JPH06273733A - 液晶光学素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶光学素子及びその製造方法

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JPH06273733A
JPH06273733A JP5083832A JP8383293A JPH06273733A JP H06273733 A JPH06273733 A JP H06273733A JP 5083832 A JP5083832 A JP 5083832A JP 8383293 A JP8383293 A JP 8383293A JP H06273733 A JPH06273733 A JP H06273733A
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liquid crystal
polymer
electrode
composite film
optical element
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JP5083832A
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English (en)
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Tatsuya Tabei
達也 田部井
Tadafumi Shindo
忠文 進藤
Masayuki Ando
雅之 安藤
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学特性、電気特性、及び耐久性に優れ、且
つ必要な部分のみに均一な液晶/高分子複合膜形成し得
る液晶光学素子を提供すること。 【構成】 少なくとも一方が透明な一対の電極基板面間
に、液晶が高分子マトリックス中に分散してなる液晶/
高分子複合膜を挟持してなる液晶光学素子において、上
記マトリックス高分子が、イオン解離性基を有する高分
子を主体とする透明な樹脂からなることを特徴とする液
晶光学素子、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶が高分子マトリッ
クス中に分散して存在する液晶/高分子複合膜を用いる
光透過−光散乱型液晶表示素子及びその製造方法に関
し、更に詳しくは光学特性、電気特性及び耐光性等に優
れた液晶光学素子の提供を目的とする。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶ディスプレイは、低消費電
力、軽量及び薄型等の特徴を有している為、文字や画像
の表示媒体として腕時計、電卓、パソコン及びテレビ等
に幅広く用いられている。一般的なTN及びSTN液晶
ディスプレイは、配向膜が形成された透明電極を有する
ガラス板間に所定のシール等が施された液晶セル中に、
液晶を封入し、更に両面から偏光板でサンドイッチされ
たものである。
【0003】しかしながら、上記の従来の液晶ディスプ
レイは、(1)2枚の偏光板が必要な為、視野角が狭
く、又、輝度が不足している為、高消費電力のバックラ
イトが必要である、(2)セル厚依存性が大きく、大面
積化が困難である、(3)構造が複雑で、セルへの液晶
の封入が困難な為、製造コストが高い等の問題があり、
液晶ディスプレイの軽量化、薄型化、大面積化、低消費
電力化及び低コスト化に限界がある。この様な問題点を
解決する液晶表示素子として、液晶を高分子マトリック
スに分散させた液晶/高分子複合膜の応用が期待され、
その研究開発が活発化してきた。
【0004】この様な液晶/高分子複合膜の主たる製造
方法としては以下の如き方法が挙げられる。 高分子多孔質体に液晶を含浸させる方法。 液晶をポリビニルアルコールの水溶液中に分散させ
たエマルジョンをキャスト及び乾燥する方法(特表昭5
8ー501631号公報参照)。 液晶と高分子を共通溶媒に溶解した溶液をキャスト
し、溶媒の除去に伴って液晶と高分子を相分離させる方
法(特表昭61ー502128号公報参照)。 液晶とモノマーとの混合物中のモノマーを重合さ
せ、液晶と高分子の相分離構造を得る方法(特表昭61
ー502128号公報参照)。 上記方法のなかでは、の方法が製造が簡便であり、構
造の制御及び膜厚の制御が容易で、且つ大面積化が可能
であるという利点があり、調光用のガラス等としては既
に実用化されている。
【0005】上記の方法により得た液晶/高分子複合
膜は、図1に示す様に、液晶14がマトリックス樹脂1
5中に微小球状で分散されている。これは電圧が印加さ
れていないときには、液晶分子はマトリックスの球状壁
にそって並び、液晶分子の複屈折性及びこのときの液晶
の異常光屈折率と高分子マトリックスとの屈折率のミス
マッチングにより、入射光は液晶球の内部及び界面で散
乱される。この為液晶/高分子複合膜は不透明状態とな
る。電圧が印加されると、液晶分子が電界の方向に配向
する為、液晶の常光屈折率と高分子の屈折率はほぼ一致
し、入射光は直進する為、液晶/高分子複合膜は透明状
態となる。
【0006】この様な液晶/高分子複合膜を用いた光透
過−散乱型液晶表示素子の表示特性として、駆動電圧、
電圧−光透過率曲線の急峻性、コントラスト及び視認性
等が挙げられる。駆動電圧及び急峻性については、この
液晶の粒子径の分布と密接な関係がある。視認性につい
ても、コントラストという視点からは、この液晶の粒子
径に依存するが、この様な液晶/高分子複合膜を用いた
光透過−散乱型液晶表示素子の場合、不透明状態におけ
る光散乱及び透明状態における光透過の膜面全体での均
一性、即ち、膜面全体の光透過率も極めて重要な要素で
ある。これを実現する為には均一な液晶/高分子複合膜
を形成することが必要とされる。又、素子の動作モード
が、電圧OFF時の光散乱−電圧ON時の光透過に基づ
く為、液晶に対するマトリックス高分子の屈折率及び光
透過性が重要である。更に、液晶光学素子の耐久性とい
う観点からは、電圧印加に対しては、液晶のみならず、
マトリックス高分子の電気絶縁性が重要であり、且つ紫
外線等の外的要因についても、液晶と共にマトリックス
高分子の耐候性が重要である。一方、この様な液晶/高
分子複合膜の形成方法として、ブレードコーティング等
の従来公知の加工方法を適用しているが、視認性、液晶
の価格等の観点から、電極基板の必要な部分にのみ均一
な液晶/高分子複合膜を形成する技術が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとしている問題点】液晶をポリビニ
ルアルコール(PVA)水溶液中に分散させたエマルジ
ョンをキャスト及び乾燥する従来法によれば、当然PV
Aのマトリックス高分子中に液晶粒子が分散した相分離
構造になる。しかしながら、このPVAは、透明性が悪
く、可視光の透過率で70%を越えることはない(長野
浩一ら、『ポバール』p.378,高分子刊行会,19
81年)。又、PVA水溶液からキャストフィルムを作
製する場合、乾燥が極めて困難な為、作製条件にもよる
が、電気絶縁性が低く、一般には、抵抗値が107 〜1
9 Ω・cm程度であるといわれている(三羽忠広,
『合成樹脂の化学』,p.105,技報堂,197
5)。更に、耐候性についても、アクリル系ポリマー程
優れているとは云えない。
【0008】この様に、従来法に従って作製された液晶
/高分子複合膜は、光学特性、電気特性、及び耐久性に
問題がある。一方、この様な液晶/高分子複合膜の製造
上の問題点として、均一で、必要な部分にのみ該液晶/
高分子複合膜を形成することが困難であるということが
挙げられる。従って、本発明の目的は、光学特性、電気
特性、及び耐久性に優れ、且つ必要な部分のみに均一な
液晶/高分子複合膜形成し得る液晶光学素子及びその製
造方法を提供することである。
【0009】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
により解決される。即ち、本発明は、少なくとも一方が
透明な一対の電極基板面間に、液晶が高分子マトリック
ス中に分散してなる液晶/高分子複合膜を挟持してなる
液晶光学素子において、上記マトリックス高分子が、イ
オン解離性基を有する高分子を主体とする透明な樹脂か
らなることを特徴とする液晶光学素子、及びその製造方
法である。
【0010】
【作用】イオン解離性基を有する透明な樹脂として、光
透過率が高い、例えば、90%以上の光透過性を有する
高分子を用いることによって、素子の光学特性が改善さ
れると共に、この様な透明性に優れた樹脂は基本的に電
気絶縁性が良好で、電気特性も改善される。更に、耐候
性については、アクリル系ポリマーをマトリックス高分
子として用いることによって改善することが出来る。マ
トリックス高分子をこの様に改良することによって、光
学特性、電気特性及び耐久性に優れた液晶光学素子の作
製が可能になる。一方、液晶/高分子複合膜の形成に電
着塗装法を用いれば、電極基板をパターニングするだけ
で、電極基板の必要な部分にのみ均一な液晶/高分子複
合膜を形成することが出来る。
【0011】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明による液晶光学素子
の1例である多色表示素子の構成の1例を図1に示す。
本発明による液晶表示素子は、電極の作用をする透明導
電膜13を有するガラス又はフイルム等の基板11,1
2の2枚の間に、液晶/高分子複合膜1が挟持されてお
り、上記液晶/高分子複合膜1は、例えば、R(赤)、
G(緑)及びB(青)の三原色の色素を含む高分子マト
リックス層15からなる各画素領域(RGB)と、その
中に分散された粒子状、好ましくはカプセル化された液
晶14とからなっている。カプセル状に分散された液晶
粒子中には、マトリックスに含まれる色素が吸収しない
光を吸収する二色性色素が添加されていることが好まし
い。液晶中の二色性色素は、電界による液晶分子の整列
に伴って分子方向を変える為、電圧の印加・無印加によ
って各画素の光吸収特性が変化する。二色性色素の吸収
が十分低い状態では、その画素はマトリックス中の色素
による色を示し、二色性色素の吸収が十分高い状態で
は、その画素は二色性色素とマトリックス中の色素との
混色によって、例えば、黒色を示す。
【0012】上記の表示素子において、用いる液晶と二
色性色素の組合せにより2つのモードがある。Gの色相
の画素における概念図を図2a、bに示す。図2aのノ
ーマルモードの場合は、誘電異方性が正の液晶とp型色
素の組合せによって、電圧印加時にはマトリックス層の
色相を示し、電圧無印加時には黒色を示す。一方、図2
bのリバースモードの場合には、誘電異方性が負の液晶
とn型色素の組合せによって、電圧印加時に黒色を示
し、電圧無印加時にマトリックス層の色相を示す。
【0013】マトリックス中に含まれる色素は染料でも
顔料でもよく、又、一部が液晶相中に含まれていてもか
まわないが、駆動電圧を上げる原因となるので、なるべ
くマトリックス中に存在させることが好ましい。液晶中
の二色性色素がマトリックス層までも着色してしまうこ
とは、表示される画像のコントラストを低下することに
なるので、なるべく避けなければならない。この為に液
晶粒子はカプセル化されていることが望ましい。液晶中
の二色性色素は色度特性の向上や光利用効率の向上とい
う目的の為、RGB各画素ごとに異なるものを用いるこ
とが出来る。以上のBGRの各画素領域は、ストライプ
状、モザイク状等の規則的なパターンにより配置され、
これらの領域には夫々対応する電極が設けられ、各画素
毎に電圧印加のオン・オフが可能となっている。液晶/
高分子複合膜セルの後方には、拡散反射板2が設けら
れ、十分な明るさを得る為に通常後方に白色光源3が設
けられる(図1参照)。
【0014】本発明の液晶光学素子は、上記の如き液晶
光学素子において、上記マトリックス高分子が、イオン
解離性基を有する高分子を主体とする透明な樹脂からな
ることを特徴としている。本発明で使用するイオン解離
性基を有する透明な樹脂としては、樹脂単体の可視光線
に対する光透過率が、3mmの厚さで90%以上である
ものは全て用いることが出来、アクリル系或はビニル系
の共重合体が特に好ましい。更に耐候性という観点から
アクリル系共重合体であることが好ましい。イオン解離
性基としては、カチオン性及びアニオン性いずれも用い
ることが出来るが、後述する様に、好ましい製造方法と
して電着塗装法を用いる場合、カチオン性であるとIT
Oが酸化される為、一旦ITO以外の電極に電着塗装を
作製した後、転写する必要がある。従って、アニオン性
のカルボキシル基やスルホン酸基等が好ましい。
【0015】この様なイオン解離性を有する透明な樹脂
をマトリックス高分子とする液晶/高分子複合膜の製造
方法としては、均一溶液から溶媒を蒸発する過程で液晶
を相分離させる方法、イオン解離性基を有するポリマー
或はそれにアクリロイル基を導入したポリマーと、アク
リル系モノマーとの混合物中に液晶を溶解させ、放射線
で重合し液晶を相分離させる方法、イオン解離性ポリマ
ーを保護コロイドとし用いるエマルジョン法等、あらゆ
る方法を用いることが可能である。特に、エマルジョン
法ではマイクロカプセル化した液晶を用いてることが好
ましい。液晶を含む高分子溶液や液晶エマルジョンを電
極基板上に塗工する方式としては、通常のコーティング
方式、例えば、グラビアコーティング、ロールコーティ
ング、ブレードコーティング等、いずれの方法も用いる
ことが出来る。しかしながら、電極基板の所定の位置
に、所定の面積だけ、均一なコーティングを行うには電
着塗装法が最も好ましい。
【0016】次に本発明の液晶表示素子を、図3に模式
的に説明する電着方法によって製造する方法を説明す
る。ここで云う電着塗装方法とは、電着液中に塗布基板
となる主電極と対向電極とを配置して通電し、電着液中
の固形分(マトリックス樹脂+液晶粒子)を電気的に主
電極である基板上に吸着若しくは沈着させて塗膜を形成
する方法である。次いで塗布基板を取り出して溶剤を除
去することにより、液晶粒子が高分子マトリスク中に分
散した液晶/高分子複合膜を得ることが出来る。
【0017】本発明で使用する電極基板は、少なくとも
いずれか一方が、例えば、ITO、SnO2 系、ZnO
系の様な透明導電性を付与したガラスや高分子フイルム
等の様な透明な基板である。電着塗布方法においてこの
様なITO基板等を主電極として陽極に用いる場合に
は、カチオン電着では、電着時に酸性化合物である中和
剤により基板表面の導電膜の結晶が変質し、黒褐色の高
抵抗不透明物質となる為、アニオン電着法を用いること
が好ましい。本発明においては、上述したITOの様な
透明導電性物質が付着した基板を用いるのは、基板が透
明であれ、不透明であれ、ITO等を予めパターンニン
グしておき、必要な領域にのみに塗膜を電着させること
が出来るので都合が良い。カチオン電着を用いる場合に
は、主電極である陰極に、酸性化合物に侵されない鏡面
仕上げのステンレス基板の様なものを用いることが好ま
しい。この場合ステンレス基板を反射電極としてそのま
ま用いることも出来るが、別の導電性基板に粘着剤や接
着剤で形成された電着塗膜を転写させてもよい。後者の
場合には主電極を多数回使用することが出来るという利
点がある。該転写方法であれば、カチオン電着及びアニ
オン電着を問わずに本発明において用いることが出来
る。
【0018】電極基板の必要部分にのみ電着塗膜を電着
させる方法としては、上記の様なITO等のパターニン
グの他に、レジストで予めパターンを形成しておき、レ
ジストを除去して電極が露出した部分にのみ電着塗膜を
形成させることが出来る。勿論、この場合にも電極自体
がパターニングされていてもよい。この方法は対向電極
を貼り合わせた時にレジスト自体がシールの役割を果た
すことが出来るという利点がある。又、レジストを黒色
に着色しておけばブラックマトリックスとしての機能も
付与することが出来る。本発明の製造方法は、例えば、
図3に示した様な電極の形状及び配置によって説明する
ことが出来る。図3を参照すると、液晶光学素子の一方
の電極基板31を、液晶がイオン性樹脂を含む水溶液中
に乳化されたエマルジョン32中に主電極として浸漬す
る。この電極基板31には、所望の領域に所望の形状の
液晶駆動用電極33が形成され、上記エマルジョンがア
ニオン性樹脂を含む場合には、該電極基板31が電着塗
装の陽極となる様に電源に接続されている。
【0019】これに対して電着塗装に必要な対向電極板
34が、上記エマルジョン32中に浸漬されている。こ
の対向電極34は、図示の様に上記電極基板31の電極
33と相似形状、好ましくは合同形状となっており、主
電極と対向電極の電極部の中心を結ぶ直線が両電極面に
直交する位置関係に配置され、対向電極34は陰極とな
る様に電源に接続されている。対向電極34として液晶
表示素子に使用する電極基板と同一形状の対向電極を使
用すれば、主電極33と対向電極34はその電極の形状
が全くの合同形状となる。
【0020】この状態で、両電極33,34の間に通電
すると、エマルジョン32中の液晶粒子はアニオン性樹
脂と共に、電極基板である陽極33に電気泳動され、電
極基板の電極33面に液晶/高分子複合膜が沈着形成さ
れる。この際、主電極33及び対向電極34は正対して
おり、且つ相似形状、好ましくは合同形状であるので、
対向する2枚の電極33,34間における電流密度は一
定となり、電極基板である主電極に沈着形成される液晶
/高分子複合膜の領域は、電極基板に形成された電極3
3と正確に同一となり且つ形成される液晶/高分子複合
膜の厚みは全面に渡って均一となる。この様にして得ら
れる液晶/高分子複合膜の厚みは3〜15μmであり、
液晶/高分子複合膜の表面粗度は1μm以下になる。以
上の様にして形成された液晶/高分子複合膜を必要に応
じて架橋させ、しかる後に液晶表示素子用の他の電極基
板を適当な手段により貼合することによって本発明の液
晶表示素子が得られる。
【0021】本発明で云う液晶とは、常温付近で液晶状
態を示す有機混合物であって、ネマチック液晶、コレス
テリック液晶、スメクチック液晶が含まれる。このうち
ネマチック液晶若しくはコレステリック液晶を添加した
ネマティック液晶が表示素子として用いる場合には特性
上好ましい。又、メモリー機能が要求される場合にはス
メクチック液晶を使用することが望ましい。これらの液
晶の使用量としては、マトリックス樹脂/液晶の混合比
(重量比)が5/95〜50/50であり、液晶の使用
量が少なすぎると、電圧オン時の透明性が不足するだけ
でなく、膜を透明状態にする為に多大の電圧を必要とす
る等の点で不十分であり、一方、液晶の使用量が多すぎ
ると、電圧オフ時の散乱(濁度)が不足するだけでな
く、膜の強度が低下したりするので好ましくない。尚、
液晶中にコントラスト或いは色調を改善させる為に色素
を含有させることも出来る。二色性色素を添加した場合
には、散乱−透過型の液晶/高分子複合膜としてばかり
でなく、色素のゲスト−ホスト効果により、光吸収(着
色)−透明状態でスイッチングする液晶/高分子複合膜
として使用することも出来る。
【0022】上記電着塗装方法に用いる樹脂は、前述の
イオン解離性基を有する樹脂であり、又、塗膜の耐水性
や強度を高める為に、メラミン樹脂等を添加し、膜形成
後に加熱硬化する方法等も用いることが出来る。又、マ
トリックス樹脂の溶解性の向上及び平滑な塗膜を得る為
に、電着液中に有機溶剤を添加することも好ましい。こ
こで用いられる有機溶剤としては、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール等のアルコール類、メチルセル
ソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類、グリコー
ル、カルビトール等の親水性有機溶剤が好ましく用いら
れるが、場合によりキシロール、トルオール等の疎水性
溶剤も使用することが出来る。又、使用し得る助剤とし
ては、液晶粒子又はそのマイクロカプセルの分散安定性
を付与する為の界面活性剤、塗膜の平滑性を良くする為
のレベリング剤及び消泡材等が挙げられる。
【0023】前記マトリックス樹脂水溶液に上記液晶を
分散させる方法としては、超音波分散機等の各種の撹拌
装置による混合方法や、膜乳化法(中島忠夫・清水政
高、PHARMTECH JAPAN 4巻、10号
(1988)参照)等の分散方法が有効である。液晶エ
マルジョン粒子の大きさは、用いる分散方法に依存する
が、液晶粒子の直径が0.5〜7.0μmであり、平均
粒径が1〜5μmであることが好ましい。
【0024】本発明の方法によれば、電極基板面に一様
な液晶/高分子複合膜を形成することが出来るが、その
他にもRGBの液晶/高分子複合膜を基板上に形成させ
ることが出来ることは当然である。これらの方法として
は、以下の方法を用いることが好ましいが、これらの方
法に限定されない。 (1)電気絶縁性の基板上に複数の領域に分割された導
電性の膜からなる電極を設け、各電極を選択して電圧を
印加し、電圧の印加された電極上に上記の電着塗装方法
により、液晶/高分子複合膜を形成させ、前記操作を繰
り返すことにより各電極上に多色の液晶/高分子複合膜
を形成する方法。 (2)導電性の基板に所定のレジストパターンを形成
し、レジスト開口部に電着塗装方法により、液晶/高分
子複合膜を形成し、更にレジストの一部を所定のパター
ンに除去して電極を露出させ、該露出された電極上に異
なる色相の液晶/高分子複合膜を形成する方法。 (3)表示電極とは別の基板を用い、上記(1)又は
(2)の方法によりパターニングした液晶/高分子複合
膜を表示基板上に転写する方法。
【0025】この際には上記電着塗装に際し、使用する
液晶中に二色性色素を添加し、該液晶を樹脂水溶液中に
分散することも出来る。若しくは二色性色素を含む液晶
を内包するマイクロカプセルを製造し、このマイクロカ
プセルを樹脂水溶液中に分散させてもよい。更に前記分
散液に、マトリックスを着色する色素を分散若しくは溶
解して塗布液を調製する。又、本発明では前記液晶とし
てマイクロカプセル化液晶を使用する場合には、カプセ
ル壁材料としては、マトリックス高分子と光学的に類似
した高分子、例えば、光透過率が90%以上のを使用す
ることが好ましく、例えば、イオン解離性基を有さない
アクリル樹脂やビニル樹脂が好ましい材料として挙げら
れる。液晶のマイクロカプセル化法は、他の材料に適用
されている一般的マイクロカプセル化技術を使用するこ
とが出来る。一般的なマイクロカプセル化法には、化学
的作成法、物理化学的作成法及び物理的・機械的作成法
がある。
【0026】化学的作成法については合成反応を用いる
界面重合法、in situ重合法及び高分子物性変化
を生じさせる液中硬化被覆法がある。界面重合法は重縮
合或いは重付加反応する様な二種のモノマーとして、水
溶性のものと油溶性のものを選択し、いずれかを分散さ
せてその界面で反応させる方法である。in situ
重合法は、核材の内又は外の一方からリアクタント(モ
ノマー、開始剤)を供給し、カプセル壁膜表面で反応さ
せる方法である。液中硬化被覆法(オリフィス法)は、
予め核材を壁膜剤でカプセル化した後、その壁膜を硬化
液中で硬化する方法である。物理化学的作成法としては
相分離を利用したコアセルベーション法、界面沈殿法
(液中濃縮法、液中乾燥法、二次エマルジョン法)及び
融解分散法がある。更にコアセルベーション法は、水溶
液系でも有機溶媒系でも用いることが出来る。
【0027】水溶液系では、溶解性の減少により相分離
を生じさせる単純コアセルベーション法、電気的相互作
用により相分離を生じさせる複合コアセルベーション法
を用いることが出来る。有機溶媒系では溶解性や温度等
の変化による相分離現象を利用する。界面沈殿法は激し
い反応や急激なpH変化等が伴わない、温和な条件でカ
プセル化可能な方法で、例えば、液晶核材を分散した水
溶液を疎水性高分子の溶剤溶液中に分散させた後、更に
保護コロイド溶液に分散させるものである。融解分散法
は壁膜材としてワックスやポリエチレンの様な蝋状物質
を用いるもので、加熱下で核材を蝋状物質と共に液中に
分散した後冷却する方法である。物理的・機械的作成方
法としてスプレー・ドライング法、気中懸濁被覆法、真
空蒸着被覆法等が挙げられるが、核材である液晶は常温
で液体であり、その大きさを整えるエマルジョンの作成
が前提となる為、液晶のカプセル作成法としては適して
いない。
【0028】リバースモードセルでは、オフ状態での液
晶分子が図2bに示す様に、セル面に垂直に配列してい
る必要があるが、この様に配列させる方法としては以下
の様な方法が知られている。 液晶/高分子複合膜に、熱プレス等により応力を加
え、液晶球を変形させる。 二周波駆動液晶を用い、低周波数の電圧印加下で高
分子マトリックスの硬化を行い、高周波数の電圧で駆動
させる。
【0029】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。 実施例1 伊勢化学工業製の膜乳化システムを用い、以下の条件で
連続相と分散相の重量比が200:20の液晶エマルジ
ョンを製造した。 分散相‥‥‥ネマチック液晶(BDH社製、E−44) 18部 メタクリル酸メチル 2部 アゾビイスイソブチロニトリル 0.05部 連続相‥‥‥ポリビニルアルコール(日本合成化学工業
(株)製、KP−06)5%水溶液 多孔質ガラス‥‥‥伊勢化学工業(株)製、MPG(細
孔径:0.27μm) 管内圧力‥‥‥2.85〜2.95kgf/cm2 管内流速‥‥‥0.8m/sec
【0030】得られたエマルジョンを撹拌することな
く、70℃で6時間加熱し、液晶を内包するマイクロカ
プセルを得た。遠心分離により、上記カプセルを単離
し、以下の組成の電着塗装用の電着液を調製した。 上記マイクロカプセル 90部 アニオン性アクリル樹脂 9部 トリエチルアミン 1.8部 エタノール 18部 水 880部
【0031】上記電着液を電着浴に入れ、ITOをパタ
ーニングしたガラス基板を陽極に、該ガラス基板のIT
Oと同じ形状で同じ面積の白金からなる対向基板を陰極
とし、電極間距離を1cmに保ち、30Vの電圧で10
秒間通電して電着した後、60℃で1時間乾燥させた。
得られた複合膜は、透明なイオン解離性ポリマーをマト
リックス高分子として液晶粒子が分散し、膜周辺部の隆
起がなく、ITOパターンと同じ形状で同じ面積の且つ
均一な液晶/高分子複合膜であった。この複合膜をIT
Oガラス基板に貼りあわせた液晶光学素子は、光学特
性、電気特性及び耐久性に優れていた。ここで用いたア
ニオン性アクリル樹脂は以下の如くして合成した。合成方法 下記の組成液を調製し、撹拌器及び還流冷却器を備えた
パラブルフラスコ中で、窒素気流下、60℃で6時間反
応させて合成した。 メタクリル酸 10部 メタクリル酸メチル 11部 アクリル酸ブチル 38部 2−エトキシエタノール 89部 アゾビスイソブチロニトリル 1.2部 反応終了後、再沈澱法により、ポリマーを単離精製し
た。
【0032】実施例2 伊勢化学工業製の膜乳化システムを用い、以下の条件で
連続相と分散相の重量比が200:40の液晶エマルジ
ョンを製造した。 分散相‥‥‥ネマチック液晶(BDH社製、E−44) 40部 メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体 5部 トリエチルアミン 1.4部 水 184部 エタノール 10部 多孔質ガラス‥‥‥伊勢化学工業(株)製、MPG(細
孔径:0.37μm) 管内圧力‥‥‥2.75〜2.85Kgf/cm2
【0033】上記液晶エマルジョンを電着浴に入れ、陽
極としてITOをパターンニングしたガラス基板を、陰
極として白金板を用い、室温にて、30Vの電圧で30
秒間通電して電着させた。ITOガラス基板を電着浴よ
り引き上げ、水洗した後、60℃で1時間乾燥させたと
ころ、膜厚10μmのイオン解離性基を有するポリマー
マトリックス中に液晶が分散した液晶/高分子複合膜が
得られた。この液晶/高分子複合膜をITOガラス基板
で貼りあわせた液晶光学素子は、光学特性、電気特性、
耐光性等に優れていた。
【0034】
【効果】上記本発明の構成によって、光学特性、電気特
性及び耐光性等に優れた液晶光学素子を提供することが
出来る。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示素子の作動を説明する図。
【図2】液晶表示素子の作動を説明する図。
【図3】本発明の方法を説明する図。
【符号の説明】
31:電極基板 32:液晶エマルジョン 33:電極 34:対向電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明な一対の電極基板
    面間に、液晶が高分子マトリックス中に分散してなる液
    晶/高分子複合膜を挟持してなる液晶光学素子におい
    て、上記マトリックス高分子が、イオン解離性基を有す
    る高分子を主体とする透明な樹脂からなることを特徴と
    する液晶光学素子。
  2. 【請求項2】 液晶粒子が、マトリックス高分子と光学
    的に類似した高分子でカプセル化されている請求項1に
    記載の液晶光学素子。
  3. 【請求項3】 マトリックス高分子が、カルボキシル
    基、スルホン酸基等の解離してアニオン性基となる基を
    少なくとも1種含むアクリル系或はビニル系モノマーか
    らなる共重合体である請求項1又は2に記載の液晶光学
    素子。
  4. 【請求項4】 液晶/高分子複合膜の膜厚が3〜15μ
    mであり、液晶/高分子複合膜の表面粗度が1μm以下
    である請求項1〜3に記載の液晶光学素子。
  5. 【請求項5】 液晶粒子の直径が0.5〜7.0μmで
    あり、平均粒径が1〜5μmである請求項1〜4に記載
    の液晶光学素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載の液晶/高分子複合
    膜を電着方法によって形成することを特徴とする液晶光
    学素子の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020126091A (ja) * 2019-02-01 2020-08-20 三菱ケミカル株式会社 液晶素子及びエマルジョン組成物

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JP2020126091A (ja) * 2019-02-01 2020-08-20 三菱ケミカル株式会社 液晶素子及びエマルジョン組成物

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