバラツキが小さく信
頼性の高い窒化ケイ素焼結体、及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素は、強度、破壊靭性値、耐食
性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐酸化性等においてバラン
スのとれた材料であるため、切削工具をはじめ摺動部品
その他の機械構造材料として広い範囲で利用され、近年
では優れた耐熱性や耐熱衝撃性に着目して、ガスタービ
ンやターボローター等の高温構造材料としての活用も検
討されている。更に最近では、その軽量性、耐摩耗性、
低摩耗係数に着目し、従来から金属材料が使用されてき
たエンジン部品等、常温から中高温(通常1100℃ま
で)での強度が必要とされる分野への応用も検討され始
めている。
【0003】しかしながら、窒化ケイ素焼結体は強度面
においても信頼性においても金属材料に劣るという問題
があり、エンジン部品等のように材料に対して高い信頼
性が要求される分野では、期待されたほど代替えが進ん
でいない現状であった。そのため、様々な焼結方法や焼
結助剤の添加が検討され、主として組織の改善により高
強度及び高信頼性を得るための努力がなされて来た。
【0004】例えば、特公昭62−13310号公報に
記載の方法では、窒化ケイ素粉末と焼結助剤の成形体を
常圧下で予備焼結を行った後、500気圧以上の高圧下
で熱間静水圧プレス処理する2段階焼結により、窒化ケ
イ素の大部分をβ化すると共に微細化することで、高強
度化を図っている。又、特公昭63−8701号公報に
は、焼結助剤を希土類酸化物−Al23−AlNの組み
合わせとし、母相の窒化ケイ素をα’相とβ相の複合組
織で構成することにより、高強度化が達成されることが
記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとく、従来の
窒化ケイ素焼結体の高強度化の試みは、いずれも組織の
微細化や形状寸法の異なる結晶粒による複合化に留ま
り、得られる窒化ケイ素焼結体の強度は室温で最高10
00MPa程度、及び中高温域では800MPa程度で
しかなく、しかも最高強度が1000MPaを越える場
合でもワイブル係数は10程度と強度のバラツキが大き
かった。このため、従来の窒化ケイ素焼結体は、エンジ
ン部品等として十分な強度特性と高い信頼性を備えるに
は至っていなかった。
【0006】本発明はかかる従来の事情に鑑み、エンジ
ン部品等の常温から中高温域で使用される機械部品用構
造材料として、十分な強度を備えると共に強度のバラツ
キが少なく、高い信頼性を備えた窒化ケイ素焼結体、並
びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する窒化ケイ素焼結体は、相対密度が
99%以上であり、母相を構成する窒化ケイ素が主たる
β相以外にα相を含み、β相窒化ケイ素である柱状結晶
の平均粒径が長軸方向で10μm以下であって、焼結体
内部に存在する不純物、気孔又は窒化ケイ素異常成長結
晶粒の最大寸法が30μm以下であることを特徴とす
る。
【0008】又、本発明の窒化ケイ素焼結体の製造方法
は、平均粒径2μm以下且つ最大粒径30μm以下であ
ってα結晶化率50%以上の窒化ケイ素粉末と、平均粒
径2μm以下且つ最大粒径30μm以下であってAl、
Mg、Ca、Tiの酸化物又はそれらの複合酸化物の少
なくとも1種からなる焼結助剤粉末5〜15重量%とを
混合し、得られた最大粒径30μmを越える粒子を含ま
ない原料混合粉末を相対密度が45%以上となるように
成形し、成形体を不活性ガス雰囲気中にてβ相への変態
温度未満で且つ液相生成温度以上の温度で相対密度80
%以上まで予備焼結した後、β相への変態温度以上の温
度でα結晶化率が40%以上に留まる範囲で1次焼結
し、更に10気圧以上の窒素ガス雰囲気中にてβ相への
変態温度以上の温度でα相が残存し且つ相対密度が99
%以上となるまで2次焼結することを特徴とする。
【0009】
【作用】窒化ケイ素を含め構造用セラミックス材料の破
壊靭性は構造用金属材料の数十分の1であり、粒界相の
軟化といった問題がない常温から中高温においては、そ
の破壊は不均一部分若しくは欠陥への集中力により発生
するケースが多い。そこで本発明者らは、窒化ケイ素焼
結体の強度及び信頼性を改善するには、組織の微細化や
緻密化、粒径や形状の異なる結晶粒の組み合わせ等の複
合化といった組織の改善のみでは限界があり、むしろ破
壊の起点となる要因の制御が重要であると考えた。
【0010】この考えに基づき、破壊の起点となった窒
化ケイ素焼結体の欠陥について詳細な調査を行った結
果、破壊の起点となる欠陥は不純物、気孔、窒化ケイ素
異常成長粒の3種に分類できること、しかも欠陥の大き
さは製造条件を厳密に管理することで制御が可能であ
り、欠陥を一定の大きさは以下に抑えることで窒化ケイ
素本来の強度が発現し且つそのバラツキも大幅に低下す
ることを見いだし、本発明に至ったものである。
【0011】即ち、本発明の窒化ケイ素焼結体において
は、相対密度が99%以上に緻密化され、母相を構成す
る窒化ケイ素が柱状結晶のβ相以外に微細結晶のα相を
含む複合組織であり、β相窒化ケイ素である柱状結晶の
平均粒径が長軸方向で10μm以下に微細化されている
ことに加え、不純物、気孔又は窒化ケイ素異常成長結晶
粒の最大寸法を30μm以下に抑えることが重要であ
る。
【0012】かかる構成をとることによって、本発明の
窒化ケイ素焼結体では、室温から中高温で1000MP
a以上の強度を安定して得ることができ、そのバラツキ
も大幅に減少する。これは、不純物、気孔又は窒化ケイ
素異常成長結晶粒により導入される欠陥寸法と焼結体を
構成する窒化ケイ素の結晶粒径とがほぼ等価となり、強
度が欠陥寸法の平方根に逆比例する線形破壊力学的な取
り扱いが適合されない領域になる結果、寸法欠陥のバラ
ツキに対応した強度依存性が減り、結晶粒の大きさや結
合力、粒界相の量や厚さ等の組織の効果に支配された材
質本来の強度特性が発現するためと考えられる。
【0013】この様に焼結体内部に存在する不純物、気
孔又は窒化ケイ素異常成長結晶粒の最大寸法が30μm
以下、好ましくは15μm以下であることが重要であ
り、これらの最大寸法が30μmを越えると、これを起
点として破壊に至り易く、強度が急激に低下する。尚、
不純物、気孔又は窒化ケイ素異常成長結晶粒の最大寸法
とは、曲げ強度試験において破壊の起点となった上記欠
陥の寸法であり、その測定は破壊の起点、即ち破壊によ
り発生する扇状の亀裂の集中点を、1000倍から50
00倍に拡大観察して行う。
【0014】又、不純物、気孔又は窒化ケイ素異常成長
結晶粒といった欠陥の最大寸法が30μm以下であって
も、焼結体の相対密度が99%以下であったり、母相を
構成する窒化ケイ素が柱状結晶のβ相のみであったり、
或はβ相窒化ケイ素である柱状結晶の平均粒径が長軸方
向で10μmを越えたりした場合には、材質本来の強度
特性自体が十分なものとなっていないから、室温から中
高温で1000MPa以上の強度を得ることができず、
更にそのバラツキも大きくなる。
【0015】次に、本発明の窒化ケイ素系焼結体の製造
方法について詳しく説明する。使用する窒化ケイ素粉末
は、平均粒径が2μm以下で且つ最大粒径が30μm以
下であることが必要である。窒化ケイ素粉末の平均粒径
が2μmを越えると、成形における粉末充填の均一性が
悪くなるため最大寸法30μmを越える大きな気孔を生
成しやすく、又窒化ケイ素粉末の最大粒径が30μmを
越えると、焼結後もその粗大な粒子が残存して最大寸法
30μmを越える欠陥を生成し、強度の低下を招くから
である。
【0016】更に、α結晶化率が50%以上の窒化ケイ
素粉末を用いることによって、α相からβ相への変態に
伴う収縮により最大寸法30μmを越える大きな気孔の
発生を防ぐことができ、且つ生成するβ窒化ケイ素の結
晶粒の微細化がなされ、最大寸法30μmを越える窒化
ケイ素異常成長結晶粒の発生を防止できる。尚、これら
の条件を満たせば、窒化ケイ素粉末の製法は問題ではな
く、直接窒化法、気相合成法、イミド分解法等により製
造したものであって良い。
【0017】焼結助剤は、Al、Mg、Ca、Tiの酸
化物又はそれらの複合酸化物の少なくとも1種から選ば
れる。これらの酸化物又は複合酸化物は低温で融解する
と共に、窒化ケイ素表面に存在するSiO2と反応して
融点を下げ、焼結体の緻密化を促進する作用がある。
又、これらの酸化物のほかに、β相窒化ケイ素結晶の微
細化を促進するY又は希土類元素の酸化物又は複合酸化
物を焼結助剤として添加することが好ましい。
【0018】これらの焼結助剤の添加量は、窒化ケイ素
粉末と焼結助剤との原料混合粉末全体の5〜15重量%
とする。その理由は、添加量が5重量%未満では緻密化
が促進されず、最大寸法30μmを越える気孔が発生す
るか、又は過焼結による最大寸法30μmを越える窒化
ケイ素異常成長粒が生成するからである。又、添加量が
15重量%を越えると窒化ケイ素の割合が少な過ぎるた
め緻密化が進まず、最大寸法30μmを越える気孔が発
生するからである。尚、焼結助剤粉末についても、前記
窒化ケイ素粉末と同様の理由で、平均粒径が2μm以下
で且つ最大粒径が30μm以下のものを用いる。
【0019】窒化ケイ素粉末と焼結助剤は通常のごとく
混合されるが、得られる原料混合粉末中には最大粒径が
30μmを越える粒子が含まれないことが必要である。
原料混合粉末中の窒化ケイ素、焼結助剤、不純物等の粒
子の最大粒径が30μmを越えると、その粗大な粒子が
焼結後も焼結体中にそのまま残り、最大寸法30μmを
越える不純物その他の欠陥となるからである。
【0020】特に不純物粒子は混合工程において混入し
やすく、例えばボールミルやローターを用いて機械的に
混合する場合には、その部品の摩耗特性や材質に配慮し
て30μmを越える不純物粒子の混入を防ぐ必要があ
る。又、最大粒径30μmを越える粒子を含まない原料
混合粉末を得るための有効な手段としては、窒化ケイ素
粉末と焼結助剤を混合した原料混合粉末又は原料混合粉
末と水若しくは有機溶媒との混合溶液を、最大孔径30
μmの篩を用いて篩分けする方法がある。
【0021】かくして得られた原料混合粉末は、プレス
成形、冷間静水圧成形、射出成形、鋳込み成形等の方法
を用いて製品形状に成形される。その場合、得られる成
形体の相対密度が45%以上となるように、成形の方法
や条件、有機バインダーの種類や量を選択して成形す
る。成形体の相対密度は、成形性を向上させるため有機
物等のバインダーを添加した場合には、脱バインダー後
の成形体の相対密度を意味する。成形体の相対密度が4
5%未満では、造粒巣等の成形体中に存在する空隙が焼
結後も残り、焼結体中に最大寸法30μmを越える気孔
として残存しやすいからである。
【0022】成形体は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気
中にて、β窒化ケイ素への変態温度未満で液相生成温度
以上の温度において相対密度が80%以上になるまで予
備焼結し、その後上記変態温度以上の温度に昇温して、
α結晶化率が40%以上に止まる範囲で1次焼結する。
予備焼結及びその後の1次焼結の温度は、生産性に優れ
たプッシャー式又はベルト式等の連続焼結炉を使用する
上で、それぞれ一定温度とすることが好ましいが、一定
温度でなくても液相の生成を考慮して昇温速度を厳密に
制御すれば焼結可能である。
【0023】前記予備焼結では、β相への変態温度未満
の温度で相対密度80%以上になるまで焼結するので、
窒化ケイ素のα相がβ相に変態する前に成形体中の気孔
径を大幅に減少でき、気孔内部へのβ窒化ケイ素の成長
により生成される窒化ケイ素異常成長結晶粒の最大寸法
を30μm以下に抑えることができる。更に、この段階
で均一な液相が形成されるため、焼結助剤の偏析により
発生する窒化ケイ素異常成長結晶粒の最大寸法を30μ
m以下に抑えることができる。
【0024】又、1次焼結では、β相への変態温度以上
の温度により焼結するので窒化ケイ素のβ化が進行する
が、α結晶化率を40%以上の範囲に留める必要があ
る。α結晶化率が40%未満となるまでβ化が進行する
と、β結晶間の結合が非常に強まり、その結果内在する
気孔を後の2次焼結によっても最大寸法30μm以下に
抑えることが困難となるからである。尚、α窒化ケイ素
からβ窒化ケイ素への変態温度は、成形体に含まれる焼
結助剤の種類及びその添加量により変化するが、その成
形体の焼結温度と得られた焼結体のα結晶化率との相関
関係から求めることができる。又、α結晶化率はX線回
折により測定することができる。
【0025】その後、1次焼結体は、10気圧以上の窒
素ガス雰囲気中にてβ相への変態温度以上の温度で、α
相が残存し且つ相対密度が99%以上となるまで2次焼
結される。この2次焼結により、得られる焼結体中の気
孔の最大寸法を30μm以下にすることができる。又、
全てβ相とせずにα相が残存する範囲で焼結を止めるこ
とにより、過焼結により発生する窒化ケイ素異常成長結
晶粒や凝集粒の最大寸法を30μm以下に抑えることが
できる。好ましくは、α相をα結晶化率で5〜30%程
度残存させることによって、β相の柱状結晶とα相の微
細結晶との組み合わせによる緻密化が一層進行し、破壊
の起点となる気孔の生成を更に少なくすることができ
る。
【0026】以上説明した本発明方法によれば、破壊の
起点となる要因、即ち焼結体内部に存在する不純物、気
孔又は窒化ケイ素異常成長結晶粒の最大寸法を30μm
以下に抑えることが可能となり、その結果窒化ケイ素焼
結体の材質本来の強度特性が発現され、室温から中高温
で1000MPa以上の強度を安定して得ることができ
且つ強度のバラツキも大幅に減少するので、その信頼性
は従来に比べて格段に上昇する。
【0027】
【実施例】平均粒径0.4μm及び最大粒径5μmで、
α結晶化率96%のSi34粉末91重量%に、焼結助
剤としてそれぞれの平均粒径が0.8μm、0.4μm及
び0.5μmで最大粒径が共に5μmのY23粉末、A
23粉末及びMgO粉末を各々5重量%、3重量%及
び1重量%添加し、ナイロン製ボールミルにてエタノー
ル中で100時間の湿式混合を行った。
【0028】この混合溶液を30μmメッシュで篩分け
し、30μmを越える不純物等の粒子を除去した。篩を
通過した混合溶液を乾燥して得られた原料混合粉末を、
3000kg/cm2の圧力下に40×5×8mmの形
状に冷間静水圧成形し、相対密度51%の成形体を得
た。
【0029】次に、得られた成形体のβ変態温度を測定
したところ1520℃であり、1500℃において30
分の焼結で相対密度68%及び2時間の焼結で相対密度
80%となることを確認した後、成形体を窒素ガス雰囲
気中にて1500℃で3時間予備焼結し、引き続いて1
550℃で3時間の1次焼結を行った。得られた1次焼
結体のα結晶化率は55%であった。その後、1000
気圧の窒素ガス雰囲気中にて1650℃で3時間の2次
焼結を行い、相対密度99.2%及びα結晶化率7%の
焼結体を得た。
【0030】更に、比較例として、上記と同様の方法で
あるが下記a〜gの条件のみを変えて焼結体をそれぞれ
製造した; (a) 平均粒径5μmのSi34粉末を使用する (b) 平均粒径30μmのFe23を100ppm混入
し、篩分けせず (c) 成形圧力1000kg/cm2で成形体の相対密
度43%とする (d) 1500℃で30分予備焼結し、相対密度68%
とする (e) 1550℃で6時間1次焼結し、α結晶化率25
%とする (f) 1600℃で3時間1次焼結し、α結晶化率30
%とする (g) 1700℃で3時間2次焼結し、α結晶化率0%
とする
【0031】得られた各焼結体の複数の試料について、
JIS R 1601に準拠して3点曲試験を実施した。
その後、破壊により発生した扇状の亀裂の集中点を電子
顕微鏡で観察し、破壊の起点の種類及びその最大寸法を
調べ、結果を本発明例の各焼結体については表1に及び
比較例の各試料については表2に、それぞれ試料毎に示
した。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果から、本発明例の各試料におい
ては、不純物、気孔、窒化ケイ素異常成長結晶粒という
欠陥が少なく且つその寸法も小さく制御されているの
で、これらの欠陥が破壊の起点となることが少なく、材
質本来の強度特性の発現による極めて高い3点曲げ強度
が得られ、しかもそのワイブル係数は21以上と従来と
比較して強度のバラツキも非常に小さいことが判った。
【0034】
【表2】 3点曲げ強度 破壊の起点 比較例 試料 常温(MPa) 種 類 寸法(μm) a(平均粒径5μmのSi34粉末を使用する) 1 1250 気孔 30 2 995 異常粒 57 3 1160 異常粒 39 4 1365 異常粒 33 5 1155 気孔 39 b(平均粒径30μmのFe23を100ppm混入し、篩分けせず) 1 950 不純物 41 2 800 不純物 48 3 930 不純物 36 4 1110 不純物 30 5 1020 不純物 33 c(成形圧力1000kg/cm2で成形体の相対密度43%とする) 1 1180 気孔 39 2 1350 気孔 38 3 980 気孔 45 4 1210 異常粒 44 5 1130 気孔 41 d(1500℃で30分予備焼結し、相対密度68%とする) 1 1250 異常粒 33 2 1100 気孔 41 3 1420 異常粒 30 4 1330 異常粒 33 5 1150 気孔 47 e(1550℃で6時間1次焼結し、α結晶化率25%とする) 1 980 気孔 41 2 845 気孔 51 3 920 気孔 45 4 1200 異常粒 36 5 1005 気孔 54 f(1600℃で3時間1次焼結し、α結晶化率30%とする) 1 885 気孔 53 2 995 気孔 38 3 1120 異常粒 51 4 1095 気孔 53 5 1160 異常粒 48 g(1700℃で3時間2次焼結し、α結晶化率0%とする) 1 950 異常粒 57 2 885 異常粒 53 3 1005 異常粒 52 4 945 異常粒 51 5 1215 異常粒 42
【0035】表2の結果から判るように、比較例aでは
平均粒径5μmのSi34粉末を使用したため、窒化ケ
イ素異常成長粒と、成形体中の粉末の不均一充填が原因
と思われる気孔が破壊の起点となっている。比較例bで
は不純物として平均粒径30μmのFe23を100p
pm混入し且つ篩分けを実施していないので、いずれの
試料においても不純物が破壊の起点となっている。比較
例cでは成形圧力1000kg/cm2で成形体の相対
密度を43%と低く成形したので、成形体中の気孔が焼
結後も残存し、この残存した気孔と、その気孔中に生成
した窒化ケイ素異常成長結晶粒が破壊の起点となってい
る。
【0036】比較例dでは予備焼結を1500℃で30
分と短縮したため、相対密度が68%と80%より低く
なり、しかも液相の生成が均一化する前にβ変態温度以
上での1次焼結に移ることとなり、これにより発生した
気孔と異常成長結晶粒が破壊の起点となっている。比較
例eでは1次焼結を1550℃で6時間と延長したた
め、α結晶化率が25%とβ化が進行し過ぎ、緻密化が
阻まれて発生した気孔と異常成長結晶粒とが破壊の起点
となっている。比較例fは1次焼結温度を高くして16
00℃で3時間としたため、比較例eと同様に緻密化が
阻まれて発生した気孔と異常成長結晶粒とが破壊の起点
となっている。
【0037】比較例gでは2次焼結温度を高くして17
00℃で3時間としたため、α結晶化率が0%と過焼結
の状態となり、全ての試料も異常成長結晶粒が破壊の起
点となっている。この様に、いずれの比較例において
も、30μm以上の不純物、気孔又は窒化ケイ素異常成
長結晶粒が破壊の起点となっており、表1の本発明例の
試料と比較して3点曲げ強度の低下が著しい。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、破壊の起点となる欠陥
(不純物、気孔、窒化ケイ素異常成長粒)の大きさを製
造条件の厳密な管理により30μm以下に抑えることに
より、結晶粒の大きさ等の組織の効果に支配された材質
本来の強度特性が発現し、室温から中高温で1000M
Pa以上の強度が得られ、しかも強度のバラツキが小さ
く、信頼性の高い窒化ケイ素焼結体を提供することがで
きる。
【0039】かかる本発明の窒化ケイ素焼結体は、自動
車エンジン等の内燃機関の部材をはじめ、常温から中高
温(通常1100℃まで)での強度が必要とされる分野
において、従来の金属材料に代わり得る構造用材料とし
て期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山川 晃 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対密度が99%以上であり、母相を構
    成する窒化ケイ素が主たるβ相以外にα相を含み、β相
    窒化ケイ素である柱状結晶の平均粒径が長軸方向で10
    μm以下であって、焼結体内部に存在する不純物、気孔
    又は窒化ケイ素異常成長結晶粒の最大寸法が30μm以
    下であることを特徴とする窒化ケイ素焼結体。
  2. 【請求項2】 母相を構成する窒化ケイ素が、α結晶化
    率で5〜30%のα相を含むことを特徴とする、請求項
    1に記載の窒化ケイ素焼結体。
  3. 【請求項3】 室温から1100℃の中高温で3点曲げ
    強度が1000MPa以上であることを特徴とする、請
    求項1又は2記載の窒化ケイ素焼結体。
  4. 【請求項4】 平均粒径2μm以下且つ最大粒径30μ
    m以下であってα結晶化率50%以上の窒化ケイ素粉末
    と、平均粒径2μm以下且つ最大粒径30μm以下であ
    ってAl、Mg、Ca、Tiの酸化物又はそれらの複合
    酸化物の少なくとも1種からなる焼結助剤粉末5〜15
    重量%とを混合し、得られた最大粒径30μmを越える
    粒子を含まない原料混合粉末を相対密度が45%以上と
    なるように成形し、成形体を不活性ガス雰囲気中にてβ
    相への変態温度未満で且つ液相生成温度以上の温度で相
    対密度80%以上まで予備焼結した後、β相への変態温
    度以上の温度でα結晶化率が40%以上に留まる範囲で
    1次焼結し、更に10気圧以上の窒素ガス雰囲気中にて
    β相への変態温度以上の温度でα相が残存し且つ相対密
    度が99%以上となるまで2次焼結することを特徴とす
    る窒化ケイ素焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 焼結助剤粉末として、Al、Mg、C
    a、Tiの酸化物又はそれらの複合酸化物のほかに、平
    均粒径2μm以下且つ最大粒径30μm以下のY又は希
    土類元素の酸化物又はそれらの複合酸化物を更に添加す
    ることを特徴とする、請求項4記載の窒化ケイ素焼結体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 2次焼結において、α相がα結晶化率で
    5〜30%含まれるように焼結することを特徴とする、
    請求項4又5記載の窒化ケイ素焼結体の製造方法。
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