JPH0627784Y2

JPH0627784Y2 - エンジンヘツドカバ−のブリ−ザ装置

Info

Publication number: JPH0627784Y2
Application number: JP1987056673U
Authority: JP
Inventors: 智則新里; ▲禧▼洙明本
Original assignee: Honda Motor Co Ltd
Current assignee: Honda Motor Co Ltd
Priority date: 1987-04-16
Filing date: 1987-04-16
Publication date: 1994-07-27
Anticipated expiration: 2002-04-16
Also published as: JPS63164514U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、車両用エンジンにおいて、エアクリーナとス
ロツトル弁の中間からヘツドカバー内に通じる一方の通
路と、クランクケースとスロツトル弁下流を接続する他
方の通路とをもつＰＣＶシステムのヘツドカバー内のブ
リーザ装置に関する。

（従来の技術）ヘツドカバーにブローバイガスのブリーザ室を設け、該
ブリーザ室内を複数の室に区画して潤滑油を分離するよ
うにすることは、例えば実開昭５９−４３６１４により
知られている。

（考案が解決しようとする問題点）前記の従来技術においては、複数の室が迷路状に連続し
ているため、比較的流通面積の小さい一連の流路が形成
されており、吸気系から脈動的に負圧が作用したとき、
該負圧の作用は流路全体に及び、脈動時に大きな負圧が
作用する瞬間にはブローバイガスの高速の流れが生じ、
油滴を充分に分離しないまま吸気系に吸引される傾向が
あつた。

（問題点を解決するための手段）本考案は、吸気系の脈動の影響が油滴を分離する室に及
ばないようにして前記の問題点を解決したもので、その
手段は、ヘッドカバーの内側に、点火プラグの挿入穴の
列に隣接して、ヘッドカバーの長手方向に延びるブリー
ザ室を設け、該ブリーザ室の流出口をエンジンの吸気系
に連通した、エンジンヘッドカバーのブリーザ装置にお
いて、前記ブリーザ室は、ヘッドカバーから突出して該
ヘッドカバーの内側の略全長にわたる囲壁と、該囲壁で
囲む空間内を長手方向に延びる隔壁と、該空間を閉じる
底板とで形成する流入室及びこれより大容積の流出室を
備えると共に、流入室の長手方向両端近傍で底板に設け
た複数のブローバイガスの流入穴と、隔壁の中央のみに
設けた小穴と、流出室の長手方向一端のみに設けた流出
口とを備えることを特徴とする。

（作用）上記の手段により、吸気系の脈動は大容積の流出室によ
つて緩和されると共に、小穴で連通する流入室には脈動
の影響が減少されてブローバイガスは比較的遅い平均的
速度で流動し、潤滑油のミストは流入室の内面に付着し
たのちブローバイガスの吸入穴の一部からヘツドカバー
内部に落下する。

（実施例）以下、本考案の実施例を図面によつて説明する。

第１図において、(1)はエンジンのシリンダブロツク、
(2)はシリンダヘツドで、吸気ポート(3)、吸気弁(4)、
排気ポート(5)、排気弁(6)、動弁機構(7)等を備え、そ
の上部をヘツドカバー(8)で覆つてカバー内室(9)を形成
している。

ヘツドカバー(8)の天井部内側には、該カバー(8)の内面
から囲壁(10)と隔壁(11)が下向きに突出し、その下端面
に底板(12)が固定されて流入室(14)、流出室(15)に区画
されたブリーザ室(13)を形成している。

第２図に示すように、ヘツドカバー(8)は、長手方向に
のびるブリーザ室(13)を備え、この中を長手方向にのび
る隔壁(11)によつて分割して流入室(14)とこれよりも容
積が大きい流出室(15)が形成してあり、隔壁(11)の略中
央部には両室(14),(15)は、連通する小穴(16)があけて
あり、流出室(15)の一端には側方に向けて流出口(17)が
設けてある。この流出室(15)は、前記小穴(16)と流出口
(17)のほかに開口は備えていない。

囲壁(10)と隔壁(11)には、複数のねじ穴(18)が下向きに
設けられ、これに第３図に示す底板(12)をねじ(20)によ
つて固定する。底板(12)には、隔壁(11)の長手方向両端
に近い流入室側の位置にそれぞれ複数のブローバイガス
流入穴(21)及び(22)のみが設けられており、エンジンの
高負荷時にクランクケースからシリンダヘツド上部に導
かれたブローバイガスを該流入穴(21),(22)から吸入す
る。

図中、(25)は注油口、(26)は点火プラグ挿入穴、(27)は
シリンダヘッド(2)への取付穴であり、ブリーザ室(13)
は、点火プラグ挿入穴(26)の列に隣接してヘッドカバー
(8)の長手方向の略全長にわたって延びている。

前記ブリーザ室(13)を通るガスの流れを以下第４図、第
５図によつて説明する。同図においてシリンダヘツド
(2)には吸気室(30)、排気マニホルド(31)が接続され、
またシリンダブロツク(32)、クランクケース(33)が取付
けられる。シリンダブロツク(32)の側面には迷路をもつ
ブロツク側部チヤンバ(34)が連設され、これとＰＣＶ弁
(35)をもつ通路(36)によつて、クランクケース(33)と吸
気室(30)が接続される。一方、エアクリーナ(37)とスロ
ツトル弁(38)を接続する吸気管(39)からは新気導入管(1
7a)を分岐してブリーザ室(13)に接続している。またカ
バー内室(9)は連通路(40)によつてクランクケース(33)
と連通している。

図中白地矢印は新気の流れを示し、黒矢印はブローバイ
ガスの流れを示す。第４図は部分負荷の場合で、吸気室
(30)の大きな負圧により、クランクケース内も高負圧に
なり、新気及びブローバイガスはＰＣＶ弁を経て吸気室
(30)に吸引される。これに対して高負荷時は、吸気室(3
0)の負圧は小さくなり、吸引力は減少する上、ブローバ
イガス量が増加するので、一部は連通路(40)からカバー
内室に入つたのち新気導入管(17a)を逆流して吸気管(3
9)に吸入される。

この高負荷運転時に、スロツトル弁(38)の開度及びエン
ジン回転速度を一定としても、吸気管(39)内の負圧は吸
気脈動により変動してカバー内室(9)からのブローバイ
ガス流量が変動する。そしてブローバイガスが高流速の
ときは、流量が大であるばかりでなく、オイル分離性の
低下、オイルミストの発生量増大等により、オイル吸込
量が増大する傾向が生じる。

高負荷時のブローバイガス中に含有された潤滑油のミス
トは流入室(14)内面に付着し、脱油したブローバイガス
は、隔壁(11)の小穴(16)を通つて大容積の流出室(15)に
流入する。該流出室(15)は流出口(17)及び管(17a)を経
てエンジンの吸気系に接続されており、ブローバイガス
を燃焼室を経て排気と共に排出する。

前記流出口(17)には、エンジンの吸気系の負圧が作用
し、該負圧の大きさは、エンジンの吸気行程により前記
のとおり脈動的に変動すると共に、スロツトル弁の開閉
によつても大きく変化する。この負圧の変動は、流出口
(17)から流出室(15)に伝わるが、該室(15)は大容積であ
ることから圧力の変動が少なく、流入室(14)は、この流
出室(15)に小穴(16)をもつて連通しているので流入室(1
4)内の圧力変動は更に少なくなり、該室(14)内及び流入
穴(21),(22)を通るブローバイガスの流速は変動の少な
い平均的な速度となる。

高負荷時にブローバイガスの流速が大きいと、油のミス
トは気流に乗つてそのまま運搬されたり、流入穴(21),
(22)から滴下しようとする油滴が再びミスト化され易い
が、本考案においては、流速の変動を緩和したので、気
流による運搬量が少なくなり流出室(15)まで運搬される
油量は少ない。そして、流入室(14)の内面に付着した油
のミストは、底板(12)上を流れて流入穴(21)又は(22)か
らエンジン内に滴下し回収される。

このように、流入室内で油のミストは一応分離される
が、なお気流中に残存するミストは流出室中で分離して
小穴(16)から流入室(14)内に戻る。

エンジンの据付け角を第１図にθ₁で示すように傾け、
隔壁(11)に第２図にθ₂で示す小穴(16)に向かう傾斜を
つければ底板(12)上での流れを良好にすることができ
る。

（考案の効果）以上のように本考案は、点火プラグ挿入穴列に隣接して
ヘッドカバーの内側の略全長にわたるブリーザ室を設け
たから、該ブリーザ室を大容積にすることができ、特に
流出室を流入室より大容積にして小穴で連通したから、
エンジン高出力時に吸気脈動が増大しても、流出室内で
脈動が緩和されて流入室内での脈動が減少し、ブローバ
イガスが流入室内で停滞してオイルミストが流入室に付
着し易くなり、オイルの分離、回収が良好に行われる。

また、ブリーザ室を長手方向の隔壁で仕切り、流入口と
隔壁の小穴、該小穴と流出口を極力離して設けたので、
ブローバイガスの流通路が長くなってオイルが分離し易
くなる利点を有し、更にこのブリーザ室を形成するヘッ
ドカバー側の部分が囲壁と隔壁を備えるだけであり、底
板も板体よりなるから、全体構造が極めて簡単で部品数
も少なく、低コストで製作できる利点がある。したがつ
て潤滑油消費量が少ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の縦断面図、第２図はヘツドカ
バーの底面図、第３図は底板の底面図、第４図，第５図
は本考案を実施したエンジンの作用説明図である。 (8)……ヘツドカバー、(11)……隔壁 (12)……底板、(13)……ブリーザ室 (14)……流入室、(15)……流出室、(16)……小穴 (17)……流出口、(21),(22)……流入穴。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ヘッドカバーの内側に、点火プラグの挿入
穴の列に隣接して、ヘッドカバーの長手方向に延びるブ
リーザ室を設け、該ブリーザ室の流出口をエンジンの吸
気系に連通した、エンジンヘッドカバーのブリーザ装置
において、前記ブリーザ室は、ヘッドカバーから突出し
て該ヘッドカバーの内側の略全長にわたる囲壁と、該囲
壁で囲む空間内を長手方向に延びる隔壁と、該空間を閉
じる底板とで形成する流入室及びこれより大容積の流出
室を備えると共に、流入室の長手方向両端近傍で底板に
設けた複数のブローバイガスの流入穴と、隔壁の中央の
みに設けた小穴と、流出室の長手方向一端のみに設けた
流出口とを備えることを特徴とする、エンジンヘッドカ
バーのブリーザ装置。